縮刷版99年7月中旬号


【7月20日】 成宮だろーと七実様だろーと私は誰の挑戦も受けるぞ、ただし学力テスト(とくに英語、数学)だけは勘弁3流私大にゃ荷が重いんで、ってな謎めいたメッセージはさておき会社に行ってタカラの会長が息子の社長をとばして自分が社長に復帰するってな逆流人事について何か書けと言われて適当なことを書きとばす。いくら「リカちゃん」「ダッコちゃん」で一世を風靡した玩具作りの天才でも、コンピューターゲームがキッズ・エンターテインメントの主流を占めるまでに時代の変わった今に果たして昔ながらの「感性」が通用するのかって疑問がまず先に立つ。

 なるほど「玩具」ってカテゴリーに限って言えばアイディア1発な部分があるからそんなに問題はないとは思う。例の髪の毛の色が変わる「リカちゃん」だって発案は佐藤安太会長だったって話だし。問題なのは玩具メーカーがいつまでも玩具一筋でいけるのかって1点で、米国最大のマテルがザ ラーニング カンパニーを傘下にマインドスケープ・エンターテインメントってな著名なデジタルコンテンツな会社を幾つか持っていたり、マテルと市場を2分するハズブロが傘下にタイガー・エレクトロニクスを加えてデジタルペットな「ファービー」を大ヒットさせている海の向こうの状況を見ると、「リカちゃん」のよーなアイディア勝負の玩具だけだとそこから外へと羽ばたけないよーな気がして仕方がない。

 バンダイの山科誠さんみたく羽ばたき過ぎようとそてセガとの合併なんて無理筋を画策し、人心を乱してやっぱり親父さんだった会長に阻止されたって例もあるから羽ばたきにも程度問題が残るけど、時代はやっぱり確実に変わってて、そこへの対応を怠れば今は玩具の大手といってもキッズ・エンターテインメントではマイナーな駄菓子屋の位へと堕してしまう可能性だってない訳じゃない。75歳の爺さんが「爺の繰り言」「年寄りの冷や水」と言われないためにも今がどーゆー時代なのかを認知するなり認知した人材を回りに置いて、己の「玩具」に関しては一流の感性を人材の登用でも発揮していくことだと思うけどどーだろー。「デジタルリカちゃん」はペケだったけど「バーチャルテニス」はあれでなかなか人気なんだし。

 一晩眠って昨日のイベントに関連して思い出したことあれこれ。まずはコミケで売ってる同人誌への批判が許されるかどうかって点で、東さんが自分の本を例に挙げて印税が10%しか入らないけれど、本屋で勝手に売られて買われている本だけに、目の前で賛辞こそ得られないものの目の前で罵倒さる心配からも免除されてるってなメリットを述べ、対してコミケで直販している本は儲けについては1割なんて印税は無関係、かつ直接賛辞を受けられるメリットがあるんだから罵倒だって受ける事もあるよねってな違いを主張する。そこで笑い声をあげた会場の人に「何で笑うんだ!」と気色ばんで大声を出した東さんはちょっぴり珍しかったけど。ところでコミケって本売って儲かるの?

 そんな疑問に答えたのが第2部からようやく喋り始めた砂さんで、曰く普通の出版社の仕事では、いわゆる既存の出版取次書店といった流通形態の関係もあるのかマンガ家の原稿料が安い(7000円とか9000円ってのが相場なのかは不明、ただし一般的であっても安いことに代わりがないと砂さんは主張する)ってな状況が発生する、ゆえに直接取引できるコミケの場ってのは新しい自主流通組織として発展への期待があるってな内容のことを話す。実際コミケで結構な数本をさばいているよーだし。ただしここでコミケが運動の場から自主流通の場へと切り替わることによって、著作権なり版権といったものへの侵害が大きく浮上してくるため、そう簡単には既存の出版システムにとって変わる自主流通マーケットの場として商業的に位置づけることが持つ、様々な困難も浮かび上がって来るんだけど。

 2人の見解から見えてくるのは、果たしていつまで「みんなのコミケ」ってな共同幻想のもとで誰もが構成員として運動に理解を示して一斉に動いてくれると信じていられるのかどうかって点、かな。もはやここまで肥大化すれば無理ってのが現実に即した意見であり、だからといって理念は変えたくないって古い人たちの、とりわけあらゆる偏見や妨害と戦って来た人たちの意見もあり、そーゆー現実論と理想村が入り交じった中でどれが一体正しいあり方なのかを考えることの難しさをひしひしと感じる。結局まとまりもなくイベントが終わってしまったのも、そーした理想と現実の双方にメリット・デメリットがあり選び難い、とゆーか選べない状況が背後にしっかりあるからなんだろー。

 余談。コミケをとてつもなく巨大なイベントと新派な人が信じるのは自由だけど、開催している当日のどの一般紙が事件などではなく普通のイベントとして「コミケ始まる」と書いているのかって点に、未だコミケの置かれているマイナーな得体のしれない集団によるイベントってなメディアによる視線が垣間見える。つまりは関心なんてまだまだ持たれてないってこと。爆弾騒ぎのよーな事件があったから最近は報道されることもあるけれど、これっていわゆる警察発表をそのまま伝えているだけってことだよね。

 ともすればコミケにネガティブな立場の権力がネガティブなニュアンスで事件の被害者であるにもかかわらうコミケを悪く言い、普通のメディアを情報操作しないとも限らない可能性を内包しているだけに、コミケ自体が情報を積極的に発信していく努力を怠れば、メディアは今以上に批判的な目をコミケに向けるようになる、かもしれない。信じてくれる仲間との連帯ばかりを信じず、敵っぽいメディア(これがまた権力あるんだよね)を取り込むくらいの度量を見せてくれた方が、行く末安心のよーな気もするけどどーだろー。ってことでマイナー工業専門紙が取材に行っても、名刺で折り鶴折らないでちゃんと取材させて下さいね。

 アイディア1発で圧倒された萱野葵さんの「段ボールハウスガール」(新潮社、1400円)を買って読んで内容1発で卒倒する、これは凄い何が凄いって主人公の女性のあらゆるプライドを放棄しあらゆる体面をかなぐり捨てた生へのあくなき執着心が凄い。爪に火を灯すようにOLしながら貯めた200万円で1年遊んで暮らせるだろーと会社を辞めた途端に空き巣に入られ通帳はパー、1銭も戻らず呆然とした主人公はアパートを引き払い身の回りの品物だけ持ち街に出て、卒業した大学のベンチや新宿公園を経て果ては新宿西口に段ボールハウスを付くって暮らし始める。

 食事はごみ箱漁りに始まりやがて段ボールハウスからアルバイトへと出る暮らしを重ね、自販機ドロに寸借詐欺も重ねる暮らしを続けるその主人公の行動原理に、理不尽な社会へのあくなき闘争心が伺えて胸ぐらつかまれ頭を強請られる気分になる。このご時世に臍からパワーが出て来る1冊。帯にあるよーな決してクズ女なんかじゃない、パワーたっぷりのポジティブな女ただし生活苦しいです。仕事なんか辞めても結構暮らせちゃうもんだってなマニュアル替わりに読んで段ボールハウス作って暮らす美女がいっぱい出てきたら、僕毎日あって新宿西口通っちゃうんだけどなー。


【7月19日】 ひょれひゃれってな具合にとり・みきさんから有り難いメールを頂いて「ホシヅルの日」なるイベントのことを知り、早速ハガキで振込用紙を送ってもらえるよー新潮社まで申し込む。未だあのサイコロステーキなショートショート全集も買えずにいる不義理なファンなれど、幼き日(毛は生えてたけど)に読みそのままSFなる世界へと足から手から引っぱり込まれた身としては、やはり出席してその栄誉を讃えなくっちゃ今この時間に東京(近郊)に住んでいる甲斐がない。

 柴野拓美さんは「SFセミナー」なんかで顔を見たことがあっても素子姫に左京御大のご尊顔を拝する機会など滅多やたらとあるもんじゃなく、ここはどうあっても仕事を辞めてでも当日は会場へと駆け付ける所存、まずはご連絡頂いたとり・みきさんに御礼申し上げるとともに、同好の人も多いと思い自分がしっかりとハガキを投函して、入場権を確保できるんじゃないかと確信を抱いた後ってあたりが卑怯だけど、ここにお知らせして皆様の参加を深くお願する次第。でもここからメールで申し込みされちゃったらハガキ組が間に合わなくなるかなあ、その時は着ぐるみのホシヅル役を買って出て関係者として入場だあ、秋なんで涼しくなってるだろーし。

