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まえがき
セッスクフレンドは前にも一編、短編書いてこのホームページに載せてたのですが、ホームページ移転の時にこぼれて、ちょっとデータが掘り出すのがめんどいので、ちゅうぶらりんです。前作とはキャラとか話し違います。まあ、前の一作目のセッスクフレンドのデータがある方は著作権フリーにするのでそれをホームページや本(有料物も)にしてもらってかまいません。昔ホームページに載せていていま載せていないものもそのうちオーケーだすので、いまはなんとなくこんなところです。一作目は20代前半に書きました。そしていま30代に突入。年齢とは関係ありませんが、私にとってこの作品は書き手として区切りをつけていく時に書こうかなあとか思っています。
『セックスフレンド〜愛は背中あわせの感じ〜』
男は日常のヤツと非日常のヤツがいる。
あたしのとなり、ベッドの上にいるヤツはどっちだろ。
まーどーでもいい。
あたしは歯をみがいて部屋から出ていく。
退屈な仕事が待っている。
全力だがなにかものたりないのだ。
それを男は補(おぎな)ってくれる。
男といれば疲れた心を刺激が包む。
帰宅すると男がメシ作って待っていやがった。
「あんたなにしてんの」
「夕食作っときました」
「あのねえ、あんたはこんなことしないでくれる」
「そうですか」
「あんたはただのセックスフレンドなんだからね!」
「あ、そうですか」
男はうなずきながらメシの支度(したく)してる。
「あーうざったい。
めんどいのは仕事だけでうざいってのに」
「そうですか」
「なんかいいにおいするねえ」
「みそしるいかがですか」
「んーもらおうか」
二人でメシ食う。
「うまいなあ。
あんたいい嫁さんになるわよ。
男にしとくのがもったいないねえ!」
「ども」
メシを食い終わる。
「それじゃ帰ってくれる」
「あしたのごはんはベーコンエッグです」
「あらそれもいいわね」
まー使いっぱしりでこんな男もいいか。
「んじゃあたしは仕事を持ち帰ってて、これから書類書くから」
「うん」
男はあたしが仕事してる姿をじーっと見てる。
「あんたテレビでも見なさいよ」
「うん」
「あーでも聞きたいラジオがあったんだ。
やっぱテレビ見ないで」
「あい」
男はあたしを見てる。
「あんたどこの出身なの」
「東京」
「あっそ」
もくもくと仕事するあたし。
あーなんだかねむい。
「あんたふとんしけ」
「はい」
ふとんがしかれると、あたしは横になる。
そのまま眠ってしまう。
「朝ですよ」
「え?」
窓の外は明るくなってる。
「あー書類できてねえ〜」
「やっときました」
「は?」
書類ができてる。
「あんたは小人さんか!」
「はい」
「助かったわよありがとう!」
あたしは意気揚々と仕事に出た。
いやーいい日もあるものだ。
仕事も順調だ。仕事を終え、部屋に帰ると男がいる。
「あーごはんだあ」
うーん「うまい」
「そうですか」
男にエプロンもいいものだ。
「でもねえ、あんたはただの男なんだから、
こんなことしなくてもいいのよ」
「そうですね」
男は笑顔だ。
なんかちょーしくるうのよねえ。
「あんたねえあんたは好きなことしてればいいのよ」
「だからここにいます」
「あー? まあいいか
皿洗っといて」
「はい」
あーねみー。
手をふってふとんしいてもらう。
「あんたやりたい?」
「べつに」
「あっそう。
あたしは疲れたから。
おやすみ」
「おやすみなさい」
「ちょっとひざまくらしてよ」
「はい」
いがいと男のひざはごついなあ。
「子守歌うたいなさいよ」
「いいですよ」
なぜかどんぐりころころだ。
なんかおちつく。
こういう男もいるんだねえ。
「あんたさあ、男は強くなくちゃいけないよ……」
そんな感じで眠りつく。
愛がないえっちはものたりない。
性のない愛はつまらない。
ふつうに生きていくのに愛はいる。と思う。
「あーあんた」
「なんです」
「名前なんだっけ」
「せつなです」
「あたしはあかね。
あんたしばらくいなさいよ」
「ありがとう」
男はまた歌いだす。
男はどこにでもいる。
女はどこにでもいる。
でもなにか足りないものがある。
「あんたさあ、せつなはなにが好きなの」
「あかねといる時かなあ」
「あーうまいこと言うね。
明日映画でも行きましょ」
「そうですね」
次の日、映画はハリウッドアクションだった。
ランチすまして散歩する。
海が見える。
フェンスの先に。
「あんたなんでここにいるの」
「なんかワクワクするんです。
あなたといるとドキドキするんです。
そのあいだはここにいます」
「あんたらしいわ」
空はどこまでも青い。
「買い物してきます」
せつなは走っていく。
あたしは部屋にもどるとだらーっとしてる。
遅いなせつなのヤツ。
どっかでまよったかな。
チッチッチッ……
時計はうさぎの子守歌。
と、不思議の世界では言うのだ。
あーねむい。
あいつあ、どこいったのよ。
だー、女をなんだと思ってんのよ!
