縮刷版97年7月下旬号


【7月31日】 すんぢとゆー人の「トランジット」(ラポート、530円)とゆー漫画を見つけ、表紙の猫兄ちゃんとヘルメット姉ちゃんのタンデムシーンにピクッと来て買ってしまう。読み始めて吃驚、上手い、んでもって面白い。同じ学校に務める教師3人のうちの小太り兄ちゃんが別の1人の女性教師に告白しよーとして指輪を買って、それが怪獣に食べられてしまったことから残りの兄ちゃんが作ったパワードスーツを着て闘うって、もうそれだけで脳天にグリグリと来る設定なのに、加えてキャラクターが関西弁で、どこかすっとぼけていたりキレていたりして、もう存分に笑わせてくれる。カッコ付け場面のあとに息抜きのギャグシーンが挿入されたりとテンポもグッド。50ページの分量をもう最後までケタケタしながら読み通すことが出来た。

 「HUMANAIZE」とゆー描き下ろし作品に付けられたサブタイトルの「小淵沢」と「大船戸」には、思わずクスッと来るけれど、そこで描かれたテーマは異形なる者への差別と愛とゆーなんともヘビーなもので、「ウルフガイ」以来のありふれたテーマとは言いながらも、ビジュアル化されたキャラクターのスピード感ある動きに魅了されて、ついつい引き込まれてしまった。ほかにも同じよーなテーマの作品が並んでいて、出来れば統一された世界観の中で、様々なエピソードが展開される連作として読んでみたいと思った。

 どーゆー履歴の人か知らないから、もしかしてもうすでにメジャーな場所で活躍しているのかもしれないけれど、気が付いた範囲では今のところ、活動の場は「ラポート」が主で、他には単行本が1冊出ているだけみたい。けれども例えば同じラポートから、「マジカル・ルシイ」を出しているゆうきまさみさんみたいに、カルトからメジャーへとブレイクするだけの力量がありそーだなーという印象は、十分過ぎるくらい持っている。いまさらとゆー声もあるだろーけれど、自分的には要注目。でも滅多に売ってないんだよね、「ラポート」のコミック本なんて普通の本屋さんにはなかなかさ。

 「ウルフガイ」以来とゆー意味では、電撃文庫から出た渋井猛さんとゆー新鋭の「ワイルド・ガーディアン」(490円)も、獣人の雄叫びが炸裂するストーリーとして、西洋的オオカミ男物では決して得ることのできない日本的人狼物の楽しさを味わわせてくれそーな気がしている。まあテーマは陳腐かもしれないし、主人公の外見もそれこそ「はいぱあぽりす」のバタネン先輩そっくりといえばそっくりなんだけど、出てくる敵キャラが口絵を見ただけでもなんともバラエティに飛んでいて、それそこ漫画で見てみたいとゆー気にさせられた。ライバルキャラの寵姫ちゃんが、ちょぴりアダルトなブルーソネットとゆー存在感を出していて、なんだかとっても強怖(つよこわ)そー。途中までしか読んでいなから結末はまだ知らないけれど、読んでいる間は楽しませてくれそーな気はしている。保証はしないよ。

 いきなりな白倉由美さんの表紙に誰の文庫かと思って手に取ったら、なんと白倉由美さんの小説だったので驚いた。「夢から、さめない」(角川書店、460円)のことね。それこそ「プチ・アップルパイ」当たりからのつき合いで、もう15年近くその存在を意識していた漫画家さんだけど、ここ何年かは新刊を手にとったこともなければ活動を聞いたこともなく、「東京星へいこう」(だったかな)もちょっと胸に痛そーで買ってなかった。

 じゃあなんで「夢から、さめない」を買ったかとゆーと、薄いし安いしそれに表紙の女の子が3人とも好みだったから。3人並んだ女の子のうちアスカっぽいのとレイっぽいのが2人いて、残りの1人は誰とゆーこともないけどややソバージュなロングヘアーが印象的。3人が星キラな眼差しで平台から「買ってね」を訴えかけて来た以上は、もう買わない訳にはいかないじゃないですか。冒頭に短い漫画が乗っていて、ずいぶんと絵柄が変わったなーと思ったけど、さて小説の方はいかなる出来か。保証はできないけど、もう表紙だけで価値十分、かな。

 「小説メフィスト」買う。小森健太朗さんに西澤保彦さんに清涼院流水さんの対談とゆー取り合わせの時、結構はちゃはちゃな小説を書いているにも関わらず、西澤さんが一番まじめで堅実そーに見えてしまうとゆーことは、他の二人の爆裂具合がいかに凄いかってことになるんだろーなー。ビジュアル的には新進の研究者と怪しい不動産屋とオタクな青年といった風体で、それでもやっぱり怪しい不動産屋の西澤さんがいっとう真っ当に見えるのは、亀の甲より年の功っていったとこでしょう。

 おっと最大最強に怪しいのは対談を仕切った司会のおっさん、Tシャツ姿に妙な上っ張りを羽織った頭金髪の人、ってったらもうお解りですね、そう西葛西のあの人です。写真が一番小さかったのは司会として分を弁えたからでしょーが、冒頭の集合写真では右端で目立っていたから一緒なんだけどね。「メフィスト」ほかには京極夏彦さんの「塗仏の宴ひょうすべ」やら清涼院流水さんの「One more death」とか歌野晶午さんの「W=mgh」とか面白そーな短編が満載。おっと忘れちゃいけない西澤保彦さんも「念力教室」で参戦だ。すごいぞイラストは水玉螢之丞さん描く、いったいなんで登場したのか解らない神麻嗣子(かんおみつぎこ)ちゃんの可愛さ可憐さには、世の男どもよ、絶対頭がクラクラ来るぜ。シリーズキャラにしてくれないかなー、講談社さん、もちろん水玉さん付きで。お願い。そーしてくれたら島田荘司先生お怒りの金田一少年盗作事実(疑惑なんかじゃないもんなー)だって許しちゃう。から。

 「夏エヴァ」のスタッフロールと「まごころを、君に」でかかった音楽をカップリングにしたシングルCDを買う。テーマソングの方は、最初に虎ノ門ホールで聞いた時、どこかで聞いたことのある曲だなー、どっかの国のスタンダードかなーと思っていたら、後で第19話「男の闘い」とかでかかったBGMに歌詞をつけたものだと知って得心、曲の良さと歌声の質の良さにひかれて、レコードが出たら絶対に買おうとずっと心に決めていた。もう1曲は聞くとクライマックスにさしかかって大変なことになっているあの映画のシーンが思い出されて、ちょっと胸に来るものがある。無数のアヤナミが画面狭しと流れていく場面とかいろいろね。初回はピンクのプラケース入りなので、薄っぺらい紙のケースに保存が面倒だとシングルCDに対して良くない感情を持っている人でも買って安心、踏んでシマッタ。でも早くLDかDVDで絵付きで見たいぞ。


【7月30日】 なんだそうだったのか、ドトール・コーヒーに現れたペプシ娘の正体は。取材の途中で時間があったのでドトールでサンドイッチをモシャモシャと頬張っていると、売り子さんらしき女の子が胸にペプシの缶を3本かかえて戻って来て、カウンターにぼんと放り投げてまた出ていった。なんだってドトールで出しているコーラは街中の自販機で買ったペプシだったのか、それであの値段を取っていたのかと一瞬頭が真っ赤にるが、ペプシ娘がカウンターの中の女性に向かって「だっで欲しいんだもーん」と言って出ていったので、なるほどきっとたくさん買うとなにかが当たるんだなーと想像をめぐらす。

 たまたま持っていた「SPA!」を開くとビンゴ! プレゼントのコーナーにあのペプシマンのキーホルダーが載っていて、ペプシの自販機に入っていると書いてあった。当たりの場合はキーホルダーと再購入用の110円が入ったプラスチックのペプシ缶が出てくるんだそーな。写真を見る限りはなかなかな出来で、これならゲーセンとかのゲーム機に入れておいても、結構な人気が出るんじゃなかろーか。もっとも知らない人が出てきた缶をひょいと持ち上げて、その軽さに一瞬頭が真っ白になる様も想像できる。とゆーのも僕自身、UCCが以前同じよーな試みを実施した時に当たったことがあって、出てきた缶があまりにも軽かったので「いたずらに引っかかったかな」とがっくりきた経験がある。酔っぱらったおっさんが当たった日にゃー、怒りにまかせて自販機を壊しかねないかもしれない。一日ペプシの自販機の前で張り込んで、当たった人の反応を観察していたいね。

