日刊リウイチ特別編

「1998-1999年lain日記」(抜粋)

【7月7日】 これはもしかしたらとんでもない出来事に立ち会っているのかもしれないと、朝起きて録画しておいた「lain」をビデオで見ながら、そう思って忙しい時間にも関わらず支度中の手が止まる。前のイリャテッセ(注・「時空転抄ナスカ」のこと)とは製作しているスポンサーがとても同じとは思えないくらいに、キレてトんでいるアニメーション。オープニングのシャーディにも似た女性ボーカルの歌声と、主人公の顔とくまちゃんの縫いぐるみに惹きつけられた瞬間から、一瞬たりとも目が離せず耳も休めることのできない、濃密にして緊張感に満ちた時間が始まった。

 苦しんでいる眼鏡っ娘が次の場面では幸せそうな表情でビルの屋上からダイブする。そして始まった物語は、どこかコミュニケーションに消極的に見える主人公の玲音(レイン)のナビ(パソコン?)に死んだ少女からメールが届き、これは何かと興味を持った所へと話が進み、やがてレインは視聴者ともども、現実と虚構とが入り交じり、生と死が交錯する不思議な空間へと連れていかれる。押し殺したような展開、思わせぶりなセリフや文字が時に説明不足との不満を招くかもしれないが、むしろ説明がなされていない故に、次にいったい何が起こるのか、どこへと進んでいくのかを、抑制された描写から推理しつつ裏切られるのを期待しつつ、爆発しそうな心を抱えて楽しみながめていくことが出来そうだ。

 見上げた空にシルエットで浮かぶ電線と電柱がなんだか「エヴァ」っぽかったりもするけれど、これは脚本をシリーズで担当した小中千昭さんの関心の現れであり、ただ画面を構成する上での見栄えだけではなく、電線と電柱が持つ属性を「つながっている」ことの象徴として見せようとした、お話の上での必須のカットを言えるみたい。だから真似だなんて言わない。レインの部屋に並ぶ熊のぬいぐるみや熊耳がついた帽子やレインが来ていたとーっても可愛い熊パジャマも、やっぱり小中さんの趣味なのかなあ。和哉さん(映画監督の小中和哉さん)との会社はこぐま兄弟舎だし作ったビデオも「くまちゃん」、だものなあ。


【7月14日】 瓶の底に残った「ジャックダニエルズ」を舐めながらこの夏期待していーんですかいーんですアニメ「lain」の第2話を見る。やっぱり良いなー、オープニングの絵も音楽も切れがあってどこか不安げな感じがして、現実と虚構が入り交じって解らなくなる本編の特色を如実に端的に表現している、よーな気がする絵の方はさすがに当代1流のスタッフが手を掛けて、放映2日前に出来上がっただけのことはある。

 音楽はBOAってあの「空飛ぶゆうれい船」に出てきたジュースのイメージソングを唄ってる企画物バンド、ではなくれっきとした英国の新進気鋭のグループが唄う「DUVET(デューベイ)」(ポリスター)。手に入れた7月1日の日本先行発売アルバム「ザ・レース・オブ・ア・サウンザンド・キャメルズ」によれば、フランス語でベッドカバーに用いる羽毛入りキルトのこと。息苦しそうな気怠そうな声を出すボーカルのジャスミン・ロジャースは何とその筋で有名なボーカリスト、ポール・ロジャースと日本人妻の清水マチさんとの間に生まれた娘。ライナーの写真を見るとモロ日本人ってな顔をしていて、同じバンドにいる兄貴のスティーヴ・ロジャースともども、エキゾチックな雰囲気をバンドに与えていてこれは英国では受けそーとの印象を持つ。アニメの主題歌じゃー例のhideの「ロケットダイブ」みたく死んで花見が咲くかもしれんが、出来れば売れて来日してやって戴きたい。ためにはやっぱアニメのヒットぢうよう、か。

 ってな心配をしなくてもたぶんおそらく絶対確実にヒット間違いなしだよな「lain」は。待ち遠しかったこの1週間を超えてようやく放映された第2話は、主人公の玲音(れいん)がこれで結構友だち付き合いが良くって、同級生たちとクラブ「サイベリア」(そーいえば「サイベリア」って本があったぞ大森望さんの翻訳だったな)に行ってあれこれって展開。前の夜になぜか玲音と良く似た少女がそのクラブでド派手ーな立ち回りを演じていたってことだけど、もちろん玲音にはまったくの覚えがないことで、だからこそあんまり社交的じゃないにも関わらず、普段着のくまちゃん帽を被って出かけたってことらしー。しかし入り口ですれ違ったガキどもの、声がすっげーガキだったのは時代が近未来で遊びの年齢が下がっていることの現れか、それとも違和感を出すための演出か。

 そして迎えたエンディングにはただ衝撃の一言。うーんこれが果たしてリアルワールドでの出来事なのかワイアードでの出来事なのか、はっきりとメリハリな描写がないだけにイマイチちょっと解らない。少年が手にしていた物が何なのか、その前日に食べていた物は何なのか、まあこれからおいおい説明があるでしょーが、けどこれだけ衝撃的な描写が良くって、活劇な「カウボーイビバップ」が間引かれるってのはこれもイマイチ納得がいかんなー。物語は何やら不穏な空気の中でいよいよ玲音がワイアードに関わり始めることになるって見通し。一瞬たりとも目を離せないテンションの高さと、淡々と流れているようで実は非常に濃密な情報の詰め込まれた展開に、これは次週への期待も高まりっ放しってもんだ。先週も登場したときどきムンクな少女がおそぎゃー(恐ろしい)。やっぱり先週も登場した玲音のくまちゃんパジャマくまちゃんスリッパがかーいー(可愛い)。

