縮刷版98年11月上旬号


【11月10日】 きっと大ベストセラーになっているのか、それとも純粋に思想的理由なのかサンケイ会館1階の本屋には見あたらず近所の紀伊国屋まで行って岩波書店の「世界」をゲットする。をを凄いぜ偉いぜ紀伊国屋大手町ビル支店ではあの山形浩生訳、ポール・クルーグマン著の(逆だがまあ良い)「クルーグマン教授の経済学講座」は平台の最前列の1番角で山積みだぁ、売れている証拠なのかな。さても「世界」は『新「国粋主義」の土壌』のテーマで小林よしのりさんの「戦争論」への警鐘を鳴らしているんだけど、あの”魅力的”な(50万部も売れてるんだもん、魅力があるんだろう)言説に対抗し得るだけの反論を持ち出してくれているかと思ったら、総じて局地戦に止まっていて読んでてどうにもはっきりしない。

 自分を美化し自分の支持者を良く書き反対する人たちは極端なまでに悪辣い描く手法への嫌悪感を表明したってそんなんマンガって絵で語る手法を活用した小林さんのテクニックなんだから言っても詮無いし、同じマンガならではの意見として、座談会で学生の1人が指摘している「逃げのフレーズを使ってちょっと冗談っぽくしている。彼が批判している人たちと同じ土俵に立って言っていない気がします」という印象も、先だって放映された「朝まで生テレビ」で宮崎哲哉さんに向かって「ギャグじゃない」と明言して、なるほど「戦争論」に関しては(「ゴーマニズム宣言」はたぶんギャグも入っていると思う、けど)、徹頭徹尾マジなのかと解ったことでとりあえずは引っ込めなくっちゃいかんだろー。

 問題はたぶん「私」に対する存在として出して来ている「公」がイコール「国家」となってしまう小林さんのロジックで、だから国のために戦えだのなんだのとなってしまうんだろーと思うけど、それは違うんだ「公」ってのは例えば家族とか学校とか地域とかってな「公共」「共同」といったゆるやかな概念じゃないのと小熊英二さんなんかは言っていて、社会のなかでピシっとしていることがすなわち「公」であるんだと胸張って言っても良いんだなーと思わせてくれるあたりに、「戦争論」の呪縛から逃れるための芽がのぞいているよーな気がする。

 けれども同じ小熊さんでも「重視しなければならないと考えているのは、この運動(「戦争論」のことかな?)そのものよりも、その出現が示した現代日本社会の心の闇である」「あらゆる共同性が、実感できる関係性が、有効で開かれた公共性が崩壊し、政治への不満も、経済的失速への焦りも、日常や未来への不安も、すべて表現する言葉が失われていくような閉塞感」と原因をさぐりあてておいて、これを払拭するための手段を明示してくれていないところに、やっぱり有効な手段はないんやな、「国家」を「公」に祭り上げて従うしかないんやな、と突っ込まれてしまいそーな部分が残ってしまって食い足りない。

 向こうが役人も政治家もサラリーマンも大人も子どももどこかタガの外れた状態になっている今を改めるためには、依拠できる「国家」が必要だと説くのならこちらは、タガなんてそもそもないんだと言って混沌をも是認する暴言を履くか、良識とゆーかモラルを維持するための規範なり規制を親の教えでも婆ちゃんの遺言でも神の思し召しでも良いから見せてくれるだけの事をしないと、潰しても潰してもどんどん出てくる黒くテカったガサゴソな奴、ってな感じでいつまで経っても平行線を辿るどころか甘い水でもって人々を誘い囲って引っ張っていってしまいかねない懸念もある。ここはやっぱり「噂の眞相」最新号じゃないけれど、「朝ナマ」での同席を拒否された宮台先生にご登場願ってどだーんと論陣張って戴きたいところですね。

 その「噂の真相」に中原昌也さんが登場。実はじっくり写真を見るのは初めてだったりするんだけど、うーん丸い人だったんですね、中原さんて実は。本とか評論とか読むといかにも不健康そーで繊細な細面のスリムのジーンズが似合いそうな青年が思い浮かぶんだけど、「噂の眞相」の写真は正面からってのもあるのか面積的にちょっぴり横方向への伸長が見られ、かつ頭蓋骨の向かって下部すなわち顎にあたる部分の肉付きが、本来持つべき骨の形を2重3重に覆って原形への想像をかきたててくれる。あれだけ売れっ子のよーで月々の原稿料収入が10万円程度とは、これでヒョーロンな業界なかなか厳しいのかと思いついつい会社に日和ってしまいそーになるけれど、そのくせちゃーんと食べている様には案外美味しいのかもとやっぱり日和ってしまいそーになる。美味しいものも食べてそーだし、体格見ただけなら。

 外国特派員協会で英語を喋る入交昭一郎社長のスピーチを聞く。珍しく本田時代の話を持ち出してあれやこれや教わった話や空冷エンジンを作って失敗した話なんかを披露したあたりが、これまでのインタビューとちょっと違って面白かったかな。自分を追い出した本田の事にこれまであんまり触れてなかった、とゆーか聞く側もあんまり触れなかったからなー、イタくって。冒頭に外国プレスに披露した「湯川専務シリーズ」のCMに発売直前のバージョンがあってそれはV6だったかジャニーズjrだったかの滝沢くんが湯川専務と共演して、「ドリームキャスト」を1軒1軒セールスしたり、リアカーに山積みして1個1個売って歩いている内容で、外国プレスの結構笑いもとれていた。ベタベタなギャグってのもベタさゆえに解りやすいのかも。しかし本当にリアカーに山積みで秋葉あたりを練り歩いたら、湯川専務誉めてやっても良いなー。

 東京証券取引所でナムコの決算発表を聞いている最中に松竹が「鎌倉シネマワールド」を閉鎖するとのリリースがあって即座に「ナムコさん買いませんか?」と聞いてやる。まあ「遠すぎるし年齢層も高いし」と答えがあってとりあえずは白紙みたいだったけど、何でも買っちゃおーな人がトップの会社で現に松竹から人まで買っちゃったくらいだから、たとえ隣りが山田洋二さんの本山とも言えそーな大船撮影所であったとしても、考えもせずにパックリやったうかもしれんなーと、思い今度けしかけてみよーかとタクラむ。そーだ大船撮影所もいっしょに買って調布も移転してしまえってのはどーだ? なんて言うとたぶん周りから怖い事を吹き込まないでとストップかかるだろーなー。

 12月15日で閉鎖になるそーなんでまだ言ってない人は今生の別れとハンカチを目頭にあてて大船まで電車に乗って行ってみるのが吉。安売りとかもするそーなんで寅さんグッズとかが山と手に入るかも、って別にいらないしそんなモンしか売ってないから、最盛期には月間17万人もあった来場者が、最近では月間4万人程度へと大きく落ち込んだんだと思うんだけどね。電車くらいでしか行けない立地の悪さってより企画の貧困さの方が、全然人気の出なかったたぶん最大の要因じゃないの? 「ハローキティ」で盛り返した「サンリオピューロランド」みたく、女子高生の「寅さん」を流行らせれば、ファンがグッズ求めて連日長蛇の列を作る、かも。


【11月9日】 突き上げられる衝動に駆られて、町田ひらくさんの「Alice Brand」(コアマガジン、1000円)を買って読む。黄色い楕円の中に黒で「青年コミック」と書かれたこれは当然の如くエッチシーンが満載で、かつ「アリスクラブ」のタイトルどーり、いたす対象が全て少女それも当然の事ながら日本で言う「コギャル」よりも年齢で3つも5つも下の世代だけに、読んで眉を顰める人々が居ることはまったくもって否定しない。

 しないけれどもしかし眉を顰める理由が、架空の世界が現実を浸食する懸念を心配した上での架空の否定だとしたら、それは違うと言っておき、架空を架空の世界として楽しむ事をも否定する昨今の傾向が、こういったジャンルのマンガをも否定し葬り去ろうとしている風潮への懸念を、とりあえず表明しておこう。

 なおその上でこのマンガを読んで思ったのが、いたすシーンそれだけを見せたいがためのマンガではなく、いたすシーンが物語の上で必然的に展開され、かつ物語が読者に何らかの感銘を与えている点。それは愛することの辛さであり、また愛することの素晴らしさであり、大人の欲望の犠牲となる子どもの哀しみであり、大人に復讐する子どもの怒りでもある。

 もちろんそのシーンだけでも十分に役に立つんだけど、それ故にいっしょくたにされて(とは言え別にグラビア的マンガもマンガとして存在していけない訳じゃないけど)埋没してしまうのは残念なので、今頃気付いたのかと知っている人たちに笑われるかもしれないけれど、ここに大々的に存在を告知してしまおー。あんまし売ってないけど見かけたらちぇけらっ。巻末のカラーで描かれた少女のひと夏の経験を描いた4ページのマンガ「夏の栞」が、読むほどに不気味でかつ哀しい。傑作だわ。

