縮刷版98年2月上旬号


【2月10日】 なんだかスッゲー絵に力が入っていたよーな気がする「吸血姫美夕」。綺麗な人形綺麗な女性が登場する回でその綺麗さが伝わらないってのが一番不味いんだけど、その点については人形はどれも美少年、お手伝いに来てあれやこれや悪さする女の子も美人にちゃんと描かれていて、ツッコミ入れずにちゃんと最後まで見通すことができた。お手伝いの女性が人形師の女性に愛が足りないと語ってその顔を胸に押しつける場面に官能の渦を覚え、ああ俺も埋めさせてと真夜中のテレビに向かって無言で叫ぶ。来週もさらに気合いの入った作画になりそーで、これがさらにディレクターズカットされる夏のLD発売が今から楽しみでならない、っておい買う気かよ。

 やっぱ買う気なんだろうね、今買い続けているLDのうち「少女革命ウテナ」は夏頃には完結しそーだし、「VIRUS」も春には完結する予定。「フォトン」は2月は飛ばされるみたいでちょっと哀しく、「新世紀エヴァンゲリオン」のDVDなんていったい何年先になるのやら。そーいえば「みすてないでデイジー」が2月からリリースされるけど、さてどーしたものかと腕組みをして思案している最中で、他にこの冬から始まったアニメで欲しいと思えたのは「星方武侠アウトロースター」くらいだから、夏以降は「美夕」買う余裕がありそーなんですよ。もっともDVDで旧盤のリリースが活発化するかもしれないし、春からさらに面白い番組が始まるかもしれないので、今は確実な事は言えない。天からLDが振る夢でも見るか。

 DVDと言えば憎らしいことにパイオニア、DVDプレーヤーを買った人にあの「音響生命体ノイズマン」の非売品DVDが付くそーな。パイオニアのコンパチ買った時には、ショップがサービスで1番売れているとゆーけど実は1番配られている可能性が高いワーナーの「イレイザー」をくれたけど、今まで1度も見ていない。「ノイズマン」だったらくっきりの画面で何度も繰り返し見る価値のあるソフトだから、どーでも手に入らないかと思案する。やっぱLDCあたりからガメるか。でも配っているのは本体のパイオニアだからなー。もー1台プレーヤーを買うなんてお金もスペースもないから、ここは秋葉で「ノイズマン」狩りやるしかねーな。

 会社に行ってセガ・エンタープライゼスに電話もでんわ。懸案の事項を頼もーとして電話中だから折り返し電話すると言われて待つこと1時間。音沙汰がなく電話をすると当の担当者が出てヌルい事を言うので思いっきり自分を卑下して嫌みったらしくチクチクとねじ込み、それでも明るい担当者に愚痴を浴びせてとにかくスケジュールを取れと頼み込む。だからといってこれであっとゆー間にスケジュールが決まったら、文句いったくらいでスケジュール入れるなんて逆にビジネスライクじゃねーじゃんか、やっぱ情実で決めてたんだなって、そんなヒネクレた考えも浮かんで来るからこっちの猜疑心も救いがたい所まで来ている。まー疑い深くて嫉妬深いのが新聞屋の特性みたいなもんだから、イジメられる企業の広報には仕事と思ってせいぜい我慢をしてもらおー。けど、人を愉快にさせるビジネスをしている会社が、誰であれ人を不愉快にさせるのはなんだかなーって気もするぞー、とまた愚痴。やっぱり救いがたい。

 角川書店と住友商事が発表をするとゆーので東京會舘へ。ビデオ関連とあったからビデオの販売提携でもするのかと思っていたら大間違い。住友商事の子会社で「トレインスポッティング」とか「スクリーム」で旋風を巻き起こしたアスミックが、ヘラルドエースの時代から「乱」やら「ニュー・シネマ・パラダイス」の制作、配給を手がけ、角川傘下となった後も「失楽園」に「不夜城」の制作で話題沸騰のエースピクチャーズと合併するとゆー話で驚く。インディペンデントに優れた洋画を配給して来た両社が、大資本の住友商事と多彩な才能を誇る角川書店をバックにして、新たな展開をして行くその可能性の大きさといったら、見かけのマイナーな社名以上のインパクトを巻き起こすはず。会見でエースの原正人社長が「日本のミラマックスを目指す」って言っていた言葉も、あながちラッパに聞こえてこない。

 その意味を象徴するかのごとく、会見後のパーティーには東映・岡田茂に東宝・松岡功の両巨頭、さらには東映・高岩社長らしき人に松竹の大谷新社長と、邦画メジャーから重鎮がそろい踏みで出席していて、「エヴァ」に「失楽園」に「リング」「らせん」さらには「不夜城」と、今や最大のヒット・メーカーと化した角川・エースへの、映像業界の関心の高さを感じさせた。それでいて昔の栄光が忘れられないのか、本気でそー思っているのか、挨拶に立った岡田会長の「1番は無理だろけど」「挨拶しない奴がいて誰だと聞いたらアスミックの、えっと誰だっけ、椎名さんか、そうだった」といった言葉が飛び交って、未だ慣習どっぷりの邦画業界の、変革に向けた道のりの困難さを垣間見る。未だ尊大なメジャーに、ソフトとゆー武器で等距離外交を展開していく角川の戦略が、やがて都心に外資なシネコンが進出して来る時代に、果たしてどんな実を結ぶのか。もちろん肝心な映画がポン酢だと、いかな戦略も水泡と帰すから、せいぜい岡田さん家みたいなことにはならないでね。ウパ!


【2月9日】 午前2時に目が覚めてしまい、って前の日の午後6時からうたた寝していたから十分に寝た後なんだけど、やることもないので明石散人さんの「ジェームズ・ディーンの向こうに日本が視える」(講談社文庫)をついっついっと読む。うーん始めての作家さんは導入部が肝心で、ピンと来ればそのままフェイバリットとなり得るが、のめり込めないとその記憶が生涯ついて離れず、知らず敬遠してしまうことになりかねない。で初物な明石さんはイントロからもう大正解。衒学趣味がふんだんに利いた情報の洪水に圧倒され、おまけに日本人のナショナリズムをくすぐってくれる展開に心地よさを覚え、次ぎへ次へとページを繰っているうちに、明け方までかかって読み切ってしまった。

 何も密室や孤島や館ばかりが推理小説ではなく、世の中にあるすべての物事をしっかと見据え、まったく関係のなさそうなものを紡ぎ合わせて空想を広げ、そこから結論を導き出すのも立派な推理小説だと、広がる主人公達の思考実験の過程、その結果立ち現れて来た驚くべき事実(完璧な空想は事実なのだ、そうだ)に圧倒されつつ、深くふかく感じ入る。エゴン・シーレがジェームズ・ディーンに似ていると、ふっと思ったきっかけから広がる話の何と壮大なことよ。だとしたら昔見たビュッフェの絵に、石坂浩二にそっくりな男性が描かれていたことにも、きっと驚くべき真実が隠されているに違いない。映画の「クール・ランニング」とテレビドラマの「それが答えだ!」が似ているのもきっと東西の文化交流にまつわる遠大なドラマがあるに違いない。えっ、他人のそら似にただのパクリだって? そうともいうね。

