風のささやき

去る人を祝いほころぶクロッカス

小学校の話しになりますが
卒業式の際に卒業生一人一人に
自分たちで育てたクロッカスを渡す
慣わしがありました

そのせいでしょうか
僕の中ではクロッカス=卒業という
等式が出来上がっています

時折は涙を見せながら
卒業する者の手の中で
ほころび始めたクロッカスは
新しい暮らしへの希望の予感で
去り行く者たちを
静かに励ましてくれているようです

卒業を重ねすぎて
その時分の甘酸っぱい気持ちを
感じることはもうできない自分ですが

クロッカスを見ると
少しだけそのときの感触が
胸の中で音をたてます