縮刷版98年8月上旬号


【8月10日】 「カプリコン1」から参加証が届く。帰省がてら参加することにしましたので皆様よろしゅうに。7月の終わりに申し込んで郵送して1071番だから当日参加をのぞけばおおよそラスト1割くらいに入る数字ってことで、参加人数はだいたい1000人くらいになるのかなー、などと当たりを付ける。実は出たことが無いんでこれが多い数字なのか少ない数字なのかさっぱり解らないけれど、前に出た「SFセミナー」のおよそ10倍くらいと想像すると、その規模もなんとなく想像できる。

 40万人コミケの400分の1と言われると今度はさっぱり見当がつかなくなるけれど、ともかくもそれだけのSF人(えすえふびと)が夏の死ぬほど(本当に死ぬ)暑い名古屋のそれも日陰など全く存在しない白鳥貯木場跡地に集うとあれば、およそ熱気は常夜灯が今の残る7里の渡しの出発点に流れる川をも干上がらせ、藤前なんて問題にならないくらいの干潟をそこに存立せしめる事であろー。あー暑そう。

 星雲賞のノミネート作品を見る。とにかくこれが初の大会参加なんで投票するのも当然初めてってことになり、わくわくしながらリストを見てもピーンと来ない当たりが最近SF読んでないなー的読書傾向を如実に現しているよーでちょっとツラい。長編は誰がなんと言おうと神林長平さんで決める。でも恩田陸さんが強いんだろーなー、瀬名秀明さんは読破率がグーッと低くなるんで投票率が上がるとちょっと苦しいかも、ってそうか瀬名さんは自民党だったんだ。それとも創○楽○? 論理的で知的水準目茶高いあたりは今日三等だったりするかもしれんが。海外長編も迷うがおそらくは「火星夜想曲」でキマってしまうんだろーな。読み返さなっきゃ。

 メディア部門じゃー「夏エヴァ」は入らないんですね。コミック部門は「SF大将」のとり・みきさんと鶴田謙二さんの「スピリット・オブ・ワンダー」の一騎打ちになりそうな予感。そーいえば行方不明になってしまった鈴木みそさんが翌日だか翌々日だかにとりさんとテニスするって言ってたけど、無事に参加、しましたぁ? アート部門は末弥純さんとこちらも鶴田謙二さんが強そーな印象。地元高浜(って名古屋じゃないけど)から貞本義行さんとかお隣岐阜から山下いくとさんとかがノミネートされてないってのは、つまりそれだけ「エヴァ」への関心がすーっと薄れてしまったからなのか。ちなみに「エヴァ」関連はノンフィクションでの永瀬唯さんは「ターミナル・エヴァ」1つのみ。同じエヴァ物でも小谷真理さんの「聖母エヴァンゲリオン」は入ってないけど、あれって発売もっと前だったっけ。

 小谷さんと言えば巽孝之さんで2人して大車輪して今も八宝大火輪な「クズSF論争」をまとめてノンフィクション部門にノミネートしてしまうってのはどーだろー、「i」ってその他のところとかで。<もちろんそこには梅原克文さんとか、野阿梓さんとか永瀬唯さんとか森下一仁さんとか巽孝之さんとか小谷真理さんとか高橋良平さんとか鏡明さんとか日経の記者とかが含まれてている訳で(他にもまだまだたくさんいるはずだけどチェックしてないや)、さらに言えばメディアワークスは「オルタカルチャー」の「小谷真理、およびそれを泡沫とするニューアカ残党似非アカデミズム」の1文を欠いた山形浩生さんも入っちゃって、何故か万雷の拍手を浴びて晴れの星雲賞は副賞にウイロウか宮きしめんか、とにかくとんとん拍子に受賞してしまって授賞式には壇上に全員がズラリならんで集まった観衆の最初は肝を絶対零度まで冷やし、次いで血液を沸騰させる大論戦を繰り広げ、センチュリーホールを中心に熱田神宮から瑞穂グラウンドからテレビ塔から住友ビルまですべてを呑み込む大爆発を、名古屋に起こしてくれるんだ。良い夏の思い出になりそーだね。

 プログレスレポートには親切にも「会場周辺食い所マップ」が入っていて、確かにあの周辺には食べ物屋なんてほとんど無かったよなー、と思いつつ記憶を辿ってリストを眺める。「ビザハット」とか「ローソン」「サークルK」ってこちらでもおなじみの名前の店はたぶん説明無用だろーけど、名古屋的な店を上げるとしたらとりあえずは「風来坊」って事になるのかな。名古屋では「山ちゃん」と並んで手羽先の美味しいお店として知られていて、そこの日比野店ってのがどーやら近所にあるらしー。時間が午後の6時からと昼食向きではないけれど、大会が終わって一杯飲みに行って名古屋的情緒を味わうのには、まあそれなりに適したお店ってことになるでしょー。喫茶では「ブルボン」に「コメダ珈琲店」が聞き覚えのある感じ。まあ名古屋なんでモーニングはどっさりでデイリーでもナッツくらいは付くんで、店内に聞こえる方言が気にならなかったらどこに入っても良いでしょー。「ドラゴンズよわいでかんわ」とか言ってる声が気にならなければ。

 昼はともかく夜は五色園の裏合宿に行かないのならせめて金山あたりまで足を延ばすのが良いでしょう、店も多いし。味噌煮込みなら「山本屋」、手羽先なら「風来坊」「山ちゃん」あたりでサーチをかければぐるめナビあたりから場所もきっと探せるでしょう。味噌カツまでは面倒見切れない。何海老フリャー? あれは名古屋の名物ではなーい。せめてスパゲッティの「ヨコイ」か「ソーレ」か「チロル」か「サバラン」に行って、名物「タレかけスパ」を食べてやってはくれまいか。とりあえず「ミラカンの1半」と言えば有無を言わさず油でギラギラに炒め上がった熱々のぶっといスパが大皿に守られて、上にウインナとキャベツを炒めた具がのりさらにデミグラソースをベースに片栗粉か何かでトロミを付けたソースがドベリャっとかかってデン、とテーブルに出てくるからそれをあの暑さの中でふうふう言って食べるんだ。胃に来るぞー。

 以上、地方から名古屋に足を踏み入れて途方にくれる人向けの極めて偏見に満ちた名古屋ぎゃーど、でした。あたしゃきっと1人で場内をふらふらしてるんで、見つけても石など投げないよーに。「メイプル戦記」によれば名古屋ではういろうが飛ぶそーだけど、そんなこともやっぱりありません。当たったらあれ、やっぱり痛いからね。しかし全員が全員、「れふこん」とか「DAINA☆CON GP」に行くとも思えないんだけど、宿とかっていったいどーしてるんだろー。東京みたいに新宿で朝の5時まで飲んでればいーや、なんて思っていると悪名高い名古屋の早仕舞に合って錦3丁目か女子大小路あたりで午前2時頃に追い出されて途方にくれることになるぞー。泊まりはホテルタニグチへ。板の間でのゴロ寝が迎えてくれまーす。

 やっとこさ紺野キタさんの「ひみつの階段2」(偕成社、900円)を手に入れる。第1巻にも増して「ティル・ナ・ノーグ(永遠の青春の国)」としての学校および寄宿舎の存在が描かれて、読んでいて時を巻き戻してあの何にも無かったけれど何かあるかもしれないと期待だけは抱きいつも胸躍らせていた、学生時代に戻りたくなる思いに心を強く引っ張られた。血塗れになって懸命に闘っている少女には温く甘い話ばかりとの非難もあろう、けど理想として、そうあって欲しい究極の理想としての学校を描き、お互いが助け助けられて生きている事を改めて思い出させてくれる作品として、賞賛が嫌でもだからといって非難もせず、ただ宝石箱に1つだけ残った先祖の形見として、あるいはパンドラの匣に残された最後の希望として、その存在をそっと暖かく見守って行きたい。星雲賞とかあげたいんだけどねー。


【8月9日】 (承前)そうこうしているうちに日付が変わって、しばらくしてポケモンカード絡みの仕事が立て込んでいる元宮秀介さんが登場。新たな話し手の登場に一同の眠気も吹っ飛んで、やったとかやらないとか(何をかは不明、僕子供だから)いった話も含めていろいろな話題について話し込む。実はこーして話し込んでいる内に、成沢組長がしかけた蜘蛛の糸に知らず全員がからめ取られて、来るべき組長頂上作戦の日には全員が鉄砲玉となってゲエム業界に救うワルのタマを取りに行かされることになるんだけど、そうと知っても背に腹は代えられず、組長がふるまう美酒に酔いしれその場の快楽に身を委ねる。

 明け方近くになってキャバクラ談義に花を咲かせていた鈴木みそ画伯がトイレへと消えてしまい、やがて午前5時になって店を出される段になってトイレにもいないことが判明。されど「大人だから」の1言で誰も行方を気にするなんてことはなく、新聞休刊日明けの月曜日の夕刊を賑わす自体になってもその時はその時と、全員が口裏を合わせることで心の意志を統一(したのか?)を図る。これは仮に画伯お得意のキャバクラに行っていてそれがご内儀にバレた場合でも適用されます。サンシッ! 「僕子供だからわかんなーい」。助教授とも別れて明け方の始発を乗り継いでとりあえず自宅へと期間、2時間ほど微睡んでからむきゃりと起きて、着替えて東京ビッグサイトへと向かう。さあ「ワンダーフェスティバル」の幕開けだあ。

 10時過ぎに到着するとちょっとした行列が外にある橋状の通路を抜けてテラスを通って階段を降りて道路沿いに東館へと向かう当たりまで続いていて、これは難儀と覚悟を決めて藤沢周さんの芥川賞受賞作を含む「ブエノスアイレス午前零時」を読む。表題作ともう1編の短編は、言ってしまえば都落ちの不幸に直面して次第に心を蝕まれ、反抗も出来なくなった男たちが達観とは違う忘我の境地へとおいやられて逡巡する話。文体も平明ならテーマも普通で飛び抜けているって印象はそれほど受けなかったけれど、そーした普通の感じを小説にして読者に何らかの感慨を抱かせ、かついささかの破綻も見せない腕前は、すでにして大作家の雰囲気すら漂う。平の字が付かなくってもやっぱり藤沢周は偉才なりとの意を抱く。ちょっと誉めすぎか。

