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ホンのページ
















ここではアニメのホンコンセプトとなるものを置いておきます。





























2007−8月31日 金曜日 午後11時49分













はじめに。
ハルヒの伽羅設定をここに置いておきます。
実地訓練ということと、ファンの人は読んでみてください。








鈴宮ハルヒの憂鬱リターンズ









螺旋を横から見ると波。本質は回転しながら螺旋しているみっつの球であること。




ハルヒはアスカ。
長門はレイ。
んではみくるはシンジである。
これはへたれ伽羅ということであり、鬱属性としてのシンジではない。
キョンはカヲルくんかな。
ツッコミ役としてだが。
その他の伽羅はどーだったろ。
まだふたつの話しか見てないのでなんともはや。




ハルヒはエヴァンゲリオンのしんじくんが劇場版のラストで神様となって作った世界のひとつの可能性のひとつと言える。
テレビ版ラストの学園エヴァもひとつの可能性としての未来だったのだ。
しんじによって作り直された日常。
古泉はこの世界は昨日作られた可能性もあるのですよと言う。
つまりはしんじによって作られた世界なのだ。
ハルヒは積極的な女性だ。
それは明るくて皆の人気者(?)のアスカになりたいと思ったしんじの生まれ変わった姿だったかも知れない。
そして神様の力を失ったれいはキョンとなり、アスカはみくるとなって、ハルヒに仕返し(?)のごとくにいじられている。
といったとこだろうか。
長門と古泉はそういった視点からはみさとさんと加持あたりなのだろうか。
いやまあそこまでは考えていない。
前世(?)として設定していたのはこの三人までだ。
長門と古泉はそういう伽羅配置上、静かな伽羅と説明する伽羅が欲しかったのだ。
伽羅配置としては、エヴァンゲリオンやセーラームーンなどの当時のヒットパターンをなぞってみた。
作り方としては究極超人あ〜るを元にしてみた。
楽しい部活動。
それがロボットのあ〜るや幽霊の彼女などがいることで繰り広げられる楽しい部活動。
魅力的な伽羅たちのかけあい。
これはいまも私のギャグ作品の原点のひとつとしているものだ。
ハクション大魔王など、楽しい作品はたくさんある。
これがやはりジャパニメーションや漫画やゲームの強さの一面であること。
その系譜を辿って作った赤ずきんちゃちゃは大ヒットとなる。
セラムンも笑える(?)シーンが結構ある。
いやまあいま時の若手はセラムンとか赤すぎんチャチャ見ていた世代でそれを元にギャグ作品を作ってるというから、80年代90年代の作品も、ずいぶん古くなったものだ。
いやまあ拾うべき古い分岐という意味かな。
私なんてコロコロコミックとかコミックボンボンを読んで大爆笑していたくちだ。
ハルヒの憂鬱はちょうどサンデュを思い出していた時に作った作品コンセプトなんだよね。




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伽羅
この個性サンデュはステレオタイプな感じですが、これはまあ基本となるベースであり、基礎であるものです。
実際の個性はサンデュでは描けない部分や、描ける部分、また変わり続ける部分などがあり、一概にはとらえられません。
概念を定義することにはかなり有効なサンデュも、万能とはいかないようです。
いやまあ万能なものってなかなかないですけども。
十徳ナイフとか(?)かな。
まあそれを基本としながらも柔軟によろしく。
これは一定アニラジやお笑い芸人さんにも(?)こんな感じというのはありました。
たとえばますみんならばこんな感じでというのはね。
一見実際の人が笑ってばかりとかのリアクションは変な感じですが、まず笑ってみるというのは、楽しさの基本(?)のようなもののひとつなのですよ。
だからまあ、赤ずきんチャチャで、なにはともあれ怒るリーヤとか、常識的な日高さんの伽羅にチャチャは笑ってばかりのリアクション。
これは新しいアニメだと言われたものでした。
もちろんセラムンもこの時期のアニメはこうして作られていたのですね。
大ヒットしてましたねえ。
いまもその発展上にある作品がヒットしてますね。
まあヒットパターンなんて似たようなものですよね。
この時のリーヤの声は香取氏で、この頃から有名人起用、歌手俳優さんタレントさんのマルチに仕事を展開するというものをしていました。
最近ではお笑い芸人さんに小説書いてーと言ったり、漫画原作と色々とあります。
これは人には場があれば変われるというひとつの方向性かなあ。




キャラクターの起承転結。
伽羅の第一印象。
これがキャラクターの起承転結の起となります。
まさに物語の起動に当たります。
これが誰であるのかのあいさつ。
オラ、悟空。
これだけでおっけい。
あたしは鈴宮ハルヒ。
宇宙人に未来人に超能力者に異世界人。いたらあたしのとこにいらっしゃい(細かくは違うかな(?))のように、ハルヒは一言で自分が何者かを表現しています。
これが起となります。
またそれにツッコミを入れるキョンも起となります。
古泉はそれは興味がありますという、「それは秘密です」の台詞が印象的なゼロス(スレイヤーズ)の立ち位置の伽羅です。
古泉を見て、ゼロスを思い出す人も少ないでしょうが。
そもそもは伽羅のバリエーションなど、数えるほどしかありません。
もちろんそこはいろんなサンデュでまったく新しいスタイルの伽羅を構築して行くのですが。
そういった意味ではおんなじ一人称視点小説なのに、ハルヒに視点を持ってこないで、キョンという、ちょい脇に視点を持って来るのも、スレイヤーズを基本としつつ、ずれているのかも知れない。




人は本質を補給しないと生きていけない。
たとえばそれはツンデレやパンチラ効果であったりするのです。
本来本質は自然に回復するものなのですが、人はやはりその力が強いためにバランスを崩す力もまた強いのです。
本質が回復出来ない人は本質をとらえること、本質のバランス感覚を失って行きます。
私などはテレビゲームとかアニメ見てバランス感覚を整えているので、ずいぶんとインドアなタイプではあります。
人と話すことも好きですが。
この本質の回復を人に求めた場合は依存関係となります。
もっとも依存関係において強く、バランスが取れているのは家族だといえます。
家族はそれゆえに共通といえます。
恋愛や師弟や労使関係が特殊であるのに対して、家族はその基本基礎を整えています。
個人は個別孤独でしょうか。
こうみれば孤独とてバランスに必要に見えます。
バランスから見た場合はすべての要素が必要となります。
物事を本質的な観点から見ること。
その優位性がひとつにはここにあります。
本質というバランスを回復出来ないと他人をいじめたり、犯罪者になったりします。
個人個性に合った効率的な本質の回復が必要です。
これは半分冗談ですが。
ははは。
心のバランス感覚はお金儲けではあまり回復しないほうが良いとは言われています。








