縮刷版98年6月下旬号


【6月30日】 マストバイだぁぁぁぁ、って先週からこればっかやねんけど、やっぱり買わなくっちゃいかんでしょう雨宮ファン(こんなものつくるなっ!)もニチレイファンも(すっすめー!)「週刊プレイボーイ」は絶対に。目当てはもちろん吉野紗香さんの初ヌード、ではないけれどどう見ても下着にしか見えない(本当は違うのか、いや女性の下着にはさすがに詳しくないもんで)ブラにパンツの連続写真が無いようでもしっかり78センチはある膨らみと、細い腰と薄い腹を白日の下にさらけだしてくれていて、観察するだに「なんだガキじゃん」(当たり前だ)ってな思いを呼び覚ましてくれて、一段の心酔へと(ははははは)導いてくれる、のである。

 とまあ9割本気の冗談はさておいても、いつの間にやら16歳になっていた吉野さんだけに顔立ちにはさすがに大人の片鱗が見えていて、このまま育っても結構真っ当な女優さんになりそーな印象を持つ。少なくともいくら歳をとって顔立ちが大人っぽくなっても、体型がまんま「ぐがおっきい」な安達祐実さんとはやっぱり違う。たぶん今が大きな分岐点で、あとわずかに1年、遅くても2年たてば完全に大人の体躯と容姿になって、今は78センチがやがて87センチにも成長し、その頃まで流行っているかどーかは別にして、しっかり「だっちゅーの」ポーズを決められるよーになるだろー。そうなる日を夢みつつ、この日の「プレイボーイ」は布団圧縮機で真空パックにしてタイムカプセル(という名の押入)に放り込んでおきましょう。プレミアつくといーなー。

 東映まんがまつりっていえば「びっくりしたにゃ」な「長靴をはいた猫」からこっち(あくまでも僕的記憶として)ずーっと東映動画の作品って決まっているんだけど、今年の冬はちょっと違う、ってゆうかとっても違う。なにせあの身内意識が北京原人なみに高くって、時代認識の錯誤ぶりも北京原人なみな東映が、こともあろうに看板の(もっとも稼げるって意味でやっぱり看板だよな)「まんがまつり」で東映動画を切ったんだから驚きだ。かわりに出てきたのがイオンてあまり聞かない会社、だけどそこが今年の冬休みに贈る作品が、今や日本中の子供たちをとりこにしているんだから, 東映の事情だけを頼りに訝る何も解らないおじさんたちは(僕もですわ)、もうちょっと勉強してみた方が良いよ。

 話が周り道しそだから端的に言おう。ことしの冬、東映が満を持して送り出す冬のアニメ映画のプログラムは驚くなかれ「ビーストウォーズ」と「ビーストウォーズ」と「ビーストウォーズ」、つまりは「ビーストウォーズ」の3連発ってダイナマイト級の番組だぁぁぁ。さらに詳しく説明すればK,今アメリカで放映されて再びば爆発的ブームを巻き起こしているCG版ビーストウォーズの第2弾を少しと、今年の春まで日本でも上映されて今の人気の土台を気付いたCG版の第1弾、そして現在ふつうに放映中で子供たちの間では20%近い世代視聴率を誇っているのアニメ版のスペシャルと、ずぇーんぶ纏めて上映しちゃおうって寸法だ。これはもう秋から冬にかけて、恐竜ならぬビーストウォーズ・ブームが起こること請負だね。

 個人的にはアレだったCG版は意外にも子供たちには大人気で、おもちゃだって子供たちだけでなくおとうさんおかあさんがパズルの雰囲気を味わうためにこぞって購入しているのだとか。うれしいことにタカララでは、劇場版の公開に当たってもっともっと新しいおもちゃを、それもブリスターパックの形で送り出して映画を玩具売場に変えてしまおうってなことを計画中。これだけのバックアップがあれば会見でCG版の演出の人が言ったように、本当い「ゴジラとタイタニックともののけ姫を抜く」ことだって無理じゃ・・・いやさすがにそれは無理か。でも北京原人は軽くかーるく抜けるよね。

 記者会見では「ブーンブーン」ってなとぼけたテイストが好評ないぬちゃんこと加藤賢崇さんが司会を努めていて、台本にもないのにタカラの本多副社長にどうしておもちゃが品切れなのかを激しくつっこんでいがのが印象的だった。自身が出演していることもあるだろけど、実は熱狂的なファンで買えなかった恨みをここで晴らそうとしたのかもしれない。それから今や二枚目声では1、2を争う人気声優の子安武人さんが、地声でもやっぱりな美声を聞かせてくれた。

 「ビーストウォーズ」ではゴリラをやっている子安さん、「子供が幼稚園でお前のおやじ、ゴリラじゃんと言われて大変で」と話してくれて、なるほどそんな大きな子供がいるのかとショーックに別に受けなかったけど、普段はカッコ付けけたあまり表に出そうとしない声優さんの私生活が垣間見えて面白かったねえ。突っ込んだ賢崇さんエラい。

 ちなみに東映動画が狙っていたのが「ひみつのアッコちゃん」に「ギンガマン」だったという事は周知でもない事実だけど、面白いことに玩具をどちらもバンダイが出していて、かつてこーゆー映像をからめて向かう所敵無しだったバンダイが、どこか1つズレて来ているのかなって印象をほんのちょっぴりだけど感じた。変わってタカラは先の「ボンバーマンビーダマン」に今度の「ビーストウォーズ」、そして秋には超巨大な隠し玉を用意していて「ポケットモンスター」のトミーにも増して活気づいてるって感じだね。

shitagi  もちろんバンダイも今度はマーチャンじゃなくイベント性から商品を売る方向を模索していて、「ヨーヨー」に「キャスト」でとりあえずの成功を収めているところを見ると、それぞれがいろいろな所で新しいビジネスを模索している、大きな転換点に来ているんじゃないかって思えてくる。成功するのは解らない、けど個人的にはどこにも成功して戴きたい。と書けばお歳暮は玩具の山か。

 「スカイパーフェクTV!」ってグループ会社(向こうがそう思ってくれいているかは別)の「フジテレビ」が深く関与しているCS放送に、新しいコンテンツが加わるそのお披露目パーティーがあるというので「嫌々だけど」「仕事だから」出かける。エレベーターを登って会場にはいると、慣れないのかすでに明かりが消されて前の壇上のみが明るく照らされ、そこを新しいCS放送に出演している女優さんたちが次々と登場しては、美貌と愛想を振りまいていてこの世知辛い浮き世にツラさを感じて逡巡している身を、とてもとてもカタくしてくれた。

 何がカタいかって決まってるじゃんだって此のチャンネル、24時間アダルト専門チャンネルなんだもん。壇上に登場するのは全員がアダルト専門向けチャンネルで放映されるコンテンツの出演者たち。その彼女たちが吉野紗香さんと違って確実にアンダーウエアに見える格好で続々と壇上にあらわれて、切ないポーズをとってくれるんだ、もうカタくせざるを得んわな。

dattyuno  総勢およそ20人が登場してのランジェリーコンテストが終わって記念撮影と突入すると、もうすさまじいばかりの場所取り合戦にフォトジャーナリストたちの仕事の厳しさを強く強く確認。まあ仕事よりも自分のためってところもちょっとは9割くらいあったかもしれないけれど、とにかく怒声と悲鳴が飛び交うなかを抜け出して前に出てシャッターをカシャカシャ。28ミリから先へ伸びない広角では光も不足してピントも甘くなって良くは撮れなかったけど、中に何枚かウツクシい写真があったので「写真屋さん45」がくれた引き延ばし券で延ばして額に入れて飾ろーと誓う。お中元にはできんもんな。記事にも流石にできないとは考えたけれど、なにせグループ絡みの記事は段が3つ上がるってのの我がグループの結束の強さ(ははははは)、アカデミックにビジネスライクに記事にして、写真といっしょにデスクに出す。あとはあなたの判断だ俺は知らんぞ。


【6月29日】 「やおい幻論」を読んだ勢いで一気に榊原史保美強化週間へと突入、っても近所の本屋で見つかったのは「ペルソナ」(双葉社、1845円)1冊だけだったんでとりあえず買って読み始める。「この世界において宿命的ともいえる欠落を負っている多くの人々が、それを取り戻せる可能性を追求した結果、自分なりの形而上学らしきものに辿り着けた気がしたのです。それをテーマにした作品」(「やおい幻論」211ページ)と話す「ペルソナ」は、なるほどつまりはそういう意味を内包しているのだと知って読んだためなのか、単なる伝奇風なミステリー的趣向の面白さに加えて作者の情念みたいなものが伺われ、なかなかに心胆させられた。死に至る病でもない、たかが・・・と言って批判することはた易いけれど、悲劇の価値は客観的な相対じゃなく主観としての絶対によって決まるもの、なのでここは送り手の主観に少しでも近づく努力をしつつ、あと2、3度を読み返しながらその心の機微を追ってみたい。

