縮刷版97年6月上旬号


【6月10日】 表の新聞があるサンケイ会館の5階で昨日から扶桑社が面接試験を開いている。今日も青いスーツを来た男の子・女の子がエレベーターホール前の椅子に座って、なんだか神妙な顔をして順番を待っていた。会議室なんかに押し込められて呼び出されるのを待っているのも、なかなかに精神的なプレッシャーがあるけれど、人通りの激しいエレベーターホール前で待たされる(でもエレベーター正面の部屋が面接室だから仕方がないんだけど)ってのも、通りすがりの人からじろじろと見られているよーで、内気で自意識過剰な人なら(あらこの男の子あの『SPA!』に入りたいのよまあヲタクなのねうふふふふ)ってな声が聞こえてきて、面接前に潰れてしまうかもしれない。だっていかにも線の細そうな人たちばかりだったんだもん、椅子に座って順番待ちしてた学生さんたちって。

 どうせだったら1人くらい堂々と「週刊アスキー」を広げて面接までの時間を潰し、中に入っておもむろに「週刊アスキーは小さい方がいいのです」といってまっぷたつに引き裂く(のは「TVガイド」の宣伝だった、ちょっと古い)くらいのパフォーマンスでも見せてやってくれい。それで合格するかは保証の限りではないけれど、だってその方が「面白い」じゃないですか。「僕は『週刊アスキー』の宣伝に出てくる『1・2クリップ』の逆をやって土曜日の中吊りを全部ひぺがしてやりましたよ、わははははは」なんて媚びを売るのも、「メンタツ」的な正解じゃないけれどまあ「面白い」。やっぱ「SPA!」作ってる会社なんだから社員も面白くなくっちゃね。でも鞄から100枚以上の「週刊アスキー」の中吊りを取り出して、やっぱりまっぷたつに引き裂くなんて芸当をするんだったら、そのパワーは雑誌向きではないからプロレスかサーカスに行きなさい。

 その扶桑社で「”特異”な資質を持った編集者」として、面白かった頃の「SPA!」を作っていたツル師元編集長が「噂の真相」に登場。編集長退任から退社へとつながるきっかけとなった小林よしのりさんとの確執のいきさつをぶちまけている。諍いの正否がどちらにあるのかの判断はさておき「出版社にも目先の利益や出世ばかり考えるサラリーマンが溢れている」とゆー言葉は耳が痛い。まあ1発本をあてればボーナスがどーいーんってな出版社と、地道にじりじり部数を増やすのもやっとってな新聞社じゃー体質が根本的に違うけど、でも抱えている問題には結構共通する部分があるよーな気がする。なんて、9時5時的サラリーマン体質まるだしの僕が言うことじゃないか。でも出世やボーナスは別に狙わないなあ、だって月に5万円くらい本代につぎこめれば、もうそれで幸せなんだもんね。安上がりだねえ。

 記事ではそれと「本当に信頼できる編集者や書き手も少しはいることがわかった」と言っていて、ツル師さんと、それから元「SPA!」編集長で現「週刊アスキー」編集長の渡邊直樹さんがいなくなった後の扶桑社でも、それなりにそれなりなことができるかもとゆー期待を持たせてくれる。こないだの松沢呉一さんと村上隆さんの対談で、近く「SPA!」編集長が代わるよーなことも言っていたし、それから社長の人も6月末に代わることが決まっているし、とにかく何か変化が起こりそーな予感がする。いー方か悪い方かは知らないけれど。あと気になるのは1行情報の「『週刊アスキー』創刊号でツル師一彦との対談企画あがるも何故かボツの噂」で、なるほど今週号の「週刊アスキー」に岡田斗司夫さんの対談相手として小林よしのりさんが起用されているところを見ると、対立するツル師さんは出せないかなーとゆー気もしてくる。どっちなんだろーか。

 年甲斐もなく「アニメージュ」を買うが、考えて見ればアニメを作っている人はみんな自分より年上だし、真っ先に読む「Column Factory」だって、ミヤムーこと宮村優子さんを除けば「ムヅかしい本を読むとねムくなる 星雲立志編」の大森望さんをはじめやっぱりみんな年上だから、別に年甲斐もないと恥ずかしがることはないのであった。んでもってやっぱり僕より年上の水玉螢之丞さんが「ウテナ」のことを書いていて、27センチドールスーパーアクションボディの姫宮アンシー人形だったらオレも欲しいぞー、もちろん「バラの花嫁ドレス」(別売り)も買うぞーっと台東区に密集している玩具メーカーの方に向かって念波を送ってしまった。「注目マーク」グッズにある薔薇のデジタル系はやっぱり早々とネットに登場していて、某ムロタ氏から届いた情報では末広雅里さんのページに背景非透明化バージョンが、また不気味社電網研究所のページには背景透明化バージョン が置いてあるとか。ネット上で出回ってるものの大半はきっとココのでしょー。

