小川駒鳥騒動に関するメール
(2006年3月13日更新)

先日高野が、綱島にきたオガワコマドリの情報について、
「大勢のウォッチャーとバズーカの列を想像しただけでゾッとする」
と書いたことに関連して頂いたメールを抜粋してまとめたものです。
古い順に並べてあります。

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小川駒鳥の出現を待つ群衆(綱島の鶴見川で、3/5奥村撮影)

[井上 2006.2.23.]
既にお聞き及びかも知れませんが、東横線”綱島駅”下車で 鶴見川に出た処の あし原に オガワコマドリ(オス)1羽が出ているそうです。
どうして見つけるのか、と聞いた所 数十人が写真機、プロミナーで囲んでいるので すぐ分かります、とのことでした。

[高野 2006.2.26.]
オガワコマドリは、鶴見川と早渕川の合流地点から200mくらい下流とのこと ですが、大勢のウォッチャーとバズーカの列を想像しただけでゾッとするので、 私は見に行こうとは思いません。
どうして日本人は、珍鳥情報にこんなに反応するのでしょうね。それも定年後 に仕入れたと思われる真新しいレンズ付きのカメラを担いで、ヒマそうに待っ ている人たちを見ると、同じ仲間だと思われないようにと、あわててその場を 離れてしまう自分にちょっと驚きます。
そこへいくと、海外のウォッチャー達は節度があるようでうらやましい。
北米のRareBirdAlartの頁を見ると、バンクーバーの何号線のマクドナルドの 前にシロフクロウSNOWY OWLS なんて、詳細な記事が出ていてもあまり問題に ならないのですから。
例:"http://www.birding.bc.ca/regions/vancouver/vancouver-rba.php"

[近辻 2006.2.26.]
珍鳥情報がメールで送られてくるといつも感じます。
若くて常識やぶりの鳥、つまり例外を見て楽しんでいるんでしょうが、 鳥を取り囲んでみて何がおもしろいっ!  手垢のついた鳥を見て何がおもしろいっ!・・・ と。
高野君のメールを見て同感したので一言。

[上野 2006.2.27.]
私は貴兄とは別な理由でよほど近い所でない限り珍鳥情報を聞いてもわざわざ見に行 きません。 つまり、あるバードウオッチングに良い場所に行って、他の鳥と共にた またま珍鳥に出会うのは大変嬉しいのですが、本来は居るはずの無い鳥が偶然来たか らといってそれだけの目的では見に行く気がしません。 それよりも、ある環境(場所と季節)の中にどのような鳥が居るのかを見るほうがよほど楽しめます。 この場 合は、別に珍しい鳥が出る必要は無く、出ればおまけみたいなものです。 まあ、バードウオッチングの楽しみ方はいろいろあると思いますので、他の人のやり方を別 に批判しようとは思いませんが。

[谷口♀ 2006.2.28.]
小川駒鳥さんは東急東横線「綱島」駅にいます。橋を渡らずに土手に降り右:上流に行きます。
川が緩やかに曲がっているあたりに人ごみが見えるはずです。
24日は雨で12時頃ミルワームおなかいっぱい食べて、しばらく出ないと断言したカメラマン?が いたので、時間を潰して3時に行ったら出てきてくれました。ギャラリー3人でした。
下草を剪定ばさみで刈り込んだり、思いっきりミルワームまいたり、偉そうにカメラ向けてる 人たちの後方に、その他大勢の善良な見学人がいますので、できればそこに混じって見たほうが 不快感は少ないかと思います。
ともかく朝、7時半にはカメラが並ぶとのことでした。

[井上 2006.3.3.]
”オガワコマドリ” 昨日 お堀端探鳥会の帰りに 皆に勧められて行って来ました。
谷口夫人の報告にあった ”3時頃なら”との情報を頼りに 3時過ぎに現地に到着
しましたがこの日の登場は 4時から30分間でした。 日が暮れ始め 寒くなった川岸で 20〜30人程の人達の見守る中で 健気に見せ場を作ってくれている様でした。
彼のサービス精神には 感謝しましたが 取り囲んでいる人々は ”オガワコマドリ”だけが ”鳥”、”生き物”と考えているかの様で 周囲に姿を見せている ムクドリ、キジバト、ハクセキレイ、川に浮かんでいるカルガモカイツブリ、岸辺で喧嘩をしているカワウとハシブトガラス、葦原に潜んで何かを狙っている大きなクロネコには全く(殆ど)無関心の様子でした。
お昼の”ミニ探鳥会”では通りすがりの方達に ”カラスが小枝をくわえています。 巣作りが始まったのです。スズメがペアを組んでいます。オス、メスの表情をプロミナーで見てみましょう。  カモ達が羽繕いをして...”等とお話をしていたのに 専門家になると こんなになってしまうのかと 違和感を感じてしまいました。
高野君の言うように 素晴らし過ぎるほどの高級機材を持った人達へのやっかみかも 知れませんが。
一応 写真は撮りましたので ご参考までに 添付いたします。(薄暗くなり始める と シャッタースピードが遅くなり 手ぶれが出て 鮮明な写真がなく 残念でした。)

