読者のメールから

1997年2月>


<読者からの反響>

送信されてくるメール全体の中で、圧倒的に多いのが治療院の紹介依頼である。紹介後しばらくして「おかげさまで良くなりました」という知らせが来ると、紹介者としては一安心。上手な先生を選んで紹介しているつもりなので、「以前受けていた治療と違って良く効きました」という反応が圧倒的に多いのだけれど、困るのが、今まで受けていた治療院のやり方そのままを期待する人。転居先近くの治療院を紹介したら、「No Good」の反応が返ってくることがある。よくよく訊ねてみると、マッサージの類をしてくれない(施術時間が短い)のがご不満らしい。カイロプラクティックは基本的にマッサージは行なわないことを説明しているのだが、患者としては今までの治療がどうしても忘れられないようだ。稀にどこを紹介しても一向に改善しない例もある。人間の不調は一筋縄ではゆかないことを痛感させられる。

看板や宣伝(しかもインターネットで)につられて施術を受けたら、逆に身体をこわされたという相談も多い。坐骨神経痛で治療に行ったら「あなたは頭蓋骨調整でないと治らない」と言われ、頭部を掴んで強く押さえつけるような痛い施術をされたり、別の例では頸部を何度も強くドロップされ、ふらつきや頭痛が止まらなくなったり(不調を訴えたら好転反応だといって取り合ってくれなかったそうな)、一体何を勉強したのかと首を傾げたくなる治療院も多い。その他、女性からのセクハラ相談もある。

<カイロプラクター志望者や医療関係者からの反響>

この人たちからの質問や相談のメールが二番目に多い。ほとんどがお褒めの言葉であるが、「あんたはえらい」とだけ書いてきた米国カイロ大学卒業者(あんた達が作らないからワタシが作っているんだよ! 自分では解説文を書く能力も、サイトを作る能力もないのに与太を飛ばすんじゃねえ)や「お前のような考えのカイロプラクティックは百年古い。もっと勉強せよ」という叱責メールが舞い込んできたこともある。それなら最新のカイロプラクティックがどんなものか、書いてくれればよさそうなものだが、それは書かれていなかった。他人のことをあれこれ言う前に、自分で「最新のカイロ」を説明するサイトを作れば済むことなのに、このヒトも自分では作れないようだ。一等返事に窮したのが「カイロプラクターの平均年収を教えてくれ」というもの。こんなこと、一介のカイロプラクターに判るわけがない。

「先ず何らかの国家資格を取得するべし」という筆者の考えに従って、「専門学校に入学しました」という若い方からのメールも多い。中には会社を早期退職して専門学校に入学した人もいる。 カイロプラクティックという名前だけで、施術を受けたこともないのにこの仕事を目指す人も多い。二十歳前なら「若気の至り」で済ませられるが、三十をとうに過ぎていて、しかも既婚者でこのような相談を書いてくる人も結構いる。一体全体なにを考えているのだろう。

米国のカイロプラクティック大学の日本人留学生からも時々反応がある。奥さん連れで西海岸のある大学に入学してみたものの、教授や学生連中の拝金主義があまりにもひどい、というメールを下さった方もいる(これを読んでどこの大学かお判りの方もあるだろう)。これには「さっさと学校を代わりなさい」と返事を書いておいた。

「日本で仕事をしたいのだが、どうすれば良いか?」という質問を書いてくる米国人DCも少なからずいる。理由はさまざまで、「配偶者(日本人または韓国人)の故国あるいはその近くで暮らしたい」というような尤もらしい理由から「2~3年日本で暮らしてみたいので」というバック・パッカーのような人も(治療しっぱなしで、そのあと患者に対する責任が果たせるのか?)。カイロプラクティックに関する法的環境は米国の方が遙かに整っているので、あちらの方が断然仕事がしやすいと筆者などは考えるのだが、これも不思議な現象である。日本なら色々な意味で「外人」はちやほやされるので、居心地がいいのかしらん?それとも日本の方が患者からのクレームが少ないと踏んでいるのだろうか?「日本でカイロプラクティックを教えたいので然るべき組織を紹介してくれ」という教えたがりもいる。このようなDCの中で、ある人はいつの間にやらカイロ養成校の校長におさまっていることが今回のメールの見直しで判った。

<悪徳商法(マルチ商法+資格商法)に関する相談のメール>

「一週間のセミナーに出席すればカイロプラクターになれるということだが、この組織は信用できるのか?」サイト開設後、数ヶ月もしないうちにこの種の相談メールが次々と届くようになった。取り敢えず「他人様の身体を触るような仕事がわずか一週間やそこらでできる訳がないから、それだけはお止めなさい」という返事を書いているが、このような組織から脱退したという人からかなり詳しい内部告発文書が届いたこともある。読んでみると聞きしにまさる悪徳ぶりである。その他「近々カイロプラクティックが法制化されるので、今マットを仕入れて代理店にならないとカイロプラクティックを続けることができない」などと洗脳され、親類縁者から総額一千万円近くも借金した、などという相談例もある。しかも最近これらの組織が盛んに活動しているという噂を耳にする。日本カイロ界の百鬼夜行ぶりは、どうして相変わらず健在(?)のようである。

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著作権所有(C)1996-:前田滋(カイロプラクター:大阪・梅田)