 すでに放映されて評判はあんまり聞かない「VISITOR」を大々的に誉めあげてしまう記事を書いたり、昨日の「サバイバーショット」の大会を「世界大会って外人来てるのか?」といったデスクの鋭いツッコミを「世界で唯一の大会だから世界大会ですよ、宇宙大会って言っても良いや」とごまかしつつ記事を書いて入稿。ついでにプリントした写真の中から本当はルリルリを使いたかったけどあんまり良い写真がなかったので、適当に見栄えの良い写真を選んで合わせて出稿して、限定バージョンの「サバイバーショット」を自腹切ったとは言え手に入れる機会を得られた事への責任を果たす。

 取材に来ていた新聞はウチ1紙だけだったからほとんど独占取材に近いんだけど、だからといって「エヴァ」が大賑わいだった時期の庵野さんのインタビューを掲載した雑誌みたく、争って買われるとはとても思えないのがとぉーっても哀しい。じゃあ庵野さんが参加して写真に写ってたら新聞が飛ぶよーに売れたかってゆーと、髭面なおっさんの光線銃ぶん回している写真に人気が出るとはやっぱり思えないんだけどね。

 哀しいと言えば漏れ伝え聞く所によると経費節減も行き着くところまでいった新聞社が、次は通信費、つまりは電話代の削減に目をつけているとかいないとか。確かに新聞社の電話代ってのはたぶん結構な額に上がっているけど、それは一種電話線が生命線にも等しく、通話は血流にも等しいってな事情があるからで、これを止めれば血の巡りが悪くなった脳のごとく、細胞は次々と死に絶えやがて全身をも蝕み、再起不能へと至らしめるのは確実なことだと言って反論は絶対にあるまい。

 そりゃあインターネットとかをのぞいている時間もあるだろうけど、それとて部署によってはつまりはネットのコンテンツに関して記事を書く部署にとっては取材と同等の行為だろーし、通常の取材の電話だって長話の雑談から産まれるネタなり関係という物もあるからね。さてもいかなる事態が到来するのか混迷はますます深まるばかり。やがて企業の皆様には伝書鳩用の箱を備えてね、ウチから鳩のポッピーちゃんが飛んでいったら足首の伝聞を開いて返信を入れて放してやってね、なんて通達がいくかもしれませんのでよろしゅうに。ピンク色にペンキで塗られた熊がとことこ歩いて手紙を届けるなんて事は多分ないと思うけど。

 ネットと言えば今日の話題はここん家で報道された「PS2」の話だけど、赤坂の会社に電話しても相変わらずの我関せずで他人事のよーな返事しか返って来ない。当方の広報くらいからしか事情を聞けない取材能力の無さは反省もするし嘆きもするけど、いつもながら木を鼻で括ったよな(ってどんな状態なんだろー?)「こちらから出た話じゃないし来年の話なんでコメントできませーん」ってな対応は、そう言えと言われているとは解っているし応対してくれている人にそれ以上を期待してもいけないと知ってはいても、どこか統制めいた敷居の高さを感じ、とてつもなくザラついた気持ちになって、バンダイからもらった心が落ちつくキティちゃん印の「アロマジェル」を耳の後ろと首筋とこめかみに擦り込んで、無理矢理気持ちを静める。ふーうっ。

 未上場な会社にディスクロージャーの必要性を解くのも徒労だけど、少なくとも連結決算で親な会社が黒字を確保できるその原動力となっているだけの収益を上げている会社の売上を大きく左右しかねない情報に、まるで我関せず勝手に書いた事でしょー的対応は果たして通用するのかしないのか。違うんだったら否定すれば良いし抗議だってすれば良いのに、しないしやらないのはつまり真実なのかと聞いてもやっぱり返ってくるのは我関せず的な答えだったりすると、これはもう取材能力のない怠惰な記者で、かつ足りない脳をカバーする足も経費削減の余波で確保出来ない貧乏記者にはいかんともしがたい。

 募るザラザラが、本来は公平であるべき視点にバイアスをかける事は多分おそらく決してないとは思うけど、しかし今週号の「AERA」の親な会社へのバッシング記事なんぞを読んでいると、品川と赤坂に共通して見られるどこか敷居の高さを感じさせる対応に、結構不満を持っている人も多いのかなーとも思えて来る。同じチームの市ヶ谷はあれで結構ポップで機動性もあるので除外、ってゆーか「人」が大事な業態ならではの対応をしてくれるんで、アーティスト気質が移って結構気難しいところもあるけれど、まあ納得できないこともない。

 対して品川赤坂チームに見られる、消費者に支持されれば良いと割り切って広報ではなく宣伝への傾注へと走る行為は、営利事業という目的を果たす上で実に合理的な考え方だと思うけど、意識があって怒りもすれば笑いもする「人」を最小単位に構成された世界に、営利を目的とした「企業」の論理を前面に押し立てて「人」の心の機微を忖度しようとしない存在は、果たして生き残ることが出来るのだろうか。とかってな高踏な事を考えつつ、裏では忙しくなりそーな予感に面倒臭さを覚えて早く楽して仕事したいと考えている自分が、実は1番悪かったりするんだけどね。どっちにしたって来年末には発売になるんだし、早いところ片づいちゃって欲しいねえ。


【11月8日】 録画してあった「ジェネレイターガウル」の先週放映分をよーやく見る。「しゅびびん、しゅびびん、しゅびびんびん」があるなら「ブタもおだてりゃ」「ポチっとな」もあって欲しかったよーな気もするけれど、「ポチっとな」は今が勝手に旬な黄色い「ポケモン」でも見られたからオッケー。ユージンのガシャポンでキャシャーンがやらねば誰がやる、もゲットして机の上でポーズ決めまくってる事もあり、ここんとこタツノコ魂満たされまくりな男30代疲れも抜けずに乳酸化して溜まるお年頃、でありますな。しかし「アンドロー梅田」は懐かしいぜよ体に鉄条網みたいな物が巻き付いて変身するシーンなんかも最高だぜ。次は是非とも「ポリマー」パロディ頼んます、ツバが切れまくりな帽子をぶっ飛ばすとか戦車みたいなのに変身して転がりまくって亀みたいな敵をぶっ飛ばすとか。

 ついでに買って来たばかりの「南海奇皇ネオランガ」の第2巻を見る。見て金返せポニーキャニオンせめて半分だけでもと同じグループに属してなおかつこっちが弱小なメディアに居る身を省みず、本社のある虎ノ門方面に向かって叫ぶ。ライトツナ稲葉あるいは100人乗っても大丈夫物置稲葉出てこーい、とまでは言わないけれどね。

 叫んだ理由は別に冒頭から流れるテーマソングをみやむーが唄っているからではない、それはみやむーが主演の海潮役に抜てきされた時点からおよそ想像のついていた事で、音量を上げたヘッドホーンからいかな音波が発生しよーとも心構えがしっかり出来ていれば十分に耐えられる物であるし、或いは縁起物と納得すればそれはそれでそれなりにそれだと、自らを納得させることも出来ないこともない。がしかし。ジャケットとかオープニングの映像とかでそれなりにそれなりな絵を出しているにも関わらず、本編に入って流れ出した絵が余りにあれほどまでに大変だったとは全く思いも寄らなかった。いやもー吃驚したよ、「ロスユニ」見てないんで「マクロス」以来の仰天だったよ。

 後半2話はそれでもまあ総体的に向上しているよーに見えないこともなかったのが、金は半分で良いといった理由。それにしてもやっぱりせめてビデオグラム化するにあたってまーちょい何とか出来なかったものなのか、ポニーキャニオン。かつてポニキャニでOVAが作られながらもアニメ化に当たってはビクターに話を持っていかざるを得なかった「吸血姫美夕」が、LD化に当たってビクター側によって手直しされている(らしーが見ても実は良く解らない、もともと結構ちゃーんと動いてだけはいたからね)のに比べると、「ネオランガ」の余りに余りな所業はいずれファンのそっぽ向きを誘うとここに偉そうだけど忠告しておきたい。

 「スタジオぴえろ」にしてあのクオリティーってのも実はあんまり納得したくない。人気はともかく「KYE」が比較的ラストまでちゃーんと質的に保たれていたのと比べると、このクオリティーで納品したとあっては、沽券にかかわるんちゃいますか。あるいは資金的スケジュール的に何か問題でもあったのか。「大吟醸」あってもキツいポニキャニならではの事情があるのか。だとすれば目ん玉軍団結構大変な事になっているのかもしれんと邪推しいよいよ身の施し方を考えなくっちゃいかんのかも。

 寝て起きて仕事半分遊び半分なイベントへ行く。近所から京成を乗り継いで向かうはひなびた遊園地にある前世紀の遺物「巨大迷路」。僕が大学生だった10ン年前に雨後の竹の子キノコに火の粉の如く出現した「巨大迷路」は、だけど瞬く間に流行りのピークを過ぎて在る物は壊され在る物は潰れて放置され、今も現存してるのは世界中でそこだけかもしれないとゆー貴重な遺跡と化している。そんな世界遺産に匹敵する貴重な場所を借り切って、かと思ったら一般人も遊んでいる中に割り込んで開かれた「第3回サバイバーショット世界大会」(主催・ガイナックス、後援・トミー)は、朝からそれっぽい兄ちゃんと全然それっぽくない女の子たちが実に300人近くも集合し、インディアンサマーな日差しの中でピコピコポンポンなバトルの幕が切って落とされた。