 そうこうしているうちに何とか入場。今年はなぜか小さなフィギュアが入場券代わりになっていて、最初はブルーのフィギュアをもらったけど、夕方になって余ったのか2個500円で売りに出したので買いに行くと、今度はピンクのを2個くれた。あれだけ配ったんだからきっと、「まんだらけ」でも1コがせいぜい500円とかにしかならないだろーから、珍しくありゃこりゃ買い込んだ僕にとっての3回目のワンフェス、ならば来るべきガレキ制作の日を視野に入れつつ、キーホルダーの人形に色とか塗って、今は未熟なフィギュア作りを原型製作師のお眼鏡にもかなう腕前にすべく、一生懸命一意専心一心同体少女隊に練習しよー。

 とりあえず前にラフィールとかスポールとかを買った霞タカシさんの「H.B.カンパニー」をのぞくと新作は2つとも完売に。11時間の時点での完売は前回前々回と2回見てきた中でも珍しく、増える作品と比例して人気も鰻登りなのかと、遅れて来た我が身の不幸を呪う。仕方がないので場内をうろうろしていると、どこかで見掛けたLDジャケットが飾ってあって、前に何となんと何とあの「フォトン」の「フォトン・アース」と「キーネ・アクア」と「アウン・フレイア」と「ポ・チーニ」の4人が並んでいるではあーりませんか。足下にはコロちゃんまで付いてお値段は1万2000円。わーを、これはお得だわっしょいわっしょい。徹夜でハイになっている心に全ての事がポジティブに映るのです。

 売っていたのは「すたじおガッシュ」って多分大手のお店の作品で、出来も超々素晴らしく、最近のOVAのトーンダウンは置いてもスタート以来のファンとして、買わねばならぬと買わねばならぬと財布から金を取りだしレジへと叩きつけて3人のセットを引き取る。「ポチ3号(若しくは8号、12号、43号、87号のどれか)」用にもう1体「ポ・チーニ」を購入して主要メンバーはほぼ揃った。パパチャとマ・マミーとラシャラの敵方3人組は次回にでも出るのかな。今の調子だとOVAが尻すぼにみなりかねないだけに、今日買った3点セットプラスポチも、案外そのうちに掘り出し値打ちな品に・・・・ならんわな、作品がマイナーなままじゃー、やっぱ。(ちなみに「フォトン」セットは完売しました。もしかして人気あるのか?)

 「すたじおガッシュ」で「CCさくら」のステッキを買い逃したのは悔しいけれど、幸いにして再び「H.B.カンパニー」に寄ったら新作のうちのイプシィが余っていたよーで1体だけ残っていて即座に購入。取説がなく後で送るといったので裏の名刺を出して「はじめましてー」と挨拶。これまでお騒がせしていた輩は実はこーんな奴だったのですと驚かせつつ、顔が大好きなここん家のフィギュでは、ラフィール、スポール、ミランダに続く4つ目の製品を購入出来た喜びに浸る。わーほわーほよほほほいのほい。徹夜の影響を引きずりながら中央のステージで始まったコナミが送り出すインタラティブアニメ(まあ「やるドラ」みたいなもんだな)の「かってに桃天使!」の発表会に潜り込む、っても座って始まるのを待っていただけなんだけどね。

 第1部の商品説明のコーナーでは、何とも創造的かつ独創的な色遣いに目をチカチカさせながら、巨乳こそすべてとゆー監督の要求に従って描かれたキャラクターたちを主に胸元を中心に観察。第2部では声優の桑島法子さんら出演者3人によるトークを聞きながら最後のジャンケン大会まで場内で聞く。チラリと舞台袖に目をやると、いつか見たコナミの永田常務がビデオカメラにスチールカメラを駆使してイベントの模様を記録する大変な仕事(声優やコスプレを撮っていたとは思ってませんよ常務なんだし)に汗を流している様を見る。近寄って挨拶しよーと思ってハタと足が止まる。あの親しげに永田常務が話している女性はいったい誰だ? どー見ても10代後半よくて20代前半にしか見えない女性との逢瀬を邪魔する奴は(上)月に変わっておしよき、なのでここは我慢してしばし状況を観察する。

 およそ身長は155センチくらいか。ブルーのワンピースに茶色で結構な長さのあるストレートの髪が鍔広の白いハットを被った頭から腰へと流れている。顔立ちは極めて普遍的、体型は「僕子供だからわかんな」かったけどどちらかといえば「グラマー」な部類に入っていて、ドーンな胸とバーンなヒップがズッキンドッキンと、徹夜明けでハイな網膜をガンガン刺激しちゃってくれる。ワンピース越しに見えるアンダーウエアは小さめなのか体を縛って痛々しげで、例えば胸に着ける下着の後ろへと回す帯状の部分が通ったその直下の脇腹からは、おさえつけられた関係で皮膚が盛り上がってそれがワンピースのラインを崩していた。同じことはズキドキなヒップにも言え、例えていうなら南瓜も冬瓜といった立派な臀部はそのあまりにも過酷な地球の重力に痛めつけられ、およそニュートンの法則に従ったのか地表に向けてその存在を主張していた。下からの抱えごたえがありそーだったな。

 かの青ワンピ白ハットの女性は、イベントが終わってもそのまま永田常務の側に寄り添い、コナミの社員の目線を気にするどころかコナミ社員の案内を受けてワンフェスの会場から出ていった。そこまで来てそうか彼女こそがコナミ出世頭の永田常務が妻にめとった18歳も年下のご内儀、なればこその親しげな態度であったのかと思い至り、何故に写真に撮らなかったと攻められる恐怖に震撼する。ただのアシスタントかも知れないから明言はしないけど、少なくともワンフェスにいて違和感のないスタイルで、さらに言えば永田常務もワンフェスにいて一切たりとも違和感がない完璧なまでの同化スタイルで、2人して雑踏の中へ足を踏み入れるともう保護色が効いて解らない。せっかくのチャンスを逃したと、地団駄を踏みつつ次の「コミケ」にもきっと来る、その時は逃さないわよと再戦を期す。

 同じ東京ビッグサイトで開かれていた「カードフェスティバル」はプレスの名前で先入。ほとんどの卓上でカードゲームが開かれていて、ガヤガヤしたワンフェスとは対称的に静かな雰囲気のイベントだった。中央ステージではプレミアムが付くカードのオークションの真っ最中。何10万円ってな値段でも取引されていってしまう状況に、世界のカードマニアおそるべしと身を引き締める。そーいえば昨日の(とゆーか今朝の)飲み会で鈴木みそさんがやたらとカードのマーケットの事について聞いていたから、あるいは遠からず索引の中にトレーディング・カードの話題が出てくるかもしないなー。

 スポーツカード以外でもキャラクターカードの新作限定品が場内のあちらこちらで販売してたけど、カードは流石に趣味ではない(金もない)ので諦めて、別のブースの前を通ると「セル画いりませんか」の呼び込みが。今時セル画なんて・・・と思い見ると何となんと何とかの「VIRUS」のセル画ををタダで配布中。しばし待ってタイミングを見計らってエリカがパジャマ姿で立っている絵柄とサージの顔をナナメ下から見た場面の2枚のセル画をタダでゲット。ワンフェスで見た奇妙な光景に当てられた心が、これでいっぺんにウキウキになる。どんな場面だったか後でLDで見直すぞー。


【8月8日】 東京ローカルではフジテレビの日って事になっているけど、名古屋では8チャンネルはブランクだから何の日でもなく、こーゆー時に唯我独尊な東京キー局の世の中見えてなさ加減ってのがバレて来る。全国ネットのワイドショーで、東京が大雪で麻痺していることを差して「ものすごい雪ですが」とか言う阿呆なキャスターが代表例ですね。とはいえ例年だったらバカバカしいまでのお祭り騒ぎをやってるフジが、テレビあんまり見てないせいもあってそれほど「フジテレビの日」だとか強調してる様子がなく、あるいは恥ずかさに我が身を照らして自粛したのかしらんと推察する。関西では「関テレの日」って騒いでんのかなー。ちなみに群馬じゃー「パチンコの日」ってことでパチンコ供養やってて担当記者は大変。しかし8月5日なら「パチ」と「ゴ」でゴロも合うのに、「パチ」と「パチ」が何で「パチンコ」になるぅ?

 「サンケイスポーツ」変わり種通販はミッキーマウスのブロンズ風立像が7000体の限定商品として入荷。今年で生誕70周年を迎えるミッキーを記念して、後ろで手を組んだ姿の像に仕立て上げたもので、身長50センチ、にしては重さがたったの約4キログラムしかないのは、材質がポリ陶器に仕立て上げてブロンズ風の色を塗っただけだからでしょう。確か前に紹介されていた坂本龍馬像と同じ材質ってことになるのかな。持ち上げたら軽いんで1発で偽ブロンズと判明するだろーけれど、ちょうどよさそうな足首部分を面って振り上げて振り下ろせば4キロとはいえ相当な威力にはなるだろーから、使って使えないことはありません。何に? そりゃ会社で(以下自粛)。

 18000円とまあ手頃な値段とはいえ、誰が買うのか不思議でしょーがないんだけど、坂本龍馬ファンがきっと全国に139人(無根拠)はいるのと同じくらいに、ミッキーなら人形玩具は言うに及ばず墓石からJALの飛行機の外壁まででも集めてしまうコレクターが、全世界には7000人以上はいるだろーから、版権さえとれればミッキーやディズニーのキャラクターってそれなりの商売が出来るんだろー。そこんとこがにわか仕立てのキャラクターとの、大きな違いでありますな。すでに世間の口に上ることも少なくなってしまった「エヴァ」関連のグッズなら、何でも買うってファンって今だとどれくらい残っているんだろー。18000円で50センチのブロンズ風エヴァなら、98000円のクリスタルエヴァとか25万円の1分1CCさくらと違って200体くらいなら売れそーな気もしないでもないけど。

 「キャラクターショー」に始まって「カードフェス」に「ワンフェス」に「コミケ」と、キャラクターのパワーの依拠した商品群が山と出るイベントが続くけど、キャラクター好きなファン気質が高じて一大イベントへと成長した「ワンフェス」「コミケ」は別として、「キャラクタービジネスの将来を考える」的アプローチで始めた「キャラクターショー」が、のっけから既存の人気キャラクターのグッズ販売に終始したってのは、次代のキャラクターを育てようってな本来の目的の1つから大いにズレてるよーな気がしてしょうがなく、主催のニッポン放送が3万5000人を集めて大成功だぜーって騒いでいるとしたら、それはやっぱり本末転倒と影でこっそり断じよう。とはいえ来月の「AMショー」も物販コーナーを設けてお客さん集めに勤しむってことだし、客集めの要素としては物販ってやっぱ捨てがたいんだよなー。まあ程度問題ってことでしょう。送り手も受けてもこーやってどんどんとキャラクターを食いつぶして、10年後にはカケラも残ってないってな、30年1日の愚挙を繰り広げるんだろーなー。ってことで愚人たる私目も明日はワンフェスに「桃天フィギュア」を見に行くぞーっ。

