私の会った不思議な人たち

「大阪で会った不思議な人I氏」その1

私がその人からはじめてメールをいただいたのは、電脳筒井線(以後、電筒線と略す)の後半であった。その人は電筒線のスターであり、私にとってヘンな人、アブナイ人というイメージがあった。メールを幾度かやりとりするうち、やはりこの人はヘンな人に違いないと確信した。そこで会うことにした。92年夏のことである。

待ち合わせ場所は通天閣の下。いかにも大阪である。土曜の夕方、人通りは割と少なかった。
「あ、戸田さんですか」どうやらすぐに私のことがわかったようだ。少し歩くと、
「今日はどこへ行かれたのですか」と尋ねられた。
「カッパ横丁の古本屋街と梅田第一ビル、大阪球場の下の古本屋を回りました」と私は答えた。私は古本屋が好きなのだ。
「あ、そうやと思ってました。足、疲れてませんか」
「はぁ。それは少し疲れてますが」
「歩いて大丈夫ですか」
「大丈夫です」

その後、数歩進むごとに、
「足、よろしいか。大丈夫ですか」と彼は尋ねた。ものすごく気を遣う人なのだと気づいた。
「このあたり、話しかけられるかもしれませんが、相手にしたらいけません。知らん顔しててください。相手をするとみんなが寄ってきますさかい。足、大丈夫ですか」

じゃんじゃん横丁には労務者のおっちゃんが一杯いた。
「ここ、こないだ焼き打ちにあいましてな。足、疲れてませんか」
焼けた電気屋がある。
「アラーキーがこないだの写真集で撮ったのがここです。今日は中には入りませんけど。足、よろしいか」

立派な遊郭である。いつもは入っているのだろうか
「あそこへゆくのは止しましょうか。自転車で下見はしてあるんですけども。ヤバいんですわ。足、痛くなったら言ってください。どないします。ゆかれますか」
「折角来たんですから、行きましょう」

三角公園では炊き出しが行われていた。
「あれは何でしょう」
「オルグしてるんでしょう。ところで、足、疲れてませんか」 初めて歩く大阪のディープサウスは濃かった。

三角公園を見た後、地下鉄に乗り、タイ料理屋へ案内された。駅(なに駅だったか忘れてしまった私 ^^;)までの道に盆踊り会場があり、
「河内音頭を呼ぶんですわ。もうめちゃめちゃ盛り上がるんです」
「河内音頭って、そんなにすごいんですか」 菊水丸が流行ってしばらくのちだったのだが、私はただの民謡の一つだと思っていたのだ。
「そりゃ、すごいもんですよ。一本射ったようなおっさんが何人も踊ってるんですわ」

なんだかすごそうだ。