 今はちょっとヤバ目の薔薇グッズだから、きっと玩具メーカーは2の足を踏むだろーから、ここは1つ「アニメージュ」さんあたりに強力してもらって、まるまる1頁にでっかくカラーで「薔薇」を印刷してもらい、使いたい人はそれをカラーコピーして、段ボールでもベニヤ板にでも貼って裏にモーターを仕込んで額縁の4隅にくっ付けて、それを持ち歩けるよーにして頂きたい。誰かと会話する時にはその額縁を取り出して仕込んだモーターに電池から電流を流すと、ほら薔薇がくるくると回り出して貴方はもー「ウテナ」の世界の住人だ。2人用にはちょっと大きめの額縁を用意しよー。モニターにくっ付ける電磁波防止スクリーンの4隅にも薔薇を貼れば、目の前のパソコンに現れるアダルトな画像だって1−2−3の表計算シートだって、ほらもう「ウテナ」の世界のアダルト画像に「ウテナ」の世界の表計算シートだ。でも出張精算書とかの4隅に薔薇シールを貼っちゃダメだよヤバいヤツと思われるから。

 6月10日発売の「夕刊フジ」に性懲りもなく河西善治さんが登場。またまた首ちょんぱ事件に関する素っ頓狂なコメントを寄せている。といっても肝心の首ちょんぱ事件に関する謎解きはほとんどせず、終わってしまっていて新事実が出てこないから後講釈し放題の「ツトムくん事件」について延々と披露した上で、今度届いた挑戦状には謎がないっていった主旨の話を書いている。いったいどういう了見でこの人を「夕刊フジ」が使い続けるのかは知らないけれど、こないだワタリウムで見た限りでは相当に電波系なイラストを黒板に書きつづっていたシュタイナーの研究家ってことだから、やっぱり相当に毒電波系な人なんだろーね。

 だからなにを言おうとふんふんと言って聞いたフリをしてればいーんだけど、今度は記事のリードの部分で「約三十年前に米国で起きた連続殺人『ゾディアック事件』のコピー犯罪と指摘した出版社経営者」と紹介されているのが気になった。本文では書き出し部分に「ゲームが始まった。私は六月二日に『須磨のボクちゃん』にゲームの招待状を送ったら」とか、中程に「ボクちゃんも六月二日の『ゾディアック事件のコピーではないのか』とう報道に、『バレた!』と慌てて出したのではないか」といった具合に、自分が「ゾディアック事件」との関連を指摘したから、慌てて挑戦状を送って来たんじゃないかってニュアンスのことを書いている。しかし「特殊翻訳家」の柳下毅一郎さんの日記では、「夕刊フジにゾディアックのことを教えたのはこのぼくです」ってなってるから、いったいどっちがホントなんだろーと頭が混乱して仕方がない。コトの性質上、どーも柳下さんの方じゃないかって気もするけれど、あれだけ自信たっぷりにしているころを見ると河西さんて線も捨てきれない。もしかして河西=柳下? んな訳ないけど、でもホントどっちなんだろー。

 トーハンなんかと漫画DBのマンガパックを館挙げたエディット90からプレスリリースが届いていて、見るとあの「ゲームボーイ」「ゲーム&ウオッチ」の開発者だった横井軍平さん率いるコトと、「テトリスJr」で評判を取ったヒロが共同プロジェクトを推進中で、7月下旬にコトが開発したオリジナル商品第1弾となるキーホルダー型ゲーム「くねっくねっちょ」がヒロから発売されるとゆー内容だった。なんでも液晶画面の上にブロックが曲がってくっついた「ヘビ」が現れて、その「ヘビ」に同じ画面に現れるブロック1つ分の「フード」を食べさせる、つまりくっつけていくとゆー内容らしー。くっつける場所を間違えると、画面の端から端まで「ヘビ」が伸びてしまうので、そのあたり「ヘビ」の場所や向きを操作しながら最適な場所に「フード」をくっつけなくてはいけない。ミニゲームの分野は今「たまごっち」一人勝ちの状況だけに、アイディアの元となった「テトリスJr」のヒロと、その「テトリスJr」のアイディアのさらに元となった「ゲームボーイ」「ゲーム&ウォッチ」の横井軍平さん=コトには、是非とも「くねっくねっちょ」で旋風を巻き起こしてもらいたいもの。でもネーミングがなあ。カワイクないもんなあ。

 いろいろやってるトーハンだけど、もっといろいろやってる日本出版販売に売上で抜かれてしまって渋い顔。昨日開かれた決算発表に行けなくて、資料を送って下さいと言ったら、是非とも説明したいことがありますと強く言われてしまい往生した。こっちも事情は知ってます、そう無碍にはしませんからと言って結局送ってもらったが、事実本業とも言える分野では書籍も雑誌も依然トーハンの方が売上高が多く、利益だって40億円近い開きがあって、そうそう捨てたもんじゃない。ただし返品率の低さでは日販の方が上。省力化投資に合理化投資と見えないところで情報と物流の強化をしている日販だけに、やがて決定的な体質面の差とならないとも限らない。この当たり見誤るとトーハンさん、大変ですよ。日販の会見で同席した日刊工業新聞(ニッカンと読む。日本工業新聞ではない。間違えられると向こうは苦笑しこちらは笑顔でキレるので関係者は読み間違えに注意のこと。野菜は潰しませんが)の中沖記者に「読んでます。実名で出して」と言われたので実名で出します。ゲーム業界の人にはお馴染みの記者さんだけど、最近は縁側で盆栽ってる状態なので、行って花でも手向けてあげて下さい。


