◆フランツ・コンヴィチュニー/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(1961年 BERLIN Classics) ★★★★☆
1961年の録音ながら奥行きを感じさせる音で、鑑賞には全く問題がないどころかその演奏たるやこの曲の真価を聴く者に思い知らせるに足る立派なものです。交響曲作曲家としてシューマンへの評価は意見のわかれるところですが、この演奏を聴くと不思議と偉大なシューマン像が見えてきて、シューマンのいつもの「独り言」ではない、人類の心の奥底からのメッセージが聞こえてくるような気がします。
◆レナード・バーンスタイン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1971年 LIVE CLASSIC BEST)
ヨーロッパ・ツアーにおけるローマでの演奏会の放送用の録音と思われますが正規の録音ではありません。ちょうどこのツアーと前後して、バーンスタインはウィーンフィルとR.シュトラウスの歌劇『バラの騎士』を録音していました。このころから両者の関係は深まり、1972年からのマーラーの交響曲の映像収録に始まり、ベートーヴェン、シューマン、ブラームスの交響曲や協奏曲の録音へとつながっていきます。全体のテンポ感、音楽づくりは14年後の同じ組み合わせによる演奏とあまり変わりません。強いて言えばこの1971年の演奏のほうがテンポの変わり目が大胆でよりダイナミックな感じがします。演奏会場や聴衆のちがいもあるのでしょう。また、この演奏では第1楽章のコーダで最後のホームストレッチの直前(転調したところ)でテンポを一目盛り落とすことをやっています。
◆クルト・マズア/ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(1973年 Deutsche Schallplatten) ★★★☆☆
この曲の第1稿の初演をおこなった由緒あるオーケストラで、当時はメンデルスゾーンが指揮をしていました。ところが、たまたまその初演時にメンデルスゾーンは不在でコンサートマスターが棒を振ったとされていまして、それが不評の一因とも言われています。もしメンデルスゾーンが指揮をして好評だったらこの改訂した版は存在しなかったかもしれません。