 ほっぺたも膨らんでいなければ顎もとんがっていないABさん(安倍吉俊さん)のキャラクターはアニメでは異色の部類に入るかもしれないけど、実際に動いてしる様を見ても違和感はなくむしろ可愛いなんて思えてくるから(熊ちゃんパジャマはホント可愛い)人間の趣味なんてあてにならない。作品のトーンともマッチングが良くって、こうなるとまず作品ありきだったのか、それともキャラクターありきだったのかが解らなくなってくる。どっちにしても当代随一のクリエーターが参加している事には変わりがなく、かつ既存の作品とは1味どころか四川料理と宇宙食くらい違うテイストが、果たして如何なる評価を持って迎え入れられるのか。これは世紀末ニッポンアニメ界を揺るがす”事件”になりそうだね。


【7月21日】 やっぱり単なる部屋着ではなく寝間着だと解ったくまちゃんパジャマ、なのであるがそれより何より本編の方は、一段と解らないぞ度数が上がってしまっているテレビ東京は月曜深夜放映のアニメ「lain」に、もう眼は釘付け心はへろへろで火曜日は仕事がほとんど手に付かない。まあ付かないのは火曜日に限らずウィークデーの全てだったりするんで、これは単なる永遠5月病の末期症状なんだけど、ともかく久々に毎週を楽しませてくれる(っても6月までの「カウボーイビバップ」に今も放映中の「トライガン」に去年は「ウテナ」と「VIRUS」があってさらには「吸血姫美夕」も「大運動会」も「AWOL」も「星方武侠アウトロースター」の最終回1話前まであたりもやっぱり毎週楽しませてくれたんだけど)アニメに出会あわせてくれたことを、さっぱり印象に残らなかったイリャテッセを割引しつつとりあえずは恵比寿に感謝を贈る。有り難うパイオニアLDC広報の高橋くん@元オリコン(って広報は作品には一切関係ないけどね)。

 何やら不穏な空気漂う「WIRED」じゃないワイヤードの世界にはレインってピーチクな娘が存在するらしく、けれどもリアルワールドの玲音は未だおぼこな無表情、なので今後はリアルとワイヤードとの関係がいかなるものでどう重なり合ってあるいは反発しあって行くのかを、主人公である玲音とレインを軸にドラマでは見せてくれることになるのかな。実は見ていて玲音が学校に通って父親からもらったNAVIを操作してくまちゃんパジャマにくまちゃんスリッパで家族の間を歩き回っているあの描写が、本当にリアルワールドなのかいまいち実感できんのよ。ときどき現れるムンク姉ちゃんしかり、電線の風鳴りが語り欠ける言葉もしかり。あの一家って本当に存在しているのか。へんなゴーグルつけたメン・イン・ブラックな奴はリアルな世界の住人なのか。

 とはいえ玲音の姉ちゃんと先週の宅配便の兄ちゃんは妙にリアルで生活感があって全体から浮きまくり、なおいっそうの混乱を見る者に与えて止まない。警察署もアリスら友人たちも生活感と存在感がどっしりとしていて、故にすべてがレインが見ている夢へとオチる話とも思えず、かといってワイヤードに浸食されている玲音の描写が、どんどんと現実から乖離していていく感じがして、いったいどっちなんだと問い掛ける。謎解きを真剣に考える性質(たち)ではなく、ただ漫然と流されて「EVA」も「ウテナ」も見ていた人間だけど、事がこーしてネットの上で別人格を装っている(本当は僕高校生の美少女なんです、ってそこのひと戻さないよーに)人間ともまんざら関わりがない訳じゃない内容だけに、関心だけはとにかく持って毎週をしっかと見定めて行くことにする。次回をよろしゅうの絵に出る「ウエザーブレイク」へのツナギも楽しみ、2回でネタも尽きたと思うけど、さて来週はどんな裏切りを見せてくれることやら。いっそ「ウエザーブレイク」まで取り込んでレインに天気予報を読ませるか? 矢玉アナ使った「はれぶた」(「はれときどきぶた」のこと)みたく。


【7月30日】 録画してビデオで見た「lain」の第4話は前回のラストで突然正確変わった玲音がそのまま活発で「ってゆーかー」なコギャル言葉(なのか?)で喋るようになってこれまでとは違った意味での違和感に苛まれる。物語はリアルとバーチャルが交錯してるってゆーかー、バーチャルな世界にバッドトリップしてしまってるよーなヤツラが次々と「幻」みたいなー、少女に襲われていく展開に何となく全体の構成が見えて来た気になるしー。両親の様子を見ているとどーやら玲音には秘密があるみたで、それはヴァーチャルな世界に対する力のよーなものらしく描かれていて、とりあえず話は一気な展開を見せたものの、謎はますます深く大きくなっている。団地の追っかけっこが「童夢」みたくでちょっと背筋ゾクゾク。初めてロリれない女の子のキャラクターが出てきたのにも驚き。しかし「ガッチャ」ってなにのお呪いなんだ?

