2004 梅雨山行 本沢温泉
(日程)
6月12日(土)13日(日)曇り→晴れ
(テーマ)
今年も小屋が空いて快適山行が楽しめる梅雨山行。通年入れる温泉で日本一高所にある本沢温泉とした。
樹林帯を歩き、ピークハントをしないトレッキングの山旅。コースはクルマを2ヶ所にデポする周回コースを設定。
こういうルート選択が可能なのもマイカー利用のグループ登山のメリット
(参加者)
M:まっちゃん、秀ちゃん、賢、陽ちゃん、真ちゃん、畠田(記録) F:さゆりさん
(行程記録)
梅雨山行は、しっかりした小屋と温泉、そして雨でも風でも平気な樹林帯をいつもコースに選んでいるので雨でもまったく気にならなかったのだがやはり好天は嬉しいもの。雨の予想はなくいい気分で家をでる。
連絡とりながら談合坂PAでまっちゃん号を待つ。以前はまっちゃん号は浦和からの登場で土曜日は都心へ向かう首都高速の渋滞が激しく大抵遅れていたのだが、葛西に越してきたのと、土曜日は混むという学習効果があり、最近は遅れない。まっちゃん号と合流するも、まっちゃんのあまりの長い脱糞に待ちきれず、はた号はまた先に出発。
清里を越え八ヶ岳高原に入ったあたりから霧がひじょうに濃い。途中でコンビニにより焼酎を買う。
10:30 本沢入口に到着。ここでまっちゃん号を待つ間先程購入の焼酎にレモン汁を垂らして陽ちゃん、真ちゃん、さゆりさん、と酒好き同乗者で一杯やる。かっこうが鳴いている。
10:45 まっちゃん号到着。ここでぼくの車をデポし、まっちゃん号に全員乗り換えて稲子湯に向かう。(やはりグループ山行はタクシー2台分、つまり8名くらいが限度で機動性や一体感があり一番よい)
本沢入口稲子湯間は車で10分弱。いい雰囲気の林道なのだが最近きれいに舗装されたのが残念。歩いても一時間弱なのだが舗装路では歩く気がしない。(賢と、チャリで走ってみたいなあ、とは話した)
稲子湯で昼食を摂って出発することにした。木造一軒宿のなかなか素敵な温泉だ。
12:00 登行開始。しらびそが高く聳える樹林帯、そして何ともいへぬ、ぷーん、と甘い森の匂い。いかにも八ヶ岳山麓という感じ。この八ヶ岳というのは樹林帯が美しく独特の雰囲気がある。
植生も地域分布がよくわかり、硫黄岳を挟んで反対は雑木が多いがこちらはシダ類がとても多い。
一面シダという場所があり、こんなにシダの群生というのは見たことない、と皆で驚いた。先カンブリア紀に戻ったみたいだ。(ぼくが生まれる前なので詳しくは知らないが・・)
グループも分断されることなく皆同じペースで話しながらのんびり高度を上げていく。
14:00 しらびそ小屋(みどり池)到着。池端にひっそり佇むいい小屋だ。ここで大休止。薄日が差して気持ちいい。
湯を沸かしコーヒーを飲み寛ぐ。秀平はキジ撃ちたいも紙を忘れて難儀。しょーがないから、ぼくのトレペを貸してやった。今夜はキジ丼(山用語:カレーライス)かなあ〜、なんて話していると、まっちゃんが生のキュウリを出してきた、これに味噌をつけて食うのがうまいが、味噌もキジも一緒。さゆりさんにキュウリ持たせて、「キューリー夫人」 などとまことに馬鹿らしいことを言う、まっちゃんであった。
14:30 本沢温泉に向けて歩行開始。ここからはほぼ平坦な道。気分よく歩く。
15:30 本沢入口への道と合流しテン場を越したところで到着。 ぼくは有名な温泉だし本沢入口からなら徒歩2時間だしトラクターなら入って来れる道なのでてっきり旅館度高いのかと思っていたら、どっこい山小屋である。
何はともあれ、生ビールで乾杯する。ぼくは2本泡を担いできたが、やはり冷えた泡をジョッキで飲めるので誘惑に負けた。(2本は水で冷やして風呂上がりに飲んだので担いだ甲斐はあった)
小宴会が外で始まり秀平が新調した高級一眼レフのデジカメをいじりまわって楽しんだ。趣味のモノにお金を使うのは本当に心が豊かになり、勤労した成果として充実した気分になる。
標高日本一の野天風呂(露天ではなく確かに自然の中に木桶を埋めただけのものなので野天の方が相応しく野趣溢れる)におじちゃんおばちゃんが出向いている…。同じグループなので多分一緒に入るのだろう、そういうグループを見てさゆりさんは、とても心ときめいているように見えた。まあ、後程 陽ちゃんのとしっかり比べてもらおう!!
