縮刷版98年9月上旬号


【9月10日】 ウルフウッドとミリィはたしてやったのかどーなのか、やったとしたらどっちが上でどっちが下だったのかなアニメ版「トライガン」を見て寝て起きて仕事。に行く前に本屋に寄って「アニメージュ」と「AX」を買って電車の中で貪り読む。朝っぱらからアニメ雑誌読むスーツ姿で手にはハートマンのアタッシェは結構ブキミな感じがするかも、って自分で言うなよオレ。まあ良い「AX」は表紙が村田蓮爾さん原画の「青の6号」の真弓ちゃんで絵としてみるとやっぱり性格暗そうで無口な印象があるけれど、動いて喋ってるアニメは第1話見たから言うけどそれは勝ち気で活発でお喋りなので、そーゆー女の子に踏んづけられたい男には結構ツボな作品になるかも。横で煙草吸ってる鉄(ってもチエちゃんのオヤジとちゃうで)は顔がいかにも不健康そー。こんな表紙をどーんと持って来てしまう当たりに、アニメ雑誌としては新興な「AX」のチャレンジ精神が見えて個人的には結構好きかも。「lain」は1度も表紙にならなかったよなー。

 いっぽう「アニメージュ」は最終回も近い「ロスト・ユニバース」からキャナルを大々的にフィーチャーする定番的な表紙、だけど髪の色にあわせてロゴも見出しも作ってあって、トーンとしては美少女の華やかさよりもしっとりとした格調の高さが伺えて、リニューアル後でも1、2を争う良い表紙絵に仕上がってます。作品はもう1カ月以上見てないんだけどね。もとより「AX」では来所から連載までして扱って来た「lain」だけど、遂に間もなく最終回とゆーこの月を落としてはタイミングを逸すると考えたのか4ページを使って特集してあって、それもただセルワークでごまかすんじゃなくって記事を入れ小中千昭さんと中村隆太郎監督へのインタビューも入れ、顔のアップもドカドカ入れたまんずまとまった内容になっている。エンディングの壊れたキャッチも6枚分を収録でファンにはたまらない逸品、最終回への言及もあって期待も膨らむ。2人へのインタビューは「AX」にもあってこっちは小中さんの顔写真入り。長髪暑くないですか?

 「仮面天使ロゼッタ」はあんまりイケてなさそーな「ムズ本」の大森望さんは「星界の戦旗2」をメインに野尻泡介さんの「ベクフットの虜」と上遠野浩平さんの「ブギーポップ・リターンズVSイマジネーター」を紹介。「星界」の犀川&萌絵化は周囲をジリジリさせるって意味ではピッタリ。あと野尻さんへの「ヤングアダルト版『二〇〇一年宇宙の旅』」って言葉は、たまたま「ヤングアダルト」もしくは「ライトノベル」を巡る意見交換が行われいる時期だけに、新しい石となって波紋を招くかも。個人的には「ヤングアダルト」も「ライトノベル」も侮蔑とかいった意味ではいっさい使っておらず(大森さんもそーだと思うけど)、単純に出自つまりはスニーカーなりソノラマなり富士見なり電撃なりといった、出版形式による分類で使っているだけでその意味でいけば日下部さんも神坂さんも同じ範疇に入れてしまう。気になるんだったらご免なさい、でも他意はないっす。

 ただし読者ではなく例えば新聞の書評欄で同一に「ヤングアダルト」や「ライトノベル」が扱われるかってゆーとおそらくは絶無で、それはやっぱりジャンルとしてとらえて偏見を持っているからに他ならない。事大主義で権威主義な新聞は言うにおよばず、あの”かるちゃー”に理解ありそーな「SPA!」でさえ、最近取りあげたのは「ブギーポップは笑わない」くらいだったからなー(ちなみに担当したのは僕)。そーした偏見を変えるためには時間が経過するか、あるいは超強大な権威が「ヤングアダルト」なり「ライトノベル」に付与されるしかないだろー。手っ取り早く言えば芥川賞を取るとかね。けど権威なんかに頼らなくたって、とゆーか新聞とか文学賞とかいった権威がすでに権威として通用しなくなっている時代に、そーしたものを求めるのってあんまり楽しい事じゃない。

 「SFマガジン」とゆー1媒体の上でどう評価されるかを求めるのも同じ事。だって「ヤングアダルト」なり「ライトノベル」を積極的に読んでいる人たちに「SFマガジンで評価されてた」って言ったって、誰も有難みなんか覚えないと思うぞ。そりゃー「SF」で育って来た人間にとってあの雑誌に名前が載るのは1つの夢かもしれないけれど(リーダーズストーリーの選外に2度載ったくらいで嬉しがってたりする僕)、現実に作品が世に出てしかも売れているって現実を、鑑みれば「ヤングアダルト」とか「ライトノベル」といった呼称はむしろ一種の称号なんだと、それくらいに思って作者の人たちには自信満々にしていて欲しい。そうしてくれれば読む方も、作者の自信を受けて堂々としていられるんだよね。お互いに下向いてちゃー暗くなるだけ。面白い話を書いてさえくれれば人はちゃんと読む。甘いかねぇ。

 電波新聞(別に電波系の人が読む新聞じゃないよ)のエンターテインメント欄に「エヴァ」の文字。読むと劇場版の「新世紀エヴァンゲリオン」がLD−BOXになって発売されるとゆー内容で、早速ガイナックスのページに飛ぶとありましたありました、8月25日付けのニュースで劇場版の「DEATH」と「REBIRTH」がカップリングになったLD−BOXが、12月23日に発売されるとゆー内容の案内がありました。しかし何とゆーか沈静化の気配漂う「エヴァ」市場を活性化させる意図でもあるのか、ことのほか豪華なセット内容で、すでにしてレギュラー版のLDを購入した人たちにも、無理矢理もう1枚買わせてしまおーってな意図も伺える、ってゆーかそーでもしないと出す意味がないくらいの、大盤振舞がされてます。

 具体的には「プラモデル」に「カードダス」に「ガシャポン5インチフィギュア」に「UFOキャッチャー初号機」と、まるで幻のセガバンダイと提携したかの如く膨大にして貴重な付録がセットになっている。三鷹の水道局ポスターとかに使われたのと同じデザインの「テレホンカード」も付けるとか。映画のDEATH編が「TRUE(2)」ってあたりが気になるけれど(2って何?)、これだけの品物を詰め込んだパッケージいったいどーなるのかもちょっと気になるところ。あとDVD版での映画の扱いが気になるところで、とりあえず11月に「最後のシ者」まで収録した第6巻が発売されるみたいだけど、第7巻はやっぱり第25話と第26話をテレビ版と劇場版まとめて収録したものになるのかな。個人的にはそうだね、劇場版の「DEATH」を庵野バージョンとそれから「TRUE」版の両方、まとめてDVDに収録してやって欲しいなぁ。

 すでに9月1日付で書いたオラシオンの「なみろむ」DVD−ROM版発売&エンターテインメントソフト初のバージョンアップサービス開始な記事がでっかく載ってる(ついでに黒澤CD−ROM記事も)日経産業に給料分くらい仕事しろよと遠吠えしつつ、さっさと抜け出して秋葉原を散策、オープンなったラジオ会館6階のボークスをのぞき、その整然として広大な店内に驚く。車のプラモデルもあったり雑誌関連もあったりと、4階にある海洋堂の濃さとは一風違った華やかさがあって、ゆったりとした配置ともども心地よい気分を味わえる。何故か旭通信社の人が来店して(名刺をのぞき見た)、店長さんか誰かに業界の動向をありゃこりゃ質問していた。勉強しなきゃー解らないって当たりが(アリバイ的に取材しなくちゃいけない新聞とは立場は違うだろーに)なんかとっても代理店っぽい。でもたしか「アニメの旭通」を標榜してたんじゃなかったっけ、おたくたち。

 綺麗とはいってもボークスショールームは濃さもたっぷりあって、ズラリとショップを囲んだショールームには美少女フィギュアにヘビーメタルに怪獣ほかたくさんのフィギュアが並べられ、ついでにボークス特製素体もたくさん並べられて、濃いのが好きな男の子の下心も結構満足させてくれる。塗料やらエアブラシやら筆やらの道具関係も充実で、海洋堂さんこれは強敵だよとは思うけど、そこは意に介さない男らしさなホビーロビー、狭い店内をますます仕切ってガレージキットを並べる仕業に、軽さが尊ばれ始めている(完成塗装済みフィギュアの台頭なんかその嚆矢)人形の世界で、果たして勝のはどっちかとヤジ馬的な興味が沸いて来る。


【9月9日】 講談社ノベルズまとめ買い。二階堂黎人さんの「人狼城の恐怖第4部完結編」は買ったは良いものの実んところ第1部しかまだ読んでいなくって、そっちから片づけていかないとこの謎解き大津波な完結編はとうてい楽しめるはずもなく、この週末あたりに本の大雪崩から前巻前々巻を発掘しよーとスコップにツルハシの準備に勤しむ。西澤保彦さんは「実況中死」が表紙の神麻嗣子ちゃんいクラクラ。帯を取ると猫のアボくんが袴のすそに張り付いていて、目線を上げれば果たして見えるのは繊維の白か直接の黒かと、妄想してうらやましさに身をよじる。海洋堂ではいつから発売だったっけ? 買ったらどっちに塗れば良いんだろう??