 運輸省のクラブでリリース処理の1日。旅行代理店が一昨日あたりからあれこれ下期商品のラインアップなんかを持って来ていて、値下げとそれからサービス面の向上なんかを一生懸命訴えていた。見ていて感じたのはエジプト関係の旅行で各社が新企画を投入していたこと。1日150人しか入られないとかゆー「ネフェルティエ妃の墓」を見学できるツアーを、確か日本旅行とJTBが設定してたし、「21日間ヨーロッパとエジプトの旅」ってな豪華な旅行を企画していた会社もあった。近畿日本ツーリストだったかな、なかなか行かない14基あるピラミッドを見学するツアーもあって、ほかにもエジプトの博物館を閉館後にゆっくり見学出来るツアーとか、それこそ「金満ニッポン」「観光ニッポン」を象徴するよーなコースが幾つかあった。

 エジプトが流行っているのは、「太陽の王ラムゼス」とか「神々の指紋」とかいった「エジプト本」のベストセラー化とか、世界遺産ブームでピラミッドなんかが度々テレビで紹介される影響。聞くと新婚旅行でエジプトとか中国とかに行くって人が結構な数になっているとかで、あんな暑くて賑やかな場所に夫婦でいってケンカにならないのかな、あんな日本の昭和40年代みたいな中国に新婚さんでいって楽しいのかな、などと心配もしてみる。もっともこれなど独り身の嫉妬まみれの邪推にすぎず、愛し合っていれば年の差あんて、じゃないシシカバブな中東だってねじりぱんな中国だって、バラ色の大地に映るんだろー。羨ましいうらやましい。

 あと中国関係でで面白そーだと思ったツアーが、JTBが企画した北京から香港までの直通列車に乗れる旅。最初は北京で万里の長城なんかを見て、列車に乗って一路香港へと向かい、香港ではまるまる1日半のショッピングなんかを楽しめるとゆーから、列車好きにも買い物好きにもしっかり楽しんでもらえる。30時間もの乗車時間があるけれど、利用できるのが4人部屋のコンパートメントだから、夫婦でアレしたりコレしたりして時間を潰すことはちょっと無理。アベックにはしんどいけれど、そこは夫婦2組で1部屋借りて、黄色い大地でとりかえっこな大パーティーを開くってのも、革命してて面白いかもしれない。

 山田正紀さんの「螺旋」読了。なるほどこーゆーなかなか当たり前の結末ながら、しっかり謎解きを楽しませてくれる上に、視点をずらすとゆーか視点への疑問を与えてくれるとゆーか、とにかくいろいろと考えさせてくれる話に仕上がっていて面白かった。正義に燃える新聞記者の描き方がややステレオタイプだったけど、それすらも1つの仕掛けになっているからさすがなもの。やや記号的ながら、探偵にもしっかりと存在感があって、前半の社会派ミステリィが、後半にぐっと本格めいて来て、最後はちょっぴり人情ミステリィで終わる。講談社だったらきっと探偵を使ってシリーズ化するところだろーけど、これはこれで1つのメッセージを伝える作品として完結してるから、残念だけど多分再登場はないでしょう。

 「おたくのVIDEO−CD」を観賞、なるほどまさしく「おたくのビデオ」であったか。11日を過ぎて「アニメージュをまだ買ってない」と慌てるあたりに胸がドキッ、そんないかにもなディティールを積み重ねて行く「1982」は見ていてなかなか面白哀しいものがあった。「1985」になると、いかにもなディティールを爆発させて大袈裟にして増長させていくストーリーになり、これはこれで女性キャラの可愛さとか、例のうさぎ耳おねえちゃんのグラマーさとかにクラクラ来るんだけど、おたくビジネスが巨大な産業になって銀行が入って乗っ取られて再起を図って再びってなストーリーが、昨今の「アニメブーム」と妙に重なり合う部分があって、楽しみながらもふっと我に返ってこれからどーなるんだろーかと深く考えさせられた。現実は果たして「おたくランド」が建つところまでいくのか、それともブームは何度目かの波の1つで終わるのか。新聞ほかメディアが果たすべき役割は大きいけれど、今の自分じゃなんにもできない。心配だしんぱいだ。


【7月29日】 自分の記事へのツッコミにはとことんシカトを決め込むくせに、人の記事のあら探しには倍旧の情熱を傾けるねじくれた性格の僕。で「AERA」8月4日号の「日本のアニメーションが危ない」の記事にある、「ディズニー作品では『アラジン』が世界で220万本売れた」との記述には、「世界でたったの220万本、へーっ、『アラジン』って人気なかったんだねえ、だって『トイ・ストーリー』なんてアメリカだけで2000万本は売ったんだよー、やっぱアメリカ人にはアラビアン・ナイトなんて世界は理解不能ないんだなー」ってな感じの、イヤラシ系のツッコミを入れてしまおう。これはたぶん「日本で220万本売れた」の間違いでしょー。

 続く「『となりのトトロ』は約39万本」の記述にも、徳間が出していたころの数字なのか、ブエナ・ビスタが売るよーになってからの数字なのかの記述がなく、ちょっと頭が混乱する。最近届いた案内では、確か「トトロ」は100万本の出荷を達成したとあったから、それでも39万本しか売れていないとなると、実売率は39%ってことになってしまう。これはちょっとひどすぎると思うけど、しかしレコード屋さんなんかに未だ山積みとなっている「トトロ」を見ると、あながち的外れな数字ともいえないだけに、ホントのところどっちなんだろーと、大いに頭を悩ませる。でも39万本なら立派な数字と思うがなー。

 あと、セル1枚分の画像データが6メガバイトあることを、「フロッピーディスク六枚分」と表現するセンスにちょっと意図的な物を感じてしまう。だって画像を操っている人で、いまどきFDなんかでデータの記憶とかやりとりとかをしている人はいないでしょ。それこそ「東京ドームで何杯分」と表現する最近の潮流に逆らって、未だに「霞ヶ関ビルで何10杯分」と表現してみせるよーなもの。小さな器を積み重ねて「ようけ喰った」と威張ってみせるワンコ蕎麦的表現で、読み手に「大変なんだよー」ってなイメージを植え付けようとしてるんじゃないかって、ついついそんな邪推をしてしまう。まあ事実大変なことには違いがないから、この際記事を読んだ人が「だったら手を引こう」じゃなくって「だったら救ってやるか」ってな感想を抱けるよーに、救うだけの価値があることをもっと記事の中で強調して欲しかったね。ウチが言うより信頼性があるからね、看板のさ。

 仕事で泉岳寺へ。別にお寺に行ったんじゃなくって、都営地下鉄の泉岳寺で降りたってことなんだけど、時間があったのでせっかくの機会と思い、初めて「赤穂浪士」のお墓をのぞいて見る。先月だったかに四谷三丁目の「お岩稲荷」を見物に行ったばかりだから、東京の名所を相次いで征服したってことになる。どちらもちょっくらタンバな名所だけどね。しかし「お岩稲荷」が思ったより小さな神社だったことに比べると、赤穂浪士の墓は47人分あるだけあって結構広く、線香の煙も上がってなかなかの賑わいを見せていた。やっぱ人気あるんだねー、怪談になってしまったお岩さんと違って美談の主となった集団リンチの首謀者たちは。

 吉良蕃を県内に持つ愛知県民たる僕にとって、大石蔵之介の主君の浅野長矩は、塩田経営に冴えを見せ、洪水の多かった川には後にお米がたくさんとれるようになったことから「黄金堤」と呼ばれた堤防を造営し、領民から「赤い馬の藩主様」と慕われた吉良藩主・吉良上野介の命を集団リンチによって奪うきっかけを作った悪い人。これまで赤穂浪士のお墓に足を伸ばさなかったのも、そんな理由があるからだけど、まあ出来の悪い上司でも上司は上司と仕方なく着いて行かざるを得なかった可哀想な中間管理職とサラリーマンたちだと思えば、我が身と重ね合わせてなんとなく同情も湧いて来る。といってもこちとら上司がセップクしよーと敵討ちに行く気は微塵もないから、後に義士と讃えられるどころか、裏切り者の名を頂戴する可能性が大なんだけどね。