 「AX」を買う。「スーパードール リカちゃん」がカラーで1ページも使って紹介されているのは新聞で記事にした1人(っつーか1人しか新聞では記事にしなかった)としては嬉しいところでありますな。ちなみに某「国際おたく大学」でフィギュア王の額田さんが日経のおたくネタの豊富さを驚いていたけれど、、実は表新聞は当社比100倍濃かったりするにも関わらず、世間的な認知度が500分の1だったりするんで一切の言及はなし。これが資本主義ってやつですかぁ。「リカちゃん」で言えば、できればイラストのイメージがどこまで人形に再現されているのかを、いっしょに並べて見せて戴きたかったところだね。

 「AX」ではあと、表紙を開けたところに「時空転抄ナスカ」の広告があって、これだけ見ると本当に綺麗な作品のよーに思えてくるけど、実際の映像は(以下抹消)。巻末の方にあるビデオ紹介コーナーでもジャケットのイラストとかが紹介されていてタイツも結構悪くないじゃんと思わせてくれるクオリティになっているけど、肝心のお話が(以下逃亡)。とはいえこれで稼いで戴かないおことには、「lain」を初めとする従来の路線とは外れた作品へと回るお金がなくなるので、根っからの中南米ファンとか「イズミコ」以来のおおのやすゆきファンとか子安武人林原めぐみほか声優ファンの方々は、忍の一字を心に秘めて買ってやって下さいな。関係ないけどおたっきぃ佐々木、なぜに「ワンフェス」を紹介するコラムで村上隆さんの「DOB」に「KO2」ちゃん「HIROPON」ちゃんの写真を使う? ケンカ売ってるのか業界に??

 新宿へ。夕方からの飲み会に備えての移動で徹夜を覚悟して昼過ぎまで寝ていよーと思ったのに哀しいサラリーマンは午前中から目が覚める。ので仕方なくダカダカと地下鉄を乗り継いで新宿3丁目へと行き、今日から始まった「機動戦艦ナデシコ」通称「劇ナデ」の入りの状況を観察する。予告ビデオに付いていたチケットを持っていたから、余裕があるなら入って見るかと思っていたけど、2時の時点で4時の開演を前に既に30人ほどの列が出来ており、並ぶのも面倒なのでまたの機会とあきらめて、とりあえず新宿高島屋で6日くらいから始まったマンガの原画展をのぞくことにする。

 小学館の主催だから展示してあるのも小学館の雑誌に連載されたマンガが中心。やっぱり目が言ってしまうのが萩尾望都さんの「ポーの一族」の原稿で、中でも単行本の表紙なんかに使われているカラーの原画は、水彩なのか意外と表面がゴワゴワしてしまっているものの、繊細な色遣い筆遣いが伝わって来て、ガラスケースば蹴破ってひっつかんで逃走したい誘惑にかられた。やらないけどね。最後の部屋では今や小学館の大看板になってしまった高橋留美子さんの「うる星」「らんま」「めぞん」「犬夜叉」なんかを展示。「めぞん」は冒頭の響子さんが一刻館にやってくる場面と、最後の結婚して子供が生まれて戻って来るシーンの名場面中の名場面が展示してあって、その間の響子さんの顔の変わりように時間の流れを感じ、移った時間を我がせーしゅんと重ね合わせて「いろいろあったなあ」と感慨に耽る。といってもバイトしたマンガ読んだ事故ったってな話ばかりで、浮いた話がカケラも走馬燈に映らないのが難だけど。

 時間が余ったのでもう1度新宿東映を観察。開演まで残り30分ってところなのにさっきと行列の長さが変わっておらず、これなら見られるとそのまま行列の後ろに付く。2時から待ってた奴には同情するけど、若者よそれがせーしゅんの思い出になるのだよ。ややもってしばらくして入館、場内はほぼ満席状態で、何とか席を見つけだして座り、グッズ集めに燃えた時代を思い出してパンフレットとかルリルリ下敷きとかを仕入れて開幕を待つ。始まった映画は一昨日に試写で見たのと当たり前だけど変わらない。ただ音響設備が悪かったのか音楽が新しく被っていたのか科白を聞き取りにくい箇所が多々あって、前に見ていて良かったと思う一方で初めて見る人には不親切だなーとちょっとだけピリピリする。

 北辰ってパパチャじゃんとか見学案内のお姉さんは胸の形が最高とか「僕こどもだからわかんなーい」と喋るハーリーくんが可愛いとかいろいろ、改めて見て思うところもあったけど、やっぱり既存のナデシコファン以外を排除しがちな物語として、決して万人向きの映画ではないと断言する。「エヴァ」だってそーじゃんと言われればそーだけど、盛り上がりの度合いが全然違うし情報量だって彼我の差は圧倒的。なのに「漫画映画」なんて言葉を使って「20世紀最後の青春映画」と大きなことを言う大月プロデューサーのスタンスには、いささかの疑問を禁じ得ない。確かにおっしゃるとおりに「シナリオ、そして絵コンテは映画としての成功を予感させた」かもしれないけれど、それを言葉どおりに受け入れられる対象がTVシリーズの視聴者に絞られてしまうだけに、「興業としての成功」は現段階ではいささか危ういんじゃないかと推察する。

 とはいえかの「もののけ姫」を30億円と予想して大きく外したインチキ予想屋なもんで、存外5億円くらいはいっちゃうかもしれんなー。成長したルリルリの絵だけ見て可愛いと思って入って何だこれはと驚いて原典のTVシリーズにとって返すとか、少数派だけどいないとも限らないのでやっぱり映画化は悪くなかったと媚びを売ろう。しかし解らないのがマキ・イズミのさむーいギャグで笑った両隣にいた女性客。アカツキ・ナガレのドさむいギャグでもくすくす笑ってたから、男の子ばかりが対象の映画と思っていたこの「ナデシコ」も、そーゆー層に知らない間に浸透拡散しているのかもしれん。となればますます「成功」の可能性だってあるし・・・・。やっぱり解らん、こーなったらコミケでナデシコファンの傾向を勉強してから映画の可否も結論づけよー。

 さて宴会だ。成沢大輔組長を筆頭に「CCさくら」のガシャポンでステッキ付きだけが集まらず悔しい静岡の助教授雑誌「純粋少女」や「温乳」でも活躍中のライター蹴球命のゲームライターに家庭用ゲーム機通信の副編にインチキ産業紙の記者すなわち小生を入れ、さらに特別ゲスト(って訳でもないけど)の鈴木みそ画伯を入れたよく解らないメンツで中華料理を平らげ、新宿の居酒屋に河岸を写してあれやこれやと喋り込む。ゲーム業界の人のナガレはとんと疎くて解らない事多々あったけど、「F−ZEROX」への評価の高さは万人が認めるところらしく、けど結構な年寄りが多いためほとんどが「MUTE CITY」を1分18秒とか17秒とかいったレベルで、こんな時ばかりは「歳をとるのは素敵なことですそーじゃないですか」ってな問いかけに「ちゃうわい」と言って返してやりたくなる。そうこうしているうちに(つづく)


【8月7日】 どんなに大きくなっても僕らはトミノの子供さ、ってやっぱり思ってしまうのは、先週買った「機動戦士ガンダム」のLD−BOXを満を持して第1話から見て行って、そのほとんど全てのシーンすべてのセリフが、脳味噌の皺の隙間からほじくり替えされるよーに浮かび上がって来るからなんだよね。次はあーなる次はあー言うってまるでシリーズ終盤になって出てくるニュータイプのよーに、「あの白いモビルスーツが勝つわ」なんてララアのセリフもそのままに、ザクとの、ガウとの、グフとの闘いの行方が手に取るよーに解る。解ってなおその先を見ていくわくわくとした気分を味わえてしまうって所が、お話自体が持つ面白さであり、かつこちらののめり込み具合の深さでもある。

 再び宇宙へと上がってララアが登場してから以降、終盤に近づくに従って、あの感動的なクライマックスに向けてますます気持ちは止めどなく盛り上がっていってしまうんだろーけど、残念なことにLD−BOXはまだ半分だけだから、お楽しみはクリスマスまでお預けってことで。とりあえず3枚目を裏表見返して名セリフの数々を「坊やだからさ」まで確認。4枚目は例の「再会、母よ」や「時間よ止まれ」や「ククルス・ドアンの島」が入っている名(迷)盤。とくにドアンは小牧アニメック編集局長をして最近出した本の各話解説で写真を1枚入れるだけにした曰くつきの回らしーので、改めてじっくりと堪能しましょー来週にでも。いやもう流石に疲れますね、毎回濃すぎて。

 満を持して、ってよりは意外と早かった待望の上遠野浩平さんは「ブギーポップ」シリーズ第2作目の「ブギーポップリターンズ」(電撃文庫)。前作が比較的長い時間を行ったり来たりしながら1つの事件を浮き彫りにしていったのと比べると、今回は視点こそさまざまな人々に移動するものの、ストーリーはリニアに進んでいってその中で何やら得体お知れない一味たちの陰謀が描かれ、その両方に謎のコスプレーヤー、じゃないブギーポップと名乗るやっぱり得体の知れないいったい何のために闘っているのか未だ不明なヒーロー(ヒロイン?)が出没しては、冷静な口調と圧倒的なパワーで敵を倒して去っていく。

 その無表情ぶりは正義であろうと悪であろうと一切の手前勝手な事情を映しては反射して顕在化させる鏡のよーで、そこから読者は自分がおかれている土台の不安定だけれども崩れさってはいないことを確認し、壊すにしろ直すにしろ何らかの次なるアクションへと移れるのだろー。って何言ってるのか解らないけど、それくらいに様々な価値観が登場しては誘ったり脅えさせては人の心を弄ぶ。かといって哲学的って訳じゃなく、2冊組を感じさせないくらいに物語性も卓抜。加えて宇宙的な規模のSFめいた設定も明らかになって来て、さていったい次なる展開をどう膨らましていくのか、ますます今後への期待を煽られる。さてどうなるものか。イラストともどもさらに刮目して待ちたい。タイトルは「ブギーポップグレイト」かそれとも1つ飛ばして「ごうじゃす」か。