 日経産業新聞にバンダイビジュアルの渡辺繁社長のインタビューが出ていたのにキレてバンダイビジュアルに電話して担当者をイジメる。それこそ就任した時から会わせろとお願いし続けて、去年の秋に大々的なコンテンツ関連の企画をやった時にも是非にと頼んだのに断られ、それでも忙しいんだろーなーと事情を斟酌していつか暇になる日を待っていたらこの始末。いかな事情があったにせよ、断ったその口で別のメディアに出ている理由を説明されても納得は出来ず、とりわけ日経に前は朝日新聞社の「アエラ」に出ていたことを見ているだけに、差別じゃねーかとの猜疑心は消えず、とにかくお願いと言ってネジ込んだけどムリだろーな。こーゆー時に説得力を持たない媒体は哀しい。まあそれでもまだ事情があるんだろーと斟酌しておく私はまだまだ甘いな。ついでに萩尾望都さんのCD−ROMって発売なったのと聞くと、今月の25日頃によーやく発売になるとのこと。新宿アドホックに予約したのに連絡がなくまた延期になったかと心配していたけれど、何とか月末には手に入れられそー。待ち遠しいまちどおしい。

 本当にキレる寸前なのがセガ・エンタープライゼス。日刊工業に時事通信と続いてついに朝日新聞にも登場していたのを発見して、先週末も重ねて入交昭一郎新社長へのインタビューをお願いしたのに梨の礫はもはや恣意的に引き延ばされているとしか思えない。たとえ就任直後で急がしく、週に会えるメディアが2つとか3つに限られているのだとしても、んでもって部数がどーとか貢献度がどーとか影響力がどーとかいった考えが働いているのだとしても、同じ時期にお願いして未だにインタビューの実現ははおろか日程すら連絡してこないのは、もはやインタビューを受ける気がさらさら無いのだと判断せざるを得ない。本当に広報側の手配ミスであったとしても、そんなこたー嫉妬深い新聞記者には関係ないのだ。そっちがそーならこっちはこーだ、ってやっぱり影響力を発揮できないのは哀しいけれど、せめて一矢をと、3年前に買ったまま埃を被ってる日枝神社のお札に祈る。まずは家にあるセガサターンを火あぶりにでもするか。世界に稀なるサターンユーザーの記者を失う前に、なんとかしてよ、セガさん、ねえ。

 大森さん家の掲示板で京極夏彦さんの新しいプロジェクトのためのホームページが立ち上がったみたいなのでとりあえず紹介。えーと「京極夏彦Future Fron Now」ってなタイトルのこのページでは、京極さんが執筆するハードボイルドな少女小説の舞台設定を広く読者から募集してしまおーってなもんで、別に設定を考えるのが面倒くさいから読者から募集してしまえってな落語の3題話みたいなもんじゃなく、今を生きている人これからを生きていく人の同時代的な感性を小説の中に入れ込んで、そこに京極オリジナルな衒学趣味と蘊蓄と屁理屈とそして何より作家的想像力をぶち込んで、世界を創造してしまおーってな試み、って勝手に解釈しているけれど多分そんなもんだろー。前に矢野徹さんが富士通系のフジオンラインシステムで小説の冒頭だけをアップして、そこに続きを書いてもらおーってな試みをやったけど、集まったのは数十編しかなく、そこからベテランなアマチュアのファンライター、嬉野泉さんが「エフ・エス」で矢野さんと共著でデビューを遂げたっけ。今度はビッグネームな京極さんが一応大手な徳間でやる試みだから、応募もきっと多いはず。でも優秀作品は何がもらえるのんだろー。印税? だったらいーけど京極さんが肌身話さないあの手袋でもいーや。


【2月8日】 そーいえば長野五輪の開会式で聖火点灯の時に流れていた曲はプッチーニの「マダム・バタフライ」だったりした訳だけど、NHKのアナウンサーはちゃんと曲名を紹介して「バタフライ」「バタフライ」と今時”不謹慎”な単語をテレビの電波に乗せていたりして、今んとこNHKの放送禁止用語集あるいは言い替え全集に、「バタフライ」は掲載されていないことを確認する。いやあ言葉狩り表現狩りってのはそれくらいナーバスなもので、パラリンピックに登場するよーな人たちを「肢体不自由者」と表現して良いかどーかなんて頭を悩ましているデスクがいる。ほとんど(ピー)だね。漫画やアニメで表現を省略して指を1本減らしただけで、描き直しを求められたって話もあるし、ほとほとメディアの「触らぬ神になんとやら」ぶりには呆れるって、ああ俺も「長いものには巻かれろ」なメディアなんだよな。ところで某アウトローなアニメの猫娘、指4本みたいなんだけど、宇宙人だから地球のいらぬ概念は当てはまらないんだろーね。

 夜通しかかって講談社ノベルズ「メフィスト賞」受賞作3連発のうちの1冊で、大森望さん大推薦の「Jの神話」(乾くるみ、900円)を読了、女子校の生徒が子宮から大量出血を起こして死に胎児も消えていたとゆー事件に、少女の姉もかつて同じよーな死に方としていた事が明かとなり、乗りだしたのが「黒猫」と呼ばれる女探偵、ってまるで二階堂黎人さんほか多数を思わせる新本格な女学園と女探偵の物語が、途中からずりずりっとズレていって、やがて”ナポレオン”もびっくりなSFへと変貌を遂げるに至って、「98年度ミステリ裏ベストワン」ならぬ「98年度SFベストワン」でもまんざらおかしくないなって、そんな感想を抱く。なんだか小松左京さんの(伏せ字)を思い出すなあ。ミステリーではまさしく「この結末は誰にも予測できない」でしょう。快作。

 日曜日なのにヤタラと眠く遠出も部屋の片づけもあきらめて1日怠惰に暮らす。やったことと言えば日曜日恒例の朝日日経に先週から読売も加えてあれこれチェックを行ってガッカリして、今週もまた希望なき地獄の1日300行な(ちょっと増えた)日々を過ごさねばならぬのかと今から疲れがどっと出る。1面を3人なんて尋常じゃない事態を諾々と受けざるを得ない状況に、クリエイティブな発想など絶対に生まれる筈がないと、言っても分かりゃーしねーだろー。溜息。西武百貨店の8階玩具売場にあるガシャポンで仮面ライダーのシリーズをプレイして先週の「カマキリ男」に続いて「蜘蛛男」をゲット、本当は「コウモリ男」が欲しかったんだけどこっちもこっちで黒と赤の妖しげな雰囲気がバッチリと再現されていて、別口でゲットした「人造人間キカイダー」ともどもガシャポンの造形力の高さに驚嘆する。ドクトルGとか色目も鮮やかなゲルショッカーの戦闘員出ないかな。

 雑誌のコラムを読んでマイルス・デイビスの「クッキン」を買って聴く。ジャズにはほとんど知識はないけどマイルスくらいは知っている、前に荒木経惟さんの「アラキネマ」をスタジオ恵比寿で見た時に、かかっていた曲が「サマータイム」だった時から駅のワゴンの1000円CD売場でマイルスだけを探して聴いていたからね。だから真っ当なアルバムは「クッキン」が最初だったりする訳だけど、いやーオープニングの「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」が良いですねー、良いって別にアドリブがどーとか詳しいことは分からないけど、レッド・ガーランドのピアノによるイントロからやがてマイルスが吹く喇叭の音が聴こえて来て、冬の寒空にフトコロもココロも寂しい30男をシミジミとさせてくれます。近づくバレンタインデーもこれで侘びしくなくなると強がり。