【6月9日】 月曜の朝は「週刊アスキー」。佐藤藍子さんの表紙は横書きサイドの方が本当に大きい佐藤藍子さんの耳が出ているから好き。縦書きサイドの表紙の写真は大きい耳が出ていないけれど、レース編み風の黒いワンピースと首に巻き付けたニット編み風の襟巻(ってんでしょうか)がおとなーって感じがしてそれはそれで楽しい。でもなんか胸平ぺったい。そうだこれはきっと直立しているからなんだと思って、ひっくり返して腰を折り曲げた横書きサイドの写真を見てもやっぱり平ぺったい。どーして平ぺったいのかってそれは平ぺったいからなんだとしかフォローのしよーがないけれど、でも平ぺったいのも好きなのでそれはそれでやっぱり楽しい。

 月曜の朝は「スレイヤーズ」。再放送で見ていると、今やってる「スレイヤーズTRY」に比べてなんてほのぼのとしているんだろーと思えてくる。もちろん「TRY」だってそれなりほのぼのとしてるんだけど、最初の「スレイヤーズ」は敵がまだ世界を支配するよーな強大な魔族でも、異世界からやって来た超絶的なパワーを持った謎の生き物でもないから、世界を守るんだあーってな義務感も、負けるかもしんないってな悲壮感もなく、ふやけた月曜の朝の頭には、その抜け具合がちょーどいー。「TRY」の方はいったいどこまでバトルのインフレーションが進むんだろーって心配があって、成りゆきを注意深く観察している。映画みたく設定を若干かえて逃げるかって手もあるけれど、しかし3本のテレビシリーズが共通した時間軸の上に配置されている以上は、いまさらガラリと設定を変えてしまうって訳にはいかないんだろーね。ともかくも「TRY」以後の展開には注意、かな。

 設定を変えて逃げまくっているのがパイオニアLDC製作の「新・天地無用!」。仕事でパイオニアLDC行ったので担当の人に理由を聞いたら、「ちょっと内容を変えて、ターゲットの年齢層を下げたことで、最初のOVAが良かったと離れていく人よりも、大勢の新しいファン層付くんじゃないかと考えたから」と教えてくれた。その考えが現実のものとなっているかはやや疑問があるけれど、しかし10話くらいまで進んでくると、「天地ガールズ」が出ていればもうOK、過去の設定なんでどーでもいーやと思えて来るから身勝手なものです。意外だったのは「魔法少女プリティサミー」の評判があまり芳しくなかったと教えられたこと。設定はモロ子供向けなのに、最近流行の子供向け雑誌への展開をしなかったから、視聴率稼ぎにはもってこいな小さいお友達には、あまり番組の情報が行き渡らずに、大きいお友達ばかりが見たってことなんだろーね。

 その点、7月3日から「るろうに剣心」を作ってるSPE・ビジュアルワークスが、テレビ東京で放映を始めるアニメ「はれときどきぶた」は、小学館の「小学1年生」「小学2年生」「幼稚園」「学習幼稚園」「めばえ」で7月からコミックの連載を始めたり、アニメ絵本を作って関東一円の幼稚園に3500冊も配るといったプロモーション活動に余念がない。おまけに子供に人気(と偉い人は言ってた)「PUFFY」の吉村由美さんと大貫亜美がそれぞれオープニングとエンディングを唄うってこととで、もう事前プロモーションはバッチリ、放映開始時には全国の小さいお友達が「ぶりぶり」ダンスならぬ「はれぶた」ダンスを踊っていることでしょー。

 畳み掛けるよーに、原作者の矢玉四郎さんとは親戚じゃない(と思う)矢玉みゆきさんが出演している天気予報に、その名も「はれぶた天気予報」ってコーナーを作っちゃうんってんだから、テレビ東京の力の入れ方も並じゃない。「ポケモン」に「ミニ4駆」の番組も放映してるし、やっぱ数字稼ぎたいんなら子供向けのアニメだねってことに気が付いたんだろーね、テレ東も。かくして大きいお友達向けアニメは深夜枠へと追いやられ、寝不足で目をしょぼしょぼさせて会社で居眠りをするサラリーマン(一部某工業新聞記者)が大量発生するのであった。ああ。

 日本出版販売から届いた「7月発売のコミック新刊ラインアップ」をチェック。朝日ソノラマからは今市子さんの「砂の上の楽園」が刊行するってことだけど、この話実はまだ読んだことがなく、「百鬼夜行抄」みたく面白いといーなーと期待がふくらむ。角川からはいよいよ「新世紀エヴァンゲリオン劇場版」のフィルムブックが刊行の予定。でもどーやら「DETH編」だけってことみたい。「エヴァ」絡みでは「新世紀エヴァンゲリオン・デジタルブック」に「新世紀エヴァンゲリオン セガサターン大辞典」の2冊が刊行予定。貞本義行さんのコミックスはやっぱまだまだ出ないんだろーなー。

 文庫では「銀河の荒鷲シーフォート」シリーズの新刊「チャレンジャーの死闘」が上下巻で発売。そしてなんとなんと神林長平さんの「敵は海賊」シリーズ最新作「敵は海賊・A級の敵」が登場だあ。ファンタジーではフィリス・アイゼンシュタインの「妖魔の騎士」の続編にあたるのかな「氷の城の乙女」がいよいよもって登場。これ以上やると早川の宣伝っぽくなるので目を東京創元社に転じると、ユダヤ教徒のコミュニティーを舞台にしたミステリーで知られるフェイ・ケラーマンの「償いの日」がラインアップに入っていた。なかなか良い月になりそーです。