 日販から届いた7月の新刊情報から何点か。コミックでは講談社から「カードキャプターさくら」の第6巻が出るぞー、と浜松に向かってひとまず告知した上で、個人的には朝日ソノラマから出る今市子さんの「懐かしい花の思い出」(760円)とか、文藝春秋から出るねこぢるさんの「ねこ神さま」(562円)あたりに買いを入れるかと当たりをつける。文庫ではダン・シモンズの「エデンの炎」(角川文庫、上下各640円)が大注目で、電撃文庫では栗府二郎さん待望の「NANIWA霊異記」(電撃文庫、530円)を要チェック、か。角川の「機動戦艦ナデシコ文庫写真集」、またろくでもねーんだろーなー、「エヴァ」ん時みたく。

 書籍では集英社から上梓な北川歩実さんの「金のゆりかご」(1900円)に角川からは歌野晶午さんの「ブードゥー・チャイルド」(未定)あたりがミステリーファンへのお中元かと。おっと森博嗣さんの「数奇にして模型」(880円)も絶チェックだ。けど同じ講談社ノベルズのラインアップに、7月発売なはずの京極夏彦さんの「塗仏の宴 宴の始末」が載っていないのはなーぜー? 幸いにしてまだ「支度」を読んでなきあら棚上げハシゴ外しな心境は味わってないけれど、ファンにはたぶんちょっと心配な7月、だねー。まあ7月は31日まであるってことで。

 西澤保彦さんの「猟死の果て」(立風書房、1600円)を読む。クィーンの「九尾の猫」を意識したミッシングリンク物ってことだけど、不勉強なSF者がクィーンなんか読んでいるはずもなく、原典落ちのサラな状態でのぞんでなるほどこーゆーのがミッシングリンク物なのかってな感想を持つ。とても結びつきそーもない事件のパズルを1つ、1つ埋めていく感じってゆーのか、どこか途切れていたものがスポっとハマった瞬間に全部つながる感じってゆーのか。

 冒頭でキレて暴れる刑事って設定は、だったらこれまで何年も刑事やっててどーしてキレなかったの、そもそもそーゆージコチューが警察官として採用された後に必ずやる派出所務めから抜けられるの、ってな意識が先にたってちょっと興醒め。ただこーゆー奴っているよねチェックな意味からすれば、こいつとか他に出てくる女子高生とかって現代人(げんだいびと、ってまだ「ナスカ」入ってるな)にありがちな性向として、よくピックアップしてる。あるいはそれほどまでに気に障ってるってゆーかー。

 宮部みゆきさんが「小説新潮」誌上で4年にわたって掲載した(っても年に2回だけど)体をはったルポルタージュがついに登場。その名も「平静お徒歩日記」(新潮社、1500円)は時代小説なんかに出てくる江戸の街を現代の街並みから探して歩いていきましょうってな企画で、始まった当初からそのギャグを交えた行動(というか行動そのものがギャグ)に深くふかーく感じ入って、毎回楽しみに読んでいた。

 あらためてまとまって読み返してみると、なるほど東京ってのは見ようによってはいろいろな楽しみ方があるってことがよく解る。何も六本木だ原宿だ渋谷だと、若者たちが集まる街をうろうろしなくたって、例えば家から近い墨田区江東区葛飾区台東区あたりでも、歩けばいろいろと楽しめるってことを教えられた。これから夏なんでちょっと遠慮したいけど、本所吉良邸から泉岳寺ってのは1度は辿ってみたいお徒歩コースですね。ケッタ運んでとろとろ走ってみるか。


【6月28日】 珍しく気がむいたので恵比寿にある「東京都写真美術館」へと向かう。昨日から始まった「エレクトロニカリー・ユアーズ 電子時代の新たなる肖像」は、タイトルのままにマルチメディアな機材を使っていわゆる人間の肖像作品がどんな変貌をとげているのかをつまびらかにする企画展で、会場にはいるとそこは真っ暗な世界にテレビのモニターやらホログラムやらスクリーンがあちらこちらに並べられ、そこかしこで電子の肖像が動きうなっていた。

 よく画家が肖像を描く時にその人の内面を表に引きずりだすっていうか、ただ写真にありのままに撮るだけじゃなく、特徴を誇張したり心を表情に出したりする一種の「主観」を混ぜたっていうけれど、電子の時代の肖像はその「主観」が1枚の静止画の上に定着させられるなんてことなく、さらに電子によって多面的非線的重層的多事的になっていて、見る者を惹きつけてやまない。たとえば入り口付近にあるマーティ・ジェームズのビデオによる肖像作品なんて、額縁で囲われたモニターの中で肖像映像(絵画じゃないよ)が動いてるって実に分かりやすい作品だけど、動かない肖像に託した画家の「主観」よりも、もっと多彩がつ多視点のアーティストの「主観」が、時間によって流れる映像の上に加えられていて、見る者に想像する余裕を与えない。

 パソコンを使って選択肢を選ぶことによってそれぞれに異なる会話がインタラクティブに進んでいく「ファミリー・ポートレート」って作品も、いかにもマルチメディア時代の肖像写真ってところ。仕組みは単純だけど遊んでいて突然「じゃあこれで」って会話が終わってしまう場面にぶつかると、たとえ擬似的であってもコミュニケーションを拒絶された気分になるのは、よほど普段から貧しいコミュニケーションしかしていないからなんだろー。とくにどっかの大学で経済学を学んでいる女性とか、細面でとっても美人でなぜかドレッドヘアの9歳の女の子との会話が途中で止まってしまった時の悲しさといったら、擬似的であってもそーゆーのに憧れてしまう、野郎な哀しい性なんでしょー。もっとも立ち直って再び挑めるのがインタラクティブな良いところ、って感じでどんどんとしつらえられたフィールド上の疑似体験に、のめり込んでいくのでありました。

 恵比寿の駅の本屋で久しぶりに荒木経惟さんの新作写真集を購入。2分冊になった「ARAKI IN WIEN」のうち、1冊はたぶんウィーンのギャラリーで開かれた荒木さんの大展覧会に出品された作品なんだろーね、んでもう1冊はウィーンに行った時に撮影した街の模様とか、展覧会の模様とかを収めた内容で、この2冊がセットになってあの画期的かつ世界的なイベントの模様がすべて堪能できるって訳、だよね多分。しかし東京の街を撮ってもウィーンの街を撮っても被写体に対する切り口ってゆーか接する態度が変わらないのが凄い。写っている物の違いが例えば街並みとか看板の言葉とか人の顔立ちにあって、そこにカッコ良さを見出してしまうのは、コンプレックスありありな日本人たる僕の主観でしかないけれど、撮っている側にそん気負いもなてらいもなく、淡々と切り結んでいくその仕業に微塵のユルギもないのが凄い。こーなれるまで後何年、かかるんだろーか。

 渋谷に回って「たばこと塩の博物館」へ。「甦るインドの伝統芸術展」ってのをやっていて、あのミティラー画界で最高と言われたガンガー・ディーヴィーさんの「上弦の月を食べる獅子」が展示されているのを久しぶりに見る。あの夢枕獏さんの最高傑作と僕が信じる「上弦の月を食べる獅子」はこのタイトルにインスパイアされて生まれた作品で、91年の来日の折りにディーヴィーさんが描いた2枚のうち、1枚が夢枕獏さんの家にあるんだとか。といかく細かい線で描かれたミティラー画は、モティーフこそとってもプリミティブだけど筆致は繊細で構図は大胆、ながめていてそこから感じる世界の奥深さに、時間が過ぎるのをしばし忘れて見入る。

 ミティラーじゃなくもう1つ、えっと忘れたやっぱり伝統芸術の1つで赤い土かなにかで固められたカンバスの上に白い土絵の具かなにかで原始的なデザインの人とか自然とかを描いていく絵があって、みかけ派手なミティラーに比べるとちょっと劣るかな、って印象を見る人に与えるけれど、なかなかどうして描かれたテーマの神聖なことといったら日本の曼陀羅にもまた欧米の宗教がにも勝るとも劣らない深みがあって、さすがに解説に頼るところがあったけど、やっぱり見ていて悠久の歴史を感じさせてくれる。入り口ではじいちゃんがペタペタとこの絵を描いていたけれど、もしかしてインドでも有数の作家、だったりするのかなー。どー見たってただのじいちゃんなんだがなー。

 公園通りをとことこと下って道路を挟んだ「公園通り劇場」の入り口を観察、とくに人が並んでいるって雰囲気もなかったけど、果たして今日の第3回目、第4回目の「トリスアギオン」はちゃーんとお客さん、入ったのかな。のぞけばのぞけないこともなかったけれど、さすがに連日聞くには重すぎるテーマなんで遠慮して帰宅の途に着く。途中榊原史保美さんの「やおい幻論」(夏目書房、1800円)を精読、侮蔑とまではいかないけれどどこか理解し難い現象と遠目で見ていた「やおい」な小説群にも実は、いろいろな姿があってかつそこで活躍する作家たちにもいろいろあるってことが解る。もちろん榊原さんが自ら「痛い思い」を覚悟して披瀝した自分が「やおい」を書く理由が、すべての作家にあてはまるとは限らないけれど、切り口として今後同種の小説を読んでみる、とっかかりを与えてくれた意味でとっても役に立つ。深い1冊。