 まるで森博嗣さんなデザインの表紙にありゃりゃと手に取ったら森さんの推薦文がついててプロモーションとしてはちょっと決まり過ぎな感じ。その浦賀和宏さんの「時の鳥篭」は肝心なお話がどうだかは今のところちょっと不明だけど、冒頭に掲げられているのがいきなりなH.G.ウェルズの「タイム・マシン」で、まあそれとなく期待が出来そうな気がする。山田正紀さんの「長靴をはいた犬」は「神曲法廷」に続く探偵・佐伯神一郎シリーズだけに安心あんしん。このうちどれかが感想文の課題図書として回って来るかもしれないかと考えると、二階堂さんだけはちょっと時間的体力的精神的にキツいかも。でもプレシャーがあって読む気も起こって来るものだったりするから、結局はどれでも良かったりするんだけどね。乾くるみの2冊とも紹介した僕だ。どんと来い!

 GAGAで「ランナウェイ」の試写を見る。あの「フィフス・エレメント」で超ぶっとびーなドラグァクイーンみたいな人の役を演じていた黒人コメディアンのクリス・タッカーが、エディ・マーフィーばりのトークで「48時間」ばりに白人とペアになって濡れ衣を晴らそうと頑張るストーリーを、「エンターテンメントトゥデイ」みたく「48時間にオマージュを捧げた作品」とかって微妙な言い回しで評価するのは優しいけれど、当時を知らない世代にはタッカーの人をまるめこんでしまうマシンガントークは新鮮に映るだろーし、当時を知ってる世代にもラスト近くで繰り広げられる大銃撃戦にはきっと大喜びできるはず。そこまで我慢できるかが肝心だけど、喋りに嫌味やくどさがなく、人を騙してる疚しさもそれほど感じないから、割かし安心してくすくす嗤いながら見ることができた。

 終盤はタッカーの独壇場。あのロスアンゼルス・オリンピックが開かれた巨大なスタジアムを舞台にしたくんずほぐれつの大銃撃戦は、情けないTVリポーターだったチャーリー・シーンが火事場の馬鹿力じゃないけど機転を効かしてそれなりの活躍を見せるし、タッカー自身も地獄を見ながら機転と運で危機を乗り切る、その展開の気持ちよさは途中のドラマの感動の少なさをカバーして余りある。タッカーの子どもの頃からの友人とゆー武器を密かに扱う男が雰囲気といーラストにまで絡む役所といー、実は映画の中で1番美味しいキャラクターだったんじゃなかろーか。この秋おそらくはとっても流行るだろーと渡辺浩弐さんのイチオシする玩具「サイレントシャウト」に不可欠な「チュパチャプス」を、なめなめしながらバズーカどんどん撃っちゃう人だし。そこまで見られればもうあなたは「ランナウェイ」のファンになること確実、だから途中で席なんか立つなよ。


【9月8日】 ビデオに録画してあった「lain」を朝っぱらから見るとさすがに落ち込むねえ。学校に行って机がなくなっていた日のことを思い出して、ってそーゆーことはなかったけれど、誰もがきっと1度は思う「自分っていらない子どもじゃないのかな」ってな懐疑と、それが嫌で媚びたりおもねったりした日々への自己嫌悪を、映像にほじくり替えされるよーで気が滅入る。まあ大人だから「そーゆー日もあったなあ」と達観して金のために諂(へつら)うことだって厭わないくらいに人間出来上がっちゃってるけれど、同時代的に机画されてる青少年にはちょっちツラい場面かも。救いがあるかどーかは知らないけれど。たぶんあなまり救いもなさそーだけど。残り3話でどうオチつけてくえるのかにとりあえず注目。関係ないけどCMに出て来る「ケリー・ファミリー」ってどこの国でどれくらい売れてるの? それっぽいCMだったロビンソン一家より有名なの?? 教えて音楽な人々。

 足どり重く気分はダルなまんまで会社。おーい某日経産業よホロンの競馬ゲームなんてとうの昔に発表リリースが届いたよーな記事で頭作るなよそれもウチがとうの昔に2段くらいで掲載したのと同じ記事を。それから末期の黒澤映画が米国とかに資本で「しか」撮れなかった事実を日本映画の沈滞なんかといっしょくたにして語らないでくれー。そりゃー「Shall we ダンス?」を1人で行脚に出すほ邦画界には見えてない人が多いけど、こと末期の黒澤映画が内容的にも興行的にもどーだったかを考えて戴きたいもんだぜや。ほんと事大主義なんだから新聞ってまったく。などとダルな気持ちに拍車をかけつつ相変わらずの300行コースに突入し、ネット関連情報やらゲーム学校の教育ツール通販とかAMDがミリアに出すクリエーターの募集を始めた話だとか名古屋の若い女社長がやってるシンクフォリストが小澤一郎のホームページを作った話だとかバービーに「Xファイル」バージョンが出来る話だとかを山にして出して1ページの大半を埋め尽くす。明日も僕の日だぁぁぁ。これで給料は半分(某日経比、某朝日比なら4割か、ほんとマジだよ)。ありがとうございまーす、な訳はねーな。

 とか言ってる割には仕事の合間にアルバイトなんぞをしゃこしゃことやっていたりするから、説得力もへったくれも無いんだけどね。笹野みちるさんの本にノルウェーの未亡人の一代記のほかイースター島の写真集についての紹介部をせかせか。4000人いる人口のうち1000人がモアイとゆーこの島が、現地語で「ラパヌイ」つまりは「大地」なんてまるで実態を現さない言葉で表現されていたのを意外に思うけど、絶海の孤島にして唯一の地面をそこに暮らす人が「大地」と呼びたかったのも解るよーな気がする。何故か美人(若くして子持ちも多いんだけど)が多くって、それがほとんど気だてが良さそーな旨書いてあるのを読むと、今すぐにでも飛んで生きたい気分にかられるけれど、何せチリから遠く離れた海の上に浮かぶ周囲が60キロしかない島、たどり着くまでゆうに40時間はかかるとあって、今は無理とあきらめて写真集を通して向こう側へと思いを馳せる。会社辞めたら、そのうち行くぞ。でもエジプトが先ね。

 徳間ホールで「In&Out」の試写。150人くらいしか入らないホールは開場直後からほとんど満席状態で、後から来た人のために補助椅子が並び、それでも座れない人は通路にペタンとしゃがみこんで映画を見ていた。ちょっと珍しい試写会。だけどそれだけの価値はあったかもしれない、何せ映画は1時間半の上映時間があっとゆー間に過ぎるくらいの中身がたっぷりな作品で、場内大爆笑につつまれながら楽しい時間を過ごすことができな。大爆笑って確かこの映画、アカデミー賞を受賞した教え子からゲイだと指摘された高校教師が保守的な村でてんわわんやの大騒動に巻き込まれ、3日後の結婚式を控えてレポーターは来るは学校はクビになりそうになるわのドタバタの果てに・・・ってなカミングアウト映画じゃなかったっけ、それを嗤うなんて差別ちゃうのん、なんて指摘が出そうな気もするけれど、確かに差別的なギャグはあってもそれを嗤うことが本来の目的じゃないってことは、見ていた人の大半が感じ理解できたことだろー。でないとあのアメリカで興行成績第1位なんてとれないよね。

 ゲイと名指しされた先生を演じるのは、近作「アイスストーム」の予告編で「アダムスファミリー」のジト目な娘をおんぶじゃなくダッコして歩く場面が美しいんだけど日本人的に見て不格好な(長い形容だねえ)ケビン・クライン。演技派と呼ばれてかのジム・キャリーなんかとプレスでは比べられているその名にしおわず、ズバリと言われてあたふたしつつも懸命に取り繕おうとする先生の役をものの見事に演じている。踊りの場面とかは決して誉められたものじゃないけれど、ラスト近くまで来て衆人環視の前にマジな顔して堂々を現れるあたりに、達観した男の所作はよく現れているよーな気がする。

