デビルマン 新編集版
(豪華愛蔵版&新文庫版)
その2
ダイナミックプロに確実に人生の一部を捧げているふりーく北波がお送りするデビルマン・無用の知識!


(7)講談社漫画文庫(新)全5巻 1997年


1巻・1997.4/11初版発行
2巻・1997.4/11初版発行
3巻・1997.4/11初版発行
4巻・1997.6/12初版発行
5巻・1997.6/12初版発行


初版〜2版の2巻表紙。(イラスト・風忍)

豪ちゃん本人の意志により、上記のモノに変更された。ケイブンシャ『THE DEVILMAN』に原画が収録されている。


●第4巻●

さて、冒頭描き下ろし18ページオリジナル 「夏の日」編。明、美樹と了が海水浴。日に焼けるのを嫌がる了を置いて二人はいちゃいちゃ 水遊び。沸き上がる了・嫉妬の黒雲。...と共に竜型デーモンが美樹を襲う。美樹気絶、明変身!

ここで挿入される了の夢 。軽蔑するような明の目、呼ぶ了、美樹と共に去る明、了叫「明ーッ!?」

デーモンを倒すデビルマン。裂かれた水着を超能力で復元、美樹が正気に還ると明君。 夕日の二人。ネ、オリジナルではちょっとココまでは、はっきり表現してない。 サタンとしての了の感情が早い段階で出て来る訳です。 恐らく「デーモンハンター・了」が削られたのは ここをクローズアップするためではないでしょうか。 シレーヌ篇で「明を守る」超能力を持つ了の姿を描いておき、新デビルマン篇で時をも越える了の力を見せつつ、 明への感情を表に出し、この「夏の日」篇で駄目押し。 明、美樹、了の三角関係を浮き立たせるのです。

『デビルマン』も突き詰めると、了(非人間)と美樹(人間)の間で 揺れる明の心の物語とも取れるから、 少なくとも豪華愛蔵版編集時期の豪ちゃんはそこをクローズアップしてこういう構成をとった のだとは考えられますよね。

完全復刻版3巻164ページ『「あなた」も参加するのです』のくだりから。 ミーコ編〜飯の最中におっさん変身!〜無差別合体へ!!...余談ながら、この 飯食ってる時に死んじまうってのは嫌ですね。 あ、後一口...とか思ってる内に...本能的に怖いっす。
続いて、完全復刻版3巻182ページ3段目「平和日本は...」を「平和
日本は...」と細かく直してんのに、 それだったら繰り返し出て来る「ソ連」「ソビエト」をロシアにせんでいいのか? (すんません!豪先生!)

そのまま完全復刻版4巻に突入。同168ページまでママ。同169ページ(豪華版253ページ)を描き直し。 で、「おそろしい勘違い」以降ママ。同178、179ページの見開き描き直し。同180ページ一段目レイアウト、ママ(字体変更)。 下段・瓦礫の街だった絵をシルエットのデビルマンに書き換えてある。「世界に平和な国はなくなっていた!」ママ。 (豪華版262〜4ページ)ここで、4巻おわり。

この巻の再構成は、最も成功しているのではないでしょうか。
1巻はデビルマン誕生、2、3巻はデビルマン対デーモンやデーモンを使った短編をオムニバス的にちりばめ、 また4巻で明と美樹と了と…という内輪の物語から人間対デーモンという巨大なテーマへ一気に広がり、 いきなり物語の核心へ迫る展開(豪ちゃんお得意の、
途中で終わる話のほとんどはここで終わっている ...苦笑)。読んでる方もここで大きく一回ため息付いてしまいません?...というトコロで、 いよいよ次は最終巻、豪華愛蔵版5巻・『黙示録編』だ!意外と直しも多いぞ!


