ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス(
Victoria de los Ángeles: 1923年 - 2005年 )
ビクトリア・デ・ロス・アンヘレスは、スペイン・バルセロナ出身のソプラノ歌手です。1941年、彼女はまだ学生だったにもかかわらず、リセウ劇場で『ラ・ボエーム』のミミ役でオペラ・デビューを果たし、その後音楽の勉強を続け、1945年に再びリセウ劇場に戻って『フィガロの結婚』の伯爵夫人役でプロデビューを飾りました。1949年、パリ・オペラ座で『ファウスト』のマルグリット役を歌い、翌年、ザルツブルクとコヴェント・ガーデンのロイヤル・オペラ・ハウスで『ラ・ボエーム』ミミ役を歌ってデビューします。1951年1月、ヘルベルト・フォン・カラヤンの指揮でミラノ・スカラ座で『ドン・ジョヴァンニ』のドンナ・アンナ役を歌っています。
今断言できること、そしてヨーロッパの聴衆によってすでに認められていることは、彼女が並外れた、いや、凡百の歌手をはるかに凌駕する歌唱芸術家であるということです。『ファウスト』のマルグリット役での彼女の演技は、その類まれな音楽的才能に加え、強烈な印象を残す舞台での存在感を彼女が備えていることを、私に改めて確信させました。彼女は素晴らしい歌手であると同時に、優れた女優でもあります。多くのオペラ歌手と比べても、その演技力は際立っています。彼女は舞台の上で実に自然体であり、演じる役柄のリアリティを観客に信じ込ませることができます。彼女は常に役になりきっています。役から抜け出したり、無駄な動きをしたり、気を散らしたりすることはありません。常にプロフェッショナルであり、一流なのです。昨晩の舞台では、彼女の存在によって、他の共演者たちが音楽的にも演技的にも、どこか素人っぽく見えてしまうほどでした。(The
New York Herald Tribune)。」
デ・ロス・アンヘレスは、メトロポリタン歌劇場で1951年から1961年までのちょうど10年間に139回舞台に上がり、主な出演オペラは、『蝶々夫人』12回、『ファウスト』28回、『ラ・ボエーム』23回、『マノン』15回、『フィガロの結婚』13回、『マルタ』16回でした。1961年にバイロイト音楽祭で『タンホイザー』のエリザベート役でデビューした後は、お気に入りの『カルメン』に時折出演する以外は、リサイタル活動に専念していました。彼女の出身地であるリセウ劇場では1955-56年シーズンに『蝶々夫人』を歌っていますが、お金のために海外ばかりで歌っているなどの謂れのない誹謗中傷の中上演され、第1幕の蝶々さん登場の際に拍手をしないなどの仕打ちを観客から受けたという話しも伝わっています(Una
Noche en la Opera)。