【6月27日】 まったく休日だってーのに株主総会を開くなんていったいどこの企業だいほんとーにちゃーんと考えてくれているのかい、そーマスコミのことをってな本末転倒の感想は抱かなかったけれど、さすがに2週間連続の休日出勤それも前日には日本代表が不甲斐ない負け方をして元気萎え萎えな身ではモチベーションが下がってもしょうがない。かといって行かないと仕事にもならないので電車を乗り継ぎ曇天の降り出しそうな中を京急蒲田へと出張、駅前にある建物の4階で開かれているとゆーナムコにとって初の休日開催な株主総会へと向かう。

 エスカレーターを乗り継ぐとそこは別天地、ってちょっと大袈裟だけどでもやっぱり普通のシャンシャンな株主総会とは違うハッピーでキャッチーな雰囲気み満ちていてちょっと呆気にとられる。しつらえられた議場横の部屋に並べられたのはプレイステーションが7台に業務用ゲーム機が7台と、前の日曜日に開かれたスクウェアの40台には遠く及ばない。けどそれにも増してナムコが運営しているイタリアントマトのケーキ食べ放題飲み放題イベントが、会場に華やかさと彩りを添えていて、お父さんからお母さんからお嬢ちゃんからお坊っちゃんまで、ゲームをやって疲れたらケーキときどきナジャブと記念撮影ってな、ローテーションを組んでの遊びに熱中していた。このあたりさすがに自らロケーションを持ってマンツーマンで人を楽しませる術を心得たナムコと、ゲームとゆーメディアを挟んで向き合うスクウェアとの差、なんだろーね。

 なんてことを会場になぜかいた某スクウェアの人(彼だ)に言ってみたりはしなかったけれど、見るものを見たからきっと来年はそれなりに楽しい総会にしてくれるでしょー。気分的には同じ日同じ場所でどっかーんと合同株主総会なんて開いてもらっちゃったら行く方も楽だし子供たちだって大人たちだってもっともっと総会を楽しめるんじゃないかと思うねー。例えばどっかのシネマコンプレックスを借り切って、入り口いっしょで会場別々な総会を挙行し、子供たちは別のスクリーンで映画を見たりロビーでゲームをやって楽しめるんだ。2社じゃーちょっともったいないからもう2、3社巻き込めばもっともっと派手な楽しい空前絶後の総会になるぞ。提案しまーす。

 映画とえいばナムコに今回から監査役として加わった奥山融前松竹社長。言ってしまえばもはや今後は一種おまけの人生になるのかもしれないけれど、さすがに映画業界に長年君臨しつづけた人だけあって威厳もまだまだ血の気もまだまだ、息子が会社を作ってもらって社長に収まった事に「よーし俺も」と発憤し、ナムコでもきっとそのうち何かやってくれるでことしょー。にしても奥山さん、議場横の部屋でビデオゲームの「タイムクライシス2」とか「鉄拳3」とかにやたらと感動していた様子があって、国内でも屈指のエンターテインメント企業のトップを務めながらも世の中に起こっているゲームの隆盛にはとんと疎かったのかなー、だから映画も時代からどんどんとズレちゃってたのかなーなんて考えに思い至る。

 折良くオリエンタルなエコノミックのサッカー少年が「東映の岡田さんに見せたらきっと『北京原人』なんて作らなかったよね」と言って即座に同意。けどこーしたの見ていて「愛する」作っちゃうんだから、実はどっちもどっちなんだけど、ね。はしゃぐ奥山さんは日活の副社長の人と2人ツーショットでシールプリント機でポーズをとって写真。出てきたシールを大事に手帖に挟んで持ってかえったから、やっぱりこーゆーのって珍しかったんだろーなー。余ったシールをかっぱらってどっかに売り込めば売れたかな、なんて不純なことも考えたけれど、爺さんフェチな人ってのもそんなに多いわけじゃないから、売るに売れないとその場で翻意してあきらめる。でもどーするんだろー、持って返って。息子(和由くん)に見せるのかなー。

 頼まれたとはいえ派手に宣伝しちまった行き掛かり上、見ない訳には見て中身がまっとうか否かを確認しない訳にはいかない『トリスアギオン』を見物しに、渋谷にある公園通り劇場まで出向く。聞くところによると今週の頭ごろまで売れた前売り枚数が都合4回上演するうちの最も多い回で60枚、少ない回ではやっと30枚ってな惨状。だとしたらこんな坊主頭でも枯れてるけれど山の賑わいにでもあんればと思って、階段を降りて会場をのぞいたらとんでも8分アルクは杉並(意味不明)。300人近いキャパの劇場のほとんどが仕込みでも招待でもないちゃーんとしたお客さんで埋まり、いったいこの人たちどこから来たの、もしかして電通の金庫から盗まれたチケットをワールドカップのチケットと偽られてダフ屋から買って間違えて入場した人たちなの、ってな訳のわからん想像を巡らし、この1週間でいったい何が起こったんだろーかと推察する。

 不肖私めが電通から「盛り上げてやって下さいね」ってな話を聞いた直後に作った、資料を丸写しして絵もパクった手前勝手な応援ページのアクセス数は、この1ヵ月弱でようやく4000とちょっとを数える程度。といっても更新する度にのぞいてくれる人もいるし、何より自分で毎日のぞいているから延べではないネットの人数でははおそらく2000がやっとゆーところだろう。そこから実際にお金を出して見に行く人となれば100人もいれば多すぎるってのがインターネットを使った告知の世界の常識だ。となれば初回の純粋なお客での超満員に2回目のやっぱり普通のお客での満員の原因が、我が不公式なページで知ったというものであるはずがない。

 ついこないだ立ちあがっていた『公式WEBサイト』もあるけれど、これとてピーアール効果って点では不公式ページと事情はそれほど大差ない。おそらくこれは出演する横山智佐さんがラジオで「来てねー」としゃべったか、それともニフティなりメーリングリストでの告知があったのか、さらには土日を潰して電通の社員が配りまくったチラシが何らかの効力を発揮したのかなんて考えるけど、やっぱりはっきりした理由は解らない。会場に来ていたスタッフの人も首を傾げるくらいだから、これはきっとなんらかの力が働いて、どこかからか大勢の人たちをかり集めて来たに違いない。たとえばそう、人材派遣専門の「トリスアギオン」が出動したとか、ね。

 しかしこーなると残る心配は、これだけ人を集めておいて、出て来るものがポン酢だったら大変だぞ取り返しが付かないことになるぞって点だったけど、さすが才能たっぷりなスタッフが結集して、全霊を傾けて取り組んだ企画だけのことはある。リーディングドラマとしてはじめてこの世に姿を表した「トリスアギオン」の世界は、圧倒的なパワーと強固な意志を持って来場者の心の奥底へと忍び込み、かき乱して完全に制圧してしまったに違いない。2時間とゆー長丁場の舞台、それも映像もなければアクションもない、ひたすら椅子に座って台本を読むとゆー地味な舞台であるにもかかわらず、ほとんどの観客が前を向き耳をそばだてて読み上げられる物語の世界に聞き入っていたことからも、それは十分に証明できる。

 月曜日のアトラスの記者発表で声をかすれさせていた横山さんに、週末の本番は果たして大丈夫なんだろーかと心配したのもまったくの杞憂。つかつかっと登場して椅子に座って発声した声の通ること響くこと、さすがに声優でも今1、2を争う人気者にして実力者だと感じ入る。軽い感じ幼い感じをやらせてピカ1の横山さんだけど、この「トリスアギオン」では徹頭徹尾、凛然としてけれども心に弱さも持った悩み多き女子高生を演じていて、時折苦しそうな表情を見せながらも台本を食い入るように見て1つ、1つ言葉を発していく姿と重ね合わせて、それだけ本気にこの作品に取り組んでいるんだなーってことを強く感じる。仕事、だけど好きな仕事と公式ページでもコメントしているよーに、のめり込んでいる様がその場にいる人たちにビンビンと伝わって来て、観客にその姿から目をそらすことを許さない。

 物語はこっちのイントロダクションにもあるよーに、人工衛星が墜落した街で人ひとり救うことのできない自分の力の無さを痛感した少女が、舞い降りて来た全世界規模のお助け組織「トリスアギオン」の活動に打たれて、入隊を果たすまでを描いたものだったけど、ヒロインこと沖野ミミカがモノローグで語る、この怠惰でのんべんだらりとした世界が予想だにしない事故によって崩壊しつつあることへの第3者的な視点を通した懐疑とかには、今ここにこうして存在していることの意味なんかを感じさせられて、ちょっと胸が痛くなった。が、それすらも甘く思えるくらいに、「トリスアギオン」は世界の理不尽さを観客につきつける。それはこの世の誰が悪と正義を決めるのか、でもって自分は悪なのか正義なのかってことだ。

 インターミッションを挟んで展開された第2部、ミミカが「トリスアギオン」に入隊して初めて出動した仕事でつまびらかになる「トリスアギオン」の闇の部分。観客は正義と悪にまっぷたつに割ることのできない世の中のフクザツサを見せられ、いったいどうすれば良いんだ、何が最善なんだと物語からではなく自ら考えることを問われるだろー。大勢の人を救うためにひとりの人間が犠牲となることは是か非か。古来より幾度となく問いかけられて来た命題をここで再びつきつけられて、観客は主人公といっしょに悩みながら少しづつ真実に、たぶんそれぞれに異なる真実に近づいて行くことだろー。