[大場 2006.3.6.]
先ほどオガワコマドリの写真を見せて頂きました。現地の雰囲気の ままでいい写真ですね。
実は、私も井上さんと同じ日に行って参りました。
1時15分頃に5分間ほどと、2時10分頃に5分間ほど姿を見せてくれました。 素晴らしいネックレスをつけた様な可愛らしい姿を見て感激いたしました。 ただ、その時は、超望遠レンズ付きの写真家が約20人、デジスコ組が約20人、 プロミナ組が約20人、それに双眼鏡のみ又は肉眼のみの人が約40人の 合計100人ほどの人だかりでした。
高野さんが言う「大勢のウォッチャーとバズーカの列を想像しただけでゾッとするので、私は見に行こうとは思いません。」という気持ちも分かる気が致しました。

[奥村 2006.3.6.]
一昨日の土曜日、午後にオガワコマドリを見に行ってきました。
すごい人とレンズの放列に驚きました。
2時・3時・4時の3回現れてじっくり観察。 奈良や九州からも見に来ているとか。
それにしても、昨年の11月から餌付けされて 毎日、毎食、苦労無しにビフテキをたらふく食べているようなもので 体重オーバーで故郷に帰ることが出来るのか?
餌をもらうことに慣れて自分で餌取りができるのか?
などと心配になります。

[高野 2006.3.6.]
以下、高野 凱夫からの追伸です。
珍鳥に群がる人たちを見て、腹立たしく思うことがあります。 こうした場所ではたいてい、鳥に餌付けしてMyBirdだというような顔で 毎日三脚を定位置にセットし、集まる群集を仕切る輩が出てきます。
そして自分達で勝手に決めたルール(明文化したり、張り出してあるわ けでもない)に従わない人間を、自然破壊の元凶でもあるかのように睨 み付けたり、時にはどなりつけたりするのですからあきれます。
そのルールも、多くは野鳥のためを思ってのものではなく、カメラマン 同士がいさかいを起こさないように、という目的としか思えないものが 多いのですから。
また珍鳥情報を頼りに、そのためだけに全国から人が集まるというのも、 やはり異常ですね。
1月の不忍池のコスズガモの情報のときに、ちょっとネットで検索して みたら、関西から2〜3人で車で高速を夜走り、不忍池まで見にきたと いう文がありました。
それだけ時間を掛けるのなら、バンクーバーまで夜行日帰り?飛行をす れば、コスズガモは勿論、はるかに可愛いいヒメハジロやオウギアイサ、 カナダガン等が市内のスタンレー公園か空港隣接の保護区で見られるし、 海岸に出ればアラナミキンクロやキタホオジロガモの大群が浮いていて、 更にちょっと郊外に足を伸ばせばシロフクロウやハクトウワシまで見ら れるのに・・・と思ってしまいました。
でもやはり彼らにとっては、たとえ落鳥寸前のヨレヨレになった鳥であ っても「日本国内」で見たり写真を撮ることに意義があるのでしょう。
鳥専門の旅行社のY氏が言っていましたが、参加者に鳥の写真を撮る人 は多いけれど、その写真の使い道はと聞くと、自分の名刺を写真入りで 作るくらいだ・・と言う人が多いとのこと。
そんな"役立たずの写真"を一生懸命撮るのはやはり、定年後に家族から 粗大ゴミ扱いされないよう、出かける口実に適当だからなのでしょうか。 バズーカ組は圧倒的にジイさんの姿が多いですよネ。
そのために、せっせと栄養過多な餌を与えられる鳥たちもいい迷惑だと は思いませんか?
これでは、いずれ日本に来る希少鳥たちは、餌付けされるのが当たり前 という過保護状態で、人が居ないと生きていけないような遺伝子を持っ た個体だけが残ってしまうのではないかと心配です。
ツルやハクチョウやガンのような大型の鳥の場合は、これだけ人が増え て自然環境が乏しくなったのなら、ある程度は仕方ないのかなという気 持ちもあります。
しかし、野生の小鳥類までミールウォームで餌付けしてペット化したの では、「自然保護」や「動物愛護」の掃き違えではないかと感じます。 思えば、今から40年前の4月、井の頭公園で故高野伸二さんご夫妻と、 高田悦子さん(勝君の母上)とたったの4人だけで、美しいシマアジの 雄を観察した頃を懐かしく感じます。
もう一度シマアジの雄の繁殖羽を近くで見たいという気持ちと、もし現 れれたら、不忍池のコスズやクビワキンクロ以上の騒ぎになるだろうな という危惧とが交差しています。