 松竹で「劇場版カードキャプターさくら」を観賞、しにいったら試写室の前にどっかで見たよーな着ぐるみの抜け殻がバーに引っかけて干してあり、近寄ってみるとやっぱり「ホーホケキョとなりの山田くん」のポチの胴体に山田のぼるの顔だった。公開されてまだ3日目ってな映画は今が書き入れ時で、あちらこちらでキャンペーンだって展開しなくっちゃいけないものを、ここでこーして看板に等しい着ぐるみが抜け殻然としているのを見ると、果たしてどこまで真剣にキャンペーンなんかを考えてるんだろーかってな疑念が沸々と浮かんで来る。土日に働きすぎて中びしょびしょで干してあったって事も考えられるけど、それだったら屋上に干すなりすれば良いものを、わざわざ衆目にだらーんとした格好を披露する辺りに力の入れてなさ具合が見えて気に掛かる。ここも1つこっそりと持ち出して銀座までを「ポチ」「のぼる」で練り歩いてやりたい気分にかられたけれど、夏なんで暑いんで気持ちだけに止める。しかしなあ。

 さて「劇場版カードキャプターさくら」は徹底的に「CCさくら」で、見ている人なら絶対安心に最初からラストまでを見てられる。クオリティもテレビ並って雰囲気があったのはなんだけど、空港から香港からどこでもビデオを撮り逃さない知世ちゃんの相変わらずの可愛さと、冒頭から「ほえーっ」を連発するさくらの可憐さに脳天叩き割られてしまった後なんで一切合切が気にならない。巨大なスクリーンいっぱいに伸びたケロちゃんの顔のどアップって壮絶な画もありますが。さて物語は福引きで香港旅行をあて(されられ)たさくらが、知世ちゃんと桃矢と雪兎ともちろんケロちゃんをつれて香港入りするところからスタートし、そこでさくらが巻き込まれた水にまつわる不思議な出来事とその秘密、そして悲しいラストへと一気に突き進む。

 初登場なのか知らないけれど李小狼の母親が超絶美女で4人の姉が超絶美女軍団で羨ましいことしきり。けれども冷静に通知票を見せろと小狼に迫る辺りが超絶美女でもやっぱり母親なんですねー。こーゆーさりげないギャグ(なの?)が好きです「CCさくら」は。あと敵として登場するお姉さんも超絶美女で声まで林原めぐみさんだったりする辺りに抑えがしっかり効いてると感じた次第。激しいバトルの果てにたどり着く、分かってたんだけどとっても悲しいエンディングに涙をこぼすとっても優しいさくらの姿に、思わずもらい泣きしてしまった僕は果たして人間味がまだ残ってるのか、それともさくらが泣いてる姿の可愛さにただただ喜悦の涙を流したのか。さてどっちでしょう。劇場ではほかに「CLOVER」って作品をフルデジタルで放映する予定。ものけ姫の作画監督の高坂希太郎さんが監督している作品らしーけど、どんな感じに仕上がっていることやら、これ見るためにも再び「劇場版CCさくら」を劇場に見に行き再び落涙することになるんだろー。ごたく並べたって結局はファンだってことですね。

 夜になったんで「ロフトプラスワン」で久々にイベント観賞、コミケに関連した喋りをするってことで、話題の伊藤剛さんと東浩紀さん、コミケ運営事務局な人らしー大西通孝さんと最近出たばかりのエロティックスなマンガばかり集めた雑誌の冒頭で尻女のマンガなんかを描いてる砂さんの4人が並んで、まずはコミケのどこいら辺に伊藤さんと東さんが問題を感じたかってな話から口火を切る。きっかけは、去年の夏に取材に2人が訪れた際に取材者ってことで顔写真を撮られてしまったこと、やおい系の雑誌をありゃこりゃ文句を言いながら買ったら後でサークルの人が事務局に訴え出てて帰りがけに東さん伊藤さんが文句を言われたこと、らしー。詳しくはマルチが表紙の「クイックジャパン」で読もう。

 ここで東さんは、写真をどーして撮るのかコスプレの肖像権について口うるさい事務局が取材者の肖像権について無神経なのは矛盾してるよサークルの言い分ばっかり聞くのは取材者を最初から部外者扱いしてるんじゃないか的発言を立て板に水で繰り広げ、返す刀でコミケとゆー組織がサークルも来場者も含めて「構成員」とゆー言葉で言い表せる同志的な範疇でとらえ、外に向かって開かれていないってなあたりを突き、こうまで規模が巨大化して普通の人もじゃんじゃんと来て取材だって最初から貶めてやろうとか逆に仲間だからってな気分もなく、単純に賑わっているイベントを取材しに来ただけのに最初から疑ってかると悪感情を抱かれかねず、これは結果コミケへの理解を遠ざけるんじゃないか、むしろ広報体制を整えメディアを取り込んでいくくらの事をした方が将来良いんじゃないか、ってな感じの極めて論理的かつ戦術的な対マスコミ対処方を強く説く。

 同人の理念は承知でサークル参加の人に衆目にさらされたくな人がいる事情も承知でなお、巨大化してしまった現実を前に現実的な対応を前向きに、利用できる部分は利用しつつ転がしていこうってな言葉で集まった圧倒的にコミケ年長者な人々に話しかける。もちろん一朝一夕に通じないのも道理で、だからこそ見も蓋も無い言い方ながら建て前論の危うくなっている基盤を指摘して次なる道を提示する。一方で運営事務局の大西さんも取材対応の至らなさやら古手の多い事務局スタッフに現実の巨大化するコミケのオープンな運営への以降に抵抗感がある点があることなどを正直に認めつつも、客じゃなく同じ参加者としてコミケに参加して欲しいってな半ば理想論を繰り広げざるを得ない。こーゆーのを見ていると、はやり理想の現実の間に結構な齟齬が生じ始めているってな印象を受ける。

 著作権の問題にしても竹熊健太郎さんから内輪で裁判を起こしてなれあいでも何でも判例を立てれば後々使えるってな半ば無理筋ながらも使えないこともない作戦が披露されてはいたけれど、著作権なり版権で商売している人たちが西館の4階にいて東なり西の1階にはライセンス料など1円も払わない同人誌がうなっている状況は、やはり方向として是正されざるを得ないだろー。そう言われてしまった時に、ここでも東さんが論理的ながら法律にのっとった理詰めって意味じゃなく、そーゆー事が20年来続けられて来た文化的な土壌、かつパロディなりが果たして来たマーケットを拡げる役割などをきちんと説明できるロジックを組み立てておく現実的な対処法を話していて、伊達に84年からコミケに行ってはないぞと改めてその哲学者の顔の裏でたぎるオタク魂に触れる。

 もう1点いわゆるコミケに限らず日本のコミックなり小説で結構な頻度登場するペドフィリアに関してはとりあえず児童ポルノ法案で絵が対象から外されたものの事は国際問題でかつインターネットが世界中に日本のそーゆー文化的土壌を間に一切の説明もなく”輸出”してしまっている状況はいずれ諸外国より是正を求められる可能性が高く3年後も絵が外されているかどうか分からないよと警告し、ここでも同じくこーした土壌が今の”オタク大国”日本の文化を作ったくらいの事を論理的に説明できる言葉を組み立てておく必要性を解いたけれど日本のとりわけマスコミってそーゆー部分でどーしても弱腰ってーか卑怯な意味での客観主義に徹して逃げるんでメディアとしてのパワーを例えば数十万人から潜在的シンパでは100万人を超える、かもしれないコミケが主体となった理論武装をして欲しいってな意見もあったよーななかったよーな、酔っぱらってたんで希望が生み出した幻想かもしれない。ちょっと過激過ぎるし、ロリコンいーじゃんと叫ぶ哲学者は。

 ほかにも有意義な話し合いがあったよーだけどビール飲み過ぎてあんまり覚えてないんでこの辺で。印象から言えば伊藤剛さんはベシャリ結構達者でボソボソともブツブツとも喋らず司会なんかやらせても堂に入ったものでちょっと印象が変わる。東さんは電池が入りっぱなしの人形みたいにとにかく喋りまくって砂さんなんかは第2部からよーやく原稿料が安くコミケで食ってるってな現実的な話を振りつつだったらライセンスなんてどうなるんだろうってな心配なり問題意識を明示してくれて、事務局にとってもすべてのクリエーターにとっても意味ある会合になったみたい。とにかく眠そうな顔をしていた東さんには持っていった2冊の本にサインしてもらう暇もなく、囲まれて(女ばかりじゃない)いた東さんに、根っからの人見知り癖が邪魔をして話かけられもせず、挨拶もせずに歌舞伎町を後にする。だいたいが月曜深夜の「ミト」のやる曜日に徹夜でベシャリなんてできませよ、ねえ東さん。


【7月18日】 きのう「ホーホケキョとなりの山田くん」を見た場末っぽい雰囲気の本八幡の映画館のすぐ上でやってる「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」をやっと見る、始まって1週間以上も放っておくとはお前本当にファンかと嘲られそうなんで釈明すればやっぱり半端なファンなのかもしれない、ってーのも僕「ジェダイの復讐」1回しか見てないんです「帝国の逆襲」はテレビも合わせて5回以上は見てるのに。つまりはあの熊ちゃん音頭に辟易させられ「帝国の逆襲」のあの冒頭から繰り出される雪歩きメカの迫力とランドに連れられたハン・ソロが部屋の中で待ち受けるベイダーに出逢った瞬間の衝撃ほか多数の見所に膨らんだ期待を針でつついて思いっきり萎ませてくれた恨みが未だに冷静に「スター・ウォーズ」を見られなくしてるんです。だからデジタル塗り壁な「トリロジー」リバイバルも行かなかったんだよね。