 ありがとう御座います小笠原さんと私信。某サッカーシミュレーションを3年目で中断し、某ギャルゲーも金沢と京都を回った段階で立ち往生して、その後は某天地無用な連鎖必要を延々とプレイし続けていたマイサターンに、青葉台方面から届いた「マリア」を突っ込んでプチプチとプレイし始めてます。物語があるとやっぱり途中で止めてしまおうって気にならないのが、小説読みの哀しい習性なのかもしれないなー。とはいえ一気に最後まで突っ走る気分でもないので、1日に1章くらいのペースで1週間くらいかけてエンディングまで持っていくつもり。シャッターみたいな瞼に棒状の手足なキャラクターに馴染めないのはゲーム慣れしてないからかもしれないけれど、物語に引きずり込んでくれればそれも気にはならなくなる、と思いたいけどさてはて。おまけのゲームはレベル48まで行ってストップ。根気が足りない。


【2月7日】 エアガンを見に近所のモデルガン屋に行くと店主が病気療養中とかで店の開店時間が不規則になるってな張り紙が出ていた。バタフライ兄ちゃんがエアガン使ったサバイバルゲームが好きだったとか、愛知かどっかの田舎の学校で生徒が先生をエアガンで撃ったとかいったニュースが続いて、店主ん所に嫌がらせの電話がガンガン入って心労でも重なったか、などと妄想入れつつ中をのぞくとちゃんとお客さんがいてミリタリーグッズをあれこれ見ていた。紙袋からのぞいていたのはプライズのヌイグルミで、うーんなるほどと一瞬思いつつも相手だってこっち見てやっぱりなんて思ったに違いなく、お互い敬意と牽制の緊張感に満ちた時間を過ごす。東京マルイの3000円ちょいのシリーズは流石に置いてなくってガッカリ。折角買って来週会社内で撃ちまくろーと思ったのに、って誰を撃つの彼を撃つの。

 バタフライナイフの問題が世間だけじゃなくエンタテインメント業界までを騒がす予感。すでにキムタクがナイフ振り回していた「ギフト」は、東海テレビだかで放送が中断されたよーだけど、間もなく映画館で上映が始まる松田優作主演のテレビシリーズ「探偵物語」で、予定されていた最終回の上映が取りやめになって、水谷豊が出演していた妹を探すエピソードに差し代わっていたと、金曜日に試写を見にいった同僚から聞いて唖然とする。人を刺す話ってなー別に「探偵物語」に限らずゴマンとあるし、撃ったり切ったり投げたり刻んだりなんて日常茶飯事、テレビに限らず漫画に小説にあふれてる。それをいらぬ配慮をして、かえって評判を落とすヤブヘビな振る舞いに及ぶとは、正月早々の大コケ作品続出に、東映よほど映画に対するスタンスが萎縮しているなーと考える。

 これで巨大ロボットに乗って警官を襲う少年が出てきたら(こないこない)、春の「新世紀エヴァンゲリオン」のリバイバルは中止になるだろーし、銀河鉄道に乗って暴走する少年をツバメにした黒いベッチン来たねーちゃんが出てきたら(こないこない)、春の「銀河鉄道999」の上映は中止になるだろー。長靴履いた猫がフェンシングの剣を振り回していたらやっぱり「長靴を履いた猫」も上映中止に・・・・。と冗談はそこまでにして、問題はこーゆー事態を大袈裟に報道することによって、メディアもやっぱり自粛に荷担しやしまいかとゆーことで、まー工業新聞の場合はそーゆー扇情的な報道は時々しかしないけど、仮に記事を書かなくてはならない立場になった時、どーゆースタンスで臨めばいーのか、エキセントリックで扇情的なヤジ馬ジャーナリストとしていっしょに騒ぐのも楽しーなーと心のどこかで思っているだけに、なかなか結論が出ない。

 どろどろとしたまま朝。世間では何やらオリンピックとかが始まったらしく、NHKで開会式の模様をでらでらと放映している。善光寺の金がグワーンと鳴った瞬間、日本人だなーってな感慨がふっと胸に浮かんで来たのが情けないけど嬉しいけど、その後で木遣りの唄がうわーんとかかって、おやじが甲高い声で怒鳴っている姿に世界が日本をどー思っているのかが気になって、柱を立てて相撲取りがシコ踏んで雪ん子が踊って森山良子が日本語で謳ってってなベタな展開に、さすが浅利慶太さん、洋化された日本人が恥ずかしいと表面上は取り繕って思っている、けれどの心の奥底では懐かしくって嬉しくっててなアンビバレントで複雑怪奇な心根を、見事にえぐり出してくれると驚嘆する。単に堂々とナショナリズムを謳歌しただけかもしれないけれど。

 とにもかくにも御柱に相撲に道祖神ってな神聖で宗教ががった儀式なり行事なり道具建てを、世界の人々が見守る中で堂々とやってのけるとは、その模様を真剣に見ている他の宗教の人たちが真相を知ったら驚くだろーなーと思いつつ、その辺りやっぱり相当な策士だと、浅利慶太さんのタクラミに関心する。これもやっぱり無意識なナショナリズムの発露かもしんないな。しかし相撲取りあの真冬をたとえ短い時間とはいえ裸足で裸で微動だにせず歩きシコ踏み還っていく、その体力にはやっぱり驚くより他にない。実は全員分厚い肉襦袢を着ていて、ほらよく見てごらんハイビジョンなら背中のファスナーがくっきりと、なんてことを裏でNHKが海外で進む別規格の高品位テレビ陣営に技術力の違いを見せつける道具として、相撲取りを使っていたりするかもしれないと、やっぱり勝手な妄想をしてみる。おや背中にキラリ光るものが。

 第5回メフィスト賞受賞作とゆー浦賀和宏さんの「記憶の果て」(講談社ノベルズ、950円)を読了、これはノベルズで出す本じゃない、ってのが第1印象でどっちかってーともっと純文かかった、例えば「小説すばる」とか、「文藝」とか「海燕」とかって方に青春小説として持っていった方が、新しい時代のヒーロー誕生とかって持ち上げられると思った。あくまでも戦略としての話。ノベルズで470ページにも及ぶ小説を持ち込める文学賞なんてメフィストくらいだから仕方ないけど。

 少年の父がある朝自殺して、残されたパソコンの中に女性の人格を見出したところから始まって、やがて驚くべき自らの秘密を探り当てる、ってな筋書きの物語に、人間の知性と人工知能の差異とか、夫婦愛と親子愛が憎しみの感情を含んで混乱していく過程とか、YMOとジョージ・ウィンストンとブレードランナーとエリック・サティへのオマージュとか、とにかく色々なようそがギッシリと詰まって、でも混乱せずにすーっと最後まで読み通すことができた。さんざんキーワードを詰め込んで、あれこれ考えさせられるくせに、基本は男の子なら経験のある自意識過剰にのたうち回るよーなラブストーリーだったりするから凄い。これは逸材だ。


