縮刷版97年9月中旬号


【9月20日】 サッカー日本代表はどーも勝てたよーな気がして仕方がないんだが。前回のウズベキスタン戦に比べて格段に迫力も信頼度も増していたディフェンス陣の頑張りに、日本が本当いヤバいと思った場面はゴール前で川口が振られてボールが点々としたところくらいで、フリーで打たれる場面はほとんどなかったしね。でも日本は前半のボールのつなぎかたがパス、見る、パス、見るって感じで攻めは「破線」のイメージで、そんな中をボールをもったらスパーンと前線に送ってちゃちゃちゃっとパスを回してシュート前まで形を作るUAEの方が、見た目は攻めのパターンが綺麗だった。点がとれなきゃなんにもないんだけれど。相手の動きが落ちた後半は、鮮やかにボールがつながり始めたけど、こっちも点がとれなきゃやっぱり一緒。アウェーで勝てればもう最高に追われたんだけどね。気を取り直して次ぎはホームの韓国戦。でも逆にプレシャーかかりまくりになるから、妙な不安が頭をよぎる。大丈夫か?

 朝からお洗濯。東京に(住んでるのは千葉だけど)南太平洋の暑い空気を送り込んで時ならぬ熱帯を作り出していた台風は、銚子沖を通ってどっかに行ってしまったよーで、残ったのは秋晴れかつひんやりとした空気、3週間振りの洗濯にはもってこいの日和となった。夜ともなると窓からはクーラーよりも涼しい風が吹き込んで来て、やがて間もなくセーターを着込んで夜に震えなくてはならない、冷たい冬の訪れを予感させる季節が訪れる。忙しくなりそうな予感はあれど、忙しさに没入して滅私奉公する気にはさらさらなれず、秋の夜長を漠然とした不安に脅えながら、他人にとっては当たり前だが他人事でしかない日常を、それでも見てくれ読んでくれと綴る非生産的な日々が、まだしばらく続くことになるだろう。おおたまに休日に早くおきると頭がキレていーなー。

 さあ、新宿方面でうろうろしに行こう。きっといっぱいの人出なんだろーなー。と思ったらやっぱりいっぱいの人出。アベック連れがわんさといるなかをひとりブラブラとするのはなんとも精神攻撃がきつく、昨日読んだばかりの「不夜城」みたくカバンから銃身をつめたショットガンでも取り出して、30人くらいまとめて撃ち殺してやりたい気にちょっとだけなった。ちょっとだけね。そんな枯れた心を抱きながら紀伊国屋書店で開かれた「不夜城」作者、馳星周さんの新作「鎮魂歌」出版を記念するサイン会へ。もう会場1時間前からごったがえして長蛇の列が出来ているかと思いきや、当日になっても整理券はレジ横にわんさと積まれ、15分前になってようやく列が並び始める程度の賑わいで、「不夜城」お膝下でのサイン会にしてはちょっち寂しいんじゃねーかと意外に思った。同じ時間にすぐそばの「まんがの森」では横山智佐さんのサイン会が開かれていたはずで、きっとそっちは大騒ぎになっていたんだろーなー。

 おまけに馳さんが登場してサイン会が始まっても、まだサインをしている横で「整理券ありまーす」といって配っている状況。これを聞きながら馳先生、いったいなにを思ったことか。「列が途絶えて壇上に取り残されて好奇の目にさらされるんじゃないか」「この人5分前にもサインをもらっていたぞさてはリング状にして回しているな」等など。サイン会に臨む作家さんすべてが共通に抱く不安ですね。そんな不安いっぱいの作家さんの横で、集まりの悪さをうかがわせるよーなことを言ってはいかんのじゃないか、紀伊国屋&角川書店。せめて目の前では「列は2列に」「押さないで下さい」とかいって大混雑している風体を装って、サインしている馳さんの気をよくするくらいのことはしろよ。

 15分前に並んだ関係で、始まってすぐにサインしてもらう順番が回って来て、わくわくしながら階段からフロアへと頭を出すと、そこにいたのは貼ってあったポスターとはまるで違うショートヘアの金髪な男。間近に見ると耳に2つばかりピアスをしていて、一瞬すっげー怖そーな人に見えた。でも本を差し出すと、丁寧に名前まで入れてサインをしてくれて、女性なんかとはちゃんと握手までする、結構和やかなサイン会だった。書いてる小説が小説なので、すぐそばにある歌舞伎町からチャイニーズ・マフィアがぞろぞろとサインをもらいにくるとか、命をもらいにくるかと思ってちょっぴり期待していたけどなー。

 しばらく新宿をぐるぐるしてから会合へ。まもなく週刊になる(けど誌名がかわる)某誌に記事を書いている人たちの集まりみたいなもので、ファンになってから幾星霜、艱難辛苦をのりこえいまも現役としてばりばりと漫画を書き続けているとり・みきさんのお姿を初めて拝見、面とむかって「ファンでした」とゆーのも気恥ずかしいので、「『SF大将』でませんねえ」と聞いたら「まだ原稿入れてないから」といわれてしまった地雷でも踏んだかと焦る。だって予定じゃー先月末に出ていたはずで、そのために「SFマガジン」でも大森望さんによるインタビュー載せたはず。もしかしたら「少女革命ウテナ」のLD−BOX箱付き限定版みたく買わずに見逃して売り切れたかと思っていただけに、とりあえずはホッとする。唐草模様のマントは着てませんでした。

 会合には怪獣画家の開田裕治さんと奥様の開田あやさん、漫画家の唐沢なをきさんとライターの唐沢よしこさんとゆーご夫婦で濃い仕事をしている方々も参集。それはきっと濃い話が繰り広げられたんだろー。開田あやさんは川崎市民ミュージアムでもコミケでも姿を見たことがあって、とくにコミケでは超絶に壮絶なコスプレ姿でイスにどんと座っていて、その迫力に圧倒された記憶が今もナマナマ(ナメマカ)しく残っている。当たり前だが生憎ときょうは普通のワンピース姿で、けれども口をついて速射砲のように飛び出す言葉の濃さ強さには、やっぱり圧倒されっぱなしでありました。あのコスプレ姿にこの言葉で迫られれば、怪獣にとり憑かれロボットにハマった人でもきっと必ず振り向くだろー。コスプレじゃないけどその御姿を荒木経惟さんの「小説写真」(メディアファクトリー、2600円)で拝むことができる。84ページでいーのかな? もちろんアラーキーだから、ねっ。


【9月19日】 徳間文庫から書き下ろしで出た金沢誠さんの「逆転首脳人事」(514円)を読み始めて、あまりのベタさに途中でぶん投げる。「デジタル放送をめぐるTV局内派閥抗争の虚々実々!」とゆーテーマ自体に異議はなく、きっと本文でも綿密にジタルCSだとかBSだとかの話を調べてあれこれ書いているんだろー。けど登場する人物たちが、あまりにもいかにもな設定になっていて、もう読んでいて恥ずかしさに顔が真っ赤に火照ってくる。主人公からして33歳の元敏腕プロデューサーってんだから笑止。首都のキー局でそんな年齢でプロデューサーになれるのか? いや実はよく知らないけれどたぶん珍しいケースだと思う。おまけにそいつの死んだ父親が社長と昵懇で呼びつけられて特別任務を言いつけられてってストーリー。ねっ、いかにもでしょ。