 だもんで(何語だ?)期待ははなっから抱かないとは言いながら、それでも第1作目を1度は何人かで見に行った後に1人こっそり家の金を盗んで見に行った時の半分でも良いから興奮と感動を味わわせてくれるかもってな気持ちを持って見た今回の「エピソード1」、感想は一言「目が痛い」。場面がガチャガチャと切り替わる様は海外のテレビドラマを見ているよーでどことなくチープ、かつ山と盛り込まれたCGIの場面が妙に細かくって明るくってあまりな情報量の多さに脳が付いていかなくなって、うっすらとあった虫歯の痛みも相まって目の上あたりにチリチリとした痛みが走ってくる。とはいてこれなどCGIたっぷりってな思いこみから来るネガティブ回路が見る以前から脳髄へと埋め込まれ、見る物すべてを反発心でとらえる悪い癖が出ているのかもしれない、高畑演出苦手な「山田くん」への反発心と同様に。ポジティブ回路入りな脳髄とは逆に。

 アップにするとさすがに透けて見える左頬のホクロがキュートだったりするポートマンはそれでもすっぴんが1番、でもこのままエピソード3まで行くとストライクゾーンから年齢がどんどん外れていくんだよなー、土台がしかりしているからキャリー・フィッシャーの2の舞はないと思うがそれでも「レオン」から200光年の彼方へと行きそーなのがちょっと辛い。巷間欠点と指摘される、アナキンの母親が子供を手放すあたりのあっさりしすぎな演出は、母親自身が「ジェダイ」って存在の価値を身を持って分かっているからなのかと類推すれば納得できないこともない。

 また筒井康隆さんが「文学界」に書いてたレビューにあった(何故に「文学界」が、でもって筒井さんかは考えよーによってはちょっと凄い。本文に登場する野田昌宏さんののたうち回り方がまた可愛い)、ポッドレースのあっさりアナキンが逆転から優勝してしまうのはなんだかってな意見も、実際に見るといったんは跳ね飛とばされたアナキンが必死に操作してコースに戻る展開もあってハラハラできたからオッケー。ドロイド潰しの衛星落としもポッドレースでの勘の良さなんかを伏線として見れば納得しても悪くない。ルークほど集中しなくたって潜在能力の高さが日常の行動をしてフォースのお導きとしてるんだろーから。しかしあのスピード感ってのはさすがだなー。ゲームであれだけのリアルさとスピード感が出せるよーになった時が本当に来たらこれは凄いことになるかも、「次世代プレイステーション」でさてどこまで出来るか楽しみたのしみ。

 見かけ倒しだなんだと言われて、筒井さんからはチャンバラの殺陣に劣ると酷評されてたダース・モールの戦闘シーンはネガティブ回路もぶち壊れるくらいにオッケーな迫力。最初のダース・ベイダーとオビワン・ケノービとの闘いの上下上下下下上上ってな適当過ぎる剣の交え具合に比べれば、スピードでも技の多様性でも格段に進歩していてカンフー映画ほどじゃないけど楽しめる。足技なんかを使うダース・モールの体のキレはやっぱり本当に格闘技をやっている人ならではのものなのか、「死亡遊戯」のジャバーとは違うな。その不甲斐なさを伝え聞いてちょっぴり止まっていたグッズ集めもこれでダース・モールについては再開、まずはTシャツとチャンバラ人形か。年度で型作って新聞濡らして貼って固める紙の仮面でも作ってみるか、節分に向けて。

 予告編では「ケイゾク」に「サラリーマン金太郎」と日本人ならドンってな企画が多くって東宝のやる気が見える。「踊る大捜査線」で占めた味をどこまで発揮できるやら。あと「秘密」もやっぱり入るんだろーなー広末だし、薫ちゃんはどっちでも良いけど。時代劇は「梟の城」を応援しなくちゃいけない目ん玉グループの義務があるんだけど中井貴一の忍者が全然似合ってねーのがヘロヘロ。スペクタクルにアクションな話だったら見ても面白いかもしれないけれど、さてどこまで娯楽に徹していることやら。葉月は葉月なんで葉月だから葉月だ。つまりはどうでもハヅキストならオッケーって訳で別に異論は全然ない。「雨あがる」と「どら平太」の黒澤遺髪対決も同じ土俵なら相乗効果でいけるか。いっそ2本立てにしちゃえば楽なんだけど、見る方は。

 日比谷でやってる日本語版でも見ようかと思ったけどさすがに目疲れしたんで遠慮して秋葉原でイベントなんかをチラチラ。コンパニオンが総出で秋葉原駅前とかをそぞろ歩いているからカメラ小僧におかれましてはさぞや収穫のあったことでしょー。もっともカメラ小僧の多くは石丸であった何やらのイベントに集中してたみたいだけど。たむろってる脇を通ると自分を棚に上げても夏の香りがいっぱだったのがムオー。イベントのチラシのクーポン券で割引があるってんでオノデンで懸案だった「AVアンプ」を買ってついでに「To Heart」のDVDの第2巻を買って帰ってシコシコと繋いでなんとかワイドにステレオな環境を取り戻す。5・1チャンネルは部屋狭いんでやらない。「To Heart」のおまけ映像はもしもあかりが志保で志保があかりで来栖川先輩がマルチでマルチが来栖川先輩で……ってな話をちょっぴりキャラの等身さげて描いてて、これがまた丁寧な作りで感動に溺れる。必見とくに黒魔術マルチの相変わらずなドジぶりは。


【7月17日】 加速度的に速くなる情報の流れん中だと3カ月も前に登場した雑誌なんてはやヴェテランから隠居の域へと達して店頭で見ると「まだ出てたんだーっ」ってな感動とは正反対の感情いか浮かばなくなってしまうから不思議なもの。そんな人の気分をどーにかこーにかつなぎ止めようってんで3号あたりから創刊号とはまた違う頑張りってのが見えて来るのか来ないのか。

 ともあれ登場しました「サイゾー」第3号は、表紙に吉野紗香ちゃんと双璧なのか有名になった歴では先輩にあたるのかってな超ビッグ芸能人の野村佑香ちゃんを配置して、そっち系が大々ダイ好きな男の子たちの見事に関心を惹くのに成功してる。もちろん見えないオレンジ色のジャージ姿の下がブルマーだって想像たくましくしての事だけど。

 先日も「チェリーボム」1周年記念パーティーで偉容を見せてくれていたアスパイアビジョンの社長でアダルトビデオの大手KUKIの社長さんでもある中川特章さんが「今月のボス」に登場に、今は無き(代表取締役の座に、ってこと)廣瀬禎彦セガ・エンタープライゼス副社長の事を思い浮かべてお払いしなきゃと思ったか思わなかったかは聞いてないから知らない。良い靴履いておまんな。

 冒頭のニュースのコーナーには例の東芝からクレーマー呼ばわりされてヘゲヘゲが人のページを月刊誌ってなペースから考えると多分本当にいち早く紹介していてこれは本当に今は亡きデジタルメディアの水先案内雑誌(嫌味じゃないよ)の名残を受け継ぐ正統性を見せてくれる。カウンターの数字がまだ86万ってあたりに早さが見えるでしょ。

 早稲田なくせに三田じゃないけど湘南藤沢へと脱出を計る重信公もさぞお嘆きになろうかと実は高学歴の積みたれぱんだ日本タイ記録9・5匹状態を羨ましく見ている成宮観音さんと岡田芳枝さんの超絶恨ミシュラン記事「とりあえず押さえておきました」に下っ腹をゴロゴロ言わせつつ、夏なら男ならやっぱり洗い晒しのジーンズに足下はキャンバスのデキッキシューズ(トップサイダーでもプロケッズでも可ただしリーガルは不可、買えなかった学生時代の思い出がイタいから)を履き、上半身はTシャツなんか着ずにやっぱり「ブラシール」だぜって思う割にはやれと言われたら「ボク乳首小さいからいらないんっす」と言って逃げるだろー「隠れヒット商品学」の記事を読みつつ、宮崎哲哉のTシャツのセレクトに謎めいた思念を感じつつ「ああ、なんてダメな人」に登場している中原昌也さんの顔体型と岡田斗司夫さんのそれとの相似差異などを考えつつ、土曜日は無為に過ぎていくのでありました。人生って、何だろう。