 彼と婚約している女性を演じるジョーン・キューザックはなんかコメディーの人らしく、なるほど結婚式の場面で大逆転があった後、控え室で泣くでもなくわめくでもなくただただドタドタアタフタと歩き回る仕草とか、ギャグをちりばめたセリフを叫ぶ場面とかにさすがショウビズの国のコメディアンな一日の長が見える。アカデミー男優を演じるのはマット・ディロン。これは別に彼がディカプリオでもブラピでも一向に構わなかったと思うけど、アカデミー賞を再現した場面に登場するウーピー・ゴールドバーグやグレン・クローズの存在感たるやさすがなもの。プレゼンターになったクローズがじじいとかおいぼれとかってポール・ニューマンにクリント・イーストウッドを紹介する当たりは、脚本に監督といったスタッフのイチビリ心が見えてベタベタだけとちょっと嬉しい。

 同じイチビリでもゲイに関しては、保守的な村における反応って意味で例えば両親が落ち込むとか学校をクビになりそうになるとかいったありがちなものから、そういえば彼ってよくバーブラ・ストライザンドを聞いていたわね映画を見ていたわねってな日本人にはちょっと解らない(ゲイはストライザンドが好き、ってことなの?)ものまでテンコ盛り。真の男はディスコでも絶対に踊らないし腰に手もあてないってな映画に登場する「男らしくなりましょ指南テープ」の言葉なんかもあって、自虐なスタンダップコメディになんか似た雰囲気があるよーな気がする。それでも最後はちゃんと絞め、「おめでとう」じゃないけどハッピーでラッキーなエンディングとしたところが、映画をしてアメリカン人を感動させた理由になってるんじゃないでしょーか。

 TVリポーターとしてやって来るニヒルで濃い男を演じたトム・セレックがちょっと美味しい役回り。しかし彼は実は・・・・ってこれもまた吃驚だけど、それを聞いたキューザックが「この街はトワイライトゾーンなのー」とウェディングドレスで叫び、3段階に崩れ落ちていく場面がコメディアーンな雰囲気出してて最高でした。ちなみにマット・ディロンが演じた俳優がアカデミー賞を獲得した映画のタイトルが「ホモに生まれて」。ベトナム戦争の最中に怪我とした戦友を背負って弾丸の下をくぐっていたマットと、その戦友との間に芽生えが愛が・・・ってな展開に、西炯子さんが描いていたベトナム戦争を舞台にした男と男の物語を思い出してほくそ笑んだ。さすがに腫れたあそこは冷やさなかったけど。映画は年末あたりに公開予定。しかし女装が大好きな少年を描いた「僕のバラ色の人生」といー、GAGAのこれからの映画はなかなかに挑戦的なプログラムが多いなー。


【9月7日】 ビデオで久々に見た「DTエイトロン」は話進んでデータニアのドームがペケになるエピソード。1万3000キロだか離れた場所から10分とか20分とかの時間でかけつけるエイトロンには流石に吃驚。地表を時速で4万キロとか8万キロの速度で移動できる物体(分子が結合かなんかして出来てたんだってっけ? エイトロンって)が、はたして科学的に存在可能なのかは文系の僕には解らないけれど、少なくとも昔いたエイトロンと同じよーに胸に8のあの弾よりも早く新幹線とだって競争できる丸美屋なノリタマの男よりも、速いスピードで走れるってことだけは確かみたい。ただし走りながら「むおーーーーーーっ」と叫ぶのはミョーだから止めて欲しい。音速越えてるってことは通り過ぎた後に声が聞こえるって事だろーから、それはなかなかに気持ち悪いもんね。

 「日本SF大会」で今度「星界の紋章」をアニメ化するサンライズのスタジオが今作っているのが「DTエイトロン」で、大会では「だんだんと視聴率も(深夜にしては)良くなっている」って言っていたから、ありがちな近未来管理都市からの逸脱と成長のドラマを描いたドラマに眉を顰めていた人たちも、あるいは赤いマフラーなびかせたスッポコなヒーロー物にしか見えなかったエイトロンに忌避感を示していた人たちも、それなりに冒険心をくすぐられカタルシスを得られそうな展開を受け入れ始めたって事なのか。それとも某カモメなマークの会社が間接的親会社的に絡んでいるってことで、社員全員に視聴率稼ぎのための「見ろ」指令でも下ったのか。少なくとも目ん玉マークには指令は下ってはいないけどね。それは冗談としても、ありきたりだけれどマジメなドラマ作り作品づくりだけは、難波弘之さんの音楽とオープニングのドラゴン・アッシュとともに認めてやっても良さそうな気はしてる。伝説にはならないけれど記憶には残りそう。締めくくりをどうするかだな、後の課題は。

 巫山戯(ふざけ)るな某日経産業。といきなりの怒りモードは別に記事を抜かれたからではない。抜かれたんなら喝采は送らないまでも「人がいるから」「給料良いから」と嫉みに潜めてエールくらいは送るけど、いくら何でもこの時期に「カプコンがドリームキャスト参入」はねーよな。おまけに「大手では初」だって。NECホームエレクトロニクスって大手じゃないのか。NECインターチャネルってただの中小企業だったのか。それは主観の問題だから置くとして、書くとしたら今の時期ならせめてタイトル名と発売時期と価格くらいは抑えておいて戴きたいところを、記事では「バイオハザード」か、あるいは何となんと何と「魔界村」を挙げてどっちかになるってな論調を展開してる。そりゃ確かにちょっと前のイベントで、岡本吉起じょーむが「魔界村でーす」とか言って笑いを取っていた事があったけど、この笑いをとったってことがつまりはそーゆーことだと、思わなかったのかが不思議でしょーがない。

 ぶちまけてしまうと我が表新聞に比べると某日経は、人員で5倍から7、8倍(こっちは1人しかいねーんだから5人いれば5倍だわな)、給料で2倍(マジだよ)は確実にいるし貰っている。こっちが1日に例えば明日付けの新聞で言うと、頭書いて肩書いて箱書いてコラム書いて黒澤関連書いてベタまで書いて計6本約300行の記事を1人で押し込んでいるとゆーのに(面の残りは外注と支局からのベタ)、余力はたっぷりで給料はたんまりな所に腑抜けた記事を書いてもらった日にゃー怒りが髪を飛ばすぜい。こちらが少ない事は多分に経営の問題であって、だからハンディと付けろとか、質が悪くても我慢しろかゆー気は毛頭ないけれど、こちらが動けないところを、せめて業界に影響力のあるメディアとして、中堅中小企業をこまめに回って新しい産業を育てようとしているその努力を、メディアによるお墨付きとゆー形で讃えてやって欲しいやな。出来ないんなら総額で10倍から16倍はある人件費の、3分の1でも良いから僕にくれ。少しは原稿回して挙げるからサ。

 おお吉野沙香さんが「ヘイ・ヘイ・ヘイ」に出ておられるではないか。マカラガ以来の別にファンでも何でもないけれど、一応は若いって事「だけ」で気にしていたアイドルさん、どんな唄と踊りを見せてくれるのなかんと、唄のシーンまで見続け冒頭のダンスシーンで躍動するバストにムクムクとした思いにとらわれて、さあ次は赤いミニのワンピースからどこで下がのぞくのかと、それだけを期待して画面に見入っていたら中盤のダンスシーンでいっきに気が抜けた。なんだしっかり履いてやがるじゃねーかショートパンツをよ。回していたビデオに、本当にホンモノがのぞいたのだったら後に「お宝ビデオ」とかって売れたかもしれないのに、これでは動体視力の検査くらいにしか使い道がない。こーなったら後は「TVタックル」の丸川珠代に期待だぁぁぁぁぁ。

 「少年探偵団」ってゆーと古い奴なら「ぼ、ぼ、ぼくらは」の方を口ずさむだろーけれど、今がだいたい20代後半から30代前半の元少年なら「7人、7人、7人そろえば」ってな唄を思い出しては「ビーディーセブンは少年探偵だーん!」と口ずさむことだろー。そのかつて少年今はおっさんたちを熱中させて、全国の軽く1万を越える(推定)学校に「BD7」とゆー名の秘密組織を作らせた人気番組「少年探偵団」がいよいよLD−BOXとなって10月21日に発売されるそーな。黒澤明のビデオの様子を聞こうと資料を漁って見つけた東宝ビデオのパンフレットにチラシが入っていたのを折良く見つけただけの事なんだけど、最初は「ぼ、ぼ」の方かと思ったら映像特典として入っているのが20面相団時朗に小林少年黒沢浩。奇しくもクロサワのそれも僕らの世代により知名度の高いクロサワを見つけたって事で、不思議な因縁を感じてしまう秋の空でありました。