 社長の描写がまた振るっていて、銀髪に鼈甲の眼鏡をかけて葉巻をふかしているんだと。いるのかこんな奴いまどきのオシャレなテレビ局に。それを「銀行頭取のようだ」と書くのにもほとほと参る。まずもってこんな頭取滅多にいません。 営業の立役者とゆー夏坂なんてベルサーチのスーツ来て銀座のクラブで10数万円もの万札をびらびらと振りまいてホステスたちに拾わせてるんだぜ。今時の「さらりまん」なテレビ局の社員がこんなことするんかいな。そいつを「ナーサン」と呼ぶホステスのセンスも赤面ものだし、そんなホステスの手を股間に引き寄せて「愚息だってこんなにわがままだ」なんていったり、「やってんじゃないだろうな」といって中指と人差し指の間から親指をのぞかせる夏坂の下品さも、まるで何十年も前のサラリーマン映画を見ているよう。実録の部分をハードに展開していけば面白いものになったかもしれないのに、妙な人間臭さを入れてそれが鼻についてしまったってことでしょう。

 口直しにようやく馳星周さんの「不夜城」を読む。明日のサイン会に並ぶためには「鎮魂歌」を買わなきゃいけないみたいで、ならば前編も読まねばならないと、大ベストセラーと化してしまったため、カルト&マイナーな性格からちょい手出しを控えていた「不夜城」を遂に購入、ぺらりと読み始めてその面白さに圧倒され、たちまちのうちに最後まで一気に読み終えてしまった。たぶん日本人のヤクザどうしの抗争とかを扱ったら、義理とか人情とかがベタベタに入り込んで、こうもカラリと暑いスリリングな小説にはならなかったんじゃなかろーか。たいした奴でもないのに複雑なチャイニーズたちのつばぜり合いの中を不思議なバランスで抜け渡っていく主人公の生き様は、主人公ならではの都合よすぎる部分を割り引いてもなお鮮烈に映る。明日買う予定の「鎮魂歌」も、きっと週末のうちには読み終えるとは思うけど、そうなると早々と「不夜城」を読んでハマって飢えていた他の大勢の馳ファンみたく、さらなる続編を渇望して祈り叫ぶことになりかねず、ストレスがさらに溜まることになりそー。

 思い立って東城和美さんの「黒いチューリップ」シリーズ既刊3巻をまとめ読みする。ちょっと前に「無限発光電虫林」(新書館)を読んでこーゆー漫画家さんもいたのかと遅蒔きながら認知、続いて東城さんが連載している「サウス」を読んで、そこに掲載されていた「黒いチューリップ」シリーズの短編のスタイルが、「無限」とあまりにも違っていてとっても面白く、これはなかなかハマれる漫画家だと直感して単行本を買いに走った次第。予想に違わず「黒いチューリップ」シリーズは圧倒的な爆笑を僕にもたらしてくれ、新書館では道原かつみさん、西炯子さんらに続いて絶対に決して落とせない漫画家さんの仲間入りを果たしました。漫画の道は広いなあ。

 「小沢圭介は改造人間である」。裏表紙に書かれたあらすじ説明の冒頭からしてもうピピっと来るものがあるでしょ。読めば絶対に一発で手を出していたのに、これまで見向きもしなかったのは僕の不徳のいたすところで、関係者には心よりお詫び申し上げます。悪の秘密結社「黒い真珠」の総帥「八巻」の性格格好は、明智抄さんの「キャプテンコズミック」に出てくる「ドクタースケルトン」に近いものがあり、そーいえば非日常的な展開を日常のなかで何事もなく明示してのける明智さんのスタイルに、全部じゃないけれど重なる部分もあるよーな気がした。明智さんほどぶちキレ飛んではいないけどね。

 知らない間に改造されて悪と闘うハメになったサイボーグといえば「県立地球防衛軍」の「カーミ・サンチン」をなぜか真っ先に思い浮かべるけど、そーいえばこっちでも悪の組織の首領「ちるそにあん」は、やっぱり妙ちきりんな格好をしていたなー。ローカル征服物ではやっぱお約束な設定なんでしょう。第3巻の巻末のおまけ漫画に「まいどくだらない話ですいませんね」とゆーのが掲載されていて、そこで取りあげられているのがなんとまあ神林長平さんの「完璧な涙」だったりしてでんぐりがえる。シンクロニシティー! もっか某国営放送のラジオドラマで取りあげられて絶賛好評放送中(おべっか)な作品だけど、こっちでは主人公の宥現と魔姫がビジュアル化されていて、ちょっち宥現がアダルティーになっているものの、まあそこそこに両名ともぴったりなビジュアルに仕上がっていて、全編漫画化してもらってもかまわないとゆー気になった。ラジオの方はというと気絶するほど悩ましい問題なので言及は避ける。ともかくも今日で終わりは目出たい目出たい。

 九州方面より「らぴた」に1票が到着。SF的整合性とか悪役の悪役ぶりとかにやっぱ惹かれるもんがありますね。僕が「らぴた」で好きな場面は、ウロ覚えの中から探すと、どっかの砦でロボットがレーザービームをバンバン発射してあっちゃこっちゃが大爆発する場面とか、飛行石つけて穴蔵に降りてきたシータを飛び込み台のよーな板の上でバズーが待ちかまえていてそこに突然重さを取り戻したシータがドスンと落ちてきてパズーがぐぐっと踏ん張って支える場面(あったよね?)とか。ラストのラピュタ上での大活劇も大好きです昔見た「漫画映画」を思い出して懐かしくなります。「びっくりしったにゃっ、びっくりしったにゃっ」とかゆーテーマソングの「漫画映画」に我を忘れてみったあの時代から幾年月、漫画とかゲームとかから出たキャラをつかわない、オリジナルな「漫画映画」ってもう出てこないのかなー。出てこないだろーなー。


【9月18日】 朝からビデオで「ウテナ」見る。七実様のインターミッションを挟んでの新展開は、冒頭から失踪するスポーツカーに流れるセンターライン、そして街灯とカッコいー絵が炸裂。いよいよ動き始めた暁生のたくらみに踊らされれ、ウテナに決闘を挑む西園寺なんだけど、それを遠くから見守る暁生と冬芽が、どーしてベッドの上で胸をはだけてえびぞっているのかが謎。まあ謎といえば生徒会の会合中に野球の試合が行われているのも解らないし、運転していた暁生が前転してボンネットに飛び乗るってのも解らない。少なくとも始めて見る人には絶対に解らないだろーね、この妙味は。

 でも解らないけど解ろうなんて思わずに、ただそのシチュエーションそのポーズをアイキャッチ的に楽しんでいれば、やがて辿りつく決闘広場のお約束場面、ディオスが出現せずウテナの胸から剣が飛び出し決闘に勝利して宿舎に引き上げ、そしてアンシーと暁生の禁断な××シーンへと突入するのであった。もうこれで貴男も貴女も「ウテナ」「アンシー」「暁生」「冬芽」のどれかの虜。「幹」でも「樹璃」でも結構、でも「チュチュ」は止めてね。眼鏡を外したアンシーはやっぱり美人でそれがウテナとベッドで向かい合うシーンの美しさといったら。それから意味深なシルエットにのしかかられた裸体のアンシーのなめまかしさといったら。しだいに増えていくエロスな場面に次週への楽しみもいや増すってもので、あとはいかに興味を持続させつつ終息を迎えるかってとこに、周囲の関心が集まるのであった。でもどーまとめるんだろー。んでもっていつまとめるんだろー。