 迷彩服にサングラスにベレー帽の出で立ちをした武田康廣統括本部長のルール説明とかに続いていよいよ6人1チームが3組集まって1つのグループを形成し、同じ18人のチームと闘う今回の大会は、周囲に気を配りつつ迷路そのものを攻略しなくてはいけないとゆー難しいミッションのクリアが戦略的な要素を醸し出していたよーで、あまりに早い決着もなければいつまで経っても誰も死なないってなツマラない事にもならず、そこそこに死んでそこそこに生き残って判定の段になってバンザイありよ、バンザイなしよが解るとゆープレイヤーたちにとっては結構スリルにあふれる大会になっていた。

 中には集まって移動して全然やられず最期まで生き残ってしまうチームもあったけど、角に隠れて相手が角を曲がって来る、あるいは壁を隔てて敵が迫って来る跫音(あしおと)に耳そばだてる戦闘は、向こう側にいる相手が見方か敵かを識別する苦労も加わってドキドキな時間をプレヤーに与えてくれたに違いない。15分も走り回って別の意味で心臓ドキドキだったかもしれないけどね、いかにも運動不足してそーな雑誌の編集部の人たちとかゲーム会社のクリエーターの人たちとかが結構多かったよーだし。やればきっと僕もハアハアゼエゼエ必至だっただろーけど。

 異色だったのはルーソーミニスカ茶髪色黒な「コギャル軍団」に「トップをねらえコスプレ2人組」に「CCさくらバトルコスチューム&CCさくら友枝制服&ルリルリ&よく解らないけど制服風コスプレ」。おそらくは「コンプティーク」あたりの雑誌が仕込んだ女の子たちだろーから、やがて雑誌に出現することになるでしょー。向こう数週間から数カ月は注目かも。後どー見ても普通の女子大生ってな高いブーツ履いた女性軍団もいたけれど、途中で引き上げたのでそんな格好でプレイしたのかどーかは不明。どっちにしたって女の子に大のおっさんたちが巨大迷路で光線銃ぶん回す光景は、同じ迷路に挑んでいた一般のお客さんから見れば同じ「イヂョー」で括られる存在だったことは間違いないだろーけれど。

 たぶん「コンプ」かあるいは別の雑誌の編集の人たちがプレゼント用に押さえておこーとして出遅れたらしく果たせず怒声も飛び交っていた「サバイバーショットGAINAXバージョン」を、実はしっかりと購入していたりするプレミアム大好きな僕。パッケージを開けると「サバイバーショットは熱い漢の魂」と筆文字も鮮やかに書かれた武田本部長のチラシといっしょに、プラグスーツな綾波レイが「サバイバーショット」を手にして寝そべった絵柄のテレホンカード(原画・鈴木俊二たぶん都知事じゃない)が入っていて、しっかり「非売品&転売を禁ズ」と書かれていてそれでも売る奴ぁ出るんだろーなーと考え幾らになるんだろーかと狸の皮を算用する。けどあたしゃ絶対に売らないよ。

 肝心の商品の方は、本体を入れか紙箱のパッケージの上を同じ綾波のイラストにミサトさんとプラグスーツ姿のアスカがやっぱり「サバイバーショット」を構えたイラストが描かれたカバーが覆っていて、それだけでも結構なプレミアムになるかもしれんとニンマリする。さらになおかつ銃本体には、通し番号で「41番」といかにもマスキングした上からスプレーを吹いたよーな数字が描かれ、反対側にはこれはもー絶対にマスキングした上からスプレーを吹いたとしか思えないよーな、微妙かつ繊細な仕事の上で施された「GAINAX」の文字が描かれていてプレミアム魂を強くくすぐる。やっぱり狸な皮算用的気持ちになるけれど、マスクさえあれば誰でも作れそーな気がしないでもない。トミーに頼むかガイナからマスクだけ盗んでスプレー吹くか。個人的には新品買って勝手にエヴァカラーで紫緑に塗ってやりたい気もするんだけど。暇が出来たら挑戦しよー。

 途中で抜け出して秋葉原のVOLKSショールームへ。すでにして100人近い男ばっかりが集まって熱気と臭気がムンムンの中を吉井怜ちゃんが登場、黒山の向こうにかすかに見えただけではっきりした事は解らないけれど、テレビで見たスリムな印象とはちょっと違って割かしプックリとした面立ちで、それでも可愛さは衰えるどころか倍増しくらい(実物のオーラってのもあるけどね)になっていて、せめて1目なりとも実物を、と思い頑張るも果たせず適当に辞去する。番組自体はとてつもなくマイナーだった「仮面天使ロゼッタ」だけど、前日渋谷でサイン会が開かれたばかりなおにも関わらず、かくも大勢のファンを集めてしまう吉井怜ちゃん自身の人気は、いずれメジャーな可能性を秘めている、のかも。


【11月7日】 悪銭身につかず、況(いわん)や良銭をや。用法がちょっと違うがニッポン語ムズカしいでぇースと笑ってごまかし散財に秋葉原へと向かう。まずは「ドラゴンクエストモンスターズ」を捜してゲームショップを絨毯爆撃的な虱潰しにかけるも猫の手1本発見できず(また用法違ってる)断念。「ゲームボーイカラー」はラオックスのゲーム館で見つけてでも持っているから買わずに済ます。売り切れはピカチュウ色の黄色とそれから青。クリアは残っていて案外人気ないのかもしれなかったりするのかも。不人気だから入荷が少ないってのかもしれないけれど。

 でもって諦めて次に向かうは行き着けのLD屋で早速「南海奇皇ネオランガ」の第2巻と「トライガン」の第4巻を買って3分の1をチャラにする。何の3分の1かってそれはまだ秘密。別の棚を見ると並んでいるのはアニメのDVD、だけど「バビル2世」も「イリア」も「ランマ1/2」も日本じゃまだDVD化なんてされてなくって、つまりは何故か海の向こうではこーゆー作品が次々とDVD化されているってことで、それは海の向こうではこーゆー作品がDVDになるほどマーケットが大きくなっているか、それとも海の向こうではこーゆー作品にマーケットがあるのかってことが伺い知れる。しかし「らんま」「イリア」は解るが何故に「バビル2世」か? ロデムフェチでも多いのか。融けて体にグルグル巻き付いてっ! そのブニョブニョ感がいいのっ!! ってな感じぃ?

 途中見つけたユージンのガシャポンで「勇者王ガオガイガー」をプレイして1発で命をゲット、をを履いているぞ見えるぞ見上げなくってもモロ見えだぞ、やるなあユージンとの歓声を帰宅してカプセル開いて組み上げた時に発した事は恥ずかしいから内緒だよ。ままラジオ会館の6階にあるボークスのお店に寄ると吉井怜ちゃんのサイン会は明日の午後2時でちょっと残念。明日は行けるかどーか解らないので飾ってあった「仮面天使ロゼッタ」のバトル時のコスチュームを見てああこの中に怜ちゃんのタワワな胸が、とイった次の瞬間に中に入っていたのは違う姉ちゃんだったことを思い出して溶ける。でも間違えてファラオンの見ながらじゃなかった事だけは救いだねえ。

 不真面目はいかんと特別限定品の棚から「バービー人形」の「ヘップバーンモデル」を出してもらって散財する。これで3分の2まで吹っ飛んだぜ、後は明日の即売会で「サバイバーショット」買ってチャラだぜ、やっぱり悪銭身に付かず、だなあ。さてもヘップバーンのバービーは遺族が五月蝿く監修に口を出しただけあってマジに顔がヘップバーンくりそつ。映画「ティファニーで朝食を」の時の黒いドレスに手袋で手にはロイドなサングラスとゆー出で立ちをまんま模した人形は、肩に長ーいショールをかけてニューヨークかどっかの街並みを写し取った箱書きをバックにすっくと立って微笑みかけてくれている。ヘップバーンファンなら即買いの逸品。僕は別にファンじゃないけど欲しくなったのは似せることへの拘りに打たれたから、だろー。対していくら「CCさくら」でも例え即日完売でもあのドール植毛の「さくら」はあんまし欲しくなかったあ。半分は負け惜しみだけどね。

 もらった11月29日開催は「ドールショウプラス01」のチラシに描かれた青木光恵さんのイラストの足下にまとわりつく猫がケロちゃん見たいと思いつつ、帰りの電車で榊原英資大蔵省財務官の「国際金融の現場」(PHP選書、657円)を読む。「ミスター円」とか呼ばれる筆者は歯に衣を着せない言動でお堅い官僚の中でも異色の存在だけど、書いている内容は極めて真っ当で筋がびしゃーっと通っている。いやあまりに通り過ぎてて逆に恨みも買いそうな内容だったりするけれど。例えば今のマスコミのあり方について批判が続出、曰く米国偏重で外交報道といえば米国のことばっかりがでっかくなるし、ろくすっぽ勉強もしないで米国のプロパガンダの先棒を担いで日本ばかりを非難して、国益ってものを考えやしない、ってな感じかな。