【2月6日】 「星方武侠アウトロースター」は第5話に入ってますます動き快調物語快調で、このままこの品質で全24話を本当に作り上げられるのかなんて、かえって不安になってしまう。ちょっとでもクオリティーが落ちると、でも他の番組に比べれば200%くらい良くっても、悪く見えてしまうからなー。物語はヒルダが死んでクタールクタールがゾアントロピーしかかってドン! で来週はオープニングに出てくる3美人の最後の1人で和服な鈴鹿さんが登場と、プロローグも終わりに近づいて来たみたい。問題はそこから先で、やっぱりお約束な恋の鞘当て大合戦になるのかちゃんと大宇宙を大バトルして大運動会な大スペースオペラとなるのか、とになく成りゆきを見守ってる。LD早く出ないかなって、さすがにそれはまだ気が早すぎるか。

 ろくすっぽ寝ないで朝起きて会社、いく途中で講談社ノベルズの新刊を買い込むとこれは何と3冊すべてが「メフィスト賞」の受賞作ではないですか。帯の推薦文の書き方もそろえて3冊で叢書でも組んでるよーな展開に、仕掛ける側のノリを感じて微笑ましく思ったけれど、滅多に優れた作品なんか出ない公募が中心の「メフィスト賞」で一挙に3冊も新人がデビューするものかと、仕掛けの無理も想像できて悩み苦しむ。某トンカツが6枚だったりする小説の、一般的なあまりの評判の悪さも耳にしているだけに、森博嗣さんに清涼院流水さんを生んだからといって確実に面白いとは限らず、だからこそ3冊まとめて刊行のタクラミに、いささかの危惧を覚えるのである。

 とりあえず第5回の受賞作品とゆー浦賀和宏さんの「記憶の果て」からとっかかる。父親が突然自殺してしまい、後に残されたコンピューターに人工知性らしきもが生まれていてどたばた、とゆー内容の小説だけど、半分くらいまで読んで未だに物語りは大きな展開をみせず、仲間内とか研究者とかと間で、ちょっぴり高尚で何回意識とか脳とか記憶とかに関する会話が繰り広げられていて、読みやすくておもしろいんだけど、このままどこに連れていってくれるのか、今は不安でいっぱい。半分まで読んだ限りでは破綻もなく言葉のタイミングも良いから楽しめたし、京極夏彦さんが「先行作品に対する敬意ある挑発」と書くくらいだから、それなりの結末が提示されるんだろー。楽しみ。

 あとは第4回の受賞作とゆー乾くるみさんの「Jの神話」に第6回の積木鏡介さんは「歪んだ創世記」。方や「98年度ミステリ裏ベストワン」(大森望)でこなた「とびきりの奇想と曲技」(竹本健治)と京極さんに負けず劣らずの絶賛振りを披露していて、平台で3冊が並んでいる様はそれぞれに応援演説のついた選挙戦みたいで面白い。いっそどっかの本屋さんでそれぞれの推薦文をパネルか何かに大書きして張り出して、下にノベルズ置いて売り上げを競ってみたら楽しいのに。見事1等賞になった推薦者には講談社ノベルズで向こう1年すべての刊行物を推薦できる権利とか、作者を1日好きに使役できる権利とかが与えられるんだ。んでもって破れた推薦者は売れ残った本を風呂敷に包んで1カ月行商に回る義務を負うとか。推薦者の名前がどれだけ売り上げに効力を発揮するかを調べて、推薦の言葉に責任を持たせるだ良いチャンスだから、どこかやってくれないかな。

 「マジンガーZ」は記憶の根底に張り付いて一生消えることのない作品だけど、不思議とどんな物語が展開されてどんな機械獣が登場していたのか覚えていない。講談社から出たマジンガー本の「鉄(くろがね)の城」(赤星政尚編)には機械獣たちの設定が載っているけど、今もはっきりと記憶に止まっているのはほんの数体しかない。毎回まいかい楽しみにして見ていた割には、もっと小さい時に見ていた「仮面ライダー」の怪人たちほど印象がないのは、物語に感動していたからではなく「マジンガーZ」の偉容と戦闘シーンの迫力に興奮していたからなんだろーか。冒頭で赤星さんが「ゴジラ」や「ウルトラ(マン)」や「仮面ライダー」のような”オトナの愉しみ方”が存在しないと書い嘆いているけど、ドリフターズを高尚に哲学的歴史的経済的文学的に語れないよーに、ムズカシい事を考えさせる間もない面白さを発揮していた作品だったんだと、考えてみれば今の空気みたく「マジンガー魂」が、おじさん達の世代に浸透している状況も、まんざら悪いものではないのかも。「超合金魂マジンガーZ鉄の城バージョン」当てるぞ。


【2月5日】 幻冬舎からまたしても山田正紀さんの新作が登場。前作「阿弥陀」に続いて風水兄妹の片割れであることろの火那子が活躍するシリーズは、のっけから犯人がバレてる倒叙風の小説、かと思っているときっと最後は違うんだろーな、あの山田さんのことだから。手触りは最高で読むのがちょっと楽しみ。しかし去年の4月にノベルズに推理叢書が出来てからもー4冊の大著名著快著変著をものしている山田さん、ついでに講談社ノベルズからも「神曲法廷」が出たばっかりで、おまけに全部が最高級の出来で、その飛ばしっぷり書きっぷりにほとんど隔月で新刊を読める喜びとは別の、量産に伴う体力面への懸念を覚えてしまう。あと量産しているのはSFっぽくてもやっぱりミステリーで、本家なSFの方でも隔月とは言わないまでもせめて半年に1冊くらいは、新刊を出して頂きたいなーと切に願う。でもミステリーも面白いし・・・・・。うーん贅沢はいかんか、好きな方をどんどんと書いて下さい。

 こちらも量産体制に入ったのか清涼院流水さんが幻冬舎推理叢書から登場。その名も「エル 全日本じゃんけんトーナメント」はタイトルだけ見ればやっぱりな清涼院節が繰り広げられていそーだけど、しかしこれだけ癖のある作家を書き下ろしで使ってしまう幻冬舎、激戦の中でどこも結構苦戦しているノベルズ市場(中公なんて滅多に見つからないですもん)で、息長く作家を育てるなり発掘していこーとゆー腹なのか、それともニッチを狙って特殊作家を確保・出版していくつもりなのか、ちょい見極めが難しい。推理叢書じゃないけど、荒巻義雄さんの代表シリーズ「紺碧の艦隊」がリニューアルして「新紺碧の艦隊」として幻冬舎にお目見えしたところを見ると、結構ノベルズで本気いこーってな気概が見えて来る。あと移籍の理由を、映画部門はバリバリながら出版部門はパリパリな徳間書店では、もはや荒巻さんの遠大な構想につき合っていられなくなったのかなー、などと勝手に想像してみる。真相やいかに。

 そのバリバリな映像「もののけ姫」が「キネマ旬報」の恒例ベストテンで読者選出日本映画監督賞を授賞。選考委員が選ぶ賞からはすこーんと漏れてしまったところに、興行成績日本1とゆー輝かしい実績を持ちながら、アニメとゆー出自が最後まで禍してしまったのだろーかと考えてしまう。得点では「うなぎ」が「もののけ姫」に60点以上の差を付けて圧倒的な第1位を獲得。作品を見ていないだけに判断は難しいけれど、きっと良い映画だったんだろーね。けどこっちは興行成績がポン酢で、作品の出来と成績のミスマッチぶりが再生なったと皆が言う日本映画の、本当はヤバいんちゃう的状況を象徴しているよーな気がしてならない。その点人気も成績もトップクラスの「もののけ姫」はトータルで1位ってことですね。

