風のささやき

鳴く程に闇は濃くなるちろろかな

姿は見えないのですが
窓を開けていると
ちちろ(こおろぎ)の声が
波のように耳に打ち寄せます

ちろろが鳴きだすと
その音に耳を澄ますかのように
静けさが深まってゆきます

夜、目が冴えて眠れず一人でいると
ちろろの声に闇が心地よく揺られ
その濃さを増すように感じられました
快い闇に身を浸していました

 #2002 秋に