 秋葉原で開かれた会合までの時間にちょっとだけ秋葉原めぐり。石丸ソフト1でDVDやらLDやらを見ていると、「エコエコアザラク」のLDセットの予約を募っているチラシが目に留まった。テレビで放映されていたあの番組で、9月にそのうちの13話分だかが発売されることになっている。8月10日までに予約すると、8月末に開かれる佐伯日菜子さんを招いての先行上映会に参加できるとあって、ついつい体がレジへと向かう、がしかしその頃に金があるかと考えて、ここはもう少しだけ考えてみることにして、後ろ髪をひかれる思いで石丸ソフト1を後にする。山田まりやのDVDも欲しかったなー。

 といいつつも、別の店で「おたくのVIDEO−CD」が6000円で出ていたのを見て買ってしまうところを見ると、やっぱりつくづく懲りない奴と我ながら哀しくなってくる。ビデオもLDもとんと見かけないこのタイトルを今見るには、流行りのDVDじゃなくって1世代前の技術であるVIDEO−CDしかないってのがなんか不思議。もっと不思議なのはVIDEO−CDシリーズで「トップをねらえ」が発売されることになっているにも関わらず、近くLD版の「トップ」も再発が決まっているということ。と思えば「エヴァ」はビデオのリリースも終わっていないのにもうDVDがリリースされる始末で、このあたりいったいなにをメインのメディアにすえているのか、ユーザーのことをどう思ってこういう戦略をとっているのか、とっても不思議に思えてくる。あるいは出たとこ勝負でなにも考えていないのか。できれば「ナディア」とそれから「トップ」をDVDで出して欲しいんだけどなー。

 JR西日本のとてもエラい人たちとウナギを食べる会合を経て帰宅、途中で山田正紀さんの「螺旋」(幻冬舎ノベルズ)を「探偵登場!」ってな当たりまで読み進む。謎解きの解決に期待も高まるが、それまでに抱いた疑問を1つ。千葉県を舞台に新聞記者が登場する小説だってことは解るけど、だったらどーして木更津の支局に県政担当の記者がいるんだろーか。千葉の県庁は当然千葉市にあって、新聞各社の支局なり総局はだいたい県庁の側に置いてある。千葉について結構綿密に調べた山田さんが、こーゆー点でミスをするとも思えないし、もしかしたら僕の読み違いか、あるいは近々未来の話だから、東京湾横断道路の開通に伴って県庁とか県警とかが木更津に移動したのか、ともかくも再読の際に確認が必要か。小説の出来とは一切関係のない部分なので、とりあえずは謎解きを期待して残りを近日中に読み終えよう。さあショウタイムだ。


【7月28日】 月曜日が憂鬱だからといって登校してくる生徒に向けて撃ちまくれるよーなライフルなんて持ち合わせていなから、ここはドクゼツによって精神のバランスを取ることにしよう。まずは「週刊アスキー」。「あの」とゆー言葉が頭についても不思議じゃないほどメジャーになった飯野賢治さんが畑違いの分野に挑む「限界ビジネス」の第2弾。「コンビニ弁当」に続いて今度は「フーゾク産業」について、関係者に聞いたり資料を漁ったりして現状と課題と将来性を分析・指摘している。がしかし、思ったほどには爆裂的な意見は述べられていないし、画期的なアイディアが披露されている訳でもない。結論として述べられている「100人中の1人でも、その人に合ったサービスや気配りで差別化すればビジネスは成功するんだ」とゆー言葉だって、別に飯野さんに言ってもらわなくったって、サービス業に従事する人なら誰だって気が付き実践していることじゃないかな。

 ゲーム業界を暴れ回っている飯野さんに期待するのは、既成の概念や慣例によって雁字搦めになった世界を、そのバイタリティーで撹乱しぶちこわして新しいビジョンを提示してくれること。こんな当たり前の結論だったら、神足裕司さんの慇懃な賞賛の解説によって逆にそのおかしな部分を浮かび上がらせる手法で、十分面白さい記事になるんじゃないかと思う。できれば飯野さんには本業のところで「限界ビジネス」のノウハウを披露し伝授して欲しいけど、あれだけフォトジェニックな人だから、雑誌としてもやっぱり使いたくなるんだろーなー。さて次はどんな業界に挑むのか。可能だったら「新聞編」なんて企画して、凝り固まった固定観念の枠組みのなかで尊大に振る舞っている新聞業界を、木っ端微塵に粉砕して欲しいなー。でも来るなら大手町じゃなく築地あたりにしてね。

 それから「週刊アスキー」、表紙に麦酒会社のキャンペーンガールを一気に4人登場させる力技を見せてくれたけど、縦組みページの表紙に2人、横組みページの表紙に2人分ける時に、どんな選び方をしたんだろーかと大いに悩む。横組みページにはサッポロとキリン、縦組みページにはアサヒとサントリーの組み合わせになっているけど、会社の風土成り立ちからではとても縦と横に分けることができない。となれば理由は1つしかないと、表紙とセンター部分の写真を見て、もしかしたらとゆー結論を導き出した。

 前に渡邊直樹編集長にインタビューした時に、編集長は横組みには縦の、縦組みには横のカルチャーを持って来ることを意図的にしたいと話していたこ。それを念頭に表紙とグラビアを見ると・・・おおやっぱりそうだ、そうだった。まずは横組みの表紙。ビキニ姿の谷あいちゃんと小沢理詠ちゃんの2人とも、出したおなかのおへその形がしっかり縦型になっている。それではと思って縦組みのページを見ると、こちらはワンピースが1人が伸ばした腕で、ビキニの彼女のおへそが隠れてしまっていて確認できない。ならばとセンターのグラビアを開くと、ビキニの七森美江ちゃんは、おへそがしっかり横型になっているではないか。もう1人の田波涼子ちゃんはワンピースだから未確認だけど、たぶんしっかり横でしょう。

 あるいはもっと下の方にある、ビキニに包まれたあそこの形が、片や縦に一本筋が入り、こなた横に筋が入っているのかもしれないと、お下劣な推察だけはしてみるが、縦は解っても横のあそこってなんじゃらほいとゆーことになるので、やっぱりおへその形で分けたとゆーことにしておこー。真実は渡邊編集長だけが知っている。なお縦になってるあそこってどこ? 横になる可能性なんてあるの? って疑問に思ったお子さまは、お母さんにでもたずねて下さい「普通はあそこは縦だよね」って。ぶちのめされるのがオチですけど。

 格安航空券販売最大手のHISと、業界2位のマップインターナショナルのベンチャー社長がそろって会見、資本提携と業務提携によって世界の旅行産業を目指すんだって自信満々にしゃべってくれた。旅行代理店のガリバーことJTBの参入で、格安航空券の市場が大きく揺らいでいたことは知っていたけど、それが業界で圧倒的なシェアを持つHISをして、ライバル企業との業務提携に走らせたとは、ガリバーの身震いはリリパットの王様にとってマグニチュード10・0の巨大地震に等しいんだろーね。もとより出不精で旅行には縁遠い身なので、これがどれだけのユーザーメリットをもたらすのかが解らないけど、できれば会見で喋ったように、いたずらな価格競争で品質を落とすことはせず、高品質高サービスの実現を目指すんだって、その言葉を末代までも守り伝えていって欲しい。でなきゃただの大ボラ吹きだもんな。

 運輸省の記者クラブから新宿高島屋のすぐ裏手にあるHISまでの移動を、貧乏な新聞社の記者は地下鉄丸の内線を使って新宿三丁目まで行ってそこから五分ほど歩くのだが、お金持ちな新聞社やテレビ局の人たちは、役所の前からタクシーを拾うかハイヤーを読んで高速ですいーっと移動する。クーラーの効いた車内で電話するなり本を読むなりできるから、普段の仕事にもゆとりを持って臨めるんだろーなー。けれども市井の人々がなにに興味を持っているのか、地下鉄の中吊りはどんな世相を伝えているのか、女子高生は今でもルーズソックスを履いているのか等など、電車でしか得られない情報ってのもあるから、僕はこれからもきっと絶対、電車を使ってとことこ移動をするだろー。貧乏ってのも悪くないぜ。まあ半分は負け惜しみだけどね。

