駄位納密苦日記2006年12月

2006.12/16(金) 『ダボハゼ』。

もう一冊手に入ったら連載3回分コンプリ…だったんだが、いつまでも「持ってない」と書いたままになっていたので、とりあえず『ダボハゼ』の記事更新。9月号では目次に「絶好調!」と謳われながら最終回になっている上、ラストページに有名な日本一周旅行の件が告知されているというROCKなところを書き留めておかないと…というワケで。

さらに興が乗ったので、チックルグッズも2点ばかし更新。DVDのvol.4で協力したコトもあって、しばらく更新する気力が出なかったんだけど、かるたが載ってなかったのね。でパズルと合わせてセイカさんコンボでアップ。

2006.12/13(水) 石川賢先生、絶筆。

雑誌「乱 -TWINS-」(リイド社)2007年1月号、本日発売。 『〜戦国忍法秘録 五右衛門』第六話28ページ掲載である。

告別式でも「絶対に読者へ届けます」と宣言されていた 高松編集長、お約束どおり今月、石川賢先生最期の作品を 掲載してくださった。

最終ページのあとに、高松編集長による石川先生の訃報の 報せ、この六話が先生によるペン入れ・アシスタントの方々 による仕上げまでの作業で、最終チェックに至っていない コトを紹介している。

それでもご遺族・ダイナミックプロの方々から掲載許可を 頂いたの由。あるいはさらにどういう手が入ったのか、 入らなかったのか。想像する余地がないワケではないが、 それも詮無いコトですな。

何よりもファンとして有難いのは、「最終回」との表記が ドコにも入っていないコト。この作品は、そして石川先生 はあくまで、今も"連載中"なのだ。

▼…というところで、前回登場の敵か味方か、果心居士。

ケレン味たっぷりの芝居がかった登場だっただけに、もっと 中立的な役回りかと思っていたのだが、今のところサル側に 付いている模様。

そんな中、政治的野心ギラつかせる秀吉どもへ大見得切って 天守閣の大黒柱叩き斬り、大立ち回りの末に早くも釜茹でか …と思いきや、そんなコトで逝きやしないパワー。流石だ。

巨大建築物ぶっ壊すイメージは、『極道兵器』の将造アニィ 髣髴させて、やっぱりニヤリ。果心居士にも「破壊者」認定 受けてるし。うふふ。半蔵の蹴り一発で最後に城が倒れるっ つー描写は、ケン・イシカワイズムならではの説得力ですな。

▼で、どうも戦国の"台風の目"になるフラグが立つ話だった ようで、釜茹での効果か、背に曼荼羅の刺青が浮き上がると ころにて閉幕。大きく描かれた凡字が「アーク」だぜ。

普通ならば、仏教の教えにて衆生を沈める如来様のいるべ き中心に、炎背負って剣を奮う像がいるあたり中々に暗示的。 不死鳥と龍も飛んでるし。

引っ張れば秀吉が天下を取って後、徐々に狂う過程と共に、 周辺の人間をいきなり処刑していく中、五右衛門との因縁 対決がきっと、あったはず。

…ああ、読みたい!続きが読みたい!

▼本日は、まだ他に狩人もいるモノと考え、あくまで1冊のみ の狩りにて済ます。だが、明日以降はまた行ってしまうやも。

▼泣いても笑っても、賢先生がリアルタイムでファンに届けてくれる作品はコレが最後となった。告別式に伺い白いカーネーションを献花、お顔を拝見し見送らせて頂いたにもかかわらず、未だにもう一つ実感は湧かない。

今だから言うが、以前とあるご縁で、我々のオフ会に先生をお呼びできるかも…というコトがあった。だが、賢先生はギリギリまで「来るかも…来ないかも」という含みを残したままいらっしゃらなかった。後で伺えば、ファンに囲まれて一席ぶたなきゃいけないんじゃないかとか、サインしなきゃいけないんじゃないかとか、色々考えた結果、シャイな先生は行くのがためらわれたのだそうだ。

色々と直接お伺いしたいコトがあった。映画やクルマや読まれている本、音楽など、マンガの外側を知りたかった…と思う一方で、図々しくもお声をかけてしまった自分のワガママを今でも責めている。

▼その一方で、ある方を介して一度だけ賢先生と個人的にお目にかかれる機会があった。ちょうど『柳生十兵衛死す』連載開始時の頃だ。ガチガチになった俺の目の前で蒸気飛行船が登場するページあたりの下書きをしながら、「次回辺りからねー、原作にない方向へ話が飛ぶんだけど…」と、ぼそっと口を開かれた。

「読者がねー…着いて来てくれるかなあ…って」

なんと!ケン・イシカワともあろうお方が、あの予想も付かない大風呂敷をおっぴろげる暴走魔神でしかないと思っていたあの方が、やはり心配されていたのだ!いや、冷静に職業人として考えれば当然なのだが、しかし俺のガキ時分に唐突に現れ、血飛沫と復讐の快感と暴力の興奮を教えてくれた神にも等しい石川賢先生ですら、そうなのか!と改めて感じ入ったのだった。

「連れて行ってください。大丈夫です!」

子犬のような目をしていたに違いない。俺はそう「お願い」するのが精一杯だった。

▼最期の作品を手にして、少し落ち着いた。俺はまだ賢先生の作品を今までどおり読みたい。この続きが観たい。それは2006年11月15日の前も今も何ら変わらない。そう思いながら、「石川賢の部屋」のトップを更新。


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