ハルヒ
鈴宮ハルヒ(女神様)ああっ女神様な創造主。
ムードメーカーどころか、コスモメーカーな彼女。
笑顔のリアクション(基本)。天真爛漫(本質)。寂しがりや、キョンが好き。(裏門)。
裏門は普段は見せない部分であり、これが綾波であれば笑顔となります。
人やすべての本質は回転するミラーボールのようであり、人は輝きをたくさん持っています。
そしてこのミラーボールは回転しているのですが、常に見えない部分があります。
これが裏門になります。
基本がツンであるのに対して、この裏門は男女においてはデレとなります。
本質の裏を感じることで、人の心は前に進めて、これを探すのが希望となります。
ライブの後の寂しい素顔をキョンに見せる。
これがハルヒのデレとなります。
もちろん普段明るいのはさびしがりやの裏返しということです。
本質の天真爛漫というのは、天然な明るさを言っており、これはハルヒにとっては普遍、共通、一般からもそう見られている一面であります。
学校ではかなりの変わり者で通っている(そのまんまやね)。
毎日変わらない日常。
それが変わることを望むハルヒ。
それを望まない古泉とみくる。
見ているだけの長門。
そしてキョンの出した答えは、ハルヒに退屈で憂鬱な日常で生きることを決意させる。
変わったことが大好きで、それが自分がバニーの姿でいることで、他人よりも変わった存在になることに興味があります。
楽しいことが大好きで、それはかなりおたくに近いものがあります。
キョンが好きだと思ってみくるを明度姿にしています。
確かにキョンも好きですが。
キョンはみくるの愛くるしさが好きなので、明度好きかは普通でしょう。
またハルヒは明度さんが好きです。
いたらいいなあという欲求をタイムパトロールとして来てるみくるに満たしているのです。
ハルヒは一見世間離れした存在です。
が、主人公は共通線であるように、ハルヒは超常現象のほうの基本基礎といえます。
ここから外れることが、超能力バトルでも基本となります。
いえもう、ハルヒはこの世界そのものです。
ハルヒが認める範囲しかみんな力を使えないといえます。
ハルヒこそがこの世界の許容範囲そのものなのです。
ディズニーはねずみ一匹でお城立てています。
伽羅個別の個性をひとりひとり描くことで、作品の共通線はゆれていって、それは本質を揺らし、作品をヒットさせます。
伽羅をひとりひとり丁寧に描くことは、作品のひとつのあり方といえます。
ハルヒは双子の主人公のでかいほうの一人です。
ですが、デリカシーのない(?)タイプのキョンに対して、非常にデリカシーというか、微妙なニュアンスの気持ちのある伽羅です。
他人へのその無視の仕方も凄いとこがありますが、決していやいや(?)ではないはずです。
だってこの世界そのものなのですから。
神様が見ている夢。
夢なりしでぃ。
けれども、世界は起きるまでの一瞬のうたかた。
なのかも知れません。
しんじが見ていた夢はしんじが起きたときに終わり、またハルヒは目覚めました。
さて、いま夢を見ている人は誰でしょう。
ハルヒはとても細かい子なんです。
大雑把に見えたり、変人に見えるのはそれがまだ学校という世界が規格された部分を残している一面をあらわしています。
もし自由な社会ならばハルヒは変人ではないでしょう。
キョンはそれを本質的に理解した。
だからハルヒから好かれているのです。
キョンはハルヒを一定変わった子だと思っていますが、本質的にはそれを理解して、またハルヒに一定着いて行っています。
そこに二人の出会いと行動、双子の主人公がいます。
キョンはハルヒのリミッターではなく、相乗効果としての相方なのですから。
ハルヒとキョンが二人がいればもっと面白い。
それが憂鬱なハルヒの日常なのです。
ハルヒはリーダーとしては強引ですが、それぞれに任せるというのは上手いこと伽羅に仕事を振り分けています。
これはキョンにも言えることですが。
いやまあキョンは巻き込まれタイプなのかなあ。
殺人事件では現場ひゃっぺん。
困ったら現場に戻れといわれますが、これがこの作品ではハルヒになります。
それが主人公というものです。
キョンはだから何度でもハルヒの元に戻ることになるのです。
この作品はウルトラQを基本としてるよね。
主人公たちは怪事件を解決する。
けれどもその中心にいるハルヒに気づかれないようにするという約束事があるというかね。
そこは基本からずれているけどもね。
つまりこれは怪しい版の名探偵コナンなのだ。
もちろんハルヒにはいつも外してもらわなければならないが。
後は学園ものという面もある。
ハルヒたちの日常が描かれている。
ハルヒには憂鬱だけどもね。
またバトルものという一面もあり、これは長門がいがいにも電脳空間で良く戦っていたりする。
古泉のは人との対決ではないのだが。
反目するグループはあるようだ。
ハルヒの変質がこの世界そのものを変える。
そこにこの作品の楽しさがあります。
そしてハルヒの気持ちの変化は見ている人の気持ちを感動させます。
ハルヒはコスモネットワークそのものであり、長門たちはその一角を得る情報知性体です。
またみくるに取っては未来と過去といますべての時間となります。
古泉には力の元。
キョンは好きな奴。
ティルトには特異点。
ハルヒがいるからあたしがいる。
それは見ている人もいるほどの伽羅なのだ。
スターと言っていい。
スターを主人公にする作品もそのままあるけども。
いれば画面が輝く。
それが写る雑誌は買いたくなる。
それだけのスターなのだ。
ミサトさんなどはスターだレイやあすかはスターとしているのだ。
だからそれを演じる声優さんもスターとして扱われるのだ。
あんまりかわいくない声優さんもスターとなる。
輝く星なのだ。
ハルヒがさびしがりやというのは、実は何々というパンチラ効果になります。
番組や作品がヒットするかどうかは一面ではこのパンチラ効果によります。
パンチラしてスカートの中のパンツが見えると楽しいこと。
隠れたミラーボールの裏の一面が見えた一瞬に人は感動したり楽しんだりします。




みくる
みくる(未来人)時を駆ける少女、かな。とお〜きーををかぁけるしょうじょをー。
タイムパトロールに所属する少女。
あっかるくかわいいリアクション(基本)花鳥風月(特殊)キョンとハルヒの子供(裏門)。
キョンとハルヒの娘……なのかな(?)。
たぷんね。
涙脆く、感動しやすく、また恐がりで、とにかくまあ、そういった感情が表に直ぐ出るタイプ。
これはポーカーフェイスな古泉やキョンとは対局的な伽羅ですね。
ハルヒも普段は良く良く感情が出ますが、隠れている部分はみくるよりもハルヒのほうが多くあります。
これはハルヒがより慎重であるのに対して、みくるはうっかりさんなので、隠しているつもりが天然で見せてしまう感情があるのです。
古泉と長門は隠していることはありません。
が、古泉は饒舌なわりには説明しにくい特殊な事例が多いのと、長門は演算形式でしか本来説明しません。
それに古泉と長門は必要以上のことは言いません。
その点、ハルヒとみくるとキョンは関係ないことまで言うといえます。
みくるにもタイムパトロールの規約で言ってはならないことはたくさんあります。
それこそ一番あります。
未来のことを知っているのですから。
が、その天然さで素振りで見て取れてしまいます。
それがまたかわいいのです。
それは秘密ですというのは某宇宙パトロールの美人先生の言葉に近いものがあります。
時間の流れさえも無視しうるハルヒを偵察するのが任務です。
これは長門や古泉におなじといえます。
ハルヒという作品は小説売りです。
小説しか読まないという世界には変った人がいます。
テレビゲームしかしない人もいます。
それをアニメを見せるというので、小説売りといいます。
でもこれは原作の本質を小説の形にするので、原作がいわば文字であるということです。
いやまあコンテもホンも文字ですが、その原作が膨大(?)な文字から構成されているというのは、違う本質を持っているものです。
これはギャルゲーが原作でも変りません。
新作カノンなんかそうですね。
これはゲー売りといいます。
アニメは既にそれのみでオリジナルで存在しなくなってきています。
この話は長くなるのでまた。
たとえば長門は数式の羅列によって構成されています。
みくるは時間のブロックを移動していて、この時期にいる子がタイムパトロールで違う時間に行っているのです。
人がいない時代はそれだけの存在を移動しています。
質量保存の法則は時間軸にも適用されるのです。
ハルヒは未来を法則に関係なく簡単に変えてしまう力を持っていて、そういう意味で変えてもらっては困るわけです。
ハルヒがキョンとくっつかないだけでもみくるは存在しないのですが、場になじむというか、過去という空間になじむのがみくるしかいなかったのでみくるが来ました。
もちろん年齢としてもいい感じに合っています。




長門
長門(宇宙人)幾光年の星からの使者。
銀河はひとつの星という回路から構成されるネットワークコンピュータであり、その端末のひとつとしての存在。
沈黙のリアクション(基本)。山静水動(本質)。本が好き、キョンを気に入っている(裏門)。
計算速度というか、ロジックが人の時間感覚と合わないので、演算形式を常に整えいる。
返事をしないのではなく、計算速度を場になじむために遅いのだ。
だからしばらく待っていると返事が返って来る。
キョンいがいは普通はそれに気づかないのである。
古泉たちはそれをキョンから聞いているが古泉は興味がなく、ハルヒは気が短く、みくるは未来を知っているので、一定聞く必要はありません。
空間を制御してる時だけ、計算速度は飛躍的に上がり、口数も比較的に多くなる。
感情は無いが、人が感情と呼ぶものを計算形式によって表現することはある。
もちろんそれはとても希(まれ)なことである。
それを知っているのはキョンとキョンから聞いている古泉だけである。
本を読んでいるのは演算処理をこの空間に馴染ませるためであるが、実は長門にとっては心地よい時間であり、気に入っていることのひとつである。
またキョンに演算形式を合わせることも気に入っていることのひとつである。
またハルヒに演算形式を合わせることは禁止されている。
それは末端としての長門の情報許容範囲を超えることであり、いわゆる生命における死を意味するからである。
ある意味、ハルヒの時流より距離を取りながら、見ている、状態が任務であり、また長門に取ってちょうど良い距離であること。
長門にとってみくると古泉は演算対象外であるが、部室にいてさらにハルヒといる時には、演算形式をみくるや古泉にも近づけている。
それをもし仲間と言うならば、長門に取ってもそうに違いないことである。
朝倉涼子のような敵性域は実はそもそも長門にとって敵などいない。
ウィルスはいるが、それはコピーに過ぎず、また朝倉涼子の存在はひとつの可能性の末端でしかない。
常に存在しない可能性は平行線上のことであり、いないのならば最初からこの世界においていないということになる。
つまり長門にとって死はなく、あるのはデリートたる消去のみである。
ベースとなっているのは綾波レイであることは明白。
この手の伽羅の亜流発展系はおなじくアキハバラ電脳組で林原嬢が演じる伽羅など、たくさんいる。
が、近年一番それに近い形で再現されている発展系と言っていい伽羅である。
アスカ(ここではハルヒ)が太陽のように明るい子であるのに対して、月のように静かな対象を成す伽羅である。
ギターの演奏も野球もすればなんでも出来る。
これは空間そのものと成れるので、その場では神のごとく力を出すことが可能なため。
もちろんハルヒの許す範囲である。
また、空間の取り合いもあり、一概には似たような存在との戦い、また古泉のあの空間内で戦えば古泉と互角の戦いとなる。
キョンを守ったのは、仲間を守ったと言って良い。
それだけキョンを内側の存在と見ているといえる。