 「BD7」のメンバーが誰だったのか今となってはテレビ局に就職してしまった元小林少年の黒沢浩しか思い浮かばないけれど、ニックネームだけは「ガッツ」に「ゴムカン」に「トンボ」に「オウム」に「キカイ」に「マジョ」と、言われれば「ああいたいた」と思い出せる。ゲストには黒沢浩の妹のキャロライン洋子ほか斉藤こづ恵、天本英世、堺左千夫らが出ていたそーで、初放送から23年を経た今果たして赤面せずに見られるか、それとも昔の恥ずかしい「BD7ごっこ」遊びを思い出して画面を直視できないか。どちらになるかは当時のファンが実際に買って確かめてやって下さいな。おまけに何と「BD7バッチ」が封入、これ欲しかったんだよ当時、ってな人はやっぱり買って昔できなかった遊びを、いい歳した今やってみちゃー如何でしょう。おっと「小林少年」役を希望するならせめてお腹と頭のてっぺんがどうなってるくらいの、周囲への気配りが必要ですよ。


【9月6日】 食欲の秋は同時に物欲の秋でもあって、さすがに持ってるパソコンは「iMAC」でも欲しいとは思わないけど(ちょっと強がり)、買って早々になくしてしまった1目レフはCONTAXのAriaに照準があったまま離れず、カメラ屋の前に行ってはショーウィンドーの中のボディにツァイスのプラナーの50ミリF1・7を組み合わせて幾らだとかってなシミュレーションをしてみては、後々の収入を照らし合わせて逡巡しつつやっぱり欲しいと迷い惑う。年末のボーナス当てにすれば全然買えないもんじゃないけど、年末まで会社が保つかアヤシイし、それより年末まで堪忍袋が保つかどーかがもっとアヤシイ。

 1人抜けて担当記者が1人にボランティアが約1人で週5面を作っている担当ページの担当デスクが8月末で退社して、ついに孤児となってしまいましたよあたしゃ。臨時のデスクは部長が兼任だから専任ほどには融通が効かず、それが結果のますますな質的低下がすぐさま量的縮小へとつながりかけている重大時に、新雑誌なんか創刊しようってんだからもう大変。これでキレずにいられるかってところで新聞を見るとTBSあたりが募集をかけていたりして、うーむと唸るも宮仕えって物のツラさは味わい倒したって事もあり、履歴書を買いに行く脚にも迷いが生じる。何だか妙な(ってゆーか何故にオレが? ってな感じの)仕事も回って来そうで、いっそこのままアヤシサ炸裂の三百代言として食っていくかと考える。

 日曜日の朝日新聞はそれでも仕事の宝庫で、印刷会社で作る全国的な団体の会長をやっている社長がいる印刷会社のプレシーズは、印刷業務のデジタル化にかけては大手なんかよりよほど進んでいてソッチ系に興味のある人はなかなかの職場だと思うし、サンリオが大好きなら近くのピューロランドがあるベネッセなんかも、マルチメディアに映像といった新しめの仕事が楽しめそうで興味をそそる。年齢制限があってちょっと僕ではキツいけどね。日経あたりだとよみうりテレビの求人なんかもあっていっそ関西に逃げるか東京は自身がヤバそーだち、なんて思うものの染み着いた怠惰な暮らしをここでスッパリ断ち切るだけの気力はもはや無い。

 ダラダラと言えば笹野みちるさんがやってる「京都町内会バンド」のアルバムは、タイトルもそのままに「HIMAGINE」で、時間はあって退屈なのにやりたいことがなくって暇こいてるって内容のタイトルソングが、気はあせるけど気疲れはしたくないフクザツな気持ちを唄っていて結構くる。「風が吹くんです」なんかも惜しいっていわれた東京でのシンガー生活をやめて地元で花売ってる自分を、悩ましく思ってけれども立ち上がれないもどかしさを歌い、それでもじっとしながら1日1日をとにかく過ごしていくことに懸命な姿が見えて憧れる。コミックソングな「二人のサッサ」とか「フォークソングでステップ」(これ最高! ライブで聞きたい!!)とかもあるけれど、疾走していた東京少年と気張っていたソロの時代を経てたどり着いた1つの境地としての停滞の、もわーんと感じが京都というやはり停滞した街の良さと相まって、なかなかに惹かれるものがある。

 花屋のバイトは流石に男には見苦しいものがあるから止めておくとして、スパゲティ1束にミート缶1本あれば3日は過ごせるから食費はオッケー後は本代と宿代さえ稼げれば良いだけだから、今の仕事に加えてもうほんのちょっとだけ稼げれば、社内の記者兼プロ格闘家(ヒクソン・グレイシーともスパーリングの経験アリ、いやほんとにマジで。格闘関係のライターやってるんでそっち系の記事書くときは紹介しまっせ)とツルんで大暴れしてバイバイし、後は能登なれ大和なれな暮らしを送るんだ。

 いかん愚痴になった、物欲に戻ってだからカメラを買いたいなーと思っていたところに、新たな物欲ターゲットが登場してなおいっそうの困惑にかられておるのだよ。それはヤマハ サイレントチェロSVC−100ってヤマハのサイレント商品の新製品。これまでにもバイオリンだとかピアノだとかが出てたけど、昔からファンな溝口肇さん(大昔にピースの宣伝出てた人)が弾いている姿のカッコ良さに憧れて、いつか大きな部屋にでも移り住めたら買って勉強しよーかと思っていたチェロだけに、今の狭い部屋でも周囲に迷惑かけずに練習できるサイレントシリーズの登場には、心動かされるものがある。

 ちょうと課題図書として回って来た分厚い2冊組みの長編小説「ノルウェーの汀の物語」(ハルビヨルグ・ヴァッスムー、集英社)でも、港にある館の未亡人として本邦に生きる美女、ディーナが嗜んでいる楽器がチェロだったりしたのがいけない。ゲージュツの秋をゆー季節もまた物欲にメラメラと火をともしてなかなか収まりがつかない。仮に購入したとして、難しい楽器だから独学は大変そーだけど、練習を重ねれば来年の夏くらいまでには何か1曲は弾けるよーになるだろーから、頑張って練習して「日本SF大会」あたりは信州時代の碇シンジくんよろしく体育館で弦楽四重奏でも披露しましょーか。曲は「インドの虎刈り」でよろしければ。


【9月5日】 渋谷へ。「BOOK 1st」に着くと「岡田斗司夫来る」ってな感じの張り紙やチラシがそこかしこに張り出され並べられ、大々的に今日のイベントの告知がなされていた。前に江東区だか荒川区だかで見た「おたくアミーゴス」の賑わいに、岡田さんピンの講演とは言えさぞやいっぱいの人々で埋まるんだろーなー、ってことは整理券も配布済みとかで外から立ち見せにゃあかんやろなー、と思いカウンターで聞くと「整理券まだあります」とのレジのおねいちゃんの返事。それはと思って1冊持っているけど本雪崩に行方不明だった「国際おたく大学」(光文社)を1冊所望して、レジに行っていっしょに整理券をもらうと、通し番号は何とたったの「20番」だった。

 決して広い会場じゃないし告知してイベントまで間がなかったよーに思うからこれも仕方がないとはいえ、コミケで1000冊もの同人誌を閉会を待たずに売り切る岡田さんのイベントでかくも控えめな出足に、あの夏のフィーバーはドリームでしかなかったのか、秋の声とともに昨年から沸きに沸いた「おたくブーム」も一挙に終焉に向かい、再び永な地下生活へと逆戻りなのかと懸念する。がしかし、ついでと思って寄ったパルコのブックセンターで、綾辻行人さんの監修したゲームソフト「YAKATA」の攻略本に綾辻さんがサインしてくるってイベントが来週の日曜日午後3時からあって、その整理券を配ってるってんでメディアファクトリーから出ている攻略本を平台から取ってレジに行き、もらった整理券の番号を見るとこっちは「32番」だった。

 1週間早い岡田さんのイベントより番号が進んでいるとはいえ、ミステリィ界の貴公子であり女性ファンのそれも熱狂的なのが多い綾辻さんをしてこの番号はいった何事かと、訝りおそらくは告知媒体が女性とかミステリィファンとかがあまり読まないゲーム雑誌とかに限られているのかもしれないと、思いここに(役にはたたないけれど)お知らせを載せて、15分で行列が途絶えそうになってこれはまずいと担当編集者が渋谷の街頭に出て「綾辻やってます」の大声を張り上げ、ブックセンターの店員がかわるがる名札を外して本を持って列に並ぶ、なんて事態の回避への一助とする。あるいは綾辻さんの暇つぶしに櫃まぶしを差し入れる、なんてネタ振ってもいいけれど、あまりにベタなんで差し入れは自家製パスタに抹茶を練りこみたっぷりのオリーブオイルで炒めて上にクリーム小倉餡をのせたファン特製の「甘口抹茶小倉スパ」にしときましょう。印象に残ることだけは確実です。