 新宿高島屋の隣にある紀伊国屋が意外とまともなコミック売場になっていて感心する。コミックのそろいはほぼ完璧、ゲームの攻略本も並んでいて、レジ前にはカードとかグッズ類も置いてあるから、ここだけで結構いろいろな買い物が出来る。集まっているのは線路を挟んで向かいにある代々木アニメーションの学生さんたちだろーか、それとも少し下がった代々木の予備校街の浪人生たちだろーか。まさか代々木といえば昔懐かしい赤い旗の下に集う人たちが、若者をオルグするために来店してるってことはないだろーね。しかし本館前のベンチに集う美女たちといー、紀伊国屋に集まる少女たちといー、かつて代々木(新宿ってもほとんど代々木だもんね、ここ)とゆー地名に赤旗な人たちが抱いたイメージはもはやカケラも存在せず、渋谷じゃないけど確実に着実に、若い人たちの街に変貌を遂げつつある。いっそ赤旗な人たちも、ビル立て直して下にアニメショップでも開いたらいかが? 「仮面の忍者赤影」とか「赤き血のイレブン」とか「レッドバロン」とかじゃー古いよ。せめて「赤ちゃんとぼく」くらい置かなきゃね。


【7月27日】 1日で全26話中の24話分を見るのはやっぱりオヤジには辛かったよーで、寝て起きても頭の中をコナンとジムシーとダイスが走り回っている。払拭するべく新宿に出て、こないだは松竹セントラルのあまりの音響が悪さに怒り心頭した夏エヴァを、今度は東映パラスで観賞する。たぶん3回目。12時10分からの回に30分ほど前に行き、ロビーに入ってドアの前で行列、やがて終わったと見えてババンバンバンと扉が開き、中からウツロな目をした少年少女が足どりも重くゾロリゾロリと現れた。

 入れ替わりに中に入ってスクリーン正面に座席を確保、さて人心地を思った瞬間、場内放送で「エヴァ缶残り36個ぉー」なんてことがかかったのがオタクな心に火をつけた。エンドシーンに衝撃を受けてなかなか立てなかったのか、遅れて劇場を後にしよーとする少年少女を後ろからかきわけ、ロビーに出て残り少ないエヴァ缶をゲット。6缶入りで900円は計算が合わんと怒りつつも、これがキャラクタービジネスなんだと無理矢理自分を納得させて、席に帰って鞄に突っ込み劇が始まるのをしばし待つ。後は松竹セントラルとその前の虎ノ門ホールと同じ情景が繰り広げられ、例の一言を終えて憑き物を落として劇場の外に。アスカの団扇は売り切れていた。

 通りを歩いて丸井の下のヴァージンメガストアへ。何やら大音響でBGMが流れていたのでおかしーなーと入り口付近を見ると、生のバンドがなにやら新曲のプロモーションをやっていた。ボーカルにキーボードにエレキバイオリンとゆー一風変わったユニットで、歌うは最近流行のアコースティック系だけどポップな曲。そのリズム感の心地よさと歌のうまさにたむろする若い男若い女に混じってステージに見入り、披露された数曲を最後まで聞いてしまった。グループの名前は「rough lough」。25日に「泳げSelfish」でデビューしたばかりなのに、FMのチャートなんかでブレイクし始めているとかゆー店員のお題目的MCが流れていたけど、実際演奏を聞いた後だと、そんなお題目にもうなずける。要注目。

 電車の中で清水文化さんの「気象精霊記 正しい台風の起こし方」(富士見ファンタジア、580円)を読了。なんでも岬兄悟さんがファンタジア長編小説対象に応募された本作を、他の選考委員たちが難色を示すなかで強引に押して押し切って、無理矢理「審査員特別賞」を受賞させたとか。真偽のほどや脚色の度合いはともかくとして、立派に本になった「正しい台風の起こし方」は、まさしく岬氏いうところの「先を読ませる力」を持った小説でした。読んだ後でなんだったんだろーとゆー疑問と虚無感が残るけど、とにかく読んでいる間だけは次の展開が気になって気になって仕方がない。「何があるんだろー」ってな謎解きの面白さじゃなく、「きっとこうなるんだな」「こんなギャグが出るんだな」ってな自分のグフフな部分を確認していく面白さで、確かに読み手を引っ張る力を持っている。イラスト最高。目の付け所も心憎い。さて続編は? 気象精霊の出番かどうかは解らないけど、今を象徴するなら「正しい地震の起こし方」あたりが妥当でしょう。

 続いて電車の中で山田正紀さんの「螺旋」(幻冬舎ノベルズ、933円)を読み継ぐ。カズオ・イシグロさんちょっと待っててねすぐに戻るから。いきなりの房総半島を巡る気象の話にさっき読み終えた「正しい台風の起こし方」との共時性を感じて鳥肌が立つ。おまけに途中から「旧約聖書」だの「モーゼ」だのが出て来てその前に見た夏エヴァとの共時性も感じてしまう。つまり最近流行の諸々をぎっちり詰め込んだミステリィってことなのかこの「螺旋」は。いやいや決してそんなことはないだろーけど、しかし重なる時には重なるって世の中の不思議、とことん味わってます。

 月刊な「おたくウイークリー」で一騒動。「スキゾ」「パラノ」の大泉実成さんに「週刊アスキー」で謝罪したばかりの岡田斗司夫さんに、今度は「スキゾ」「パラノ」では大泉さんと共著者の関係にある竹熊健太郎さんが抗議していて、それに岡田さんが釈明をしている。異論が載って同じ号に反論が載るってのが姿勢として正しいのかどうかと言われれば、先の「SAPIO」の小林よしのりさんと柳美里さんとのやりとりでも問題となったよーに、メディアとして決して誉められたものではない。そこは速報性のあるインターネット上のメディアである特性を活かして、月刊なんて表向きのペースなんて無視して、双方おおいに議論を闘わせて欲しいねえ。でもそれだと伝言板とかでのフレイムになっちゃうか。

 同じ号の大塚英志さんのコラムにも思うところ多し。「エヴァ」に対する自分のスタンスは、まさに「おたくアニメとしての『エヴァ』に不満はない。放置され、今日の劇場版でなされた謎解きに関してぼくは興味はない。ボークスの7万いくらかの綾 波1/4スケールを予約する程度にいい年をしたおたくであるぼくはエヴァを楽しんでいる」という大塚さんのスタンスそのままで、流石にお金がないので綾波1/4スケールは買わないまでも、UCCのエヴァ缶とかバンダイのガシャポンとかを購入しては、そんなものを購入して酔いしれている自分を客観的に喜んでいる。

 けれども。今日も劇場に集まった大半の10代からせいぜい20代前半までの少年少女たちにとって、僕が抱く思いとはまったく違った次元の思いを、きっと「エヴァ」に抱いて来たはず。お遊びで酔っている僕とはもちろん違うし、もう少し作品に正体して、謎本や心理分析本を買って散りばめられた様々な要素を解き明かそうと腐心している人たちとも違う、キャラクターたちに自分を重ね合わせてキャラクターたちの悩みを自分たちの悩みととらえて、キャラクターたちの自問自答によって紡ぎ出されるメッセージそのものに、共感している人たちも少なからずいる。

 「14歳という主題を抱え込んでしまった以上、大人であるサブカルの送り手たちは果たすべき責任というものがある、と思う」と大塚さんは言う。僕が得心したあの夏エヴァのラストに、「14歳」たちが果たして得心できたのかどうか未だに解らない。昨日放映された「ザ・スクープ」に登場した「14歳」(これは僕とも謎解きに腐心する人とも違う見方をする世代、という意味で使う)たちも、あまり得心はしているよーには見えなかった。大塚さんは夏エヴァを見たのか、見た上で「おくたウィークリー」のこの「14歳のエヴァは終わっていない」を書いたのか。ラストのあの一言についてなにを思ったのか、出来れば聞いてみたいものです。

 毎月のよーに更新していたカバーガールもマウスの調子がよくないのと腕がなまけて言うことをきかないことから、もう何カ月も同じ顔になっていて、なんだか自分に申し訳ない。申し訳ないついでに夏エヴァ完結を勝手に記念して、ちょっと古めのものに再登場願った。まあ気分転換と思って、下手だけど許して下さい自分。