キョン
キョン(一般人)普通なサラリーマンな学生。
この中では常識人という一番常識外れな存在。
冷めたリアクション(基本)。付和雷同(本質)友達思い、友情に熱い奴、ハルヒが好き(裏門)。
最終回では、ハルヒの手を取り、元の世界に戻ろうと言います。
これが友情に厚いキョンのデレとなります。
キョンの本質が付和雷同というのは常識的な感じに流されて行く(?)感じであり、目の前の人というとちょい違うかも知れません。
また超ハルヒ関連に対してはまず否定することが多いような感じ。
それもどうでもよさげにね。
太陽のハルヒと月の長門、火星の古泉と木星のみくる、冥王星のティルト、そして地球を守護星とするキョン。
地球を守護星と成すしんじやうさぎとはまた違う点がある。
いやうさぎはセーラームーンだから月か。
これはセラムンが少女向けであったから星占いの要素と、当時はぼくたまが流行っていたのよ。
いわばしんじくんやうさぎのように基本となるベースであるが、特にこれと言って特徴はない。
が、それが各伽羅の特徴を見せるのに、基本基礎となる存在であり、この世界の伽羅たちの共通線である。
キョンがいなければここからずれる伽羅たちがいないのだ。
絶対いなくてはいけない伽羅がキョンであり、主人公とは本来これを言う。
各作品で主人公があまり特徴がないのもこのためだ。
ダークシュナイダーなど珍しい主人公である。
まああれにはようこさんという双子の主人公がいるが。
主人公が双子である場合は良くあり、そのまま双子が主人公のアニメもある。
これは対比を見せるのに脇役では良くあるが、主人公でそれをすると、その主人公の二人の物語。
つまり世界系のひとつとなる。
キョンは本来ハーレムものの主人公だ。
これはしんじくんもそうだが、よりありがち(?)なふうになっている。
うさぎがドジ、しんじくんがうつという自分に特技があるのに対してキョンにはなにもない。
いやさ、常識人であるという点にもしかしたら特技があるのかも知れない。
それでいて、ある程度は状況に対処していく。
普通の学生だが、仲間の力を借りて、ハルヒという台風の中、なにが真実であり、なにが本質であるかをつかんでいく。
これがエヴァンゲリオンだとエヴァンゲリオン初号機が台風となります。
セラムンだとクリスタルとかね。
キョンは非常に仲間思いで、それは人情味に厚いと言える。
これはお金で仲間を売る(?)薄情お笑い伽羅よりは良くある主人公と言える。
だが、それでいて一番扱いが難しい。
ちょっとずれている主人公のほうがいい。
これはハルヒが本来はタイトルを冠する主人公に見えていることに由来している。
そういう意味ではダークシュナイダー的な双子の主人公をハルヒがしていると言える。
ハルヒと二人で一人なのだ。
ふたりでひとり〜。




古泉
古泉(超能力者)またの名を超人ロック、とかね(なわけではありません)。
社交的なリアクション(基本)。冷静沈着(本質)。古いゲームが好き、ハルヒに興味がある、仲間とつるむのが好き、仲間が好き(裏門)。
的確な状況の把握を得意とする参謀(?)格。
かなりの知識人であり、それでいて、的確に必要最低限のことしか言わない。
それでもかなりキョンに取っては助かる情報が多い。
古いゲームをコレクションしており、その一部が部活の部屋にある。
パズルなどのゲームが好きで、また、ハルヒというまったく分からない存在を興味深く見ている。
人と話すことをもっともこよなく愛していると言っても良い。
それでいて、無理に話すことがない。
また聞き役に徹することも得意であり、とても話の分かる人である。
これはみくるとは真逆と言える。
ハルヒに対してはアドバイザーに徹している。
基本的にキョンのようにハルヒや長門やみくるに質問したりはしない。
これは長門もそう。
みくるは興味のある趣味に関して古泉や長門やハルヒやキョンに聞くことはある。
仲間とつるむのが好きというのは、ようは超人組合(?)やSOS団などに属していますが、それは嫌々ではなく、本人が興味があるんですと言っているように、なにかに入ってるのが好きなタイプであること。
そこで古いゲーム、つまりは人と囲むゲームで楽しむのが好きなタイプです。
話とトランプなどのゲームが好きなのです。
実に地味な感じもしますが、ここで超常現象やなにかを望んでいるのは、外部からの世界へのアクセス権益者か、団長のハルヒなのです。
ハルヒいがいはなにも起こらない日常を望んでいること。
キョンは多少ハルヒよりというか、非日常に興味はありますが、最後にはハルヒと一緒に憂鬱(?)な日常に戻ろうと歩き出します。 そういった意味では平和主義者が多い集団と言えます。
戦記ものでは戦う男も出て来ますが、ここの人たちはあっけらかんとしています。
それはある意味牧歌的な作品に流れる雰囲気もあると言えます。
そういった意味では社交性が高いのもうなずける伽羅なのかも知れません。
またあまり話に出て来ませんが、いい男です。
ハンサムで、話も聞いてくれる男ですから、モテると言えます。
また頭のキレも良く、状況判断もいい。
もしバトルものだったとしたら、キルヒアイスと言ったとこでしょうか。
ラインハルトはハルヒ、も一人のさえない(?)司令官ヤン・ウェンリーはキョンですね。
人は対比で存在を認識するので、双子の主人公はとても理に適っていると言えます。
周囲が見えるということは、人と話すこと、またそれを共通や個別個性が見えることに及びます。
そういった意味では、人とはなにかを良く知っている、人の本質を良く知る知識人といえます。
かなりの力量で、上に立つ(?)人にもなれますが、人に仕える(?)タイプで、どちらかと言うとあまり強くなになにをするというタイプではありません。
これはまあキョンたちもそうですが。
ハルヒは強くそれがありますが、自分の力に気づいていないため、その力の及ぶ範囲は常識的な範囲に収まることが多いのです。
あたりまえですが、みんな学生の年齢なので、お酒を飲んで話すような場はありません。
が、飲めてもゲームしながら話すことを古泉は望むタイプであり、それはちょっと変わっているかも知れません。
ある意味なによりも人の和を望む人なのかも知れません。




鶴屋さん。
天真爛漫(基本)天真爛漫(本質)天真爛漫(裏門)。
裏がない人というのがいる。
鶴屋さんのことである。
笑ってばかりいる。
それが特技みたいだ。
いやもうこの作品は笑う伽羅が多い。
普段の女性がそんなに仕事関係では笑わないからだろうか。
いやもうそんなに笑わない女性もいるから、それに対してだろうか。
いやまあ笑わなくても榊さんのようにかわいい伽羅はいるが。
いがいとレイの真逆の本質なのかもね。




キョンの妹。
兄思い(基本)兄萌え(本質)兄が好き(裏門)。
この作品がハーレム系の流れのため、妹は兄を慕っています。
実際にはそんなことはあまりないような気がしますが。
ははは。