 とって返して「BOOK 1st」で出張講義。待っているとパイプ椅子はじょじょに埋まってイベント開始までには50脚ほどの椅子はほぼ満杯の状況は、発売から1カ月以上が経過して、すでに本を持っている人が多かったにも関わらず、あらためて購入してまで講義を聞いてみたいって人がまだ東京にこれだけいたってことを、示す材料にはなったでしょー。あるいは昔買った本を持ってするりと潜り込んだ剛の者が結構いたってことか。どっちにしても立ち見が出るほどの盛況に、岡田人気未だ衰えじってことくらいは確認できた。世間はまだまだ騙せるぞぉ。

 体調不良で「日本SF大会」には登場せずその健康状態が心配された岡田さんは、入場するや「時間もないんでとっととやります」とツカミのサービストークもなしにいきなり本題に入り、まずは本の方で「おたくのセクシュアリティ1 ショタの研究」を寄せている渡辺由美子さんと対談。「BSマンガ夜話」でホモセクシャルに関して発言したところ山のよーなファクスが送られて来て、先の「TVブロス」で「ロリコンにだって人権を」とやって「ホモセクシャルは愛だけどロリコンは犯罪」とかいったツッコミが入って往生している岡田さんの近況とかに始まって、ショタの歴史と最近の動向について概説があり、半ズボンが基本で柔道はやっちゃいけないスポーツ(剣道はどーなんだろー?)で、男にもショタが増えていて悩んでいる人が結構いるとかいった話に、その激な口調も相まってただただ圧倒される。

 客観的にはそういう現象があるってところは理解できても、本質的なところで共通の認識を持てるはずもなく、これはなかなかに幅もあって奥も深い世界、雑誌なんかで取りあげるにしてもよほど気合いをいれないと、世界的に懸案な幼児ポルノの1ジャンルとして糾弾の対象にしてしまいかねないとやり口を思案する、って表新聞で扱う気か俺? 女シンジ本がショタの最近の傾向として紹介されていたけれど、書き手の意志とかはともかくとして男から見るとロリの変形にしか見えなかったりするから、やっぱりよく解らん世界だわ。鶴岡唐沢話は聞いている分には実に面白いけれど、公開の場で言っちゃっても良い話なんだろーか。名古屋のSF大会でも2人が話している姿を見掛けたしなー。

 全体としては、渡辺さんの圧倒的なまでのショタ話を受けつつ徐々にその世界をつまびらかにしてこうとする手腕に、歳いって落ちつきも出たベテラン芸人のような、周囲に慕って集まる若手芸人を受けてなおかつ自分の持ち味もしっかりを混ぜ、決して追い抜かせはしない良い意味での岡田さんの”したたかさ”を見た思い。例えばショタの分類で、「俺についてこいタイプ」があると渡辺さんに言われて「サラリーマン金太郎」が浮かんだと答えて渡辺さんの顰蹙と場内の爆笑を買ってみせたりとかした当たり。双方が情熱(パッション)をぶつけ合った挙げ句に周囲から飛んでいってしまいがちになる「おたく」話で、1歩下がって解らない多分「ふり」をして、いちびりの合いの手を当意即妙に入れて場を盛り上げていく、芸として完成度が高いイベントでした。

 パッションの熱さとテンションの高さでは渡辺さんに勝るとも劣らないみのうらさんは、登場するなり時速1426キロ「MUTE CITY」1分11秒332的スピード感で、自己紹介とか本で書いた内容の説明とかを一切飛ばし、のっけから手にはめた薔薇の刻印が入った指輪の説明を縷々と始め、戻って姉の影響でコスプレを15歳から始めて幾星霜、培った知識をノウハウをつまびらかにしつつ、最近の傾向とか重力にチャレンジブルだったり顔面がデストロイな方々がコスプレすることへの同じコスプレヤーとしての見解とかを畳み掛け、場内を興奮の坩堝へと叩き込んでくれました。「ときメモ」の館林のコスプレした女子の頭の三つ編みボールが鬘を丸めただけなのを見て「後ろから殴ろうと思った」と言うみのうらさんに、岡田さんが「なんで殴ろうと思ったの」と理由を聞いたら「同人の入った袋」と凶器の種類を答えた場面が最高。これもパッションのなせる技でありましょう。

 まさかオシャレで気取ったあの「BOOK 1st」で真っ昼間からイメクラはなしにテレクラ話が出るとは思わなかったけど、鞄から風俗関連の求人情報誌を取り出して見せるあたりは芸のためならたとえ我が身を貶めててでもの覚悟が伺えましたです。1600円払って本買い直して見に行く程度の身の削り方ではまだまだ甘い、ここは場内で上がった「おたくテレクラ」作りに向けて、報道の面からなにがしかの協力をせねばと覚悟をちょっとだけ決める。いっちょ静岡県あたりで事業化しますか。ちなみにそんなテレクラが出来たらみのうらさんは、「EVAテレビ版ラストあり」な会話でも「忍者部隊月光について話そう」な会話でも大丈夫な女の子たちを集めて遣り手婆として君臨するそーです。ときどきは電話もとってくれるのかな。

 関係ないけど「聖コスプレ学園」の入社試験(ってゆーか女の子の採用面接)ではアニメの話を結構聞かれるって話題から敷衍して、岡田さんが言った「ホビージャパンの試験にはガンダムの種類を全部書かされる」ってのは本当? 日本サンライズの試験で10キロの設定用紙を持ってグラウンドを走らされるったってのも衝撃だったけど、しかし細分化され深化するおたくのニーズに応えるには、それだけのものが要求されるって事でしょう。新聞なんて中途半端なゼネラリストはだんだんと滅びていくんだろーな。勉強せねば、「おたくテレクラ」で。

 「ウルトラマンガイア」は「ティガ」も「ダイナ」もほとんど見てこなかっただけなのか、それともわざとなのか登場人物や正義の見方の説明を一切省いた展開にとまどう。大人はそれでも「こーゆー展開もあり」と思って見るけど、本当の視聴者である子供たちはいったい何を思ったのか。あるいは最近の子供は大人が考えている以上に頭がよくって単純なだけのヒーロー物より複雑なプロットを好むのか。その点「仮面天使ロゼッタ」は単純すぎるほど明解な変身ヒーロー物で微睡みかかった脳に実にすんなり物語が入る。今日の放送は大人になったロゼッタ一家をはじめ、吉井怜ちゃんのクラスメートの未来が妄想となって現れるありがちなストーリー、だけど生まれた子供がファラオンに変身して慣れない武器でお婆ちゃんを危めてしまうロゼッタん家を筆頭に、クラスメートも恋人に売られて風俗行きとかアイドルになったけど売れずにAV行きとかって展開は、大人の時間の番組って事を意識しているんだろー。久々に見たけどまた見るのが面白くなって来たぞ。


【9月4日】 デジタルは飽きたのかバーチャリアンな渡辺浩弐さんは、ちょっと前に「バーチャリアン日記」でタカラのデジケンを取りあげたと思ったら、今度はバンダイの「サイレントシャウト」を取りあげて写真まで入れて誉め誉め原稿を書いている。僕はホメホメホメな記事を書いたから人の事は言えなかったりするんだけど、しかしデジタルな業界の人がアナログな玩具への傾注を示す記事を書いているのを読むと、「ハイパーヨーヨー」を頂点にしたアナログ簡単おもちゃの復権って状況がより一層明らかになるよーで面白い。それだけデジタルな世界に話題が無いかってゆーとそうでもないんだけれど、遊びとゆーものをリング上で両者を体重別に分類するんじゃなく、同じ土俵の上に上げて重量型も小兵もソップもアンコもっしよくたにして、考える方が遊びのより正確な動向を掴めるって事に誰もが思い及んで来たんだろー。

 ゲーム業界だけを見ていると、いつの間にかアナログ玩具が復権して子供たちの圧倒的な支持を受けている事を知らず置き去りにされ、「ゲーム売れないなあ」とか思ってゲーム一辺倒だった昔を思い出し、不思議がっている結構歳いった世代ごとまとめて棚上げされるってのが最近の状況だったりするからね。しかしサンプルもらったワーイ、と商業紙誌で堂々と書く図太さは、さすがの僕でも持ち合わせていない。だってこれやっちゃうと、「じゃあウチも」ってサンプルがどんどん集まって来ちゃうからね、影響力のある人だったりメディアだったりするとなおさら。