 政治部記者への風当たりの強さといったらどっかの政治家の思惑で動いてるんじゃないか、くらいのニュアンスの事をぶつけていて、その政治家も「公」ってよりか「私」ってあたりが行動の中心になってんじゃないか、ってな感じのことを言っている。アメリカ陰謀説とかにはよらず、すでにしてアメリカは多様な国家で、それでもナショナル・インタレストを追求していこうとする姿勢が見えるのに、日本は拠り所なき国家でナショナル・インタレストを主張したくても出来ず護ろうとしても護れない状況が、今の日本の国際的な地位を低いものにしているんではないかと、まあ多分にこっちが忖度しすぎのところもあるけれど、おおむねこんな事を言っているんじゃないですか、榊原さん(読んでねえよ)。

 官僚が決してバカではなく官僚組織が硬直してないってのは自らの経験も踏まえてのことで割り引いて見る必要もあるだろーし、記者クラブと官庁とのなれ合い構造を批判するのは納得できるとして役所がもっと情報のセキュリティーに神経を配れってのは、たとえ国際競争の上で必要であったとしても自らに都合の悪い情報は隠すとゆー前例が積み重なっている実状を見るとちょっと納得できない。出来るとしたらそれが国家さらには国民のためになるんだとゆー説得力を保ち得た場合に限るんだけど、肝心の拠り所とする国家が見えない状況では、こーゆー議論も政や官が「私」を滅して「公」のために奉仕せよとゆー要求も、どこか目玉を欠いているよーな気がして仕方がない。がまあ良いちょっとは見える役人がいるってだけでもゼロじゃないから、かければ10にも100にもなるって所に希望を残しておきましょー。小林よしのりと対談させてみてー。

 前に村上隆さんのデザインした「インディペンデンス」を企画したワーカホリックスから再びな小山登美夫ギャラリーシリーズが。いや別にそーゆー意図があるのか無いのか知らないけれど、今度はあの画集「深い深い水たまり」も好評な画家、奈良美智さんをヒューチャーしてのアートウオッチで、オデコの大きな三白目の子供の顔がデカンと描かれた文字盤の、左端にまーるく切り取られた穴があってそこに時間を継げる目盛りがのぞくとゆーやっぱり変わったデザイン。ベルトはオレンジ色の皮っぽいものとシルバーに光って「Slash with a Knife」の文字がプリントされたものの2本が付いている。裏蓋にはイヌの顔でブリキ製のイラスト付き缶ケースに入ってたったの1万8000円とくらぁ絶対買い、だね。発売は12月中旬。小山さん家とかで売るんだろーか、来年に開かれる展覧会では売るんだろーな。金がまた飛ぶ。おっと下に吉起画伯の自画像が入りましたんで見たい人はスクロって下さい、骨折してる割には、イケてるでしょ?


【11月6日】 朝の6時という超早起き(僕にとては)(新聞記者にとっても)をしてまわしする(名古屋弁)。午後の真っ当な会議に備えて3年前になけなしの金をはたいて買ったコムデのスーツとハートマンのアタッシェを引っぱり出して完全武装、ををこれはまるで広告代理店かどっかの勘違いしているヤンエグじゃねーかと鏡を見て思い、あまりにも類型的なのは拙いと襟に「カードキャプターさくら」のステッキの小さなバッジを付けて雰囲気を抜く。本当だったらいつもどーりにデニムのシャツのジーパンに帽子被ってサングラスかけてショルダーバッグの「お出かけモード」にしたかったんだけど、ってゆーかそーゆー格好で出没してる方が多いから見分けもついたと思うんだけど、相手が流石にお役人だといきなりなラフはかえって信頼損なう恐れもあるからね、とりわけ真っ当なお仕事と思われているブンヤだと。

 なのでカッターシャツ(死語?)もやっぱり白で靴もクラークスのチャッカー、腕には「リカちゃんコーリングリング」をはめたかったけどはめず、カバンにジターリング放り込みたかったけど放り込まずに家を出てとりあえず最初の仕事場の新宿に向かう。朝の9時に来んしゃいとゆー大常務の声に呼ばれてえっちらおっちら千葉から西へ1時間、到着した新宿でクロワッサンを珈琲でかきこんで上がった住友ビル43階のオフィスには、入り口にタイツ姿の春麗が建つオトコ心をくすぐって止まない硬派でワイルドな会社であった。流石に朝9時では社員もほとんどいなかったけどね、って言うとなんだか8時から仕事しているさらりまんな人に怒られそー。ちなみに某工業新聞社で人が揃うのは11時です。まあ普通だよね、給料安いしさ。

 けどやっぱり予想どおりの二日酔いで常務は若干の遅れ。代々木の自分の会社からタクシー飛ばしてかけつける間を広報担当の人と会話しながら「ゲームボーイカラー」を見せて自慢したり安田朗さんが次の新作ガンダムの絵描くんですねーとか言って、広報の人に「何でそんなこと知ってるんですか」と驚かせてからかう。まあ見かけはヤンエグ(頭はツルツル)な風体でいきなり「ガンダム」に「ポケモン」は虚仮威しにはなるよね。流石に硬派な会社なんで襟のバッジに気付いてくれなかったのがちょっと残念。今度はバンダイが何時発売するんだなステッキを持って行ってみよー。何コスプレもしていけ? サイズあるならやってやろーじゃんか。

 とか言っているうちに正装の短パンで常務登場、飛ばしまくりの会話はオフィシャル、アンオフィシャル入り交じって収集がつかないけれど、そこは適当に間引いて裏読みして記事にしよー。面白そーだったのはネットワークへの関心で、パパとして電話代がかかり過ぎるのはかなわんとの経験を踏まえつつ、それを納得させNTTを料金下げようと思わせるだけのネットワーク対応ゲームの構想を、いずれ実行に移すとマジな顔して(マジな顔は1日3回までしか出来ない、かどーかは定かでない)話してくれた。元亀仙人がネットへの傾注を語ってたいのとは一見対称的だけど、そこに可能性があると言う意味では同じ。ちょろちょろパッパな展開にしても、いきなりズドンで周囲唖然な展開にしても、いずれそのうち来るべきネット時代に勝つための、笑いとおどけの影で苦労がすでに始まっている、んだと思うけどやっぱりマジに見えないなー。

yosiki  だってカメラを向けると大笑いするし「そーだ下はグラマな女の子にしよー」と社内から巨乳を呼んで来て写真を撮らせてくれたりとサービスもたっぷり、かつ「それでは」と持って来たソフトに直筆で似顔絵入りのサインをしてくれたりして、これをマジメな記者さんが見たら、いったいこの会社真っ当なんだときっと悩むに違いない。案外こっちのからかわれているのかもしれないけどね。折角なので代わりに持っていたバンダイの「オトゲー」を置いて帰る。「リアルサウンドみたいなもの」と紹介しよーかと思ったけど、怒られそーなので(どっちに?)やめる。もしも短パンな常務がイヤホンして緑の卵をピコポコしてたら、それが11月下旬発売のバンダイが期待な「オトゲー」です。倒して取りあげよー今ならまだ指ベキバキなんで勝てるぜよ。

 話し込んで時間がギリギリになったんで東京駅へと急ぎ新幹線で静岡で。高い背広とカッターシャツでキメた理由の会合に出る前に駅前の玩具屋をうろうろするも「ドラゴンクエストモンスターズ」も「サバイバーショット」も無し、いや実は「サバイバーショット」は見つかったんだけど色がポップなのが気になって、良く見るとすでにして製造中止になった旧バージョンだった。をを。すでにして店頭からすべて消え去ったと思っていたものに田舎だとお目にかかれることはあるけれど、静岡の県庁所在地の目抜き通りの玩具屋に今も鎮座ましますとは、よほど売れなかったんだろーなー。でも今はキャッチーな玩具(地域限定だったりするかも)なんでさっさと取り寄せ置き売ろー。助教授は買うとさ。

 難しいのは理想を語るか現実を訴えるか、近視眼的に示すか遠視眼的に案じるかを把握しきれていないということで、自治体が何らかの意見を求めている以上は予算とゆー枠組みを設定できるよーな比較的近視眼的でかつ、予算を分捕りやすい「フック」が必要なんじゃなかとゆーのが政策のあざとさメディアのせせこまさを経験している当方の所感。故に偽善と呼ばれることを覚悟して北海道の身障者のデジタル施設の話をしたけど、心底から良い物を作りたいと考えている妥協は許せないクリエーターにはあまり評判がよろしくなかったみたい。まあ仕方がないんだけどね。ただし別の意味での「フック」、つまりは有名人を出すなり招くなりしてブワーッとやって関心を集めるなり人を惹きつけるなりした方が良いってな部分では共通する考えもあった。日和すぎなこっちの性格が振り返るとやっぱり哀しいなあ。けどこれ商売柄仕方がないのよね。

