2004年11月22日 月が奇麗だ星例会
明日は休日で、今日は天気がよい。となれば星を見ないと治まらない。
で、衝動的星見会を開くことになった。
月が奇麗だったので、久しぶりに自作15cm反射を出して来て眺めた。
自作反射は、鏡のメッキが剥げて無メッキ状態になっているが、明るい月を見る時には、光量をちょうど良い程度に減光してくれるので、眩しさが無く、とても見やすくなる。

いつもの様に、お茶を飲んで話をして、時が立って全員がそろった頃、土星が東から上って来たので自作15cm反射望遠鏡を向けてみた。
高度が低いので、やや赤みがかった土星がゆらゆらと揺らめいていて、カッシーニの空隙が揺らぎが止まった瞬間に黒い筋状に見える。
本格的な高倍率で見るのは久しぶりだったので、皆喜んで見ていた。

夜半過ぎてから、ニコンの5cm7倍の双眼鏡でマックホルツ彗星を探してみたが、残念ながら見つからなかった。もっと暗い場所でないと無理みたい。
必死で重く感じて来た双眼鏡を持ち彗星を探していると、双眼鏡の視野の中を流星が赤っぽい色に輝きながら流れていった。代打満塁逆転ホームラン的出来事に大満足して捜索を終わった。
2004年11月20日 気ままな星例会
20日早朝の流星観測に参加できなかった会員さんから、今夜は星を見ましょうとの要望があったので、いつもの様に、不定期突発的気ままな観望会を開くことにした。
夕食後、空を見ると全体にモヤが掛かった様に見え、時々低い雲が西から急ぎ足で東へ流れていく。雲に時々隠れながらも上弦の月は明るく輝いていたので、今日の観望の主役は月と決め、望遠鏡と双眼鏡を外に出し外気に馴染ましておいた。
21時前頃からぼちぼち会員が集まり始め、机と椅子を道路に並べ、お菓子と飲み物を用意し「純喫茶オリオン」が開店した。一服お茶をいただいて、ちょっと冷えた身体を温めてから月を堪能した。
いつもなら足元に座って、観望の邪魔ばかりをしている名誉会長のバクが、寒さが嫌なようで、黙って家に帰って寝てしまった。
月は、いつでも見られる気軽さからか、単なる記憶の衰えからか、海の名前もクレーターの名前も、ほとんど覚えていない。今日は、せめて海の名前だけでも覚えようと思い月面図を用意した。
それを手元に置いて比較しながら望遠鏡を覗いてみたが、懐中電灯の明かりでは文字が見えにくく、さらに天頂プリズムを使用していたので、見える月と月面図が左右反対なので頭の体操状態になり、覚えるどころでは無かった。
それでも、私が唯一覚えている「直線の壁」が、上弦の月の欠け際にマジックインキで線を引いた様に見えていたので、自慢げに、たつや副会長に直線の壁が見えているよと教えた。
しばらくして、東の方の屋根の上に土星が見えて来たので、望遠鏡を向けてみた。
高度が低いので環も本体も赤っぽく見えていたが、以外と揺らぎが少なく、カッシーニの空隙も確認できたので、倍率を上げ皆に見てもらった。
都会育ちのみはるさんが、小さな土星を見て感激していた。以前にたつや副会長も言っていたが、土星が一番一般受けするし喜んでもらえる。宇宙の神秘を型にしたものが土星だと思う。
その後、昴などを観望して23時に閉会となった。
楽しい時間はあっという間に過ぎたが、早朝と夜の観望会ダブルヘッダーは、さすがに疲れた。
両方の観望会に参加し、観望会を盛り上げてくれた、たつや副会長、えみさん、本当にご苦労さん。
いつもおいしいお菓子と飲み物を用意してくれる、同好会のお母さんけいこさん、本当にありがとう。
次回も楽しみましょう。
2004年11月20日 -獅子座流星群観測会- (たつや)
獅子座流星群と聞くと、まず、3年前の大出現を思い浮かべる人が多いだろう。
事実、3年前は一生に2度はない程の大流星雨だった。
しかしながら、獅子座流星群は当たりはずれが大きい為、過去には全く流れない時も少なくはなかった。
かくして今年は、20日午前に1733年のダストトレイルをかすめると言う事前情報があったため、期待を胸に観測会を行うことに決定したのである。
観測を開始したのは、午前4時。
事前に2時間ほどの仮眠をとり、防寒対策も済ませ表に出たのである。