 どちらにしてもまだ始まったばかりの物語。とにかく金がないのとスポンサーがいないので、今後どーゆー展開を見せるのか電通すらも解らないそーだけど、ほとんどの観客がアンケートを漏らさず記入して帰るだけのインパクトを持った作品だ。遠からず何らかの形で絵となるか、音となるか映像となるかして、僕の前に姿を表してくれるだろー。微力だが、応援していく。そしてもっともっと大勢の人たちが、この理不尽さに満ちた世界でそれでも人を救う事に邁進する、アニメ業界でも稀にみる「真っ当な」(じんのひろあきさん)物語に触れて、その世界を膨らませるのに知恵や力を出してやって頂きたい。勝手にドラマ作っちゃうのもアリだよね。公演は残る28日の2回。今はじめて「チケットまだあるかなー」と心配になったぞ。


【6月26日】 半年の放映が終わってちょっぴり徒労な「星方武侠アウトロースター」。もっともっと人間存在の根本に振れるよーな深みと広がりのある話になるのかなー、と思ったのにジーンはひたすらメルフィナを助けることにかまけ、オーバーロードっぽい存在の残した「銀河の龍脈」の謎に迫ろうともしないし宇宙を手にする可能性と好きな女を犠牲にする可能性を天秤にかけて葛藤するなんてこもない。もっともっと展開に余裕を持たせて、登場人物の気持ちを積み重ねてく段取りを踏むだけで、こっちの気持ちも登場人物たちにもっともっと入ったんじゃなかろーか。猪突猛進のジーンに振り回されて大団円にハッピーじゃあ、いくらお約束でも「ガガガ」のよーなカタルシスがてんで感じられない。ってもLD買い始めちゃったから最後までつき合わざるを得ないだけで、残るは鈴鹿の妖艶さを、保存し愛で楽しむだけに残りの10枚をつき合っていくか。LD版ディレクターズアップが欲しいなー。

 マストバイ、だぜ「フライデー」。理由は言わぬが花であり、また沈黙は金でもあるのだが、嬉しい気持ちに声に大にして言わずにはいられない。そうヒロスエの白、だよこれを見るために、不純な気持ちでポケットから270円を取り出してキオスクのおばちゃんに叩きつけた同好の士が、世界におよそ100万人はいたことだろー。えてしてこーゆー気持ちはスカされる場合が多いけど、今度ももちろんほんの一瞬ではあったけど、とりあえず確認できるくらいに白を見せてもらえたから、それだけでこの「フライデー」は2700円の価値を持つに至ったと断言しよー。ここの写っているのがすべてなのか、それとも特別号向けにもう少しはっきりしたのを取り置いてあるのかは解らないけど、後者だったとしても決してダマされたとは思わない、むしろそーであって欲しいを願う同好の士がやはり全世界に1000万人はいることだろー。だから、頼むぞ「フライデー」。ついでにヒンギスのポロリにも期待だぁぁぁぁ。

 てこてこと渋谷道玄坂の「クラブアジア」に向かう。昼間であっても道玄坂は歩いていて(ゆうべはあそこでいいことが)なんて思いがムラムラと頭にたまって健康によくない。が仕事なので気持ちを切り替え、クラブの中に入ると流れて来たのはあー懐かしいイエロー・マジック・オーケストラの「テクノポリス」ではないですか。思えばまだ中学生だった自分、親譲りお無鉄砲がたたって学校の2階から飛び降りないけど一週間ほど腰も抜かさなかったけど、YMOだけは友人にレコードをカセットに落としてもらって粗末なステレオラジカセでガンガン聴いていた記憶がある。ジャンボなロンゲの某氏が某所で「周囲でYMOを聴いていたのはボクだけだった」って喋ってだから自分のソフトを誉める奴ぁエラいってなことを言いたそーにしてたけど、あれだけ流行った音楽を周囲で聴いてる奴がいなかってこたあ、よほど周囲に友だちが少なかったんだね。

 なんてツッコミはさておいて、昼間のクラブで開かれたのはアルファレコードが企画制作をしてアスクが7月1日に発売するYMOのCD−ROM「セルフサービス」の発表会。前にも書いたけれどこのCD−ROMの凄いところは全部で12枚出たYMOのアルバムに入ってた114曲を、すべて1枚のCD−ROMにそれもフルコーラスで収録したってこと。中島みゆきさんの「なみろむ」がこっちは曲数が倍はあるから仕方がなかったとしても、1コーラスだけでユーザーには起ったところで閉じられた、んな欲求不満もたまっただろーから、潔くフルコーラス全曲ってのは、精神的にも相当に気持ちの良い作品に仕上がっているんじゃなかろーか。

   さらに凄いのはインターフェースの斬新さにおまけメニューの豊富さ。あれやこれやいじって楽しいけど直感的に解るメニュー画面のインターフェースは使い手に優しい配慮だし、そんなメニューを動かしたが最初、デスラーな声で伊武雅刀さんが「みなさんこんばんわ、ももないです」なんてやってくれる画面に行き着いて、寒いけれど懐かしいギャグに涙腺をゆるゆるにされてしまう。ああ懐かしいなつかしい。2枚組の2枚目には音源をいじくって自分だけのYMOサウンドが作れる「楽曲リミックス機能」とか、ライブステージを3次元で再現したコーナーとかが入っていて、音楽にちょっぴりゲプッとなったら切り替えてお遊びに浸れるってことろが実用的でなかなか考えてある。

 データベースっぽい造りの1枚目には音楽はもちろん秘蔵映像にカルトクイズが盛りだくさん。けどそれを越えてあまりある輝きを放つのが、「メンバーこだわりのフォトギャラリー」とゆーコーナー。会見で実はこのコーナーに使われた写真は、80年代初頭のYMOが大全盛だった時代に発売された「OMIYAGE」ってフォトアルバムからとられていて、そのために制作会社の担当者は、自分が大事に持っていた今は1万円とかのプレミアムがついているこの「OMIYAGE」を、ばらし切り刻まざるを得なかったとか。ああ聴くも涙の物語、だねえ。

 ちなみに最初に当たったこの本を担当した編集さんは、サラのを今も3冊は持っているにも関わらず、CD−ROM屋さんの申し込みを頑なに拒否して値上がりを待つ方針を貫いたとか。すかさず司会が「ひどい話ですねえ」とかいったニュアンスのツッコミを入れたけど、その片を曖昧に笑ってごまかしたのはやっぱり業界に生きる処世術、ってことなんだろーか。ともあれもらったサンプルはパワーPCネイティブだったりして許せんけれど、絶対にお得なのでファンは(元ファンも)買うよーに。たとえ680×0系ユーザーでも、いつか見られる日のために。

 アスキーで株主総会後の記者会見。社長の人にどーゆはずみでかなってしまった鈴木さんが、現在懸案の銀行からの借金の帳消し、じゃない棒引き、でもない私募CBへの転換話がなんどかどーにかまとまりそーな事になっていて、あとはリストラだぁってなことを静かだけど芯の強そーな声で話してくれた。ここでアスキーが取り組んでいるこを説明すると1つは業務のリストラで、出版とエンターテインメントと教育にリソースを集約して他はグループ会社との連携を計るってな方針を立てた跡で、今度は利益をいかにして挙げるかってことに取り組んでいくらしー。

 乾いた雑巾であっても絞れば水が出るの故事(ではないけど)に倣ってか、出版で利益を挙げるために原価率の低減に取り組む方針を高らかに宣言、ってことはこれまで使って当然だったお金が使えなくなるってことになり、古株で自由奔放さに今もアスキーとつき合っている人たちが、金の切れ目は・・・と逃げ出し始めるかもしれない。そこまで極端なことはないにしても、今後は相当い経費とかうるさくなりそーなので、働いている人にとっては厳しい夏と秋になりそーですね。あたしゃもとよりゼロに近い経費のもとで働いて来たから、増えようがなくなろうが一向にこたえないんだけどね。あんまり嬉しくはないんだけどね。

 魂が入ってない日本チーム。たらたらと試合やりやがっておまけに1点をとられて絶対に2点はとらなくいけないって段階で、後退したロペスに魂が芽生えてチームを前向きにしたのは素晴らしかった。けど遅きに失した。平野が不発だったのは残念だけど、それ以上に決定力とか精神力の点で不出来な城を、何故にずーっと使い続けたのかが今後の日本チームが強くなるか弱くなるのかを占う上で、結構なポイントとなるだろー。どっちにしたって次のワールドカップでも油の、乗った20代後半の城なんかが、中心になって大きな顔をして出ていたりするんだろーね。柳沢の代表入りと小倉の復帰を今ほど切望したことはない。ゾノぉぉぉぉぉ。


【6月25日】 えっ。と思った「トライガン」、服を着たときはベルトみたいなのでグルグル巻きにされていて、脱ぐとどこか取って付けたよーな感じになっていたヴァッシュの左手にあんな秘密があったとは、きっと原作者でも知らなかったんじゃなかろーか。はないとしても、こないだ出たばかりの新しい「トライガンマキシマム」にも、それから昔出た「トライガン」の第1巻にも第2巻にも、あんな描写なかったもんね。ニコラス・D・ウルフウッドの十字架のギミックは原作と違ってチマチマしたところがあってあんまし評判良くないけれど、ヴァッシュの左腕の秘密はその手首が下がった時の形の珍奇さに「トライガン」さが見えて好き。どーやって動かしているのか解らないのは別にして、ね。