 解らないことが多すぎるのでここは元締めに説明してもらうべしと、スポンサーの「パイオニアLDC」に押し掛ける。半ば職権を濫用したものだがきっと全国およそ少なく見積もって10人はいる(もっといる?)「lain」フリークな方々は許して頂けるでしょう。だいたいが1人しか担当記者がいなくなってしまった表の新聞のコンテンツ面(1人で1ページを全部書くという意味、その状況は干支がめぐってなおいっそう……)は、名実ともに「俺がルール」なので、これからなおいっそうアニメとゲームとフィギュアと現代美術とSFと荒木経惟の記事が増えるでしょー。経営戦略? 財務体質?? 社長人事??? なにそれぼくよくわかんなーい。


【8月4日】 「トライガン最終完成形」が売ってねぇぇぇ、なんて愚痴はさておき月曜深夜は中島みゆきのオールナイトニッポンだおこんばんわぁぁぁ、なんて冗談はさておき見たぞ「lain」の第5話は、完全にイっちゃってて最初から最後まで1度見ただけではさっぱり解らん。いや「お天気こわれてる?」だけは解ったよっく解った凄いぞスタッフえらいぞスタッフ来週は一体何が登場するのか楽しみだ。梅雨明け宣言だったら実にこの番組がリアルタイムで作られてるって証明になって良いかも。出来れば水着姿とかが良いなあ。お願いします。あとエンディングに名前の出ている「NAVIレイアウト設計」の「ところともかず」って、あの怪作にして掲載雑誌は幻と化した「鳥頭紀行ぜんぶ」で、西原理恵子さんと愛ちゃんがアシに行ったどて線1本数百万円の人なのかなあ。

 で第5話なんだけど、冒頭から登場するのは昔マックスあるいは黒騎士最近だったら蛙丈(古いかこれもすでに)な速水奬さん演じる「そうだよあたしゃ神さまだよ」。それが横断歩道で佇む玲音に聞こえる声で話しかけ、そこから現実と仮想とリアルワールドとワイヤードと空想と妄想と過去と未来が交錯した、世にも奇妙な30分間に叩き込まれて揉まれ最後まで抜け出せない。おそらくは過去かそれとも夢想状態にある玲音が部屋に座って熊ちゃんじゃない可愛い服来て人形と神像とママユーレイ、パパユーレイと会話しながら現実の不確かさについて教えを受ける場面では、バックに流れる音楽が何とも不安げでけれども楽しげで、それが4度繰り返される合間にアクティブだった姉が虚無感に満ちた生活へと転がったのか連れ込まれたのかしていく展開に、我が身も含めて何だか蜘蛛の糸のよーなものにからめ取られて身動きがとれなくなるよーな気がして、眠さがピークに達していたにも関わらず、ぐぐぐっと画面に惹きつけられて離れられなかった。おかげで今朝なんて目がしょぼしょぼだぜ。

 とにかく結論も解説も不可能な状況で果たしていったいどんな地平へと導いていってくれるのか。あるいは説明無用でこの現実と仮想との間にたいした違いなんてないと思っている遊離感でいっぱいの心をザワつかせてくれるだけなのかもしれない。少なくとも1人が最後までシリーズ構成をやっている作品だけにオチ、とまではいかないまでもケリはつけてくれると思いたいし、ライブでやっている訳でもなさそーなのでちゃぶ台ひっくり返させるよーな結末にはしないだろーね。そーした手法がかつて話題だけは振りまいた事があったとしても、同じことを2度やったらただの莫迦であり阿呆。せっかく「ゲーム批評」でも「仮面天使ロゼッタ」と並んで今もっともぶっとびな作品として推してもらってるんだから、ゆめゆめパイオニアLDCは搦め手から意表を衝こうなんて考えちゃダメだよ、ねっ、苅部さん(誰だったっけ?)。関係ないけど今号(サターンは死んだままな特集のヤツ)の「ゲーム批評」の表紙、良いなあ。誰かフィギュア作らないかなあ。


【8月11日】 荷物は無事届いていたよーで何よりな「lain」の第6話を早起きしてビデオで見る。何だか知らないうちに魔窟と化した玲音の部屋は、冷却装置に空気中の湿気が水滴と化して下に溜まったらしく入ろーとした決して後藤隊長(「軌道警察派と例バー」の人)ではないお父さんが足を踏み出すと靴下をピシャリと濡らす。あれだけ溜まってればきっと下の部屋は雨漏りがして大変だろーと思うけど、1人であれだけの装置を組み上げた玲音のことだから、きっと床をはがして防滴工事もしっかりやってあるんだろーなー。熊ちゃんのニッカボッカー履いて熊ちゃんのヘルメット被ってセメント塗り塗りしてる玲音って、ちょっとかーいーかも。昼のドカ弁も箱が熊さんだったりして、ね。

 それはさておきワイヤードのレインとリアルワールドの玲音が次第に一致し始めたってゆーか、ワイヤードのレインが顕在化して来た展開に過去の何やら爺さんによる実験も絡み、それが15年の時を経て子供たちに何らかの影響を与えているらしいって事が明らかになって、お話は観念的なリアルとバーチャルの邂逅から、俄然SFチックな要素を帯びて来る。レイン=玲音が何故に選ばれた人間としてリアルとバーチャルの双方を行き来しつつ謎を探っているのかが未だ判然とせず、その当たり目覚め掛けた玲音の姿に愕然とするお父さんの表情から、こいつ昔何かやったな、って当たりが読みとれる。あるいは過去の発明をほじくり返して世の中の子供たちを誑かしているナイツのもしかしてお父さんも一味か。