2007−3月18日 日曜日 午後2時40分













はじめに。
ラストには入りきらなかった部分があったー。うん、多少変更と書き加えてここにお届けしますよはい。




kanon




朝に時計が鳴る。
祐一の部屋で、ベッドで毛布にくるまる祐一。
薄いカーテンからは陽の光りが部屋内を照らす。
祐一は時計を止めて、私服に着替えてから階下に降りる。
台所ではテーブルにつっぷして名雪が眠っている。
まだ学生服のままだ。
祐一は上着をかけてやると、クーラーの暖房機能を付けて、それじゃなと言った。
外に出ると、空は青くそこそこに雲がまばらにある。
風は気持ち良く、そして道行く人は少ない。
休みであるため、道によってはまったく人がいなかった。
雪が残る道を歩く祐一。
信号待ち、青になってから渡る。
街中は歩けばそこそこ人通りがあり、休みを満喫する私服の若者たちが通り過ぎて行く。
祐一の歩く道の先には一人の少女がいた。
「待ったか」
 祐一の言葉にふるふるふると顔を振ると、にこりと笑った。
 少女は翼の付いた鞄を背負い、黄色いコートに黒い長靴を履いている。
 赤いカチューシャから流れる髪は肩まで流れるようにある。
「ぼくはあゆだよ」
 とあゆは言う。
「知ってるから」
「うぐぅ」
 あゆはちょっとふくれっつらになった。


 あゆと祐一はハンバーガー屋の二階で窓際のイスに座っている。
 ちまちまポテトをかじる祐一に対して、あゆはハンバーガーを大きな口でがぶりといく。
 祐一は窓の外の空を見上げる。
 青い空にほどよい感じの雲がゆっくりと移動している。
「おれたちなにしてるんだろう」
「デートでしょぐもぐんんがんぐ」
 あゆはハンバーガーをもぐもぐぐっと行ってから、それから苦しそうなあゆにジュースを渡す祐一。
 一気飲みして祐一のポテトをばくつくあゆ。
「だからさ、なんでデートなんてしてるんだよ」
 祐一は素っ気なく聞く。
「だってぼく祐一くんのこと好きだもん。祐一くんは嫌いなの?」
「うーん。好きかな」
「うぐぅ、だよねだよねだよね」
 笑顔のうぐぅから、開かれる細い目のだよねのたびに、あゆの目はしばたかれた。
 そんなあゆを見て、祐一の顔もちょっと綻(ほころ)んだ。
 祐一とあゆが青い空の下、道を歩く。
 ちょっとした道にあるポールに手をついて笑うあゆ。
 祐一もなんとはなしに笑う。
 祐一は思う。
 これでいいじゃないか。
 これですべていいんだ。
 風がそよいだ。
 それはほどよい風。
 あゆは目を閉じて髪を抑える。
 祐一は背後からの風にちょっと目を見開く。
 振り返る祐一。
 けれども、道には歩く人たち、車が通る。
 なにも変わらない街並があるだけなのだ。
「どうしたの?」
 あゆの言葉にあゆに振り返る祐一。
「なんでもない」
 笑顔のあゆに笑顔の祐一。
 それは変わらず続く時間。
 歩く二人。
 あゆがとてとて無駄に歩いては、下手な歌を口ずさむ。
 祐一はそれに合いの手でも入れるように合わせて歌う。
 それはまるで雨の音がちょっとずれて奏でる響く合唱のようである。
 散歩してるだけなのにそれは無性に楽しい時間だった。
 もしこういう時間が幸福であるというならば、あゆと祐一は幸福であった。
 段差に座って、夕日を見ている。
 風景はすべてが赤く彩られて、夕暮れはあっというまに終わったようであった。
 薄暗くなって行く周囲の街並み。
「そろそろ帰らなくっちゃ」
「そうだな」
 あゆと祐一は立ち上がる。
 あゆは祐一とは逆の道を行く。
「どこ行くんだよあゆ。家はこっちだろ」
 祐一はずぼんのポッケに両手を入れて振り返りながら言う。
「ううん、ぼくのうちはこっちなんだ」
「なにを馬鹿なことを」
 雪が降り注ぐ。
「あっ雪、雪だよゆーいちくん」
 あゆはくるくる走り回ってはしゃいでいる。
「おいおいおい、転ぶなよな」
 祐一はめんどくさそうに言う。
 だが、そう言う祐一もどこかそれすらも楽しそうだ。
 雪は最初ぱっぱだが、次第にかなり降って来る。
「おい、寒いって、帰ろうぜ」
「うん、帰るよぼく帰るからね」
 あゆは祐一とは逆の道に走って行ってしまう。
 街灯から消えたあゆの姿はすぐに見えなくなる。
「おいあゆ」
 祐一は走って追いかけるが、すぐに見失ってしまった。
 道の先には公園に続く階段がある。
 祐一は公園に駆け上がると公園内をくまなく探す。
 一通り探してから、公園の噴水の下の丸い柵に囲まれた中に木がある。
 そこから下に降りる階段があり、その階段の前にあるベンチに荒く息つぎしながら座った。
 ベンチには先客がいる。
 真琴が白い息を吐きながら祐一の横に座っていた。
 祐一はなんとなくひさしぶりと言った。
 そこに真琴がいることに違和感は感じなかった。
 雪がゆっくりと降り注ぐ公園のベンチに二人。
 真琴は両足をばたばたさせながら、降る雪を楽しげに見上げている。
「雪は好きぃ」
「そうか」
 祐一が真琴の頭をなでると、真琴は嬉しそうに子犬が嬉しく頭を振るような仕草で喜んだ。
 その笑顔とはしゃぐ毎のあうの声は懐かしく祐一の心に響いた。
「子供が出来たら真琴ってさ、名前を付けようと思うんだ」
「ふーん」
 真琴は不思議そうに上半身を横にして聞き返す。
 それから目をつむりぶるぶると体をふるわせ、雪の水滴をはねとばした。
 ひるがえる髪が代わる代わると光と影を得て。
 その水滴と姿は街灯にきらめき、とても綺麗であった。
「あゆならあそこにいるよ」
 真琴がちょっと真顔で言って、それからにこっと笑った。
「そうか」
 祐一は立ち上がる。
「祐一」
 呼び止めたのは名雪だった。
 学生服のままの名雪が鞄を持って祐一の横に立っていた。
 真琴は既にその姿を見えなくなっていた。
 立ち上がる祐一。
「行かなくちゃいけないんだ」
 階段へと歩き出す祐一。
「だめだよ祐一」
 名雪は祐一に抱きつく。
 動かない二人。
 まるで時が止まったようだった。
 降り行く雪だけが時の流れを表していた。
 公園の街灯にひっそりと照らされた二人だけがそこにいた。
「嫌いなのあたしのこと嫌いなの祐一」
 背中で泣きじゃくる名雪に力なく立ちつくす祐一。
 背中に触れた水滴はどんな雪よりも冷たかった。
 祐一は名雪の手をふりほどく。
 そのまま振り返りざま名雪を抱きしめる祐一。
「もう決めたんだ」
 祐一はふわっと名雪を突き飛ばすと、階段を下りて行く。
「行っちゃだめえ、行っちゃだめえ、ゆういちぃーい」
 名雪の叫ぶ言葉に応えるものは、降り注ぐ雪だけであった。
 祐一は道を走る。
 なんの迷いもなく走った。
 既に民家は周囲になく、辺りは木々に包まれている。
 祐一は一直線にそこまでたどり着く。
 伐られたはずの大木がそこにはあった。
 そして木の前にはあゆがいた。
「あゆっ」
 祐一はあゆの前までなんとか歩く。
 雪が膝下まであり、歩くのがちょっと困難であった。
 あゆは悪びれたように言う。
「見つかっちゃった」
 笑顔で舌を出してそう言う。
 両手を後ろに胸を前に出しているあゆはとてもかわいく見えた。
 雪化粧を纏った木々の中、祐一は荒く白い息を吐きながら、あゆに言う。
「おまえが、あゆがいないとだめなんだ」
「ぼくもだよ、ゆーいち」
 祐一があゆの元までさらに駆け寄る。
 雪をのけながら、一歩また一歩。
「でもだめだよ」
 あゆはにっこりと笑いながら言う。
「だってぼくは幻だもの」
「幻だっていい、夢でもいい。それのどこが悪いって言うんだ」
 祐一は後少しのとこまで、あゆを抱きしめるとこまで両手を伸ばす。
「好きだよ」
 あゆの背から翼が大きな白い朧(おぼろ)な翼が広がる。
 世界が翼に包まれた。
 ゆっくりと目を開ける祐一。
 あゆはいなくなっていた。
 祐一の伸ばした手の先にはなんの感触も姿もない。
 あゆの足跡すらも雪にはなく、木も伐り倒された切株があるだけである。
 祐一は伸ばした両手をふるわせながら、閉じた目から涙をこぼした。


