SOTの著作権に関して

2007.9.27~2007.10.3

パシフィック・アジア・カイロプラクティック協会
副会長・事務局長 米山勝久D.C.

CHIRO-JOURNAL 第30号より転載
1997年(平成9年)8月31日発行


当協会(PAAC)も早いもので、創立してから二十数年の歳月が流れました(2007年現在は設立32年)。創立当初の目的として、第三者による色付けを極力排し、カイロプラクティックの発祥国アメリカにおける正統な教育を、いかに正確に日本に普及させるかが大きな課題でした。それまでの日本の実情はあまりいい状態とはいえなかったからです。セミナーは色付けされたものが多く、正確なところは憶測するしかなく、情報は非常に乏しく、どのテクニックにおいても疑心暗鬼にならざるを得ないものでした。こうした中でPAACはアメリカとの交流を密にし、本物のカイロブカグティックを導入するよう心掛けてきました。

国際的に通用しない

そうしたアメリカとの関係の中で、常にアメリカ側から指摘されてきたのは、日本人の著作権に対する意識の低さでした。よくアメリカ側との交渉の際に「日本人に本を渡すとすぐコピーされてしまう」と皮肉たっぷりに言われたものでした。電化製品や自動車などの例でもわかるように、確かに日本人は元のアイデアを膨らませてアレンジすることを得意とする部分があります。このような延長線上に日本の著作権法があります。しかしこの法律は、音楽を例にとると、十六小節中の休符一つでも違っていれば法律に触れない、という実にあいまいなものです。これは、著作権をはじめとする権利意識の強い西洋人にとっては考えられないことなのです。

日本人は著作権意識が低いのか

こうした中でPAACは、アメリカのドクターたちの信用を勝ち取るべく、法律上の支援を日米両国の弁護士にお願いし、絶えず相談しながら正しいものを正しい形で普及させるよう努力してきました。PAACで行うセミナー、翻訳および出版物などは、すべて著者または権利保有者との契約がなされています。

このことは、参考文献というにはあまりにもほど遠い、盗用としかいいようのないものから、著者または権利保有者を守るためにとても大切なことなのです。日本のカイロプラクティックがこれからという時期に、このようなことで信頼を失ったり、正当性を欠いた教育が広まってしまうと、日本のカイロプラクティックは歪んだものとなり、他の民間療法と区別ができないほど独自性を失っていくことでしょう。

数多くの権利を保有

PAACは長年にわたる数多くのドクターたちとの信頼関係により、数多くの書籍、ビデオテープに関する翻訳、著作、出版権を保有しています。また教育に関しても数多くの教育権利、試験認定権利等を保有しています。これらの権利はアジア、日本において正しい形でカイロプラクティックが教育、普及されるようにPAACに委ねられたものであり、PAACが独占するために与えられたものでぼありません。条件を満たすものでしたら、いつでも門を開けております。

特にSOT、クレニオパシーに関する著作権は、ドクター・ディジョネットのものをはじめ、国際的なSOTの研究協会であるSORSIとの姉妹協会契約により、書籍、ビデオテープ、認定、教育、翻訳、出版の権利をすべて委ねられています。つまりSOTに関するものの教育、翻訳、出版、認定すべてはPAACによって行われております。

目にあまる盗用

しかし、皆様方もご存じのように、昨今、あまりにも安易に、SOTに関する出版や教育が行われているのが現状です。カイロプラクターとして、人一倍の常識を問われる人たちだから、いつかは自分たちの間違いに気付くであろうと静観して参りましたが、あまりにも見るに見かねることぱかりで、当の本人たちは反省どころか、増長する傾向さえあります。

原本のページ数、行数、イラストまで同じなのに自分の著作と言い張ったり、まるでそのテクニックを考え出したのは自分であるかのように誇張していたり、セミナーを何度か受けただけですぐ人前で教えていたりと、目にあまることぱかりです。もし自分が生涯をかけて研究したことが、。このように安易に盗用されたらどんな思いがするでしょうか、また日本のカイロプラクティック業界とその歴史において、こんな汚点があっていいものでしょうか?

裁判は本意でないが

今後は法廷で争う

PAACといたしましても、このような傍若無人ともいえる現状を一掃するために、日米両国の顧問弁護士と相談の結果、国際法における著作権訴訟を起こすこととなりました。裁判というのは本意ではありませんが、亡くなられたドクター・ディジョネット、そしてSORSIの意志と名誉のために、時間勝負に関係なく争っていく所存です。そして、このことをきっかけに、このようないいかげんなことが許されることなく改善されていくことを望んでいます。

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SOTの著作物を無断翻訳したとして最高裁の判決が下る

上記の記事の宣言に従い、SOTの著作物を無断翻訳したとしてDeJarnetteの遺族が原告となって提訴したところ、次のような判決が下り、原告の全面勝訴という結果を得ています。

東京地裁判決;2000年5月12日
日本ユニ著作権センター

東京高裁判決;2001年(平成13年)11月27日
日本ユニ著作権センター

最高裁判決;2002年(平成14年)6月13日
ネット上の参照サイト見あたらず


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PAACはSOTの認定試験を毎年実施しています


本来この認定試験は、D.C.の資格を有する者で、SOTの研究機関であるSORSIの正会員でなければ受験できませんでした。従って日本人カイロプラクターは殆ど受験できないことになります。ところが、

1.雨後の筍の如く存在する日本国内のカイロプラクティック・グループの中でも、日本におけるSOTの正しい普及・教育に関して、長年にわたるPAACの活動がSORSIに高く評価されたこと。

2.あらゆるカイロプラクティック・テクニックを、できる限り歪曲することなく日本へ紹介し、普及させようとしているPAACの基本姿勢と、SOTを全世界へ正しく広めようとしているSORSIの考えが全く一致したこと。

以上の様な理由により、PAACの会員で一定の条件を満たしている者は、米国へ行かずとも日本で、SORSIと全く同一レベルの認定試験を受けられるようになったのです。(ついでながら、米国で開催されるSOTセミナーもD.C.以外の日本人カイロプラクターは、PAAC会員でなければ受講できません。)
SOT認定試験受験資格
  a.PAAC会員であること。   b.国家資格を有していること。     またはUCCの基礎医学課程を終了した卒業生であること。   c.ベイシック:通算1年以上の実施経験があること。           認定セミナーを通算60時間以上受講していること。   d.アドバンス:通算3年以上の実施経験があること。           認定セミナーを通算96時間以上受講していること。   e.クラニアル:通算5年以上の実施経験があること。           認定セミナーを通算160時間以上受講していること。 * c),d),e)については、米国SORSIと全く同一条件です。
これまでの認定試験合格者数
国内での認定試験を実施するべく、1987年(ベイシック)、1988年(アドバンス)、 1990年(クラニオパシー)と3度にわたってPAAC会員の受験者9名が米国オマハにて 認定試験を受験しました。 数名の不合格者を出したものの、数ヶ月後の再受験(もちろん米国で受験)によって 全員がすべて合格し、これらの合格者が認定試験委員となって、1989年に国内で 初めてベイシックの認定試験が実施されました。それ以来、毎年秋にPAAC主催の SOT認定試験が実施されています。     これまでの累積合格者数は次の通りです。 ベイシック:         104名    アドバンス:         36名    クラニオパシー(頭蓋骨調整):16名 *この認定はPAAC会員であることが大前提となっていますので、  PAACを退会されますと、認定は取り消されます。

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著作権所有(C) 1996-:前田滋(カイロプラクター:大阪・梅田)