 名古屋にはたまれる場所がなく大阪にはゼネプロがあって東京にもゼネプロがあってその違いが自分の20年近いロンリー・ファン歴でかつ場違いの新聞屋家業へとつながっているんだけど、遠回りしてもなんとか接触できるよーになったのは一重にネットのお陰。故にリアルな世界にリアルなフィールドを作って、好き者な人々が集まりそこからオタクのエキスパートが出てもしかしたらすっげークリエーターも産まれるかもしれないとゆー意見には、あったら良いでしょ新しいでしょAGFじゃないけどあって欲しいと諸手を挙げて賛成したい一方で、でもネットでもやれることも結構あったりするかもしれんと思いちょっと悩む。もとより人見知りの出不精なんでリアルな肉の交わり(ひわいーっ)を欲してなかった事もあるけれど、でも実際にリアルな場にちょろちょろ出るよーになると結構楽しかったりするから、やっぱりリアルなフィールドは必要とゆーことなんだろー。

 などといささか謎めいた文章をでりゃでりゃ。まあどっかがなにかをしたいってんで、なにをすれば良いのかを考える人たちの1人に入っていろいろ考えてみたって事です。しかしやっぱり変装して出歩いていたんで吉祥寺の大将もその手下も1発では認識できなかったみたい。そうですよ僕はあの渋谷でのサイン会にも去年のアミーゴスにもこないだのアミーゴスにもちゃーんと居合わせ目の前を何度も通り過ぎたりしてたんですよ。リアルな顔を晒してしまって多少は認識をしてもらえるよーになったかもしれないけれど、次は多分ジャンパーにジーパンに帽子にサングラスで変装してたりしますんで、それでもやっぱり認識して戴けると有り難いです柳瀬さん(誰だ!?)。

 終わってから帰る人残る人を見つつ胸に「さくら」のバッジをつけた助教授と駅前の玩具屋やらを散策、あぶく銭を潔く散財する助教授を見ながら「漢」と思う一方で「ヲ」の字も浮かぶ。まずは一番玩具が揃っているとゆー店を、本当に売れるのか当たるのかな「スモールソルジャーズ」のフィギュアを2つも買う助教授に喝采を贈りつつ見上げた旧「サバイバーショット」を遂に買えなかった自分の日和っぷりを恥じる。好きなら買え、見つけた時がある時だ、って知っているのにぃ。出て別の店では例の「たれぱんだ」をピーアールしてファスナーの先っちょにつける小物を買わせる。僕も買う。やがてファスナー付きのジャケットとかを着ている機会があったらよく注意して観察しよー、先っちょでパンダが垂れている。

 新幹線で鯛めしにシュウマイをかじりながら東京へ。あぶく銭の使い道を探しに即座に池袋へと向かう自分がちょっと嬉しい、やっぱりこーじゃなくっちゃね、人には金儲けが心情のサラリマンに見えたかもしんないけど、実態はまーこんな者(モン)です。でもって池袋のパルコの中2階でフィギュア関連の大バーゲンが開かれていて、ウロウロしながら品物を捜すとあったあったセガが出しているソフビの「サクラ大戦」シリーズの買い残していた「アイリス」を500円でゲット、ついでにバンダイのソリッドモデルの李香蘭(戦闘服姿)も500円で購入し、さらに1500円とちょっぴり値段は張ったけどドールの神崎すみれ着物バージョンを購入と、ギャルゲー嫌いな岡本常務(言っちゃった)もこれだけはオッケーらしい「サクラ大戦」づくしの時間を過ごす。けどねえザウルスに「撃!帝國歌劇團」の歌詞入れてるってのは相当だったりしますよ常務ぅ。

 バリアブルギア装着バージョンのソフビの「エリカ」もあったけど2500円なのでパスして新品の玩具屋で「サバイバーショット」を捜すもやっぱり見つからず。池袋東武の玩具屋では何故か「ゲームボーイカラー」が人気の「クリアパープル」も含めて山積み、なのに例の「DQ」はなくこればっぱりは来週の出荷を待たないといけないみたい。西武の玩具屋は改装なってまるでほとんどがバンダイのフロア。ジャンボダードダスで「機動戦艦ナデシコ」の劇場版を5枚ほど出して遊び、「さくら」のツーキャラが1つの鎖につながった小さなフィギュアを見かけて流石に見栄が邪魔して品物を買えず、明日変装して来よーとの意を固めて閉店に伴い店を後にして家路に就く。実にいろいろ考えた1日、だったけど帰宅して人形が3つにゲームソフトも1本増えているあたりに、やっぱりこーゆー業界が水にあってるんだなーとの意を決する。さてもいつまで保つのやら。会社の話ね。


【11月5日】 御免ね読みにくくってでも書いた文章を会社のサブノートで読み返す自分も結構ツラいんですわ。そのうち何とかしよー。とか思いつつ早起きして別の仕事。5月売りの分からだからかれこれ5カ月で今度がたぶん6回目になるんだけど不思議と続いている連載に、西之園萌絵のおばさまの知事夫人じゃないけど「あの人でよろしいんですの」と自分に向かって言ってやりたくなる。

 まあ好評も聞かない代わりに悪評も聞かないからやってる事に多分問題はないんだと思うけど、もしかすると好悪いずれの評判も出せないくらいにウレてないのかと心配もしてしまう。っても本業の方でもやっぱり世間から評判を一向に聞かないから、単なる杞憂なのかもしれない。それとも本業も同じかそれ以上にウレていないって事なのか。可能性はねえ、そっちの方が超高い。

 結局片づかずそのまま仕事に。前夜に呑んだ風邪薬の後遺症で頭が重く体がダルく酷い倦怠感のなかを大鳥居までエッチラオッチラかけつける。某本社の向かいに「ローソン」を発見して渦巻きマークは予約出来るかなー、なんて考えたりもしたけれど、案外と「ゼルダ」の方が多く予約してあったりすると山から転げ落ちヤクザに絡まれれて今は社員をバカやって来たその身も省みず叱咤している湯川専務も、マジで洒落にならんがや。21日の土曜日に出勤する社員が多ければ、ちょっとヤバいかもよセガ・エンタープライゼス。

 そんな心配を抱きつつ元亀仙人と会談、あれやこれやと近況を聞く。どーやら「渦巻き」は10万台あたりが初日に確保できそーな限界で、ちょっとは上積みはあるかもしれないけれど現状ではやっぱり無理みたい。けどまあ初日に手に入るソフトなんてたかが知れてるし、肝心のソニックも発売が先ずれいしそーなんでここは構えてゆったりと、クリスマスあたりにでも手に入ればいーかってな余裕をかまして、発売日を悠然と見過ごすことにしよー。どっちみち買う金もなかったりするんだけどね。

 その元亀仙人が言うには「渦巻き」、言われているようなウィンドウズCEをOSになんか搭載しておらず、っていうかそう思われるのは僕を含めた不勉強な記者の勘違いで、OS自体は倍密CD−ROMとも言われた「GD−ROM」の先っちょに入っているだけなんだとか。つまりはCPUさえ動かせればどんなOSだってオッケーな、それこそ「ITRON」でだって動かせてしまう、言ってしまえば「OSフリー」なゲームマシンなんだとか。今さらを笑うなかれ新聞屋の知識なんてこんなもんだぜ全く。勉強しましょ。

 なるほと確かに最新号の「週刊SPA!」で、演技が苦手な中裕司さんが「今回の『ソニック』では残念ながら(ウィンドウズCEは)使っていません(笑い)。ソフトによって使用するかどうか選べるんです」と書いている。「ヤマハと日立とNEC。それで作っているのがセガですから、これはもう世界に誇れる純国産マシンだと思います」とも。魂をビルゲに売ったのかと嘆いた日々もあったけど、こう聞くとセガもなかなかしたたかじゃん。と思うのはやっぱり不勉強な記者故の早計なのかな。さてもやっぱり勉強しましょ。

 戻る途中で金子達仁さんの幻冬舎から発売された新刊をゲット。書き下ろしでもなく主に雑誌や新聞やホームページに発表された短い記事をごっそり集めたものだけど、それだけに早くから岡田監督の采配を不安視し力量を否定して日本の3戦全敗とジャマイカの善戦を予想して、結果すべてが当たったことが如実に読んで取れる。右往左往で右顧左眄な商業記者の強い者に巻かれろな相対的発想では絶対に生まれ得ない絶対性の魅力。あやかりたいなあ無理だけど。

 同じ幻冬舎から松岡圭祐さんの「水の通う回路」を購入。だけどねえ「人気ゲームソフトをプレイした日本中の子供が全く同じ幻影」なんて帯の惹句にはあまりにも今時なものを感じてちょっぴりイヤーンな思いに囚われる。先入観にあふれ累計的な内容だとまだ決まった訳じゃないけれど、折り返した部分の気取った顔写真には妖しさもまた爆発的。うーむ。前作の「催眠」がどんな評価を受けたのか、ネットで後で探ってみよー。

 適当に辞去して亀戸の「トイザらス」でサバイバーショットを捜すも見つからず。いったいどこに行けば売ってるんだろー。バンダイが人気の「たれぱんだ」の縫いぐるみは山ほどの「大」を発見して欲しまったけど、直前に駅前のローソンで「ゼルダ」を予約したばっかりだったのでフトコロの限界に諦める。特大超特大はいつ頃入るんだろー。出口の「ガオガイガー」ガシャポンも空で見上げれば白、な命も手に入れられずガッカリ。ついてないのかなあ。