すると、事前連絡の通りmasakazu会長が先に観測しており、その横には全く睡眠をとっていないえみ氏の姿があった。
早速私も観測に加わろうと思ったのだが、如何せん寒い。
と言うわけで、気付けもかねた缶コーヒーを飲み、観測を開始したのである。
最初は自宅付近で地面に段ボールを引いて寝転がって観測していたのだが、倉庫とマンションに阻まれて獅子座付近が全く見えなかった。
そこで3人で相談して、同好会御用達の河原にある流星観測場に場所を移すことになった。
徒歩数分の場所であるそこは、狭い河原が急に広くなる場所で、寝転がれば東の空が開けて見えるので、今年のペルセウス座流星群の折にも活用した所である。
到着すると夜露の影響で地面がぬれていたため、ビニールシートの上に段ボールを敷いて観測を行った。
いつもならいそいそと双眼鏡で星を探したり喫茶オリオンで話したりと何かしら活動しているのだが、流星観測の時はずっと空を見ているだけである為、沈黙のままでいると間違いなく意識は遠のく。
そこでまた、雑談や星座の話も交えつつ、流星が現れるのをひたすらに待った。
そして3人で観測してから半時間も過ぎたそのとき、視野の右端に明るい光の筋が走り、流星痕が夜空に焼き付いた。
待望の流星である。
−等級程度があったであろうそれは、流星痕が明らかに獅子の大鎌付近の輻射点の延長線上であったため、獅子座流星群と即座に断定することが出来た。
思わず3人で手を叩いてしまった程、美しかった。
その後また雑談を交えつつ観測していると、えみ氏が単独で流星を見た。
私と会長が見逃した無念さに苛まれていると、今度は私と会長が流星を見るがえみ氏が見逃すと言う、先ほどとは全く逆の珍現象が起こった。
どうやら、今年の流星は皆に平等のようである。
時間は無情に過ぎ、その後すぐ東の空に朝焼けが見えた。
天頂に輝いていた星々も次第に少なくなり、東には金星と木星が、西にはシリウスが見えるばかりとなってしまったので流星観測を終える事に決めた。
帰り際、先日の金星、月、木星の接近時と似た朝焼けが拡がっていたため、会長は急いでカメラを取り出し、朝焼けと金星を撮影した。
生憎夜が明けすぎていたため、木星は写っていなかったが、その分、獅子座流星群を観測した満足感を投影し、今日の観測を締めくくった。(下図画像)

結果として1時間で3個しか現認できなかったが、ひどいときは全く流れることのない場合を思うと上出来では無いかと私は考えている。
今年はペルセウス座流星群が当たり年でかつ、獅子座流星群も満足に見終えたとなれば、次に期待するのは双子座流星群・・・等と考えていた午前8時頃、急な睡魔に襲われ、私は遅い就寝についた。
2004年 11月16日 しし座流星群観望会
通常のしし座流星群の極大日は17日で、天気も良さそうなので、23時半頃から1時間程空を眺めてみようかと思い、たつや副会長にその旨のメールを送った。
最近のトレイル理論によれば、20日の早朝に中程度の出現の可能性があるとのことだったが、天気予報ではその日は雨。流星がわずかでも見られる可能性のある今日にかけてみた。
23時半頃に外に出てみると、上空に入って来た寒気のせいで空一面を低い雲が覆っていた。雲の動きが早く、わずかな雲の切れ間に時々星が見える。この調子ならそのうちに晴れてくるかもしれないと、微かな期待を抱いて寝転んだ。ほどなくたつやさんがやってきた。顔を見合わせて「だめですねぇ」と一言。
しばらくして、元祖晴れ女のえみさんが参加した。いつもならえみさんの強烈な念が雲を払ってくれるのだが、今日の雲は私に似てしぶとく、空の状態は好転しそうも無い。
しかたがないので、いつもの井戸端会議モードに入った。
話によると、今、えみさんは車のプラモデルにはまっているらしい。何でも、最初は小さな部品に着色をするところから始まるとのこと。作りかけのエンジン部分と、小さな玩具みたいな筆を見せてもらった。プラモデルの部品と格闘しているえみさんの姿が脳裏に浮かんできて、私は不思議なエミワールドに引き込まれて行った。