【7月26日】 DVD版「未来少年コナン」を一日中ぼけらーっと見続ける。絵とか色彩がひどいなっと思ったのは最初の数話だけで、コナンが「残され島」を出てジムシーを拾ってバラクーダ号でインダストリアに向かうにつれて、キャラクターの顔の形も動きも色も落ちついて来た。1978年当時のわくわくどきどきしながら本放送を見ていた時代に頭が戻り、うんうんあったぞこのシーン(三角塔から飛び降りる場面とか、ギガントの翼の上を走る場面とかね)、そうだよそうだこのセリフ(「どうしてそんなとこで寝ているの?」「飛ぶよ」「ばかねえ」)って、ついつい声を上げそうになった。

 CMなしのアニメだから、30分ぶっ通しで放映すればいいものを、間にちゃんとアイキャッチャー(あのパタパタパタ、キンコンカンコンってやつね)が入っているのは今にして思えばとても不思議。教育テレビで今やってる「YAT安心!宇宙旅行」にもちゃんと入っているから、NHKで最初のアニメーションだった「コナン」が流れを作ってしまったのだろー。それとも民放とかに売ることをあらかじめ想定していたのかな。あと、これまでに何度も見た話だから、ダレ場があったら飛ばそうをリモコンを握りしめていたのに、どこにもダレ場なんかなく、早送りどころか途中に何度もシーンを戻して確かめるよーな、濃い見方をしてしまった。ってもラナのスカートがピラピラする場面とか、少女時代のモンスリーが飼い犬のムクを追っかけている回想場面とか、だけど。

 本屋で山ほど本を買う。毎日何冊かを確実に家へと運び込んでいるが、逆に家から出す本など読み飛ばしの雑誌くらいしかいないため、買った本は確実に家の容積の一部を占領することになる。なんだか毎日わらを運んで巣をつくる燕みたいな気がしてきた。事実ベッドの回りにまで本の波がおしよせて、もう寝る場所を確保するのがやっとってな状況になって来ている。マジで引っ越し考えないといかんかなー。部屋数の多いとろこに住んでいる一人者に図書室変わりに1部屋借りるか。いっそ家持ちと結婚でもして、ってこれは相手のある話だから当分無理。それにこれだけの本を運ぶのには、それこそ膨大な費用がかかりそーだからなあー、っておっと待てよ、オレは今運輸省の担当なんだってことは引っ越し会社だって担当なんだこないだなんかヤマト運輸に取材に行ったんだ。しめしめ引っ越し代くらいこれで浮か・・・しちゃいかのだろーな。やっぱり。がっくり。

 さて本屋では、不本意だけど面白そうだから仕方がない幻冬舎ノベルズで、雨宮早希さんのエンバーミング物第2弾「遺体処理」と山田正紀さんの「螺旋(スパイラル)」を購入。それからヤングアダルトでは、中里融司さんの「デモンズサモナー 王権の剣」(サークル出版社、590円)に続く「薄暮の灯火」と、やっぱりヤングアダルトな清水文化さんの「正しい台風の起こし方」をイラストにつられて買ってしまう。カズオ・イシグロの「充たされざる者」だってやっと上巻の途中だし、ジョン・クロウリーの「リトル・ビッグ」だって読みたいのに、次から次へと面白そーな本が出る。DVDもLDもゲームもコミックも積み残しが山。それらを処理するにはあまりにも時間が足りない。こーゆー時にホント仕事をやめたくなるけれど、仕事をやめたらこーゆーのを買えなくなっちゃうこのジレンマ。世のゲーム好き、本好き、コミックス好き、アニメ好きの人はどーやってこのジレンマを解決してるんだろー。

 その一端がテレビ朝日の「ザ・スクープ」で披露されていたよーな気がする。「エヴァンゲリオン現象」に関する特集、コミックシティでエヴァキャラのヌイグルミやポストカードを売る25歳だかの女性は昼間はスーパーの試食販売員として地味な暮らしをし、どこにでもいろーな大学生は何十万円もする綾波のプラグスーツをコスプレショップにオーダーして夜毎ディスコで踊り回る。世をしのぶ(しのんでないけど)昼間の姿で頑張って、夜とか休日とかに一気に爆発させるんだ。平日昼間っから漫画読んで本読んでアニメ見てゲームやって過ごしたいなんて、自堕落なことは考えていないんだ。あーなんと素晴らしき人生よ。でも僕はやだね、そんな生活。じゃあどんな生活がいいの。フルタイムオタク生活。やっぱオタク面作って担当になるしかねーな。

 庵野監督テレビ初登場、ってことになるのかな。でも鳥越俊太郎じゃーたいしたことは聞けなかったみたいだし、喋っていることもとりたてて目新しくもない(96年のSFセミナーの時の方が面白かったね)し、とにかくただ本人が出たってことくらいで番組持たせているよーな気がする。しかし本当に驚くのは、テレビ東京のアニメ番組をいくら現象だからとはいえテレビ朝日が大特集したってことで、親会社の朝日新聞が本誌とアエラ使って庵野監督のインタビューをしていたことを含めて、あの大朝日グループがサブカルの取り込みに躍起になっているよーな気がしてちょっと気が重くなった。

 いくら理解を示している振りをしても、いや本当に現場のスタッフに理解があったとしても、すでに強大な権威たる「朝日」の看板の元では、すべてが権威に染まってしまう恐れがある。「手塚治虫文化賞」なんて賞を作って漫画に権威のバッチを与えている「朝日」が、いよいよアニメにも権威の御旗を下賜し始めたって寸法か。だったら小なりとも産経、負けじと漫画やアニメに権威を付与して取り込もうとすればいーものを、読書好きならご存じのよーに、今の産経文化面の内容たるや、およそ全国紙の中で最低ランクに位置しており、およそサブカル的なものに理解を示して賞を創設するよーな考えがあるとはとうてい思えない。

 かつて連日の読書面と毎週のエンターテインメント時評、漫画時評を掲載し、加えて「斜断機」で既成の権威に凝り固まった文壇を刺激してきた、これがあの「産経文化」か。わずか1年でどーしてここまで墜ちてしまたのかって、子会社ながらも近くにいながら、背中を焼かれるよーなジクジクとした思いで紙面をながめている。自分がいたらって思うけど、今の紙面構成では頑張ったところで何ほどのことも出来ないし、ましてや全国紙の末席に位置する新聞、記者が1人頑張ったところで、どうこうできる問題でもないのだろー。傍流の新聞社でしこしこと面白くもない記事を書く毎日だけど、ときどきは楽しいエヴァ記事なんて書かせてもらえてそれがばいーんと載る訳だから、これで表も決して全面的には悪くない。とちょっとだけフォローを入れておこう。ああなんてサラリーマン。


【7月25日】 どんなに大人になっても、僕らは「コナン」の子供なんだって、さっきようやく解ったよ。ちんちくりんな「名探偵コナン」なんかじゃないぞ。シュワちゃんの出世作「コナン・ザ・グレート」なんかでもない。あの宮崎駿監督の大出世作、「未来少年コナン」のことだ。真っ黒な空を蛾のようなギガントが何機も編隊を組んで飛び回り、逃げ出したロケットが煙をあげて雲が渦巻く地上へと落下していくイントロダクションが映るだけで、なんだか心がわくわく踊ってくるのだよ。帆にいっぱい風を受けて海面を飛ばすヨットの上で、コナンとラナが笑っているあのオープニングが映るだけで、ほんとに心がどきどき爆発しそうになるのだよ。

 山ほどのアニメのライブラリーを持っているバンダイビジュアルが、満を持して送り出したDVDタイトルの第1弾が「未来少年コナンメモリアルBOX」。貧乏所帯にはちょっときつめの割引価格で3万2000円が飛んでいったけど、家に帰って箱から取り出したディスク1の封を切り、DVDプレイヤーにぶち込んでスタートボタンを押したとたん、モニターの前に座っている自分が、毎週テレビにかじり付いて「コナン」を見ていた19年前に戻ったよーな気がしてちょっと涙が出てきたよ。夢があったなあ。未来があったなあ。可能性にあふれていたなあ。それが今ではゲショゲショ。

 「もののけ姫」のよーな最新の技術と膨大な資金をもって作られた作品を見た後だけに、「コナン」のときどき色パカもするまだまだ稚拙な絵とか、素っ頓狂なオープニングテーマやエンディングテーマとかが気にならない訳ではないけれど、モンスリーたちを追い返そうとしておじいが抱えていたミサイルが暴発した瞬間の煙とか破片の動きといい、ラナを助けに斜面を駆け下りるコナンのスピード感といい、これぞまさしく「カリオストロ」から「ナウシカ」を経て「もののけ姫」へと至った宮崎駿監督の、真骨頂であり家芸がたっぷりつまった原点なんだとの確信を新たにした。