 「カルチュア・パブリッシャーズ」がDVDのレンタルの発表をするとゆーので青物横丁のパナソニックのハイビジョン関係の事業所へ。まるで薄切りにしたピラミッドのよーな建物に入ると何と瀧があって川が流れていて、質素倹約が旨のよーな松下な会社にしてはのゴージャスさに驚く。1階のフロアに設けられた映像なんかを上映する施設はちょっとしたミニシアターなんかより倍も大きな映画館なみ。DVDの特徴である5・1チャンネルの音響も再生が可能らしく、そこでDVDタイトルの素晴らしさをマスコミやショップや一般の人に見せつけることで、DVDの普及をうながそうって算段らしい。こっちはとっくに1年も前にDVD買ってる身だから今さらって気もするけれど、それは「エヴァ」って欲しいタイトルがあったればこその事情であって一般の人にはまだまだDVDって訴求力に乏しい品物なんだろー。

 それにしては上映された作品が「第3の男」ってDVDの映像の綺麗さとも音響の立派さとも無縁の作品だったところが解せない。淀川先生の同じ事を3度は繰り返すそれはもうもったいないくらいに丁寧な解説を聞いた後に始まった映画は古い映画のため当然のごとく映像は荒れて音声にもノイズが交じる。それでも普通だったらテレビで見る映像を大スクリーンで上映しても大丈夫って当たりがDVDの意味だったかもしれず、それが解る人にはそれなりの効果があったと言えなくもない。音響だって原盤のノイズが聞こえるくらいにクリアってことなのか。でもやっぱり5・1チャンネルの後ろから声をかけられる気になるよーな作品を上映してやった方が凄みは伝わったと思うけどなー。

 ちなみに「第3の男」は名作中の名作でありまして、それはもう冒頭から結尾まで「1カットの無駄もない」と淀川先生がおっしゃるくらいの映画。実は昔NHKの教育か何かで放送された時に見たことがあったけど、ガキだったんでストーリーをほとんど覚えておらず、改めて見て「第3の男」ってタイトルの意味を理解できた。カメラを傾けて撮るカットが何とも画面に不思議な味を出していて、それからオーソン・ウェルズが光にボウッと浮かび上がって、ちょっぴりはにかんだ笑いを見せて再び暗闇へと消えるシーンがカッコ良く、それこそ「映画の教科書のような作品」と淀川先生が絶賛するのも解る気がする。懐古趣味じゃないけれど、映画って本当に素晴らしいものですね、って間違えた人が違った。オミヤゲにDVDの「上海特急」をもらったがさてどうするか。魔窟っちゃんはディートリヒ、好きですか?

 会場にはいちおー販売元って関係で川島晴男社長も来ていたビーム・エンタテインメントのパンフレットをもらい、開いてそこに記されていたニューリリースの予告を読んで狂喜乱舞する。DVDじゃないけれど、あの傑作にして名作にして秀作の「シルバー仮面」が満を持して(ってこればっかやね)LD−BOXとして10月25日に発売されることになったとか。ニュープリントから制作したデジタルニューマスターとかで、予告編も完全に収録されて7枚組650分が4万円とはガンダムよりもその貴重さにおいてお買い得感があるかも。

 真野響子さんの旦那が変身するシルバー仮面が商店街の中をしゃこしゃこ走るエピソードだけはメモリーメーカー的に覚えているんだけど、実はミラーマン派だったんで詳しいことまでははっきりと覚えておらず、あの暗い主題歌ともども再び見えられる日が来よーとは、こんなに嬉しいことはない、なんてアムロ科白をついつい口ずさみたくなる。往時の特撮で言えば「サンダーマスク」と「アイアンキング」が個人的なツボだったりするんだけど、これらはBOX化されてたっけ? あと「流星人間ゾーン」なんかを搦めて70年代「第2次怪獣ブーム」のコレクションを頑張って作りたいものですね。真窟化は避けられませんが。


【8月6日】 レンボンガン島ゥオ! さてもいよいよ「マキシマム」の内容へと足を踏み入れたテレビアニメの「トライガン」はフィフ・スムーンの事件を経て逐電したヴァッシュが名を変えてひっそりと田舎の町で風太郎として暮らしているエピソードから幕を開け、かかと落としがキュートなリィナとの出会いと別れが淡々とした描写のの中に描かれる、シリーズでも屈指の話になったみたい。まあこれは一重に原作の良さに依るところが大きいと思うし、実際セリフなんかもウルフウッドの「誰かが牙にならんと誰かが泣く事になるんや・・・」ってヴァッシュの嫌がる心に再び火を灯した極めて重要かつ格好良い言葉を、まんまアニメ版の方でも使っていてこの時ばかりは最初あんまりな関西弁やなーと思っていた速水奬さんの声が、底からウルフウッドの声に聞こえて来て身震いがした。

 コミックで出ていく事をばあちゃんに告げる場面で見事に決まったリィナのカカト落としが、えっと確かテレビの方ではなくって(半分寝てたから覚えてへんねん)、顔をくしゃくしゃにして泣き叫び去るリィナの名場面を動画で見られなかったのが残念だけど、ヴァッシュの髪を苅る場面でのリィナのポーズも、嗚呼ああ十字架マシンガンを出して構えるウルフウッドもまんまコミックのレイアウトが使われていて、それぞれが本当にぴったりとはまる構図だっただけに、まま映像化されて良かったなあと強く思う。さても来週は「マキシマム」ではメリルとミリィの復活となる訳だけれど、どーやらアニメではもう1つ進んだエピソードになるみたいで、さてならばコミックでは巻末で鋼鉄の処女みたいな格好になったレガートが、アニメではどんな格好で登場して、かつナイブスとの絡みをどう見せてくれるのかを、残り2カ月を切った放映期間の中で、期待半分不安もちょっぴり抱えながら見守って行きたい。ラジャダムナン!

 さて「劇ナデ」だ。10時半からの試写に30分前くらいならまだ入れるかなと心配していくと、何のことはない場内はまだガラガラで、これが多分3回目か4回目の試写ってこともあるけれど、評判の作品は尻上がりに客も増えるって事も少なくないことを考えると、やはり「エヴァ」ほどには盛り上がってなさそうな印象を受ける。当たり前っちゃー当たり前だけど、どーやら大月プロデューサーは「エヴァ」の8割悪くて6割の入りを期待しているみたいで、とすればメディアの露出の少なさなんかを考慮しても、相当な苦戦が強いられるんじゃないかとまあ、そんなことを思いながら試写が始まるまでの時間を鈴木いづみさんの「いづみの残酷メルヘン」(文遊社、2000円)を読んですごす。「J・文学」だか何だか知らないけれど、渋谷やら新宿やらに集まる都会の若者のリアルな生態を、生々しくけれども痛々しく描くなんていずみがとっくの昔にやってたってことを改めて知り、改めてその急ぎすぎた生涯を痛ましく思う。

 数十席はある試写室はだけどなかなかいっぱいにはならず、そんな中で何故かしつらえられていた「予約席」って誰が来るんだろーか、声優さんかなプロデューサーの誰かかな、なんてわくわくしてたら開幕数分前にあらわれたのは何と東映の会長にして邦画界のドン(ドンってたくさんいるんだけどね)でもある岡田茂氏と、その下で社長と務めさせて戴いている高岩淡氏とほかとりまきの重役陣だった。場内にいる社員の人の緊張たるや結構なもので、「ありがとうございます」とかって自分家のトップに向かってお礼なんか言っていて、ってことはつまりエラい人たちは普段はよほど自分家の商品を見てないのかって事になり、コンテンツじうようなんて世間が騒ぐほどには現場の感覚は進化してないのかもってな空想をめぐらす。そんなこと自分家の新聞社見てれば一目瞭然だったりするんだけどね、人の配置とか面の取り方とか。

 逆に言えばそこまでして見に来たのはこの「機動戦艦ナデシコ」が、今や真のドンとなりつつある角川歴彦さん率いる角川書店が送り出した映画であるってことで、つまり「不夜城」「失楽園」としこたま儲けさせてもらった角川映画に経緯を払い、たとえマンガがポルノでも見ておくのが礼儀と心得たのかもしれないと、今さらながらにこないだ「キャラクターショー」でタメ口聞かせて戴いた(っても向こうは胡乱な分野が気やがったから適当に相手でもしておけってな気分だったと思うけど)角川さんの凄みを実感する。その下でアニメ関連を一手に引き受けている井上伸一郎さんてのも、つまりはそれなりの力を持っていることなのか。業界でも最古参に近いアニメックの小牧編集局長が聞くとなにぃってことになるけれど、これが持てる体力と金力が形成する権力の差ってことになるんだろーな。んなもん、うちはまったくもって関係ねーや。

 でもって始まった「劇ナデ」はTVシリーズ知らない人には絶対にさっぱり解りません。登場人物は重複しているし物語の根幹を成す「ボソンジャンプ」の秘密もやっぱりTVを見ていないと意味が通じない。逆にしこまたTVシリーズに酔ってハマってた人にはただのオールスターキャストだけでない、骨太な物語がつけ加えられるまさに理想の「続編」てことになり、土曜日以降の封切りに集まった大勢のそんなTV以来のファンたちを、感涙にむせび泣かせることだろー。それはもうルリルリのファンに限らず、すべての女性キャラのファンたちに。おっとハリー君って可愛い少年が映画から初めて登場して、制服はともかく普段着ではとっても楽しませてくれるから、んな男の子が好きな方は物語知らなくっても目に優しく心に熱い映画ってことで、見てもそれほど損はないと思います。

 「テンカワ・アキトは死んだ」とアキトが喋ってるCMがすべてを語る展開は、やっぱりそうだったんだと安心させてラストでさらに安心させて、けれども根本的な戦争とかクーデターの原因となった遺跡は残る訳だから、作りよーによってはあらに次の話なんて出来ないこともなさそー。折角登場したラピス・ラズリって可愛い妖精、だけど声はがらっぱちでセクシーな仲間由紀恵さんだったりする所が良く解らなかったりするけれど、そんな新キャラをセリフはほとんど1言で使い捨てるってのは余りにももったない。てんで知らない人には解らない不親切な映画であるにも関わらず、ちゃーんと最後まで場内に踏みとどまった岡田会長高岩社長のカップルが、これで作品世界に興味を持ってこれから先の事を知りたいと思わないはずがないだろーから、さても色を付ける作業を間際までやって疲労困憊しているところだろーけれど、続編とかって話があったらのってやって戴きたい。まあどれだけ劇場に人が来るのかって事もあるけどね。それが一番重要なんだけどね。