当初二部屋お願いしていたが部屋が離れるというので大部屋一つに変えてもらい部屋に入る。
明るくていい部屋だが床が傾いている。なかなか古い趣があってよい。
建物自体は結構大きいが、とにかく古さを感じる(明治創業)。トイレや風呂に行く階段の下は石で草が階段から顔を覗かせている。通年営業だがここは冬は寒いだろう。
さてさて、野天に行こう、と皆で出かけた。さゆりさんは、あれだけ楽しみにしていたのに、陽ちゃんのに自信がないのか、ぼくらの凄いのを見てしまったら明日からの陽ちゃんとの生活に支障がでると思ったのか、結局辞退してしまった。陽ちゃんのは凄いと思い込んでいた方が幸せなのである。他人と比べてはいけないのだ!!
硫黄岳方面に5分ほど登ったガレ場にそこはあった!! 幸い年寄り男女パーティーは撤収しており、おじさんだけのパーティーが入浴していたが、ちょうど撤収準備にかかっていた。まことにグッドタイミングである。
広大なガレ場で裸になり(もちろん脱衣場などない)、湯に浸かった。乳白色で硫黄の臭いが強い、いかにも源泉に入っているという感じだ。吹きさらしなので天然源泉とはいへ若干ぬるいが、ぼこぼこと熱い湯が入り込んでくるのがわかる。日本一高所の風呂は格別だ。
HPのとおり奇怪な写真を撮ったりする間に次ぎのグループが来たので、撤収にかかった。ピークの標識と同じくこういう場所は独占して長居するところではなく、あくまでも入ったという体験に価値があるので、マナーよく次々に譲っていくべきものなのである。
小屋に戻って内湯(男女別)に入ったがこれが実にいい。これも自噴源泉そのもので沸かしておらずちょっと熱目だがとても気持ちがいい。湯船には幾年もお湯をたたえてきた証拠で湯の花や石灰分、硫黄などの鉱物質がびっしりこびりついている。まっちゃんと「この湯はいいねえー」、と感動した。
もちろんここはお湯の池みたいなもんなので24時間いつでも入れるが電灯はない、夜は懐中電灯が必要。まさに秘湯の名に相応しい温泉宿。
風呂上がりに担いできた泡を楽しみその後夕食。皆生泡で乾杯をし、小屋のおかみさんから濁り酒の差し入れをいただいた(ゆーちゃんありがとう…ここはゆーちゃん姉さん関連の山小屋)。最後、ホウトウ鍋の汁にごはんを突っ込みおじやを作って食べたがうまかった。
夕食後は部屋に戻り、だらーんとふやけたように寛いで、またチビチビやりながら馬鹿話しや恐い話しをする。あっという間に消灯になったが、真ちゃんが準備よくローソクを持ってきていたので引き続きほのかな灯りのいい雰囲気のなか会話を楽しんだあと、10:15 就寝。夜は雨が降っていた。
5:30 起床 雨は上がっており、さて今日はどうするかなあ、と一人で外にガス持っていきコーヒーをすする。
今から朝食とって、天狗岳をピークハントして戻っても4時間かかる、さらに本沢入口まで下るのに2時間なのでやはりちょっと遅くなり無理かなあ…。でも天気がいいからさっと帰ってしまうのももったいないなあ…と思案していたところ、いい案が浮かんだ。稲子湯に下りたあとクルマで麦草峠に行き、そこから白駒池経由で高見石に登ろう、そして湖畔でゆっくり昼食としよう!!