 それは「適当」と藤原先生は言ったとかって話を聞いて、電車に載って本八幡まで「ホーホケキョ、となりの山田くん」の封切りを見に行く。さすがに封切りだけあって予想していたより観客も多く、午前10時半のスタートを前に30分も早くいってどうにか先頭での入場を確保したものの、すぐさまあとを2人、3人、5人……以下数えられないくらいにたくさんの人が入場して来て100人も入ればいっぱいっぽい、1番後ろの席からだとまるで針穴写真機でものぞくみたいに細長い映写室は上映を待ち望む人たちのジリジリとした気持ちでいっぱいになっていたような感じがしたかもしれない雰囲気があったかのごとくって感じぃ? うーんちょっと言葉では言い表せないだって語弊が生じるから(誤解じゃないのか)。

 予告編は喋るナタリー・ポートマンは見る価値じゅうぶんな「エピソード1」とかこっちは真剣に見所たくさんありそーな「マトリックス」、でもってなぜあんなに口でかいですかな「ゴジラ2000」を見たあとに、いよいよスタートした「山田くん」はやっぱり前の製作発表会の時に一部を見せられたギャグとペーソスいあふれるショートコントのこちらも積みたれぱんだ世界新新記録10・5匹状態にしばし微睡む梅雨かな。なるほど内容においてはしっかりしたもので見ていて家族の当たり前な姿からその当たり前さえ失われつつある現代に警鐘ってーのか「どうでっしゃろ」ってな言葉を投げかけてくれて、きっと大人とそれから家族と未だに一緒にくらしている子供だったら楽しく懐かしく嬉しくなって見ていられるんだろーと思う。

 映像についての凝り様は、んなもん物語を見せる上での手段でしかないんで凄いなんて賞賛はしない。必要だからやりましたって意志が見えててデジタルの白粉が飛んで来そうな鬱陶しさは感じずにいられたのは、これもさすがと言うべきだろー。気に入らないのはたぶんこれを「アンチ・ファンタジー」と言ってしまえる監督の思い入れで、家族が両親に息子娘に婆ちゃんまでいてほのぼのあったかな世界こそがってな家族観は、今のこの家族についても学校についても地域についてもどんどんと複雑化する社会においっては、立派過ぎるくらいの「ファンタジー」にしか思えない。暴走族を諌めたらどうなるってエピソードでの頭身の切り替えを見て、ボコにされてシリアスへと向かうべきところをファンタジーに収めてハッピーにさせてるんじゃないかって、あまりな監督のファンタジー嫌いの発言から、ついつい反発してしまいたくなる。

 そこは適度なファンタジーに適度なシリアスさを交えつつ、人を現実のこちら側へと誘導していこうって現れだとして、完全なる空想妄想の世界に溺れてばかりな風潮に警鐘を慣らしてるんだって理解ができない訳じゃないから良いのか。もっとも人はファンタジーの世界からであってもリアルな社会に適用可能な観念なり規範なりを学ぶことは十分可能だし、自分だってたぶんそーやって社会との決して円滑じゃーないけどコミュニケーションの取り方を学んで来た。だって人はどうあがいたって現実世界でしか生きられないんだから。

 悩ましいのはそれでも永遠の逃避を望みかつ実行してしまう人の増加が、リアルな世界が守って来た壁を崩しはじめていること。ただ、そんなファンタジーに駆逐されるくらいに現実が弱いのかってな考えも浮かんで、どっちが良いのか未だ判然と決めかねている。「山田くん」は1つの答えではあるが、たぶん正解じゃない。「もののけ姫」も正解じゃない。やっぱゴジラ(戦争)に来てもらうか、リアルもファンタジーもぶち壊し、人をただ1つの現実に立ち向かわせるために。

 関係ないけどののちゃん可愛いですあと月光仮面の背中越しのクロス撃ち最高ですこーゆー表現上の見るべき場所ってのが随所にある点に「山田くん」を爺の繰り言だなんて斬って捨てられない悩ましさがある。あと個人的にはこれが1番って場面はのぼるが彼女からの電話を受けて部屋で嬉しさののたうち回る場面で矢野顕子の最高傑作その1(その100くらいまであるけど)に数えられる「電話線」が流れるところ。ををここでいきなりこの曲流しますか、これってすっげー昔のアルバムに入ってたんだよな、確かえーっと「徳間ジャパン」から大昔に発売されたデビューアルバム「JAPANESE GIRL」(ボックス、持ってんだよね)ん中に、ってあたりにジブリ=徳間のしたたかさなんかを見てしまったけど、こーゆーの「サイゾー」、追いません?

 熱い暑い熱波のなかを青山の盆地にも等しい地下2階にある「青山ブックセンター」のさらに奥まった場所にある防空壕みたいなスペースで福田和也さんのシンポジウムを聞く。ゲストに生で見てもやっぱり美形だった島田雅彦さんと、漫画家で網タイツのガーターベルト尻尾付きってな超エロっちい格好で登場したけど歳ボクといっしょなさかもと未明さん、そしてオリバー君やらアリvs猪木戦を仕掛けたフー・マン・チューの末裔らしき怪人物こと康芳夫さんの4人がまずは登場して、「すっごい男がいたもんだ」談義をあれこれ始める。

 まずは康さんがアミン大統領の冷蔵庫に並んだ政敵の生首雪ダルマの話を披露すれば、さかもとさんはたまに使ってる(何に?)芥川龍之介やら太宰治の教科書に載ってる顔写真をあげ、島田さんはヤった男は3000人とかってゆーキューバの作家アレナスについて忙しい人ってな話を披露、最後は福田さんが角川春樹さんの小人疾走話をして、そこから康さんが角川さんよりなおいっそうの大物だったらしいオウム麻原尊師の話へと引っ張って、そこから大江健三郎さんの新作「宙返り」にかけてるシビアな視点について福田さん島田さんが語り初めて雰囲気は一気にブンゲーっぽく盛り上がる。

 けれどもそこは照れが自傷行為へと滑りがちな福田大先生、第2部と称して始めたのは新潮社の編集ヒラセ女史を福田大先生とは1字違いの有名人、そうあの「福田和子」に扮装させて2人で金ラメのジャケットを着ていきなり漫才を始めてしまって場内はまず大喝采、次いで含み笑いが呆然とした雰囲気へと横滑りして最後は唖然とした雰囲気でジットリ。聞いている間はすっげー長いよーに思ったけれど、実際は3分ちょっとしかなかった「福田和也・和子」のおそらく宇宙の歴史でたった1度のライブは終わる。

 最前列で聞いていた僕の一生でもおそらくはとてつもなく得体の知れない時間だった、と思ったのも束の間、次いで始まった「福田和也デビュー10周年リサイタル」で上半身裸に島田さんから借り受けたジージャン(でも福田先生「島田のが入るってのが云々」って話してたよ怒れ島田ファン)を羽織った福田さんが、2人のギターを従えボ・ディドリーの歌をルースターズが訳詞して唄った歌を披露し場内のボルテージは一気に高みへと……高みへと……すいません書けません。

 パンクとゆーかロックにブルースって雰囲気の歌をあわせて5曲披露、途中声もうわずるし歌詞だって忘れて戸惑う場面もあったけどー、そーゆー人から見れば頓狂なことを文芸批評社会時評を律儀にこなす一方で、平気な顔してやってしまて笑いもちゃんとてるその意気だけは、象牙の塔なアカデミズムも木鐸の下敷きなジャーナリズムも見習う部分があるよーな気がする。歌は別に真似なくっても良いけどね、だって(以下略)。

 何故か手持ちのICレコーダーに福田和也・和子の漫才と大家の長唄も吃驚な歌が録音されちゃってたんだけど、別にサポートで文句言われた訳じゃないからMP3におとしてネットでまくなんて事はしません、えーしませんとも。但し将来食うに困ったその日が来たら、松本零士さんが一生食えると引き合いに出す手持ちの小松みのるのマンガと同様、参上して聞いて頂くことも考えてみちゃったりしちゃったり、例え学士院会員になってても日本ペンクラブ会長でも。その後始まったサイン会では名刺を出したけど「SPA!」短評でひっでーこと書いた奴と気付かれずに安心、平野啓一郎さんベタな奴と蹴られなくって僥倖。1人ひとりに変えて書いてたお言葉で僕が書いてもらったのは「ア デイ イン ザ ライフ」。英語ペーなんで意味よくわかんないけどしっかり生きましょうってな感じなのかな。分かりました次は名前を覚えてもらえるくらいになって前に参上しますスマートメディアに漫才入れて。


【7月16日】 何だって福田和也大先生の200人は入るイベントにたったの120人しか応募してないのは何事だ、ってな事はさておき(おくなよ)、面白さ326%ながら設定の面ではよくある”落ちこぼれ部隊頑張る”系の話だよなーってな気分でスタートした秋山瑞人&☆よしみるさんの「E.G.コンバット」(電撃文庫)も、2巻目の「E.G.コンバット2nd」で面白さ倍増かつ設定面でのどシリアスさが垣間見え、さても次ぎはいったいどーなるのっ? ってな期待を抱かせてくれたんだけど、いよいよ登場の第3巻「E.G.コンバット3rd」は、面白さと衝撃度のいずれもたっぷりと1恒河砂倍に増量されてて、いったん読み始めるとページをめくる手が止まらない、もう全然止まらず真夜中過ぎにまでに一気にラストまで到着し、そこで繰り広げられた衝撃的かつ感動的なエピソードに、感涙にむせびつつまたしても次巻への期待を煽られいてもたってもいられなくなる。

