鎮江賓館
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鎮江賓館
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2006年12月28日
8:15に賓館を出発。いかん、特快の発車時刻が迫っている。そのまま地鉄の中山北路へ。改札を例のカードで軽やかにすり抜ける。しかしホームに入ってきた地下鉄はすし詰めでバックパックがはじき返されてしまう。すばやく別の扉へ駆け寄ろうとするとドアを閉められた。なんてこった。昔の東京の通勤ラッシュ並だ。地下鉄が便利になり、バスよりも高い地下鉄に乗る人が相当増えているらしい。しかも、この1号線は上海火車駅より北は本数が半減するので更に混雑を招いている。これは早くなんとかしないと、上海の交通が機能しなくなるだろう。それにしても、次の列車には意地でも乗らないと確実に間に合わない。今駅を飛び出してタクシーを捕まえても、渋滞で間に合わないだろう。乗車位置を変え、背中の行李を足元に押し込む作戦に変更。そして遠慮なく人民を押し込む。これでなんとか乗車に成功。上海火車駅ではまっすぐ入口へ向かい、エスカレーターをあがりながら電光掲示で候車房を確認。すでに改札が始まっていたが、間に合ったらしい。やれやれ。
この特快は硬座ながら二階建て車両で、切符をよく見ると「上061号」と書いてあった。上の席らしい。切符売り場のおばちゃん、上を取るとは気が利くじゃないか。車内は昔のようにひまわりの種が散らばったり、ニワトリが啼いたりするような事も無く、MP3プレーヤーを聞いていたり、パソコンでDVDを見ていたりする。特快ということもあるが、随分変わったと思う。
定刻より少し早く鎮江へ到着。切符売り場へ行くと、電光掲示に軒並み「旡(無し)」の文字が並んでいる。これはまずいととにかく列に付き、明日の軟座を頼むとうまい事買えた。新空調軟座特快57元也。更に新聞売りから地図を手に入れる。他の街より随分小さくパンフレットに近いが必要なバス路線などは書いてある。そして宿の確保。鎮江賓館へ行ってみる。4ツ星だがガイドブックに200元〜と書いてあるのである。屈強なベルボーイがドアを開けて待っている。フロントの小姐が笑顔で「ニイハオ」と挨拶する。広いロビーにはクリスマスツリー。どう考えても200元はミスプリだろうなぁと思う。値段を聞くと、340元と480元があります。やはり・・・。そうだよね。4ツ星だもんね。うん、わかってはいたんだけど・・・と、しばしフリーズ。しかし、小姐は少し私を観察した後、「200元の標準間がありますが・・・」「標準間を見せてください」屈強なベルボーイに案内されて、ホテルの奥へと進み、従業員通用口のような裏の出口から外に出ると、ホテルの裏には旧館があり、その2Fの一番奥の部屋へと案内される。古いけど清潔に掃除された快適そうな部屋だ。ふさわしい。
いったんロビーに戻って手続きをしてから、再び部屋へ行き一息つく。やはりベースキャンプが決まると落ち着くものである。住む所が決まれば次は食だ。ホテルに来る途中に永和豆漿があったのを確認していたので入ってみる。なんと煎餃があったので頼んでみる。中国で餃子と言えば蒸した餃子であるが、煎餃は日本と同じような焼き餃子である。皮は少し厚めで食べ応えがある。甘酢あんかけの様なタレがついてくるのでこれで食べるのが正しいのだろうが、つい中国醤油とラー油で食べてしまう。更に本能に従って油条と春雨というちぐはぐなモノを頼んでいく。油条もパイ生地のような食感でなかなかうまい。
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車内の風景は随分変わった |
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鎮江駅にいた故郷の訛り懐かし東北新幹線 |
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ちょっと旧くて快適な部屋 |
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テレビは当然PANDA |
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油条 |
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煎餃 |
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■ミッション5 中国蒸機を撮る
ここ鎮江では重要なミッションをこなさなければならない。最近は、ここ中国でも重労働は嫌われ、公害も問題になってきている。その為石炭を産出するこの国でも蒸機は風前の灯である。その貴重な蒸機がここにいる。駅前からバスに乗り、先ほど入手した地図をたどりながら、途中から百度(中国のサーチエンジン)地図を印刷したものを元に位置を確認してゆく。バスが線路を跨いだ所ですぐに下車。かなり殺風景な場所に降ろされる。蒸機が必ず来るという保障は無いが、風の中に石炭の匂いを感じる。しかし、なかなか気温も低くいつ来るとも分からない蒸機を待つというのはなかなかしんどそうだ。しかもどうも催してきたようである。早起きで列車に乗り、ちゃんと任務を果たしてなかったのがいけなかった。当然こんな場所に公共厠所はない。さえぎるものも無い。とりあえず、ロケハンを兼ねて線路沿いを歩いてゆく。
採石場のトラックが砂埃を上げて走ってゆくので、目は痛いしレンズはすぐ汚れてしまう。しばらく歩くと「小心火車(汽車に注意)」という看板があり、ここで道は踏切で線路を越える。このあたりは小山の切通しとなっていて、人目を憚る場所もある。他所の国の大地を汚すことは非常に憚られるが、背に腹は代えられない。ここにて無事に任務を遂行す。分身を大陸に委ね一体化していくような爽快感。
踏切まで戻ってみると、遠くに狼煙が見える。やはり来るらしい。慣れない望遠レンズを掲げる。望遠は滅多に使わないのだが、このために7,000円のジャンクな望遠レンズを持ってきてある。大陸にふさわしい悠々としたスピードで火車が近づいてくる。完全に逆光だが、寒いだけあってたっぷりと煙を上げ迫力は十分だ。今度は今来た道を戻ってゆく。30分ほどして先ほどの火車が戻ってくる。こちらは空荷で後ろ向きに走ってくるため、迫力的にはイマイチである。
次の火車はカーブで迎え撃つ。背景が煩雑な場所だが、煙でうまく隠せるような気がする。意外に早く15分ほどでやってきた。その迫力に大満足だ。思ったよりも本数があるようだ。運行間隔はあまり一定でないようで戻りは40分ほど後だった。もう一本撮ったら帰ろうと思っていたがこれがなかなか来ない。陽も傾いてきて体も冷え切っている。でもここで帰ろうとすると来るかもしれない。結局1時間後に火車は現れた。しかし、これは機関車1両の回送のみで、煙も無くスピードも速い。しかも、予想とは違う支線の方へ逃げていってしまった。残念だがこれにて撤収だ。