 そのまま流れで「MAZE★爆熱時空」と「みすてないでデイジー」を見る。濃い朝だ相変わらず。いよいよラス前な「MAZE」はラス前にありがちな感動の盛り上がりで、次になんとか決着がついて、ああ感動の大団円を迎えることになるんだろー。最後までエロが足りんかったなー。ビデオでの補完を願うぞ(キール議長談、嘘)。「デイジー」は予想通りに「絵だけ」はシリーズで最高の出来。ストーリーも最終回に相応しいまとめかただったでしょう。地球人に(って最初から地球人なんだけど)に改造されたデイジーちゃんのコスチュームが、たぶんシリーズを通じて一番の見所だったのではなかろーか。

 サブキャラでは山川Xは最後まで浮かばれなかったなあ。追っかけてきた両親ってありゃいったいなんだ。全地球を覆うミミちゃんの玉遊びは、実際に自分の目で見てみたいってな気もしたけれど、頭上に落ちてこられるとヤバいんでやっぱり遠慮しとこう、東京上空では。最後に宇宙へと飛び出していったミミちゃん軍団、いったいどこまで行ったやら、ちょっぴり可哀想な気もしたけれどたかが核ミサイルに余計な同情は禁物だ。ぐぐっ。ミミちゃんガシャポンなんって絶対にぜーったいに出来ないだろーなー。ガレキ探すか。ゴム製でリモコンでぐにょぐにょいわすんだ。おおそうだバ○ブを改造すれば出来ちゃうぞ、誰か現在使用中の人、んでもって物足りなくなった人、ミミちゃんに改造して差し上げますから貸して下さい。決して舐めませんってば。

 「週刊文春」連載の「ホリイのずんずん調査」は久々のヒット、って久々に読んだら面白かったってことだけど。「歴代宮崎アニメに好きな順に順番を付けてください」って設問で、聞いた26人の答えを平均するとやっぱりとゆーか年寄りが多かったと類推できるとゆーか、かの「カリオストロの城」が平均順位3・04で「風の谷のナウシカ」と1位を分け合った。でも1位に推した人が1番多かったのは実は平均では3位に入っている「天空の城ラピュタ」。話題の「もののけ姫」は「トトロ」に次ぐ5位で、以下「魔女の宅急便」「紅の豚」と続く。「豚」が最下位なのはきっとカッコ良い男に嫉妬するヤツが多かったんだろーね。ベタベタ過ぎてうらやましくてかえって反感買ったってことかな。

 個人的にはやっぱり「ラピュタ」が1位に来る。ロリコンなら「カリ城」でしょ、「ナウシカ」が原点だぜって反論は多々あるだろーけれど、しかし「ラピュタ」のあの夢のある冒険ストーリー、女の子を守って頑張る男の子の主人公、海賊一味の悪なんだけど悪に徹してないカッコ良さ、その他もろもろの要素がびっちしとかみ合って、あのラストの大崩壊のシーンへと誘ってくれる、そのストーリーテリングの良さに実はゾッコン参っているのです。「ナウシカ」は原作から入った口でやっぱそっちを原点として見てしまうし、「トトロ」は「好き」というのが気恥ずかしい、「豚」も同様、「魔女」は面白いんだけど黒いワンピースの服じゃあちょっと右手(もしくは左手)が感情を移入できないので、やっぱり1位には押せない。「カリ城」は文句なしの2位ですね。「もののけ姫」はもう1度見てから何位に入れるか決めます。でも思い入れできるキャラがいないって意見には反論、エボシ御前いーじゃねーか、あの口紅さした口がさあ。エボシとのバトルシーンで噛みつかんばかりに迫ってくるサンの顔もグッド。うーん壮大なテーマもすべては女性キャラに収斂されてしまうのか僕の中では。おめでたいなあ。

 吾妻ひでおさん久々の新刊は「COMICアレ」連載の「銀河放浪」第2巻。可愛い顔してめっぽう強くて性格もちょっぴり破綻なプリンセスミコが海賊の兄といしょに傍若無人で悪逆非道な振る舞いの数々をやり倒しながら、明太子ご飯をむさぼり喰ってさすらうとゆー感動のスペースアドベンチャー、なわけはない。とにかく不条理の妙味がぞんぶんにつまった吾妻ひでお今年の最高傑作(きっと今年はこれだけだろーから)、読まずに年は越せません。ミコちゃんもいーけど性格がキツい点で有機アンドロイドのアンナちゃんにも踏まれてみたいと思う今日このごろ、誰かアンナちゃんのコスプレで冬のコミケに出てくれないものだろーか。絶対に100%なにやってるのか解らないとは思うけど。「す」って書かれたすーぱーがーるなら解るかな、1%ぐらいは。ポロンはヘラクレス関係と間違われて迫害されるから勧めません。


【9月17日】 懐かしいぜ「ヴィレッジ・ヴァンガード」。本好きには「菊地君の本屋」で知られるこの本屋、新刊ベストセラーは一切置かず、店長が趣味と感性で選んだ本に漫画に雑貨類を、倉庫を改装した広いフロアにビリヤード台を置いてその上に積み上げたり、壁一面に棚をつくって本や雑誌を上までぎっしりと詰め込んで、ハシゴを使って上の方の本を取りに行かなくてはならなくしているそのコダワリが、本好き雑貨好きの人たちの圧倒的な支持を受け、今では全国に20店舗を数える、一大書店チェーン店に成長してしまった。上がって降りる店とかスクリーンのある店とか、凝りようだけは相変わらずみたいだけど。

 第1号店が実家の側にあった関係で、開店して間もない頃から通いつめてはいたけれど、急成長をとげたのは僕がこっちに出てきた後のようで、その繁盛振りが実はあんまり信じられない。あのしみったれでケチくさい名古屋人が褒めそやし通いつめるなんて、なんか世の中が変わったのか、それともメディアの影響力に乗せられたのか。けれども「ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を」(菊地敬一、リブリオ出版、1600円)を読む限りでは、コンセプトが変節を遂げたよーには見えないから、たぶん店長の圧倒的なパワーがいったん信じると徹底的に応援する名古屋の人々に受け入れられ、それが次第に輪を広げ、ついには全国を巻き込みつつあるんだろーなー。

 本に掲載されている店長昇進試験(仮想)がなかなかに難問で、例えば「村上春樹、筒井康隆、島田雅彦、村上龍、中島らも」から仲間外れを選ぶとゆー設問、カンの良い人ならたぶん筒井さんと村上春樹さんの名前でピンと来たかもしれないけれど、ただベストセラーを漫然と追っている人にはやっぱ難しいかもしれない。ヒントは「大いなる助走」。そうですね村上龍さんだけが「芥川賞」を受賞しているんですね。ほかの4人は「芥川賞」もしくは「直木賞」の候補にはなったことがあるけれど受賞をしていない。これに「宮部みゆき」が加わらないかがちょっと心配だけれども、まあまだ浅田次郎さんに比べれば随分若いし毛も多いし、村上筒井島田中島の呪縛を乗り越え羽ばたくことになるでしょう。