 今までの月でのドタバタが今回は舞台を地球へと移るまで&移ってからが中心で、ルノア・キササゲのライバルから届いた相変わらず高飛車で居丈高な態度たっぷりな通信の陰にしかけられてた謎めいたSOSに、どうにかして地球まで行かなくちゃってんで宇宙船を奪取しよーとする場面から始まり、相変わらずのみかけは落ちこぼれながら本当はやっぱり落ちこぼれなんだけど、それでもやればそれなりに落ちこぼれな生徒たちの助けなのか邪魔なのか分からないけど力を借りて、やって来ましたアジアのどっかのジャングルの中。ところが地上には誰もおらず、基地へと入ったらさっきまで誰かいたっぽい雰囲気があるにも関わらず、人っ子ひとり見あたらず何故か地下では的プラネリアが大量に羽化しよーとしている危険な状態にあったとか。

 どうにも不思議な展開で、あるいはこいつらの正体はってと勝手な妄想を繰り広げながらも、お話はギャグのキャラクターみたく絶対に死なないお約束を破るかの如きシリアスさを増していて、今後ますます戦闘が激しさを増して行けば当然考えられる「死」とゆー究極のシリアスドラマに、果たして一線を越えて涙また涙のエンディングへと向かって行ってしまうのか、ってないっぱいの不安といっぱいの期待が沸々を胸に湧く。さていつ頃読めるやら。さっさと書かない場合は秋山せんせい、まずはテフロン加工のフライパンにジフをまぶしてスチールたわしでゴシゴシとこすってみせるか、「サッサ」みたいな化学ぞうきん(と書いてふと思う、これが科学ぞうきんだったらすっげー効きそーな印象があるって)をバケツで水洗いして部屋中を拭いて回ってやっちゃうけれど、耐えられる?

 いったん流れ出した情報は土砂崩れのよーにメディアを席巻するもので、それは遅れちゃならじってな横並び出目金意識の現れでもあってときどき誉められた事じゃなくなるけれど、今回の1件に関しては横並びであってもそれぞれが我先にってな先陣の巧妙争いってな見苦しい光景もなく、淡々と五月雨式に記事が出て来てかえって真綿で首を締めていくよーな雰囲気を作り出してる。「週刊文春」じゃー猪瀬直樹さんなんて業界のエラい人がコラムで振れててこれはインパクトかなりでかそー。「週刊宝石」とかも出るそーで前の「週刊朝日」と合わせてそろそろ一般週刊誌にも飛び火の情勢、むしろ新聞的中立公正の内実はどっちつかずな客観的無責任報道よりも内容面で太くまた意見もいっぱい出てくる週刊誌に出てきたことで、なおいっそうの苦境が訪れるんだと思うけど、そーゆー切羽詰まった事態にあることをあんまり分かってないのかなー、社内からじゃー見られないよー情報統制ガリガリやって、裁判所にゲタを預けて後はおまかせな東芝さんは。

 目指せ東京ドームってんでコナミの「遊戯王デュエルモンスターズ2」を始めるものの、意外と簡単にすかすかと勝ててしまう導入部の「キャンペーン」にこれなら優勝も堅いと瞬間思ったものの、複雑さを増してくるカードの力関係の理解とか、強さを増してくる相手のデッキとかにこれはやっぱり並たいていの努力じゃ上にはいけないと、思って仕事の合間を縫って一生懸命レベルあげに勤しむ。いやいや仕事の合間じゃない東京ドームに行ってただ漠然とながめているだけじゃなく、中に入ってリアルな感動を伝えるためにはやはり出場しなくっちゃいけないんだ、それが現場を足で踏むことが何より大切なジャーナリストの使命なんだと、まあ勝手な理由付けで周囲の冷たい視線も気にせずピコポコパコ。合成できた強いカードを駆使できる日は果たしていつ到来、残る1カ月とちょっとを部屋に篭って必死でレベル上げに努めるのであった。夏の太陽も青い海も僕にはまぶしすぎるから。


【7月15日】 ありゃりゃりゃりゃりゃ何ってこったい東芝さん遂に東芝に暴言はかれちゃって愕然な人のホームページの記述がビデオを欠陥商品扱いしてるのは気に入らないから削除してってな仮処分を福岡地裁に申請しちゃったよこれで裁判沙汰だよリアルだよ。もちろん東芝側の気分は分からない訳じゃないけれど、すぐさまユーザーの人がホームページで反論してしまったよーに事態はすでに衆目の監視の中をリアルタイムで進行して100万なんてもんじゃない人がどっちの言い分が果たして気分として理解できるのかを判断できる状況にある。にも関わらず一方的な反論をペラで1枚載せるだけでそれにもすぐ様突っ込み返されてすでに1週間以上が経つのに、何1つ反論しないのはよほど東芝説明出来ない理由でもあるのかと勘ぐられたって仕方がない。

 謝りに行こうとしたけど会えないとかってのは理由じゃなく、また新聞の記事のよればもう会わないって手紙が届いたってあるけどユーザーの人はそうは言っていないような事を言ってて噛み合わない。そーした部分のすりあわせをもっと衆人環視の上でやれば良いものを、暴言への謝罪はおろか言い返されたことへの反論も一切しないままでの裁判所への仮処分の申請は、あるいは東芝って会社にはユーザーから製品について文句の1つも言えないんじゃないかって懸念を抱かせる可能性を、事実として明示してしまった観があってやるせない。なるほど本当に「クレーマー」と呼ばれる金だけが目当ての人だったら裁判所へと手段も否定はしないけど、ちょっと強く言っただけ、いやいや本当に故障がひどくって困ってるんだってな人と「ヤ」な人たちとの果たしてどうやって区別をつけるのか? 尾行でもするのか? それともブラックリストでも作るのか?

 今持ってるICレコーダーの調子が悪くなって正々堂々をクレームをつけられるかどーか。ビデオもあるけど故障を丁寧に直してもらえるのかどうか。もとよりぞんざいでぶっきらぼうな口調だけに、電話したとたんに「ヤバい人」とかって思われ対応されかねないと思うと、だったらそーゆーサポートの可能性がある会社の製品は、はじめからちょっとって気分になるんだよね。あと「まず疑ってかかれ」的雰囲気を、東芝の社内に生み出そかねない事の持って生き方は、未来において絶対に損になると思うんだけどどーだろー。疑心暗鬼を生むって故事もあるくらいだし、生まれた鬼はやがて人心をも食いつぶして豆まきの時に「そとーっ」て追い払われるんだ、それとも鬼やらいん時みたく宮中から羅生門へと追いやられるか。「週刊朝日」が指摘した3度のミスの上塗りになるかならないか、さても以後の展開に注目だい。

 裁判絡みではもう1つ面白い記事。例のプライバシー侵害で出版の差し止め判決を受けた柳美里さんが「サンケイスポーツ」15日付けで反論してるんだけど、その紹介の仕方にどうにも取材対象よりは取材者側の事情ってな雰囲気が感じられて居心地が悪い。なにしろ見出しが「人権派との闘い4年半」「アクション起こさない文芸誌に呆然」。新聞の傾向と対策に通じた人なら「朝日新聞」がことのほか人権に厳しく配慮して、ために小林よりのりさんから揶揄されっぱなしなんだけど、対して「産経新聞」およびそのグループは、ってもわが社は人権なんて考える人もいないから攻めでも受けでも除外だけど、とにかく朝日的ジンケンハな風潮に真っ向から反旗をひるがえし、例えば盗聴法あるいは国民総背番号性ほかにもオウム少年法匿名報道エトセトラの部分で人権よりも公益であり知る権利ってなスタンスを前に出す傾向がある。

 柳さんの一件に関してはすでに24日付けの本紙「主張」で「判決の趣旨を真摯に受け止め、細心の上にも細心の注意を払った小説づくりをしてもらいたい」と相手に対して心を配るよう呼びかけている。「サンスポ」の記事でも本人は「プラバシーは大事なこと。ただそのことと表現の自由がどう拮抗し、バランスをとっていくかをずっと問い続けたい」と真意はともかう言葉上では慎重なスタンスにあることを示している。

 にも関わらずのこの「人権派云々」をフレームアップしての記事化は、本人の意志とは無関係なところで「人権派」を葬りたいメディア側の意志、とゆーより下心を記事の姿を借りて見せているんじゃないかって、そんな勘ぐりを呼びかねない。中立が言いって訳じゃなく物を言うのは是非とも必要、でもあからさまなフレームアップはかえって主張したいことへの疑念を生んで逆効果じゃないかと思うけどどうだろー。文芸誌がアクション起こさないって判決が先月の22日じゃ今月発売の文芸誌で果たして反論を掲載できるの? これは事情に通じた人が説明してくれることでしょう。17日に講演聞きに行く福田和也さんに、聞いても、良い?