 どこをどう歩いただろうか。
 祐一はそれでも道へと出て、歩いていた。
 ひどくうつろな足取り。
 それはいまにも倒れそうであり、力を失った目には、生気がなかった。
 ふわっと祐一の首にマフラーがかかる。
 そこには真琴が立っていた。
「また会ったねきみ」
「あ、なたは……」
 それはこの前助けてもらった真琴姉さんだった。
 ほどなく、祐一は真琴の家で毛布にくるまり、暖かいコーンポタージュを飲んでいた。
 目は先ほどよりは力を取り戻していたが、それでもちょっとぼけっとしてるようだった。
「祐一くんもよっぽど方向音痴ね」
 祐一はなにも答えない。
 お姉さんはエプロンを取る。
 青いジーパンとオレンジの編み服を着ている。
 お盆からお鍋とカップをこたつテーブルに置く。
「暖かいお粥。とは言っても味付けはちょっとこってるのよ。あ、家には連絡しといたから」
 まくしたてるお姉さんの言葉にも祐一は力なく相づちを打つだけだった。
「不思議よねえ。なんかねえ、あそこに祐一くんがいるような気がしたのよ、これって虫の知らせって言うのかしらね」
 祐一はその言葉にはぴくっと反応したようだったが、視線を戻し、また力なくコーンポタージュを一口飲んだ。
 次の日、祐一はお礼を言ってお姉さんの家を出た。
 すっかりと晴れた空には、雲がまばらにある。
 道の雪は既に溶けているとこもある。
 特に道の真ん中はそうであった。
 雪かきされた道もあり、それほど歩けないということはない。
 それほど積もってもおらず、日の光に照らされて、凍った後に滑るのが危ないくらいだろうか。
 祐一はなんとなく歩いていた。
 それは気づくと昨日、あゆと歩いた道なのだった。
 それに気づいた祐一は空を見上げる。
 空にはなにかの鳥が何羽か飛んでいるようだが、それは遠くてなんの鳥かまでは分からなかった。
 と。
 祐一は誰かにぶつかった。
 よろける祐一。
「あぅっ」
 聞いた言葉が胸元で響いた。
 スカートに青いブレザー。
 それは見たことのある姿だった。
「真琴っ」
 真琴は直ぐに走り去ってしまう。
 だから、背中しか見えてはいない。
 祐一は直ぐに走って追いかけるが、角を曲がると真琴はちょうど次の角を曲がるとこで、なかなかその距離を縮めることは出来ない。
 そうやって道を駆けて、何度角を曲がっただろうか。
 いつのまにかそれは建物の中に入り、そして最後に真琴が入って行った扉の中には、一人の女性が眠っていた。
 それは病室で眠るあゆだった。
 真琴は既にいない。
−−祐一。
 真琴の声が響いた。
 祐一はなにも言わずにあゆの前の席に座る。
 しばらくそうしていただろうか。
 風が祐一の髪を凪ぐ。
 部屋の窓は閉まっていた。
 どこからか吹く微風に祐一はちょっと目を細めた。
 周囲は色彩の風に風景を金色の草原へと変える。
 いつかこの大地は開発もされていない湿地だった。
 祐一は胸まである草原の中に立っている。
 それはまるで草の海の中にいるようだった。
 祐一は風には吹かれているが、実際にそこにいる感覚はない。
 まるで立体映像の中にでもいるような感じだった。
 けれどもその稲穂には確かに生命の息吹を感じる。
 それでいてそれはなんというか、違う時の稲穂のように思えた。
 草から出て来た少女と少年は祐一の横を走り抜ける。
 少年が追いかける少女はあゆだ。
 祐一の背後へと駆けて行く。
 だが祐一は振り返ろうとはしない。
 祐一は目前の自然を見ていた。
 帰りたい風景があった。
 そこにはいい思い出があったはずだった。
 だが実際には時は過ぎていて、決してそれはやさしいだけのお伽話ではなかった。
 人生を止めることは出来ない。
 それは目覚めることのない眠りに落ちた時だけなのだ。
 過ぎた時間はビデオテープのように巻き戻されることも暗い部屋の闇の中に溶けてしまうこともない。
 そんな風景が広がっている。
 遠くには山々があり、家が多少遠目に見える。
 すべてはこの風景があった時から始まった物語。
「でももう遅いんだ」
 祐一の一言に疾風が祐一と黄金の草原の風景を凪ぐ。
 祐一は風に細めた目をまた開く。
「もうこの風景には戻れない。……戻れないんだ」
「でもあたしはここにいるよ」
 振り返った祐一の後ろには、少女の舞がいる。
「あたしたちもいるよ」
 祐一の周囲には円を描くように舞と名雪とあゆと栞と真琴という幼き五人の少女たちがいる。
 真琴には耳としっぽがある。
「でも、だめさ。なにもかも終わったことなんだ」
 祐一は軽い浮遊感にとらわれる。
 景色は色彩を消して、周囲は闇に包まれる。
 足下にはなにもない。
 いや、まるで宇宙に浮いているように、そこには光も音もないのだ。
 祐一の髪と服がふわふわと真空に漂っているかのようにはためいている。
 祐一は動くことも出来ずに、ふわふわとそこにいる。
 そして少女たちもそこにいた。
「ずっと、ずっとずっと」
 あゆの言葉。
 そして五人の声がはもる。
『支えていたんだよ』
 祐一の心にその言葉が響く。
 祐一はそれに目を閉じて、顔を下に向ける。
 祐一の胸から光の粒子である宇宙がゆっくりとひるがえって行く。
 闇の世界に星々のひるがえる空間が広がって行く。
 その光に五人の少女が手を差し出す。
 祐一はやさしい顔になる。
 祐一もゆっくりと光の宇宙に手をさしのべる。
 景色がゆっくりと金色の草原になり、それから病室に戻る。
 あゆの胸にたずさえられた五人の少女の手と祐一の手。
 そして祐一の手だけが残った。
 あゆはゆっくりと薄目を開ける。
「……ゆ……ち、く、ん……?……」
 祐一はにっこりと笑った。


 病院に隣接した広場のベンチにあゆが座っている。
 私服であるあゆは白い息をほわほわと出している。
 がおーと怪獣のように出しては一人悦にいってるようであった。
 ぽこんとなにかの筒で叩かれるあゆ。
 あゆが見上げると、そこには祐一が立っていた。
「う〜なにするんだよお」
 あゆの怒り方はそれでもかわいかった。
「やるよ」
 あゆが筒を広げるとそれは祐一の卒業証書であった。
「ぼくは卒業してないよう」
「これから留年生活を始めればいいじゃないか」
「うーいやだよう。試験で資格取って、卒業するんだもん」
 あゆのふくれた顔はあっちょんぶりけである。
「良かったね」
 祐一の横には真琴がいた。
 普段の姿に耳としっぽがある。
「ありがとう」
 祐一は横を向いて笑顔で笑った。
「誰と話してるの?」とあゆ。
「ん、かわいい子さ」
「なにも見えないよ。あ、雪……」
 雪が降って来る。
 それはゆっくりと、けれどもそこそこ多くの雪が降り下りて来る。
 まるで風景のスクリーンセーバーのように。
 景色は幾重もの白に包まれて行く。
「祐一とあゆの子に生まれるまで、またね」
 真琴は大地を蹴ると、ふわっと空中に浮いて消えて行く。
「またな……あゆ」
「ん? なにか言った祐一くん」
「えっちでもするか」
 その言葉にちょっと不思議そうな顔をするあゆ。
 それから急に顔の表情が変わりだす。
「ゆっ、祐一くんのえっちい!」
 笑って歩く祐一とそれをぽこぽこ殴りながら着いて歩くあゆ。
 雪はしばらく降っていた。