遠い昔、初めて父に買ってもらった戦艦のプラモデルを、説明図と格闘しながら自力で組み立てたことを、懐かしく思い出したりしていた。
そんなこんなで1時間が立ったが、話に夢中になっていて、えみさんの念は一度も空に向かって発せられていなかったので、相変わらず空はどんよりと曇ったままだった。時間も来たので流星観望会(井戸端会議)は、お開きとなった。
部屋に戻って、インターネットの電波観測サイトを見て憂さを晴らしていたが、1時を過ぎてもう一度外に出てみた。すると、いつの間にか雲はすっかり消えてオリオンとシリウスが明るく輝いていた。
慌ててシートを片手に公園へ行き、シートを広げ寝転んで空を見上げた。突然「masakazuさん」と呼ぶ声が背後から聞こえて来た。偶然に外に出ていたえみさんが、私の姿を見て追いかけて来てくれていた。(最近のえみさんの不思議さは留まることを知らない。先日早朝の天文ショーを撮影していた私の様子を夢の中で見て、濃紺の空に輝く木星と三日月と金星も一緒に見ていたらしい。今日の偶然も不思議な力によるものかも)
しばらく二人で空を見上げていたが流星は流れなかった。公園近くの街灯が観望の邪魔になるので、気分を変えて場所を変更することにした。
少し歩いたところにある川沿いの観測場所で、再びシートを広げて寝転んだ。天頂付近にぎょしゃ座のカペラがひときわ明るく輝いていた。いつもなら横たわって見えるオリオン座の鼓が、南中して空に立てかけた様に置かれていた。比較するものの無い空の真中ではオリオン座も小さく見える。
しばらくして、防寒対策をしたえみさんが再び加わった。
半時間程空を眺めていたが、また流星は流れなかった。しかし美しい夜空を十分に堪能できたので、それなりに満足して流星観望を終えた。
帰り道で、たつやさんと出会った。たつやさんは大相撲ダイジェストを見ていたらしい。今日は魁皇が勝ったが武双山は負けて引退かなと言っていた。私は露鵬と黒海の勝敗が気になる。
もう終わる予定だったが、もったいない程に空が奇麗だったので、観望会は延長戦に入って、続いて冬の星座と星雲を見ることになった。
双眼鏡を片手に、たつやさんを講師に、星座の話を聞いた。冬の星座は明るい星が多く、星座の広さが狭いので星座の形が分かりやすいとのこと。特におおいぬ座は、名は体を表すの言葉がピッタリあてはまる星座で、形を覚えるとすぐに犬が連想できるらしい。
しかし不出来な生徒の私は、犬の顔も尻尾も浮かんでこなかった。
さらに空が澄んできて、星の瞬きが少なくシーイングも良さそうだったので、10cmアクロマート屈折望遠鏡を出して土星を見ることにした。
望遠鏡が外気になじみ筒内流が落ち着いてくると、視野内の土星が絵の様に静止して見える瞬間がある。そんな状態のときは、とかく性能が落ちると言われるアクロマートでも、中倍率(100倍)で見る土星は想像以上に良く見える。環の微かな色の違いやカッシーニの空隙も、本体の薄らとした縞模様も、確かに良く見えた。
あっと言う間に3時になったので、オリオン星雲を見て終わることにした。
望遠鏡のファインダーを覗いていると、「あっ、流れた」とたつやさんが言った。「私も見た」とえみさんもうれしそうに言った。流星の流れた軌跡を逆にたどると、しし座の大鎌に行き着く。しし座流星群の流星に間違いなかった。
オリオン星雲を20倍の低倍率で見ると、視野一杯に星雲を挟む三ツ星が入り、その真中で小さな三つの星の光を受けてボンヤリと光っている雲の広がりのような星雲が見える。羽を広げて花に止まった蝶の姿に似ている。
全天で一番奇麗な星雲だと思う。
望遠鏡を片付け自宅の玄関に入ると、パグ犬のバクが玄関先の寝床でいびきをかいて寝ていた。えみさんを呼んで不細工な姿を見てもらった。全く気がつかないバクは、さらに寝言を言い始めた。その様子に、えみさんは笑いが止まらなかった。
それにしても犬はどんな夢を見ているのだろう。布団の中で考えた。バクは食いしん坊だから多分食べ物の夢だと推測する。身体が温まって眠気が襲って来た。出来るならば流星雨の夢を見たいと願いながら眠り落ちていった。
2004年 11月12日 星例会 −澄み渡る空に、土星を見る− (たつや)