 いずれ羽ばたくとえいば、デビュー作「不夜城」が確か候補になったっけな馳星周さんのサイン会が土曜日に新宿の紀伊国屋本店で開かれるとかで、その整理券の配布が始まったので紀伊国屋本店までもらいに行く。超大人気作家となっただけにすぐさま整理券も品切れになっているかと思いきや、用意した枚数が多かったのか結構余っていて1枚分けてもらうことができた。でもまだ実は読んでいないんだ「不夜城」。あんまりベストセラーになってどっかの年輩の「さらりまん」が「『不夜城』ねーのか」とレジの女の子に喰ってかかっているのを目にして、「ヴィレッジ・ヴァンガード」じゃないけれど、「俺が読まなくたって誰か読む」ってな妙な天の邪鬼心がわき起こり、これまで放ったらかしにしてあった。サイン会に行くなら第2作の「鎮魂歌(レクイエム)」を買わなくっちゃいけないから、あきらめて「不夜城」も読むか。サイン会は午後3時からの予定、会場あたりをウロウロしている胡乱なヤツが僕です。でも集まる9割がたぶん胡乱なヤツだけど、ね。

 紀伊国屋といえば本店じゃない新宿南口の紀伊国屋がある地域から線路をはさんで向かい側にそびえたつ巨大なビルがきょう完工。JR東日本が建設していた新本社ビルで、明日から東京・丸の内にある旧国鉄本社ビルから1300人の引っ越しが鋭意始まることになっている。某氏も言っていたけれど、東京でも西の方と東の方じゃー人の雰囲気とゆーか格好がどことなく違っているよーで、ましてやプライドと裏返しのステイタスの高さでは未だ日本でもナンバー1な丸の内から、種々雑多な人間がわんさと集まっては、多種多様な仕事に従事している新宿のそれも西口じゃなく南口じゃあ、古手の国鉄マンなんかカルチャーショックでしばらく道も歩けないんじゃないかな。丸の内にはとんといないルーソーミニスカにヨロめいたり、ロンゲにピアス見てビビったりして。あと南口のキャッチセールスにつかまる純朴な元国鉄マン続出、とかね。


【9月16日】 ビデオ屋で1500円で買った中古の「アミテージ・ザ・サード」を見る。11月にはDVDで発売されるとゆーアニメ、ハリウッドの人材を惜しげもなく起用して全米を震撼させたって感じの惹句がついていたけれど、走ったり歩いたりする動きがなんとも自分の感覚とあわず、色も全体に平板な感じがしてちょっち入り込めなかった。物語とかキャラクターとか全体のトーンかがどことなく「攻殻機動隊」に似ているのに、この圧倒的な違いは単に時期の差なのかそれとも作るプロダクションの力量なのか非常に悩む。単にスポンサーが金を出し渋ったって可能性もあってそれが一番高そーな気もしないでもないけれど。アミテージ役の外人の女性がちっとも可愛くないのも難。難波弘之さんの音楽はサントラで既に聞いていたけれど、アニメ映画では最高の部類に入るんじゃないかな。

 国分寺まで行き、その「攻殻」をやった会社で代表取締役の人に話を聞く。一癖も二癖もある職人気質なクリエーター集団で知られる会社だけに、代表の人もきっとゴッツい硬派な性格の持ち主かと思いきや、どちらかとゆーと線の細い文学系な、訥々と喋る人だったので驚いた。もっとも喋る内容は理路整然としてかつ示唆に富み(って紋切りな感想だけど実際そうなんだもん)、零細で不安定な会社がゴマンとあるなかにあって、しっかりとビジョンを持って「会社経営」、そうサークル運営じゃなくってちゃんとした「会社経営」に当たっているとの印象を持った。押井守さんと一心同体で動いているよーに見られがちだけど、もしも押井さんが明らかに商業ベースにのらないようなアート系の(「天使のたまご」みたいなもんか)作品作りを始めたとしたら、ともに倒れるまで頑張るってことはないんだろうね。「だってこれで食べてるんですから」という割り切りも経営者としてプロフェッショナル。作家性を尊重しつつも商業作品としての矜持は守るってな差配ができる「プロデューサー」の必要性が叫ばれる昨今、こういう人がいるってことはアニメファンとしてとっても心強い。だから早く作ってね「人狼」を。

 運輸省に戻って本業。原稿を書いているとなにやらどこかで見た外国人が日本人と連れだって記者クラブ内を歩いて来たので耳をそばだてていると、別の会社の資料を配る際に「日立国際ビジネスです」って喋る声が聞こえて来て、「そうだマークだ」と外国人の名前を思い出した。本郷にある会社でインターネットのウェブ検索サービス「ホールインワン」を提供してる会社、といえば知っている人も少なくないあの会社。アートが専攻で日本文学に造詣が深いってマークがやってるサービスだからか、最初の頃は「裏ホールインワン」なんてタイトルで、スタッフが趣味で選んだサイトを趣味たっぷりな文章で紹介するコーナーもアップしていたけれど、ネスケのサーチメニューに入るくらいメジャーになってしまったからか、最近はそんな独特の味は消えていた。

 今回は、世界の飛行機のフライトやホテル、レンタカーの検索を日本語でも出来るよーにしたって案内のために各社を回っていたもので、「ホールインワン」のメニューの1つとして10月6日から提供されることになるとゆー。名称は「たびなび」。日付とか曜日とか時間で検索できるみたいで、ほかにも天気予報サイトへのリンクだとかがはってあって、いろいろ旅行に関する情報に簡単にアクセスできるよーになっている見たい。上右隅に為替レートが表示されるのは親切なのかそれとも1種のデコレーションなのか。役に立たないってことはないけれど、こーゆー場合の為替レートって、実際にチェックアウトした時のものが適用されるんじゃなかったっけ。海外旅行に詳しくないからよく知らない。どのみち海外なんで当分出かける機会がないから、使うこともレートで悩むこともないんだけどね。

 別の仕事でソニー・ミュージックエンタテインメントへ。SDとゆーガンダムを作って、じゃない新人アーティストの発掘と育成をやっている部隊の最近の活動状況なんかを聞く。最近では川本真琴に吉村由美に大貫亜美(つまりPUFFYだ)に古内東子といった、最近のSMEを引っ張るアーティストたちを輩出しているすごい部門で、もしかしたら去年の売り上げの4割は、ここ出身のアーティストが稼ぎ出しているんじゃなかろーか。引き抜きを活発にやって4番バッターをずらり並べた巨人みたいなレコード会社が増えるなかで、なんとゆーかレコード会社っぽいとゆーか本道っぽいとゆーか、とっても真っ当な会社ってことになる。ソニーって名前から来る印象からは、ちょっと信じられないけれど。

 名前でいえば「CBSソニー・オーディション」の頃から、でっかいオーディションをガンガン開始亜してはガバっと(擬音が多いなあ)アーティストをかっさらうイメージがある会社だけど、今はそういった全国規模のオーディションは開催していなくって、これも地道にライブハウスを回ったり、デモテープを聞いては磨けば光る玉の輿なアーティストの発掘に躍起になっているとか。プラス原宿あたりのスカウトもぢうよう、ってソニーが渋谷原宿てスカウトなんてやってるのって、にわかには信じられない気もするけれど、ちょっぴりコワAVな会社と女の子を取り合うことも少なからずあるんだとか。そんな時は「逃げろ」(「生きろ」じゃないよ)が指導方針だそーです。

 うまく話の乗ってくれた女の子はそのまま道玄坂、じゃない近くのビッグエコーに連れていっては何曲か唄ってもらい、めぼしい子はそこから磨き上げのプロセスへと移っていく。華やかじゃないけれど、派手でもないけれど、基本をしっかりやっている会社ってやっぱ強いよなー。遅れて始めた某フジサンケイなレコード会社に、ソニーくらい我慢してアーティストを探す根性があるのか。とりあえず注目、期待度は・・・・・怖くて言えない。だってソニーはオーディションに当たる人材もケタ違いだもんね。元トラック運転手もいれば元プロのミュージシャンもいるって不思議部隊。今日からあのバービーボーイズのベースもスタッフに加わったと聞いたときにはひっくり返ったけれど。なにやってんだいエンリケさんよおお。また再結成してくれよおおお。無理だよなー。