 それでもかえって朝の別の仕事を仕上げて転送。明日が理不尽に早いのでここいらあたりで切り上げて眠る事にする。本当に起きられるんですか僕以上に魔界村な人たちは。でもって明日はさらに奇妙な会合も予定でますます「私でよろしいんですの」な心境に浸れること確実。案外言って「どっきりカメラでーす」何て言われたりして、それならそれで有名人だとあきらめられるんだけど、言って「あんた誰?」と言われたらショックはG。さてもどんな会合になることやら。ちょっとドキドキ。


【11月4日】 眠い目こすりながらお仕事するけど進まずあきらめて出勤。眠いのは何故ってそれは未だ手に入らない「ドラクエモンスターズ」の代わりに「ポケットモンスター」の黄色を延々プレイし続けていたからで、あまりに弱っちいモンスターたちを鍛えるべく、茂みに入っては他流試合を繰り返し、海に入っては海パン野郎をぶっつぶしに血眼になって幾星霜、それでもオオネコと名付けたピカチュウのレベル61だかを筆頭にイヌと名付けたよく解らない生き物のレベル51が続くくらいで、後は30とか20とかの不甲斐なさに買った攻略本によればとてもラストの4天王すら倒せないとの確信を抱く。のでしばらくは本も読めずに延々ピコパコの日が続きそー。でもって運良く「ドラクエ」手に入ったら益々もって本読みの日々は潰れるであろー。困ったもんだ、って自業自得だが。

 会社で適当に仕事。オラシオンの髭な三野社長から聞いていたhideの98年の活動をシングルアルバムインタビュービデオテレビCMとほぼ完全に網羅したCD−ROMが発売されるって話が紙面に載って、これはネタ枯れに悩むサンスポあたりから問い合わせの嵐でもあるのかしらんと思っていたけど悲しいかな傍流の底流の新聞は、歯牙にもかけてもらえずいじける。今朝のサンスポじゃー勝新太郎のグッズ発売に関連して例の人形の話も載っていたけど、あんなんとっくの8月にでっかく書いたぜ俺。まー某日経がときどき3カ月も前の話だかを産業新聞の頭にどかんと持って来たりするのに比べれば、大人しいとゆーか分をわきまえた扱いだとは思うけど。ちなみにCD−ROMは次に控えしアーティストが更にビッグ、とか。うーん誰なんだろーと先の見えない灰色の霧の中を手探り状態で情報集めに躍起となる、つもりは全くもって無いけどね。

 アーティストと言えば先週今週の「少年マガジン」に僕の伝記が載っていたのを皆さん読んでくれましたか。僕があの超絶美形(ドラムは除外)ばかりが揃った超絶人気の5人組のバンドでボーカリストを務めてソロ・アーティストとして大活躍して再びバンドに戻って大ヒット曲連発してるって話ですよ。いやー本業に副業をやりながら実はそんな活動をしていたなんて実は本人も信じられなかったりするんだけど、今や少年コミック誌でナンバー1の売れ行きを誇っている(割には水曜夜のコンビニに山積みで1時のジャンプを見るよー。先は短いか?)「少年マガジン」が嘘なんて掲載するはずないからきっと事実なんだろー、つまり僕はRIUICHIとして「LUNA SEA」のボーカリストとして活躍して去年は隆一の本名で(本名だ!)ソロアーティストとして身も蓋もない詩にまとわりつくよーな曲を付けてサッカリンよりチクロより甘い声でナルシーに唄ってたって事は。あっ別にファンレターはいりませんカミソリも欲しくありませんでも穴あき包丁なら欲しいかな。

 なので今度は本当にRIUICHIのバンドネームでデビューでもしよーかと思ってみたりもするけれど、相手にされそーもないので今んとこ保留(保留なのか?)にしといて新宿の奥地「パークハイアット東京」で開かれたスクウェア期待の3DCG映画「ファイナルファンタジー ザ・ミービー」の発表会に行く。予想すれば相当数の人間が来そうなことくらい解りそーなものなのに、前に「FF8」の発表を行った会場の多分半分くらいしかない会場で座りきれない人が続出して、会場の後にはそれこそ万里の長城にも等しき人の山が出来ていた。そこはナルシーなボーカリストなので(まだ言うか!)早めはやめに手を打って開会の30分前には会場に到着、前の方に陣取ってあたふたと設営に走る人使いが荒そーなギャガの社員たちを横目でみながら、寝られなかった分を取り戻そーとしばしの惰眠を貪る。

 っていたらこっちは知ってる読売新聞のN記者(自称水玉担当)が登場。向こうはたぶん認識ないし名刺交換した時からこっちの風貌が一段とウツクシくなっているので気もつかない様子だったけど、とにかくN記者その風貌に合ってか合わずか何と3人もの若き乙女たちを引き連れての登場に、思わず座っていた場所を譲って4人がそろって座れる場所を空けてしまいましたよあたしゃヤッパリでかいものには巻かれろな悲しい貧乏サラリーマン。中央公論社を買収するだけの余裕とプライドが社員にも乗り移り、人をひれふさせて止まないオーラを発してる大読売の大N記者に、どうあがいたって勝てるはずがありませんぜ。けど流石は大記者普通だったら3人女性を並べてどっちかの端に陣取るところを右に1人左に2人座らせた間にデンと構えて有名人に会った話を披露して、女性陣を感動の渦に叩き込む。僕も思わず引き込まれそーになったけど、グッと我慢して目ん玉マークの矜持を護りましたとさ。

 さて始まった「FF映画」の発表会は、坂井さんとかゆープロデューサの勢い込んでの製作宣言に聞くも涙の苦労話はそれほどなく、つまりは資金技術のすべてにゴーサインが出せる時がようやくにして到来したから、巷間言われていたCG映画の今日の良き日の製作発表になったとか。メンバーはもちろん監督が髭の坂口博信さんで脚本はえっと「アポロ13」の脚本をかいたおっさんで、ウワサのあった金田伊巧さんも役所はいまいち解らなかったけどしっかり入っていて昔ながらのファンを泣かせる。お話の方は「FF」シリーズのどれの続きでもなく、キャラクターも借りておらずまったくもって新しい、けれども「FF」だと誰もが解る話になるそーで、そこには坂口さんが母親の死をきっかけに抱いた死生観とか人間の存在意義とかが、底に流れているんだそーな。

 肝心のフルCGによる絵の方は、前に研究部門から発表された実写にほとんど遜色のないリアルな爺の絵とかを含めて顔の映像のオンパレードで、なるほど質感のリアルさは実写以上と言ってもよく、また目玉の動きなんかに今までのCG映像ではあまり見られなかったくらいの生々しさが感じられて驚いた。一瞬映ったたぶん「ゴー・アヘッド!」とか叫んだ少女の一瞬の表情のリアルさは同じく実写なみ、だったら実写で作ればいーじゃんと思うのが昔ながらの映画ファンの人情だけど、坂口さんもコボしていたよーにいずれは「インタラクティブ」な作品の中でより感情移入できる対象としてCGだけどリアルな人物たちを動かしたいと考えている、そんな計画に1歩でも近づくために避けて通れない投資なんだと言うことなんだろー。お金持ちに許された先行投資がやがて一段の技術格差を生むって事になるのかな。それとも技術がより普遍化してしまって先行メリットもうまみがあんまり無くなるのかな。それは蟹の味噌煮込み、ですね。

 だったら今回の「FF映画」を手放しで礼賛するかとゆーとやっぱり「保留」の文字が着く。それはあくまでも見られたのが顔だけで、顔と並んで肝心な歩みとかってな動きの部分をまるで見せてくれなかったこと、それから何より肝心なお話をこれは公開までは絶対に明かされないだろーけどやっぱり教えてくれなかったことがある。CGに関しては技術さえ発達すればいくらだって実写に近づけられると信じてるから別に凄いとは思わない。作ってる側だって頂点とは思ってなくってあくまでも入り口だ、くらいにしか感じていないだろーものを、その時の絶対的な価値観でもって評価するなんてしたくない。映画は別にビジュアルのインパクトのみで驚かせるために作るんじゃなく、お話でもって観客に感動を与えるために作るもの。絵に動きと物語りが加わった形で提示されない以上は映画としての評価を下すのが肝要じゃないかと思う。

 「FF映画」を配給するギャガが近く衛星で流す「VISITOR」も同じフル3DCGの映画でその映像の質の悪さがネットな映画の服部さん(誰やねん)あたりにケチョンケチョンに言われているけど、個人的にはお話の良さを買ってるし、お話をビジュアル化する時に資金的時間的に可能な方法として選んだのがあのCGだたっという理由の割り切り方にも一理あると思うから、やがて来るべき機会にそれこそスクウェアなみのCGで作るとか、いっそ実写にしてしまとかいったステップアップを目指せば良い。「FF映画」は2001年まで見られないけど、「VISITOR」はお話として今すぐにでも見られる。とにかく物語りに飢えてる身としては、妥協しない坂口さんより妥協しまくった徳田さん(「VISITOR」監督)のチャレンジにパチパチ拍手を贈りたい、な、と放映前だから好きなことを言っておこー。