 けど旧「トライガン」の第2巻終わりまで来てしまったテレビ版、さて今後どーなるのか心配したりもしているけれど、きっとおそらくは間もなく出るであろー書き下ろし分もたっぷりな第3巻がそのまますぐさま映像化されて、きっと動き出してくれることだろー。ってことは未だよく解らないナイブズとの関わりも明かとなって「マキシマム」では唐突に事後譚のみ描かれた「フィフス・ムーン事件」も何があったのかが白日のもとにさらされ、メリルとミリィの2人組との邂逅と別離と再会の物語へと、怒涛のごとく繋がっていってくれるものだと信じたい。けど、でも残り話数を考えるとあるいは旧「トライガン」で終わってしまう可能性もありなのか。現役続行の漫画を原作に持つアニメの難しいところではあるけれど、だとしらたここは奮発してテレビ東京、原作が続く限りアニメも続けて結末までシメて頂きたいものですね。

 やはり国民の義務なのだろう「ダブルキャスト」(SCE)を買うのはアニメの国の住民にとって絶対に。すなわちフルボイスフルアニメの画期的ゲームは、その名も「やるドラ」と呼ばれるよーに真実の意味でのインタラクティブ・アニメーション、個々の心理に体温に気分が左右する異なる展開異なるエンディングへの道筋を、ハマればきっと夜通しかけて解き開かそーと務めるけれど、今はとにかく普通の会社員生活が待っているので、ジャケットを見るだけで残りは週末の楽しみとしよー。んなことはお構いなしと、壊れた助教授はすでにハマっているのかもしれんが。

 見た目はいかにもなキャラクターが痛そーな青春物語を繰り広げるっぽい内容。キャラの顔も正面からだとミスマルユリカも吃驚なまん丸目玉でナナメからだと頬が膨らんで顎がトマトみたいにチョンと尖った流行顔。ボク好きする絵柄に果たしてどれだけのファンが付くのか外野的な興味があるけれど、2枚組4800円とゆー値段は開発元に言わせると5万とか10万じゃーとてもペイしないそーで、ってことはつまり20万とか30万とかは売れると踏んでの値付けってことで、アニメといえばコアなファンにしか受け入れられないってな先入観を崩し葬り去るだけの、普遍性のある中身を備えているんだろー。純文っぽい絵柄の「雪割りの花」は逆にアニメファン向けっぽくない絵柄に大丈夫かと心配してるけど。

 これも国民の義務なのだ「もののけ姫」のLDを買うのはオタクの国の原住民(人はオタクとして生まれてくるのだ)として完璧に。東宝にある一番小さな試写室のとっても小さな画面で見ただけで結局大きな画面では1度も見なかった「もののけ姫」(だったら行けよまだやってるだろ)、それよりさらに小さな14インチの画面でどれだけあの迫力を体感できるのか心配ちゃー心配だけど、前にもらったサンプルビデオに入っている予告編を流しても、音と絵と動きと声に結構は臨場感を感じちゃったくらいだから、物語に没入していけば流れのままに楽しみ喜び泣き怒る、映画館では周囲が気になって逆に味わえない感動を覚えるおとが出来るのでは、なんて思っているけどホントはどーだか解らない。田中裕子の重みのカケラもない「うてーーー」のセリフで、笑っちゃうかもしんないし。

 けど本当に本当な国民の義務は「少女革命ウテナ」のLD最終巻を即買いして「ダブルキャスト」も「もののけ姫」もほっぽって真っ先に見ることだったりするのだ薔薇の王国で永遠にディオスであることを夢みつつも現実には齢(よわい)を重ね狡く賢く生きていかざるを得ない未来もなく明日すら見えないこの行き詰まった国に住むすべての国民にとってもう絶対かつ完璧に。録画してあるビデオで何度見てもその度に新しい発見と新しい疑問の得られる作品、だからあらためてLDで見返してもやっぱりウテナはぬるま湯の学園で王子さまごっこをしている暁生にすっぱり見切りをつけて幸せなその後を生きているのか、それともアンシーを助けられなかった後悔に苛まれどこかをさまよい迷っているのか結論はやっぱり出せない。

 がしかし、少なくともアンシー1人は自らを革命できたエンディングを拠り所に、出演者たちの感情の起伏を踏まえつつ、最初から見返してみるのも良いかもしれん。どっちにしたって週末の一仕事ってことになるけれど。後は鋭意製作中とゆー劇場版に期待だな。どんな話になるのか今もって情報は全然聞いてないけれど、願わくばセガサターン版「いつか革命される物語」みたいな枝編っぽい展開つまりはこの壮絶なラストが予定されている物語ではない、劇場版「ナデシコ」みたいなちゃーんとした続編にして頂きたいものですね。劇場版「ナデシコ」あたりで予告編流れるのかなあ。しかしカップリングのミュージカルにはちょっと冷や汗。絵で見る気連とナマモノがやる見栄じゃーやっぱ恥ずかしさの度合いが違うなー。場の雰囲気場の勢いがないとちょっと見てられない。関係ないけどちょっと太いぞアンシー。歌は上手いのになあ。


【6月24日】 薄いなあ。と思って見ているのは取材先のJTBに貼ってあった「ルックJTB」の夏のキャンペーンポスターに登場している佐藤藍子さんだったりするけれど、いったい何が薄いのかは言わぬが花ってもんだ。けどねえ、ぐんと突き出したポーズをとってるんだから、もうちょっと厚みとゆーかボリュームがあったって良いと思うんだけどね。あるいは本当に昔やってたドラマの「変」みたく・・・・嫌々まさかそれはあるまいあったら困る。個人的には山田まりあがパイレーツでも、あるいは葉月里緒菜が広末涼子でも(ってこっちに入れてて良いのか?)関係ないから、せめてないものは付いてなかったりして頂きたい。確かめられないのが歯痒いなあ。

 と、のっけからお下劣な話題で盛り上がろうと思ったけれど、さすがに相手は天下のJTB、なのでごくごく普通にこないだから話題になているワールドカップのチケット問題についてあれやこれやと話を聞く。なんでもJTB、ほかの代理店がアルゼンチンはもちろんのこと、クロアチア戦もジャマイカ戦もチケットが確保できずにツアーを取りやめているなかで、アルゼンチン戦をのぞいてどちらもしっかりと2000人強づつツアー客を送り込み、100%の確率でちゃーんと試合を見て貰っているのだとか。JTBで申し込んだ人、寄らば大樹、巻かれるなら長い物の理とちゃーんと知ってたんだね。

 報道なんかだと(ってうちも報道機関なんだが)結局ニッポンの代理店はどこもやられっ放しでクロアチア戦でもジャマイカ戦でもお客さんに迷惑をかけたよーに伝えられてるけど、中にこーしてしっかりやっているところもある。けどそーゆー所は持ち上げず、マイナスばかりを見せて煽動するのが事大主義なマスコミの悪い癖。騒動があってはじめて生き生きし、騒動が静まったらパタっと取りあげなくなるマスコミ人の哀しい性。だからJTBさん次からは佐藤藍子さんをスポークスマンに起用して、恋人騒動でも起こすフリして芸能ワイドショーの生中継に登場させて、そこで「チケットは(アルゼンチン戦以外は)ぜんぶある」とでも言わせた方が良いですよ。「胸はないけど」。いやだからそれは言わぬが花だって。

 しかし最近はマスコミっていっても昔みたいに頭でっかちで硬直的で高飛車で意地悪、じゃーないみたい。23日の朝日新聞に掲載された、中日新聞の記者が「観光と産業」という広告特集のために広告をとってくるのを是とするか非とするかで問題となっているとゆー記事が掲載されていたけれど、これをして記者が広告を取っている会社があることを、事実として認識せよと説く柔軟かつ低姿勢なマスコミがある。だからなんだと論評する資格も気概も今の僕にはないけれど、これから未来に向かって希望を持っている人がいたら、つまりはそういうことなんだと、教えてあげることは僕にだってできる。国立西洋美術館前庭に置いてあるロダンの作ったあの門を、あなたはくぐる勇気がありますか。僕たちはもう、くぐってしまっているのかもしれない、あの門を。

 おもいっきり間抜けとしか思えないのがフジテレビ系のCSチャンネル「フジテレビ721」が放映する”日本発のオタクチャンネル”と唄った「地球防衛放送パンドラ」。なんでも「オタクは粋や通であるととらえ、あらゆるジャンルのオタク中のオタクに向け、情報を発信」する番組だそーで、「スカイビューティーズ」と銘々されたコスプレギャルたちが視聴者を刺激してくれるんだとか。はいはい確かにオタクを粋だ痛だと認めてくれるのは有り難いんですけど、それは自認するものであって決して権威筋から押しつけられて喜ぶ価値観なんかじゃない。そもそも千差万別十人十色なオタクの価値観を、テレビなんてマス向けの媒体が括ろうってのが間違いで、逆に括られたら括られたで、そこから逸脱してさらに外へ、あるいは深く趣味を深化させるのが「粋」であり「通」の取るべき道なんじゃないかと思う。