 ヤング・アダルトでは待たせたぞな森岡浩之さんの「機械どもの荒野−メタルダム−」とか、長谷川菜穂子さんの「天地無用!真夏のイヴ」あたりに目が行く。おお荻野目悠樹さんの「六人の凶王子」シリーズの最新刊「サーリフの宴」も出るぞ。これではいくらボーナスが出ても金が足りん。なになにこんな本も出るのか(と届いたばかりのリリースを見て)、えーとタイトルは「ゲーム Super 27years Life」だって? 著者は飯野賢治いいのけんじ・・・おおあのWARPの飯野賢治さんが自伝を出すではないかそれもオタク系じゃない大出版社の講談社から。

 「ゲーム批評」から出るぞ出るとと前宣伝して結局出なかった本といっしょなのかなそれとも違う本なのかな。360頁1300円の本につまっているのは27歳の青年のさわやかな記録、ってことにはならないだろーねもっと爆熱した創造と破壊の自叙伝なんだろーね。発売日は7月10日、つまりはこの世で最も偉大な工業新聞記者の誕生日ってことで、「ゲーム Super 27years Life」は大ヒット大間違い(間違えた「間違いなし」)だ。


【6月8日】 「エコエコアザラク」がやらないので代わって録画しておいた「ウルトラマン・ティガ」を見る。珍しく「ティガ」を録画したってことはそう、先月に続いてもう1話だけ、かの実相寺昭雄さんが監督をするとゆー回が巡ってきたからに他ならない。さて今回の「夢」、前回の「花」の時のように、歌舞伎や能を思わせる戦闘シーンをぶち込むような必殺技こそなかったものの、広角を使った不思議なカットといーフィルターを使って周辺をボカす技といー、なるほど実相寺って画面が随所に見られた。

 場面場面のオチとなる部分でポンと効果音を入れてギャグっぽさを出したのにはどーも馴染めず、浅野忠信に嶋田久作に寺田農といったクセのある役者を無駄に使うキャスティングにも反発を覚えたけれど、見ている子供はあれがチャラの旦那で香港で人気の浅野忠信だとか、グランギニョルの看板役者で帝都物語の加藤が何ともハマリ役だった嶋田久作だとは思わず、ヘタな警備員、ヘンなお医者さんとしか思わなかっただろーなー。子供に塩辛食べさせてケホケホとせき込む姿を見ながら晩酌する大人になってはいけません。

 「新・日曜美術館」でお雇い建築家のコンドルさんが取りあげられていたのを見て、その足で東京ステーションギャラリーで開催中のコンドルさんの展覧会に行く。テレビでやった展覧会に即行けるってケースが多いのが、東京(近郊)に住んでいるメリットってとこですか。いつもは閑散としているギャラリーだけど、テレビを見たってお客さんが僕のほかにもいたのか、それとも「東京人」の特集を見たって人が多かったのか、結構お客さんが入っていた。閑散とした閉館間際の美術館に1人佇む黒木瞳的美女ってな「失楽園」的シチュエーションは、まるで無理でした。まあ期待はしてなかったけど。こっちも役所浩司的ナイスミドルじゃなかったし。

 しかし驚いたのはかの鹿鳴館の軒先の部材に、それこそお寺のはりを思わせるような木造の部材が用いられていたこと。日本の意気盛んなところを万国に見せつよーと突貫工事で作った建物だっただけに、おのずと部材にも制限があったんだろーね。なんでも床も結構ボコボコで、踊ると揺れたり抜けそうになったとか。残念なことに昭和15年に取り壊されて、跡地には後に大和生命の巨大なビルが立てられたけど、今も残っていたらその突貫工事ぶり、手抜き工事ぶりがバレちゃったかもしれず、いくら歴史の上に残る記念すべき建物でも、実物を残さないことによって伝説になるものがあるってことが解って面白かった。でも1度は入って「しゃる・うぃ・だんす?」とか言って踊ってみたかったねえ、草刈民代さんと、鹿鳴館で。

 秋葉原へ出陣。せっかく買った「DVL−9」にかけるLDのタイトルでも探そうと、リバティーとかディスクマップとかをハシゴして「SALE」のラベルが張ってある段ボール箱をあれこれとひっくり返すが、安い値段ではさすがに安いタイトルしか出ておらず、結局なじみの「天地無用!魎皇鬼」のスペシャル盤と、むかし藤原カムイさんの漫画で読んだ高取英さん原作の「聖ミカエラ学園漂流記」のOVA盤を買って帰る。ついでにゲームショップの前でデモ中のセガ・サターン盤「超時空要塞マクロス 愛おぼえていますか」をながめるが、戦闘シーンが横スクロール的ってゆーんでしょうか、横に流れていく画面の上でバルキリーが形を変えながらゼントラーディーを破壊していくだけの展開で、さすがにミサイルが画面狭しと泳ぎ回るあの「板野サーカス」はゲームでは再現できないのかと、ちょっとだけがっかりした。