 タカラが絡んだアニメ3本が夏休みに上映されるってんで東映で試写。まずは冒頭の「だんご3兄弟を歌おう」だけどお兄さんだけでお姉さんが出ていないのが何ともさみしく奇妙な感じ、でもって後ろのアーチの団子がどれもいわゆるあの団子じゃなくただの白い○3固に串って感じで、つまりは縫いぐるみなんかを出してるバンダイを意識しての仕打ちなんじゃないかと下司にも勘ぐってみたり。踊りの時はけんたろう兄さんの前にいるポニーテールのちょっとだけ年上な(っても10歳以下なのは間違いないけど)女の子のお尻ばかりに目が良く僕はそーゆー人です。これ聞いて映画館にかけつける人も絶対にそーゆー人です、わーい仲間だうれしいな、いっしょに劇場で踊りましょう。

 そーゆー人にはもっと良い情報を教えちゃおうスパッツ姿の「スーパードールリカ」には最初から除外したとして、「ドール」の時も「スーパー」の時もスカート姿の「イヅミ」に激しい期待をしながら、たぶんすでに登場しているテレビでもその期待を1度としてかなえてくれていないアニメ「スーパードールリカちゃん」だけど、こと劇場版に関してはたった1カ所ながら期待に存分の答えてくれる場所があるんだ嬉しいな。残念ながらイヅミじゃないし悪の婆ちゃんのテヴォールは論外、復活なった魔女ダナ(これがすっげー美人なんだわ)でもないんだけど、その名を聞いて「あやこ」って下に付けたくなったカトリーヌちゃんが我らの切なる願いに強く、もうそれは強く答えてくれてて、僕はこのシーンを見るためだけにDVDなりLDを買っても良いと思ったぜ。何がて分かってるだろーけどここは言わぬが丸愛花かつを。行って劇場の大スクリーンからその一瞬を目に焼き付けておくんなまし。

 とてつもなく絵の良い劇場版は「小さな巨人ミクロマン」でも同様で、これは最期まで期待かなわず見えなかった麻美ちゃんも顔としぐさの可愛さだけは1級品。あとミクロマンたちが闘う場面の力の入れ方描き方は定跡どおりとはいえやっぱり燃え燃えな気分にさせてくれて、カンドーの30分を過ごさせてくれる。オープニングの多分元「フォルダー」(って解散したっけ?)な三浦大地の歌もいつ聞いてもやっぱ燃えるねー、彼ほんと歌うまいねー、男宇多田になれる可能性アリアリなのに。しかし最強の敵とゆーわりにゴルゴン、あっさり引っ込んでしまうあたりは劇場版キャラたる悲しさか、それは「リカちゃん」の魔女ダナも一緒なんだけど。ミクロマンの1人エジソンの声が飛田展男さんでまるでクライテンなんだけどクライテンて亀山助清さんだから違うのか、うーん似てる。ちなみに併映の「ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー コンボイ大変身」にも出ている飛田さんってホント昔の2枚目だったころが懐かしい使われ方だよなー。人は変わるし声も変わる、か。


【7月14日】 合成洗剤とか鴎とかってな悪徳商法の情報満載な悪徳会議室でちょい前に問題が表面化したテレビ朝日の「スーパーJチャンネル」での間違い放送がはやくも解決の方向へと進んでて、それはそれで大変に結構なことなんだけど、例のダイオキシン関連では未だにもみゃもみゃしている会社にしては余りに迅速な対応に、やっぱり昨今話題のネット世論の高まりを鑑みたってことがあるのかないのか。説明を読むになるほど単純なミスらしいと分かっては来たけど、だったらなおのこと穏便にとかいってごまかすだろうところを、あっさりと訂正放送にまで至っているのは他の山ほどの人権侵害めいた抗議にすら完黙キメ込む節がありがちなテレビ業界にしては珍しいことこの上ない。これもネットの力かそれとも良心回路がギルの笛にも壊れなくなったか。後はプロダクションの人が責任のすべてをおっかぶせられて理不尽にトばされたりしないことを祈ろう、下請けはつらいからね、子会社もつらいけど。

 先週に発売されたばっかのコナミの新作「遊戯王デュエルモンスター2」がはやくも100万本突破したとの報にアニメがアッとゆー間に終わった割にはこのマンガ、さらにいっそうの人気を得ているのかと子供市場でのそのもてはやされぶりに何故なんだと理由を考えるが分からない。読んだことないけどマンガそんなに面白いですか? 気を良くしたのかコナミは8月末に何と「東京ドーム」でGB版ゲームとそれからトレーディングカードゲームの大会をどかーんと開催してしまうとか。GB版じゃあ出場する人がフリーに相手を見つけてばったばったとブチ倒していく、これも知らないんだけどマンガと同じ仕組みで優勝者を決めるとかで、体育の時に一緒に準備体操をする相手を見つけられなかった寂しい僕でも、GBとソフトさえ持っていけば例えカモだと思われたってそこにコミュニケーションを成立させられるのかと、考えふとプレイしてみよーかってな気が沸き起こる。

 他の一般の子供たちにこーゆー心理があるのかは知らないけれど、ゲームを介してのコミュニケーションって意味では「ポケモン」に例を見るまでもなく主流文化となっているから、こんごそーした心理に働きかけるソフトをうまく作り出せたところが、ゲーム市場で確固とした地歩を築いていけるんだろー。コナミうまい手蔓を手に入れたもんだ。そのコナミはあと「ダンスダンスレボリューション」が4月だかの発売からはやミリオン達成で、去年の10月に発売の「ビートマニア」も追加ディスクの奏功でやっぱりミリオン突破とか。出荷本数だとしてもこの時点で「ビーマニ」は去年発売だから別にしてすでに2本のミリオン達成に、きっと皆様の気持ちもほっくほっくで御座いましょう、現場は良い思いしてる? 明後日用事で大幹部な人がごっそりの会場に潜り込むけど、言っとくことある?

 ソニー・コンピュータエンタテインメントがソニービルの上で新作ソフトのお披露目をやってたんでのぞく。たぶん「アーク・ザ・ラッド」なんかを作ってた会社らしーSCEJのサテライト開発会社のアーク・エンターテインメントと「ウォーターマークス」とかゆー工房がいっしょになって作ったらしータイトルは、プレイステーションながらゲームってゆーよりちょっと前にわしわし流行ったパソコン用CD−ROMによくあるインタラクティブムービーっぽい雰囲気を内容や影像からちょい感じる。舞台は17世紀のヨーロッパで題材になっているのはシェークスピアの「テンペスト」。本を探して寺院やらが立ち並ぶ島っぽい場所を言ったり来たりしながら、謎をといていくって内容だから、あるいは「MYST」っぽい深淵荘厳な雰囲気のタイトルになってるのかも。さてPSで売れるかどーか。

 会場では寺院の中を描くときにライトを100以上も設定してうすぼんやりと明るくしたり中に立ってる彫刻の1つ1つにライトを当てたりしてメリハリをつけて不思議な空間を現出させているんだとか。おばさんパーマな石川次郎さんを司会にクリエーターの小林孝志さんとどこどなく篠原涼子っぽいキツ目がキュートだった女性のグラフィック・デザイナーにアーク・エンターテインメントの赤川さんが並んでのトークショーは、そんな裏話やら苦労話や作品世界の雰囲気が似ているとゆー劇場版「薔薇の名前」の場面紹介なんかを経て進む。どーでも眠くって早く退散したかったけど、石川さんが睨むし(自意識過剰)美人がなかなか喋ってくれず一声でも聞きたかった関係で20分くらいはつき合う。よーやっと喋ったお姉ちゃん、マジメっぽかったなー、それもまた良し(迷惑だけど)。会場にはどっかで聞いたことのあるバーチャリあんこな名前な桃井はるこさんとかも来ていたよーないなかったよーな。いやすぐ後ろでそーゆー会話が聴こえたんで。石川さん絡みで「トゥナイト2」では放映するのかな、だったら最前列の1番右で買ったばかりの「GAP」の野球帽被ってる丁髷が僕ですテレビ消すなよ。


【7月13日】 待望久しい「宇宙海賊ミトの大冒険 2人の女王様」がいよいよもってスタートに、胸もそのずっと下もドキドキズキズキさせながら見入る、うーんスカート姿の葵ちゃんやっぱり可愛いなー。声も保志総一郎さんがまんま当ててるあたりをどう評価するかが分かれ目だけど、前作の詰め襟な兄ちゃんが変化した果てだと見ている側に納得させ、かえってコーフンの度合いを上げる意味でもこれが正解なのかも。お話がどーなっていくかは不明、ただし巨大な姿で逢われた十兵衛ちゃんじゃない(声いっしょ)姉ちゃん「陽怒」の謎っぷりに興味を引かれて次回以降への楽しみが膨らむ。相変わらず「ミトミト」で締めてもらって嬉しいオープニングにもチラリ出ている爛磐もまた出るのかな。