【9月15日】 角川スニーカー文庫から出ている「新機動戦記ガンダムW」全5巻を一気読み、なるほどこれだけ少年たちのキャラが立ってれば女の子たちの人気が出て同人誌も山と作られるはずだと納得する。ちゃんとした世界観を持っている作品だけに、オリジナルなメカでだって十分に展開できるはずなのに、なんで「ガンダム」シリーズとして作られなくっちゃいかんのだろーと、オールドファンなら必ずぶち当たる疑問をやっぱり抱いたけれど、「ガンダム」だからこそ作品を作ることにゴーサインが出て、その上でオリジナルな世界観を持ったストーリーを組み上げることが出来たんだろーね。オリジナルが生み出せない(作らせてもらえない)状況を貧困と見るか、約束ごとだけ守っていればあとはどう調理しても良い状況を成熟と見るか。「W」のあとの「X」が中途打ち切りの憂き目にあって、「ガンダム」の威光もやや薄れがちなだけに、ここは無理でもサンライズには、オリジナルで次をまさぐって頂きたいもの、なんだけどなー。

 「ガンダム」といえばガシャポンのガンダムフィギュアに連日挑戦、けれども肝心要の「RX−78」が一向に出せず、欲しくないのにジオン軍のモビルスーツばかりが溜まって机の上に並んでいく。「ドム」なんてさっさと「黒い三連星」が完成した後もガシャガシャやる度に出続けていて、今では「黒い五連星」を形成できるだけ溜まってしまった。あと「ザク」が2つに「グフ」が2つ。何故か「ウィングガンダム・ゼロ」も最初の出した1つだけで、何かジオン軍の陰謀でもあるんじゃないかと、マシンの裏とか下とかをのぞいて仕掛けを探ったが見つからない。当たり前か。重複している分は持って歩いて名刺代わりに配るか。でもこのジオン軍のモビルスーツの出来がまた良くって、逆にガンダムシリーズのスタイリッシュだけどどこか残るひ弱さが、目立ってしまうから不思議なもの。えっ「エヴァ初号機」? 「ドム」と並ぶとホント骨だね、色は紫で同じなんだけど。

 雨の中を有明へ。「コミッククリエイション,4」。台風が南海で止まっているため暴風雨の中をビッグサイトまで飛ばされていかなくっても良かったけど、やっぱり雨の影響なのか、開始30分後の11時に到着したにも関わらず行列なんてどこにも出来ていなかった。1カ月前のコミケとなんちゅー違いだろーか。出ているサークルは400サークルくらいで、通路もゆったりとってあって、ただでさえ少ない観客にぶつかったり避けたりすることを気にせず、のんびりぶらぶらと会場内を歩くことができた。良くは解らないけれどそれなりにメジャーなサークルも出ていたはずなのに、コミケみたくサークル前に「最後尾」札を順送りする行列が出来ないのが嬉しい。もっとも稼ぎが目当てならこーゆー状況は辛いだろーね。

 たぶん主催者としては、こーした「アットホーム」な雰囲気を売りにしたいんだろーし、カタログ下の来場者からのお便り紹介コーナーにも、スタッフが親切だとか雰囲気が和やかだとかほのぼのとしてるとかせわしくないとか、そんなコメントが選んだように載せてある。もとよりそういった雰囲気が好きな人が来るイベントだから、コメントもそういった内容のものが集まるんだろー。「コミケ」がかつて世界最大部数を誇った「プラウダ」も青くなる超巨大メディアとして機能し認知されてしまった今、後発メディアがいくら頑張っても、老舗の超巨大メジャーなメディアに追いつくどころかますます差を付けられているよーに、サークルは「コミケ」に出ることを1つのステイタスと考え、観客も「コミケ」に行くことを1つのトレンドと考えて、ますますサークルも人も「コミケ」へと集中していく。よほどのことがあって「コミケ」が崩壊でもしない限り、「コミクリ」が「コミケ」に追いつくのは不可能だと思うから、ここは現状を深化させていく路線で、ツボを抑えた運営で、回を重ねていって頂きたいものです。保てば、だけど。

 アニメやコミックをベースにした同人誌が圧倒的に多い中、異彩を放っていたのが「無極庵」。カタログにいきなり六芒星のマークと「魔術」の文字だけ書いてあって、いったいなにを売っているサークルなのかとのぞいてみると、テーマの割には妙に愛想の良いおっさんが1人座ってセールスしていたのがちょっと意外だった。天使の召喚法とか護符の作り方とかを解説した同人誌を売っていたので、「エコエコアザラク」にちょいハマっていることも手伝って、何冊かまとめて購入する。愛想が良かったのは、こっちが「エコエコアザラク」の六芒星マークが入ったTシャツを着ていたからかも。仲間と思われたか。

 なぜか「ボーダーライン」とゆータイトルの、「境界性人格障害」について解説した本も売っていて、話すと若い人たちがこぞって買い求めていくとかで、みんな悩んでいるんだなー、とくにこーゆーイベントに集まる若い子たちはと周囲を見回して思わず納得する。引用すると「ボーダーライン」の特徴とは「現実感覚が弱いのでストレスにあうといとも簡単に適応能力を失う」「批判にきわめて弱い」「過度な感受性を保っている」「劣等感がきわめて強く、シャイであり、子供ぽい依存性を示す」「さまざまな問題という物を容易に外の人やものに転化する」等など。ねっ、納得でしょ。

 「天地無用!」関連で「のんたんプロジェクト」の「潮見録」を購入。梶島正樹さんが登場して生亀信幸さんと対談(とゆーか雑談)している模様を収録した、たぶん好評シリーズの最新巻といえる同人誌だと思うけど、今でこそあちらこちらに拡散を続ける「天地ワールド」の根本を成す人だけに、しゃべっている内容からは、そんな状況をたぶん忸怩たる気持ちでながめつつも、いかんともし難くギリギリしている様子が伝わって来る。生亀さんが指摘する「天地の一番不幸なところは、いざ人気が出てメディアミックスしようとした時に、トータルコンセプトを打ち出せる人がいなかったんで、結果的に各個ばらばらな世界を、作者の感性のみにまかせて増殖させたことだったりるする」(11ページ)には同感するところ多々。

 けれども評判決して芳しくない最初のテレビ版で「天地ワールド」に始めて触れた身には、どうでもいいから広げていってそこからオリジナル(「OVA」ってことでしょう。あるいはもっと根本な梶島オリジナルとか)へと遡行していくってプロセスがあってもいいと思うから、一概になにが悪くてなにが正しいかは明言できない。ともかくも問題はスポンサーの「パイオニアLDC」に映像ビジネスを解っている人間がほとんどおらず、親会社の意のままに操られて(それこそ人から金の流れまでも)いることで、この辺り改善は極めて難しいといえるから、あとはとにかく騙されていると知ってはいてもひたすら天地に追従し、「第3期」が動き出すのを雌伏1000年待つしかないんだろーなー。


