風のささやき

肩を噛む秋風誰の未練かな

少し冷たい秋の風は
衣服の上から肩を噛み
その冷たさに思わず後ろを
振り向いてしまうことがあります
あたかも誰かに呼び止められるように

けれどそこにはうつむき歩く
人の波だけが通り過ぎ
僕の肩に冷たさを残したものの姿はありません

僕の肩を噛んだのは
誰でもない
夏に置き去りにした僕の心の名残なのかなと
そんなことを思っていまし