あーむかつく。
感謝くらいしなさいっての。
男はいつも勝手なのよ。
どこへいってもそう。
最近の男はさいていなのばっかりよ。
「そうでもないですよ」
「あらせつな。
あれ声出してた」
「けっこういいやつもいるんですよ」
「はっ、そんなのうわっつらだけよ。
男は女の上前はねて生きてるのよ!」
「そんなやつばかりでもないですよ」
「はっどうだか。
色目使って心を狙ってんのよ」
「あなたはだから体だけなんですか」
「うるさいわね。
いいこと言ってるとぶっとばすわよ!」
「そうやって生きるのには心なくして生きられない」
「はっ男とか女とかうざったいことみんなぶっとばせたら、
どんなにすかーっとくるか」
「あーそうですか。
じゃああなたはがんばりながらそれを否定していくのだ」
「あんた勝手に決めないでくれるかな。
あたしがどう生きるかあんたになに危害加えるってゆうのよ!」
「えーなにもないですね」
「そうでしょう!」
「でもねえ、あなたがいればがんばれる人もいるんですよ。
純粋なあなたがいるんですよ」
「はあん、それがあなただっていうわけせつな!」
「そうです」
「はん! そんな口車であたしの世界の現実がなくなるとでもいうの!」
「なくなりません。
でも、ちょっとハッピーになります」
「誰がよ!」
「ぼくたち二人です」
「あんただけでしょ。
あたしはね自由が欲しいの!
愛が欲しいの!
あんたが欲しいのよ!」
「ぼくですか?」
「そうよいけない!?」
「えーまあいいですよ」
「え、あ、いいの?」
「なんか問題でも」
「ない……かな」
「ちょっと歩きませんか」
「う、うん。いいわよ」
あたしたちは夜の街を歩く。
たぱたぱたぱたぱ。
夜の街は明るくってそれでいて雰囲気は暗い。
静かだ。
まあ昼にくらべてだけど。
暗く闇に切り取られた世界は一瞬一瞬が写真の1コマみたいであたりはまぶたというシャッターに捕らえられた一瞬の永遠。
なんであたしはいるのだろう。
誰かに必要とされてるのだろうか。
せつなを見る。
「あんたなら、あたしをしあわせにしてくれるの」
「う〜んどうかな。一緒になってみないと分からないかな」
「てきとーなできあいのセリフでねえ!
まあいいんだけどさ。
ほんと、あんただけのもんじゃないってこと、わかってんでしょうねえ」
「なにがです」
「この時間だってなにもかもそうよ」
「あーよくわかりません」
「てめーわかってて言ってるな!」
「そうだったらどうします」
「なにがなんでも幸せにしてやるんだからね!」
「わあこわい」
二人で笑った。
ただ笑った。
夏は終わった。
なにかがちょっとはじまった。
まあいいか。
なにもかも明日にしょう。
とりあえず「生きてるぞ――っ!!!」
「そうだあーっ!」
せつなと夜にさけぶ。
とぼとぼ夜の街を歩いた。
陽(ひ)を待ち望むかのように。
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