祝!復活
2003年2月よりお休みしていましたMadam.HIROKOのパース便りが
この度、Madam.HIROKOの海外移住への道としてリニューアルオー
プンすることになりました。1年ぶりの登場となりますが、これからも
皆さんのご愛読をお願いいたします。
  世話人拝
これまでのパース便りはこちら



2004年06月27日                       
                    第3回


           「生活費がいくらかかるか?という愚問」


●-------------------------------------------------------------

海外暮らしを考えるとき、一番大切なのは「自分は海外で何をしたいのか?」ということです。
リタイア後は毎日趣味のゴルフをして暮らしたい、クルージングがてら釣りをしたい、美術館めぐ
りをしてみたい、夫婦でガーデンニングを楽しみたいなど、いろいろな希望があることでしょう。
まずは、自分の希望がかなえられそうな場所を選ぶことが大切です。

そして、夫婦で行くのであれば、夫婦共通の希望がかなうところを探すのが大原則ですが、これ
が意外と難しかったりします。また最近は、「主人はリタイアして好きなことをするのだから、私
(妻)も家事からリタイアしたい!」と考える人が増えています。
そうなると、メイドさんが雇えるくらい物価の安い国でないと駄目だということになります。

具体的な希望が固まってきたら、気候・言葉・物価・治安・医療・親日度・日本からのアクセス時
間などを中心にトータル的に判断するのが良いでしょう。そして、候補が決まってきたら、自分に
とって住みやすい街なのかどうかは、実際に何度か訪れてみてから判断することが大切です。

現在リタイア後の海外移住(ロングステイ)先として人気があるのは、オーストラリア、ハワイ、カ
ナダなどですが、物価や不動産事情を考えると、今後はいずれも金銭的にある程度余裕のある
人が訪れる国になると考えます。逆に、年金だけで暮らせる国となると、タイ・マレーシア・フィリ
ピンといった東南アジア方面にしぼられることになるでしょう。

よくたずねられる質問に、「海外での生活費はいくらかかりますか?」というものがあります。
これこそナンセンスな質問だと思うのですが、どんな場所で暮らすのか、何をして暮らすのか、
食事は外食か、メイドは必要かなどの条件で必然的に違ってきます。

例えば、東京の六本木あたりで月10万円のワンルームマンションで質素に暮らす若者がいれば、
六本木ヒルズのマンションに住み、月200万ほどの家賃を払って悠々自適に暮らしている人もい
ます。生活費には、かなりの個人差があると思って下さい。

物価の安い国だから年金で生活出来るだろうと安易に考えてしまう人も少なくありませんが、物
価が安いといっても、実際には現地人の生活費と現地で暮らす日本人の生活費にはかなりの
開きがあります。日本食レストランでの外食や日本の調味料の大量買い、週に数回のゴルフな
ど、予想以上に生活費がかかるというのはよくある話です。

日本の中でも、東京は世界一生活費がかかるという統計が最近発表されました。東京での一般
的な生活費を100とすると、100以上ないし100に近いくらいの生活費がかかるのがハワイです。
特に、ここ数年ハワイの不動産事情はバブル並みに上昇しています。
利便性の良い立地でコンドミニアムを借りるとなると、東京のビジネスホテル以上のコストがかか
ると思っておいた方が良いでしょう。

カナダやオーストラリア、ニュージーランドなどは住む地域にもよりますし、不動産を賃貸ですま
すか、購入するかによっても大きく変わりますが、夫婦での生活費は月15万〜30万が相場です。
逆に、生活費が安いのはやはり東南アジア方面で、タイやマレーシア、フィリピン、インドネシア
などでは夫婦の生活費は10〜20万程度ですむでしょう。

いずれにしても、これらの相場は現在の価格であって、海外暮らしをするのが数十年後であれば
状況は相当変わっていると考えます。



【ハワイ島のビーチ】
個人的にはパースと同じくらい大好きな場所。海、山、植物、動物、魚、星など自然
に満ち溢れている。イルカやウミガメと泳げたり、溶岩や一面の星空を見ることも出
来る。ただ、ゴルフ場のフィーが高い・・・。



2004年03月14日                       
                     第2回


                  「否定派と肯定派」


●-------------------------------------------------------------

先日、FPが集まる勉強会(スタディ・グループ)に講師として招かれ、1時間半ほど「FPとして考える
海外移住」をテーマに話をしてきた。昨年からこの手の講師の仕事は多く、スタディ・グループだけ
で7〜8回ほど同じテーマで話をしてきた。