 子供が見上げる空を上目遣いに見る玲音の表情がなかなか最高。絵も盛り返し、お話も謎の博士の登場で一気に転がり初め、再びのメン・イン・ブラック登場でいよいよ後半戦へと突入していく訳だけど、すでにリアルワールドの(つまりこの現実世界の)ネットでは(つまりインターネットのBBSやらパソコン通信のフォーラムでは)、お話の原典探しや謎解きが始まっていて一時の「エヴァ」騒動を思い出させる。騒動の規模では匹敵にならないし論争もまだあまり起こっておらず、アニメ雑誌も本家の「AX」(「lain」を絵物語的に連載していたアニメ誌でソニーマガジンズから出ていた)をのぞけばほとんどが無視ってな状況では、ブームに火がつくこともそれほど期待できない。にも関わらずのコメントの多さを寧ろ誇るべき、なんだろー。個人的にはそーした見方は面倒くさいからあんまり好まず、まあ言ってしまえば間抜けなんで頭が働かないだけなんだけど、だらーっとグルーブ感ってゆーかお話のうねりに身を委ね、不思議感覚の中でラストまで連れていってくれたらいーなーって思ってる。予告の姉ちゃん、足太ってー。


【8月13日】 そーゆー楽しみ方があるのなら、もらったビデオを見返してみるのも面白いかと思いつつ、パイオニアLDCと言えば一部に話題沸騰中の「lain」本を(補注・コミックマーケットで)探すも、流石に番組が始まって1カ月ではキツいか、とあきらめかけていたところにコピー誌で1冊だけ発見。時期が時期だけに、ペン入れ前のコマ割りとネームの下書きって感じの本だったけど、リアルとバーチャルが交錯する「lain」の雰囲気を作者なりに解っている範囲で解釈してあって、意外やそんなところへと本編も落ちつくのかもしれんと啓蒙される。裏表紙のコート来てうつむき加減に佇む玲音の絵なんかちょっと良いです、あと奥付の熊ちゃんマーク付の帽子(本ページのカバーガールと同じやつ)を被った玲音の絵とかも。しっかりペン入れされたバージョンも読んでみたいですね。夏カゼな小中千昭さんが頑張ってる本編も折り返しに来て、このまま失速せずに話が終わった後の冬コミじゃー、もっともっと増えて来るだろー。期待してます。


【8月17日】 おっと送って戴いた田中麗奈さんサイト情報のメールを飛ばしてしまいました。ご返事かけずスイマセン。「lain」見ましたかあ? 何か陰謀が明るみに出て来てそーで、話が一気に転がり始めた感じ。密度の高さ情報の多さの割には説明の皆無さがいっそうの謎解きブームを招きそうで、ちょっぴりゲンナリもしているけれど、久々にアニメが結構な話題になりそーで、それは決して悪いものじゃなく、しばし議論の行方を眺めつつ、クライマックスへと向けて話をどう収束させるのか、お手並みを拝見して行きたい。小中千昭さん責任じうだい。しかしウエザーブレイクネタも飽きたのか今度は牛柄ゲイトウェイネタで来たか。これは相当にマニアじゃないと解らないと思うけどね。せめて来週は林檎にしましょー。


【8月18日】 起きて再び「lain」の第7話。思わせぶりなスカート脚の組み替えに朝の爽快な屹立を一段と刺激されて苦しい思いにとらわれたけれど、それを超えて登場したのが、やっぱり妖しい奴だった宅配便のロンゲ兄ちゃん。本人が何かを意図して配達人をやっているのか、単なる運送会社のバイとなのかはちょっと未定だけど、少なくとも彼が配達したものには、玲音の巨大なナビしかり、マンションのお尻がキュートなママに届けられたガンダム高性能化パーツ(こんな古いものを、父さん)、じゃない得体の知れないマークが描かれたボードといい、ナイツって名乗っている集団による何らかの息がかかっているかのよーに思える。

 「吸血姫美夕」では転換点となるエピソードで「とんび」として登場した千葉繁さんが今度は「ねずみ」と名乗るモバイル野郎の声をあて、男のイッちゃってる感を見事に演じきっていた。そのねずみがヘッドマウント型のディスプレーの向こうに見た、ワイアード世界から来た刺客の1人を見た時に、蜘蛛の巣という意味でのウェブのよーにリアルワールドに張り巡らされた、ワイヤードからの操り糸のよーな物が浮かび上がって作品世界の全体像をちょっとだけ垣間見せてくれたよーな気がした。玲音という少女がタダものじゃなかったことも解ったし、どーやら家族とものっぴきならない関係だったと解って、さてもお話は後半戦へと突入し、玲音をめぐってヘンなおっさんとMIBの一味VSナイツの面々のMリアル、バーチャルと問わない激しいバトルが繰り広げられることになるんだろー。いよいよ目が離せない。ウエザーブレイク前のキャッチとともに。


【8月24日】 ストリート編集室から刊行されているファッション雑誌の「FRUiTS」第15号を買う。ストリート系ファッションを勉強して膝丈のパンツにTシャツとか、髪の毛ピンクで指に飾りとか、くたびれたジーンズにピアスを眉にとかってな格好で仕事に行くためじゃもちろん無くって(ジターリングは首から下げてたりするけれど。あとサイレントシャウトも)、何故か不思議と掲載されている「lain」のプロデューサーである上田耕行さんのインタビューを読むため、です。何故にストリート系雑誌にアニメのプロデューサーのインタビューが? という疑問がまず最初に浮かんだけれど、読んでいるとどうやらこのインタビュアーの人、「エヴァ」をリアルタイムで見れなかったことを「失敗」と認識し、「12チャンネルのアニメは、初回全部チェック」していたら、この「lain」が琴線に引っかかったって事らしー。