 もちろん番組自体がどんな内容になるのか現時点では知らないし、あるいは本当に僕たちが認めるオタク中のオタクが登場しては、毎週濃く深い話を聞かせてくれるのかもしれない。けど登場するコスプレギャル1つとっても、単なる防衛軍風コスチュームに身を包んだ、実はオタクでもなんでもないただのキャンギャルを登場させているような番組だもの、内容も押して知るべしって印象を今は持ってる。こんなギャルたちにしたり顔で「ボクちゃんたち可愛い」なんて寄って来られた日にゃー、ナイーブな奴ぁ逆に引いてしまうぜよ。これが少なくとも全員なんらかのキャラクターのコスプレだったら、細かなミスを指摘しては自らの知識をひけらかして、精神的に優位に立って溜飲を下げ怨念を浄化させることができるんだけど。どっちにしても7月6日は番組は始まるから、まずは中身に注目だ。CS家じゃー見られないんだけどね。

 バンダイビジュアルがエモーションレーベル15周年を記念して続々と復刻しているLDの中から「トワイライトQ」を買う。本来はシリーズだったとゆーその第2作目にあたる、押井守さんの「迷宮物件」についてはLD−BOXの「セブン・ドッグ・ウォー」に入っているのを見てるんだけど、第1作目については噂のみぞ知るって感じで(何せ当時はビデオもLDも持ってなかったもんな)、伊藤和典高田明美のコンビが描く世界がいかなるものか、関心ばかりが先ばかりしていた。もしかして「うる星やつら」みたいかなあ、それとも「クリィミーマミ」みたいかなあ。

 で、はじめて見た「トワイライトQ」の第1話にあたる「時の結び目」は、なんといーますか心に痛い作品でありました。たぶん昔だったら「SFだあああ」なんて感動に打ちふるえつつ、時の旅人たる少女の行く末に一喜一憂していたことでありましょーが、今だと単なるタイムトラベル物、それも一切の脈絡もなく意味もなくましてやストーリー上の意味もなく、ポンポンと時を旅する少女の物語に過ぎ去った時の長さを感じました。アクエリアスがね、昔の缶なんよね。その点贔屓目も入るけど押井さんの「迷宮物件」は未だに「SFだあああ」と叫べる物語。絵のクオリティーといー落ちの鮮やかさといー、今見ても古びた感じはほとんどなく、逆にアニメブームでどーでも良い作品が濫造されている今だからこそ、ひときわ輝きを増す作品でもある。

 折しも「WIRED」で押井さん、自分のコラムで「迷宮物件」を挙げて今があるのもこれがあったお陰と書いている。ならばと思って見返すと、なるほど長いセリフの間を止め絵でつなぐ手法とか、リアルな街をぶつ撮りするかのよーにコラージュしてつないでいく手法なんかは、その後の楽と粋を両立させた作品群に確実につながてちる、よーな気がする。プロが見ればもっと別の絵とかテーマとかに話が及ぶかもしれないけどね。ともあれ再発なった「トワイライトQ」がその画期的なテーマによって再び認められ、こーした作家性を前面にうちたてた作品を何人かの監督に撮らせていくプロジェクトが、今ふたたび動き出してくれればもっと面白いことに出会えるんじゃないかと思う。鵜之澤氏も生き返って時折ビジュアルに出入りしていることだ、ここは持ち前の陽気さで上も下も説得して、再びの「トワイライトQそれから」を見せて頂きたい。もんですね。


【6月23日】 ははははは。いやなに固有名詞を間違えるのはお互い様で、先だっても間違っていたのをコッソリ尚して(直して)いたりしたんだけど、さすがに表の新聞でこーもいけしゃーしゃーと間違えられると、かえって嫌がらせ的な確信犯じゃないかと思えてくるよね、日経産業新聞様。ヒット商品の裏側を探るコラムがマルチメディアコンテンツ関連の面にあって、23日付けで例の吉備団子、じゃない「ポケットピカチュウ」が取りあげられていた。何故かチェーン付きで。

 記事自体にはとりたてて異論もなければ反論も反感も嫉妬も悪意もないんだけど(善意は毛頭ないが)、商品の名前がすべて「ポケットピカチュー」になっているのには参った。昔も「甲殻機動隊」って間違いがあってコケた記憶があるけれど、今回のはテレビ東京の親会社が犯した間違いだけに、ちょっとやそっとじゃすまないよーな気がしないでもない。まさか子会社が世間を騒せたお陰で自分たちも迷惑した「ピカチュウ」のことなんて、絶対に書きたくないよって強力な意志が「ピカチュー」で統一する結果にでもなったのか。とすれば日経、これでなかなか狸みたいに執念深い会社だね。

 月例なメディコムトイからの新製品案内に今月は「ブラックジャック」と「ドクターキリコ」が登場。見た目アニメのキャラクターを起こしたよーな精悍な顔つきの白衣姿の「ブラックジャック」と、やっぱりアニメ版って感じがする(ホントは何を土台にしたのか知らないけれど)悪辣な表情(マンガ版は悪辣とゆーよりシニカルでクール、だかんね)「ドクターキリコ」が、来月12日から9月27日にかけて秋葉原の第5電波ビル地下1階−3階を使って開催される、「手塚治虫ワールドショップ」の会場で販売されることになったとか。そんなイベントが開かれることすら知らなかったけど、メディコムトイがフィギュアを出すってことは他にもいろんなグッズ類が即売されるんだろーね。だったらピコノのビニール人形(大人バージョン)が欲しいなあ。ピノコ本体はちょっとほら、レバー食えなくなるんで遠慮したいけど。

 さて「ブラックジャック」と「ドクターキリコ」は高さがともに約30センチで、ブラックジャックは例の服の上から白衣をはおって鞄にメスも付属する。ドクターキリコは注射器のオマケが付いて来るそーで、中身が全身稼働の素体だから、あんなポーズこんなポーズもお手の物。値段は各9800円で、これがお買い得か否かはファン度の違いにもよるけれど、ここでしか手に入らないって意味で、それぞれが人気キャラってこともあるし、それなりの人気は出るだろーね。会場に来れない人のために、ショップの「1/6計画」でも通信販売予約をやるそーだけど、受け渡しは10月以降になるから、早めに愛でたい人は早めに予約して、25日(だったかな)の発売日の即ゲットだ。ファンなら2体ともそろえて対決シーンを作ろう。メス対注射器1本勝負、だね。

 雑誌「ユリイカ」に連載されたエッセイをまとめた須賀敦子さん最後の本になるであろう「時のかたち」(青土社、1600円)が発売されていたので即座に購入、読みながらその淡々と、けれども技巧を駆使して言葉を組み立てた文章に恐れ入り、これほどの才能を失ったことへの悲しみを新たにする。欧州の都市を舞台に見たもの聞いたこと会った人のエピソードを積み上げて、思い出を語り文化を批評し死を恐れて生を喜ぶその1文1文に、筆者の数奇な人生経験を越えて響く、人間にとって普遍不可避である「生きていくこと」の大切さを学ぶ。これでもう本当に読めないのかと、少しだけ悲嘆にくれながらも、手元に残った数冊の須賀さんの本を枕元に、これら珠玉の言葉の森を作ってくれたその業績を、讃え改めてその生涯を讃えたい。安らかに。

 主宰者の色香に惑わされて、ってのは全部じゃなくって一部だけど、こないだのAMDのパーティーで紹介された山口裕美さんがやっている「トウキョウトラッシュ」のアートセミナーに、佐賀町の食糧ビルでギャラリーを構えて、優れた現代美術家たちを紹介している小山登美夫さんが、講師としてやって来ると聞いていそいそと参加、ハイソかつイハイブロウな人たちに交じって、小山さんが過去に手がけた作家たちの話とか、海外で見たギャラリーの展覧会やコレクターの家を撮影したビデオを見る。とくにコレクターってのがハンパじゃない規模で部屋に現代美術を並べているのには感嘆、これぞ金持ちーってな雰囲気に、けれども未だ定まらない頃から現代美術を買い集めていった先見性を加えて引いて、向こうのコレクターの本気度本物度を伺い知って茫然とする。それにくらべてこの国は。

 「プロジェクトKO2ちゃん」の村上隆さんを筆頭に(っても個人的に好きだから筆頭にしただけなんだけど)、太郎千恵蔵さん、奈良美智さん、杉戸洋さん、落合多武さん、桑原正彦さんら従来の学校教育的名画鑑賞の世界からは1線も2線も外れた人たちばかりを紹介している「小山登美夫ギャラリー」が、いかなる基準で作家を選んでいるのかは誰しもが興味のあるところで、その点について小山さん、「美術的言語とは違う言語を使った作家たちを扱いたかった」と説明してくれた。たしかにイラストともいえガレージキットともいえそうな、美術の文法からはどこかズレた彼らの作品群、とても教科書なんかに載りそーもないよね。