 もちろん今のシューティング部分でも、きっと1面すらクリアできずに撃墜されていまう僕の腕では、「板野サーカス」がゲームで再現されていたら、たちどころに目を回して見方にぶつかって自爆しちゃうんだろーけれど。オマケに付いてくる、スラリと伸びた脚が魅力のミンメイのポスターに心揺れるも、もーちょっとしたら値段も下がるだろーしと思ってぐっとこらえる。前に行ったシグナルライトで開発が行われていた「悠久幻想曲」もそこかしこのお店でポスターを発見、いよいよ発売が迫って宣伝にも追い込みがかかっているらしく、あるお店では「サクラ大戦に続く!」なんてでっかい文字で「湯呑みプレゼント」を訴えていた。湯呑みかあ、でも湯呑みだって人気キャラがついていれば1万、2万は当たり前になるからなー。

 しかしほとんどのAVソフトショップで「エヴァ」DVD登場を大宣伝していたのには、やっぱりと思いつつも他に宣伝するソフト、吸引力のあるソフトがないんだとゆー印象を強くした。ワーナーはあの「マーズアタック」をビデオ1万4800円、LD4800円(5800円だったかな)に対してDVDを3800円で投入する予定と、DVDシフトの姿勢を色濃く見せ始めていたけれど、そのためにハードを買うってタイトルじゃーないよね。その点「エヴァ」は、再放送を録画するためにだけにビデオを買い、ゲームソフトをプレイするためだけにセガ・サターンを買い、今またDVDソフトを買うためだけにプレーヤーを買うってゆーお莫迦(誰だ)(俺だ)を生み出しているからなー。

 チラシをあれこれ見ていると、日本コロムビアも「マスター・モスキートン」を6話180分を3枚組みにして1万8000円だかでDVDで出すみたい。バンダイビジュアルからは「コナン」と「ハイジ」のボックスが発売される予定だし、いよいよアニメのDVD化が始まったってってところでしょうか。だからパイオニアLDCは「天地無用!」を早く出せ。1本1900円でビデオを出すってのもいーけれど、DVDボックスにして全12話プラススペシャル&番外編を7枚組にしてそうだね2万円だったら即買うよ。


【6月7日】 「夕刊フジ」で河西善治さんが書いていた「惣流・アスカ・ラングレー」と「ツトムくん事件」との関連を紙面で確認、おーなになに「宮崎事件当時、聖徳太子のキャラクターを使ったテレビCMで知られた『アスカ物流』という運送会社があり、事件の年代を暗示していると読めるのだ」だと。知らんぞこんな運送会社、本当に有名なのか「アスカ物流」、聖徳太子のキャラクターを使ったCMってそんなに頻繁にやっていて、それを庵野監督も見ていて覚えていたとゆーのか。だとしたら相当に全国的に有名な会社なんだね「アスカ物流」って。で今はどーなったの?

 僕だったら大河内伝次郎が丹下左善の格好で走る「蟻さんマークの引っ越し社」のCMがすっげー頭に残ってるんで「引越・アリ・ラングレー」とかってつけるけどね。「モウカリマッカ・サカイ・ボチボチデンナアー」ならなお結構だ。んでもって「あんさん、アホちゃう?」ってしんちゃんを怒鳴るんだ。しかしここまで来ると偏執的なのは犯人か犯人像を推理する学者先生や作家先生たちの方じゃねーかとも思えてくる。こーなったらずばりそのものにして一番重要な「エヴァンゲリオン」とゆーキャラクターが、どこでどー「ツトムくん事件」を結びついているのかを明示してくれい。だったら少しは納得してやるぜい、ってする気は毛頭ないけどね。

 7時に起きてIDOのホームページから常盤貴子さんのスタートアップスクリーンをダウンロード、なるほど会社の256色TFTではジャガジャガした色だったけど、家の32000色マックで見るとちゃんと○○の裾野のぷわぷわした感じも切れ込んで極細マーカーだって挟めちゃいそーな谷間もくっきりはっきりとモニターに映し出されていた。ありがとう教えてくれた貴方。あとは店頭のPOPになっている人型のタテカンをどーやってガメるかだが、これってマジに犯罪入っちゃうから今の仕事ではちょっとできない。いやいや今の仕事だからこそ出来る術ってのがあるはずだ、よーしここは新設なった通信記者クラブのメンバーを動かして直接IDOからガメることにしよー、っても持って帰るの大変だし置いておく場所もないからなー。でIDOさん、50センチくらいの小型タテカン作りません?

 寝て起きたら12時。着替えて秋葉原経由で再び西日暮里の「NASアーティストスペース」に行き、岩本正勝(ミスター)さんなど3人のグループ展「TOKYO SEX」に関連したイベントとして開かれた、村上隆さんと松沢呉一さんのトークショーを、コンクリートの床に敷かれた座布団に座って聞く。だいたい20人くらいは入っていたかなー、マイナーなイベントの割にはなかなかの入り、でも大半はアーティストさんの知り合いみたいで、フリで行ってたのって僕くらいだったかも。妖しいおっさんが会場に陣取ってぐふふふふってほくそ笑んでたんで、他の人たち結構気味悪かったかもしれません。どーもすいませんです。

 のっけから「いまソープいって一発抜いてきたんですよ」とカマす松沢さん。吉原ソープの裏事情にはじまって、ソープとヘルスとピンサロトとイメクラの違いを説明したり、同伴喫茶の最新形が流行り始めてるって話をしたり、最近はお手軽なヘルスとかピンサロが台頭して来て変わりに超ライトなキャバレーと超ヘビーなソープが凋落してるってなことをルポしたりと、聞いてるだけでホント勉強になるトークショーだった。まあ勉強ってもソッチ方面の勉強なんだけどね。