 堀江敏幸さんて一般にはまだほとんど知られていない散文の名手の2冊目の本「おぱらばん」(青土社、1900円)を買う。かの須賀敦子さんが誉めたという前作の「郊外へ」で知った作家で、今は生田の明治大学で専任講師の職に就きながら、翻訳とか散文を書いて発表している。最初の「郊外へ」を読んだとき、どうやらフランスのパリに留学していた時代に経験したことを、須賀さんのよーにエッセイ風に綴っているだけのよーに思ったけど、周辺から取材すると経験したこともあるけれどそんな文学的に経験するはずがあるわけもなく、断片のディティールを再構築したり膨らませたりしながら、事実が2でフィクションが8ってな比率のほとんど「短編小説」に近い文章だと、今はあらかじめ知りながら読んでいるから、出来事の意外さよりもその巧みな筆捌きのほうに、強い関心を寄せて読んでいる。須賀さんが好きならきっと気にいるはず。そうでなくても都会に独り暮らして友人も恋人もおらず、いつこの街を出ていくのかも知れないと、そんな漂泊者のよーな根無し草の感覚でいて、けれどもどこか落ちつき所を見つけたいってな欲望もある、空虚で不安気な現代の人たちに、必ずや受け入れられることだろー。


【8月5日】 「トライガン最終完成形」をゲットォォォォ、なんて喜びはさておかない、何軒か回ってよーやく見つけられた時の嬉しさといったら、衆人環視で小踊りしたくなったくらいだもんねやらないけど。お話は「トライガン」の2巻から「トライガンマキシマム」を繋ぐとてつもなく重要なエピソードが中心、だけどすでにテレビ版で「フィフスムーン」の大穴事件の顛末はとりあえず説明されていたので、本家のマンガ版ではそこへと至るプロセスと、設定の違いなんかを確かめつつ「マキシマム」第1巻以降の展開に関心を繋げる。

 まず何よりナイブズがアニメには出てこない。3番目のサイコガン、なんて小さいものじゃないなだったら「幻魔大戦」のベガだ、って実はよく覚えてないけど手に銃が仕込んであったよね、あのアニメの方? いかんメモリーメーカーになってるかもしれん、ともかくもヴァッシュの月をも貫くサイコガン(だから違うって)の発動が、前々回のアニメじゃあまるでアウトロースターの鈴鹿の男版のよーなソニックブレード使いの侍が攻めてる最中に、レガートが唆した事によるものだったけど、コミックの方では今回描き降ろされた部分でナイブスがフルな顔出しで登場し、それも例の電球型プラントの中から登場するって設定が明らかにされていて、だからなるほど同類のヴァッシュは先の丘蒸気の暴走事件でプラントをなだめる事が出来たのかと、納得しつつそれにしてはヴァッシュってやたらと人間臭くないかと訝る。150年も地上で暮らしてれば人間くさくなるのかな、エッチにも。

 しかし圧倒的に強かったレガートが復活したナイブズに1瞬で折り畳まれてしまう場面などテレビじゃできない残酷さ、でもないけどテレビだとレガートが一応はピンで悪役張ってるところがあったから、実力をほとんど発揮しないうちに畳まれてお陰で「トライガンマキシマム」の第1巻のラストでは、まるで「黒ひげ危機一髪」な丸桶の中に入ってぼーぜんとしている姿が描かれている。パペットマスターが忠誠を誓っている所を見ると一応は生きているみたいなんで、第2巻以降には何らかの動きを見せてくれると思うけど、でもどうなんだろう。それから意外だったウルフウッドの正体の暴露。テレビでも侍を撃ち殺した場面でちょっとしたほのめかしがあったけど、「最終完成型」でレガートが折り畳まれる場面の直前で、岩の上でバッシュに向かって対峙するウルフウッドのシルエットが描かれているから、やっぱりヤツラの一味だったってことなんでしょう。けど「マキシマム」ではヴァッシュの復活に力を貸してるみたいな所もあるし、さらなる秘密を持っていそうな楽しい予感もしてる。アニメじゃ声が蛙丈さんで黒騎士でマクシミリアン・ジーナスだけど、最新のアニメの役所に従うと、案外と神様だったりするのかもしれんなあ。

 だもんであまりに寺田克也さんのジャケットが格好良かった「トライガン」のLD−BOXまで買ってしまう。BOXっても中に入っているのは最初の2話分が入った第1巻だけだけど、首から上を大胆にカットして赤い威圧感のある衣装だけが得体の知れない物体を背後に手に巨大な銃を持って佇んでいるって構図は、ソフトな部分が山ほどあってハードなイメージの原作を損なっているってたくさんの意見を吹き飛ばすくらいに硬派でハードで男組。猛虎硬破山は放たないけどこれと組み合わせられる後半部分を収める箱がどんなイラストになるのかが、今からもって楽しみで楽しみで仕方がない。首から上が描かれるのか対比でレガートでも描かれるのかあるいは謎のネコのアップか。ミリィのヌードだったら1万円でも俺は買うぞ。関係ないけど今度のコミケでヴァッシュ(含む1割引2割引。横に2割増はちょっとねえ)は何人現れるでしょー。私は2桁を掛けまするり。

 珍しく会社で仕事する。っても書いた原稿はメディコム・トイから届いていた新しいお人形の紹介。またアクションヒーロー? それともロジアー・ムーアの暑苦しいジェームズ・ボンド?? なんて思った男に跪けと言おう。今度は何と女性、それも前にメディコム・トイが発売した初めての女性キャラクター人形「1stルパン三世版峰不二子」なんてアバズレたグラマーな美女なんかじゃない、スリムでけれども脱ぐとすごいんです(ホントに凄い、けどどう凄いのか未だに誰も知らない。もしかして開いてなかったのか?)な美女「メーテル」様さま様だあ参ったか。参ったね。

 原型と衣装は「峰不二子」と同じ2人だけど、スリムなボディに瓜実型の顔が載り、まつげもばさばさな目が描かれ口は小さく髪は長く、そこにロシアのよーなビロードの帽子が載っかっている、どこからどう見てもメーテルであってオーチンハラショーには見えない美女がそこにいる。買ったら誰もが絶対に衣装の前をはだけて見るぞ。あとここん家でおなじみの特典はもちろん「地球−アンドロメダ」のパスだ。去年確か銀河高原で開かれたイベントでも前売りに付いて来たはずだけど、何かについて凝り性のメディコムが作るパスだけに、素材から字体から何から何まで本物そっくりに、それこそ虚舟にだって乗れてしまうくらの完成度を見せてくれることでしょう。JRの故障ばっかりして人を良く閉じこめる自動改札だって通れてしまったら、人形も売れ行きがきっと増えるだろーから頑張ってね。

 歌野晶午さんの「ブードゥー・チャイルド」(角川書店、1900円)読了、うんお話としてはキチンと落ちているし種明かしだって実に合理的なんだけど、悪魔の紋章が実は、だったり転生の記憶が実は、だったりするのは読んでいていいかにもツボにハマり過ぎて、意外感ばかりを求める荒んだ心には娯楽以上の衝撃がなくって人間贅沢になると口が奢るもんだよなあ、と素直になれない自分を顧みて嘆息する。ああ。転生の記憶の秘密に触れる場面での主人公の物わかりの悪さが個人的にはやっぱりあんまり気持ちよくない、とゆーかあまりに物わかりが良い人たちが登場する話ばかりを読んでいるので、人間の驚きとか恐れといった心理がイマイチ理解できなくなっている。見苦しいと思う前にもし自分がそうだったらと、引き寄せて考えられる新しい読者がこの作品で増える可能性はあるな。しかしやっぱり悪魔の紋章の正体は、なあ。


【8月4日】 「トライガン最終完成形」が売ってねぇぇぇ、なんて愚痴はさておき月曜深夜は中島みゆきのオールナイトニッポンだおこんばんわぁぁぁ、なんて冗談はさておき見たぞ「lain」の第5話は完全にイっちゃってて最初から最後まで1度見ただけではさっぱり解らん。いや「お天気こわれてる?」だけは解ったよっく解った凄いぞスタッフえらいぞスタッフ来週は一体何が登場するのか楽しみだ。梅雨明け宣言だったら実にこの番組がリアルタイムで作られてるって証明になって良いかも。出来れば水着姿とかが良いなあ。お願いします。あとエンディングに名前の出ている「NAVIレイアウト設計」の「ところともかず」って、あの怪作にして掲載雑誌は幻と化した「鳥頭紀行ぜんぶ」で、西原理恵子さんと愛ちゃんがアシに行ったどて線1本数百万円の人なのかなあ。

 で第5話なんだけど冒頭から登場するのは昔マックスあるいは黒騎士最近だったら蛙丈(古いかこれもすでに)な速水奬さん演じる「そうだよあたしゃ神さまだよ」。それが横断歩道で佇む玲音に聞こえる声で話しかけ、そこから現実と仮想とリアルワールドとワイヤードと空想と妄想と過去と未来が交錯した、世にも奇妙な30分間に叩き込まれて揉まれ最後まで抜け出せない。おそらくは過去かそれとも夢想状態にある玲音が部屋に座って熊ちゃんじゃない可愛い服来て人形と神像とママユーレイ、パパユーレイと会話しながら現実の不確かさについて教えを受ける場面では、バックに流れる音楽が何とも不安げでけれども楽しげで、それが4度繰り返される合間にアクティブだった姉が虚無感に満ちた生活へと転がったのか連れ込まれたのかしていく展開に、我が身も含めて何だか蜘蛛の糸のよーなものにからめ取られて身動きがとれなくなるよーな気がして、眠さがピークに達していたにも関わらず、ぐぐぐっと画面に惹きつけられて離れられなかった。おかげで今朝なんて目がしょぼしょぼだぜ。

 とにかく結論も解説も不可能な状況で果たしていったいどんな地平へと導いていってくれるのか。あるいは説明無用でこの現実と仮想との間にたいした違いなんてないと思っている遊離感でいっぱいの心をザワつかせてくれるだけなのかもしれない。少なくとも1人が最後までシリーズ構成をやっている作品だけにオチ、とまではいかないまでもケリはつけてくれると思いたいし、ライブでやっている訳でもなさそーなのでちゃぶ台ひっくり返させるよーな結末にはしないだろーね。そーした手法がかつて話題だけは振りまいた事があったとしても、同じことを2度やったらただの莫迦であり阿呆。せっかく「ゲーム批評」でも「仮面天使ロゼッタ」と並んで今もっともぶっとびな作品として推してもらってるんだから、ゆめゆめパイオニアLDCは搦め手から意表を衝こうなんて考えちゃダメだよ、ねっ、苅部さん。関係ないけど今号(サターンは死んだままな特集のヤツ)の「ゲーム批評」の表紙、良いなあ。誰かフィギュア作らないかなあ。