6:30 朝食開始。そこで上記案を提案したところ、それはいいアイデアだ、と皆賛成。これなら帰宅も遅くならず、かつピークからの景色も楽しめる。(こういうバリエーションが組めるのもマイカー登山ならでは)
8:10 朝食後部屋を撤収し小屋前でお茶を楽しんだあと本沢入口に向け下山開始。
なるほど本沢入口からのルートは道がかなり整備されておりトラクターや自転車なら十分通行できる。ちょうど上高地明神から徳沢、横尾に行くような感じだ。森のなかで道もよく歩きやすい。途中まではバイクや四輪駆動車なら入山できるようで数台停められるスペースが2ヶ所ある。
9:45 ぼくのクルマをデポした本沢入口に到着。コースタイムでは2時間なので予定よりも早く着いた。
ここで、賢がとぼけたことを言う。「あれっ、ここ登ってきたところと違いますよねー、畠田さんのクルマ置いたとこですよ??」と…・。あほかおまえ、何の為にここにクルマを一台置いていると思っとるんじゃい、ここで畠田さんのクルマに今度は全員乗って稲子湯に行くのっ!! と皆大笑い。
まっちゃが、「おまえ、ほんとあほやなあ」と…馬鹿にすることしきり…なのだが、まっちゃんは、小屋出てすぐのしらびそ小屋への分岐で、実は、賢と同じようなことを言っていた・・「はたけださん(関西弁はここにアクセントが来る)、しらびそ小屋はこっちの道ですよ、そっちちゃいますよっ」 と。 賢を馬鹿にしたまっちゃんは、その前にぼくから同じように馬鹿にされていたのだ…この二人は絶対にリーダーは務まらないね。何でわざわざクルマを一台違う場所にデポしたのか…考えてみなさい。
ということで、ぼくのクルマに全員乗ってまっちゃん号をデポした昨日の登行口の稲子湯に向かう(10分弱)。
クルマのなかで、陽ちゃんとクルマの話しになり(陽ちゃんはジープチェロキーを持っている、ぼくも滞米中にこれに乗っていたので話しが合う)、NSAの輸送力が増加したことがありがたかった。やはりこういうクルマ買うのは根っからのアウトドアー好きだね。
稲子湯からまた2台に分乗し麦草峠に向かう(30分弱)。
10:40 麦草峠手前の白駒池駐車場に到着。数年前クロカンでやってきたのを思い出す。ここで藤さんが雪だるまに一生懸命乳房を付けようとしていて皆で大笑いしたのがちょっと前のよう。
この時はちーちゃん(現NYの小西ことコニーの嫁)が、クロカンにしようかスノーシューにしようか散々迷った挙げ句、皆と一緒にクロカンを履いたものの、あまりの筋力のなさにぼてぼてこけまくっていた。なかなか来ない間に藤さんはこの雪だるまを作って遊んでいた…。 まっちゃんと、いやー、懐かしいなあ…と語った。
ここから、白駒池まで苔むしたしらびそ原生林でこれもまた八ヶ岳独特の雰囲気を作っており、三脚抱えたカメラマンが多い。ほどなく池と高見石との分岐に着き、高見石目指して登行開始。足元になぜか幾何学的で人工的なのだが水で侵食されたように丸みを帯びた溝がある石が点在しており、これは何のためだろうか…と皆で考えながら登行する。
木のステップを作ったあとにしては、わざわざ石にこういう溝を作るだろうか…。しかもかなり小さな石まで痕跡があるのだ…。高見石はその名のとおり山頂にだけ大きな岩がごろごろと露出している。いかにも宇宙人が来そうなところなのである。ぼくはこれは宇宙人が来てその道標につけたものに違いないと思った。自信はある!