 見かけはヒゲ面で茶髪の村上さんも、そーいった方面の話にはとんと疎いみたいで、時折「イメクラって何ですか」「ヘルスとソープってどー違うんですか」「風俗の新聞とか雑誌でいったいどこで読むんですか、電車じゃ読めませんよね、やっぱトイレの中とかですか」と松沢さんに質問をぶつけていた。松沢さんは「ヘルスってのは手とか口で抜いてくれることろですよね」「やっぱ読むのはトイレとそれから車の中でしょう。でも僕も連載してるんだけど風俗雑誌の記事ってほとんど読まれてないんですよね。みんな女の子の顔みてクーポンちぎって捨てちゃうんですよね」と、真面目にちゃんと応えていた。やっぱ勉強になるわあ。

 松沢さんとの対談を聞いていて思ったのは、村上隆さんてすっげー真面目にアートって何だろーと考えて行動していること。「HIROPON」「COCO」「DOB」といった、猥雑で淫靡なサブカルの記号をアートとして見せてしまおーとゆー村上さんの作品は、オタクな人が愛でているものをアートというレッテルで正当化して表舞台へと引きずり出そうとする、高みからオタクの世界に首を突っ込んだ、ややもすれば傲慢とも取られかねない試みでは決してなく、オタクな人が愛でているもののキャッチーでキュートなディティールに、純粋に感動した結果出来上がったものらしー。村上さんいわく、「『DOB』くんを見ていたニューヨークの画廊の人が、横にある排水溝のパイプを見て肛門を想像したみたいで『ムラカミ、これキュートだよ!』って叫ぶから、『DOB』にパイプをいっぱいくっ付けてやったらすっげーうけた」とか。アートには難しい言葉による説明なんていらない、ただそれがどー見えるかってことだけが、ウケるかウケないかの条件になっているってことなんだね。

 村上さん自身も、ガレキや同人誌に対するオタクのこだわりなんかは関係なしに、ただそのディティールがキュートかキュートじゃないかをアーティストならではの感性で感じとって、「HIROPON」「COCO」といった作品を作り出してるんだと思う。それだけにオタクの側から上澄みだけをかすめ取っていく輩として認知されて敵視され、本来のアートの側からは異端視扱いされかねず、間に挟まって苦闘するんじゃないかって、ちょっと心配してる。それこそニッポンお特異のガイアツ利用じゃないけれど、外国の著名なギャラリーなりミュージアムが「タカシムラカミ」の作品をパーマネントコレクションに加えたとかいった話が伝われば、松沢さんが性の快楽の研究を人類学や医学の学会では未だ真っ当なもとのして認めようとしないと言っていたのと同様に、「性」をモティーフにしたアートをなかなか認めよーとしないニッポンのアート界も、ちょっとは見方を変えるんだろーか。

 西日暮里から秋葉原を経て自宅へ。途中でふーっと気を失い、気がついたら手にでっかい荷物をかかえていた。箱に書いてある文字は「PIONEER DVL−9」。おおこれはあのLD・DVDコンパチプレーヤーではないか。いったいどーしてこんな品物を手にもっているんだ、きっとそうだ気を失っているのをいいことに邪悪な精神が目覚めてオノデンへと向かわせて、そのままカードをつかって10万8000円(税込み)とゆー特別価格でプレーヤーを買わせたに違いない。ホント困ったもんです。

 今さら返しに行く訳にもいかず、仕方なく家へと運び込んでミニコンポやテレビに線をつなげて、とりあえず手元にあったビデオCDタイトルを再生すると、ちゃんと「うー」とか「やー」とかいったあえぎ声が流れて来た。いったい何のタイトルかってそれは秘密。最初にかけたのがこれってのは、ちょっとなんだか恥ずかしいけど、考えてみればビデオを買った時に最初にかけたタイトルもやっぱり「うー」とか「やー」とか言った声が聞こえてくるものだったから、やっぱ宿命ってやつなんだね。松沢さん、弟子にして下さい。


【6月6日】 大日本印刷がやってるホームページの「メディアギャラクシー」に、どーやらIDOのホームページがあるらしく、そこに常盤貴子さんの○○がくっきり谷間もばっちりな壁紙があると教えてもらい、早速会社でダウンロード。でも256色の液晶モニターでは陰影がはっきりと出ず、テレビで見る弾力もたっぷりのたわわな○○の雰囲気も、中吊りで見る色鮮やかにくっきりな○○の谷間も、ちょっとよくわからなかった。前に落としたCMのムービーも、窓が小さくて小指の先ほども○○がなく、目をこらして見てもぜんぜんぴんぴん来てくれない。どーせだったらIDOさん、デジタル情報を一切合切CD−ROMに入れて、プレゼンテーション用ツールとして配りませんか。そーしてくれたらぶわーっと紙面割いちゃいますよ紹介に。駄目ならカレンダーでも良いですから。とゆー訳で来年のIDOのカレンダーは、常盤さんの「ロミジュリ」バージョンで決定だ。決定しろ。わかったな。