 いわゆる「ポスト・エヴァ探し」の果てと言えば言えない事もなく、そこまでリキ入れてアニメ見てるのって疲れませんか、アニメってもっと楽しく見たらいいんじゃないですか、なんて言ってあげたくもなったけど、かくゆう僕にも「次はこれが流行る」ってな事を人より早く言いたいがために新番組が始まれば欠かさず(BSは除く、悔しいけど)見ては、ありゃこりゃ的外れな意見を述べていたりするから、あんまり偉そーな事は言えない。むしろ「エヴァ」のTV放映が終わってからもう2年以上が経っているのに、本来はアニメのフィールドではなさそうな人が、いわゆるアニメ的なメカだ美少女だなお約束の文法にノる振りをして楽しむなんて事も出来ないまま、欠かさずアニメを見ては次を探そうと頑張って来たその労力に、とりあえずは敬意を払いたい。

 いわゆるお約束を楽しむ人ではない証拠に、インタビュアーの人が小中千昭さんについて上田さんが触れた時に「その人はどんな人なんですか?」と聞いている。だからなんだろうけれど、すげえスタッフが集まったから凄いアニメだなんて見方は一切せずに、第1話のテンションとか女子高生の自殺やクラブでの乱射といった場面とか怖いオープニングのタイトルとかNAVIの画面デザインとかレイアウトとか音楽の良さとか、そういった作品そのものが発散している部分について凄さを覚えてインタビューを敢行してしまっている。とかくスタッフの知名度ばかりに目が行ってしまいがちだったり、取材に行くとついつい「知ってるんだぞ」的モードで質問してしまいがちな個人的趣向を、海よりも深く反省する。今度パイオニアLDCに取材に行ったら「誰ですか小中千昭って」と聞いてみます。

 インタビューでは玲音が身につけている熊ちゃんファッションの秘密が判明。こぐま兄弟舎な小中さんの思い入れの結果と認識していたら、何とあれはキャラクターデザインの岸田隆宏さんと監督の中村隆太郎さんの設定だったとか。隆の付く人はクマが好き? 僕はパンダも好きだけど。説明によれば家庭内のくまちゃんパジャマは家族と対立する時の戦闘服で、外出時のクママーク入り帽子は身を守るプロテクターってことらしい。だから最近のトんでる「lain」はパジャマも着ていなければ帽子も被っていないのか。B5サイズ(かな)で都合10ページにも及ぶインタビューはファッション雑誌にしては極めて異例で、クリエーターでもないプロデューサー、それも大月さん(注・キングレコードの人)でも真木さん(注・ジェンコの人)でもない今はまだ無名で29歳の社員プロデューサーに聞いているとゆー点でも(補注・そんなに若かったんだ上田プロデューサー)やっぱり異色の内容。これを何故に山とあるアニメ専門誌が出来んのか? 世界は謎に満ちている。


【8月25日】 かつて金田一映画で岩下志麻がして以来じゃないかってなアレな場面が登場した「lain」第8話。TV放映されたアニメではおそらく初めてだろーと思うけど、男の子なんで本当にアレしていたのそれとも別のことをしていたのか、はっきりしたことは解りません。抜いた手の指が2本だけ余韻を残すかのよーに折れ曲がる演出は、果たして監督脚本作画の男性陣が想像をもって描いたのか、それとも女性に実際に聞くなり実演してもらったのか、さらにはスタッフの女性が裸で腕立て伏せする青年をスケッチする女性漫画家のごとく自らを実験台にしつつビデオで撮影して再現したのか。うーむやっぱり「lain」は奥が深い。深すぎて僕のじゃー届かない。

 どうやらお話は玲音の内面の葛藤へと移ったようで、このままいけば分裂した自我を統一するにしろ分離してしまうにしろ、少女の成長とゆードラマしか見えてこず周囲のワイアードなり謎のMIBなり食卓に並んで座って沈黙したまま目だけが睨む父母なりアーウーなお姉さんなりが、ただの異常なシチュエーションを現すだけの背景に過ぎなくなってしまう。成長の物語も決して嫌いじゃないけれど、ワイアードなりNAVIなりといったテクノロジーの発展が生んだ謎の美少女が時を隔ててその本性を発現させてそれを謎な会社と謎な組織とがくんずほぐれつ奪い合う、ってなハードボイドドな物語を進めて視聴者の目にウロコを飛び込ませた上で、成長の儀式という物語で感動を与えてやってはくれまいか。

 今のままだとあらゆるシチュエーションを無視するなり気にしなかったりする中で、「わたしはわたし」ってな自己発見のドラマで終わってしまいそーな気がするし、それだと「僕はここにいてもいいんだ」ってな自己憐憫のドラマの3番煎じを思われ誹謗を浴びつつ退場、年末には誰も覚えてないってな事になりかねない。とはいえマカロニアンモナイトの連載でじっくりプロットを練り上げて脚本を書いたと発現している小中千昭さんの言葉を読む限りにおいて、期待だけはまだまだ抱いていられるんじゃないかと信じてる。きっと最後は強烈なメッセージなりどんでん返しなりが待っていることだろー。でしょ。