この高見石は、既述のクロカンで来た際、まっちゃんと賢とヤヤは雪のなか登行している。頻りにまっちゃんは、賢に「あの時小屋でコーヒー奢ってやったよね」と連発していた。
11:40 高見石山頂到着。眼下に白駒池、北稜に横岳蓼科山が東に奥秩父の山々がきれいに見える。 この高見石小屋は天体観測に向いていて新月の夜は空に空間がないくらい素晴らしい星空が楽しめるらしい。(ここもゆーちゃん姉さんグループ経営の小屋)
12:05 登行路と違うルートで白駒池へ向けて下山開始。
12:25 白駒池到着。池端のテーブルを確保しここで昼食とする。青空と池を通ってくる風はひんやりとかわいていてとても気持ちいい。クロカンで来たときはこの池の上で縦横無尽にスキーを楽しみ、藤さんが、「どんな美女を侍らせて食べるフランス料理よりも、雪上で楽しむガーリックトーストとシチューのNSAノルディックランチはうまい」と言っていたのを思い出す。賢も、「へー、この湖の上だったんですねえー」と感慨深い。(この白駒池は、2000m以上に位置する湖では日本最大最深)
湯を沸かし、また賢が散々馬鹿にされる(山の豆知識:馬鹿にするときは必ず周囲を見てEPIを使っている人がいないか確認して馬鹿にすること、隣はプリムスだった)、さらに陽ちゃんもEPIなので、ぼくは「さゆりさん、あんた陽ちゃんがEPIとわかって結婚したのかっ!!」 と責めた。そしたらさゆりさん、「私、知らなかったのよ、騙されてたのよ」 と…。
この会話聞いていた隣の夫婦は笑いをこらえるのが精一杯のようだった。
左様に一緒に馬鹿にするまっちゃんなのだが、自分のお湯が無くなり賢のお湯を、「まあ、仕方ない、EPIで沸かしたお湯など飲めたものじゃないが、背に腹は替えられぬ、もらってやろう」 とちゃっかりもらうのであった。
昼食後、池の端を少し散歩しながら駐車場へ戻った。
13:40 駐車場帰着。その後、クロカンの時に宿泊した麦草ヒュッテ(麦草峠)経由でメルヘン街道(ここを一面の純白の雪と抜けるような青空のなか歩いた、そして帰りスキーが出来ないちーちゃんは、ヒュッテの人にスノーモビルの後ろに乗せてもらって下山したのを思い出す)を少し下って展望台まで行き、また戻って八ヶ岳高原ルートへ。
真ちゃんはとても感激していて「まるでこの辺はカナダみたいですね」と言っていた。こういう風景のなか、カントリーを聞きながら走るのは最高。真ちゃんは、「やはりカントリーは演歌ですね、景色とよくマッチして歌詞も似てますよね」 というのだが、こっちは単なる音で意味などわからないが真ちゃんは聞き流しでわかるのだ。そういへば自転車のこと話していた時、チェーンのルーブは大丈夫ですか? と自然にでるのである。ぼくらなら、油ささんでええんか?というのだが…。 こてこての田舎のあんちゃんで飾らず素直で背伸びしたところが全くない真ちゃんだが、完璧なバイリンガルは流石である。
八ヶ岳高原で連峰を仰ぎながら途中アイスクリームを舐め、一路東京へ。(話題、山中では野生動物との遭遇はありませんでしたが、中央高速小仏トンネル入り口手前の土手に猿の集団がいました)
今年もまた、小屋も空いていてゆっくりのんびりの温泉付、楽しい梅雨山行となりました。