 パイオニアLDCと言えば遂に出た出たLD封入のライナーとかで天地にエルハに運動会の素っ頓狂な傑作マンガを連載していたあずまきよひこさんの作品集が出ていたので高いし大きいけれどゲット。発売元までパイオニアLDCだったとは何でまた出版なんぞと驚きだったけど、収められたマンガはどれも本編の特徴を踏まえつつ仕草とかデフォルメとか転がしとかいじりの部分に著者ならではの解釈をつけ加え、パロディでもなくカバーでもなくしかしながら単なるコミカライズでもない、独特の雰囲気ある天地にエルハに運動会を見せてくれる。CD−ROMまでついて1905円はお買い得かもしれん。天地エルハ運動会に興味のない人でもこれ読んだらもしかして面白いかも、と映像へと行き怒涛の如く発売される音楽CDの地獄にハマり天地貧乏エルハ貧乏運動会貧乏への道を歩むこと確実だね。あたしゃガメるから良いんだけど。せっかくだから同じLDC発売の「lain」のLDでもあずまさん描く「lain」のマンガ見たいねえ。

 頭壊れたまんま床に就き、おきてごそごそとシャツにアイロンもかけずに羽織ってそのまま蒲田へと向かう。最近は仕事にネクタイもしていかない怠惰ぶりだけど、なーんにも言われずちょっと調子に乗ってる。半ズボンにサンダルは流石にまずそうだけどちょっとした柄シャツならオッケーかもしれんので、んな格好で今度どっかに取材に行こー大蔵省とか銀行とか。さて京急蒲田ではたぶん夏恒例のセガ・エンタープライゼスのアミューズメントマシンの内覧会がどひゃーっと開催。鞄に入れた「ゲーム批評」の最新号を焚書されやしまいかとビクビクしつつ場内に入り、前のショーで片鱗だけ見せてもらったどこでもバトルな新作アーケード「スパイクアウト」(ちょっと名前変わった)を後ろからのぞき、キャラクターのお姉ちゃんが大股開きで尻餅ついて白じゃないけど黒な三角を見せてくれるのを真剣な眼差しで見つめる。胸はあんまし揺れてなかったみたい、だね。

 次にこれも新作とゆー名前はド忘れした海洋シューティングゲームを後ろからのぞく。もらったプレスシートのキャラクターが今のイラストっぽくて凄く気に入ったけど、生憎とゲームの方は懐中では皆さんスーツを来てヘルメットも被って顔がよく見えなかったので、果たして設定のキャラがいかなる形でゲームに絡んでくるのか研究の余地はありますね。内容はもう言ってしまえば「海洋生物大虐殺ゲーム」そのもので、登場するエイとかタコとかサメとかを水中銃でゲシゲシを撃っては倒していく。超でかいサメが大口あけて迫ってくるところに間断を入れずエアーなのか圧搾された水なのか何か解らないものを発射して、次第に相手のライフゲージを減らしていく時の緊張感たるや、見ているだけでも結構ハラハラさせられる。流石に環境団体に遠慮してイルカやクジラは登場しなかったみたいだけど、だったらサメなら良いのか(サメだって減る所じゃー減ってるし)って事にもなるから、そこいらあたりで緑平和な方々からツッコ舞える前に、サメには角囃してエイにはスクリューつけてタコはアシを9本にして、ここは地球ではないしこれらは実在のどーぶつではないと、良いわけできるよーにしませんか。クジラだって髭はやしイルカだって頭に法螺貝載せればオッケーでしょ。まつげ描いてもよいかもね。白いやつには。

 ガイナックスから書中見舞いが届く。おおいよいよ本当に動き出したか「蒼きウル」のタイトルロゴも鮮やかに、何やら得体の知れない飛行機が飛んでいる姿が描かれている。一応は現代の技術を遡らせた雰囲気のあった「王立宇宙軍 オネアミスの翼」のメカたちと比べると、その姿はどこかバイオモドキ的な雰囲気があったりして、果たしてどんな発展の仕方をしてそーなったのかを、綿密な考証の上に世界を築き上げたがる職人たちの集団に聞いてみたい気がする。あくまでもイメージカットに過ぎないんだろーけど、しかしあまりにもカッコ良さとはこういう事じゃないデザインのメカ。それらが飛び交う世界で繰り広げられるお話に、否が応でも期待だけは高まる。完成は何時なのか、「ガルム戦記」より早いのか。甲子園じゃないけどカケでも出来そーな気がして来たなあ、新作アニメ完成予想トトカルチョ。

 伊藤伸平さんの懐かしい「東京爆発娘」(角川書店、680円)とか歌野晶午さんの「ブードゥー・チャイルド」(角川書店、1900円)とかを購入。「爆発娘」はギャグとか絵の雰囲気がゆうきまさみさんっぽいけれどお話は脳天気で抜けてて良いです。「ブードゥー・チャイルド」は前世の記憶があるってほざくガキが父親母親をヤられて憤る場面とか、物事を説明している時に話を聞かずにむくれる場面とかでの感情の動きがちょっとあからさまで、言ってしまえば物わかりが悪すぎて、面白がれたり辟易させられりたりと結構引きずり回される。名探偵登場! ってところまで来てさあお話はクライマックスなので判断は留保したいけど、島田荘司さんの「奇想はいま、進化をめざす」も二階堂黎人さんの「21世紀の名探偵はこれだ」も推薦文にしてはあんまり食指をそそられない。同じ様な絶賛調の推薦がちょっと最近、多すぎません? 乾くるみさんの新作「匣の中」は確か大森望さんの推薦だったけどこっちは明らかに含みを持った言葉だから、清涼院さん的に覚悟して読みます。


【8月3日】 「東京キャラクターショー」と「ガンダムビッグバン宣言」の写真を入れたので下の方にスクロって下さい重いぞー。でも富野由悠季監督のはしゃぎっぷりとゆーか躁状態ぶりが伺われるでしょー、銀ぎら銀な服装からもね。1人奥にいる人がカプコンの安田朗さんです、茶髪でこっちはいかにもゲーム会社の火とって雰囲気。ちょっと前の日経に「年収2億円を目指したい」なんて記事が出ていたみたいだけど、アニメなんかに関わっちゃったら2億が200万円だって稼げないと思うぞ。それだけやっぱり富野さんに心酔してるってことなのかなあ。高校の学際でクラス全員分のコスチュームを縫って”トミノコ族”(完全死語)をやったってくらいだし。やったことないから知らないけれど「ストリートファイター2」への富野監督の影響って何かあるのかな。理屈っぽいとか最後に全部死ぬとかいろいろな。

 キャラクターショーでは2枚をプラス。何でも2日目の「キャラクターショー」は朝から9000人もの並んでいたそーで、2日間で4万は確実に入ったことだろー。ブースにはカメラを向けると必ずポーズを取ってくれるネコ手なコスプレ姉ちゃん(下図参照、キマってるぅぅぅ)がいたけれど、今日もやっぱり1日中、物の持ちにくいネコ手でチラシを配ってるんだろーか。そーいえばニッポン放送のイベントであるにも関わらず、1番一生懸命に取材していたのはテレビ東京のクルーだったけど、何かで放送したんだろーか。「おはスタ」? それとも「ワールドビジネスサテライト」? 昔だったら別だけど、今だとどっちに入ってもおかしくないって思ってしまう当たりが、やっぱりキャラクターがビジネスとして本格的に立ち上がって来ている現れなんだろー。

 これも立派なキャラクターグッズだろーな。パイオニアLDCから送ってもらった「lain」のポスターが会社に届いていてラッキーな気持ち。たぶんABさんのイラストのレインがピンクの地の上にうっすらすっくと立ったデザインはシンプルだけど先鋭的、そして素材は紙じゃなく何だろーラミネートか樹脂かビニールが使われていて、これなら雨の日に外に貼ってあっても安心、って流石にそれはやらないけれど、たぶんそんなに多くは作られていないはずだから「K−BOOKS」当たりに売っぱらえば大金になるかも、ってやっぱりそれもやらないし今だと「何やこれ」ってな感じで二束三文でしか引き取ってもらえない。それでも毀誉褒貶を問わずなんらかの評判がジワジワと広まってはいるみたいだから、いずれ世紀の凡作か世紀の傑作と奉られるよーになった暁には、ベニヤ板に貼って町を練り歩いて自慢しよー。

 ドリームズ・カム・トゥルーの記者会見に行く。吉田美和はいなかったしダチョウ倶楽部の肥後ももちろんいなかった。だって玩具屋さんの記者会見なんだもん芸能人なんている訳はない。いたのは佐藤さんてどっかの大手玩具屋さんと同じ名字の社長さんと丸山茂樹プロの写真と他いろいろな人たち。玩具屋とプロゴルファーが一緒じゃないけど何らかの関わりを面って記者会見に望むってことはそう、ゴルフの玩具を出すってことですね。今回発表されたのは、短いシャフトがついたドラバーの形をした電子玩具で、クラブヘッドの上のボタンを操作してからグリップを握ってブンッ、と振り回すとピコピコ電子頭脳が計算して飛んだヤード数とか残りの距離とかを表示してくれる。

 おいおいそれって前にタカラが発表した「バーチャルゴルフ」といっしょじゃないの、と感づいた方は立派な当新聞の読者です。一般紙にも週刊誌にもモノ雑誌にもいっぱい紹介だれていたけれどね。実は社長の佐藤さんはタカラの佐藤さんの確か弟で、ってことはつまり兄貴の会社に弟の会社が同じ製品をぶつけて戦争でも起こすのか、ってな事件があると燃える新聞社的な発想を得たけれど、聞くとそーした兄弟ゲンカのよーな構図は表向きはなく、子供たちが早くからゴルフに親しんで欲しいってな意志をともにもつ、いわば同士としてバーチャルなゴルフのゲームを揃って売り出すことにしているらしー。ドリカムの社長さんはそう言ってたってことで、バックにあるタイガー・エレクトロニクスやタカラがどう思っているのかは謎だけど。

 ちなみにドリカムのゴルフゲームには液晶画面がついていて、コースの模様を小さいながらも画面で確認することができる。スイングの強弱も振りの速さといった物理的な要素ではなく液晶画面に出てくるゲージのタイミングにどう合うかといった反射神経的な要素が大切みたいで、大人の本格に近い(といってもバーチャルだけど)「バーチャルゴルフ」と、子供の関心を引きたいシミュレーターに近いドリカムの新製品といった住み訳が一応は出来ている。兄貴思いなのかそれとも兄貴が怖いのか。まあそれはないけどやっぱり新聞射的には兄弟対決なんて打ちたいねえ。