 その小中さんのページに後ろ向きで立つクマちゃんパジャマの玲音のイラストがあったので、何だろーと思って明日発売の「lain」のサウンドトラックを買ったら(早売りなのね)、ジャケットになっている部分の裏側にしっかりsnoマークがはいってた。これが仲井戸“CHABO”麗市さんが初めて手がけたアニメのサウンドトラックか、ってなキュートなデザインで、女の子がアレやっちゃうアニメのサントラともやっぱり思えず、ジャケットの玲音がギターを抱えたイラストと、クマちゃんマークに惹かれてサントラだけ買った人が、アニメ見て何て感想を抱くことやらと、ほくそ笑みつつ帰宅した後にだけどサントラを聞く

 うーんCHABOだ。キレたギターの音が中心になったサントラはそれだけでアニメのサントラとしてじゃなく、RCサクセションのメンバーでストリート・スライダーズの蘭丸とのユニットもものしたことのある、今もっともキレてるオヤジなCHABOのインストな作品集としても十分に聴ける。東芝EMI所属のアーティストにこれだけのアルバムを作らせてしまったパイオニアLDCは、この際アニメがヒットしよーとしまいと、すっげー徳したってことになるだろー。まあ「lain」とゆー作品があってこその仲井戸“”CHABO”麗市の参加だから、他の「エルハ」「天地」みたいな作品でビッグアーティスト連れて来るってのは無理だけどね。イメージソングとゆー「孤独のシグナル」が、軽快なサウンドと人が恋しいと訴える一本気な詞をもって、あるいはこの番組のハッピーエンドを予見しているのかもしれないと思ったけど、さて真相はいかに。1カ月後にはすべては明らかになるでしょー。


【9月8日】 ビデオに録画してあった「lain」を朝っぱらから見るとさすがに落ち込むねえ。学校に行って机がなくなっていた日のことを思い出して、ってそーゆーことはなかったけれど、誰もがきっと1度は思う「自分っていらない子どもじゃないのかな」ってな懐疑と、それが嫌で媚びたりおもねったりした日々への自己嫌悪を、映像にほじくり替えされるよーで気が滅入る。まあ大人だから「そーゆー日もあったなあ」と達観して金のために諂(へつら)うことだって厭わないくらいに人間出来上がっちゃってるけれど、同時代的に机画されてる青少年にはちょっちツラい場面かも。救いがあるかどーかは知らないけれど。たぶんあなまり救いもなさそーだけど。残り3話でどうオチつけてくえるのかにとりあえず注目。関係ないけどCMに出て来る「ケリー・ファミリー」ってどこの国でどれくらい売れてるの? それっぽいCMだったロビンソン一家より有名なの?? 教えて音楽な人々。


【9月10日】 ウルフウッドとミリィはたしてやったのかどーなのか、やったとしたらどっちが上でどっちが下だったのかなアニメ版「トライガン」を見て寝て起きて仕事。に行く前に本屋に寄って「アニメージュ」と「AX」を買って電車の中で貪り読む。朝っぱらからアニメ雑誌読むスーツ姿で手にはハートマンのアタッシェは結構ブキミな感じがするかも、って自分で言うなよオレ。まあ良い「AX」は表紙が村田蓮爾さん原画の「青の6号」の真弓ちゃんで絵としてみるとやっぱり性格暗そうで無口な印象があるけれど、動いて喋ってるアニメは第1話見たから言うけどそれは勝ち気で活発でお喋りなので、そーゆー女の子に踏んづけられたい男には結構ツボな作品になるかも。横で煙草吸ってる鉄(ってもチエちゃんのオヤジとちゃうで)は顔がいかにも不健康そー。こんな表紙をどーんと持って来てしまう当たりに、アニメ雑誌としては新興な「AX」のチャレンジ精神が見えて個人的には結構好きかも。「lain」は1度も表紙にならなかったよなー。

 いっぽう「アニメージュ」は最終回も近い「ロスト・ユニバース」からキャナルを大々的にフィーチャーする定番的な表紙、だけど髪の色にあわせてロゴも見出しも作ってあって、トーンとしては美少女の華やかさよりもしっとりとした格調の高さが伺えて、リニューアル後でも1、2を争う良い表紙絵に仕上がってます。作品はもう1カ月以上見てないんだけどね。もとより「AX」では最初から連載までして扱って来た「lain」だけど、遂に間もなく最終回とゆーこの月を落としてはタイミングを逸すると考えたのか4ページを使って特集してあって、それもただセルワークでごまかすんじゃなくって記事を入れ小中千昭さんと中村隆太郎監督へのインタビューも入れ、顔のアップもドカドカ入れたまんずまとまった内容になっている。エンディングの壊れたキャッチも6枚分を収録でファンにはたまらない逸品、最終回への言及もあって期待も膨らむ。2人へのインタビューは「AX」にもあってこっちは小中さんの顔写真入り。長髪暑くないですか?


【9月24日】 仕事を終えてJRで秋葉原に回ってソフト屋さんなんかを散策、昨日あれだけ散財して反省したばかりなのにLDとDVDの新譜を山と買ってしまって自己嫌悪に気分は散々。自業自得なんだけどね。買ったのはDVDがいよいよリリースの始まったパイオニアLDC発売の「lain lif.01」。第1話と第2話をカップリングにしただけの大容量のDVDとしてはいささかもったいないタイトルだけど、ビデオもLDもいっしょだから仕方がないか。

 「lif.02」は第3話から第5話までの3話を収録で6800円らしーからちょっとはお得でもったいない感も減るかな。ちなみにDVD版にはアニメの設定資料が静止画で入っていたり、ウエザーブレイク前の遊びも「明日の天気はどっちかな」の絵とプラスどっかーんなイラストが入っていてそれはそれでお得。ライナーのABさんのちびちびレイン漫画は電波入ってて良いですねー。これはLDにもあるのかな。いや次巻が楽しみで仕方ないっす。