[上野 2006.3.8.]
私は基本的には家の近くに出ない限りは珍鳥の情報があってもわざわざ見に行くこと はあまりありません。
どちらかと言うと、珍しくなくともいろいろな鳥が本来の生息環境にいる場面を見るほうが好きなためです。 北海道や沖縄と言った遠方へは何度も鳥見に出かけておりますが、そこにしか居ない鳥を見たり、何処にでも居る鳥がそこにも居たことを確認することを楽しんでおります。
それでも珍鳥と言うのは特別なもので、旅先で偶然珍鳥に出会うと感激するのも事実 です。 最近では一昨年のゴールデンウイークに青森県の十三湖で偶然マダラチュウ ヒを見たときには興奮しました。 ですから珍鳥を追いかける人が居てもこれを否定 するものではありません。
実際に世界的に見てもライフバードのリストを増やす目的で珍鳥を追いかける人が多いのも事実ですので、これも鳥見の一形態だと考えます。単に鳥見に対する態度の違いと考えております。
ただし、最近目に余る行き過ぎたカメラマンについては貴兄と同感です。 実際のと ころ彼らはバードウオッチャ−ではなく、まして自然保護活動家でもありません。  ただのカメラマンだと思います。 大きな顔をしている輩が多く腹が立つこともある でしょうが、自分と共通の趣味を持つ人ではないと考え、気にしないようにしており ます。
ところでオガワコマドリですが、綱島という場所が遠い所だと思っていたので最初行 くつもりがありませんでしたが、調べたところ、東京へ出勤するルートをちょっと変 えれば通勤途中に立ち寄ることが分かり、先週の金曜日に見て来ました。 香港で一 度見たことがありますが日本では初めてですので1種増えました。 珍鳥の追っかけ について最初に偉そうなことを言った後で申し訳ありません。 家の近くに出た珍鳥 ということでお許しください。

[大場 2006.3.8.]
野鳥を見るときの基本は
a.自然環境保護・維持
b.野鳥の保護・維持
にあると思います。a.の面で、探鳥時に大勢の人がその辺りを踏み 荒らしたり、撮影の為に草木を切るなど自然に手を加えるのは良く ない事です。
又、b.の面で、野鳥への近付き過ぎや大声を出す事で 脅かしたり、無計画な餌付けで野鳥の自活力を無意識のうちに奪っ てしまったりするのも良くない事です。
a.b.は探鳥におけるマナーの 問題でもあり、この点では高野さんの意見に全面的に賛成です。
デジスコと異なり焦点距離の短いバズーカの場合、どうしても鳥に 近づかねばならない点に問題の一つがあります。

貴意と少し異なる点があります。
1.昔から静かに自然の中で探鳥をしている人から見ると、大勢が 集まって騒がしくしたりするのを嫌う気持ちに成るのは分かる気 がします。しかし探鳥屋が増えるのは、本質的には喜ばしい事では ないでしょうか?大切なのはマナーの維持です。
2.<関西から2〜3人で車で高速を夜走り・・・それだけ時間を掛ける  のなら、バンクーバーまで・・・>と有りますが、
 イ、渡りや異常気象などにより日本で珍鳥が見られるのは、それ なりに価値の有る事だと思います。数十年も前に迷鳥として観察 されただけの鳥でも図鑑に載っていたりするのは、たとえそれが <ヨレヨレになった鳥>でもそれだけの価値があるからだと思います。   {本来の生息環境にいる場面を見る}のがその鳥にとっては最も 自然に近い状態でしょうが、鳥を見るという意味では、夫々別の 次元の見方だと思います。
 ロ、その為だけに何時間も掛けて見に来るという情熱は、私には十分 理解できます。その様な情熱を経験しながら、鳥を愛する真の(?) 探鳥屋が増えるのであれば喜ばしい事ではないでしょうか。
 ハ、a,bが守られるなら、誰にでも鳥を見る権利はある筈です。
3.<定年後に家族から粗大ゴミ扱いされないよう、・・・バズーカ組は 圧倒的にジイさんの姿が・・・>というのも、現象としては確かにその 通りになっています。そしてオジロビタキの際の三宝寺池には随分 オバサンも居られましたよ。しかしジイさんにしてもオバサンにしても 真の(?)探鳥屋なら、これも喜ばしい事ではないでしょうか。
4.<参加者に鳥の写真を撮る人は多いけれど・・・・そんな"役立たず の写真"を・・・>とありますが、撮るという行動そのものが楽しい人も あれば、気に入った何枚かを孫に見せる事が楽しいという人も在る かも知れません。これはあくまでも趣味の世界の話であり、他人の 私達が気にする必要の無い世界だとおもいます。
5.<近々「鳥見の便り」付録としてWEB上にまとめたいと思っています。> との事ですが、例えば、a やb の観点から、最近の現象として気になる 事実を客観的に示した上で、a やb を守る為に探鳥屋として守るべき マナーについて貴殿の意見を具体的に提案し、且つその様に呼びかける 様にされるのも一つの案だと愚考します。