 とすれば場内に展示してあったどーしてもタカラの「バーチャルゴルフ」にしか見えないバット型の野球ゲームとか、「バスフィッシング」と多分コンセプトは同じな釣りのシミュレーションゲームとかとの関係はどーなんだろーといらぬ邪推もしてしまうが、勝手に想像すれば今とゆー状況を踏まえた上での同時多発の1つだったんじゃないかと・・・・・思うのはやっぱ甘いか。でもドリカムのゴルフはぐリップが太くて良いです。質感もシルバーはちょっとサイベリア(はっはっは)でクリアバージョンは携帯電話みたい。5000円を切る値段もリーズナブルだし、体力使う「TVゲーム」をしたい人は買ってそう悪いもんじゃないかも。ね。

 電通に呼び出されたので「やまだ君を持っていかれて皆さん泣いているでしょう、もちろんうれし泣きだけど」といって傷をえぐる、つもりがあんまり傷をえぐらず逆にマキロンをかけて上から包帯巻いてやってたみたい。そりゃそーだよなーあれをどう売るのか今からお手並み拝見と言ったところで、「もののけ姫」を邦画の最高峰へと押し上げた敏腕プロデューサーの鈴木敏夫さんがどこと組むのか、何をどう動かすのかをとにかく刮目して待たなくてはならない。本当に来年まで保てば良いのかどーかは当然の事ながら未定だったりするんだけどね。

 そーなると宮崎高畑に続く人材を育てたいところだろーし、衛星に手を出すからにはどんなコンテンツでもノドから手が出て足が出るくらいに欲しいんだろーけれど、今のアニメを取りまく人手不足資金不足の癖して弾だけは数打つ状況では、人材の確保すら困難だろーから、ここは外部の人材も活かしつつ、新しいコンテンツを育てる必要が本当に生じているってことなんだろー。って訳で第2の宮崎高畑そして第2の鈴木プロデューサーを是が非でも作らなくっちゃいけない徳間書店あたりに売り込んで、仕掛けるって手もあるのか「トリスアギオン」なんだけど、とりあえず6月の終わりに開かれたリーディングドラマの模様を収めて世界観を関係者に見て貰うビデオが出来たそーなので、見せてもらいに言ったってのが電通をお邪魔した理由です。広告もついでにくれれば言うことはないんだけどね。もちろん裏新聞用の、だよ。

 どこかで見たよーな冒頭の言葉に赤面しつつ、改めて見た横山智佐さんの朗読は、声優としてはな顔立ちの良さとそれからオーバーな演技が必須のアニメ声優とは違った舞台向けの(ってもやっぱり声優なんだけど)喋り方もあって今見ても結構な新鮮味がある。会場ではスクリーンに幻灯機で写した数枚しかない設定書も、画面に被せる形で演出っぽく見せているから会場とは違った雰囲気をビデオで味わうことも出来た。本当に短くこれで「SF版ER」ってなコンセプトが伝わるのかどーか不明だけど、聞くと周囲の関心はじくじくと盛り上がり、スーパーバイザーの掛須秀一さんも降りようなんて言わずむしろ形にしたいと熱心にあちらこちらを口説いているとの話もあって、そんな応援を受けてなんとか形となって今度はコマーシャルなビデオとして目の前に現れてくれるだろー。見たい人は僕ん家に来れば見られるけれど座る場所が無いから立ち見になります。カビでノドがやられるし臭気に鼻も曲がるしね。一応参加を申し込んだ「SF大会」で携帯テレビでも持っていてロビーで勝手に上映でもするか。


【8月2日】 なんだか肩の力が抜けて良い感じが出てきたなあ「お面天使ロゼッタ」じゃなくって「仮面天使ロゼッタ」は。特撮場面も戦闘場面もこれまでどおりにチープだけど、セリフとかシチュエーションとか演出とかにメリハリが出ていて流れのよーな物ができていて、真夜中のハイで今にもトンでしまいそーな頭を何とか画面に縛り付けてくれる。受験勉強をしている後ろでお約束にマンガを読んでは大声を上げる友人が、次第にエスカレートして部屋の中で遊びまくっていく畳のかけ方も堂に入ったもの。ロンドンブーツを履いたラブアンドピースな怪人がロンドンブーツ故に足をくじいてヤラれてしまうエンディングも、お約束が効いていて心地よい脱力感がささくれだった心を和らげてくれる。

 第5話まで進んで設定に大きな変化が無いのが難で、ここはやっぱりもう少し、ライバルなり一世一代の危機なりを出して話しを次へとつなげるエスカレーションな展開を見せた方がいーのかも。あとはお父さんも変身して(潮哲也だからって変われお父さんライオン丸にーじゃないぞ)、どぼよーんな胸の娘とどぶらーんな腹の父親ってな親子ヒーローが活躍する場面も見たい。とりわけ何よりロゼッタももう少しアクション見せて欲しーもの。「ロゼッタ」を演じているのはもちろん吉井玲ちゃんじゃないんだけど、でも一応女性みたいなんで、折角だからあれやこれやが見たいのです。

nekote  そのうちに始まった「機動戦艦ナデシコ」のまとめ放映を見ながらやがて睡眠へと進み、気が付いたら8時を時計が回っていたので慌てて着替えて家を飛び出し電車を乗り継いで東京ビッグサイトへと向かう。とはいえアニメやゲームに今はどことなく苦手って感じがするニッポン放送が仕掛ける「東京キャラクターショー」、なので告知のミスとか出展者への説明不足が祟って予定の半分も入らないんじゃないかと思っていたら甘かった。臨海鉄道の国際展示場駅を降りてツアイネル本部ことビッグサイトの方を眺めると、何やら長蛇な行列が出来ているなー、西館で開催中の「コミックシティ」に行く人なのかなー、と思っていたらとんでもない。行列は延々とキャラクターショーが開かれている東館へと続いていた。

 角川歴彦・角川書店社長とか今はジェンコって会社の代表をしているプロデューサーの真木太郎さんとかが出席してのテープカットの後で一足早く場内へ。1ホールしか使ってなくて若干狭い感じを受けたけど、まあ最初だからのんびりスタートするかと安心していたところにさっきの行列。これは凄い事になるかもと観察してたら案の定、開幕と同時に角川書店の物販ブースとデータイーストのブースとゲーマーズのブースにはすぐさま長蛇の列ができ、そのまま1日途絶えることがなかった。コナミの「こなみるく」は最初こそ人がまばらで、間隙をぬって1つ2つ限定商品を購入できたけど、そのうちに列が出来はじめてやっぱり1日中の大混雑。人気はやっぱり「ときメモ」関係で、ショー限定のスタンプシートとかテレホンカードとかピンズとかTシャツとかがゲシゲシと売れていき、相変わらずの人気に担当者なんだろーCP事業本部のエラい人のほくそ笑む顔を思い浮かべて場内の気温が5度ほど下がる。

 今回が多分初めてグッズの本格的なお披露目になったのかな「dancingblade かってに桃天使」は、80年代の売れないOVAのよーとの指摘もそのままに、顔立ち衣装設定肉体のもろもろが先鋭とは正反対のオーソドックスさの極みで、ピンクに赤のまるでプリティサミーのパチもんのよーな裾が短い和風の衣装に背中で縛ったリボンは緑、髪は紫で縛っているリボンはピンクとまあ、地味とは対極にある派手な色遣いとが目にとっても挑戦的。学生時代の大半を過ごして来たものに訴えるところがあるのでしょう。まあそこそこの売れ行きを見せていたよーで、来週の「ワンフェス」会場で開かれる完成披露の模様と、ワンフェスで売るとゆー200体限定のガレージキットの売れ行きが、果たしてどーなるのかを今は刮目して待ってます。

 あくまでも作品の検証用資料としてポストカードを6枚ほどとスタンプシートを2種類、それから店を出て裏に回ってポスター自販機で「桃天」ポスターを2枚ほど買うに止め、今度は角川書店のブースに行ってルリルリが描かれた会場限定の「劇ナデ」ポスターには目もくれず、リナとナーガの水着姿がリバーシブルで描かれているポスターを1500円で購入、何故か「スレイヤーズ」と「ナデシコ」の映画を見られる前売り券とかが付いてきたけど、って違うチケットのオマケに付いてくるポスターが欲しくて無駄遣いを下だけで、これで前売り券は解説ビデオを買った時にもついていたものを合わせて2枚、これほど何度も見られる作品なのかな、「ナデシコ」なんてまだ完成もしてないしー、と半分だけ自己嫌悪に陥りながらブース前をウロウロしているとブースが満員でご満悦な角川社長が歩いていたので早速捕まえて「劇ナデできたんですか」と経済記者らしく効くと「今晩完成試写をやるよー」との事。「ちょっと難しいんだけど面白いよ」と言っていた、その難しい部分を解明するためにはやっぱり何度か足を運ぶことになりそーで、前売り2枚もまあ無駄にはならないかも。試写でも見とくかな。

sakura  ペーパームーンで1分の1フィギュアの写真を撮り、あちらこちらのブースで売り子さんのコスプレ姿を撮影し、「ぴあキャロ2」のポスターをゲットし「ピンカ」の縫いぐるみをUFOキャッチャーで捕まえる、などして新文化を検証する資料集めに奔走し、コスパで売られていた「カードキャプターさくら」のステッキの値段の激怒し、コンクリートで作ったミッキーの彫像に世の中も変わったと口あんぐりになり、ついでに西館で開かれていた「コミックシティ」ものぞいて決してごった返していない会場の中で唯一の大賑わいだったコスプレコーナーを顔ほころばせながらも(にやけるとも言う)、恥ずかしいので(下心が見透かされるから)まま退散。「キャラクターショー」の会場へと戻るとブースの行列はさらにどんどん長くなり、前売りで900円当日で1000円払ってこの人たちは行列を作ってキャラクターグッズを買いに来たのかと、それほどまでに99%は彼らである人たちの情熱に驚嘆する。

 アトラクションがある訳じゃないし新作映像がたっぷり見られる訳じゃないので、物を買わない人は来てもあんまり楽しめないかも。ただで新キャラクターをピーアールするためのグッズ類を配るとかって入場料に見合ったオマケを用意するところもなかったなー。ゲーマーズの社長の人もその当たりが気になっていたみたいで、まあ自分ところは物販屋だから仕方がないとして、来年も開かれるとしたらもうちょっとそこいら当たりを考えて、子供も楽しめるよーなイベントにしたいと言っていたから、来年はもうちょっと変わるでしょー。とゆーか変わんないといかんでしょー。 