 ちなみにパイオニアLDCではアニメのDVDシリーズに本腰を上げて取り組むみたいで、昔っから野田隆一前社長に嘆願して来たことがここに来て結実して善哉善哉。っても向こうの勝手な事情であり判断なんだけどね。予定ではまず10月23日に日本語版の方の「アミテージ・ザ・サード」が全4話入って4800円で発売、加えて「楽勝ハイパードール」全2話が3800円に「モルダイバー」が全6話で4800円。中古のLD屋で山と見掛けならがも手を出し控えていたタイトルだったけど、これなら買っても良いかな、ってーかまず絶対に買うね。11月25日以降も「グリーンレジェンド乱」に「THE八犬伝」に「機神兵団」、12月22日には「THE八犬伝 新章」に「幽幻会社」に「天地無用! 魎皇鬼 天の巻 eps.1−3」が発売の予定。どれも中古販売の特価でおなじみのタイトルだったりするけれど、DVDにしたからって盛り返しは可能かな。「エルハ」出せー。


【9月29日】 例の裁判は11月30日がブチかましたっぷりで格好良いかもって話は別にして、「lain」最終話「Layer.13 EGO」をナマで見る。1回見ただけではなかなかに理解が難しい作品であることは毎度のことだけど、ざっと嘗めてどーやらあんまりハッピーなエンディングではないよーに思い、ウェットな気持ちを抱いて布団にくるまれてぐーぐーと寝入る。最後の拠り所だったありすにも拒絶されたレインが、すべてを再構成して自分が存在しなかった世界、英利政美は自殺なんかせず天才を認めない会社に対して「やめてやるー」とブツブツ言いながら毎日会社へと通勤し(誰かさんみたい)、四方田千沙はロケットダイブなんかせずジト目を伏し目がちにして学校へと通い、メン・イン・ブラックな2人組は電力会社でリフトを操作して電柱に上って電線を修理し、岩倉家は父母娘の3人家族で玲音なんか始めからいなかった別のリアルワールドを作る。

 それで良いの? 納得できても納得しないレインの上に神様よろしく再登場する後藤隊長、じゃない父親に向かい合い、世界のイガイガから自分を守るために着ていた熊ちゃんパジャマのフードだけを取り払い、感情を露に涙を流すレインの姿に、超越者なんかになりたくない、1個の自我で在り続けたい、誰かに気にし続けられたい人の、人であるが所以の弱さと強さを合わせ見る。一種超越者としてワイヤードの空間から、「わたしはここにいるの」とささやくレインはしかし、相手があって初めて認識される客体の存在でしかない。歩道橋の上から「いつだって会えるよ」と微笑むレインは不幸せそーには見えないけれど、でもやっぱりどこかもの悲しい。

 世界の中心で声高にアイを叫んで己の居場所をこじ開けよーとした生き方が、自己の不在感に悩む大勢の現代人を惹きつけて300億円市場を産み出した過去と照らして、己を滅してなおささやかな存在感を漂わせるその奥ゆかしさ、いじましさが果たして大勢の共感を得られるんだろーかと悩みつつ、11月とかゆーゲーム版lainの発売を待つ間、第1話から最終話までをざっくりと見直しながら、この3カ月に亘って確実に存在したレインワールドをときほぐしていこーと思う。親父の存在にはやっぱり注目だな。


【1月1日】 ってー訳で新年早々から「EVA」見るのも体に悪いんで、ここは健康一番なプレイステーション版の「lain」をツラツラとプレイ、毒々感に溢れたシナリオと可愛さの対極にあるグラフィックにストレスたっぷりな操作感が、いよいよ幕を開けたグランドクロスな終末の年を象徴するかのよーでとっても心を冷や冷やさせてくれますね。

 細切れに散りばめられた主人公の日記、カウンセリングの記録、カウンセラーの日記、映像なんかをとりあえずは無作為に見ながら全体像を推理しつつ、同じキーワードで辿って連続性を確認していく作業の何と奥深いことよ。形態的な特質上、結局は前から後ろへと読んで行かざるを得ない「本」とは違うハイパーなテキストの1つの形として、後生に記されるタイトルなんじゃなかろーか。とは思うけどやぱりあの絵と重たい操作感じは、ねえ。サクサク美麗な「DC」で、作んない? 本当のネットとも連携させて。


【2月27日】 まさか「ファービー」が2つも入っているとは思わなかっただろーな、とゆーか「ファービー」なんて思い浮かべもしないよーな人々が集う新宿は「ロフトプラスワン」で開催される「lain」関連のイベントへ。1時間前と余裕を見ていったらすでにして会場は満員に近い状態で、「AX」を除けばアニメ誌的な盛り上がりもほとんどなかったしグッズとかも出ていない、DVDやビデオだって山と売れている訳じゃない作品であるにも関わらず、いったいどこにこれほどまでにファンがいたのかと首を傾げつつ、やっぱり好きな人はたくさんいたんだとスタート当初からのファンとして嬉しく思う。後で質問タイムになって発言した人なんて確か仙台からの来場者で、放映中は東京から録画してもらったビデオを送って1日2日遅れで追随し、最終回はリアルタイムで見るために会社を休んだとゆーほどのハマりぶり。圧倒的に男ばっかりってのは自分を棚上げにしてムサかったけど、およそキャラへの感情移入が難しい作品だったにも関わらずの来場に、「萌え萌え」ばかりじゃないファンも大勢いるんだって事が解ってこれも嬉しくなる。あたしゃ単なる「熊ちゃんパジャマ萌え」だけど。

