スクリューをコルクの中心に、まっすぐねじ込んでいくのがむずかしいかもしれませんが、
それ以外は、むずかしいことはありません。
(標準的なタイプで長いコルクを抜くときは、ちょっと大変ですが。)
ナイフは、フォイルキャップ(ビンの口にかぶっているやつ)を切るのと、
それを剥がすのに使います。
ナイフの部分が小さいと使い難いですが、プラスチック素材でナイフが要らない
フォイルキャップが増えているので、以前ほどは重要でないかもしれません。
私は、このフォイルキャップを剥がすのが苦手です。
なかなかスマートにできません。
人前でかっこいいところを見せようとする場合は、練習してください。
(私は、そんなに飲むほうではないので上達しません。)
私が初めてソムリエナイフ(Monopol)を買った1985年ころは、
ウェイターナイフと呼ばれることもありましたが、
ワインブームで、ソムリエということばが浸透したためか、
最近はウェイターナイフという表示は見かけなくなりました。
ソムリエナイフは、テコの原理を利用しています。
ビンの口に引っ掛けて支柱となる部分(正しい呼び名かどうかは不明ですが、レバーと
呼ぶことにします。)の長さを a として、
レバーからスクリューの根元までの長さを b として、
スクリュー根元の直線部をcとすると、
a,b,c のバランスが、使いやすさに関わっているのではないかと思い、
ソムリエナイフの形について考えてみました。
ただし、使いやすさとの関係がはっきりしていないので以下の記述は参考としてお読みください。
最も力がかかるのは、コルクの抜き始めと思われます。
スクリューのらせん部をすべてコルクに入れたと仮定すると、
抜き始めのレバーの角度B+C、
柄の垂直に対する角度A+Rは三角関数の公式等から算出されます。
びんの太さは27mmのようなのでr=13.5mmとします。
a mm | b mm | c mm | l mm | B 度 | C 度 | A 度 | R 度 | B+C 度 | A+R 度 | b+e mm | (b+e)/b | |
Monopol | 45 | 24 | 25 | 28.4 | 28.1 | 61.6 | 118.1 | 28.4 | 89.7 | 146.4 | 88 | 3.7 |
Pulltap's | 30 / 56 | 19 | 17 | 21.7 | 39.1 | 51.5 | 94.7 | 38.5 | 90.7 | 133.2 | 95 | 5 |
MAXOS | 33 | 28 | 17 | 21.7 | 57.2 | 51.5 | 82.1 | 38.5 | 108.7 | 120.6 | 95 | 3.4 |
Chateau Laguiole | 44 | 27 | 20 | 24.1 | 32.6 | 56.0 | 118.7 | 34.0 | 88.6 | 152.7 | 95 | 3.5 |
WINEX | 43/53 | 26 | 21 | 25.0 | 33.2 | 57.3 | 115.1 | 32.7 | 90.5 | 147.8 | 95 | 3.7 |
Laguiole | 44 | 28 | 19 | 23.3 | 34.3 | 54.6 | 117.8 | 35.4 | 88.9 | 153.2 | 100 | 3.6 |
Thiers | 41 | 30 | 17 | 21.7 | 45.3 | 51.5 | 103.8 | 38.5 | 96.8 | 142.2 | 105 | 3.5 |
Maserin | 50 | 33 | 24 | 27.5 | 38.0 | 60.6 | 111.0 | 29.3 | 98.6 | 140.4 | 100 | 3.0 |
Wüsthof | 49 | 27 | 20 | 24.1 | 17.6 | 56.0 | 146.7 | 34.0 | 73.6 | 180.8 | 110 | 4.1 |
レバーの角度B+Cは、おおむね90度くらいのようですが、
これが大きすぎるとレバーが横に寝る形になって使いにくいのではないかと思います。
MAXOSは、90度より大きく違っています。
柄の角度A+Rが小さいと、柄を引き上げる余地が少なくなり、スクリューのストロークが
小さくなると思われます。
WüsthofはA+Rが180度となっており、スクリューのらせん部を根元までねじ込むと
柄が垂直に近くなってしまうので、
初めは根元まではねじ込まずに、コルクを少し引きあげてから、
追加でねじ込むのがよいかと思います。
柄を引き上げるときの小指の位置を力点E(柄の端から10mmと仮定)として、スクリューの根本(作用点)と力点Eとの長さをeとすると、
スクリューを抜く力は(b+e)/b倍になり、3倍から3.7倍くらいになっています。
実際の力点は小指よりレバー(支点)寄りになると思われるので、この倍率は多少小さくなると思われます。
全体の大きさを変えずに、この倍率を大きくするには、bを短くすればよいのですが、
スクリューのストロークが短くなります。
Pulltap'sはbを短くしていますが、レバーを2段にして、ストロークが短くならないようにしています。
標準的なソムリエナイフは、金属板を曲げて作った柄になっていますが、
角張っているので、コルクがきつくはまっていると、抜くときに手が痛いです。
柄がプラスチック等の樹脂製のものは、丸みをもっているので痛くないと思います。
しかし、見た目が安っぽい感じがするので、まだ買っていません。
Chateau Laguiole等の高級品は、角を貼る等により丸みを持った柄に
なっています。