 表面にノイズが走っているよーな気がするのは、オリジナル映像の責任なのかそれともエンコーディングの調子が悪いのか、それとときどき映像が飛ぶよーな気がするのは、プレヤーとのマッチングがうまくいっていないからなのか、とにかく決して「DVDだぜい、すごいぜい」ってな感じでビシっと決まっているよーな気はしない。色調もアニメモードにすると赤が勝ちすぎ、スタンダードだと全体に沈んでしまうなど、いまいちしっくりこず、それこそイコライザーじゃないけれど、色調を自在に操れる装置でもあったらもっとクリアに見られるかもしれないと、ラナの赤い服の色に当てられてチカチカする目を瞬かせながら考えてみる。

 しかし1枚のディスクに6話分、わずか5枚に全26話分がすっぽり入ってしまうスゴさはやっぱりDVDならでは。これがLDだと落とせば足の骨が粉砕されるくらいの重量があるからね。DVDだとせいぜいが小指の爪1枚だ。DVD−ROMとかDVD−RAMとかDVDオーディオとかいったものが出てくれば印象は変わるかもしれないけれど、すくなくともDVDビデオの時代は、重さとか大きさとかいった面でDVDのメリットが活かされると、本であふれかえるワンルームのアパートの住人として、強く強く実感する。まずは6話まで見て、明日は半分くらい、残りを日曜日に一気見するつもり。きっと月曜日はコナンみたくモリもって鮫をかついで、霞ヶ関をジムシーとかけっこしてることでしょう。

 「スレイヤーズTRY」に爆する。海辺の岩の上に片膝を上げて座っているちょっと長髪の好青年。夕日を浴びて振り向いたその顔は、ほとんどまるでカ○ルくんではないですか。顔だけなら本家より美しいかもしれない。だがしかし。ひとたびしゃべると幻想は跡形もなく吹っ飛ぶ。そうナマっているのだそれもどこのナマりか解らないくらいいい加減なナマり方で。個人的には語尾が尻上がりになるイントネーションに鹿児島弁を見たけれど、他の人はどう感じたのでしょうか。栃木弁、茨城弁、その辺りの朴訥とした印象を持ったかもしれないなー。

 さて、そのカヲ○もどきと絡むのが、「南国少年パプワくん」に出てきた足の生えた魚そっくりな姿かたちをした女の子(子?)。けれどもしゃべると超絶美少女声、ってゆーかまるで綾波レイで、そーいえば髪型風の模様も綾波っぽいザンギリカットになっている。人間とサカナとの報われない恋の行方やいかにって展開が、その後延々続いたその後に、ハッピーエンドを迎えてエンディングテーマがかかって、スタッフロールで流れた声優さんを見て再び爆った。お魚少女は林原めぐみ。まあこれはリナ・インバース役で出てるからいーとして、カ○ルもどきな美少年のケレルがやっぱり石田彰だった時にはぐふぐふぐふって笑いが出て来た。

 およそストーリーとは関係のない展開が、先週今週と2回続いたことにそれ以前の緊張感ある展開はなんだったんだろーかと訝るが、まあこれも「スレイヤーズ」の特徴だ。せっかく出ている林原に石田を使わない手はないって考えたとしてもぜんぜん不思議じゃないね。ただし予告編がなんだか末期の「エヴァ」っぽく、活字と絵コンテの組み合わせ的ぞんざいさになっていたのが気にかかり、もしかして「スレイヤーズ」には絶対に相応しくないメタフィクショナルな「おめでとう」で終わるのかと、そんな心配も浮かんでくる。案外意識的に予告編までパロっているかもしれないけどね。


【7月24日】 おおそうだよ。「SPA!」7月30日号の24ページに掲載されている写真にソソられてしまったのだよ。山田まりやじゃないぞ、それは今日発売の週刊文春のグラビアだ。野村祐香でもないぞ、僕はロリコンだが野村は声が嫌いなんだ。芸能人でもチャイドルでもアニメの美少女キャラでもない、ごくごく普通の中学校関係者を写した写真なんだが、なぜかこれが妙にイロっぽいのだ。タマランのだ。

 どんな写真か説明しよう。それは、あの「首ちょんぱ事件」の舞台となった、神戸市は須磨区にある友が丘中学校の裏門に立って、生徒が登校してくるのを見守っている女性教師を写した写真だ。ギンガムかドットか判然としないが、とにかく小紋柄のワンピースを着て、腕には「中学校」と書かれた腕章をはめ、腕組みをして首をななめにかしげている。顔はプックリとした唇の少し上で切れているから、美人なのかどうかはわからない。髪は長く、ワンピースの胸元までストレートに垂れ下がっている。

 どうしてこの写真をイロっぽいと感じてしまうのか。ソソられてしまうのか。写っていない顔に想像意欲をかきたてられるからだという説がある。納得しよう。ストレートな長髪に弱いという説もある。受け入れよう。スレンダーな姿態に参ったという説にだって、そのとおりだと答えよう。しかし決め手は、やはり「中学校」と書かれた腕章に、学校という規律の世界に暮らす女性であるという連想を抱き、それが怠惰で自堕落な性格とは正反対の者に憧れている、自分を惹きつけて止まないからなのではないだろうか。うんそうだ。僕は強い女性に弱いんだ。きっと。

 思えば小中高と12年間の学校生活で、実に半分が女性の担任だった。大学も卒論の主査は女性だった。絶対的な権力者である担任教師が女性であるということが、子供の成長にどんな影響を与えるのかは理解の及ばぬところだが、こと自分に限って言えば、女性は強く厳しい者という観念を、人格形成時に根深いところに刷り込まれたのではないかと、今にして思う。そんな幼少の砌(みぎり)のトラウマが、僕をして「SPA!」7月30日号24ページの写真に興奮させしむるのだ。

 なんて勝手な自己分析をしてるけど、女性が写っていさえすれば、どんな写真にだってソソられてしまうただの助平だという説もあって、これが正解の可能性が、実に99・99%ある。24ページの写真だって、実は奥にボケて写っているお下げの女子中学生に興奮しているだけかもしれないからなー。しかしホント、切れてる顔の上半分を見てみたい。いっぺんでお熱、冷めちゃうかも。

 おおそうだよ。「CHAGE&ASKA」のLDを買ったのだよ。今ごろ何ロートルなデュオのLDなんか買っているんだと怒らないで聞いて欲しい。これは凄いぞ、あのアメリカで大ヒットしたのかどーか分からないけど日本では評判になったよーな気がするハリウッド映画「ストリートファイター」のテーマソングになった「Somthing Ther」が入っているのだ。それから「On Your Mark」とゆー歌も入っていて、それにかの「もののけ姫」の大巨匠、宮崎駿監督のアニメが付いているのだ。なんとゆー大盤振舞。20分で2,700円とゆー値段もちょっとだけ豪華版だけど。

 回りくどい言い方をしてしまったが、ようは宮崎駿監督がチャゲアスのプロモーション映像として作ったことになるのかな、10分にも満たない短いアニメを収録したLDが発売されたとゆーことで、ジャケットにはアニメに登場する警察官2人と天使のような羽根を持った女性という、いかにもな宮崎キャラが並んで描かれている。ジャケットの少女が動いている様を見れただけで、十分「もうオッケー」な状態だったのだが、LDを再生して、逃亡する車の上でワンピースの裾がピラピラと跳ねて白いモモがほんの一瞬チラリと覗く場面で、「絶対オッケー」へと考えが増幅された。あとは脱げば完璧だったのだが、流石に巨匠はそこまでのサービスはしてくれない。ちょっと(とっても)残念。

 映像自体は、未来都市の人々にとらえられた美少女を、とらえた警官の一味が助けて解き放つとゆーストーリーで、それこそ「カリオストロの城」に「未来少年コナン」を足して圧縮したって感じ。攻め込む警官たちの描き方が、なんとなく「ネルフ」に進行した戦略自衛隊に似ているなあと思ったし、未来都市がいかにも「ブレードランナー」というイメージ。それでも見られるアニメになっていたのは、やっぱり美少女キャラがいたからなんだろーと、米国でアニメが売れる最大要因が「美少女キャラ」だと断ずる、昨日発売の「ニューズウィーク」に出ていた岡田斗司夫さんのコメントを読み返しながら、そんなことを考え付く。