 珍しく時間があったので秋葉原をちょい散策。「超時空要塞マクロス 愛おぼえていますか」のセガサターン対応ゲームとか、新世紀エヴァンゲリオンの「コレクターズ・ディスク Vol.5」とかが発売されていてちょっと心が揺れ動いたが、生憎と本当に財布が軽くなっていたため、かろうじて購入を我慢する。帰りがけに階段でみた綾波のポスターに再びグラグラグリグラっと心が土砂崩れ山津波になりかかるが、ここは「心に棚を作れ」(by島本和彦)じゃなかった「心に砂防ダム」を作ってぐっとこらえて、哀愁に満ちた後姿で秋葉原を後にして、小川町の郵便屋さんで田舎に向けて荷物を発送する。誰に何を送ったかは内緒。何かが届いた貴方はラッキーです。

 しかし「エヴァ」と言えばあまりの酷さに階段を駆け降りて編集室のあるフロアへとなぐり込みたくなったのが、「夕刊フジ」に掲載されていた河西善治さんの論評。例の首ちょんぱ事件と「エヴァ」を結びつけようとするやっぱりに出てきたか的な意見だったけど、その論旨にまったく説得力も信憑性もなく、ただただ呆れてしばらく本当に物が言えなくなった。主な論拠として挙げているのが、「綾」「波」とそれから何故か漢字の「真」、たぶん「シンジ」の「シン」って言いたかったんだろーけど、この3つの字がツトムくんの事件の被害者から取ったものだとゆーことらしい。

 それから「惣流・アスカ・ラングレー」の「ラングレー」がツトムくんの乗っていた車で、あとツトムくんの事件のあったころに「アスカ」って言葉に関するなんだったかがあってって具合に、どーにかして「エヴァ」と「ツトムくん」を結びつけよーとしていた。なるほどそれだけだったらよくやるなあって失笑しながら無視するところを、今度の事件、というより今度の事件ともしかしたら関係あるのかもしれない須磨区での少女連続通り魔事件が、「エヴァ」公開日の翌日(当日じゃない)にあたる3月16日に引き起こされたことを引き合いに、犯人は何か意味のある日に行動を開始した、その意味が「エヴァ」である、だから犯人は「エヴァ世代」だと、あまりにもトンデモでナントモな論理(論理じゃねえ、パズルですらねえ)を展開してた。

 通り魔事件は決して「さあ、ゲームの始まり」ではない、あくまでも「始まり」は首ちょんぱ。だとすれば、この「始まり」と「エヴァ」にいったいどんな関連があるのか、事件のあった時に「エヴァ」でエポックメイキングなことが起こったのか、河西さんは一切論じていない。よしんば通り魔事件と首ちょんぱが同一犯人だとしても、1幕目と同様に2幕目にだって、「エヴァ」が絡まないのっておかしいんじゃない? それからそもそも「エヴァ世代」ってどのくらいを考えているのかな。犯人と目されている30代のおっさんって、とっちかってゆーと「ガンダム世代」じゃん、「エヴァ」の精神性に惹かれる真の「エヴァ世代」ってどっちかってゆーと10代後半から20代前半の若者じゃん。

 とまあ穴だらけで悪意だらけの見解に、いちいち怒っちゃかえって相手の思うつぼなんだけど、しかしこれからも似たよーな意見があちこちから出て来るんだろーね。それはそれでいーんだけど、心配なのは手首ちょんぱの予告編が問題視されて「もののけ姫」の公開が自粛されたり、それこそ本家におよんで事件を予想されるほのめかしがあるからと言われて「エヴァ」完結編がオクラ入りにされたりすること。こーゆー事態を作り出しては水に落ちた犬よろしく叩きまくるニッポンのマスコミの今後の動向に、良識ある人たちよ、そして良識あるオタクたちよ、注意せよ。注意せよ。注意せよ。

 早々に仕事を終えて西日暮里へ。「HIROPN」な村上隆さんがキュレーター兼コーディネーターを勤めるアート展「TOKYO SEX」が西日暮里5の31の3磯野ビル1階「NAS西日暮里アーティストスペース」で開幕して、そのオープニングパーティーが開かれていた。村上さんとは「攻殻機動隊」の凱旋を記念するシンポジウムで名刺を交換しただけ、また出品者の1人に名前を連ねている岩本正勝(ミスター)さんとは、去年の暮れに佐賀町bisで開かれた「PICO2 show」の会場で名刺を交換しただけなのに、ちゃんと案内を送って来てくれた。いやあ、新聞社の名刺の力ってたとえ「工業新聞」でもスゴいですねえ。

 さて今やアート界で大注目の村上隆さんがイチオシとゆー岩本正勝(ミスター)さんは、去年見たときとガラリ印象が変わってぐっとアーティストっぽくなっていた。でも作品は相変わらずひたすらにロリロリな少女を紙片に描き継いでいくスタイルで、会場にはそんな作品がおよそ数百枚、床すれすれの壁に虫ピンで止められていて、来場者は床にヘタリこんで作品に見入っていた。村上さんの話だと、これが国内だけじゃなく海外でもひょいひょいと売れているんだとか。安いからなのか、それとも何かを感じたからなのか。こんなことなら去年の佐賀町での展覧会で買っておけばよかったなー。

 村上さんは短い頭を茶色に染めて、そこに花の飾りを3つばかりつけて狭い会場を走り回って解説や案内に務めていた。世界でも鳴るアーティストが何とざっくばらんなことかと関心することしきり。また展覧会を今度はでっかい会場で開いて欲しいなあ、前の小山登美夫ギャラリーも良かったけど「COCOちゃん」も見たいんだよーっと心の中で呼びかける。だって村上さんこっちのことを覚えてるはずがないもん、声なんてかけられないよ、恥ずかしいから、なんてシャイ、ただの臆病、ほっとけ。