【9月14日】 おお死んでしまったフリッツ・フォン・エリックが。息子が次々と死に絶えていくエリック家の悲劇も、総帥の死でここに極まったとゆー印象がある。もちろん現役時代を見たということはなく、テレビなんかで放映されたジャイアント馬場との昔の試合の録画ビデオで、どうしてこれが利いているのかさっぱり解らないアイアンクローを見て、首を傾げた記憶くらいしかない。ただし実際に自分の手でこめかみを握ってみると、結構痛いことを考えれば、軟式ボールを握りつぶしリンゴをジュースにしてしまう(らしい)エリックの手なら、相当い痛いんだろーね。馬場の水平チョップだって、見た目ゆるゆるで全然痛くなさそーだけど、あの百科事典みたいな大きな手がブンと飛んできて当たるんだから、やっぱりそれなりに痛いと思うよ。素人には、だけど。「青銅の爪」バロン・フォン・ラシク、まだ現役なんだろーか。キラー・カール・クラップといードイツ系レスラーには妖しいけど面白いヤツが多かったなー。合掌。

 1週間ほど前に1本1000円で買ったOVA「イ・リ・ア」全6巻をやっと見終わる。雨宮慶太さんの実写映画「ゼイラム」からスタートしたメディアミックス展開のアニメバージョンとゆーことで、元の映画「ゼイラム」を知らないで解るのかなと思ったけど、なんだか強い怪物が出てきて暴れて倒して兄と妹の哀しい別離とかいった、そこかしこで見かける設定がベースになっているから、ストーリーを追うのにまったく苦労はしなかった。作画や演出のクオリティは流石にOVAだけあってしっかりしたもの。最初は違和感を持った日本風とも中華風ともつかない美術やメカにも、すぐに慣れることができたしね。

 宇宙で恐れられている怪物の「ゼイラム」が案外と弱っちいのが難だし(あっけなくやられちゃうんだよなー)、その「ゼイラム」を連れてきた企業の陰謀がいまいち陰謀めいてなく、物語に緊張感が足りないよーな気がしたけれど、それを補ってあまりある主人公「イリア」のたくま可愛さに引っ張られて、もりもりと6巻を見通すことができた。桂正和さんが原案とゆーキャラクターも総じて好み。とりわけイリアは、がっしりとしたフトモモにでっぱったお尻と胸が、最近流行の女性キャラにはない肉感を醸し出してくれている。小さくヘの字になった口の小憎らしさといったら。巻末の付録映像でガレージキットとして発売されいてい「イリア」もちゃんと口がヘの字になっていて、よくぞ原形師そこまで再現したと喝采を送りたくなった。

 しかし製作されてからたぶん3年か4年経った今、こんな作品があったことを覚えている人なんてきっと数えるほどなんだろーね。僕自身こんな作品が出たことすら知らなかったくらいだから。「イリア」に限らず山のよーにアニメが作られては忘れ去れていったこの何年か状況を振り返り、今また空前絶後なアニメブームのなかで週に50本も60本も新作が放映されるようになってもなお、来年の今頃いったいどれだけの人がそのことを覚えているだろーかと不安に思えて仕方がない。砂に水をまくが如く作られては消えていくアニメだけど、けれどもそこから後に輝きを放つ作品が1本でも、それこそシリーズの1話でもいーから生まれてくれればいいのかもしれない。下手な鉄砲数撃ちゃ当たる? ごもっとも。1発も当たらなかったら悲劇どころか喜劇だよ。

 1日間違えて有明にいって呆然と枯野に佇み明日への再起を期して秋葉原へと転戦するも、「ウテナ」のLDの初回限定BOX付きはたぶんすべて売り切れで、もーいーやと投げ遣りな気持ちでとりあえず行くべき中古LD屋をはしご。そこそこの出物はあったけど(ナディアのハーフボックス後半のみ、とか)、救出するだけの予算に乏しく買うた止(や)めた音頭を踊りつつも必ず「止めた」で止まる心に痛い時間を過ごす。フトコロには響かなかったけど。「ガロ」に関するいろいろな話題がいろいろと話されている掲示板で何故か話題になっているルピーなショップをのぞいて回るも、雰囲気はとりたてて緊迫しておらず、ルピーの取り付け騒ぎも起こっていない。虚偽なのかはたまた知らないだけなのかは解らないけれど、動くとしたら連休明けだろーから、とりあえず成りゆきは注目しておこー。

 しかし孫さんところといールピーな会社といー、それから老舗(もはや老舗の口に入るでしょーね)な西さんとこといー、デジタルなベンチャーがここにきてギシギシと音をたてているのはなんの兆候だろーか。彼らほどメジャーではないけれど、CD−ROM流通関連では安斎さんとこの「ハイパークラフト」がポシャって、それから日販なんかと組んでいた卸の「リプリーズ」もどうにかなったとかならなかったとかゆー話が伝わっていて、表に出ない分を合わせればそれこそ屍が累々と積み重なって、振り向いたそこには巨大な長城が出来ている。パソコンはげしげしと売れまくり、パソコン関係の雑誌や書籍だってそれこそ本屋の1フロアを占拠しそーな勢いなのに、この現実はいったいなんなんだろーか。

 ベンチャーの経営者に、成功を勘違いしてさらなる拡大を目指すお調子者が多いのか、とにかく稼げるうちに稼いでおけって業突張りが多いのか、金を貸している銀行屋の辛抱が足りないのか、政府があまりにも無策なのか。とにかくベンチャーが途中でポシャる理由は、星の数ほど思い浮かぶけど、こういった状態が恒常的になって来ると、さあいっちょやってやろーかって「ベンチャー魂」が、最初からスポイルされてしまいかねず、ただでさえ米国に立ち後れが目立つ分野だけに、10年後、20年後がちょっと心配になる。あるいは「気楽にいこーよ」って感じてやってるデジタルなベンチャーが、世間に注目され過ぎて「やるっきゃない」ってな気にさせられて暴走し、挙げ句に自爆しているのかもしれず、だとしたら目先のニュース性話題性ばかりを追っかけまわす、ベンチャー・パパラッチな自分たちの姿勢にも、反省すべき点が多々あるんだろーなー。と自戒しつつ糧のために今日も明日もパパラッチ。嫌な世の中だなー。


【9月13日】 「アニメージュ」10月号のふろくについていた「新機動戦記ガンダムW」のOVA解説本を読みながら突如「ガンダムW」にハマる。「ジョジョ」で後ろにディオが立っているのを背中で感じた時のよーな効果音「ズゴゴゴゴゴオッ」を伴って、沸き起こるものが体の中に感じられ、そのまま本屋に行って角川スニーカー文庫から出ている「新機動戦記ガンダムW」全5巻を買い込む。秋葉原に行ってLDとかを買わないのは単にフトコロ具合と優先順位でさらに上の作品がゴロゴロしていることがあるからだけど、ふとした拍子にパコっと買い込みそうでちょっと怖い。押井守さんのBOX買ったのもほとんど衝動、だったからなあ。

 お手軽に買えるとゆーことでは、ガシャポンで新しく入った「ガンダムシリーズ」のメカフィギュアが秀逸。ファーストな「RX−78」に「ザク」(緑色。なんでシャアザクじゃあないねん)に「グフ」に「ドム」に、そして我らが(もうここまで言うか)「ウィングガンダム・ゼロカスタム」の5種類。いそいそとコインを取り出しスリットに入れてひねるとまずは「ドム」をゲット、んでもって2回目にはや「ウィングガンダム」をゲットして、喜び勇んで家に帰って組み立てる。いやあ良い出来ですよ「ウィングガンダム」、持ってるバスターライフルの銃身が、長なカプセル詰め状態で曲がってしまっているのが難だけど、足下まで垂れ下がる羽根の造形なんて、ミニチュアとは思えない広がりと美しさが感じられます。「ドム」は重量感たっぷりな足の造形と、ヒートサーベルを持って手を広げたポーズが美麗の極地。早く3つ集めて「黒い3連星」を結成し、ついでに「RX−78」も出して、ジェットストリームアタックごっこして遊ぶんだい。