【11月3日】 仕方がないので攻略本を買って波乗りを覚えさせ金の入れ歯でかいりきも手にれて一段落で後は鍛えに鍛えて全員を60以上にまでランクアップさせるよーに頑張るしかないけど時間がなあ。さてもグレン上院議員はスペースシャトルからインタビューに答えて元気なこって、こんなに元気なら是非とも僕だって記者の土くれ、ケープケネディだかどっかのプレスセンターに行ってグレンさんに聞いてやりたかった事がある。それはもちろん「宇宙だと立ちますか?」って事ですね。ほら無重力だから対して筋肉を使わなくたって立つだろーし下からちょんとツツいて挙げればブーン! と持ち上がって立ったみたいな感じになるはずだし。まさにバイアグラいらずのスペースシャトルって事ですか。

 いきなりの下品な問いにそこはアメリカンジョークのお国柄、きっと「もちろん立つさ」と答えてくれるだろーと期待してはいるんだけど、続けて同じ日本人にも聞かなきゃと「ところで向井さん」とマイクを振った瞬間、グレンさんから「こら! 思い出させるなよ。タレちゃったじゃないか」と怒られる可能性もあるから解らない。いやもう結構いい歳なんで向井さんだって娘か孫(は大袈裟か)にも等しい若さと思って角度をさらに垂直へと近づけるかもしれない。まあどっちにしたってはるか宇宙にいる間だけの薬いらずの若さであって、地上に戻って宇宙での栄光今いずこ、なんて思いにバイアグラたっぷりやって興奮しまくって、果ては英雄、月ならぬ肉の上に没す、なんて記事が新聞を賑わす事態も想像できてしまうんだけどね。

 トミーから誘われて「サバイバーショット」をデパートで捜すも見つからず。まあチーム組んでいる訳じゃないしとりあえずは見学がてら行くだけなんでブツは必要ないんだけど、折角なんで後ろから不意打ちくらわすのも面白いんじゃないかと思ってます、今度の日曜日とかに開かれる「第3回世界サバイバーショット大会」で山賀さんほかの一党に。それはさておき何故にあーまででっかく中央公論社の読売への身売り話をとりあげますか的疑問に出勤して新聞を読んでかられる。そりゃー113年もの歴史を持つ老舗の出版社ではあるから、新聞に取りあげられる事に自体にいささかの不思議はないけれど、大多数のおよそ中央公論社の本なんて年に2冊と読まない人から見れば、「だからどうしたの」といった程度のバリューしかない。それをほとんどの新聞が1面から流してみたり社会面を埋め尽くしてみたりと派手に報道する当たりに、未だメディアが中央公論という看板に、畏敬ともいえる強い念を抱いているってことが伺える。そう思わせるだけの歴史ってのも、やっぱり財産ってことになるのかな。

 とはいえ読売が中央公論が培って来た財産を使いこなせるかどうかには、どのコメンテーターも懐疑的だったり心配を投げかけたりしていてよほど読売強引な手法でもって中央公論の伝統を滅茶苦茶にするんだじゃないかと思われているらしー。まあナベツネ氏もそれほど強引に中身をひっくり返す事はしないけれど、あまり出すぎて意見を押しつけ下のやる気を殺いだり、経済性を前面に押し立てて現場の意欲を無くさせるよーなリストラをしたり、見かけの派手さでもって売れ線ばかりを狙うよーになって信頼性を損なう事態を引き起こしたり、トップの趣味で儲かるからと雑誌なんかを出して挙げ句に大失敗をしようものなら、「人」が財産の出版社から人心は失われ人材は流出し、結果として残るのは古い看板1枚のみ、なんて事になりかねないから取り扱い要注意ってところでしょう。えっ、別にどこかの新聞社を揶揄してるなんてことはありませんよ、あくまでも中央公論社と読売新聞社についてのお話ですよ。信じて下さいよお。ねえ。

 東京駅で珍しく「チキン味噌かつ弁当」なんてのを見つけて買って食べてみる。味噌はたしかに八丁味噌の濃い味がしてグッドだったけど、いかんせんチキンカツだからなー。それに冷たいからあの味噌の甘辛い味を立ち登る香りといっしょには堪能できなかったのがちょっと残念。今度はホンモノのトンカツの味噌カツを捜してみたいけど、実は東京でそーいった本場モンの味噌カツ食べさせる店を知らんのだわ。きしめんも「きしめん亭」が銀座から店じまいしてまってこっち食べとらせんし、味噌煮込みうどんにいたってはまーじき10年くらいになりゃーすか、えらい長い間みとらんもんで、やっぱり今度は名古屋に帰ったらちゃんと、小倉あんじゃない味噌のかかったスパじゃなくってカツを食べよーて。ちなみに小学校の求職には挽き肉の入った味噌ダレをかけて食べるうどんのメニューがあってカレーうどんなみに人気だったよーな気がするんだけど、覚えとる? なごやの人??


【11月2日】 海の渡り方が解らず悶々とするポケモンはとりあえず棚上げしておいて久方ぶりに感想文を「玩具修理者」(漫画・MEIMU、原作・小林泰三、角川書店、780円)で酒の勢いで一気呵成に書き上げてアップして寝て起きて会社だ。いよいよもって編集局経済部兼事業局事業部などという傍目には何が何やら解らず内目にも実は何が何やら解らない発令が張り紙になって張り出されていたけれど、これといって何をしろとも何をするなとも言われずに奇妙な居心地のなかで初日を過ごす。っても根本的には編集がメインだから変わりようもなく、またメインの編集では相変わらずの人手不足が、1日300行コースを前菜からメインからデザートまでひっくるめたご馳走となって寄こすので、明日付けの紙面がないぶん締め切り的には優しかったけれども、その分夜中までかかって適当な原稿を次から次ぎへと処理し(プリクラに「サクラ大戦」の「軌跡の鐘」バージョンフレーム登場、ヒラヒラ服着たレニといっしょにツーショットだってオッケーよ、的記事とかね)、適当に辞去するいつもどーりの1日となりましたとさ。目出度、くもないけどね。

 聞けば編集局編集委員兼販売開発局何とか部というなおいっそうの発令も出ていたそーで、益々持って帆立貝な印象に遠からず鳴り響くであろーアンゴルモアの大王の声に、身を引き締めて机の回りを掃除したり、お昼の弁当を1ランク下げて貯金に励む、なんてことはしないけど。だって弁当の値段を下げたらそこはのり弁の世界になっちゃうもん。そんなこんなでほかにはバンダイから月末に発売予定な「オトゲー」の記事をチャコチャコ。なんだいそりゃ? と思った人に説明するとステレオのイヤホンから聞こえて来る敵が迫って着たり通り過ぎていったいりする音に合わせて、ボタンを押して弾を撃つってゆーコンセプトの玩具で、いってしまえば目隠し状態の中で、音だけ聞きながらインベーダーをやるって事だんでしょーか。古いってんならギャラクシアンでも良いけれど。

 アイディアの面白さだけなら座布団2枚3枚はやっても良いかも。実際に面白いかとプレイしていないから何ともいえないけれど、ボディの格好良さとかに引かれた中高生が大量に発生し、電車の中で流行ったミニテトリスにも増してのブーム化になって来さえすれば、後は一気に広まるかのうせいは大いにある。けどアイディアの面白さでは茣蓙の1枚2枚はやっても良かった「サイレントシャウト」が、未だ苦戦とゆーより認知度の面で大きく出遅れた感があり、絨毯爆撃のよーに店頭でのプロモーションをかけてブームを強引に作り出すバンダイの手法に、どこか息切れでも出てきているのかな、などと考える。今も続く「ヨーヨー」に物理学者はお好きな「ジターリング」のモンモンデジモンな「ペンデュラム」と仕掛けなくっちゃいけない商品が多すぎるんだよなー。ちなみに「オトゲー」はサンプルを1つ奪取したけど、クリアボディデスケルトンなんで「iMAC」をも初日に買う程のスケモノマニアな携帯ゲーム評論家にでも回そー。

 とりあえず記事にしましたよ伊丹十三監督の遺作となった「マルタイの女」に実はメイキングDVDがあったって話をでっかく。作ったのは伊丹監督といえばいつもインターネットホームページなんかの制作を担当していた神原アドプランニングシステムズ、通称KAPSで原宿のマンションの1室から親戚がやってる会社の入っている一番町のビルへと移って、初めて訪れたオフィスは女性のための会社みたいだった以前とは違い、男性の正社員も入ってパソコンに向かってボギャボギャとキーボードを叩いている、立派な「かいしゃ」になっておられましたとさ。先見の明がある経営者とその経営者を慕い信じてついていく優秀な部下がいれば会社はどんどんと大きくなるとゆー見本ともいえ、逆に最初に取材に言ったもう2年? それとも3年前に比べてこっちの会社は人数はおよそ3割減となって今や風船の苫部地といった趣で、しまったなあ最初に知り合った時に黒ゴマ白ゴマ開けゴマ、摺りまくっておけば今頃「やくいん」なんて肩書きがついて、るわきゃねーよな。