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きしゃにちゅうい ハートマークがちょっとお茶目 |
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機械というよりは生き物に近い |
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デザイン・・・っていったいなんだと思う |
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帰りは軽やかに |
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目立たぬように はしゃがぬように |
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時代おくれの男になりたい |
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ホテルで一服してから、再び回転ドアから”4ツ星ホテルの客”として街へ飛び出してゆく。近くの超市へ入ってみる。さすが酢の本場だけあって、酢の乳酸菌飲料なども豊富だ。それからチョコレートくらいの大きさの箱に入った、ラクガンも購入してみる。赤い外装に双喜が書いてあり、なかなかチャイナチックだ。バラ売りのお菓子を買ってみると、これはまず売り場で重さを計ってシールを貼ってもらってからレジで払うという方式だった。さらにバドワイザー・・・っぽいビールも購入。
裏通りを歩くと小さな食堂が並んでいる。回教の白い帽子を被った兄ちゃんが店先で面を打っている牛肉面屋があり、なんとなく惹かれて入る。ここで紅焼牛肉面と排骨面を頂く。食後には駅の近くのインターネットカフェへ。コントロールパネルをいじり、日本語を使えるようにしたのはいいが、まともに日本のページが見られない。後で聞いたことによると、台湾の地震により海底ケーブルが損傷して海外のページが見られなくなっていたらしい。羊肉串を買って、部屋に戻り快適な風呂に浸かる。部屋も暖かいし、もう一泊くらいしたいところだが、既に明日の切符を買ってしまっている。
2006年12月29日
200元の部屋でも待遇は同じで朝食が付いている。しかもチャイナドレスの小姐が案内してくれる。バイキングだが、中華がメインでどれもなかなかおいしい。おなかいっぱいになってしまうのが残念でならない。
11:00頃退房(チェックアウト)。市内の中国銀行で両替をしようと思っていたが、よく考えるとここは4ツ星ホテル。ここで換えればいいわけだ。うーむ、当たり前だが便利だ。更に帰りの列車まで荷物を預かってもらう。200元でとことんサービスを利用して申し訳ないが、そうするしかないので。
■ミッション6 香酢の量り売りを探す
鎮江と言えば、酢の街である。某健康食品メーカーや○やのCMでおばあちゃんが甕で香酢を売っているのはここの話であろう。もちろんあのCMはイメージであると思うが、中国で焼酎の甕売りはあるので、香酢も探せばあるような気がする。ホテルのすぐ近くに最大手恒順の巨大な工場があり、付近にはスッパイ匂いが漂っている。工場に売店が併設されているので入ってみる。すると、みんな手にペットボトルを持ち列を作っている。そして白衣の小姐が柄杓と漏斗で酢を入れていく。○ず○CMの風景は、現代でもこのような形で続いているようである。私は満足した。値段はリッター3元(約45円)。カプセルに詰めて日本で売れば・・・なかなかいい商売である。
2路のバスに乗る。このバスは市内をぐるりと回っていて便利なバスだ。市内を眺めることもできて楽しい。このバスを人民街で降りて散策する。天気がいいので、のんびりした街になんでもかんでも干してある。しばらく歩いてゆくと西津渡街という古い街並みに出る。観光用に売り出そうとしているようで整備を始めているが、センスは悪くない。この街を抜けると、更に生活感溢れるラビリンスがありここはどれだけ歩いても飽きない。ここを探せば甕売りの香酢もありそうな雰囲気だが、残念ながらそろそろ火車の時間である。
軟座待合室でヒマワリの種を噛みながら列車を待つ。到着少し前にホームに出たが、少し遅れて来たので冷たい風が結構堪える。指定された席に行くとおっちゃんが座っているが、怯まずにどかそう。さすがに軟座はリクライニングシートで快適である。座面が前に出るタイプなので、後ろに気兼ねせず倒せるのがいい。車内でパソコンをしている人が思いのほか多い。
ごく普通に快適なビジネス特急である。
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これでうまくない訳が無い |
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仕事の後はやっぱりバドだな |
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権利の濫用を少し反省 |
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韋岡温泉というのがあるらしい |
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香酢の量り売りは今も健在 |
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思い思いの入れ物で買ってゆく |
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よく晴れた午後は |
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洗濯日和 |
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って電話できませんけど・・・ |
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子供達が空に向かい〜 |
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市場へ行く人の波に〜 |
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石畳の街角をゆらゆらと彷徨う |
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ちょっと飛び降りてみただけの |
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異邦人 |
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あとは哀しみを持て余す |
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都市美人・・・なんじゃそりゃ?! |
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その先の中国へ