今回の参加者は20名弱だったが、失礼ながら平均年齢は50代とやや高め。
今までの勉強会では、反応はすこぶるよく、顧客のプランニングをしている独立系のFPの方たちな
どには、かなり感謝された。

というのも、最近では海外移住をリタイアメントプランの中に取り入れている顧客が急増している中、
肝心のFPは海外移住に関する知識が素人以下で、リタイアメントビザを取るための資金設計の相
談を受けても、チンプンカンプンなんだそうだ。

勉強会自体は、フリーディスカッションスタイルだったが、意見交換の数が半端ではなかった。
私のしゃべる幕がなくなるほど、ああではない!こうではない!と勝手に討論が始まり、止まらな
い・・・。

今までの勉強会と違うところは、年齢層が高いこと以外に、参加者の約半数が海外生活経験者だ
ったことで、「自分の場合は・・・」「自分が住んでいたときは・・・」と機関銃のように発言してくださっ
た・・・。

結局、1時間半のうち私が話していたのは1時間もなかったのではないかと思う。
それなのに、ちゃんと1時間半分の講師料をいただいてしまって、なんだか申し訳ない気さえした。

勉強会のあとの食事会(飲み会?)では、意見が二つに分かれた。
ひとつは、「自分もオーストラリアに移住したいので、おすすめの都市を具体的に教えて欲しい」と
いう肯定派。もうひとつは、「オーストラリアのどこが良いのか?」という否定派である。

確かに、海外移住や海外生活はすべての人にとってハッピーなわけではない。
それは重々承知しているが、こうあからさまに「いったい、オーストラリアのどこがいいの?」と、首
をかしげられてしまうことは今までなかったシチュエーションだ。

私がオーストラリアが大好きな理由は、まずは自然の美しさ、空の青さ、海の青さ、緑の豊かさ、
自然の動物や植物が日常の中に多く存在していること、オーストラリア人の温かさ、いい加減さな
どなど、ひとことでは言い表せないのだが、とりあえず私なりに説明してみた。
でも、相手は納得してくれない。

「百聞は一見にしかずですよ!」と、喉まで出かかったのだが、相手は人生の大先輩、私より20年
は生きていらっしゃる。ましてや、初対面だったし、一応控えめに、「いろいろなライフスタイルがあ
りますからね」と答えておいた。

海外移住には、肯定派と否定派がいる。
それは、まぎれもない事実であると痛感した1日だった。



オーストラリア・パースのパブリックゴルフ場

パースシティから車で10分ほどの住宅街にある27ホールのパブリックゴルフ場。
平日は予約は不要、土日も当日の朝電話すればだいたいOK。
18ホールのセルフプレイで1,000円ちょっと。子どもは半額。
更衣室やシャワー、レストランはありません



2004年02月22日                       
                     第1回


             「オーストラリアのリタイアメント・ビザ」

●-------------------------------------------------------------

オーストラリアでの生活を終え、日本に帰国してから早1年が経過。
この1年、自分は何をやっていたんだろう・・・と振り返ってみる。

別に、たいしたことはやっていないのだが、帰国してからというもの、オーストラリアでは食べられ
なかったお寿司、焼き肉、ラーメン、串揚げ、焼き鳥、お好み焼き・・・etc ちょうど年末年始で主
人の仕事も休みだったので、間髪いれず食べ歩きをし続けた。

その結果、元旦の早朝4時に胃けいれんを起こし、その数時間後には病院で点滴を打っていた。
ひどい新年の始まりだった。

結局、お正月三が日は毎日病院通い。1ヶ月は自宅で療養生活だった。
2月あたりから、FPの仕事を再開し、それと同時に海外移住アドバイザーとしての仕事を少しずつ
始めるようになった。

ただ、夏過ぎくらいまでは、はっきりいってホームシックに近い状態でパースやパースの友人が
恋しくて恋しくてたまらなかった・・・。届いたメールや手紙を読んでは泣いていた。

テレビでオーストラリアの風景を見たり、新聞でオーストラリアのニュースを読んだりしただけで、
淋しくて懐かしくて涙が出てくる。

あの頃の私は口癖が、「パースに帰りたいなぁ」「パースのみんなは何やってるかなぁ」「ちょっとパ
ースに遊びに行ってきていい?」だった。

ちょっと旅行に行こうと思えば受け入れ先は整っているのだが、さすがに朝から晩まで仕事をして
いる主人を残して1人で海外旅行を実行するほど、私の神経は図太くなく、実現するにはいたらな
かった。