                    完。































2006−11月15日 水曜日 午前3時20分









第十話


あゆ「ふあー」
あゆがふとんから起きる。
祐一「ふあー」
祐一もふとんから起きる。
祐一「うわっ、なんであゆおまえ人のベッドにいるんだよ」
あゆ「ぼくはどこにでも入れるんだよ」
祐一「ああうん、幽霊だもんな」
闇の王「う〜ん」
闇の王がふとんから起きる。
祐一「ぎょぎょっ」
闇の王「あゆさん、今日もきみは美しい」
うっとりとあゆを見る闇の王。
闇の王は女性用(?)なネグリジュとでもいうようなものと帽子を着ている。
ぱじゃまの祐一はしぇーのポーズをベッドの上で取っている。
かなりおどろきの顔であわあわしている祐一。
祐一「わ、わ、わ……」
あゆ「なんで祐一が二人いるの?」
闇の王「私は闇の守護者。そしてあなたを守る者」
祐一「な、な、な……」
祐一は闇の王とあゆの会話の後ろで効果音のように言葉を点点と繰り返している。
あゆ「祐一があたしを守ってくれるんだ」
闇の王「さああゆさん、私と愛の歌をうたおうではないですか」
祐一「か、か、か……」
あゆ「そんな(ポッ声の効果音頬赤くなる)心の準備が……」
祐一「で、で、で、出て行け!」
二人を部屋から蹴り出す祐一。
あゆ「わっ」ころころころと転がって。
闇の王「ひょい」(効果音ぽく)ひょいと猫の両手曲げてうらめしやのポーズでうまく着地する闇の王。
祐一「まったくなんだってんだ」
あゆ「なにが」
闇の王「うーんいけず」(艶っぽく)
あゆと闇の王が部屋の中にいる。
祐一「うわっだからどこから入るんだっつっのっ」
また蹴り出す祐一。
祐一「まったく……」
場面変わって部屋から祐一が出て来る。
パジャマから私服に着替えている祐一。
階段を下りて食卓に座る。
あゆと闇の王がいちゃいちゃしている。
闇の王「あはは……」
あゆ「うふふ……」 真琴もいる。
食事をしている三人。
秋子さんが祐一に食事を運んできてくれる。
秋子「祐一さんのお兄さんいい人ね」
にっこりと秋子さんが笑う。
祐一「こんなのあにひゃふひゃいひゃい」
闇の王が箸で目玉焼きを祐一の口に入れる。
祐一「んぐもぐもぐんぐ、ごっくん。なにすんだ」
祐一ほっといてあゆ見て。
闇の王「あゆくん、きみには赤いバラが似合う。なにか欲しいものはないかな。なんでも買ってあげるよ」
きらんと歯が光る闇の王。
あゆ−−かっこいい。
きゅんと胸の高鳴る音がする。
ほわわんといい感じの情景表現のなにかほよっとしたものが笑顔のあゆとゆーか画面を彩る。
あゆ「うーんとね、えーとね、あのね、でもね、欲しいものなんだったっけ」(悩んでいるあゆ)
闇の王「無いのかな」
あゆ「あるけどね、思い出せないの」
とにっこりと言うあゆ。
闇の王「それならば探しに行こうじゃないか。それこそが愛のなせる力だから」
きらーんと光る歯。
「おいおいお二人さんなに二人の世界に入ってんですか、ここはねえそーゆー店でもなんでもないんですよ。だいたいあんたは敵なんだよなあ。あゆもあゆだよこれはもうぐちぐちぐち」
ここいらへんまで祐一はぐちぐちツッコミを入れているが音声低く設定、二人は二人の世界に入っていて聞こえない様子。
祐一「思い出せないならいますぐでなくてもいいだろう」
闇の王「いやいやいや、残しておいたデザートはいまこの愛にきらめくだろうと思うよぼくは」
祐一「なにを意味不明なことをぐちぐちぐち」
真琴「あゆの大事なこと? あれかなあ」
天井というか斜め上を見ながら真琴が言う。
闇の王「すぐに行こういま行こうだから行こー!」(書いてなかったけども、闇の王はいつもすかした冷静な、ははんみたいな感じで、そこそこケスバイケス、ここはノリノリで力強く軽く〜)
場面変わって。
あゆと祐一と闇の王と真琴は私服で道を歩いている。
真琴「ここよ」
そこはなにか街の中にある小さな犬小屋くらいの社がある。
祐一「ここが……」
真琴「こここそが妊娠安産祈願のお社(やしろ)よ、猫のだけど」
がきーんと雷がしょぼく彩る。
祐一「言いたいことはそれだけか真琴」
真琴「あう゛〜」
両側からどたまに拳骨(げんこつ)ぐりぐりされて涙波打っている真琴。
名雪「なにしてるの祐一ぃ」
名雪と佐由理と舞と栞と鏡栞と美汐と香里と秋子さんと潤と久瀬と委員会たちがいる。 名雪はピロを抱えている。 ピロは冬服(?)な感じの手編みの帽子やらなにやらだ。 祐一「みんなそろってどうしたんだ」
名雪「あゆの大事なものを取りに行くんだよ」
祐一「あっそう。……はあ(?)そんな、なに、都合のいい」
名雪「置いて行くよ祐一ぃ」
さっさと歩いて行く一行。
あゆと闇の王さえも笑顔でなにか話しながら行く。
祐一「なんだってんだい、もう」
渋々歩いて行く祐一。
場面変わって、森の中に入って行く一行。
あまりの森の中の雪の深さ加減に、歩くのもやっとの祐一。
祐一「ほんとにこっちか。道もないぞもう」
と、開けた場所に出る。
そこには開けた場所に木が一本立っている。
そこに一行はいた。
木の前で木を背に祐一を見ている一行。
それぞれ笑顔だったり、ちょと真面目なような感じだったり。
祐一「これがあゆのたいせつなものだってのかい」
森の中の広場は草があって、そこそこ歩きやすい。
あゆ「あたしが好きなのはねえー」(大きな声でゆっくりと言うあゆ)
みんながっいっぺんにハモって「祐一さんです」
祐一「ええっ(?)」
あゆは闇の王に抱きつく。
祐一「ちょっと待て、ちょっと待てちょっと待てえ〜い! そいつはおれじゃなーい。おれはおれだ!」
あゆ「ええええええええーっ」
名雪「それはそうかあ」
舞「分かっていた」
佐由理「まあまあそうよねえ」
香里「いがいね」
栞「いい話です」
鏡栞「そうそう」
潤「どっちでもいいじゃん」
イザナミ「そうそうそんなかんじ〜い」(どこから出たのか)
イザナギ「そんなもんよね人生って」
秋子「それはそうと、お昼にしましょうよ」
草の上にシート敷いて、秋子さんのもっているバスケットでピクニックする一行。
祐一も座ってサンドイッチ食べている。
祐一「だいたいむぐむぐ、イザナミを手に入れてなにをしょうと言うんだ、ん、ぐっ」
闇の王「世界は滅亡するはむはむ。それを止めるのだむぐっふっ(お茶飲んで)。ふたつの世界はひとつになり、どちらも滅びるかも知れない。あゆ、そのサラダ取ってくれ」
祐一「滅びないかも知れないぞ。あゆ、こっちにはお茶な」
あたふたと渡すあゆ。
闇の王「それは五分と五分だ、ぱりぱり(パセリ)」
祐一「させるかーごっきゅん(飲)」
なぜか二人はリングの上でグローブはめてボクシングパンツ。
かーん。
お互いのぱんちがクロスカウンター決まる。
汗が吹き飛ぶ。
あゆ「そんなことだめだよ」
あゆはタオル付けてティーシャツでセコンドにいる。
かんかんかんゴングが鳴り響く。
ダブルノックアウトの二人。
場面変わって闇の王はピクニックのシートの上にふつーにいる。
闇の王「うん、分かったやめるよあゆ、えへっ」
にっこりと笑顔の闇の王。
祐一「えっ(驚き顔)えーと(悩み顔)なにいぃいいいっ(やっぱりおどろき顔)」
闇の王「あゆと私の愛の力だ」
あゆ「そーそー」
祐一「バカだ。それは愛ではなくてバカって言うんだ。だいたい、あゆ、そいつはおれじゃないんだぞ」
あゆ「えええええええーっ」
びっくりして、それから頭抱えてあゆが悩んでるいる。
顔あげて目をつむってゆっくり首振り悩むあゆ。
あゆ「えーとね、んーとね、(ぽんと手を打ち分かったという顔で)うん、そう、(にっこり顔)もう一人の祐一も好きだよ」
闇の王「そうだろうそうだろう私ならば当然そうだろう」
祐一「あーそうですか。勝手にしなちく。でもな」
あゆ「ん?」
祐一「あゆの一番大切なものは見つからなかったな」
あゆ「ううん、(首を振ってから笑顔になって)見つけたよ」と言った。
祐一「そっか。それなら良かった」(やさしそうな顔で祐一)
あゆ「もう自分の体に戻るね」
祐一「そっか、あゆは幽霊だもんな」
あゆ「違うよ。あたしは天使だよ」笑顔ではなく、フラットなちょい微笑みな無表情なようないたずらっぽい顔であゆ。
あゆの背中の翼が本物のピンクの天使の翼となってゆっくりと広げられて行く。
あゆが広げた翼がすべてのみんながいるこの雪風景を包む。