 それでもやっていけるのは、「良い物は良い」と言い切る自信とそれだけの実績を小山さんが持っているからで、実際ここに上げた日本人の作家たちは、ほとんどが作品を売り切るだけの実力と人気を兼ね備えいて、とくに海外での評価が高くって、別にクロフネ礼賛主義者ではないけれど、ガイアツに弱い日本人気質を擽って、何かすごい人たちなんだと世間に思わせることに完全に成功している。ただし来月末に予定されているミスターこと岩本正勝さんの展覧会だけは、笑われるかもしれないなーと小山さんも今から少々ビビり気味。なにせ作品がまるでへたくそなアニメ風のイラストだ。たとえば絵の綺麗なゲームを紹介している人たちにとって、その稚拙さはほとんど罪、といって良いかもしれない。

 それでも「アート」として発売された時、絵の稚拙さは要素であっても絶対条件ではないらしい。ややもすれば強迫観念の赴くままに、レシートの裏側に少女の絵を描いていくミスターの「行為」全体を、「アート」ととらえることだって可能だろう。けれどもアニメやゲームやコミックで美麗な絵に親しんでいる人たちにとって、ミスターの絵はあくまでも下手っぴーな絵(でも新策のセル画っぽい少女は結構上手い)でしかなく、純粋に職人芸、技術としての絵としてミスターの作品を認識出来うる人たちが、アートという半ば「権威」にお墨付きをもらったともいえるギャラリーでの展示に、どんな罵詈雑言を浴びせるのか、個人的にはちょっち興味がある。

 アートの隆盛を歓迎するハイブロウな自分がいながら、一方にゲームもやってアニメも見るしマンガだって読むオタクな自分もいるという複雑なメンタリティーでは、どっちつかずのどっちにも媚びた評価になってしまうので、ここは純粋に良い絵か悪い絵かと、何のしがらみも知識も葛藤もなくミスターの作品を断言できる人たちに登場してもらって、ギャラリーをのぞいて頂きたいものですね。あるいはオタク系から大絶賛を浴びせて、あまりの評判にかえってアートの側を不安に陥れてしまうのも面白いかも。個人的には再び例の蒟蒻パフォーマンスを見せてもらいたいけれど、あれって臭いんだよね。


【6月22日】 螢マックとかおにぎりマックとかいろいろ呼び名が浮上したよーだけどiMAC、親本が世界でもっとも給料の高い雑誌社に買われてしまって、ますますもって天下の権威な雑誌「WIRED」が、いよいよもって正式に「蚊取りマック」と「世界新語発見」で命名。やっぱあの色艶形は他に呼びようがなかったってことでしょう。以後は本新聞でもならって「蚊取りマック」と呼ばせて頂くことにいたします。

 個人的にはアレが発表になった時、目の前のLC575がそろそろお釈迦になりかかっている関係で、出来れば買いたいなーと思ったけれど、結局は他にLD−BOXとかLD−BOXとかLD−BOXとかLD−BOXとか買いたい物が山と出て来て、とても夏のボーナスでは足りそーもないので、とりあえず今回は見送ることにする。まー所詮は夏がシーズンの液体蚊取り器だから、秋にでもなればワゴンに山積みになって値段も2割程度は下がるだろーから、その時に近所のスーパーでまとめ買いしてやろー。中身は水性の60日タイプがいーな。

 3月の終わり頃に試写を見て以降、社内で散々っぱら吹聴しまくったお陰で約1名を折伏に成功、先の週末に渋谷シネマライズに見に行った彼は、週明けには完璧な「ムトゥ踊るマハラジャ」ファンになっていて、僕がこないだポニーキャニオンで撮影した生ミーナ様さま様の写真を、是非ぜひ焼き増ししてくれーと頼んで来た。でもこのミーナさんちょっとお腹がナンだったりするから、もらうなら下のサンスポで撮影した奴の方がいーんじゃないかと思うよ。

 しかし地道な折伏よりもさすがは天下に名だたる「WIRED」、他の雑誌がよくて映画紹介のコーナーだけなのにも関わらず、なんと編集長自らインドへと飛んで大取材を敢行する気っ風の良さを見せている。主演のスーパースター・ラジニカーントへのインタビューはもちろんのこと、マドラス近郊の映画産業のレポートから最新作「ジーンズ」のレビューまで、実にいたれり尽くせりの内容でもって、日本の中枢を担うエスタブリッシュメントな読者に、どんどんどんと「ムトゥ菌」「マサラ病」の感染者を増やしている。

 発売なった月曜日にこれを読んだエスタブリッシュメント、そこまでゆーならと仕事も終わった夕方にシネマライズへと立ち寄って、背広のネクタイを緩めてさてどんなもんかとスクリーンに目を向けたが100年目、そのままハマって帰宅途中はインド料理で乾杯するか、あるいは松屋でギュウカレーでもかき込むかしてその病を一段と重い物として、翌日はタオルを首に巻いて馬車をかって出勤し、受付では踊りながら受付嬢を口説き、会議では花を散らしながら重役どもを説得し、受け入れられないよーならアクションに踊りで周囲をけちらして、かくして日本全国が歌と踊りとアクションに酔いしれるハッピーな状態になるんだと、そんな希望を持ったりしてるんですけどどーでしょー。やっぱり「文芸春秋」か「日経ビジネス」あたりが20ページな大特集をしなくっちゃ、日本は動かないかなー。

 会社に届いていたのはコナミが発売する新しいゲーム機「ストラックアウト」。をいをいその名前は例の「筋肉番付」で使っているよパクリじゃないかと思われる方もちょっと待て、何を隠そうこの「ストラックアウト」は「筋肉番付」のコーナーもそのままに、ゲームセンターでボールを投げて3×3の計9枚のパネルを射抜いていく、画期的な業務用ゲーム機なのだ、って別に画期的でもないか。持ち玉は12球あるから3発は失敗できるみたいだけど、パーフェクトの記録を残す時には球数も表示されるからやっぱりストレートで射抜くのが正解なのかも。

 個人的にはサッカー版の「キックアウト」も作って欲しいけれど、ゲーム版「ストラックアウト」で全長が5メートル、幅も高さも2メートル近くあるのくらいだから、「キックアウト」だったらいったいどれくらいの大きさになることやら。とてもゲームセンターには置けそうもないので、希望はちょっとかなえられそーもない。遠投はなおさら無理だしね。せめて例の達磨落としの小型版でも作ってくれないかなー。

 昼の日中から「六本木ヴェルファーレ」。何を思ったかあのアトラスが新作ゲームの発表会を開いたもので、例のゲーム版「VIRUS」と多分同じ会場を使ったことで、このゲームの行方も決まったもんだなーと溢れる涙をこらえながら、入り口の階段を上ってそれからエレベーターで会場となった地下3階へと降りる。昨日も見掛けたオリエンタルなエコノミーの記者がいて、マジメな経済少年がこんなただの新作ゲームの発表会によく来るなーと、不真面目な文化中年として訝りながらも、とりあえず開いていた横の席に座ってイベントが始まるのを待つ。

 アトラスが月曜日なんて怠惰がお似合いな日に、六本木なんて華やかな場所を使って発表しよーとしたソフトは、「サウザンドアームズ」という剣と魔法が重用されているなんだかありがちなファンタジー世界を舞台にしたRPG。といってもアトラスが全部作った訳じゃなく、原案と企画は「星方武任侠アウトロースター」でますます人気も急上昇中な漫画家の伊東岳彦さんが担当し、これをあの広井王子さん率いるレッドカンパニーがゲームに仕立て上げたって寸法で、今をときめく強力メンバーの参加に、これは単なる剣と魔法のRPGなんかじゃないかもしれないと期待が膨らみ、くどいようだけどゲーム版「VIRUS」の2の舞だけは避けられるかもしれないと、イメージソングを唄うのがエイベックスからデビューするとゆー残る不安だけは胸に止めつつ、イベントが進むのをじっと見つめる。

 まず登場した声優の山口勝平さんと川上とも子さんから関係者の紹介が行われたけれど、個人的にはやぱり伊東さんの登場に衝撃。「アウトロースター」のジーンみたいな人を想像していたら出てきたのがサングラス姿の(以下自主規制)だったので仰天。これはもしかして明日のスポーツ新聞朝刊で若乃花が番付を持ってニッコリ微笑む写真も霞むかもなー、などとイケナイ妄想にとらわれながら、他の開発陣らが入場し喋るのをじっと見守る。

 さても   な(あっ字が消えた!)伊東さんは、本当にこの企画がやりたかったらしく、3年ほど前にレッドカンパニーに企画を持ち込んで以降、毎月2回は打ち合わせを行って世界観を煮詰め、その間一度もマンガの原稿を落としていないとゆー離れ業を演じてレッドの人達に本気である所を見せたとか。その甲斐あってこの「サウザンドアームズ」、普通のビルトゥングロマンスなRPGとはちょっち違った、本当は伊東さんあたりの原案がなんだけどいかにも「広井的」な仕掛けがあって興味をそそる。

 なんでもこの世界で主人公は自分の力で剣を打って強くなるんだそーだけど、ただそれだけじゃー剣は鍛えることができない。本当に強い剣にするには女性との相性が不可欠で、武器を強力にするためにはどんどんと女性をくどき、その鋭い持ち物で貫き・・・・いや表現が行き過ぎた、つまりは2人の男女が仲良くならないことには武器を強くできないとゆー、RPGの探索とバトルの要素にある種の恋愛シミュレーション的な要素も加えた、実に贅沢かつゴージャスなゲームに仕上がることになるとゆー。