[真柳 2006.3.12.]
本筋とは外れるかもしれませんが、バズーカ族は「珍鳥」というのを、どう判断しているのでしょうね?ヒメクビワカモメにもオジロビタキにも同じ反応に見えます。
例のマガンが無視された話*も思い出しますし。
一頃カワセミがバズーカ族にやたら人気があったのは、マスコミが「幻の」という枕詞を付けていた所為でしょう。それとも幾つかの写真コンテストでお立ち台のカワセミが入賞していた所為かな?
自分の目で見ずに、他人の話で右往左往しているように見えてしまいます。
*注(小高さんからの伝聞で、2004/11三宝寺池にマガンが飛来したとき、カワセミ狙いのバズーカ組は全く興味を示さなかった、という件)

[近辻 2006.3.13.]
「O−コマドリ騒動」雑感
 オガワコマドリ Luscinia svecia [迷鳥} <希>
 (前略)2002年11月23日、12月7日 ♂若鳥 1羽
 両津加茂歌代貝喰川河口ー佐渡島・鳥類目録(2004年刊)
 この記録は、カワセミを撮影に出向いたTさんが出現した本種(種名不明?)を 長デジで撮った写真を見た野鳥の会佐度支部の会員がオガワコマドリと確認した もの。
O−コマドリをめぐる首都圏での喧騒がウソのような佐渡の話です。

このO−騒動は、喩えてみれば、狩猟民族と農耕民族との違いかも。
バズーカは猟銃、双眼鏡は鍬。前者は対象とする鳥、後者は鳥のいる環境(生 息地)を重要視します。早大生物同好会は、典型的な農耕タイプです。勿論、狩猟 タイプも派生します。
鳥班(鳥獣班)の三宝寺池探鳥詣では、45年も連綿と継続されています。OBも 時々足を運んでいます。
私はどちらかというと生息地派です。佐渡島での生活では、 物理的、財政的に島外に出かけて珍鳥に会いに行く事は困難です。現役時代も珍鳥 出現ニュースを聞いてもほとんど足を向けず、三宝寺池、軽井沢、上総一の宮など のホームグラウンドに通っていました。鳥班OBの方達は現在も自分の探鳥エリア を中心に鳥との出合いを楽しみ、その喜びを人達に伝えています。
バードウォッチングということばを私はあまり好みません。中西悟堂さんが昭和初 期の野鳥の会創成当時に造語された“探鳥”に愛着を感じます。
鳥は目の動物です。私たちが鳥を見つけたと思っていても、ほとんど鳥の方から ヒューマンウォッチング(探人)しているのかも知れません。
探鳥の楽しみは極端の表現をすれば心による鳥のコレクションだと思います。収 集、収穫の仕方は各人各様です。生息環境の中で鳥とのよりよいつきあいの中で、 豊かで心地よい架空のマイ標本箱を充実していきたいと願っています。

『消えたドードー鳥』Dead as a Dodo ジェーン・ラングトン著(和泉晶子訳)
                ハヤカワ文庫(ミステリアス・プレス)
 オクスフォード大学博物館を舞台に神学とダーウィンの生物学(種の起源)を 対軸においての殺人事件を扱った推理小説。本文庫読了後でとりとめもない文言 を弄してしまいました。

 国仲平野で北帰行間じかのマガン72羽の群れを見つけ、Nシートのカミさん (デジカメ)とDシートの私(300mm望遠)が、車の向きでちょつとした先陣争い をした日。