 記事の部分で「もののけ姫」の成績を東宝側で20億円、徳間サイドで40億円と予想したという下りがちょっと印象的。こちらはまさにその間をとって30億円と見ていただけに、全員が全員嬉しい方に外れたことになる。と同時に作品を見る感性が製作者とも映画会社ともさほど違和感がないことに、ちょっとだけ安心感を覚える。結果としてハズレちゃー意味がねー? ごもっとも。作品として「鬼火」が5位に入っていて、主演の原田芳雄さんが主演男優賞を授賞していたのはすっげー嬉しい。いや最初試写で見てマイナーで評論家の数もすっげー少なくて、あまりの不入りに業を煮やしたのか滅多にウチらみたいな新聞にアプローチしておない宣伝会社(ゼアリズだったかな)が、「記事は出ますか」と言って来たもんなー。その時は速攻でオッケーして「ニューリリース」にして掲載したけど、成績はまあまあとして何より主演と監督がそれぞれに部門賞を授賞したことに、感動もまんざら外れてなかったってことを確認して、やっぱりすっげー嬉しくなる。ちなみに小生の映画鑑賞眼、「ときめきメモリアル」と「ヘルメス」を最後まで見通すことのできる鈍感ぶりなので、あんまり信用しないよーに、ね。

 1日に1人で200行書いてもまだ足りないとゆー状況に、もはや堪忍袋の尾が切れそーになって(心の中で)(誰かに向かって)怒鳴り散らしているのだが、長いものには巻かれることが処世術との認識も一方にあるよーで、ジェネレーションギャップかモチベーションのベクトルの違いか怠惰と熱血の差か、とにかく多難な前途に日々イライラが募って毛が抜ける、のはイライラが理由じゃないかもね。とにかく来たリリースは即処理が鉄則で、昼過ぎに届いたソニー・コンピュータエンタテインメントの「プレイステーション」3000万台出荷達成リリースとか、昼前には届いていたコナミの3Dシール作成機にジャイアンツバージョン登場とかをささっと処理。ほかに昨日見たタカラの展示会で適当に記事をでっち上げたら扱いが小さくスネる。まー40歳過ぎてる人たちに理解しろってのが無理だけどね、「ビーストウォーズ」関連の記事なんて。多難な前途にバタフライナイフを買ってこよーと物騒な考えも浮かぶけど、ここは自制して「ハイパーヨーヨー」振り回すだけに止めておこー。円周にカミソリ、つけてるけどね。


【2月4日】 すっかり忘れていたんだよ締め切りを御免ねと海岸方面に向かって手を併せつつセガサターンでコラムスゲームを猿のよーにやりつづけ、なんとかボスキャラを10回に1回は倒せるよーになった。「ハイパーヨーヨー」も至芸(ってなもんじゃ全然ない)「ブランコ」をほぼマスターしたし、いよいよ肉体ホビー化も進行の度合いが激しくなって来た。残るはビーダマンかグランダーかビーストウォーズかポケモンかってとこだけど、でもプレイステーションだけは頑なに拒んでいるのは単に長い物に巻かれるのが嫌いな天の邪鬼な正確故。とはいえセガの社長インタビューが依怙贔屓にも一部メディアから始まっているのを見るにつけ、その長い物で巻いてしまえ的体質にピクピクと血管切れそーになっているのも事実なので、近くはっきりとした日程を出さなければ可愛さ余って憎さ1億倍、徹底して敵に回るから覚悟しておけ羽田の偉い人たちよ。相手にされてないって厳然たる事実はここでは無視、しといてやるからな(偉そう)。

 肉体ホビー化計画の一環として浅草で開かれていたタカラの新商品発表会をのぞく。案内してくれるはずの広報の姉ちゃんがJRの大故障の煽りで到着しておらず、わざわざ京成で浅草まで出たあたしゃいったいなどと思案にくれるものの、会場内のそこかしこで微笑みかけてくる玩具の数々に、頭は些末な事などいっさい入らず、ただただ新製品に近寄っては触りたおして遊ぶのであった。入り口付近で大きなブースを張っていたのがいよいよ今週からアニメの放映が始まる「Bビーダマン爆外伝」。よーするに「ビーダマン」なんだけどアニメに登場する巨大なビーダマ発射機とかいろいろな新製品が並べられ、「ガオガイガー」の後番組として始まる「ビーダマン」が果たしてすんなり受け入れられるかとの心配を、覆してくれそーな勢いを見せていた。と日記には書いておこう。

 となりのブースでは、現在も絶賛(なのか)放映中な「ビーストウォーズ」が4月からセルアニメの「ビーストウォーズ2」へと衣替えしてスタートするのに合わせて、アニメに登場する新製品がドギュワラーンと並べられて「買えー」と誘いかけて来る。中でも新番組のコンボイ司令となる「ライオンコンボイ」の美しいことよ。今のCG版ではゴリラがゲゴガッとなってロボットになるけれど、新しい「ビーストウォーズ」では白いボディーに金のたてがみのそれはそれは美しいライオンが、ゲシャコッとなって赤いボディーのロボットにトランスフォームする、そのギミックの複雑さにとにかく頭が下がる。やっぱリーダーはゴリラよりライオンの方がハマってるよなって、可哀想だけど実物見てそー思った。これは売れるぞー、俺も欲しーぞー。

 敵キャラの「サイバトロン」は今度は「ガルバトロン」となって登場。動物じゃなく機械が変形して動物変形のトランスフォーマーと闘うコンセプトになっていて、「ガルバトロン」も普段はえっと何だろう、自走式のドリル戦車がバルキリーっぽい人形のロボットになって、それがパコパコと変形して今度はドラゴン型のロボットになる、1粒で3度も美味しい仕掛けに深くふかく感動する。ほかにもマンドリルがロボットになったり戦車がロボットになったりバッファローがロボットになったりステルス戦闘機がロボットになっったりタスマニアデビルがロボットになったり・・・・・としつこいからこの辺でやめとくけれど、とにかくやっぱり相変わらずな超絶変形ギミックが、今度のシリーズでも存分に盛り込まれていて大きなお友達でも絶対十分に楽しめる、はずだけどどーだろー。

 ちょっと凄いのが夏休みの頃に発売される3つの昆虫ロボット。これが何と合体して巨大な人型ロボットに変形するからもう呆れて、じゃない感動に言葉が出ない。普通これほどの大がかりな変形ギミックがあると、合体した時の違和感も相当なものになると思うけど、実際3つの昆虫がくっついで出来たロボットは、トータルで見ても違和感はなくむしろ非対称かつ有機的なフォルムが美しさに溢れていて、ガンダム以来のロボットに見慣れた目にはとっても新鮮に写った。アメリカではCGのアニメに登場しないにも関わらず、発売されて結構な人気を獲得しているらしーけど、日本では春からのアニメに登場させることで、2倍3倍なプロモーションを展開して、一般への浸透を狙うとか。しかし「ガガガ」が消滅した今タカラのフラッグシップ的ロボットキャラとなる「ビーストウォーズ」、果たしてどれだけの人気を獲得できるのか。アニメの子供への回帰が始まっているのと平行して、玩具業界でも進む原点回帰の流れの中で、「ビーストウォーズ」シリーズがどう展開していくのかにはちょっと注目したい。と書いておけば夏には型落ちしたゴリラなコンボイの詰め合わせが・・・・来てもあんまり嬉しくないや。