 その点ハズカシかろーと価値が大きく損なわれよーと、JASジェニーを自腹ってパッケージから出して写真を撮ったTOMMY鈴木さんはエラいなあ。今度出るマテルの「ティファニーで朝食を」バージョンのヘップバーン・バービーは顔が激似なんでファンなら即ゲット。折角のJASジェニーでハマりかけたところで次ぎはどーですかバービーなんぞ。「Xファイル」「スタートレック」バービーもあるでよ。

 ついにグラビアにまで登場してしまった「B.B.WAVES」。早くから沖縄アクターズスクールに注目していた篠山さん中森さんのコンビだから何時かは出るとは思っていたけど、「ついにこの日がやって来た」と書き出す中森さんの文章の、檄文ぶりにはよほど気にいっているかあるいはテレビ局から締め出し食ってる感じな「B.B.WAVES」の置かれた状況に反発なりを抱いているってな感情が読みとれる。マキノ正幸校長にインタビューした時も、芸能界を牛耳る人々への反発心が結構おう盛で、冗談抜きで「明日死ぬかもしれない」と言っていたくらいだから、メジャーな雑誌への露出と盛大な応援はやっぱり相当に有り難いんだろー。個人的にはペッタンコな若い婦女子が束になった「B.B」が、露出することのいささかの反感もなくむしろもっと派手にテレビも雑誌も出せと主張したいくらいだから、これをステップボードにカレーのCMばかりじゃなく、歌番組にも総勢140人余りで出演してスタジオをパニクされてやって欲しーなー。

 それにしてもマキノ正幸さんと島田晴雄さんの共著「オンリーワン」(レゾナンス出版)は僕が出版イベントに出て以降も新聞各紙での引き合いがもの凄く、ちょっと前は天下な権威の朝日新聞書評欄に取りあげられていたし、先だっては僚紙(迷惑かい?)産経新聞では論説系のコラムで引き合いに出されていた。朝日は同じ慶大教授の竹中平蔵さんが筆者だったからあるいはバーターな取引があったのかもしれないけれど、こと産経のおじさん記者が目を通していたとは正直言って驚きで、そこに至るまでにレゾナンス出版がどんなプロモーションを展開したのか、ちょっと興味があります。

 我が表新聞への度重なる記事掲載(八重洲のイベントにマキノ校長インタビューに近藤さん一代記の3度も載せたぞ他にネタもなかったしぃ)がちょっとは役にたったのかな。それとも「夕刊フジ」のレゾナンス出版近藤社長へのインタビューが大きかったのかな。どっちにしてもこれだけの評判は滅多にある事ではないので、ここを踏み台に次はさらにすっげー筆者の本を出してやって下さないな、近藤さん。それでこそ全日空ホテルで払った珈琲代も浮かばれるってもんです(いえ根になど持っていませんが)(だったら書かなきゃいーのに)。

 インターネットの展示会が幕張メッセで開かれたので行く、が小さな会場をパーテションで仕切ってこじんまりと開かれていた展示会にネットも昔ほどの神通力が無くなったのかと推測する。あまりにイベント数が多いから出展者を集めきれないってのもあるのかな。それだけに超メジャーな会社よりもベンチャー系あるいは個人のSOHO系企業が結構なスペースを占めていて回りながらありゃこりゃ色々なアイディアを見つけついでに記事のネタも仕込む事ができて、暑い中を言った甲斐がちょっとはあったと小踊りする。

 しかしビジネスユーザーが多いイベントのためか、エンターテインメント系の出し物に群がるカメラ小僧がほとんど皆無で、例えばあるブースで突如現れた4人の美女軍団がピタピタなホットパンツ姿でインタビューに答えている場面で、聞いていたのは写真もついでに撮っていた僕1人。なんだかストーカーみたいで「なんだこのおっさん」的視線が刺さって針のムシロに座らされた気分になたけど、ここで離れると彼女たちは空気に向かって虚しいトークをしなくちゃならなくなるし、実際メンバーの1人で胸が自慢とかゆー奈美ちゃんが相当に不機嫌そーな声を出して、司会のお姉さんが何度も「機嫌悪いの」なんて傷口をエグるよーな声のかけかたをしていたから、そのまま黙ってトークを見物する。その甲斐あって最後のジャンケン大会でトレーナーを見事ゲット。お代は見たから戴きだって事で、すべてをチャラにして会場を後にする。しかしあの客の入りじゃあ、来年はないな。


【9月3日】 そうだ京フェス に行こう。と思い立ったのは何も9月の声を聞いて秋の訪れにセンチメンタル・シティ・ロマンス(なつかしー)を感じたからではなく、「日本SF大会」でナマ有名人を山と見る機会(何せ1割がゲスト)に味をしめたからでもやっぱりない。後者の理由はちょっとだけならあるけれど、大意は単純に笹野みちる@元東京少年にしてカミングアウトが新しく書いた「泥沼ウォーカー」(パルコ出版、1600円)を読んだから。好きだった東京少年の解散後、沈黙していた笹野さんが「カミングアウト!」って本を出してソロ活動を始めたのも束の間、再び「どっかいっちゃったー」(あたしの金のゆびわー、と続くんだったっけ)ってな具合に声を聞かなくなって何年か。仕事で回って来た本にどーゆー訳かこの新刊が混じっていて、懐かしさとそれから近況への関心にせき立てられてあっとゆー間に読んじゃった。んでもってすっげー面白かった。

 とにかく上がって下がって再び飛び出てまた引っ込む、傍目には恋ですら間に合わないほど派手に上下するジェットコースターのよーな人生を、80年代の後半から約10年の間に送っていたみたいな笹野さん。東京での音楽生活の売れなきゃいけないってプレッシャーから来る大変さと、カミングアウト後の背筋をピンと立てて襟元正して生きなきゃいけない堅苦しさから、2度の下京と上京(我孫子さん風表現つまりは東京に行って返ってって繰り返しを2回ってこと)を経て、鬱々とした中でいろいろと考えた事が巧みに素直に綴られていて、どうしたもんかなあ、なんて悩みながら今を生きてる自分を含めた大勢の人たちに、勇気なんて前向きじゃないし教訓なんて尊大でもない、等身大にありのまんまに悩み楽しく苦しみ明るく、生きて行く方法を見せてくれている。

 まさか花屋でバイトしてたとは知らなかったけど、そんな合間をぬって京都町内会バンドってのを始めたそーで、インディーズからアルバムもでてライブも順調に行っているよーで、古いファンとしてはとにかく良かったんでもって頑張ってと、遠く東京の地からエールを送る。「京都SFフェスティバル」にまだ行くかどーかは決めてないけど、仮に行くとしたらものはついでに本に出てくる笹野さんがチャリとか徒歩とかで訪れた、京都のいろんな場所に行ってみたい。写真入りイラスト付きで紹介されている叡電出町柳駅前のカミ家珈琲店でまじめに大きくウマいケーキ、ちょっと食べてみたいなあ。本家な天下一品のラーメンも食べてみたいし河原町通りの「スギトラ果実店」で「人生で忘れられない味」のグレーフルーツジュースも飲んでみたいし「インディアン」の海老カレーに「みよし」の長浜ラーメンに「さらさ」の黒砂糖とくるみのケーキ&ササラミルクを・・・とまあ食い気飲み気ばっかりで、何が鬱だと言われそうだけど、人間食い物を考える頭は実は別だったりするんです。笹野さんももしかしてそう? なのかな。

 ゲームソフトのショップで作ってるARTSって団体が記者会見を開いたので行く。大阪で始まったゲームソフトの中古問題に関する裁判で、被告になった「わんぱくこぞう」が加盟して社長の人が代表を務めている団体で、会見では大阪で開かれた裁判の第1回口頭弁論の内容を踏まえつつ、相手の言い分のどこが間違っているのかと逐一指摘してくれて勉強になった。面白かったのは(と他人事みたいには言ってはいかんのだが)裁判でとっても重要になる訴える相手を、訴えた側のゲームソフト会社がとっちらかっていたらしいという事で、それはゲームソフトの会社が被告に中古販売をやっていた茨木市にあるゲームショップそのものじゃなく、そこの経営者である個人を訴えたって点。ARTSの弁護団がそこを突っ込んで「ちゃうやろ」(推定)と言ったら相手は訂正で法人の方に被告を変えようとして、今度は「そりゃあかんやろ」(推定)と突っ込んで、ゲームソフト会社は新たに別の裁判を起こす羽目になったとか。後でACCSから来たペーパーにも新しい裁判の事が書いてあったからこれは事実なんでしょう。