 人物としての毀誉褒貶も多くまた作品への好悪も喧しい伊丹監督だけど、こと新しいことへの意欲とゆーか好奇心には凄いものがあって、インターネットを使ったメイキングの紹介とかでは自分自身が積極的に前に出ては、雑誌のインタビューなんかにも登場して宣伝に務めていたっけか。そもそもKAPSが今もって業界でもそれなりの地歩を固められたのも、KAPSが会社の名前を売り出すために伊丹監督の「静かな生活」に関するホームページをそれこそ持ち出しで作り、それが縁となって「スーパーの女」では撮影風景をインターネットでライブ中継するなんて試みを展開し、さらに「マルタイの女」では最初からデジタルカメラが撮影現場へと入って撮影の場面をとり続け、総時間数で実に80時間に及ぶ映像が今も事務所に残っているのだとゆー。

 その映像をもってして伊丹監督が目指していたのがDVDの制作だったそーだけど、昨年末の不幸によって話は頓挫し、本人の監修がないままではたとえ遺族が認めたとしてもどこか明解には割り切れないものがあるとゆー制作者の気持ちもあって、とりあえず制作されたDVDはあくまでスタッフなり遺族への頒布に止められて、一般の人は見られずそもそも存在すら知らなかった。これが例えばスポーツ新聞にでっかく取りあげられたんなら、話題になって発売へとこぎ着ける可能性もあるけれど、何せ部数が部数な新聞のマイナーな面に紹介された小さな記事が、世間どころかグループ内の別媒体を動かすことすらかなわない。それでもとりあえず書き記しておいたことで、少しでも動きがあれば良いなと思います。ちなみに伊丹さんの子供が現在KAPSでコンピューターの修行中とか。タブロイダーな人はネタにちょっとしてみません? 社長も既婚だけど美人だしさ。


【11月1日】 辛いが7時半に無理矢理目を醒まして「ポポロクロイス物語」を見る。1回置きくらいに飛ばしとばしで見ているだけなんで、お話は何となくしか解らないけどいい感じナウなのは相変わらずで、脳天気でもなく賑やかでもなく静かに訥々と流れるお話が朝のまだ冷たい空気の中で気持ちをピンと引き締めてくれる。魔女っ娘はそうかヘンシンできるのか、けどベタベタし過ぎるから拗ねちゃったね風の一族の娘さん等など、あからさまじゃないけど揺らめく乙女心をそこはかとなく表現していて感心させられる。しかし益々寒さがキツくなる中でビデオ撮りは9時半の「ガサラキ」が絶対なんでライブで見るののはちょっと大変そー。見られないのは残念だし、早すぎる関係で見られないのはもったいない、よなー。

 で「ガサラキ」だけどプラモデルも登場して人気は益々鰻登り、なのにお話の方はヒーロー・ヒロインの邂逅はあってもまだまだ謎は解明されず、ミハルがどーしてあっちのチームに所属しているのか、そもそもバッフクラン(古語)みたいな髪型をしたオッサンが率いるあっちのチームって何なんだ、ピーター・アーネットもどきな禿頭のジャーナリストは何故に射殺されなくてはならなかったのか、等など先へ先へと視聴者を引っ張る展開の巧さにやっぱりとっても感心する。顔だけならミサトさんなTA操縦しているお姉さんがガレージで頬に手を当てそれから手を振るポーズに惚けた目も一発で覚醒。お話ではおよそ脇役でしかなさそーなキャラだけど、ミハルと美鈴だけじゃー月並みなんでここはお姉さんファンクラブ着くって萌えまくるか。「踏んでTAで」とかってお願いでもして。

 日経で小谷真理さんが「屍鬼」を紹介。これM含めて発売から今までに、あちらこちらのレビューで取りあげられている本だけど、タイトルもズバリな「屍鬼」の正体を、何故にレビュアーの皆さんはっきりと書こうとしないのかが、今一つ理解できなかっったりする。まあ興味の1部が減殺がれるのは確かだけれど、ミステリーのネタバレとは違ってあらかじめ解っていたからと言って、描かれる物語の壮大さ緻密さも明示されるその存在の哀しみも、一向に衰えずむしろ解っているからこそ感じられるワクワク感があるよーな気がして仕方がない。ホラーとは言え「恐怖」の度合いでは「東京異聞」程ではなかったなあ、と言うのが偽らざる読後感で、だからこそ正体見たり枯れ尾花、は言い過ぎだけどまあ月並みであるのは間違いなく、そんな正体に口を閉ざすことで感想に枷をはめるんじゃなく、明らかにした上で1つの村が崩壊していくプロセスを、大勢の登場人物に見事なまでのキャラクターを与えることで描ききったその力量こそを、讃えたいと思うんだけどなあ。「SFマガジン」はしかし堂々と書いたねぇ。

 家に居ると本が読めないので電車に乗って外出しつつ読書。その足で神保町へと回り古本まつりをざっと舐める。重いし読めないので小説はパスしてフラリ立ち寄った古本センターの3階の漫画専門店で期間中ディスカウントの札が出ていた深谷かほるさんの「エデンの東北」7巻セットを1450円で購入する。前から読みたいなあ、けど揃えて買うのは高いなあと思っていたのでちょっと嬉しい。東北のどっかの田舎町に済む姉と弟と酔っぱらうお父さんとそして美人のお母さんプラス「しんご」と呼ばれる謎のドーブツによって演じられる、決して裕福でもなく厳しいけれどもふわふわして楽しく嬉しい物語に、今ほどお金も自由じゃなくお菓子なんて滅多に食べられずオカズだって豊富じゃなかった昭和40年代の子供時代を思い出し、懐かしさに胸を暖める。あまりに日本的な「ちびまる子ちゃん」には記憶の生々しさが邪魔して共感できずにいる人も、「エデンの東北」のどこかメルヘンチックでけれども懐かしいエピソードに、あるいは浸れるかもしれない。

 本を持って裏通りに回ると縁日のように出店が並んでインド人(多分)がカレー風味のタンドリーチキンを売ってて美味しそうな香りが周囲に漂い腹がグウとなる。骨付きは食べ難そうなんで遠慮して、ちょっと見るとまるでマヨネーズのチューブのようにノッペリとしたお顔に細いサングラスをかけ、頭に金色の髪をジョジョッと生やした兄ちゃんが居並ぶ人々を前にしきりにペンを動かしている。そうか三省堂書店が11月1日に開くと言っていた馳星周さんの「漂流街」へのサイン会の会場はこっちだったかと思いペンを動かす手にしばし見入る。周囲に見知った顔もないのでちょっと外してすずらん通りをウロウロ。バーゲン本とかあったけど売れない本は値引かれてもやっぱり買う気が起きないことを再認識。カスミ書房を覗いてちょっと前まで数百円だった友成純一さんのマドンナメイト文庫(エロだな)が2500円とか3500円とかの値段になっているのを見て、こいつら何考えて値段付けとんじゃとレジのカップルを見る。ハヤカワSFの青背が増殖中なので値段気にしなければ便利な書店ではあるんだけど。

 戻って再び馳さんのサイン会を最期まで見物。終わって立ち上がった姿を見て、なぜに体にピタピタな長袖Tシャツを着るかなーとか勝手な感想を抱き、その腹部へとなだらかに線を描いて盛り上がっていく体型を真っ赤な長袖Tシャツで包んだ姿に、チューブ入りのトマトケチャップを思い抱く。さらに再び今度は少年漫画のコーナーをのぞきに古書センターの2階へと向かい、かがみ・あきらさんの「サマースキャンダル」に1500円の値段が付けられているのを見て人気が再燃しているのか、それとも投機目的の価格バブルが起こっているのか理由をあれこれ考える。「ブックオフ」では100均だったりしたから当時に比べれば値段が上がるのは嬉しいけれど、逆に上がりすぎて読んでもらえなくなるのは悲しいことだし当人も多分不本意じゃなかろーか。再版とかって、しないかねえ、徳間。

 再放送の「日曜美術館」は狂言師の野村万之丈さんが仮面について講釈。前に大日本印刷のギャラリーの地階で開かれた、面をテーマにしたイベントを見学した事があったけど、以後も狂言というフィールドに止まらず、舞楽面やら能面やらの研究に勤しみ研鑽を積み重ねていたみたいで、語られる蘊蓄は蘊蓄なんて卑俗なイメージを持つ言葉では収まり切らない、深みと厚みがついていいた。たぶんこの人野村万蔵の息子でだったら野村万作の甥でってことは野村万斎の従兄ってことになるんだろうけど、いや記憶うろ覚えだから違っているかもしれないけれど、いずれにしても万斎が狂言師のホープとして華々しく取りあげられ、ファッション誌で語ったり現代劇のドラマに出たりして活動の場を広げている一方で、家業を軸に活躍の場を広げているのは、その研究の大切さとも相まって、もっと評価されてしかるべき、だろー。まあテレビCM向きじゃーないのは認めるけど、ね。


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