しかし、それくらいパースでの生活は私にとっては夢のような生活だった。
いつかきっと、オーストラリアに帰る(行くのではない、帰るのだ)ために海外移住について、趣味と
実益を兼ねてもっともっと勉強しようと誓った。

オーストラリアに限らず、「将来は海外で暮らしてみたい!」という人は激増し、テレビや新聞・雑誌
などのマスメディアでその手の話題を取り上げられる機会も本当に増えてきた。

やはり多いのは退職後の夫婦での移住なのだが、その場合は「リタイアメント・ビザ」というビザを
取るのが一般的である。

もちろん、日本人向けにリタイアメント・ビザを発給しない国もたくさんあるし、年に数ヶ月だけ滞在
するロングステイであれば観光ビザでも充分だ。

ただ、オーストラリアの場合は、リタイアメントビザを取得すると現地の中古物件を購入することが
出来るなどのメリットがある。

そのリタイアメント・ビザの取得条件の一部が、今年(2004年)から厳しくなった。

以前「パース便り」の中でもお伝えしたことがあったと思うが、オーストラリアのリタイアメント・ビザ
をとるための主な条件は・・・

 (1)年齢が55歳以上であること(夫婦の場合は、どちらかでOK)
 (2)オーストラリアにて退職者として一時居住を希望していること
 (3)配偶者以外に経済的に衣食住を提供しなければならない
   扶養親族(両親・子供など)がいないこと
 (4)週20時間を超える就労活動の意思がないこと
 (5)健康診断・人格審査の結果に異常がないこと
 
 にプラスして

  A : 87万オーストラリアドル(約7,200万円)の資産

  B : 35万オーストラリアドル(約2,900万円)の資産および
     年間52,000オーストラリアドル(約430万円)以上の年金
     あるいは投資配当金などによる収入

  注)1オーストラリアドル=83円(2004年1月のレート)で計算


このA、Bどちらかの資産条件が加わる。ここ1〜2年で、米ドルや日本円に対するオーストラリアド
ルは、かなり高くなってきている。私がパースで生活していた頃は1オーストラリアドル=68〜70円
くらいだったのだが、最近は82〜84円くらいの水準だ。

個人的には、所有しているオーストラリアドル建ての資産の含み益が日に日にふくらんでいるので
、本当にうれしい限りなのだが、去年まではAの条件が65万オーストラリアドル、Bの条件が20万オ
ーストラリアドルの資産および年間45,000オーストラリアドル以上の年金あるいは投資配当金など
による収入だったので、資産条件は大幅アップだ。

まぁ、資源をたっぷり持っている裕福な国なので、無理に移民を増やすこともないし、最近の経済・
景気もすこぶる良いのだ。かなり強気に出ているのだろう。

為替の状況も加わって、リタイアメント・ビザの資産条件は円で資産を持っている日本人にとって
は、単純計算で去年よりも約2,000万円ほどハードルが高くなってしまったことになる。

この突然の改正に、「去年のうちにビザの申請をしておけばよかった〜」と後悔している人は10人
や20人じゃないと思う。

そして、リタイアメント・ビザは、初回は4年間分が発給されるがその後は2年ごとの更新になる。

更新手続きの際には、初回の申請時と同じ条件をクリアする必要があるので、更新のつど健康診
断を受け異常がなく、条件を満たす資金を常に確保しておく必要があるのは、ちょっとつらい。

また、リタイアメント・ビザではオーストラリアの国民健康保険(メディケア)に加入することが出来
ないため、ビザの取得にあたって、オーストラリア国内の民間の医療保険に加入することが義務
付けられている。

今日本で加入しているものではなく、オーストラリアの保険会社でないと駄目、オーストラリアの会
社に貢献しないと意味がないのだ。

ということは、保険に加入できない持病や既往症がある人は必然的にタイアメントビザは取得でき
ないことになる。

何のために海外で暮らすのか、人それぞれ考え方や価値観は違うと思うが海外移住は駐在とは
わけが違う。海外移住にに関するハードルは必ずしも低くないというのが現実なのである。



【オーストラリア・パースの公園】
オーストラリアでは郊外、住宅街、町の中心など
いたるところに緑の多い公園が広がり、人々の憩いの場となっている。






HOME