 「へんしーんへんしーんさいぼーぉぐいちごー」ってなCMソングを覚えている人は幸せである、とは限らないけど好きだった人が本当に幸せになれる時間が間もなくやって来る。3月下旬にいよいよあの一世を風靡した「変身サイボーグ1号」が、「ネオ変身サイボーグ」となって実に25年ぶりに発売されることになったとか。透明のボディーな人形が、手にはチェーンソーやらカッタードリルをはめ、ヘルメットかぶったり銃を持ったりして立つその美しさ格好良さ。昔ファンだった人も今のフィギュアブームに新しいのめり込みの対象を探している人も、タカラのサイボーグ研究所が繰り出す激しいパンチの数々にこの春は注目だ。できればCMも昔のイメージのまんまで放映してやって欲しいなー。

 ホテル・オークラで開かれた「ミスター・ビーン」ことローワン・アトキンソンの会見を覗くと会場は人ひと人の波で埋め尽くされていて、改めてその人気のほどに驚かされる。相変わらず主催者にべったりで「写真は最後までとらないでよねー」「プラベーとな質問には答えないからお願いねー」ってな感じですし詰めな会場に詰めかけた人々の神経を逆撫でする襟川クロさんのMCに続いて、背広にネクタイでもなければ顔をゆがめてもテディベアを持ってもいないローワン・アトキンソンが登壇。繰り出される質問に1つひとつ親切に答えていって、今や世界で引っ張りだこの俳優にしてこの謙虚さは何に由来するものなのだろーかと、時に尊大だったり寡黙だったりする記者会見での日本のアーティストと比べて考える。仕事への自信と成功への願望が、すっげー詰め詰めなスケジュールをものともせずに、にこやかな会見での質問者への応対となって現れるんだろーか。

 「鈴木いづみコレクション」が「対談集 男のヒットパレード」などを収録した第8巻で完結。ボロボロに痛んだ神経で活動を続けていた時代にいづみさんが会った、坂本龍一さんに楳図かずおさんに亀和田武さんにほかいろいろな男たちへのインタビュー記事が収録されていて、今をときめくすっげー人たちが10年前には何を考えていたのかな、何をやりたかったのかな、ってなことを理解させる1級の史料として役に立つ。最初の惹句だった「鈴木いづみが還ってきた」が、最終巻きでは「還っていく」となったのが印象的。けれども文遊社では次ぎなるプロジェクトにも着手しているとしてないとかで、それが続く限り鈴木いづみの名前は人々の脳裏へと刻み込まれていくんだろー。


【2月3日】 「吸血姫美夕」は村井さだゆき脚本故か、いつもの街に巣くう妖魔退治とは違った、真夜中の時間がますます濃密で重たくなるよーな、奇妙なテイストの物語に仕上がっていて驚いた。動かなかったり崩れていたりする絵にも驚いたけれどまーそれはいつものこと、夏のディレクターズカットで改善されること望むとして、けれども物語の異質さは後世の「美夕史」に残るだろーなー。イメージからすれば「ゲゲゲの鬼太郎」の「かまなり」か、ってちょっと違うかもしれないし、だいいち「かまなり」なんて知らないよね。お釜の中に出来た街でそこに吸い込まれてしまった人はやがて魂を座れて崩れさってしまうって、退廃の美漂っていた「鬼太郎」でも記憶に残る作品。街と砂って点が共通だったから思い出したのかもしれない。いくらゲストキャラが崩れても、美夕とか冷羽は絶対に崩れないのはスタッフの思い入れ故?

 1998年2月17日号の「週刊プレボーイ」はマスターピースにすべし。何故って表紙とか中吊り広告を読めば勘が良くても悪くても解るよね、そうかの安達祐実様さま様が初のお水着をご披露あそばされておられるのだよ。今席立った人、コンビニに「週プレ」買いに行ったな。よろしい、売り切れでないことを祈るぞ。しかし今年の9月がくれば17歳になるとゆー安達祐実なのに、スタイルは今でもチャイドルしてるってのは昔から見続けていることによる抜きがたい先入観によるものなのか、それとも純粋にそーなのか。少なくともオレンジ色でクビ回りに襟のついた水着を来ている写真では、しっかと踏ん張った足のご立派な形長さ太さから、とってもチャイルディッシュなテイストを感じてゴックリ来てしまうのであった、ってチャイドルがいーのかオマエ? チャドルがいーのだオレ!

 しかし真ん中返に組まれたルーマニアの少女たちのヌード写真は毛がまる見えなのはゆーまでもなく、中には正面から足おっぴろげを撮ってたりしてこれがあの大出版社の人気週刊誌? ってな驚きを覚えてしまう。昔はヘアなんて1本どころか1ミリだって載せてなかったもんなー。さらに驚いたのは連載されている睦月影郎さんのエロ小説「白衣のフェロモン先生」で、これなんてそのまま「マドンナメイト」とか「ロマン」とか「ナポレオン」とかって冠つけても売れるくらいのハードさエロさに満ちている。挿入中出し思いのままの展開に、スポーツ新聞のエッチコラムも恥ずかしくなくなるくらいの猥雑さを覚えつつ、いったい日本の週刊誌はどーなってしまうのだろーかと、やがて週刊朝日に松平龍樹さんが書く日を夢みて、そっと手をあてがうのであった。どこにだ?

 ホテル・ニューオータニで開かれた「ディズニー・ワールド」第4のテーマパーク「アニマルキングダム」の発表会見に出向く。相変わらずのミッキー節が冴え渡り、三浦は絶対にやっている・・・ってそのミッキーじゃない(解るか!)富士額のミッキーがそこかしこに登場しては長年培われたブランド力で観客を引き込みながら、新しいテーマパークへの関心を煽っていた。前に担当していた旅行代理店業界では、最近のトレンドに米国本土を挙げていたけれど、その中心はやっぱり「ディズニー・ワールド」。見ると代理店の人も集まっていて、円安これありで不景気な海外旅行業界で、ワールドカップに並ぶビッグイベントとして、「アニマルキングダム」のオープンを考えていることが何となく伝わって来た。

 東京ディズニーランドの5倍のデカさを持った「アニマルキングダム」の目玉はたぶんアフリカからぜーんぶ移入異色した家やら植物やら動物たち。それは見事にアフリカのサバンナが再現されていて、よく見ると白いライオンが走っていたりするかもしれないけれど、それはあくまでも資料にしか過ぎないから見なかったフリをして、キリンに像にサイのカバが戯れる姿を「富士サファリパーク」よろしく見ることが出来る。真ん中辺りにはバオバブもかくありなんってな巨大な木がそびえたっていて仰天するも、何故か胴体部分には森羅万象の著名な動物が刻み込まれてあって、そーかフェイクなのかと納得しつつ、だとしたら自然って何ってな疑問を抱いて1分で忘れる。

