サイトの基本スタンス

1997年2月



<患者からみたカイロプラクティックを>

一般に、ある事柄を説明する場合、書き手のよって立つ位置が異なると解説内容ががらりと違ってくることは、新聞やテレビのニュース解説を例にあげるまでもない。そして書き手自身の立脚点がしっかりしていないと、まるで説得力の欠ける内容になってしまう。文章を書くことを専らとしている作家や評論家が真っ先にこのことを問題にする所以である。

ホームページにおいても、その基本路線が明確でないと、せっかくアクセスしても、最後まできちんと読んで貰えないだろうことが予想された。なにしろ、個人による作成・管理・運営である。美的センスに自信があるわけでなし、まして動画やアニメで楽しく見てもらう、なんてさらさらできっこない相談である。只ひたすら文字を書き連ね、内容で勝負するしかないのであるから、アクセスして下さった人に最後まで読んでもらうにはどうするか?

少し考えた末に、あくまでも「カイロプラクティックを受けた患者」としての立場を貫くことにした。これなら少しは自信がある。なんせこちとら30年来の腰痛持ちである。整形外科を皮切りに鍼灸、電気療法、漢方、指圧などさまざまな治療を試したあげくのカイロ詣でによって、やっとこさ長年の腰痛から解放されたという経験の持ち主である。患者としては、そんじょそこらの患者とはワケが違うのだ(もっとも、この十年ほどはカイロ治療のおかげ腰痛とはほとんど縁が切れているのだが・・・)。

そう言うわけで、本サイトは患者としてさまざまな治療法ないし治療院に通った体験が元になっており、決してカイロプラクティックの全面的な礼賛ではない。この点で、カイロプラクターや整体の先生方にとっては、さぞかしお気に召さない事がたくさん書かれていることだろうが、気に入らないことがあるなら、ぜひともご自分のお気に召すようなページを開設していただきたい。さまざまな角度からカイロプラクティックを解説するページが増えれば増えるほど、一般の人たちはそれだけ参考にできる情報が増えるわけで、そのような状態が実現すれば、日本でのカイロプラクティックの正しい普及に一層拍車がかかるだろう。

日本のカイロプラクター人口は8年前には一万人とも言われていた。一方で日本の人口は一億三千万人。どちらに顔を向けるべきかは自明だろう。たかだか二万人ほどの業界内に向けて発信するなら、こんな地球規模の通信媒体を利用するほどのこともない。最近、当サイトの内容を業界内に向けての発言と勘違いしたと思しいご同業からのコメントをあちこちの掲示板で目にするので、ここで再び念を押しておく。「Chiropractic in Japan」は基本的に患者のためのサイトである。

この世界は、「言った者の勝ち」である(ただし、特定の個人や団体に対する誹謗・中傷は論外)。狭い仲間内だけでごちゃごちゃ言っていても社会全体には伝わりませんぜ。たとえばアトピーに関するページなどでは、非常に過激なページがある。そこではステロイドの副作用に苦しまされている患者の恨み辛みなど、これでもか、と言うくらい医者や現代医学に対する不信感が書き連ねられている。

<ご同業に向けて>

ここで提言を一つ。カイロプラクティックも含めて治療院や病院の宣伝のページをしばしば眼にするが、「これはちょっと違うんじゃないの?」と申し上げたい。ご自分の治療院の存在をアピールしたいなら、その種の治療院一覧のページがあるので、そこへ登録しておくのが最良と思うがどうであろう?単に治療院を探すだけならタウンページにアクセスすれば済むことである。

今のところ、北海道に住んでいる人が九州の治療院のページにアクセスするような確率が大きく、通院可能な地域に住んでいる人が、その治療院の宣伝のページを見てくれる確率はきわめて小さいと予想される。その場合、個々のアクセスの時間とエネルギーがほとんど無駄になるという事情をお考えいただきたい。

その上、宣伝のページになると、せっかく作ったページなのに、品が落ちるのはどういう訳だろう。せっかく作ってこれだもの、せっかくでないページならもっと下品である。それに加えて、何となく物欲しそうな感じが漂っていて、哀切感さえも感じるのは、筆者だけだろうか?(これは、職業別電話帳で同業者の案内ページを見ていても感じる)。

何事にもセンスというものは必要なもので、宣伝効果を上げるには、それなりのデザイン・センスが必要である。それなのに、パソコン雑誌の口車に乗せられて、素人でも広告サイトが作れるような勘違いを起こすからいけない。マニュアル通りに書けば、誰だってホームページの一つや二つは作れるが、見た人をして、その気にさせることとは別の問題である。ここはデザインの専門家に100万、200万の作成料を払うべき場面である。素人が作った広告サイトは、専門家に任せるべきデザインを素人が作ったらこうなる、と言う見本みたいなものである。

大量生産、大量消費を目指すなら、派手な宣伝も結構だろうが、カイロプラクティックを含む民間治療の業界は、「大量生産、大量消費」の考え方には全くそぐわない業種だということを知っておくべきである。

<アクセス数の経緯>

患者としての姿勢がおおかたの賛同を得るのであろうか、個人でサイトを開設しているサイトとしては割合アクセス数が多い(と思う)。1996年の開設から1999年にかけて3年間の総アクセス数は約4万8千件であったが、1999年から2000年にかけての1年間では4万件と飛躍的に伸びた。それ以後は現在に至るまで年間平均で約7万件のアクセスがある。このことは、1998年にウィンドウズ98が発売され、インターネットへのアクセスがパソコン初心者でも比較的簡単にできるようになり、一般家庭にインターネット環境が飛躍的に普及したことと軌を一にしている。

読者からのメールも1999年までは関東地方を中心に大学の先生や大学院学生、コンピューター関連会社の人たちが主であったが、1999年頃から一般の人たちからの相談や依頼のメールが1日あたり平均5通ほど届くようになった。次節では、この8年間に届いた読者からのさまざまな反応を、固有名詞を省略するなどして、発信者が特定できない形で紹介する。

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著作権所有(C)1996-:前田滋(カイロプラクター:大阪・梅田)