 けど森山塔さんの「キはキノコのキ」やらかがみあきらさんの「鏡の国のリトル」といった性が変わった先でのセクシャルな体験が本人の心をズキドキさせる描写の一切ない点が、なんとなくちょっぴり居心地悪いよーな気が。トイレに行って股間をまさぐり男根の喪失に衝撃を受け、生理妊娠出産という女性ならではの体験を経て相手性への理解なり反発を抱き、そんな描写を通じて読者にも擬似的に同様の感情を抱かせるのがこーゆー設定にありがちな展開だけど、今のところは単なる体型の変化に止まり、なるほどシチュエーションのエロティックさはあるけれど、そこから先へと踏み込む切れ味がまだ出ていない。出すかすら分からず多分触れずに行きそーな予感が今はしてるが、まー良いあくまでも当方そのシチュエーションそのビジュアルに見た目の気持ちよさを覚えているから、せめて時折男に戻らせまた女王さまにさせちゃうことで、ドキドキピクピクさせてくれい。

 「プリンス・オブ・ペルシャ3D」ってなソフトが9月に発売されるそーでその制作した人が来日してるんで会って話を聞く。そんなに世界的に著名なソフトなのかってのが、向こうが言う「世界で240万本!」って数字に反して抱いた感覚で、っても当方94年までパソコンどころかゲーム機すら触ったことのない人間なんでそれ以前にいくら世間が騒いでたとしても、「プリンス・オブ・ペルシャ」なんてソフトがどれだけ凄いのか(或いはスカなのか)全然知らず、だから3Dで出たぜって言われても頭がピクリともしない。とりあえずそんな気持ちを素直にぶつけて日本で売れるのって聞いたら英語と通訳を挟んでネグられた感じでゲシゲシ、ならば9月の発売を待ってその凄さ(凄くなさ)を観察するとしよー。しまった「プリンス・オブ・エジプト」とどー違うのか聞くの忘れた(違うわな)。

 会社に帰ると国営放送でエヴァ話、じゃなかったエヴァはカットだけの登場で本編はガイナックスの社長さんと税理士事務所の人が2人脱税で東京地検にパクられたって話だった。前の11月だかの国税局による地検への告発から半年ちょっとが経っての再燃にさて、世間がどれくらい騒ぐのか興味があったけど天童よしみと違ってネガティブないかがわしいイメージでは未だ歌謡曲の上を行くアニメ業界だけあって、夕刊の扱いもどこも社会面で3段とかってな見出しを付けての大きな記事になっていた。いやそれだけやっぱり世間でエヴァの知名度が上がっていたと素直に喜ぶことにするか、って喜んでていーのかな。

 そーいえば新作作るってスタッフ募集の告知が何かの雑誌に載っているのも見たことがあるしこれからどーなっていくのか。「彼2」やってる時に告発されたんでどーすんのって聞いたテレビ東京はあんまりピンと来てなかったみたいだけど、いいよ逮捕者を出してさて今後どーゆー対応を見せるのかも興味津々、裁判傍聴に行こーかな。ガイナックスと人的なつながりって意味から発想が横滑りしてつながったこっちの裁判は7月7日の和解交渉がどうーなってるのかよくわからないんだけどどうーなってるんでしょう?

 「チェリーボム」ってスカイパーフェクTVで放映中のアダルトチャンネルからレコードデビューする女優さんがいるってんで見に行く。アダルトチャンネルだけあって当然ながらデビューするのはAV嬢、でもってデビュー曲の発表会が最初で最期の「トップレス」とあって、スカイパーフェクTVにフジテレビジョンが出資している関係から仕方なく、うん本当に仕方なく嫌々ながら引きずられるよーに足下の悪いなかを六本木のタトゥーへと駆け付ける。嫌だったけど始まる前からステージ前に陣取って嫌いだけどカメラを構えて待つこと10数分、ようやく登場したラッキィ池田のMCを経て登場したフリルいっぱいの下着みたいな衣装に半分くらい包まれた美女4人に眉を顰めつつカメラを向ける。望遠いっぱー、上も下も。

 最初は付けていたブラを放り投げて放り出された双球の中央はツンツンにカメラを向けてシャッターを押し続ける、このグループ会社思いに昼間っからストリップ小屋もかくやと思わせる色気に包まれている自分を、世間もきっと許してくれることだろー。けど水着だと寄ってる谷間も放り出すと結構間が出来るんだなー、僕子供なんで初めて分かりました勉強になりました。途中登場したミニスカポリスは6代目だけあって誰が誰やらまったく分からず、キックシーンも足が上がらずこいつら仕事をなめとんちゃうかと心で怒りがフツフツ、って別に見えなかったことへの怒りじゃないよあくまでも仕事にかける情熱の無さに憤っているんだよプンプン、真下にいたら少しは見えたかな。

 なんて実にマジメな仕事をした後は箸休めに軽くテツガクでもと東浩紀さんのあちらこちらに発表した文章と対談なんかを収録した「郵便的不安たち」(朝日新聞社、2600円)を買う。「存在論的、郵便的」(新潮社、2000円)には当然含まれていなかったエヴァへの考察ビューティフルドリーマーへの愛もあってアニメからその名を知った人で新潮社の本を買ってタンスで埃を吸い取らせている諸君もこれなら大丈夫、半分は存分に楽しめ残りの半分も十分に理解可能は話ばかりだからちょっぴり高いけど値段なりの楽しみは与えてくれる。個人的には書評の中の鹿島茂「『パサージュ論』熟読玩味」への言及が、流行るエッセイ風書評への警句なり書評への覚悟なりを示してくれていて勉強になるけど、歳なんでもう遅いんであたしゃあたしのスタイルで物語の面白さを伝えることで精いっぱいなんで許してちょ。これにもそのうちサインをちょ。


【7月12日】 電撃フリントな仕事ってゆーか半ば趣味な文章をどんどこどんどこと朝の6時くらいまで掛かって途中「64エヴァ」の勝てない第2幕に手を焼いたりもしながら一生懸命書き殴る。ほんとにこんなに趣味に走って良いのかしらおまけに文章カタいしコナれてないのにと悩みつつもメールしてポイ、後は8月10日頃の発売を見て再びの自己嫌悪に浸る日を待つことにする。ってことで10日発売の電撃ネットワークを読みましょうって一体何? おっとそうこうしているうちに次の課題図書の締め切りも近づいてるんでUFOがどうしたってな上下組の超分厚い本をナナメ読み3段飛びで一気呵成に上っ面だけなぞっていい加減眠くなったんで寝る、で3時間後に掟したしたと会社に出かける。ををなんとマジメなサラリーマンよ(なんて思っちゃいねーが)。

 冗談では「建機でGO!」なんて面白いんじゃないのって話してたんだけどまさか本当に出すとは吃驚仰天なタイトー。あのコマツと組んでいよいよ9月にも市場投入するのが、パワーショベルを操作して土木工事をゲシゲシやって死体の1つも埋めちゃ……これは脱線フツーに土なんかを掘り返して整地とかしちゃいましょうってな業務用ゲーム機、その名も「パワーショベルに乗ろう!」だスゲー。実んところパワーショベルがどーやって動かすものかなんて知らず本体にコントロール用のスティックが何本あるのか分からないけど、コマツの実際にある機種をCG画面の中で操作できちゃうってんだからきっとリアルなんだろー。コンクリ詰めの死体とか出てくるのかな。

 お遊びモードでは大皿にカレーを盛りつけたり大鉢から金魚を掬うなんて、やるには超絶巨大なサラとお釜と鍋とジャガイモ10年分牛10頭あるいは金魚1万匹は用意しなくっちゃいけないシチュエーションを楽しめるとか。想像するにヒットすればいずれPS用へと落ちてくること必定、さすればPS用コントローラーの登場も予想の範囲でだとすると家ん中にあのショベルカーみたいなコクピットを作って気分だけ出すアレンジパーツの販売もあるのかな。広い庭のある人向けに実物ショベルカー大の、ってゆーか実物ショベルカーのコントロール部分からコードでPSに信号を贈るコントローラーなんて出したら田舎のショベラー(?)に売れるかも。でも高難易度もモードは大型ショベルカーになるんで庭もよほど広くないと買えないぞ。

 流行のド真ん中にありそーな有楽町の交差点前にある数寄屋橋阪急の時計屋に流行らしいと最近気付いた「G−SHOCK」の最新版らしー「蛙男」のW.C.C.Aだかなんだかゆーモデルが売られているのを見つけて灯台もと暗しと思ったりした後で、マスコミの殿堂「日本プレスセンター」の1階にある丸善で東浩紀さんの「存在論的、郵便的」(新潮社、2000円)の初版がまだ残っているのを見てマスコミ業界、政治や経済や同業他社の恥ってな俗な話にはすぐさま飛びつくくせに哲学なんてマイナーな世界とはいえ世間がそれなりに関心を持って話題にしている人の本には目を向けないのは今に始まった事でもないけどやっぱりと思ったり。ってこで初版マニアはかけつけよう、来週の19日のロフトプラスワンには七夕の日の一件が判然としない伊藤剛さんなんかとイベントやるんでしたっけ? 久々に歌舞伎町行きましょーか翌日出勤なんだけど。