台所が夕飯支度の美味しそうな匂いで包まれていたとき、突然、自宅玄関のドアが開いた。
そこには見慣れた男性の姿があった。そう、masakazu会長である。
会長は九州土産のかるかんを届けに来てくれたようで、雑談をしているうちにF家の皆さんが星を見たがっていると耳に挟んだので、今日は星例会をしようと決定した。
いつもながら、同好会の気風を思わせる自由奔放な決定ぶりであった。
夕飯を済ませ、防寒対策も済ませ、20時半過ぎに会長宅前に行ったのだが、まだ皆は集まってはいなかった。
一応、星を見ること以外にも個人的に会長と話がしたかった為、そのネタにと雑誌を持参し、F家の皆さんが出てくるまで話に花を咲かせていたのである。
そこからしばらくすると、F家、もとい同好会の母さんであるけいこ氏がやってきた。
すると後を追いかけるように季節はずれの台風娘ひろこさんとその姉ともこさんもやってきて、気が付けばとしこさんも来ていたので、約1月ぶりに会員総出の星例会となった。
今日のメインターゲットは「土星」で、同時に晩秋〜初冬の星座がみれれば、と考えていた。
するとどうだろう。19時前後には曇っていた空が、強力な晴れ遺伝子の持ち主えみ氏のおかげか、はたまた私の日頃の行いが良いのか、みるみるうちに晴れ、しかも澄み渡ってきたのである。
しかしながら、メインの土星はまだ現れてはいなかった。
となると、ターゲットが見えるまでけいこ氏の用意する暖かい飲み物と甘い物を頬張り、「喫茶オリオン」と称した急造の青空ならぬ夜空喫茶で話をするのが通例で、本日ももちろん、喫茶オリオンは開店していたのである。
そうこうしているうちにオリオンが上り、土星も見えてきたので、10cmの屈折鏡で土星を眺めたのだが、高度が低くかつ望遠鏡が外気に慣れていなかったため、揺れがひどく、お世辞にも綺麗だとは言えなかった。
その間、双眼鏡を持ち出し、M42(オリオン大星雲)とプレアデス(昴)、ヒアデスの各星雲・星団を眺めていたのだが、空の状態の良さの為か、拡がり、星量共に申し分の無い見え味であった。
そうするうちに土星も望遠鏡も状態が良くなったので、本格的に観測を開始した。
初めは20mmで土星を視野に入れ、そこから17mm→9mmと高倍率にしてみたところ、揺れは残っていたものの、静止時には非常にシャープな像を見ることができた。
残念ながらカッシーニの間隙は見れなかったが、これからまたしばらくは夜空を賑わせてくれることを十分期待できたので、それに味を占めて、本日の観測を終え、喫茶オリオンも閉店となった。
片づけの後、ふと空を見上げるとそこにはシリウスが輝いていた。そのシリウスを以て露わになる冬の大三角を、次回も澄み渡る夜空の下、喫茶オリオンに集い眺めたいものである。
2004年11月10日 木星と三日月と金星の接近
私は典型的な夜型人間なのだが、今日は珍しく早く目が覚めた。時計を見ると午前4時。パジャマの上から防寒ウエアを着込んで、カメラを首に掛け、三脚を片手に外に飛び出した。
玄関を出てすぐに東の空を見た。屋根の上に赤い三日月が鈍く輝き、少し上に木星が光っていた。金星は、まだ屋根の下に隠れている。
明るいマンションの照明から逃げるように、東に開けた暗い場所を探して歩き出した。ふと振り返ると、マンションの階段の横に木星と月と金星が並んで見えていた。
川沿いの観測場所に行ってみたが、電線等の邪魔物が多くて適当な構図が取れなかった。
なかなか適当な場所が見つからなくて、結局、自宅前の公園で写真を撮ることにした。
東の空は、まだ暗い。
写真を撮り終えて自宅に帰り、パソコンに読み込んで画像を確認していると、電話が突然鳴った。嫌な感じがした。ドキドキしながら受話器を取った。やはり訃報だった。
色々手配を済ませて、再び外に出た。
東の空は紺色に変わって、地平線付近は薄赤く染まっていた。
木星と月と金星は少し高度が上がって、夜空の黒と明けの空の紺の境目に、変わらず美しく輝いていた。

宇宙の時で計れば、人の一生は瞬間の瞬きかもしれないが、誰かの心に留まることで永遠の命に変わる。
今日の美しい空は、私の中で、愁いを帯びた紺色の思い出に変わった。