交響曲第2番『復活』〜第1の関門突破

 
 2014年、6番を演奏した某大学のOBオケが第50回記念演奏会を開くことになりました。このオケに入った時、節目の演奏会で必ず2番と8番をやってくれると睨んだ通り、入団6年目で念願の交響曲第2番『復活』を演奏することになりました。アマチュア・オーケストラではこの曲は8番と並んでなかなか演奏する機会がないのですが、こうも目論見どおり実現できたとは運がよかったとこのオケには感謝しています。

 このところ10番、『大地の歌』と熟成した晩年のマーラーの音楽に接してきただけに、『復活』における音符にはどこか未成熟な面があり、言いたい事が空回りしているようなもどかしさも感じられます。しかし、怖いものを知らない勢いと若さに溢れた一途さもあり、第1楽章などは演奏していて音楽の方向性がよくわかる、ギリシャ建築のようなざらついた肌触りながら輪郭のはっきりした構成美が感じられると思います。第3楽章、第4楽章で歌曲集『子供の不思議な角笛』の旋律を使用しているため、その歌曲集を以前からよく聴いている耳には前の楽章から続くとそこでいくらか気が散ってしまう感は拭えませんが、演奏している側からすると歌曲を歌っている声を思い出しながら弾く楽しみもありました。第5楽章は演奏に30分以上もかかる長大なもので、2人の独唱、合唱も加わって様々な要素が詰め込まれています。そのせいかやや雑多な印象を受けるのですが、フィナーレに向かっていくエネルギー凄まじく、何も考えなくても高みに連れて行ってくれるといった感じでした。

 この演奏会では隣で弾いてくださった方が完璧な音程とリズムでサポートしていただいたのでとても助かりました。その方はこの4年後にコンミスになられました。オーケストラでは弦楽器は二人ずつ並んで演奏することになっています。1本の譜面台に載った楽譜を二人で見れば、ページをめくる時に片方の奏者は演奏を中断しなくてすむからです。しかしここだけの話ですが、誰と隣り合うかで天と地ほどの差が出てしまうのです。譜めくりの下手な人、目が悪いからと譜面台を自分の方に引き寄せる人、自分の譜面でないと弾けないと言って縮小コピーした小さい楽譜やボーイングなど何も書いていない楽譜を使う人、弾けない箇所にくると演奏するのをやめる人、どうでもいい時でも大きなアクションで弾く人等々、こうした困った方がたまにいまして、その時は往生します。自分がそうならないように、そう言われないように気をつけないと・・・。
 また、この『復活』でソプラノのソロを歌った山田英津子さんとはこれまでリヒャルト・シュトラウス、ドヴォルザークなどで共演させていただいたことがあり、久しぶりに同じステージに立つことができたのはいい思い出になりました。

            ワルター指揮ニューヨーク・フィル マーラー2番      マゼール指揮ウィーン・フィル マーラー2番 

 この曲のLPレコードを初めて買ったのは社会人1年目、ブルーノ・ワルター指揮のニューヨーク・フィルの演奏でした。1957年2月と1958年2月の録音でワルターにとって最初のステレオ録音だったのですが、途中一年間の中断があるのはワルターが心臓発作を起こして療養していたからだそうです。ワルターは晩年のマーラーの助手をしていたこともあり、マーラーの最大の理解者と言われていましたが、何がマーラーなのか初めて聴く者にとってはよくわからなかったというのが正直なところです。CDの時代になって買ったのはロリン・マゼール指揮のウィーン・フィル。丁寧な音楽つくりに徹した演奏で、迫力と効果を狙った演奏とは一線を画する名演だと思います。


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