『魔王ダンテ』レビュー その(3)

ストーリー・設定などもろもろは 公式サイト(http://www.mao-dante.com/)参照。

#7「邂逅」 <2002.10/12(土)>

悩める涼の続き+大学内殺人+悪魔四天王虐殺旅行+メドッサ出現。

要領良くまとめられ、シナリオも絵も見やすい。また少ない枚数の中で、 動かすべきは動かされているので、初期の混乱は一段落か。

一方で、原作を知っているからか、大柴壮介のわははリンチ(いきなり 剣道部で悪魔ボコボコにするヤツね)が採用されなかったのはいかにも 残念。神に与する(つーか神の血族の)人間が悪魔的に振舞うというこ とを原作では壮介が最も体現しているだけに。

ではアニメの壮介はつーと、主人公・涼以上に悩めるヒーロー。原作と 最も違うのが、宇津木康介率いる神の側の人間が、人工悪魔を作り、 悪魔への牽制として人間を殺しているところ。コレに同調していた壮介 が徐々に疑問を感じている。どころか、使徒として戦うことを拒否し始 めている。

いずれ沙織と壮介の存在が、涼の魔王化に一石を投じることになるのだ と思われる。この扱いが、今後の展開で吉と出るか凶と出るかが、微妙 な気がするが。

それと、前回ロシア軍虐殺をした悪魔四天王が、新幹線大虐殺。客の首 切り落とし、チューして精気を吸い取り、運転手操って「地獄行き列車」 に行き先変更。大脱線させて生き残ったヒトまで人肉喰いさせるという 激しいやり口なのだが、今一つ絵がエグくないのが残念。(表現的には 地上波ではまず不可能なことをあえてしていて、いいのだけど)

それにしても、この四天王とサタニストの動きが呼応しているのではな く、てんで勝手なちぐはぐ感があるが、解決されるのかなあ?ちなみに 「邂逅 」したのは涼とメドッサでした。チト原作よりアレンジアリ。

#8「不信」 <2002.10/19(土)>

フーマの殺人ワイドショウ!!(嘘) (BGM:「不思議ソング」)

ふっしぎしぎ まっかふしっぎ うーわー (ふしぎしぎ♪)

「真夜中0時、銀座4丁目交差点で悪魔による殺人ショウ開催!
 人の心に潜む「悪」が今、カメラの前に明らかになる!

 急げ。悪魔から人々の心を守るのだ!焼結せよ!シャイダー!」

…と政宗一成の声で予告を読みたくなるような、 今回の『魔王ダンテ』 第8話「不信」でございました(笑)上原正三節全開!「悪魔四天王」 と神の使徒・宇津木康介が手を組んでるという関係の上に、ベール率 いる悪魔軍団が反目しているという複雑な構図が浮かび上がる。

テキ屋のおっさんが、悪魔が見えるサングラス売るてなシーンもある Aパートが楽しかった。(一部説によると、ドロンボーを彷彿とすると。 「これはもしかすると…」「もしかするわね」…笑)

Bパートは大柴壮介による宇津木康介と国家の犯罪、人工悪魔SXの ひみつ編。やっと1カットで涼が変身するカットも登場(ただし戦闘 なし)。ただ、妹萌えのシーンが入ったんでその印象が強くてね。 なんか、「仲良し兄妹」の描写を無理に萌え萌えにしてねーか

作画は今後この班のレベルで…と言いたいが、後の班はねえ。原画マ ン大量投入が目立つことよ。大丈夫か、バイト代出てるか?(笑)演 出も萌え萌えシーンのイタさ以外はOK。

ちなみに原作と共通なのは、夢の中に現れたゼノンと涼の会話シーン のみ。会話しながら変身してしまうあの夢のシーンね。

▼依然良く分からない「悪魔四天王」。
彼らは神か悪魔か、悪魔を裏切って 神に与したものたちか?キャラクターたちが出る以前に、そもそもの 「神側」「悪魔側」っていう最初の立ち位置をキチンと示してないから、 それぞれが矛盾して動き出したところばかりが目に付くんでしょうな。 結果、正義の「神」が最初から不可思議な存在だったりして、視聴者 には勢力図がごちゃごちゃになって見えてるんだと思うです。

なんでしょね、ヤツラ。一番ダイナミックデザインから離れてるか ら見てるこっちも収まり割るいんすよね。行動はともかくビジュア ル的に。

#9「魔宮」 <2002.10/19(土)>

悪魔四天王は、我々の世界をちっと次元ずらした「ラミアの迷宮」へ若者を 拉致し、肉欲物欲もろもろまみれにしたまま返さないという作戦 に出てきた。街のトンネルへ、とある会社の窓の外へ、現実から 若者は逃げ、その場から消える。

その目的は、四天王の一人・クモ女ラミアが繁殖するための宿り木にするという ことだった。

そんな中、沙織もぼんやりと見ていたパソコンのインターネット 画面から異次元へ誘われ、消えてしまう。人間では感知できない 世界へ消えた妹を連れ戻す手段を考える涼は、ベールらを探すが、 出会えない。行き着いた先は古代冴子・メドッサの元だ。

ダンテを待ち受ける罠を知るメドッサは、涼に告げず、しかし涼 の願いを叶えるため単身異次元へ…。そのことをベールから知ら された涼もまた異次元へ行くことを強く念じる。その時…。

▼…という、今回は全編オリジナル話。脚本的には「涼が自 らの正体に気付かないゆえに生まれる、メドッサの葛藤」が軸に なった、シリーズの転換点ともいえる話。久々にダンテも第2形態 (巨大な魔王姿)になります。

なのに、ああそれなのに、作画があんまりにもひどい。気になっ たのは、絵コンテマンは知らない名前なんだけど、演出が上條修 さん(『特装機兵ドルバック』『戦国魔神ゴーショーグン』『マ ッドマシーン(仮)』)だったということ。コレだけのキャリア の人がコンテでなくて演出してるってのも謎。

今まで、何かと癇に障る萌え萌え声でヒロインでございやってた 沙織よりも、ダンテを愛するメドッサがヒロインとして初めて前 面に出てくるんすよ!美しきモデル姿からあられもない姿も披露、 ラミアには旧知の間柄として変身しかけて凄んで見せたり と活躍。

涼もダンテの能力を自ら望んで、一歩進めるワケだし、ちょっと この出来はいかがなものかなあ。

▼で、結局「悪魔四天王」はどういう行動原理で動いていたのか、 果たして悪魔として自主的に神の使徒と手を結んでいたのか、神 の軍門に下った状態で動いていたのか、暴れる理由はどこにある のか、そういった部分が全く見えないまま、怒りのダンテの餌食 に。何しに出てきたんだよ、てめーら。派手な殺戮だったが、作 画の迫力不足が見事プラマイ・マイナスにしてくれているのは見 事なほど残念。

▼で、次回「神略」ではとうとうソドムとゴモラの記憶が蘇るみ たい。そうだよな、もう折り返し地点だよなあ。今回みたいな中 途半端な作画と演出は勘弁だぞ。


ストーリー・設定などもろもろは 公式サイト(http://www.mao-dante.com/)参照。

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