風のささやき

十字架の目にひりついて夏始

とある朝の駅
電車を待つ列に並んだら
目に光るものが届きました

何だろうと顔を向けると
教会の屋根の十字架が
夏の陽射しを集めています

普段は見落としている十字架が
夏の光に力を与えられて明るみ

目をつぶっても
瞼の裏に焼き付いて
暗闇の中に赤々と点っていました

 # 2001 夏に