 本来は「キャラクター」というカテゴリーの全てを扱うイベントで、コミックでもアニメでも何でもござれなはずなのに、出展している角川をのぞいてはどこもゲームがベースのキャラで、物販コーナーに長蛇の列が出来るのも大半はゲーム関係のキャラクターグッズを買うためってのは、ゲーム屋さん言うところの総合芸術であるゲームがすべてのエンターテインメントの中心になっていることの現れってことなのかな。よくわからんが。帰りがけにのぞくとすでに明日の開幕を待つ行列が出来ていて2度吃驚。資料を詰め込みポスターを4本突っ込んだ実にさらりまん的な格好を見て「今来た人ですか」と行列の自治会長あるいは主催者のパトロールのよーな人に聞かれたのが謎。ジーンズにデニムのシャツで髪の毛を縛っていて、ほらどうみたって仲間には見えないのにね、ねっ。


【8月1日】 横浜へ行く。1人で。哀しいけれどこれ、現実なのよねって言えば理由の半分も解る人には解ってしまうけどとりあえず説明は置いて、到着した桜木町の駅を降りてランドマークタワーへと向かう途中で何やらビラが配られていたので早速1枚所望、見ると何でも近所を鼓笛隊なマーチングバンド(一緒だよ)が練り歩いているって案内で、これはと来る物があって早速鞄からカメラを取り出し、一目さんにエスカレーターを登り歩道を駆け抜けランドマーク横のモールを抜けてクインズスクエアとの間にある橋へと向かう。ドアを開けると聞こえて来た聞こえて来た、鼓笛隊がガン鳴らす吹奏楽の音に心はウキウキ、道路にかかった橋の上から近寄って来る鼓笛隊にカメラを構えて、欲望の赴くままにバシバシバシっと撮影する。もちろんミニスカートで旗を振り回す女性たちをアップで、ね。

 本当の本心はチアリーダーの果敢なアクション目当てだったりしたんだけど、残念なことに鼓笛隊のパレードが中心でそーいった人たちの姿は見えず、まあそれでも普段の生活からは縁遠い女性の一群をお祭りにかこつけて堂々を撮影できる機会、これを活かさない手はないと同じ様にカメラを構える老若な大半は男の人たちに交じって旗女やら鼓笛隊に交じっている女性やらをあるいはアップ、あるいは引きでまとめて撮影する。そのうちにやって来たのが神奈川県警の音楽隊で先頭にやっぱりミニスカートの旗女たちがいて結構な粒ぞろいだったので1枚2枚撮ったけど、相手が開いてだけに疚しい下心を見透かされて飛びかかられてはかなわんと(なんせやっぱり婦警さん、だよね普段は多分)早々い退散、そのまま横浜行きの本来の目的を果たすためにパシフィコ横浜へと向かう。

 1つの時代が生まれる瞬間に立ち会っているんだという気持ちを持てる瞬間を、1生のうちに一体何度持てるだろうかと考えると、今日のこの日は人生の閻魔帳に1つエポックメイキングな日だったとして刻み込まれたことだろー。「ガンダム ビッグバン宣言」、という名前のイベントに出た人がすべてそう考えたとは思えないし、実際そこに集まった人たちが抱いた感慨が、例えば82年の2月2日に新宿東口に集まって「アニメ新世紀宣言」を聞いた人たちと同等かというと、まだアニメファンであることにどこか負い目を感じていた時代と、アニメが世界に冠たる日本の文化を褒めそやされている時代とでは、はやり相当な格差があるだろう。場を包み込む共感、という意味でもその格差は少なからずある。

 けれどもたとえ2番煎じに過ぎなくても、そしてなんらかのコマーシャリズム的な仕掛けがそこにあったとしても、かの「機動戦士ガンダム」が復活する、それも富野由悠季監督の手によって復活すると告げられた時の感動は、その全てを肯定している熱狂的なトミノコではないにも関わらず、目頭を抑えたくなるだけの大きさを持って我が身に襲いかかって来た。横浜パシフィコの5000人近くは入ろうかという巨大なホールに集まった人たちが聞いた「21世紀という時代において、ファーストガンダムの精神にのっとり、あらゆるチャレンジをすることを宣言する」という言葉が、生誕20周年を迎える来年以降にどんな形で現れるのか、今はまだ何も予見することは出来ないが、富野監督がその生涯を飾る(まあ年齢的に言えばそうなるよね)プロジェクトだ、きっとそれなりにそれなりな作品が出来上がって来るだろー。

 「ガンダムビッグバン宣言」と名乗るイベントは冒頭、初代「機動戦士ガンダム」のシーンを振り返る場面から始まった。「サイド7」に侵入したザクが、森を通って木立を抜けて動き回るシーンを想起させるサウンドがドルビーデジタルの立体音響で場内に響きわたり、やがてステージ上にしつらえられた3面マルチスクリーンにアムロが何やらコクピットで操作している場面が映り、そして感度の良い場内の古手のファンの期待どおりに「ガンダム、大地に立つ」の場面がどびゃーっと映し出された。飛ぶガンダムに切られるザク、爆発がコロニーを突き破ってああこの時テム・レイは、などと思いつ映像が大気圏突入から地上での戦闘、ランバ・ラルとの邂逅とリュウ、マチルダ、ミハル、ララアとの死別へとつながり熱くなった目頭を滲み出る涙が濡らす。なつかしいなあ。

 一転して登場したのは「赤い彗星」ことシャア・アズナブル。イベントの後でアニメックの小牧編集局長から聞いた「歩いていても道を左右にフラフラしてカメラを構えてもきっとファインダーからはみ出るくらいに人の3倍は動く」という富野さんにも匹敵する、3倍のスピードでザクを操縦するシャアが現れ喋るだけで、心はもう若さゆえの過ちというものを認めたくなくなる。はまって道を踏みはずして未だはずしっぱなしなこの人生を。さてシャアのガルマを陥れたりララアをキスしたりアムロと刺し合ったりキシリアを吹っ飛ばしたりする名場面を経て、ア・バオア・クーから脱出するアムロをホワイトベースから退避した仲間が迎えるラストシーンで最初のビデオ上映が終わり、そこからは矢尾一樹さんらの司会進行によるガンダムのこれまでを振り返る、知っている人にとっては今さら何をなイベントがスタートした。

 行ってしまえばタイトルを見せて主題歌を聞かせていくだけの内容で、せっかくご意見番として登場した今もまだ抗ガン剤を投与して生きるか死ぬかの瀬戸際にいる池田貴族さんを招いていても、壇上でごにょごにょ内輪話をしているだけで見ている側にはその面白さが伝わってこない。途中で登場したゲストのコーナーで、飛田展男さんはともかくフォウ・ムラサメ役の島津冴子さんを見られて今も変わらぬ可愛い声を聞けたのが超ラッキーでこれだけで全てを許したい気になったし、新し目のファンは「Gガンダム」の名場面とかいうマスター・アジア東方不敗とドモン・カッシュの決めセリフを生で聞けたのが超々ラッキーだったようだけど、所詮は過去を振り返る企画であって、イベント本来の「ビッグバン宣言」は、つまりは未来を伺う企画はいったいいつやるのかと、そればかりに気が行ってちょっぴりジグジグしながらイベントの進行を見つめていた。

tomino  そしてやって来た待望のコーナー、まずは何より富野監督の登壇で場内はすこしザワザワ、現れた富野さんが人の3倍は動くとかゆーくにゃくにゃ具合で面白くもない冗談をはさみながらすっかりハイな状態で次なるガンダムの構想を語りスタッフを呼び込んで、ようやく今日最大の衝撃を、そして歴史に残るかもしれない事件を目の当たりにした気分になる。それは何とキャラクターデザインにカプコンのやすだあきら(字しらない)さんを起用すること、もそうだけどもっと凄いぞメカデザインにかのシド・ミードを起用することがバンダイの広報もつい最近知ったとかいうくらいの新鮮さで発表され、さらに驚くべきことにシド・ミード自身が壇上に現れて「ガンダム」にかける熱意を語り、「ブレード・ランナー」を初めとしてハリウッドのデザイン界の超大物がどんな「ガンダム」を作り上げてくれるのか、不安と期待をめいっぱいに抱かせてくれた。

 やっぱり小牧編集局長によると、何日か前にサンライズのある上井草の蕎麦やでシド・ミードらしき人物を見掛け、けれどもまさかシド・ミードが銀座でも新宿でもない上井草で蕎麦屋から出てくるのか理解できず、きっと他人のそら似か目の迷いと思ったとか。結果は目が正しかった事になるけれど、しかし聞いて本人を前にして写真も撮って握手までしてもらってもなお、信じられない気持ちでいっぱいでその当たりいったいどんな構想のもとにシド・ミードに白羽の矢を当てたのかを、「ビッグバン宣言」を機におそらくは解禁となった「ガンダムプロジェクト」の全容を紹介する記事を取材する過程で、あれやこれや突っ込んで行くことにしよー。

 そして富野さんとは別に進んでいるのがテレビ特番として来年にも放映されるとかゆー実写とCGの合成による米国製ガンダム「G−Saver」。これは場内では映像を見せれくれなかったけど、きっと前に「東京おもちゃショー」で見たCGガンダムが進化したものだと思うから、まあそれなりに楽しめるだろーとの意を固める。しかし解らないのはイベントのために作られたとかゆー大友克洋さんが監督し自身がデザインした「ガンダム」が登場する「Mission to the Rise」。岡部さん率いるビルドアップ・エンターテインメントが制作したCGは冒頭の筋肉質なザクが浮かび上がるシーンから質感重量感ともグリグリで、爆発シーンも含めて現在の日本でよくぞここまでやるってな迫力の映像を見せてくれた。

 難しいのか人間の顔をヘルメットのバイザーに隠して見せなかったのはなんとなく解る気もしたけれど、少なくともロボット(じゃないモビルスーツ)やコロニーはしっかり描けていたよーに思うから、時間と手間暇さえかければ米国版にも負けない(どころか勝てるかもしれない)CG版ガンダムになるかもしれない。問題は背景とストーリーがさっぱり解らなかったことくらいかな。「多くのファンの声援があれば、やがてはこんな映像が制作される時が来るかもしれない」とか書いてあるけれど、大友流の解釈をさていったいどれだけの人が指示しているのか、ファーストに縛られたおやじの目ではない、すっぴんな若い人たちの感性がどう判断しているのかをこれから見ていく事にしよー。


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