 頒布権の適用しかり頒布権の消尽しかり何段構えかになっている裁判だけに決着が付くのは早くても来年の夏以降、でもって1審でケリが着くとも思えないので最高裁まで行ったとすればさらに何年かがかかることになる。双方御旗をおったてて臨む裁判だけに平行線は必至だけど、訴えられた側が用意する反証には印象として説得力があり(別に後出しジャンケンだから強いってことじゃない。相手に立証責任がある以上はそれを崩す材料を見つけやすいって事)、んな大変な裁判をよくぞゲームソフトの会社もACCSもCESAも起こしたものだと感心し、一方で前述の相手のとり違えのよーな事態を招く事への呆然とした思いも抱く。さても苦労が耐えない裁判を続ける意味には示威行為もたぶん混じっているだろーから、見る方としては裁判での法律論争以上に、かたち作られる世論の方向にも気を配らないといけない、がそーすると記事もどっちつかずでますます書き難くなるって寸法で、かくして面倒なことが嫌いな記者は、人数が少ないのを良いことに1人傍観を決め込むのであった。助教授に総括してもらおーかな。会社貧乏だから原稿フミ倒しの懸念はありますけど。

 須賀敦子さんの書評の仕事を集めた「本に読まれて」(中央公論社、1600円)とか浅暮三文さんの「ダブ(エ)ストン街道」(講談社、1700円)とかキム・スタンリー・ロビンスンの「レッド・マーズ」(東京創元社、上下各840円)とかをまとめ買い。読む暇はおそらく皆無に近い。週末の岡田さん出席イベントはどーしよー。おっと忘れちゃいけないネットワークが関連する犯罪を描いた決定版だと巻末の後書きで書かれているグレッグ・アイルズの「神の狩人」(講談社、上下各800円)も買ったんだった、これがまた読み始めた段階ではテンポも良く文体もよく事件の謎が果たしてどこへと向かうのかを期待されてくれちゃって、ちょっと週末をとられそーな予感がしてる。下巻ではネットおかまになった主人公がエロサイトに巣くう殺人鬼をあぶりだす役割を振られそうで、ありがちな展開を予測していささかの懸念も無い訳じゃないけれど、評判の良さからすれば今時のネット野郎でも納得させられるだけの、濃い中身とダイナミックな物語を持ってるんだろー。月央あたりの祝日狙いで読むつもり。んの前に仕事の本だうわー分厚いハードカバーの上下2巻組ぃぃぃ。うれしかなしたのしおそろし。


【9月2日】 カメラを持って立ち回っていたのは黒田さんじゃなく窪田さんだったそうでガンバレ元気、ほっほっほとー(意味不明)。昨日は記者会見が山ほどつまって出たり入ったりを繰り返して結構大変だったんでありますが、中でも岩波書店が大々的に開いた「広辞苑第5版」の発表会は「21世紀国語辞典」なんて銘打っちゃってくれて、自分たちが選んだ言葉こそが21世紀に持っていくに相応しいなんて岩波らしい尊大な態度に鼻白む想いを強く抱く。作り手側の意識の高さと誉めることも出来るけど、お頭にお乗り遊ばされているのか宣伝スタッフが「21世紀の言葉が誕生します」的な宣伝を新聞雑誌テレビとかで大々的に展開すると聞いた時には、そのあまりの増長ぶりにかえって敵を作りはしないかと心配してしまった。案の定産経新聞が明日あたりの「産経抄」でど派手な宣伝ぶりの背後にある時代へのおもねり自虐史観への偏りを非難する論調を展開するみたいで、硬派軟派を巻き込んだ新しい論争が始まりそうな予感にちょっとだけ胸を踊らせる。まあそれだけ「広辞苑」が注目されているって事だと考えると、絡むのもかえって相手を利することになりかねないから難しいんだけどね。

 お尻がちょっぴり熱いのは昨日食べたインド料理のせいかもしれないと、同じくインド料理を食べたSF映画な方々に、果たして「ぢ」病持ちな方はおられたのかと心配しつつヒリつくお尻をそっといたわる。んなこんなで帝国ホテルで開かれた「タイタニック」ビデオ化の発表会へ。会場は入り口に弦楽四重奏が陣取ってちょっと良い雰囲気を出していたけど、やがて始まったステージは華美な演出とは無縁にジェームズ・キャメロンへのインタビューとか20世紀フォックスの偉い人のコメントとかに終始して、美男美女が入り乱れての華やかなパーティーなんかを予想していた身としてはちょっと肩すかしを喰らわされた感じがした。まあ今んとこ日本1の出荷本数を誇る「もののけ姫」のビデオ発表の会見だって、サンダル履きの鈴木敏夫プロデューサーが狭いジブリの食堂で発表したくらいだから、それに比べれば十二分に豪華絢爛なんだけどね。

 しかし3980円とは思い切った値段を付けたもんだぜ「タイタニック」。2巻組になったのはいたしかたの無いこととしても、レンタル市場を先にする昔からある慣行はこの際袖にして、とにかく勢いのあるうちにビデオを売ってしまおうってな意志が感じられてディズニーが昔から取っていた戦略がここに来て主流になりつつあるなって事を強く感じる。ビデオを買うだけ日本人が裕福になったってことか、それともビデオを買う習慣がディズニーによって付けられたってことなのか。おまけにビデオはキャメロン氏曰くビデオ用にいろいろと編集がしてあって、例えばスペクタクルなシーンなんかは逃げまどう人間とかが点とかになってしまう事を懸念して、クローズアップにするなど様々なビデオ専用の編集が加えられているんだとか。何しろ撮影している時からビデオ化を意識してたってんだから、11月20日発売のビデオへの期待もいや増すってもんだ。11月20日っていやー何か別のトルネードだったっけ、えっと何かが発売される事になっていたけど、スポーツ新聞の話題はこれで「タイタニック」のビデオ発売に取られたな。どうする湯川専務?

 しかし恐るべきは20世紀フォックスのイチビリ精神よ。かの「もののけ姫」を英語に吹き替える時に、徳間康快社長は「ディカプリオにお願いしてるんだ」と吹いていたけどかなわず別の人に決まった。一方で「タイタニック」では主役のディカプリオの声を「もののけ姫」でアシタカを演じた松田洋治ことになったとか。興行成績でライバル関係にある2作が不思議な縁で繋がっているのを感じさせる1件だけど、どーせだったら本当に役柄をバーターしてくれた方が、話題も膨らんだし声質演技力を聞き比べられて面白かったんじゃなかろーか。声はほかに女の子役を知らないなー日野由利加さん、ビリー・ゼーン演じるキャルドンをバズーカ山寺宏一さん、キャシー・ベイツのモリー・ブラウンを谷育子さんといったキャストが演じるそうで、果たしていったいどんな雰囲気になるのか、機会があれば是非とも日本語版を聞いてみたいところであります。劇場でもかけないかなー。

 仕事の合間を縫って暗黒の仕事を片づける。ケンタッキーフライドチキンの6ピースパックで鶏を組み立てられるかどーかなんて実験をした昔が懐かしくなる「チキンの骨で恐竜を作ってみよう」とかって外国のエラい古生物学者の書いた読む。鳥ってのは恐竜から進化したってことを、骨格の似た部分を探ることで勉強しようよってな高踏な意味を持った本なんだけど、読んでいる限りは本当に「夏休み工作教室&おいしいチキン料理の作り方レシピ」の本にしか見えない。夏休みは終わってしまったけど、もしもヒマでお金があって料理が好きな人は、鶏3羽に針金に接着剤を用意して、不論とザウルスの骨格づくりに挑戦してみてはいかが。肉は骨が取りやすいように煮すぎると美味しくないどうだけどレシピが何とかしてくれるから安心してね。


【9月1日】 セオドア・ルーズベルトがティディベアだったよーにテッド・ネルソンが表向きはセオドア・ネルソンであるのは当たり前の事なんだけど、耳で聞く、それも純然たるアニメ番組でその名前を聞くと曰く言いがたい違和感が漂う。それこそ「ワイヤード」を扱った「lain」じゃなくって「WIRED」な雑誌だったら創刊間もない頃にピンク色の派手ーな表紙にカウボーイの格好をしたテッド・ネルソンを乗せていたから普通に誰しも思うんだけど。さても第9話は美少年が好きなやおいじゃなくって円盤が命より大切な矢追な人だったらピクピク耳をそばだてて聞いていたに違いない。ロズウエル事件に始まって「MJ12」へと話が進むともう頭は「矢追」な世界にどっぷりはまってクラクラする。