 しかし、ファーストこそが至上、許せてハマーン様が出ている「Z」までと信じ込んでいた心境に、いかな変化が生じていたのかは分からない。ふろくに掲載されていた土器手司さん描く「ナマ足だと信じていたレディ・アン様御足」のイラストにイッてしまったからかなのかもしれないし、ふろくのめくって2枚目にある見開きの主人公たちの配置に「ケレン味あふれる」という作品世界のエッセンスを感じてしまったからなのかもしれない。ショタが入った? かもしれない。あるいは今野敏さんの「慎治」を読んで、一点集中突破主義なおっさんオタクの熱さにうだってしまい、遅い反抗期が訪れたからなのかもしれないが、こうなったら理由なんてどうだっていい。とりあえずノベルズを読み明日は「コミッククリエイション」に行って関連本を漁りまくり、遠からず映像を見てそのまま再び「ガンダム」な泥沼へとはまりこんでいくのだ。「エヴァ」はなくとも「ガンダム」は。

 そうか「かっぱえびせん」、梅紫蘇とかカラシマヨネーズとか訳の分からないラインアップを増やし続けているなあと思っていたが、「明太子マヨネーズ」なんてものが出てしまうともう次にいったい何が出ても驚かなくなる。裏の解説を読むと、発想は明太子スパゲティで、それにマヨネーズを加えると不思議な味になることに気がつき、とどめとして「日本人の84・1%がエビ好き」とゆー調査結果を結びつけて出来上がったものがこの製品、とゆーことになっている。とすれば例えばナゴヤ風に餡とバターをトーストならぬ「かっぱえびせん」にまぶして「餡トースト味」にするとか、ポテトチップスの「ガーリックステーキ味」なんかを応用してこれまたナゴヤ風に「味噌カツ味」なんて「かっぱえびせん」が登場しても、やっぱり「日本人の841%がエビ好き」とゆー理屈をもってして、「ぐっとおいしい」スナックとして販売することになるんだろー。僕はどっちかってーと「餡バタ味」が好き、かな。

 アニメの日々。「勇者王ガオガイガー」はさらにスケールアップして宇宙戦へと突入、インフレーションしていく敵の強さに「こういうこともあろうかと」なんって秘密兵器が出てくるかと思ったらさにあらず、圧倒的な敵の強さにはなすすべもなく戸惑うばかりの新生GGG、なのであった。これからいったいどうするんだろう、最後の武器の「勇気」までをもペチャンコにされた獅子王凱は。「逮捕しちゃうぞ」は前回あまりにも良かった作画に比べればいつも並に下がったけれど、それでもシリーズ前半のへっぽこぶりに比べると1万倍はグレードアップされている。だいいち顔がいー、レイアウトがいー。バイクにまたがった夏美を下からあおっていくアングルのエロティックなことといったら、って絶対に描かれていないパンツが見えるかもなんて、テレビ画面に食いつくのは俺だけだって。はあ。

 山田まりや嬢のスーツに包まれ押しつぶされた巨乳を拝むのを我慢して、いよいよクライマックスに突入な「YAT安心!宇宙旅行」を6時から。格好よすぎるダイゴの態度にドリスさんが岡惚れなのは分かるけど、でもダイゴの女房つまりはゴローの母ちゃんは地球でしっかり大地に足めりこませて生きてるんだって。先週通信で話した時に変わり果てた(逆にダイゴは全然変わり果ててない)姿を見て熱が醒めたか、ダイゴさんよお。でもまあしゃあないところはあるけどなあ。「烈火」と「ハニー」に行けば完璧なまでな土曜日なんだけど、流石に気づかれしたので再びガシャポンやりにイトーヨーカ堂へ。今度は2体目の「ドム」とそれから「グフ」ゲット。ラル様は乗ってないのね。「グフ」はあと1体でジェットストリームアタックが完成だ。誰か360ミリバズーカ、作ってくれないかなー。


【9月12日】 朝っぱらから録画しておいた「はれときどきぶた」を観賞、冒頭からのお父さんのひねくれ具合、玉ちゃんのキレ具合に感動してむせび泣く。三石琴乃さん演じる和子先生もあいかわらずにへっぽこな歌を聞かせてくれるし、武蔵小金井も「ひょひょひょ」とあいかわらずなオドロ具合を見せてくれる、ってことはこのアニメ、真っ当なキャラって1人もいないんだね。脅かそうとする武蔵小金井のいうことを全然聞かない十円安とはれぶたの態度が、天晴れなまでにテンポ良く表現されていて、どこに連れていかれるか分からないジェットコースター・アニメな雰囲気を味わわせてくれる。後半があたりきな展開でダレたけど、シメが面白かったので許そう。そうか武蔵小金井の声は塩屋翼かあ、懐かしいねえ。むかし何やってか思い出せないくらいに。

 そんなわけで「はれぶた」を製作しているSPE・ビジュアルワークスに社長の人をたずねる。あのテレビ東京をしてゴールデンタイムで8%の視聴率を上げているとゆーのに、あんまり喜んでいないのが不思議。根がやっぱりメジャーねらいな会社ってことなんだろーけど、もうちょっとだけ火がつけば、存外簡単に10%くらい突破しそーな気配は見えているから、これからのプロモーション如何によっては大化けする可能性は低くない。小学館の雑誌では主に低学年向けにプロモなコミックを掲載していたけれど、今度「小学三年生」から「六年生」までに連載が広がったみたいなので、今は爆発一歩手前のブスブスといっている時期なんじゃないかな。沈火してブスブスくすぶっているんだど見えなくもないけれど。

 プロモ関係では11月だったかにいよいよ「はれぶた」のビデオが発売。レコード業界でド派手なプロモを展開して来た人らしく、テレビ放映からさほど間をおかないビデオの投入、それも4巻を一挙に発売、おまけに普通だたら5000円くらいの値段がつくところを、2話収録で1980円とゆー、およそアニメビデオの常識からは考えられない戦略でマーケットに撃って出る。雰囲気的には大量投入こそがイメージを植え付ける上で有効と考えているブエナ・ビスタに近いところがありますね。対象としている年齢が低いこともあって、大きなお友達が購入者の大半を占めるLDは当分先になりそう。これはちょっと残念だけど、でもビデオが安いからちょこちょこっと買ってぶりりんと見ても損したって気分にならずにすむから、まあいいか。

 ちなみのこの会社は「るろうに剣心」も作っていて、近く発売となるビデオとLD−BOXのパッケージを見てさらに「普通じゃねーや」と仰天する。LD−BOXが箱に入ってライナーノートも入ってるってのはごくごく当たり前。けれども同時発売するビデオを4巻分だかセットにして、LD−BOXと同じ体裁のBOXに入れてしまい、ライナーも同じものをつけるとゆー商売はここで初めて見た。いわく「ビデオ買った人が可哀想じゃない」ってのが立派なライナーをつけたり美麗な箱を付けた理由。これだけ聞いてもやっぱり普通のスレたアニメの製作会社じゃないってことが分かるでしょー。帰りがけにインターネットのコンテンツを作っている部屋をのぞくと、監督のワタナベシンイチを模したのか「ナベシン」と呼ばれるキャラがへろへろしながらいろいろ案内してくるコーナが出来たと教えられる。今あるアニメでここまでオフィシャルなページが充実している作品ってないよなー。これもやっぱり「素人ならではの発想」、なのかなあ。