 短い楽曲に間尺をあわせるためなのか、同じ映像が繰り返し流れて、ちょっぴりもったいないなあ、なんだかなあって気にさせられたけど、エンディング近くで、前に一度見た光景が繰り返されるのではなく、ハッピーエンディングへと昇華されて映し出されていたのを見て、間尺を合わせるために切り張りしたんじゃないってことが解った。LDには、同じチャゲアスの曲を、宮さん直筆のストーリーボードを見せながら流すとゆーバージョンも収録されていて、実際の映像との相違点を比べることが出来て結構面白い。これでホント、チャゲアスの歌の変わりに「ルパン」やった大野雄二さんとか、ジブリ御用達の久石譲さんの音楽が入っていたら、もっと違った印象になっていただろーなー。「ナウシカ」あたりのサントラか、ルパンのサントラでも買って来て、オリジナルBGMバージョンの「On Your Mark」を作ってしまうか。


【7月23日】 「SPA!」買う。しまったウェブ日記に関連する記事は来週だったか。でもいーや表紙が明和電機だし唐沢なをきさんの漫画は載ってるしそれに飴屋法水さんのペット屋さんもグラビアで出てる。って別に飴屋さんの演劇のファンだったって訳じゃなくって、有名な演出家さんだったなあって程度のことを知ってたってだけなんだけど。それにしてもアンダーグラウンドな演出家が、いきなり街のペット屋さんに転身しちゃうとは。行き詰まった暮らしに悩む中年諸氏(ああ僕のことだ)に、ちょっとした希望の光を与えてくれるね。グループサウンズのアイドルだった(のか?)早川義夫の本屋さんへの転身ってのもインパクトあったけど(最近復活)、なかなかどーして元演出家のペット屋さんだって負けてない。こーなったら家にある本を並べて貸本屋でも開くか。元新聞記者のオタクな貸本屋。受けるかなあ。

 「ボクのも含めて命なんて軽いもの。リスなんて子供が5匹生まれて2匹死んだら、それを母子で食べちゃうから。軽いものだと知った上でどうするか、でしょう。ゲームやると命の尊さがわからなくなるってのも全然逆。動物飼ったほうが命の軽さが身にしみます」と飴屋さん。うーん至言。子供の頃から家で猫を飼っていて、親が子を生んで子がまた子を生んで、ときどき親と子がいっしょにタイミングをあわせて子供を生むこともあって、家中に猫が10数匹あふれかえっていた。でも病気になったりひかれたりして次々を死んでいく、その様子をつぶさに見ながら、ホント命なんてあっけないなあと子供心によく思った。生にあんまり執着できない、だから仕事にも執着できない性格は、そんな子供時代の猫の死に様に散々っぱら接したからなんだろーか。「たまぴっち」はリセットの嵐だし。

 キオスクに並ぶ「ニューズウィーク」にでっかく綾波レイとシンジが。踊る見出しは「日本アニメが世界へ飛ぶ」で、おそらくは「エヴァ」とかに引っかけて日本のアニメーションが世界中で受けている状況をリポートした記事なんだろーなーと推測する。どーせだったら見出しを極太明朝にしたらウケたのに。日本だけでの話だけど。記事の方はトップページからおたふくソースかコーミソースかっていった濃厚さで、なんだかわからないコスプレをした兄ちゃん姉ちゃん(ラムちゃんはわかる、けど)やらスレイヤーズのポスターや綾波の透明シートやらをバックにビデオかプラモを売るオタク太りした兄ちゃんが迫って来る。ちょっと吐きそう。

 記事でまず驚いたのは、というより幻想を打ち破ってくれたのは、アメリカの和製アニメオタクの祭典ともいうべきイベントに、800人を超すファンが集まったと書いてある点。いいかいたったの800人だよ、日本だったら少なくっても8,000人は集まるのにねえ。和製アニメがアメリカあたりで大うけだよ、だから「ニューズウィーク」も取りあげるんだよって、そんな身内意識とゆーか島国根性を丸出しにした後追い記事が、これから一般紙なんかに載りそーだけど、記事を良く読めば和製アニメが、決して全米的に受け入れられている訳じゃないってことが、ちゃんとリポートされている。

 日本の製作会社が下心を出してアメリカで受けよーとマイルドな作品を作ったとしても、そんな作品には「アニメ」人気の牽引役となっているオタクは見向きもしないと書いてあって、なかなかどうしてわかってるじゃないこの記者はって、ちょっとばかり感心した。「エヴァ」がアメリカで受けると書いてある点には、いささかの疑問を禁じ得ないけど、しかし純粋にキャラ萌えなファンなら、日本と同様アメリカにだって大勢いるだろーから、哲学的・宗教的な謎めいた部分を(つまりは「エヴァ」らしい部分を)すっ飛ばしてしまったら、そんな人たちには多分大受けるんじゃなかって思っている。これはちょっと賛否両論の出る手法だけどね。

 特集の締めは我らがオタキングこと岡田斗司夫さん。日本のアニメが海外でヒットする要因をずばり「美少女キャラ」と言い切るあたりは流石というかやっぱりというか。「攻殻機動隊」のビルボードNo.1とか宮崎駿作品のディズニー配給といった材料を持って「日本のアニメが海外で評価された!」と喜ぶマスコミを牽制していて、このあたりかつて報道に携わった(今も携わっているけど、こっそりと)者として、聞く所の多い記事だった。もちろんこっちも脳天気なアメリカかぶれじゃないので、アニメ版「攻殻機動隊」の記事を書いた時に、ヒットには価格政策などの要因も入っていたことにちゃんと触れておいたけど、マイナーって形容詞が10も20も重なるよーな新聞だから、世論を喚起し警鐘を鳴らすよーな力にはならないんだよなー。あーあツマランなー。

 グラムスの消息を元ゲーム担当記者から聞く。会社は清算状態に入っているけど、アニメのラインもゲームのラインもそれぞれにそれなりのところが引き取って、ちゃんと製作を進めることになっているらしい。社長の人も某なマネジメント会社あたりが面倒をみてるとか。入ったばっかりでどこにも行けずにいきなり路頭に迷っている社員も少なくないだろーから、決して手放しで喜こべはしないけど、話を聞いてなんだか面白そーだと思っていたアニメが、ちゃんと作られているってことだけでも、とりあえずは良しとしておこー。ゲームはどーでもいーや。


【7月22日】 えっ、いっちゃったのグラムス? 「クオバディス」とか「ありすイン・サイバーランド」とかを作っている会社で、表の新聞からも別の担当者がときどき遊びに行ってたはずだけど、もー前向きなビジョンを語り倒していたとかで、そんな話を聞いていて、相当に期待の持てる会社だと思っていた。肝心のゲームそのものの出来は、正直やったことがないから解らないけど、美樹本晴彦さんとか板野一郎さんとかいった、僕たちの世代にとってアイドルともヒーローともいえる人たちをいっぱい確保して、ゲームだけじゃなくアニメとかにも進出するんだって言っていたって聞いていて、それだけでも十分に先行きが楽しみだなーっと思っていた。

 ホームページは確かに真っ白。階層を下に降りれば製作していたプロダクトの解説なんかがサーバーにはまだ残っているみたいだけど、いずれ遠からず消滅することになるんだろーなー。そーいえば青山に本拠を構えて、セガあたりのゲームソフトのCGなんかを作っている会社の社長の人から、「グラムスの吉田さんてどーゆー人?」って聞かれたことがある。どーゆー人ってそっちの方が業界の人なんだから詳しいんじゃないんですかって聞き直したら、もう10年以上も昔からフィギュアの分野でブリブリ言わせていた業界通の人なのに、「いんや知らない」と答えたことを覚えている。パッと咲きパッと散り、このまま消えればゲーム業界の島田清次郎とか鴨川つばめとか高城剛(ってこの人はまだ頑張ってるか)とか言われて、「あの人は今」的に語られることになるんだろーけど、ここはどーか頑張って踏ん張って、復活して板野サーカスなアニメーションを作って下さい。

 相変わらず情報過剰説明不足な士郎正宗さんの「攻殻機動隊」。電車の中でページ20秒で漫画を読み飛ばす癖がついている身には、あまりにも1コマ1コマの情報が多すぎて、1回や2回読んだだけではとても理解が及ばない。同じページを3度繰り返して読んで、下の注釈に目をやって、コマへと目を戻して確認してからようやく次のページへと移ることが出来る。それでもいったい誰とどーして闘っているのかは理解不能。とってある雑誌を読み返すのも面倒なので、ここは講談社様、連載終了後、すみやかに注釈いっぱいな単行本を出してやって下さいな。

 魔が差して「リアルサウンド 風のリグレット」を買う。「じゅげむ」の付録についていたノンイ・インタラクティブのCD版は既に聴いているけれど、実際にインタラクティブなセガ・サターン版を聴くとなると、それ相応の覚悟と時間が必要なので、きっと週末までは封印の状態が続くだろー。ユーザーアンケートの宛先の係になっている「丸山さんありがとう」がちょっと謎。業界で知っている丸山さんといったら、あの白い人くらいなんだけど、本当のところはどーなんだろーか。それから「『リアルサウンド2』は買いますか」との問いに対する3択が秀逸。「買いそう」「分からん」「買わん」だもんな。あと「よかったらプリクラシールを貼って下さい」って部分も。これは撮りにいかにゃー。でもイノケンフレームってあったかなー?