●第5巻●

ドアタマ書き下ろし8ページ。了の夢。氷の世界を歩いている。氷づけのデーモン、そしてサタン。 過去...デーモン軍団を率いるサタン。了を見つめるサタン。叫ぶ了!目覚める。「...今の夢は?」
う〜む。ちょっと饒舌に過ぎる気が。これって、読む人間も作者も知っているという共犯関係がないと 成立しない気がする。入る意味は薄いんじゃないだろうか?元は、4巻のラストに「何か大きな謎が!」 まで入っていた。

続いて、崩れた町とそこを来るドス六がカット。完全復刻版4巻182ページへ (「トコ屋のおっさん」から)以下、悪魔研究所潜入(ここの明登場もすきー)。 そして驚愕の了お迎えシーン。このアイデンティティぶっ壊しは何度読んでも凄い。 読者も辻真先も、作者さえ予想しなかった(笑)了の正体。...サイコジェニーって、 実際最強のデーモンじゃなかろーか。腕力一切使わねーし。多分ゼノンのビジョンを 人間に見せたのもこいつに違いない。おっと脱線。

この頃になると、豪ちゃんも1ページ描いてはぶっ倒れてたそうで、 絵も若干荒れてるところが見受けられます。その当たりの直しがこの辺に入ってきます。 中には?という描き直しもありますが、一連の 了の顔の狂いは、ほとんど直ってます。 了ファンは一安心? 美樹ちゃんに関しては鼻筋を直してるのが多いですね。 ...先生、この頃のご自分のクセがお嫌いなんでしょうか?(『マジンガーZ』でも同時期の単行本に同種の直しが見られるのだ!)

 
  5巻・書き換え部分一覧(まだまだあるかも...)  

完全復刻版・頁数

豪華愛蔵版・頁数

書き換え内容


23

55

3コマ目・了の顔

29

61

1コマ目・美樹の鼻

33

65

1、2、4コマ目・美樹の鼻

34

66

2コマ目・美樹の鼻

35

67

2、4コマ目・明の顔

42

74

1コマ目・明 2コマ目・おじさんの目&明の顔
3コマ目・美樹(枠線落とし) 4コマ目・明

55

87

頁まるまる全員の顔

56

88

5コマ目・美樹の目と鼻筋

57

89

1コマ目・美樹、明に着けた頬の輪郭描き足し

61

93

3コマ目・美樹鼻筋 4コマ目・美樹

62

94

5コマ目・美樹

65

97

おじさんの顔両方とも

68

100

2コマ目・了の目鼻口 3コマ目・了の目

69

101

1コマ目・了の目鼻 2コマ目・了の左目 4コマ目・了の顔

70

102

1コマ目・明の鼻 2コマ目・明の顔

71

103

1コマ目・了の顔&明(目の修正前・ホワイト状態!)
3、4コマ目・了の鼻〜口の横顔輪郭

72

104

3コマ目・了の顔 4コマ目・明の顔

73

105

1、2コマ目・了の顔 4コマ目・了の鼻

94

126

2、4、5、6コマ目・美樹の顔(目鼻中心に)

95

127

4コマ目・美樹の鼻〜口輪郭

さて、牧村家に来る人々。ここで、 何故か完全復刻版96〜7ページ(豪華版128〜9ページ)が入れ替わり ます。確かにこの方が意味は通じるかな...。ここからどとーのジェノサイドは変更無し。

完全復刻版189ページの後、描き下ろし・廃虚とサタンのオーバーラップ1ページ。続いて 新デビルマン・最終話。 その後1ページ、地球ナメ太陽の絵、描き下ろし。「ハルマゲドンの章」始まる。 以下、完全復刻版190ページから(豪華版240ページ)。
194、195ページ(豪華版244〜5ページ)全く同じレイアウトでエアブラシ使用の絵に描き変え。 続いて描き下ろし光る球見開きアップ、
中には天使たち が見える。つまりこの光の球こそ『神の軍団』 なのだと、一歩進んだ描き込みが加えられた訳だ。

完全版196〜201(豪華版248〜253)までママ。続いて見開き10ページ書き下ろし。 (デーモン対デビルマン軍団、サタン対デビルマン明)オリジナルのイメージに合わせたイラスト風展開で、 台詞、説明一切なし。

そして、エピローグ。完全保存版202ページ(豪華版264)から、ラストまで。これは変更なし。


この余韻はすばらしい!としか言い様がない!
ところで、初めて豪華版の編集に触れるのと、オリジナルに触れるのって、 やっぱり感想違って来るのかなあ?...なんて、私が考えることではないが。...単純な印象として、 オリジナルは不動明の話で、豪華版は飛鳥了の話 っていう感じがするんですが。あくまで比較した場合ですけどね。

私なんぞは、タイムスリップ編『新デビルマン』を随分後に読んだせいもあって、「正伝」の中に入ってくるのは、 やっぱし違和感ありますけどね。

このアップが人類の平和とやすらぎに寄与することを願いつつ (<ねがうなねがうな)。


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