 運輸省に戻って大臣会見まで待機。くじ引きで選んだ結果、我が表新聞と産経の連合軍は、最後の最後が会見時間となっていた。新しい大臣が就任すると、常駐しているメディア1社あたりに10分の時間が与えられて、新大臣にインタビューできる。就任したばかりでろくすっぽ業界のことを分かっていない大臣に、難しい問題をぶつけて反応あるいは失言を引き出そーする傾向が皆無ではないけれど、残念なことに新大臣の藤井孝男さん、喋りにソツがなく押し出しも良く、初入閣うとゆー割にはしっとりどっかり落ちついた雰囲気があって、これならお付きの人たちも安心だろーと類推する。会見はツマラなくなるなー。

 午後11時前に東京を発着の総武線快速に乗り込んでつらつら。新小岩が近づいたところで電車が急低車してそのまま陸橋の上で立ち往生、陸橋から人が飛び出して来たのでふっとばしてしまったらしーと、場内放送で幾度も流れる。1時間ほど電車の中で待ちわびると、そのうち警察が現場検証にやって来て30分くらいたって、よーやく再び動き始めたけ。そんなに長い時間じゃないのに、なんかニッポンの警察の割には初動までの期間が結構あったよーに思えて仕方がなかった。現場検証が進まないと告げる場内放送が入るたびに、ぶちぶちぶちっと血管が切れる音が耳に聞こえるほどに徹底的にイラついたけれど、これも閉じこめられたことで、精神に失調を来たしていたからなのかなあ。


【9月11日】 「みすてないでデージー」はラス前。といっても相変わらずののんべんだらりとした展開で、無意味に暴走していくキレのようなものは、結局最後まで感じられなかった。漫画とは違うものと思って見れば、それはそれでほのぼのとしてちょっとだけキュンと来る青春アニメ。できれば圧倒的なスカぶりを発揮して、歴史に残って欲しかったけど、これじゃあ消えるだけ、かなあ。思えば「HOUNTEDじゃんくしょん」最終回後の予告編から感じていた不安が、最後まで尾を引いたって感じ。来週の予告編を見る限りでは、なんとなく絵柄も動きも良さそう。問題はストーリーだけど、まあ期待しないで待ってます。

 安原顯さんの「やっぱり本は面白い」(ジャパンミックス、1600円)を買う。芥川賞の辻仁成をクズ呼ばわりする当たり、エッセイでは相変わらずのヤスケン節が炸裂しているけれど、こと個別の本を評価する時には、もとより嫌いな本は書評しないという性癖故か、総じて誉めている割合が高い。罵倒する時も理由は明示して「だから悪い」と指摘。「惜しいなあ」と嘆いて次への期待を表明する。これを見ている限りでは、鬼のよーに思われているヤスケンだってまんざら悪い人じゃなさそーだけど、ここに載らなかった作品を影でそれこそどう罵倒しているかは、「海峡の光」の罵倒ぶりを見るにつけ、ひしひしと伝わってくる。つまり載ってない作家がやばいってことで。あっ俺のことかと胸に手を当て考えて下さい。

 東大学長になった蓮實重彦さんへの罵倒は、仲の良かった人がエラくなって粗略に扱われた私怨を爆発させる、これもヤスケンならではの一文。「リテレール」で原稿を頼んで忙しいからと断られた、たぶん池内紀さんへの私怨たぷりな罵倒もすごかったけど、今後は相手が天下の東大学長だけあって、公人なんだから罵倒されたってへいちゃら、ってなイメージがあって、読んでいて居心地の悪さは感ぜずに済んだ。ドイツのレストランで東急にタカる蓮實さんの体質のすさまじさは、事実としたら相当なもの。けれどもそんな蓮実さんを育て上げた責任は、彼をそのように扱い続けたマスコミにもあるから、けんかは両成敗ってことで。

 ここで1つ同僚から聞いたエピソードを。某蒲田のゲーム会社のエラい人が蓮實さんと面会した時に、「10億円あったら日本映画を変えてみせる」と豪語した蓮實さんに、「そうですか、おい」と傍らにいた秘書だかにいって、10億円を出すようなそぶりを見せたら、逆にうろたえてしまったとか。仮に10億円をもらった蓮實先生、「失楽園」や「もののけ姫」はともかくとして、果たして「MISTY」「愛する」を超える映画を作ることができるでしょうか。なんだかゲーム会社の人をもっと焚き付けてみたくなったなあ。

 橋本内閣改造の日。運輸省でぼらぼらと暇をつぶしているうちに、いつもどーりの新閣僚の呼び込みが始まる。官邸での新閣僚の記者会見ままだかと、広報室にあるテレビの前にかじりついていたら、いつまでたっても会見が映らない。締め切りの早い悲しい新聞は、官邸まで行って記者会見を聞いていたら間に合わなず、テレビが唯一の情報源だったりするので、これは参ったと頭を抱えていたら、横に置いてあった朝日ニュースターを流していたテレビで、リアルタイムから30分ほど遅れで会見の中継が始まり、なんとか新しい運輸大臣のコメントを記事にぶち込むことができた。ダラ流しするメディアもこれでなかなか役に立つと、衛星多チャンネル時代の功罪の功の部分に感謝する。でも見ている人、霞ヶ関あたりにしかいないぞ、きっと。

 佐藤孝行さんの入閣を是とするか非とするかは論議の分かれるところ。罪を犯した人でも償えば人権は回復されると普段から書き立てている新聞も、ここぞとばかりにロッキード事件での有罪確定を持ち出して糾弾している様を見るにつけ、どっちがホントの新聞なんじゃいと、怒る人はきっとたくさんいるでしょう。僕もちょっとだけ思う。でもまあ、なにせA級戦犯が総理大臣になる国だから、ちょっとした有罪判決を受けたおっさんが総務庁長官になったって、あんまり騒ぎ立てることじゃないんじゃない。戦争中に一億の国民を瀕死の縁に追い込んだ・・・っとこれ以上書くとヤバいからこの辺で。佐川くんと見澤知廉が入閣したら、それはきっと大騒ぎになるんだろーけどね。

 江戸川乱歩賞受賞作の「破線のマリス」(講談社、1500円)読了。ある郵政官僚が遭遇した報道被害から、それを誘発した陰謀の究明へと発展していくのと思いきや、話はもっとどろどろとした、内面に溜まったおん念やらプライドやらを暗く燃やす話へと発展していき、読んでいて非常に重苦しい気持ちにさせられた。ほのめかしが多く、どんでん返しが多い展開はさすがにシナリオライターと感心。ことマスコミ人には信じ込んだら命がけ、もう横も見えずにまっしぐらな人が多いだけに、こーゆー事態も起こりかねないと心配になる。他人事として見れば、何様のつもりだいざまあみろってな感じで結構楽しくもなるんだけど。ラストの重さは前回の乱歩賞受賞作「左手に告げるなかれ」以上。テレビのニュースの映像がどうやって作られているのかを一般の人が知る意味で、是非みなさんも読んで下さい。そう、ニュースは「作られる」のである。


"裏"日本工業新聞へ戻る
リウイチのホームページへ戻る