 同封の袋に入っている点字のシートも謎。いったいなんて書いてあるんだろーか。「『リアルサウンド2』声の出演オーディション応募用紙」も入っていて、僕もちょっと応募してみよーかなとゆー気持ちが、無謀にもむりむりむりと湧いてくる。これでも声質にはちょっち自信があって、声優になっていたら子安武人も真っ青な人気者になっていたはずだと、1人勝手に妄想している。顔写真を貼らなきゃいけないってのが気にいらないけど、まあ相手は飯野賢治さんだから、関係ないか。ただ自己紹介を喋って応募するのもつまらないので、ここはひねってインタビュアーになったジャーナリストって役所を勝手に作ってシナリオを書いて吹き込むか。

 いや、いっそ同じく「リアルサウンド」を買った某助教授も巻き込んで、「リアルサウンドについて聴くゲームについてまったく知らないインタビュアーとリアルサウンドについて聴かれてまだプレイしていないのにプレイしたふりしてとんちんかんな事を答えてしまうゲーム評論家」とゆーシナリオでコントでもして吹き込んで応募するか。もっと他のゲーム購入者たちも巻き込んで、「リアルサウンドについの座談会に出席して勝手なことをほざく評論家たちの間にあって冷や汗をかきながらフォローになっていないフォローを繰り返すジャーナリスト」とゆーシチュエーションでやっても面白い。テープを受け取って再生した時の、飯野さんの膨らむ顔が見てみたい。せっかくなのでコントのチームには名前をつけよう。ずばり「コント佐伯くんと丸山くん」だ。


【7月21日】 買ったばっかのOVA版「機動警察パトレイバー」を訥々を見る。うーん確かにキャラはゆうきまさみ版の漫画に近いけど、しかしストーリーがなあ。先に映画版の方を見て結構感動しちゃったもんで、およそ現実離れした(ユメ落ちかと思った。もしかしてユメ落とさないなのか)海底怪獣の話とか、幽霊話に仕立て上げた割にはエンディングの恐さにスゴミのカケラもない話とか、立ち食い蕎麦屋の偶然がクーデターなんて大それた犯罪の犯人逮捕に結びつく話等など、温さが気になって仕方がなかった。同じ話でも漫画だとまた違った印象を持ったかもしれないけれど、でもその漫画だって浮ついたキャラたちがくんずほぐれつやりながも、本線だけはビシっと通っていたからなあ。まあ再助走時代の押井さんの足慣らし、みたいな感じですか。

 で、そのまま劇場版の2の方を見る。うーん作画は確かにいいけど、しかしキャラがなあ。やっぱ怖いわ後藤さん、んでもって可愛くないわ野明ちゃん忍さん。まあこのストーリーにOVA版のキャラを持ってきたら相当に違和感があったろーから、そのあたり計画的な犯行なのかも。昨日見た「夏エヴァ」の「Air」部分のどハードな白兵戦シーンでも、やっぱり漫画映画的なキャラがベババンと鉄砲打ってるシーン見て、嫌いじゃないけどでもなあって思いが頭をよぎったからなあ。リアルだと不気味だしコミカルだと不釣り合いだし、アニメの表現ってほんとバランスが難しい。

 さらに「新世紀エヴァンゲリオンTV版 終わる世界/世界の中心でアイを叫んだけもの」を見る。つまりは第25話と第26話ってことで、あらためて見返してみて、劇場版「Air/まごころを、君に」と表裏一体の関係だってことが実によく解った。仮に両方のバージョンをDVDに収録するんだったら、マルチアングルじゃないけれど、どばーっと爆裂的なイメージがリアルな世界で進行していく劇場版のプロセスに、内面で思いが交錯し葛藤するTV版をシンクロさせて収録して、ぱちぱちと切り替えて見られるよーにしたら面白いかも。ダブルウインドウで映画とTVを同時に流すって手もありか。パナソニックさん、ちょっと考えて見ませんか?

 奥泉光さんの「プラトン学園」(講談社、1,700円)読了、なんじゃこりゃ。パソコンのネットワーク空間に作られたもう1つ別のプラトン学園を散策するうちに、主人公のリアルとヴァーチャルがこんがらがってあらえっさっさ、SM女は出るわ恐竜は走るはUFOは飛ぶわと爆裂的に時空間が歪曲してくストーリーは、純文的には確かに珍しく挑戦的かもしれないけれど、すでにエンターテインメントでは書き尽くされた題材のよーな気がして、だったら語りかけてくるメッセージに凄みか重みでもあるかと思ったら、尻切れ蜻蛉のように曖昧模糊とした宙ぶらりんな(ああ同じ意味の形容詞を連ねてる)終わり方をされてしまって、ただとまどうだけだった。読み易さは過去の奥泉作品では随一だけど、うーん、判断保留。

 カズオ・イシグロの「充たされざる者」(中央公論社、上2,200円、下2,000円)は出だし好調。中欧の沈滞した架空の街にやってきたピアニストが、街の期待を一心にあつめて閉塞する状況の打開に一役買う物語、だと思うんだけどどうなることやら解らない。どうやら主人公に託されているのは、街という全体が陥っている閉塞的な状況の打開ではなく、街に済む個々の住人になぞらえたすべての人々が陥っている心の閉塞感の快復ような気がする。馴れ馴れしくやっかいごとを持ってくる住人たちの取るに足らない悩みを、外からやって来た主人公になりかわって聞かされているうちに、こいつらこんな下らないことで悩んでいる、でも待てよ、オレもやっぱり同じよーな下らない悩みを持っていて、誰かに押しつけたい思いにとらわれているぞ、イヤだなあといった具合に、スパイラル的に気分を落ち込まされる。

 最後に「夏エヴァ」みたくハシゴを外されることになるかもしれないから、油断は禁物、でもそれはそれで今の気分を表しているよーでいーかも。ひょっとしてイギリスにも「僕はここにいてもいいの?」「さびしいってなに?」「なにを願うの?」なんて自問自答モードに入ってる奴が沢山いるのかな。だからこんな小説が流行るのかなら。だったら「エヴァ」持っていったら流行るかな。んでもってチャールズとダイアナの子供がデパートで「エヴァ本」買うんだ。むかし大伴昌治の「怪獣図鑑」を皇太子がデパートで初めてのお買い物で買ったよーに。

 思い立って「船橋ララポート」まで自転車で走るが、やっぱり長蛇の列であきらめる。まあ2度も見てるんだからもうしばらく経って空いてからまた行けばいーか。仕方がないので脇のガシャポンで「コレクターズスイング」をプレイ、いきなり目当てのアスカと綾波をゲットして今日の運勢の強さを実感する。アスカの歯が白いのと綾波の唇が赤いところにちょっと感心、しかし5種類あるうちのミサトさんを除いたチルドレンシリーズが、残りのシンジとカヲルも含めて全部制服ってのはどーゆー理由からなんだろーか。男はともかく女性陣、せっかくスカートはいてんだから以下下品になるから略すけど、下から見上げて楽しい作りに、出来ればしていただきたかったもんだなーと、下から見上げて楽しい5インチフィギュアの綾波をながめつつ、ちょっぴり残念に思った次第。あと3種類、幾らでゲットできるだろーか。5インチのアスカはまだ出ない・・・・。


"裏"日本工業新聞へ戻る
リウイチのホームページへ戻る