 見た瞬間に「F−ZERO X」って思った中村哲哉さんの「レプリカカスタム」ってオブジェ作品。銀座のギャラリー小柳で19日まで開催中の展覧会をふらりのぞいてあの狭いショールームの中央にどでんと置かれたその物体は、流線型でスピード感「だけ」をイメージして作った飛行機ともスポーツカーともつかない物体が部屋をナナメに遮るよーに置かれて紫ラメっぽいメタリックな光沢を発してた。とにかく「速そう」ってなイメージだけを具現化したって作品が、まんまゲームの乗り物につながるのはあの「F−ZERO X」そのものが空力とか重心とかってな発想を一切無視して(そんなものは単なるパラメータなんで見かけの形状とは関係ないもんな)とにかく「速そう」な機体を並べることに精いっぱい取り組んだからなんだろー、どこでも考える人はいるものってことか。

 自分が速さをイメージしたらおそらくは3つばかり後部につけられたどロケットっぽいエンジン部分を1つのノズルにまとめてそれこそ地を這う「マグマ大使」(ロケット形態)みたいなバリバリ流線型いするんだろーけど、時代が例えばF1マシンにウイングカーが隆盛だった時代だと、平べったい空力のいかにもよさそうな形状にしたり、カール・ルイスが全盛だった時代だと先頭部分を角刈りっぽくして全体を黒く塗るんだろーか、ほら僕って時代時代にすっげー影響されやすいし。今だと最速のイメージを具現化するとしたらアレですか、円筒状で先っぽがぐっと膨らみ筋張ってて全体が黒光りしているアレ、んでもって常に「速いのねえ」と蔑みの声で呼ばれるアレ。すんません健全さから逸脱してるんで子供(2歳以下)は読んだらダメですよ。


【7月11日】 今でこそアニメ業界の人がアニメ以外の映画を撮ったり(庵野「エヴァンゲリオン」秀明監督とか)、雑誌や書籍向けにマンガやイラストを描いたり小説を書いたりしてヒットさせる姿は不思議でも何ともないけれど、これが20年も昔になると結構珍しかったように思う。「機動戦士ガンダム」が20周年ってことで振り返ると、ちょうど安彦良和さんが「リュウ」に「アリオン」を連載してマンガ家への道を歩き始めて、その巧さにカンドーしてた頃だったと言えるかな。その後ちょっとして金田伊功さんやいのまたむつみさんらがマンガを雑誌に連載を始め、アニメーターのマンガって……と思い始めたのも束の間、宮崎駿さんが圧倒的なスケールと筆致でもって「風の谷のナウシカ」を発表し、やっぱり上手いもんだと納得できた時代。大好きなアニメの世界で活躍するクリエーターが、こういう言葉遣いは嫌いだけど”カルチャー”の世界でも立派に受け入れられることが証明されて、内心皆済を叫んでいたっけか。

 そんなアニメ業界人の業界以外への進出を目にした多分最初が、タツノコプロの一連の作品で濃いキャラクターを描いていた天野嘉孝さんのイラスト分野での仕事だったように思う。「SFマガジン」誌上でのイラストや夢枕獏さんの「キマイラシリーズ」での活躍、そして今も続く栗本薫さんの「グイン・サーガ」での流麗なイラストと活躍の場を拡げるたびにファンの数もふくらんで、今はアートの分野で展覧会を開くまでの絶大な人気と地位を得てしまった。たかだか版画が1枚何十万円もの値段で売れるって話を聞くと、かつての喝采が逆にやり過ぎってなイメージへと変わってしまうけど、いずれにしてもアニメ業界出身の出世頭と言って決して過言ではない活躍ぶりを見せている。

 その天野さんが美術評論や小説の分野で良い仕事を多く手がけている海野弘さんと組んで発表したのが「アリス・エロチカ」(あんず堂、3800円)って画文集。タイトルがずばり表しているように、男子永遠の憧れとも言える「不思議の国のアリス」以来の美少女の代名詞、アリスの名前を抱いた美少女を主人公にした内容は、天野さん描く時に無垢で時に淫靡な美少女アリスのイラストと、海野さん描く日本からフランスへと渡った美少女アリスの娼館での奇妙な体験が組み合わさって、耽美さで溢れる男の子には少々刺激の強い、あからさまに言ってしまえば激エロなストーリーが展開される。世紀末のヨーロッパを震え上がらせた「切り裂きジャック」との絡みもあって歴史もののファンにも楽しめそうな本。鼻血出すなよ。

 「スター・ウオーズ エピソード1」が公開されたってのに何故か食指が湧かない梅雨の日々、仕方がないんで秋葉原なんぞをうろうろとして人形やらパソコンやらをありゃこりゃと眺める。ラジオ会館6階の「ボークス」がいきなり巨大になっていたのに吃驚、今どきのフィギュアブームってこーゆーマニアックな店が拡張してもやっていけるくらいに市場をおし拡げているんだろーか。その2階下の「海洋堂」にはジーベック・トイズから「新世紀エヴァンゲリオン 初号機」のフィギュアが今さらながら登場、けど出来は良いし今や普遍のキャラクターなんできっと売れるでしょー。相変わらずの限定商売はここん家ならではで、藤崎詩織のパンツ3色に比べると大人しいけどそれでもちゃんと「返り血バージョン」ってのは僅少で用意してる。ゲンドウ首かじりバージョンとか「劇エヴァ」磔バージョンとかって、作らないのかねえ。

 おっとはじめて実物を見た水玉螢之丞せんせいデザインによる西澤保彦さん原作「ちょーもんけん」シリーズのヒロイン嗣子ちゃんのコールドキャストフィギュアが何体か販売中、でもお金がなくって買えないよー。同じ買えなくって残念なのがツクダホビーからヨーやっと登場した「青の6号」ヒロイン「紀野真弓」ちゃんドール。大きさといい顔の表情といいもう抱いて頬摺りするには最高ななんだけど、難点なのはグランパスに乗る時みたいなぷりぷりくにくになパイロットスーツじゃなくスカート姿の制服って点で、これなど早期の続編発売を待ちたいところでありますな、速水鉄は顔がちょい妙。顔が妙と言えば稼働タイプのバンダイ製「神風怪盗ジャンヌ」だけど、あの角張って顎細まったジャンヌことまろんの表情から、ちょっとズレてるよーな気がするなー。「怪盗シンドバッド」&「名古屋稚空」は男なんでまったく興味がありませんので知りません。

 向かいにある「ゲーマーズ」でようやく「カードダス」の「怪盗少女ジャンヌ」1番スペシャルカードをゲット、溜まった既に持ってるカードの山をはてさていかに処理したものかと悩む昨今なれど、ここは夏のオタクシーズン開幕を控え、前に雑誌かムックで見た立体カードづくり(同じ絵柄を場所によって重ね合わせて立体感を出すホビー)にでも挑んでどっかで売るか、こっそりと。知らないうちに山積みになって種類も増えていた「デ・ジ・キャラット」関連グッズを横目で見ながら徳間書店から刊行の「後藤圭二イラストレーションズ」(1980円)を購入、ルリちゃん服来たユリカのイラストが見えてってとっても好きですが、それよりかつては忌避感あらわだった後藤絵にすっかり慣れている自分がちょっぴり恐ろしかったり、大張絵もぜんぜんオッケーな今、残るはことぶき絵だがさてはて。しかし「でじこ」フィーチャーとは電撃も恐れを知らないとゆーか悠久の次狙いに出たとゆーか。実は○○らしいコゲどんぼの活躍に期待だにょ。

 藤木稟さん待望のハードカバー新作「イツロベ」(講談社、1800円)を一気に読了、最近読んだ熊本SFやら匂いホラーやらとどこか通じるテーマなのは、やっぱり世紀末ゆえの未来への期待と不安な気持ちが世間に醸成されているからだろーか。どーやらタイトルもそのものズバリなテーマを表しているみたいだし。徳間のノベルズがミステリーとしてとらえられている藤木さんだけど、この「イツロベ」はSFっぽさ、ホラーっぽさ、ファンタジーっぽさが入り乱れたSFファンタジーな人でも存分に読みごたえのある1冊なんでミステリーだと嫌わずゲットを。身も蓋もなく人々の悪感情が暴走していく後半の酩酊するドライブ感覚(酔っぱらい運転?)にくらくらせよ。SFマガジンだとどのカテゴリーに入るのかにもちょっち注目、排撃派と擁護派なんか出るかなー。


"裏"日本工業新聞へ戻る
リウイチのホームページへ戻る