滝沢翼のひとりごと

「朝」

洗い立ての洗濯物の石鹸の匂い
炒れたてのコーヒーの匂い
トーストが焼ける匂い
そしてお日様の匂い

朝の匂いが好きだ
特に今日みたいに天気が良い日は
沢山一日の活力を与えてくれる

もう少し早い時間ならもっと気持ち良いんだけど
寝るのも起きるのも遅いんだから仕方ないよな

俺が朝の支度をしている間
あいつはリビングで新聞を読んだりニュースを観てる
おっさんみたいだって言ったら怒るだろうな

言ってやろうか
たまにはあいつのにやけた顔をくずしてみたい

げっ!

ふり返るとあいつはちゃかりダイニングに腰掛けて
俺の後ろ姿を眺めながら朝メシができるのを待っていた

ずっとそこに居たのか?
居たんだな!

「暇してんなら少しは手伝えよ。この馬鹿!」

一喝するとあいつはちょっとだけすまなさそうな顔を見せて
すぐに笑顔に戻るとカップや皿を並べだした

ああ、またやっちまった
どうして俺はこうも素直になれないんだろう?

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