朝の学校の廊下を歩いている祐一。
祐一−−それからあゆは自分の体に戻って、学校にも復学した。けれども……。
あゆ「祐一〜」
あゆは空からふわっと透明な姿からあらわれいでる。
抱きつかれてあわわとなる祐一。
祐一−−あゆはしょっちゅう幽霊になってる。
闇の王「よっ、お二人さん」
祐一たちの前に闇の王が学生服でいる。
祐一−−もうひとりのおれは、あゆとの約束を守って、あゆが卒業したら一緒になるそうだ。まあ、まだ気は抜けない奴だが。(祐一たちを日差しが照らす)。
祐一−−栞は復学した。
学生服の栞。
祐一−−舞と佐由理は学校を出たら向こうの世界で姫やるそうだ。
舞と栞の姫姿一枚。
祐一−−栞は卒業したら仕事しながらもうひとりの栞のために本を書くそうだ。
栞と鏡の栞学生服一枚。
祐一−−香里は卒業したらどうするか思案中。潤は嫁に来いと言っている。
香里を追っかける潤一枚。
ぱんっ。コミカルに星が飛ぶ。
香里にびんたされる潤一枚。
祐一−−美汐は卒業したら真琴と生活するつもりらしい。
美汐の膝(ひざ)の上で頭なでられてやさしそうに眠っている真琴。ここは動いていて、美汐の手がなでている。そして空を見る美汐。その先に見えるものは、いい風が美汐の髪をなでる。
祐一−−秋子さんはいつも通り。
ピロを抱えて買い物かご持つ秋子一枚。
祐一−−久瀬と委員会の連中は……。
舞にキンッ(効果音)一刀両断されるパワスツから服抑えた連中何枚かで。
祐一−−イザナギとイザナミは向こうの世界で空を支えているそうだ。
杖を持っているイザナギとイザナミ。
その向こうには向こうの世界の舞たちがいる一枚。
祐一−−名雪は……。
名雪は机の上で昼眠している一枚。
祐一−−変わってないな。……そんな、今日という一日のこと。
祐一の髪を風がなぐ。
祐一−−さらにちょっとだけ後日談をしょう。
場面変わって大人になったヒロインズが昼前の雪溶け道を歩いている。
みんなは20代くらいだ。
それぞれ赤ちゃんを抱えている。
それはカートだったり、抱きかかえていたりする。
名雪「だからね、うちの子は寝つきがわるくてこまっちゃうの」
祐一−−名雪は大学を出てから主婦として家庭をきりもりしている。
舞「うん、分かる」
祐一−−舞は向こうの世界で姫となった。いや、いまは結婚して王位を継いだから、女王様ってことかな。
佐由理「うちの子は寝てばかりでねえ」
祐一−−佐由理も舞と一緒に向こうの世界で姫となり、いまは舞と向こうの世界をきりもりしている。たまに帰って来てはこうして同窓会みたいなことしてる。
香里「いやよねー。でもくるくるまわるおもちゃが動いていると、良く眠るのよ。不思議よね〜」
祐一−−香里は子供を産んでも現役でばりばりオーエルだ。
美汐「うちの子はからからで良くはしゃぎます」
祐一−−美汐は教師になっておれたちの母校で教えているが、いまは休職中。そのうち復帰したいと言っている。
真琴「それでねそれでね、うちの子はやっぱり夜型なのお」
祐一−−真琴は美汐のとこで生活している。結構馬が合うらしい。
栞「うちの子はこの前笑ったよ」
祐一−−栞は図書館員をやってる。たまに知らない世界の図書館も管理しているらしい。
鏡栞「まったく眠れなくって」
祐一−−もうひとりの栞は、栞に図書館の本を書いてもらっているから、ずいぶん楽しそうだ。
秋子「やっぱり子供はいいものね」
祐一−−秋子さんは二人目を妊娠中。
ヒロインズの道の向こうに祐一と闇の王がいる。
祐一「おーい、ひさしぶりい」
名雪「祐一ぃ」
祐一−−潤はレーサーになるってアメリカに渡ったが、走るよりも女の子を追っかけるのが速いようだ。
女の子を追っかけるレース姿の潤。
レースクィーンにけっとばされて丸いあざがあって、「あはは」と笑う。
祐一−−久瀬は競走馬を育てているそうだ。
馬に餌やろうとバケツ一杯の草を持って馬倉の中を歩く久瀬。
馬に蹴られてバケツ放り投げて草が出て、あわわって表情。
久瀬「あふんふんふん〜(鼻歌からケリくらう)ぐはあっ」
祐一−−委員会の連中は小さなカラオケ店を始めたが……。
カラオケの部屋の中で自分たちが歌っている委員会の面々。
祐一−−あまり儲かっていないようである。
祐一−−おれはもうひとりの自分と会社経営を始めた。まだ利益が出るかも分からないのだが。
祐一「あゆの子供は幽体離脱しないのか」
あゆ「うぐぅ、そんなことしないよ。祐一のいじわるう」
秋子「さあさあ、行きましょう、今日はパーティよ」
名雪「はあい」
歩いて行く一行。
歩く一行の背中が見えている。
祐一がくるりと振り返る。
祐一「それじゃ、とりあえずまた」
みんな振り返る。
みんな「じゃーねー!」
カメラは空へと動き、あははとみんなの笑い声だけが響いていく。
ピロ「んにゃぁお」
ピロがジャンプして、それは子猫と一緒なのだった。
そしてピロが画面からいなくなっても、空は綺麗に澄んでいた。