 「アニマルキングダム」の中には、ほかにはアメリカの恐竜時代を再現した場所で機械仕掛けのトリケラトプスなんかに襲われたり、化石や骨を発掘して楽しんだりするコーナーなんかがあって、古代史関係が好きなファンを集めそー。来年には「アジア」ってなコーナーもオープンするそーだけど、モデルにするのはどのアジアなんだろー。大草原着くってゲルぶったてて羊を育てる「モンゴル」だったら行ってみたいな、でも日本からなら現地に飛んだ方が早いかな。それから「アニマルキングダム」は、ただ動物を見せるだけじゃなく、動物の保護や繁殖に関する研究もするんだとか。無理矢理遠くから連れてこられた動物たちの不幸を嘆けば何が保護じゃいってことにもなるけれど、それもお客が集まってこその保護活動だと良いわけをして、やっぱり見なかったことにする。

 でもさんざんっぱら回って疲れた空きっ腹で、レストランに行って喰うのがステーキだったらちょっと笑うかも。それもバッファローとかの。記者発表が終わった後、となりのラウンジに簡単な料理が用意されていたけど、ソーセージもタコもエビもローストビーフもビーフシチューもハムも卵もその他もろもろ、とにかく動物性蛋白質が蔓延していた。目の前で生きている動物は可愛がるけれど、どこかで死んだ動物は喰うしかないっての、やっぱ人間の知恵(あるいは打算)がなせる技なんだろーな。「アニマルキングダム」に行ったら皆さん、バンバン肉喰ってやりましょー。

 柳下毅一郎さんの「世界殺人ツアー」(原書房、1600円)を読みながら「殺したいよー」と叫ばない、叫ぶとつかまるだろーから。でも実に大勢の大勢の人を殺した人が登場して(ややこしい)、どーして何の呵責も屈託もなくどかどか人を殺せるんだろーかと思い、たぶん思い悩むことがないからだと考えて、この世知辛い世の中に、この張りつめた世の中に何と幸せそーなんだろーと妙な感慨を覚えてしまう。危険思想の芽生え。いつか殺人が合法化されたら真っ先にやりたいのがアレとコレとソレ・・・・。でも日々リストは変わるから今日はさしづめ・・・・。身に覚えのある方はしばらく近寄らないよーにしましょーね。でもこっちから近づいて行きますので用心しましょーね。


【2月2日】 それから(昨日の続きだ)ヤングアダルトの老舗な朝日ソノラマから出た青山智樹さんの「笑うUFO殺人?事件」は、スパイになりたくってなりたくって仕方のなかった女の子が念願かなってスパイになってひと騒動、ってまるで冒頭だけなら佐々木倫子さんの「ペパーミントスパイ」みたいな小説だけど、ドナルドは委員長をだまくらかして未だにスパイ学校で野球やったりマモとムジナの違いについて考察している(多分、続編読みてぇ)のに対して、こっちの鷹取怜佳サンは見事スパイ組織に就職したまでは良いけれど、あふれる熱意が横滑りして体よく追い払われて派遣されたマッドサイエンティストの家で、UFOに遭遇してそこにCIAやらKGBやらが絡んでもう大変、ってな物語が展開していくのであった。真っ当に訓練を耐え抜いた「G.I.ジェーン」みたいな映画が流行るとドジでノロマなカメ、じゃない女スパイなんているわきゃないよとも思うけど、面白いから全部許す。しかし焼いて食えるものなのか? あれって。

 寝て朝方に大音響。目をやると何やら乱雑に積み重なった本が床に見え、視線を上へと転じるとサイドボードの上に積み上げられた書籍の山の1ブロックが、ごっそりと抜け落ちているのが薄暗がりの中に見えた。つまりその1ブロックが何かのはずみで倒れて崩壊したってことで、運良く床の何もない所へと倒れてくれたから良いよーなものの、これが自分の寝ている方向、あるいは手近なパソコンやらキーボードやらレジンキャストの作りかけやらガシャポン人形やらの上に落ちたら、金銭的精神的なショックはデカかっただろーなと幸運を喜ぶ。今でも崩れかけの山はベッドの上のマクラの両脇におよそ2メートルの高さのものがあって、それからベッドサイドの壁際には1メートル半はあろーかとゆー山脈が出来上がっていて、まるでアルプス1万尺小槍の上でハリのむしろに寝かされて、上から研ぎ澄まされた巨大な振り子がブンブンブン、ってな状況にあるってことを改めて認識したけれど、他に置く場所ないんで仕方がない。本に埋もれて死ねるなら本望・・・でもちょっとせめてその前にアレしてコレして起きたいねー、させて下さい(何をだ)。

 会社に行って土曜日の朝刊をおさらい、石ノ森章太郎さんの死亡記事はだいたいが1面に3段くらいで記事を掲載していて、それなりに立派にその死を悼んでいることが解った。中でも読売新聞は担当した記者の趣味が炸裂していたのか、コメントを永井豪さんとそしてあろーことか平井和正さんにお願いしていて、さいとうたかをさんとか赤塚不二夫さんとか割と基本線を抑えた一般紙が多かったなかで、ちょっと異色の味をだしていた。永井さんはともかく平井さんに聞くなんてぇ、と思うのはこないだの「SPA!」の大槻ケンヂさんとの対談を読んだせいもあるけれど、記事化されていた平井さんのコメントは尊大でも神がかってもいなくって、彼が居たから漫画家にならずに小説家になった、なんて実によく「解る」コメントに仕上がっていた。やるなあ石田さん(誰だ?)。聞くと昨春に刊行した石ノ森インタビューを未だに記事にしていないとか。やれよなあ石田さん(誰だってば?)。ちょっと期待してます。

 朝のワイドショーもそれなりの扱いで藤岡弘さんなんか出突っ張り、あと赤塚さんがインタビューに答えていたりして、石ノ森さんが亡くなって以降のメディアの仕事ぶりに、週末はのびりと家や美術館で過ごした我が身を振り返って、ちょっと驚き感嘆する。藤子不二雄Aさんに聞いたコメントを見かけないのは何故だろー。すっげー仲悪かったとかいった曰く因縁でもあるのかな。複雑なり漫画界。それからワイドショーの「サイボーグ009」を紹介する場面で、BGMに「赤いマーフーゥラー」を使って「吹きすーぅさぶかぁぜぇえがー」を使わなかったのは1つの見識、とゆーより個人的にはやっぱ最初のバージョンの方が身に染みてるし思い出も深く感情移入だってしやすいから、ちょっと嬉しく思ったね。アニメタルにも、やっぱ最初のバージョンをもっとガンガン唄おーって言いたいんだがなー。おじさんとしては。「ゆくーぅてわーあらしーぃにーぃほえーるうみぃー」。

 チラリ覗いた玩具店はメディコムトイの石森絡みの「ロボット刑事K」とか「仮面ライダーX」とか「シルヴァ」とか「人造人間キカイダー」なんかの人形を、まとめて棚に飾っていてその素早い対応に感心することしきり。バンプレストから発売された小さなフィギュアをブリスターパックに入れたシリーズも、「変身忍者嵐」やら「キカイダー01」とかが5種類まとめてどっかーんと、売場の棚にぶら下げられていてやっぱりな対応の早さに商売人の極意を見る。さすがに買い込む訳にもいかないので、近所の「ガシャポン」で「東映」関連の特撮ヒーローシリーズをプレイ。たった200円ではもったいないよーなリアルで手のこんだ「変身忍者嵐」をゲットしつつ、改めて石ノ森さんの遺したものの大きさに、強く感心させられる。

