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一言でいうならば、生化学とは、正常の個体での「もの」の性質とその流れ、アメリカでは、病態を含んだ個体での「もの」の性質とその流れ、と言うことができます。
物事を構造と機能とに分けるならば、生態という系の構造の方に重点が置かれています。生態中での化学的な反応を構造と捉えるか否かは議論の余地が残るところですが、それが生命活動の原動力になるものであるという点、情報伝達の媒介としてのものであるという点で、ものとその流れとして捉えるのが妥当であると私は結論づけています。
ものの流れは学術的には「代謝」と呼ばれていますが、生体の活動を維持してゆくためには大きく分けて以下の4つがあり、生命活動を維持し、生命の主としての情報を伝達してゆくためにはGenetic Information があります。
人にとって生命活動を維持するために必要な代謝系
・Intermediary Metabolism
・Carbohydrate Metabolism
・Lipid Metabolism
・Nitrogen Metabolism
ただ、一口に代謝・代謝系と言っても、ものの流れと言うにはあまりにも複雑であって、これを理解するのは一見非常に困難なものであるように思われます。
しかしながら、医学の立場から、知っておかなければならないのは、1つ1つのものであると言うよりは、「流れ」それ自体にあるといえます。たとえば、次のような生体反応(代謝系)があったとします。
A->B->C->D->E->F->G
もちろんこのようにA から、G ができる代謝経路であったとして、A が原料で、G が生成されると言うことを押さえることは重要なことですが、すべての要素について知っている必要があるかと言われれば、疑問符がつきます。その理由は1つには、数が非常に多すぎて、生化学の専門家ならともかく、医療行為を行う上での医学的な知識という「手段」の中に含まれるもの、つまり、「手段としての生化学」を学習すべき医学生にはよほど記憶力に自信のある人以外には無理であると思えるからです。少なくとも、私はこのグループに入っていると思っています。では、このA からG へのものの流れのどこにポイントがあるのでしょうか??たとえば、何らかの原因でD->E のステップが進まないと言う現象が生体内で起こったとします。その原因が、酵素や補酵素の欠損だったり、エネルギーの供給不足だったり、遺伝情報や、生体情報がうまく伝わらなかったりしますが、これらによって生体はある種のバランスを崩して通常の状態とは異なった状態でバランスをとったり、バランスがどんどん狂っていったりします。これを私は病態生理と理解しています。そして、この点がまさにこの代謝系を理解する上で非常に重要なポイントになるわけです。つまり、私たちにとっての代謝系を理解する上で必要なのは、このように大きな流れと、その流れの中で起こりうる障害であると言うことができると思います。
ちなみに、私は現在薬理学を学習中ですが、薬理作用とはまさに、このようなものの流れ、この場合には情報伝達に関して、その情報経路を抑制したり、促進させたりして、生体活動をコントロールしようという科目であると言う印象を持っています。
話が少しずれてしまいましたが、以上をまとめると以下のようになると思います。
1 経路の名前と細胞内での役割
2 経路の最初の反応物と最終産物の名称と構造を学ぶ
3 経路に関する知識〜合成系なのか分解系なのか??酵素は?......etc
4 その経路のキーステップとなるところの分子構造とメカニズム。
このようなことに関してこれから学習をしてゆくわけです。
さて、以上を総論として以下各論に入ります。なお、この各論に関しては、Lippincottユs Illustrated Reviews; Biochemistry を眺めながら、書こうと思います。この本は大きく分けると以下の7つの項目に関して議論されています。
・Protein Structure and Function
・Intermediary Metabolism
・Carbohydrate Metabolism
・Lipid Metabolism
・Nitrogen Metabolism
・Integration of Metabolism
・Storage and Express of Genetic Information
このそれぞれについてコメントしてゆきたいと思います
・Protein Structure and Functionについて
生体内での働き手であるタンパク質と酵素について述べられています。
人の細胞内でのほとんどすべての反応は、酵素によって触媒されている
ので、これらはすべての基礎になると言っても過言ではありません。
・Intermediary Metabolism
中間代謝とは、食物の吸収から分泌物の産生にいたるまでのすべての
代謝反応をさし、この代謝反応によって生体は活動に必要なエネルギー
を得ることができる。その基本となる代謝系には、解糖系・糖新生系・
クエン酸回路・ヘキソース一リン酸経路などがある。
・Carbohydrate Metabolism
・Lipid Metabolism
炭水化物代謝は炭水化物が組織中で受ける酸化、分解、合成反応のこと
であり、脂質代謝は脂質が組織中で受ける酸化、分解、合成反応のこと
を指すと思われるが、これらは細胞内で種々の反応で、エネルギーが
消費され、あるいは生産する仕組みを学ぶ。炭水化物では単糖類、二糖
類、多糖類、糖蛋白などの代謝経路について、また、脂質代謝について
はリン脂質、トリアシルグリセロール、脂肪酸、糖脂質、コレステロー
ル、ステロイドの代謝などについて扱います。
・Nitrogen Metabolism
窒素代謝は、代謝経路で生じるタンパク質の生合成で生じるアンモニア
やタンパク質の分解過程で生じるアンモニアの処理法や利用法などに
焦点が当てられます。
・Integration of Metabolism
今までの項目で学習した様々な代謝経路を統合し、これまでには語られ
なかった細部について扱います。それは酵素、補酵素などと言ったもの
ともいえる栄養素やビタミンの話、インシュリンやグルカゴンの話、満
腹時の話、逆に飢えているとき糖尿病の時、そして外傷を受けたときの
話(まだ読んでいないのではっきりしたことは言えませんが、外科侵襲
なんかもこれに当たると思うのですが)
・Storage and Express of Genetic Information
これは、遺伝情報の伝達を生合成と分解、伝達という3点から学習する
というものです。遺伝病に関しては、とりあえず染色体のどこが欠損し
てるからと言うのは分かっていても、だからって、その機構がきちんと
理解されているわけではないので、現在遺伝疾患などを学習する際には
私自身非常に苦しめられています。