 水民玉蘭さん仕切りのイベントは監督の中村隆太郎さん脚本の小中千昭さんプロデューサーの上田さんディレクターの中原さん作画監督の岸田さんイラストの安倍さんほか大勢の関係者が入れ替わりたちかわり舞台に上がってトークを繰り広げるファンにはたまらないイベントで、中身も相当に充実してたよーだけど忘れて欲しい話が多かったみたいだし、早起きの影響で記憶にところどころブランクが見られたりするんで、イベントがあったって事実をのみ止めることにしておく。ちなみに中村監督は写真に写るのが嫌いで、文化庁のパンフレットにも顔出しを拒否していたくらいだから、会場でその推定2メートル23センチはあろーかとゆー(目測)巨躯を見られた人はラッキーだったかも。壇上には小中さんがときどき紹介していたジェニーを使った「岩倉玲音」やら「グレイン」やらがズラリと並んでとっても壮観。ワンフェスに出ていたフィギュアも並んでいたけどこれ、誰んだろ?

 企画段階で上田プロデューサーがアイディアを見せた時にはホラーな小中さんでも「くれー」と言ったとか言わないとかゆー「lain」が、アニメもゲームも爆発的とは言えないけれど熱烈なファンを巻き込んでイベントに数百人(推定)を集めてしまうくらいのパワーを持った、そこへと至った間のスタッフの凝りよーと働きぶりに敬意を表し、また応援して盛り上げよーとして未だに果たせないまでもしっかりと記憶に止めて再びの盛り上げを画策しているファンたちにこれからも頑張ろーとエールを贈りつつ、3時間余りのイベントを後にして家に返る。早速あけた「ファービー」は名乗った名前がいきなり解らず、我がリスニング能力のなさを痛感し、英語版なんか買ってしまった事をちょっとだけ後悔する、って喋っているのは「ファービー語」なんだけど、どっちにしたって語学力皆無なんで一緒なんだけどね。しばらくは「ファービー」育成日記だなあ。


【5月10日】 さても「アニメージュ」は「第21回アニメグランプリ」が発表。「ルリルリ」が1番はしょうがないけど3番の「キャナルbyロスト・ユニバース」ってのはちょっと解らん。単に見てなくって思い入れのない作品から選ばれていることへの個人的な違和感なんでファンな人は起こらないでね同じことは「シャオリンby守って守護月天」とか「ライムbyセイバーマリオネットJ TO X」にも言えます。をを「クリーオウby魔術士オーフェン」が11位だそんなに人気者だったのか。20位まででは「岩倉玲音bylain」の顔だけがとてつもなく特異。これが18位に入っている事実はキャラ萌えじゃなくって作品自体のパワーがあった事を現していると見ていたファンとして思い入れたっぷりに喜ぼー。

 なんと「AX」は「十兵衛ちゃん」が表紙。連載中だからフィーチャーぶりも当たり前っちゃー当たり前だけど中の対談でもこの春スタートのアニメでイチオシ的扱いになっているから当然の扱いと言えるでしょー。折り込みのマンガ付録に安倍吉俊さん描く「ちびちびlain」の4コママンガが掲載されているんでファンならチェック。あと山岸真さんと水玉螢之丞さんが組んでSF作品について語りイジるコーナー「ホンのお読見」が「グッドラック」じゃいないけど神林長平さんの「戦闘妖精・雪風」で、他に例を見ない芸風を発揮している山岸さんの文章に、文字どおり「わかりにくすぎるネタ」なバッタ姿の冬樹蛉さんが” 賛! アニメ誌初登場(だったかな)”なんでファンならチェックだ、って山岸ファンなの水玉ファンなの神林ファンなの冬樹ファンなのどれなのよ。水玉的「雪風」解釈は秀逸、やっぱサポートするシルフィードはカワイくなくっちゃ。


【5月22日】 よーやっと登場した安倍吉俊さんの画集「an omnipresence in wired」(ソニー・マガジンズ、3980円)を買う。「lain」に関して安倍さんがデザインした設定やら「AX」で掲載された「lain」絡みの連載やらをまとめて収録したビジュアル面での集大成とも言える本。何より「AX」ではテレビの進行の関係で端折られた「layer」の6から12までが一挙収録されているのが有り難く、その多彩なビジュアル・イメージに改めて安倍さんの才の財布が奥深くまでギッシリなことを認識する。「layer12」で使われたって日本画なのに日本画に見えない大友さんみたく見おろすパースで描かれた団地と住宅の絵がすげぇーのって。実物見てみてー。

 「ちびちびレイン帝国の逆襲」の欠番だった2番目を見られるのはこの本だけです今は幻となって記憶の彼方へと消滅した雑誌「looker」連載の小中千昭さんのコラムにつけられた「きんぎょこわい」他のイラストが見られるのもこの本だけですコラムもどっかでまとめて読みたいなー。あとテレビ東京で見ていた人くらいにしか意味不明だった「お天気こわれてる」とかも没まで含めてあれこれあって懐かしんでもオーケー、絵のきっと勉強にもなる本。でも本当にカンドーしたのは文化庁の「メディア芸術祭」で「lain」が優秀賞だかを取った記念に作ろーとした「メディア動物祭」って書かれたシールのデザイン画。熊としてクジラの下になるのは許せませんか玲音さま。


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