 「初代ライダー」とか「ハカイダー」のメディコムトイな人形は欲しかったけど高いからパス。別の会社からフル稼働する素体に服を着せていく同じよーなタイプの、でもお値段は7000円ってトイもあったけど、どっちにしたって買えやしないし置場所もないのでパスだパス。うーん欲しい。関係ないけど「スレイヤーズTRY」関連のバンダイのフィギュアシリーズは屈指の出来で、ほらフィリアなんかもうえっとうふふふ、じゃない持ち上げてのぞいても台の部分が邪魔で奥までよく見えなかったりするので、買うならこっちが先、だよな。イガイガハンマーはつけてたっけ? やっぱ買うしかないでしょう。リナは裸じゃないからやっぱりパス。フィリアをのぞいた人どーでしたか。買う価値はありましたか。

 のぞいた訳じゃないけれど、西原理恵子さんの凶悪な漫画を集めた「できるかな」(扶桑社)を購入して、新島で西原さんを取った写真にもしかして「白」が写ってるんじゃないかなって、そんな即物的な疑問が浮かんで離れない。どっちなんだろー足に挟んだワンピースのスカート部分なのか、それとも正真正銘の「白」なのか。写真が小さすぎてよく解らないけど、虫眼鏡で拡大して見る訳にもいかないし見たら多分(以下略)。ハッ、ここはどこだ。うーんやっぱりご本人に「見えてるんですか」「見せてるんです」なんて聞くのが手っ取り早いんだろーけれど、凶悪そーなので近くに行ったってきっと目線を合わせられない、と思う。誰か知り合いのお方は、勇気を振り絞って白なのか違うのか聞いてやってくれー。命の保証なんて出来ないけれど。


【2月1日】 何とは書かないがあるミステリー、プラトニックな愛情を抱いていた女性に成り代わって復讐を果たそうとする女性が、その目的のためとはいえ、最愛の女性の遺体に深々とナイフを突き刺し、あまつさえ家ごと焼いてしまうものなのかと悩む。復讐のために殺人をも厭わないだけの愛情をその女性に感じているなら、とても刺したり焼いたりできるもんじゃあないと思うがどーだろー。パズルとしては悪くない出来だけに、肝心要のトリックの部分にこーゆー疑問を抱かせてしまうのはちょっと残念。あるいは個人的な抵抗感かもしれないので、読む人がそれぞれに判断して欲しいけど、でもネタばらしになってるので作品名は教えられない。見つけて「み」たら考えてみてね。

 「新本格」は講談社の登録商標です、とはテレビのCMでプラモデル&PRGみたく唄われている訳じゃないけれど、流石に徳間ノベルズの表紙に堂々と「新本格推理」なんて唄われてしまうと、それはあまりにも安易じゃねーかと突っ込みたくなるぞ藤木稟さんの「陀吉尼の紡ぐ糸」のことだ。おまけに中身は個人的には新本格とゆージャンルにはあんまり入らないんじゃないかと思ってる、京極夏彦さん的な人の心が生み出す異界とゆーが幻界を扱ったものに近く、これを新本格と唄うノベルズ編集部に「新本格の定義を140字以内で述べよ、句読点を含む」ってな質問状を送って問いただしてみたい気になるけどやらない。まー自分だって「新本格ってなーに」って聞かれれば、んでもってその答えが売れ行きに関わって来るかもしれないと考えれば、「島田さんとか綾辻さんとか京極さんみたいな」なんて答えちゃうかもしんないし。

 「はいぱあようようがほしかったらあさ10じにふなばしせいぶ8かいおもちゃうりばにこい」なんて脅迫状はもらわなかったけど、DVDで「20世紀ノスタルジア」の見つつ(2度目だいーだろー)眠ってしまった反動で、午前5時くらいから目が覚めていたメリットを最大限に生かすべく、徒歩3分のところにある枯れた百貨店として名高い船橋西武の8階玩具売場に駆けつけると、すでにガキのお子さまがたかって「ハイパーヨーヨー」漁りをしていた。600円の1番安いのから2000円の標準機、クラッチのついた2400円のタイプとあった中に燦然と輝き鎮座ましましておられたのが、その名も高い(子供らの間では、だけど)「ステルスレイダー」様さま様であった。秋から玩具店通いをしつつちょろ目でヨーヨー人気を伺って来たけれど、「ステルスレイダー」見たのはこれが初めて。ガメて秋葉に持っていけば8000円かあ、などといらぬ頭を働かせてしまう。

 それにしても「ステルスレイダー」、こんなに高かモン誰が買うのなんんて思っていたら、真っ先に売れていくのがこのタイプ。いやー子供たち金持ってます、って考えればどんなゴミみたいなPSの新作ソフトよりも安いんだよな。3つで「NINTENDO64」が買えるって考えれば果たして「NINTENDO64」が安いのか、それとも「ステルスレイダー」が高いのか悩むけど、とまれ子供たちには「ヨーヨー」の方が人気の様子。玩具売場でゲーム買う人は1人もいなかったけど、「ヨーヨー」は高いのがどんどんと売れて、「ハイパーストリングス」も売れて、ついでに「デジモン2」も売れてってまるで売場は「バンダイ・デー」。この様を某CSKの某大川さんとかに見せてやりたいねー、きっと考え直したくなるぞ。

 でもって行ったからには手ぶらで帰る訳にはいかないと(いかないのか?)、大人の財布で1番高価な「ステルスレイダー」(円周は透明で中が半透明な緑のタイプ)と「ハイパーストリングス」(要するに換え紐)を購入、うーん万札が飛んで行く。早速ブリスターから取り出して回してみると、いやーやっぱり高いだけあって「ハイパーインペリアル」なんかとは回りが違う、保ちが違う。軽くて手に馴染んで返って来た時の手のひらへのショックも小さく、やっぱり高いだけのことはあると感心することしきり。これを持ってすれば3段階で各10レベルずつある「トリック」の技術も、たちどころに最上級まで駆け上がれるだろーとまずは「犬の散歩」(古語辞典より)を試してみるが上手くいかない。「東京タワー」(死語)も同じでそのうち肘が痛くなり、否が応でも年齢を実感させられる。とりあえずは富士産経グループでのグランプリを狙い、それからSFセミナーに撃って出て、さらに日本SF大会での1番を目指すとするか。えっ、「ヨーヨー者」なんて呼んでない?

 ヤングアダルト物を何冊か読了。スーパークエスト文庫から出た涼風涼さんの「Memories−記憶−」は、「センチメンタル・オカルト・ミステリー」と何とも欲張りな惹句が帯に書いてあるけれど、死んだ父親が遺した、自らの出生を探す少年を主人公にした小説を読む主人公(ああややこしい)がたどり着いた結末は、ってな展開は、「僕って誰」的な探求の物語と、通い合う双子と神秘が絡み合って、メロウでセンチメンタルなトーンを醸し出している。ミステリーとしては大仕掛けのトリックがある訳ではないし、オカルトとしても加門七海さんとか夢枕獏さん的な風水陰陽入り乱れ、あるいは白魔術黒魔術大乱闘がある訳ではないから、やっぱりそういった派手な展開よりも、物語が伝えようとしている親子愛兄弟愛へと目を向けて、しんみりしつつちょっぴりゾクッとした方が良いかも。作者はホームページも開いてるみたいです。


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