『魔王ダンテ』レビュー その(2)
ストーリー・設定などもろもろは 公式サイト(http://www.mao-dante.com/)参照。
サタニストたちは今度は某国王女を誘拐、生贄に捧げダンテ復活を 狙う。一方ヒマラヤでダンテを復活させ、喰われてしまった涼は、 ダンテの精神を乗っ取るも、自らを見失い、名古屋の町を炎に包む。 個人的に仕事で落ち込んだ土曜日。倍加するような出来で少々哀しく なったつーの。原因は様々あるだろうが、アニメの枚数制限という 現実が、枚数の「かけどころ」そのものを圧迫しているのか?と いう疑問が核心になりつつあります、このシリーズ。(かつてのア ニメは少なくても4〜5000枚の絵が描かれていたのだが、現在は 3000枚。コレ越えると次の仕事が来ないという現実があるワケだ)
▼作画面。 具体的に文芸的な要請に応えられていないキャラの最たる例が、 宇津木民子。宇津木家の「母」である彼女はどうやら夫・康介が 神の使徒であることを知らないらしい。(この辺今後文芸的に詰 められるのかどうか、ってのも評価を分けると思うが)そのため、 自分の息子である涼や沙織が巻き込まれている事件の総体を理解 できぬままただ心労に押し潰されていく…という描写がなされている。 「このままじゃ倒れちゃうよ」と沙織に言わせているのだが、 それに対応する疲労の表情みたいなものが全くなく、電話する 沙織の後ろから現れ、ペラペラ状況説明させるだけでは脚本の トレースでしかないではないか。
▼新キャラ。 コレ13使途としてリーダー格である康介が危険なメッセージのやり 取りを自らしているというリアリティはこの際置いておくとしても、 その後、それを見ていたベール教授に問い詰められ、神と戦った 時のコトを思い出すくだりの表現があまりにもったいない、と思った のだが。 まずイメージ映像にしては、はっきり描きすぎてるということ。 ゼノンの見せ場が、あとの魔王ダンテ戦にあるとすれば、ここで 因縁を説明するのはいいのだが、"Z"の正体があの犬型悪魔である ことをはっきり全身像で見せ、ネタバレしてしまうのはもったいない。 この段階では「ヒマラヤ決戦」と呼ぶ戦いのシーンにして も、ゼノンの真の姿を見せてしまうより、象徴的なシルエットを 使ったり、止め絵でイメージチックに作ったり、周囲の背景ももっと 猛吹雪のイメージでまとめ上げるとか、うまく「ぼかし」ておいた方が、 ダンテとゼノンの決戦が盛り上がったんじゃないかな。 いっそ"Z"の目線で本人の姿を見せず、神の力・ダンテ氷漬けを見せるような 設計の工夫が欲しかった。『ゲッターロボG』の実験作「湖に消えた ミチル」を見よ!(>ミチルの姿は一切描かれず彼女の見た目だけで 展開する異色実験作) さてその"Z"、占い師の時には怪しいアメリカ訛りで喋ってましたが、 ベールとの会話は普通のアクセント。てことはベールとゼノンは普段 何語で喋ってるんでしょうね。
▼不満その1。
▼不満その2。
▼不満その3。 劇中の神社にスタッフ一同が視聴率祈願の絵馬奉納してましたが、 CSも視聴率カウントしてるんかな? |
前回より引き続きダンテ大破壊&対魔獣ゼノンのAパート+涼帰る&煩悶のBパート。 ▼作画については、都市大破壊シーンで、巨大感を出したカットが 計3枚くらいの使いまわしにてたらたらと見せていたのが気になる 気になる。せめて同じ絵でも寄り引きでどうにかできなかったのだろうか。 ダンテを焼き殺すために国防関係者会議でナパーム弾の 発射を決めるという、『帰ってきたウルトラマン』のスパイナーの ようなところがあるのだが、ここも俯瞰気味でうなづくというよう な基本的デッサンが出来ていないのが何とも…。前半作画最悪。 ゼノン戦ではその巨大感強調が全くなされず。更に破壊される街や 人の描写も、ダンテを中心にどういう位置関係みたいな計算がないため、 うまく相乗効果が出ていたとはいい難い。ダンテを軸に、死に行く人の目線と か、ヘリコプターの空撮風俯瞰ショットでの展開でないと、街が燃 えるコトと同時進行にならないでしょう!
▼前半の見せ場、ゼノン戦。
▼後半。 それにしてもサタニストたちの描写がいよいよもって不可解。どうも悪魔の本性 を出せるリーダー格と、人間体のままついて行っている多数がいる のか? ▼今回大いに露呈されたのが、BGMの薄っぺらさ。重い音作りが 一切なされていないため、キチンとカット割されていないダンテの 怪獣ぶり描写と相まって、画面に迫力が全く出ていません! 次回以降新展開。原作にない描写で悪魔の暗躍が描かれそう。はて さて、今回最も弱かった巨大感演出がない分、まだましなのか…? 個人的には、魔王でありながらその自覚がない涼が、人間として悪魔を 倒さねばならない「悪魔の力身につけた正義のヒーロー」編とでもい うべき辺りの悩ましさが出るといいなあ。 ところで、公式サイトの「ENTER」ボタンが増えましたね。見つけ られない人が結構いたのだろうか(笑) |
サブタイトル通り、原作に無い部分を膨らました伏線大開陳。 原作の位置としては、「悪魔に体を奪われた」と思い悩む涼の シーンがベースになってます。
で、オリジナル部分てのが、 ベースは神の使徒対悪魔軍団なのだが、それぞれの思惑みたい なところでかなり色々加えられてます。そういう両者の動きが 提示される回。よって、涼は引きこもってます。全く動かない 主役さんです。ラストで角と羽根生やした姿になりましたけど ね。変身シーンはなし。 文芸的には、「引きこもり」という、作劇上あまりに不利な主人 公設定をした意義みたいなものがかなり前面に出てます。どこで 涼の動きがアクティブになるか、によってその意義が生きるかどうか だとは思いますが。今のところはプラス。 原作の「ほおづえをつきながら変身する」という見せ場は次かな? 作画監督は1話の進藤満尾さん。今週は大まかに言って安定した 作画だったので、激しく心は揺れませんでした。後半Bパートは 今までで最も穏やかに普通に見られました(笑) …が、あえて難点言うと(>言わなくてもいいだろが)、ロシ アの軍人さんたちには「規律」とか「攻撃メソッド」みたいな ものはなーもないのか…というくらいに単なる「四天王のヤラ レ役」でしかないのが、チト問題。それにしてもロシア語では 角生えた化け物見て「鬼」という語彙は選ばないのではないか? 中国語ですら「鬼」は「ghost」の意味なんで、「鬼」を「オニ」 だと認識するのは、日本だけだったりする。 あと「四天王」のデザインについては、大いに不満ですなあ。 モンスターとしてはともかく、「ダイナミックものらしさ」み たいなテイストに欠け過ぎてませんかねえ。 |
ストーリー・設定などもろもろは 公式サイト(http://www.mao-dante.com/)参照。