第十話おわじ。





これでとりあえずカノンオルタナティブはおしまいです。
ありがとうございました。
















2006−10−21土曜日午前3時



第九話


雄一の部屋。
朝日に照らされた中、目覚ましが一斉に鳴り出す。
それはいくつもいくつも。
雄一はふとんかぶったまま器用に止めて行く。
ふとんの上の私服をふとんの中に入れ、もぞもぞしている。
階段を下りて来る雄一。
ふあーと大きなあくびをしてテーブルに座る。
秋子「おはよう雄一さん」
朝ごはんを持ってきてくれる秋子。
雄一「あ、ありがとうございます秋子さん。ところで名雪(ふぁふき)」(名前のとこ食パンくわえて)
テーブルの横にいる名雪はケロヨン持ってぱじゃまの上に肩にかけているのは着物というか、こたつなんかで良く肩にかけるように着てる着物みたいなやつを着てる。どてらと言うんだっけ。ドテラマン。
名雪「なんだよー。朝起こしてって言ってたじゃないかよー」
眠そうにだるそうにそう言う名雪。
顔は眠っているような。
雄一「それは平日の話だ。今日は日曜。休みだはぐむぐ」
目玉焼きをほおばりながら悪態の雄一。
名雪「目覚まし時計は眠らないんだよー」
雄一「こっちは眠るんだよんぐんぐ」
牛乳飲んで立ち上がる雄一。
雄一「ごっそさん、それじゃ出かけて来ます」
秋子「遅くならないようにね」
雄一「はい」
名雪「おみやげ〜」
雄一「じゃあケロヨンの変わりに本物のカエル拾って来るよ」
名雪「ケロヨンはカエルじゃない〜。ケロヨンはケロヨン〜」
雄一「ケロヨンはケロヨン星に帰るんだぞ」
真琴「かえるだけにね」(笑顔で)
名雪「ケロヨンの星なんてない、ケロヨンの里(さと)はここなんだもん〜」
雄一「ケロヨンの里はあるのかよ」
すでにここまでで、雄一はシューズをはいている。
立ち上がる雄一。
雄一「それじゃ行ってくるわ」
真琴「おみやげは」
雄一「おう、んじゃ猫缶な」
真琴「ぐっじょぶ!」
笑顔で全身で動いて髪がひるがえって親指前にぐっじょぶと出す真琴。
ショッピング出来そうな繁華街で待っている舞。
雄一「待ったか(?)」
舞「ん、んむ」
私服で歩く舞と雄一。
雪が太陽に照らされ白銀の世界がてらてらきらめく。
道路を歩くふたり。
道のまっすぐ先、遠くにいる二人の前、画面の手前を少女がかけ抜ける。
画面は歩いている雄一たちのバストアップに。
舞の服は私服であり、いいセンスのものだ。
雄一「その服いいんじゃないか。とてもセンスがいいよ」
舞「佐由理が選んでくれた」
ちょっと赤くなってそう言う舞。
雄一「それはいいや」
雄一もそう言って笑った。
ファッションモールでショッピングする雄一と舞。
服を着ては雄一がうなずいたりいやいや違うと首を振る。
帽子を着けた舞にうなずく雄一。
喫茶店で休む二人。
舞「雄一、今日はありがとう」
雄一「どういたしまして」
買い物の荷物を置いて席を離れる舞。
その席に入れ替わるように男が一人座る。
それは雄一そっくりの男。
闇の王「いい子だな。おまえにはもったいない」
雄一「そうだな。なにしに来たんだ」
闇の王「なにきみたちとおなじショッピングさ。ここは光りが眩しすぎるがな。コーヒーふたつ」
明度さんがおじぎして水を置いて行く。
雄一「二杯も飲むのか、肥るぞ」
闇の王「それは俗説さ。実際にはダイエットにいいくらいでね」
雄一「それで、なんの用だ」
闇の王「いざなぎを出してもらおうか」
雄一「おれが持ってるもんじゃない」
闇の王「ここで決着を着けてもいいのだぞ」
祐一「そーゆーのは趣味じゃない」
闇の王「趣味も運命の内さ。今日は空が透き通るように綺麗だ。こういう日にはトンボが似合う。こんな日は挨拶だけにしておこう」
闇の王は席を立つ。
闇の王は払う紙を持っている。
雄一「おいおい金持ってんのか。そりゃあ偽札だろう」
闇の王「本物さ。こちら側でもな。だが覚えておきたまえ、私たちは二人で一人なのだよ。とりあえずここはおごろう」
雄一「いやいい」
闇の王「臆(おく)するな、私の願いはみんなの願いが叶うことだ」
雄一「そーゆーの、世界を滅ぼすぜ」
闇の王「それもまた本願寺(ほんがんじ)」
雄一「つまんねーよ金閣寺」
雄一は窓に視線を横見しながら言った。
闇の王「私は楽しいがね。失礼するよ」
闇の王は行ってしまう。
雄一は明度さんがもって来たコーヒーを飲む。
雄一−−わかってるさ、そんなこと。
一人ごちる雄一。
舞「おごり? なんでコーヒーなんだ?」
いつのまにか戻って来た舞がテーブルを見ている。
雄一「ダイエットにいいのさ」
舞「そうか」
舞は席にすわって一杯コーヒーを飲んだ。
舞「にがい」
飲んでから苦そうにそう言った。
街を歩く雄一と舞。
ケータイを取り出す雄一。
雄一「なんだ栞か。なにかようかー」(やる気なさそうに)
ケータイの向こうは栞。
栞「今日はみんなでお好み焼きパーティしょうと思うんですよ。良かったら雄一さんもどうですか」
鏡栞もケータイに逆からくっついて。
鏡栞「飲み物もありますよ」
ここいらへんから
秋子「卵はこれだけですか」
佐由理「こっちにありますよ」
潤「卵のジャグジー」
ひょいひょいと玉投げ。
香里「するな」
美汐「香里さん、コーラは冷やしておきましょうよ」
香里「真琴が持って行ったわよ」
背中向いて真琴。
真琴「んぐんぐ」
香里「ま〜こ〜とさ〜ん」
真琴「んげほげほっ」
秋子「はいはい、遊んでないで」
ここまでごちゃごちゃ雑多に言うような感じで。
雄一「あーわかった。早めに帰るよ」
栞「あゆさんにもよろしく」
雄一「分かったってあいつケータイ持ってないだろう」
と、前にばったりとあゆがいる。
雄一「あーうん、連絡ついた。んじゃな」
あゆ「どーしたのゆーいち」
雄一「今日はお好み焼きパーティだってさ」
あゆ「へーそーなんだ。雄一どうかしたの」
雄一「なにが」
あゆ「だってなんだか表情が堅いよー」
舞「さっきからそう」
雄一「舞なんていつもだろ。おれだって堅い時はあるんだよ」
あゆ「そうかなー。いつだって雄一は雄一だよ。あーそれならこれもゆーいちかなあー」
祐一「ん……そうだな」
柔和ないい顔で雄一が笑顔になる。
と、雄一が厳しい顔になる。
道の向こうには闇の王が立っている。
祐一「あーたいへんだーあゆの後ろからたいやき屋のおやじが怒って走ってくる〜」
おちゃらけで顔と両手上げて言う祐一。
あゆ「わわわっわあー」
あゆが後ろも見ずにしばらくわたわた走っているが後ろ見ると別に追っかけられていない。
立ち止まるあゆ。
あゆ「祐一?」
一方祐一は別の道を走っていた。
人通りの少ない道。
闇の王は楽々と余裕で雄一の後ろを走る。
華麗な鹿のように。
前の道で委員会の連中がそれぞれのパワスツの上に立っている。
久瀬「今日こそは渡してもらうぞ祐一くん」
立ち止まっている雄一と闇の王。
闇の王「ここはいい。きみたちはもういいから帰りたまえ」
久瀬「ん? 雄一くんが二人……。まあいい。どちらでもいいから捕まえろしばきたおせー!」
委員会の面々「おー」(はもって言う)
闇の王「馬鹿は死なないと直らないか。ならば死ね」
委員会が乗り込んだパワスツがローラーダッシュで闇の王に迫る。
闇の王もパワスツに走る。
祐一「その連中の中にイザナギがあるぞ」
祐一の叫びが道に響く。
ぎんぎぎんぎんぎん
と、高音が響く。
手套(しゅとう)がひるがえるたびにそれは光の一閃となってパワスツを一刀両断して行く。
委員会の面々「ぐげげげっ」「わきゃーっ」「のっぺりー」「いやーんばかーんぽか〜ん三級」(←女の子)
服まで一刀両断されてそれを押さえる委員会それぞれ。
座っている席? ごと道路に着地する面々。
イスに座ったまま目がまわっている久瀬のあごを取り、じっくりと見る闇の王。
闇の王「嘘付きが。持ってないではないか」
雄一「おかしいなあ、持ってると思ったんだよ」(しれっと)
闇の王「ならばきみはどうだい」
闇の王はひるがえって雄一に迫る。
空から来たシルフィスアが一刀を振り、闇の王の手套とぎぎんとかみあう。
両者の力がはじけて。
シルフィスアと闇の王はちょい離れて道路にしゃがんで着地する。
シルフィスア着地の時に火花がちりちりと両足からはじかれる。
音もぎいいいぃいんと。
闇の王が立ち上がる。
シルフィスアも立ち上がる。
がっきゅんとスルフィスア立ち上がる音がする。
シルフィスアはそのまま剣を構える姿勢に移行する。
構える音もきゅいんといい音。
闇の王は立っているだけだ。
音なく風に服がなびく闇の王。
闇の王「邪魔しないでもらおう舞くん。たとえ自然とアースラの姫とて容赦はしないぞ」
舞「祐一、守る」
対峙する二者。
ダッシュする闇の王。
ローラーダッシュするシルフィスア。
初速で一気に百キロにも達する速度。
スポーツカー並みのシルフィスア。
闇の王はゆっくりとした動き。
一刀両断。
シルフィスアがどまんなかから砕けていく。
だが舞はコックピットにはいない。
舞はシルフィスアの背中に隠れていた。
空中に舞いながら剣を構えている舞。
破片の中、舞が闇の王に迫る。
闇の王「しゃらくさい!」(ところで闇の王の声は私市どので)
シルフィスアにひっついていた雄一が闇の王にタックルする。
ぎん
光りがその衝撃波がざざざざざとアニメーションしている。
斬られた闇の王。
画面は止まっているのに斬られた表現描写の光りと斜線のみが動いている。
闇の王「ぐがががががが」
闇の王が舞をつかみ、雄一ももう一方でつかまえている。
二人は闇の王に抱えられたようにそのいきおいが止まる。
闇の王はなにもなかったように平静に言う。
闇の王「おやおや姫、こんな無茶な突っ込み、けがでもなされたらどうします」
舞と雄一は自分で立つ。
闇の王が舞にパンチするが、雄一が顔面でかばって受ける。
雄一が殴られて吹っ飛ぶ。
闇の王も誰かに殴られたように祐一とは逆に吹っ飛ぶ。
倒れる二人。
祐一「ぶぺっいま、だ、まい」
舞は剣をしまう。
倒れ込んだ二人はすぐに半身を起こす。
祐一「どうした舞」
舞「運命の星々が今日は見えない」
闇の王「そうか……」
闇の王が立ち上がる。
闇の王「分かった。今日はひこう。今日は楽しかったよ舞くん。そして我が半身よ。それでは失礼する」
雄一たちとは逆に歩いて行く闇の王。
道の横からあゆがもたもた前を見ないで小走りに来る。
どんとぶつかる闇の王とあゆ。
あゆの手を取り、転ぶのを防ぐ闇の王。
ふわんとあゆの髪がゆっくりと揺れる。
美しい一瞬。スローモーなあゆの顔。
闇の王「き、きみ……かわいいいいいいいいいぃぃいいい」
あゆ「え?」
闇の王「け、結婚してください」
あゆ「う、うん、いいよ」
にこりとあゆ。
舞「まあまあまあ」(むひょーじょー)
祐一「なにいいいいいいいいぃいいいい」(全開おどろき)


第九話おわじ



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