 こうした話を日テレのスペシャルで嗤いつつも楽しみながら見ていた世代にはメタな視点で面白がれるエピソードだったけど、今時の子供たちはいわゆる「トンデモ本」としての「矢追」とゆー認識が先に立つため、僕らの「ムフフフフフ」的含み笑いの面白がり方に比べると、彼らは「イヒヒヒヒ」的嘲笑と、ちょっぴり意味が違うよーな気がする。脚本の小中さん自身はどっちの嗤い方なんだろー。さても肝心の物語はちょっとだけ先に進んだよーだけど、たった13話しかないうちの第9話をかくもすさまじき手法で作ってあったのを見ると、それ自体がコケ脅しなんかじゃなくって物語にしっかと関わって来るエピソードだったんだと、信じ次週以降も見ていきたい。過去から未来へと辿るパートの中でサイバーパンクのムーブメントに触れようともしなかったのは、あるいは小中千昭さんの矜持なのかなー。

 男の子だったら絶対買うよな今日発売の「週刊プレイボーイ」を。新聞の広告や中吊りで見た人から「うんうん当然」ってな声が聞こえてくるけど、その理由を「ガンダム『超人気の謎を追え!』」なんて企画が入っているからだ、なんって言ったら「それは違う」と断言しよう。なら何だ? 決まっているじゃない安達祐実が水着じゃないけど再びグラビアに登場しては、年齢不詳なウツクシサをご披露なさっておられるのだ。「具」の時代からの観察者としてそのあどけない顔立ち体躯の変わらなさ、にも関わらずの大人っぽい化粧に衣装を纏っての変わりたさが、醸し出すギャップをどうして楽しまずにおられよう。下から煽って脚を長く見せようとした全身写真はあるけれど、他の写真は足先を外してあるのが不思議とゆーか解るとゆーか。次に登場している1歳下の女の子より大人的雰囲気を感じない、これはまさしくある種の男の子たちにとって理想の女神サマではなかろーか。しかし何でこーゆー墓穴なプロモすんだろ。

 新宿にある東芝のショールームでアニメ版「青の6号」第1話の完成披露試写を見る。北海道からほとんど外に出ずデビュー以来あったプロの漫画家は5人を超えないとゆー仙人みたいな小澤さとる先生が、わざわざ上京しての挨拶には作品への意気込みとゆーか感心の高さが感じられ、事実コメントでも「美人を結婚して生まれたハンサムな子供」ってな言い回しで評価していて、7年かけてよーやく動いたアニメ版「青の6号」を、相当に気に入っている節が伺われる。ならば相当に素晴らしい物が見られるんだと期待して始まった作品を見て、監督の前田真宏さんが謙遜して言った「ヘンなものが出来ました」の言葉を、こめられた想いを抜きに額面どおりに受けとめたくなって頭をめぐらす。

 製作発表の時にすでに2次元のアニメと3次元のCGとのマッチングが30代のセルアニメで育ったオジサンの目にあまり優しくない事を指摘しておいたと想うけど、上がって来た作品はその時に見た映像とそれほど変化はなく、あまり優しく無さを縮めてくれていない。質感の差とゆーか動きの無機質さとゆーか、それ(3DCG)だけを抜き出して見れば立派な作品になっているのに、普段から見慣れた2次元が乗るととたんに昔別れた恋女房? 未だ憧れのアイドル歌手? まあとにかくも擦り込まれた記憶が邪魔をしてなかなか冷静に画面を見させてくれない。それでも海中に潜ったシーンでは、泡泡なトーンが全体にかかるため硬質な割に輪郭がはっきりしない3Dパートのトンがった感じが減殺され、また潜水艦の中くらいにしか使われていない2Dパートと合成されて出て来る事も少ないため、違和感を超えて作品世界を観察する事が出来た。馴れってのもあるのかな。

 で肝心の作品の方はといえば女の子が可愛いからオッケー。ってそれしか無いのか無いのだよだって男の子なんだから。村田蓮爾さんが手がけた紀之真弓は声を充てている野上ゆかなさんの元気でマジメどこか張りつめた雰囲気を秘めた演技がピッタリで、「劇ナデ」のハーリー君じゃないけどついついイジメたくなって来る。戦闘する船に乗った時の体にピッタリなスーツ姿は歳(18歳だって)相応の色っぽさがあってなおオッケー。過去もいろいろとありそーだし、このあたりをほじくり返すドラマが今後出てくれば、ただのお騒ぎ成長キャラに止まらない、普遍の人気を獲得することでありましょー。村田さん描くプレスシートの脚の組み加減によって左右非対称にズレたお尻のマルミもこれが最高なんだよな。歩いてくれねーかな。

 男は素肌にサスペンダーがなんだかね。でも顔は良いし性格もヒネてて良さそうだし、何てったって声が郷田「ボトムズ」ほづみさんだ。最近台頭著しい二枚目役な山寺宏一さんとはまた違う、抑えたトーンでニヒルな二枚目を演じていていて、巻が進んで活躍の場面も増えてくればもっともっと言葉数も多くなり、その美声によって世間を再び圧倒してくれることだろー。肝心なのは作品がちゃーんと売れることだけど、実はこれが何より大変だったりするから困ったもんだ。CGへの不思議な感覚を乗り越え、セリフに被ろうと気にせずに喧(やか)しく鳴っている「ザ・スリル」の音楽も昇華してなお作品にのめり込める人を果たしてどれだけ増やせるか。秋葉原あたりじゃーサンプルのDVDを無料レンタルしてるみたいだし、とにかく見て感じてもらうことが今は1番じうようかと。何を感じてその結果どうなるのかは預かり知らなかったりするんだけど。

 元気って元気な会社(ああベタベタ、でも元気なんだよな)がフォーシーズンズホテルなんて会場で発表するくだいだから相当な意気込みなんだと伝わって来る新作ソフト「玉繭物語」の発表会をのぞく。メールで誘って戴いた広報の黒田さんがカメラを首から下げてしゃこしゃこと動き回っているのを横目でみつつ、会場に入って居並んだ出席者の名札を見ると吃驚「三國連太郎」だって? あの大俳優をナレーションに起用するって普通だったら想うだけで実行には移せないものだけど、そこは勢いのあるゲーム業界、沈滞ムード漂う映画界に長くいてその栄枯盛衰のほどを見てきた三國さん自身をして、チャレンジし甲斐のある仕事だと想わせたんだろー。

 「魔女の宅急便」のキャラとか「海がきこえる」の監督とかで知られるスタジオジブリの近藤勝也さんが美術監督を務めるこの作品は、キャラクターがジブリっぽい顔立ちをしていて、日本人に蔓延する宮崎神話の威光も加わって話題になることだけは確実な気がする。会見では言わなかったけれど、スタジオジブリがアニメ制作にも関わっているのをスタジオで見ていただけに、上がって来たアニメパートの仕上がりにもゲームだから、ってな妥協は一切無い。じゃあ面白いのかと言われればそれはゲーム性にかかる部分だけに出来上がって来るまで何にも言えないけれど、目標としたハーフミリオンはともかくとして、それなりの話題にはなりそーなソフトではありますか。年末くらいに発売予定。羽根が生えて空を飛ぶヒロインがまたカワイクって(ってそれしか見ないのか)。

 ヤマハホールで「ダークシティ」の試写を見る。裸の女体に刻み込まれた渦巻きマークに「ドリキャスの新しい宣伝か? 手にナイフの湯川専務が登場するのか」なんて期待はしないで見ていたら、話は目覚めると記憶を奪われていた男が暗い街を誰かに追われて逃げるうちに、自分の力に気付き助けてくれる博士も出てきて、やがてどうしてこーゆー世界に自分がいるのかを発見するとゆー物語的には実によくある物語。がしかし街の様子がビルが地面から生え橋が延び部屋の中も粗末な丁度が豪華な丁度へとモーフしていく様はCGI全盛の今時な映画って感じ。金をかけてなさそうで日本なんて及びじゃないほどの金をかけていて、未だ数億って単位でしかお金をかけられない今日見て来た日本のコンテンツ「青の6号」「玉繭物語」が置かれた状況との差にどうしたものかと頭を悩ます。

 場内には大森望さん柳下毅一郎さん堺三保さん添野知生さんの「SFセミナー夏休み映画大会」のパネラーがそのまま抜け出して来た感じで、あるいはこの後大会があったのなら、いったいどー言って誉めるなり貶したのか興味のあることろであります。試写の後で宣伝やってるメイジャーの土屋さん(どこにでも現れる実は3人いるかもしれないアクティブな宣伝マン)を皆が囲んで口々に「○○○○」「××××」ってな作品をあげて土屋さんを「やっぱりなあ、日本には・・・」と言わせていたのが如何に日本のSFにして映画な人たちのトラウマを刺激した映画かって事を証明している。あたしももちろん言ってやりましたよ酒池肉林じゃないのかと。まあともかくも楽しめる映画ではありますので、上映される東京ファンタではくれぐれもお見のがしのないよーに、そのへん。


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