 広井曰く「システムを構築するのがRPGは大変だけど、この『サウザンドアームズ』は良く出来た。奇跡だね」とのこと。たとえセールストークだとしても、あの殿堂入り「サクラ大戦」「みつめてナイト」な広井さんがそこまで言うならやってみるか、って気にもなるけどほら年末と言えば例の超巨大RPGも発売だし、「ミリオンの声を聞く。つまり100万本売るってことです」と言った後、ギャグになってないのに「ギャグがすべった」とボケた広井さんの捨て身の攻撃が成功するか否か、興味は尽きないけどでもやっぱりかなわないんだろーね。

 なんだか疲れた顔をしていた広井さん。会見中もあまり喋らず隣りの椅子に肘をかけ、うつむいては黙(だんま)りを決め込む姿が妙に印象に残った。ネックがたまたま大きすぎただけなのかもしれないけれど、シャツから伸びる首が妙に細く見えて顎の線もシャープになっていて、あるいは痩せているのかもしれんとその圧倒的な仕事ぶりから来る身体への影響を心配する。が、トークともなればお手のもので、「上手い人を選んだ」とゆー声優陣の紹介の時には軽妙なMCを付けて次々と呼び込みを行った。

 なかで注目はやっぱりな横山智佐さん。なんだか複雑なキャラクターを演じるみたいだけれど、声が出ないってことはそーだね例の「フラチル」ライブではしゃぎすぎたんだろーね、ちょっと低い本人曰く「オカマのよーな」とゆー声で挨拶し、周囲から喝采をあびていた。<ほかが割と普通の服装だったのに比べると、さすがは既に御大、前身に顔がでっかく描かれた胸元もぐっと開いたワンピース姿で登場し、度肝を抜いてついでに・・・・いかん、言い方が事務所的にヤバくなった、つまりは大変興奮させられたってことですね。

 観客席に向かって礼をした時にはさらに興奮の度合いも高まったけれど、望遠もなく会場も暗かったのでさすがにチェックは出来ず。しかしちょいかすれ声の横山さん、週末に控えた『トリスアギオン』に果たして万全の体制で臨めるのか、これもまた心配なところではあります。聞くとまだ相当数のチケットが余っているよーなので(特に2日目)、今なら本当に砂かぶりの席であの細っちいけど実はあるかもしれない横山さんを、じっくり観察できるでしょー。チャーンス。わたしを見て。ちがうこんなのわたしじゃない。


【6月21日】 あーよかった。本当はもしかして今畝さんが正解かもしれん、とすれば皆がみーんな間違えてたのかもしれんとビクビクしてたんですよ。例の新潟県の海岸を歩いているところラチされて海の向こうのプルガサリの国で爆弾娘に日本語を教えたとゆーあの女性と同名異字なのかもしれんと。折良く今 敏(1字アキ)さんが正解と解って謎が氷解、でもこれで仕事をなくした編集者もいたみたいなんで、名前もしくは固有名詞にはよくよく気を付けなくっちゃならんと仕事柄深く痛感する。ちなみにウチは日刊でも日韓でも肉感(これはちょっと近い)でもなく日本なんですけど、読まれてないんで表の方だってしょっちゅう間違えられるから慣れました(泣)(とやってもやっぱり冗談になってしまう、不思議だなあ)。あーしまった表の方で某社の社長の名前間違えちったでもまーいーかほとんど読まれてないし(笑)。

 お金が出来たので1年くらいテレビの上に起きっぱなしにしておいた(なぜテレビの上なのかは自分でも謎)「ロイドフットウェア」の靴2足の底でも張り替えるべーと、紙袋に入れて銀座のお店へと向かう。最近は会社のドレスコードが緩くなって(個人的解釈)バッシュの「エアジョーダン12」を履いて行っても誰の何も言わない(呆れて)よーになったから、ブリチッシュウ、な革靴もクラークスのデザートかチャッカーくらいしか履いてなかったんだよね。でもほらこう景気が悪いといつかまた背広来て髪撫でつけて、新兵徴用社の雑誌を手に持って日曜版の新聞も持って、右に左にと歩き回らなくっちゃいけなくなる事もあるかもしれないし、靴くらいはちゃんとしたのを用意しといた方が良いんじゃないかって思って。張り替えはともにオールソールで各9000円くらい。これで履き慣れて底の沈んだ靴が新品同様になって甦るんなら安いってもんだ。背広もクリーニング出しとくか。

 ああなんて素晴らしいんだ日曜日に株主総会だって? ふだんは平日で仕事があるのを理由にして株主総会に出ようともしない、じゃない出られない株主の人たちも喜んでのぞいてみられるから最高だよね。でもって子供を連れていってもオッケーで新作ソフトで遊ばせておけば、ディズニーなんとかやらに連れていかなくたって2時間くらいは潰せちゃうんだから親にとってこれほど良いことはないよね、素晴らしいぜスクウェア、これぞ世界標準な企業だぜ! とトゲ入りまくりなのは、子供を連れて株主総会に出たくても金がなく子供もいない哀しい独り者の仕事人が、日曜日だってのに仕事をさせられた恨みハラサデオクベキカ、な理由から流すジャーナリスト精神にあるまじき身勝手な言説なので決して他意はありません。がしかし結構な数取材に来ていたから、株主にとっては子供に新作ソフトを遊ばせる年中行事が、記者にとっても休日出勤の年中行事になっているのは、実にねじくれた構図、だよな。

 実はサッカーをプレイすることが判明したオリエンタルなエコノミーの記者とドイツ対ユーゴスラビア戦の予想なんぞをしながら会場をウロウロ。新作ゲーム体験コーナーは開場してすぐ同伴の子供たちでいっぱいになり、中には総会が始まる時間になってもパッドを握り続け、そのまま総会が終わるまでずーっとプレイし続けていた剛の者もいた。もちろん株主のお父さんではないけれど、これだったら家でゲームでもやっていた方が楽しいんじゃないの、って思えてくる。でもまあ完成度100%で鈴木尚氏いわく「『FF8』体験盤のおまけじゃない!」ソフトの「武蔵伝」はプレイできるし、でもやっぱり「武蔵伝」の裏本編だったりする「FF8」の戦闘場面なんかも楽しめるから、ファンにはそれだけでたまらないのかも。

 来ていたテレビ朝日のインタビューに答えていたカマキリみたいない(あたしゃ逆さボタルだが)眼鏡の少年(株主ぢゃないよな)も夕方のニュースで「FF8っすよ」と知らない記者にはさっぱり解らない略語で喋って下にしっかりテロップ「ファイナルファンタジー8」って入っていたくらいだし、それだけ人を惹きつけるコンテンツってことなんでしょー。これがやりたさに株主になった人ってのは、さすがにいなかったみたいだけど話を聞いた人の中には公開するようになって3回連続の皆勤賞、もはや子供にとって年中行事でだから株は売らないで、ってIR(投資家向け広報)の成果が完璧に現れている人もいたし、たとえ今もって大手のマジメに株主総会を平日に集中させてシャンシャン手拍子足拍子な会社から売名行為と謗られようと、スクウェアにはエンターテインメントの会社らしくユーザーの事が一番大事なの的行動を、ずっとずーっととり続けていって欲しいなー。だからもっとゲーム面白くせーや。

 テレビ朝日のニュースには僕もチラリと映ってて、これで先週のゲーム大会と2週テレビ出演だったりするけれど、それはさておき株主総会には不思議な若い女性のカップルとかが何人かいたりして、この人はどーして株主になったんだろーか謎、ってな雰囲気の若い人の姿も結構見られた。あるいは社員で株持ってる人なのか、それともクリエーターで取引先なんで株を買って持っている人なのか純粋にあまったお金で株を買っている人なのか(お友達になりてー)、考えても子供と違ってさすがに声はかけにくく、結婚式の新婦友人みたいに着飾った姿で会場へと入っていく姿を後ろから舐めるに止める。来年は株主になってやっぱり新郎の友人みたく着飾って、会場入り口で家から持参したドライマティーニのグラスなんか片手に「いっしょにどうですか『異議なし!』『議事進行!!』のかけ声でも」って声をかけるんだ。

 さすがに去年みたくゲームの攻略法について質問する株主はおらず、全体に平静としたテンポで総会は進行、株価が下がったことへの説明や利益が少なかったことへの説明などは予想されていたのか喋る口のナメラカで、たいていの株主は納得して席へと戻っていった。映画の進行具合やらデジキューブでの音楽CDの売れ具合やらにも質問が及んで、うちCDはシングルで31万枚、アルバムで20万枚とゆー数字が読み上げられたけど、これって善戦なのかな? それとも苦戦?? アルバムの大半ばB’Zだったりするんだろーか。あとデジキューブの店頭公開については「来年とか再来年ではなくごく近いうちに」って説明があったから、つまりは年内早くて秋、ってことになるんだろーね。果たして音楽CDに今度出る「もののけ姫」で口火を切る映像ソフトの販売がいかな売上規模へと成長するのかも含めて、ちょっち注目したい事柄でありましょう。


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