 何故か狭い会場にはNHKのカメラが入っていて、つめかけた来場者とか出品者3人によるパフォーマンスとか村上さんのインタビューとかを収録していた。いったい何で放映するんだろうって考えて、思いついたのが「新日曜美術館」の「今週のギャラリー」。パフォーマンスを最前列で見ているおでこの広いおっさんが朝のNHK教育に映し出されたらそれが私です、ってまだ決まった訳じゃねえ。まだまだ賑わう会場を後にして西日暮里から秋葉原経由で家に帰る。あまりの賑わいにゆっくりと作品を見られなかったし、「HIROPON」ちゃん「DOB」くんのTシャツも買い損ねてしまったけど、明日7日は午後3時から同じ会場で「SPA!」なんかに連載している松沢呉一さんのトークショーが300円のお値打ち価格で開かれるから、時間があったらまたのぞいてみよー。


【6月5日】 夜中まで起きていてどーやら全仏オープンの関係で「MAZE★爆熱時空」も「HAUNTEDじゃんくしょん」もやりそーもないと解ってとっとと寝る。女子シングルスなら見てもよかったけど男子シングルスじゃあかえって寝覚めが悪くなるから見ない。アニメが始まるかもしれないと待っていた間に、テレビ東京系のアニメのほとんどすべてに提供している「代々木アニメーション学園」のCMにつてい、前日行った会社の社長の人が言っていたことを思い出して、真夜中なのにぐふふふふと笑いがこみ上げてくる。

 そーそーなんでも社長の人、あの「代アニ」の宣伝で笠原弘子さんがステージで唄ってるバージョンの方で、笠原さんの後ろでにやにやしながらベースを弾いているヤツがあんまりお気にめさないらしい。いわく「気持ち悪くない?」。いや気持ちが悪いってんなら森高千里さんの「ロックアライブ」のビデオでギター弾いてるおっちゃんも某数学者っぽくってちょっとヤだけど、言われてみて「少女革命ウテナ」のビデオの「代アニ」のCM部分を見返して、たしかにこのベーシスト、ムダにニヤニヤしてるなーと納得する。まあ気持ち悪いってほどじゃないけどね。しかしいったい誰なんだろー、このベーシスト。

 久々に三田のNECへ。日英双方向の翻訳ソフトに新しいバージョンが出るとゆー話を聞いて会社に帰って記事にする。1人が出張、1人が企画で抜けてもう1人は幕張の「インターロップ」に行きっぱなし、残っているのは自分1人とゆー状況で新聞の面をまるまるほとんど書かねばならず、あまりの忙しさに目を回す。回しながらも手だけはしっかりと動かして、200行ばかりを1時間ちょっとで書き上げてホストに突っ込んでそのまま会社を飛び出し「オンラインショッピング大賞」の発表会場へ。しかし1時間半にも及ぼうとかゆー会見の長さに眠気がいや増して、途中で席を立って会場の溜池から虎ノ門へととくとく歩き、地下鉄に載って会社に戻ってしばし気絶する。ぐうぐう。

 夕方5時ちょっと前に復活して銀座の「ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)」へ。今日から横尾忠則さんのポスター展がスタートすることになっていて、そのオープニングパーティーが開かれていた。おおこのお方こそが1960年代の日本に颯爽と登場して世間を驚愕させた横尾さんではないか。先週だったか三輪明宏さんとテレビで対談していたそのままの風貌で、長髪を後ろで縛ってすこし茫洋とした眼差しでとつとつと喋る、あの横尾忠則さんがほらもう目の前鼻の先に立って歩いて喋っていた。ほかにも有名無名なグラフィックデザイナー(青葉益輝さんがいたなあ)や編集者(石川次郎さんもいたなあ)たちがたくさん歩いていたけれど、持ってるオーラが横尾さんは違うって感じで、がやがやとする会場のなかでその一挙手一頭足がすべての来場者の耳目を集めていた。

 会場では「ggg」が制作している小版の作品集「ggg Books」の新作として横尾さんの本が即売されていて、買った人にはもれなく金のマーカーでもれなく横尾さんのサインがついて来た。もちろんその場で財布を出して本を手にとって目の前に差し出してサインしてもらって受け取って鞄にいれてその上からなでなで。アーティストでは写真のアラーキーに彫刻の舟越桂さんに続く直筆サイン入り作品集ってことになるのかな。ぱらぱらめくると懐かしい「劇団状況劇場」のポスターも収録されていて、あの有名な「澁澤さんち家の方へ」の写真が入った「スンダ色ラバ」(「バラ色ダンス」)のポスターも小さいけどカラーで収録されていた。家宝だ家宝だ。

 って、正直なところを言うと、横尾さんのデザインってちょっと苦手にしているところがあって、最近ではスティーブ・エリクソンの「彷徨う日々」とか荒俣宏さんの「レックス・ムンディ」「幻想皇帝」のいずれも、ちょっとケバすぎたりちょっと電波ってたりして、なんか受ける影響に負のイメージがあった。会場に並べられた作品にも、そーいったイメージの物が散見されたけど、今回の展覧会の目玉とも言える「招福」をテーマにした企業ポスターは、どれも昔の「劇団状況劇場」的な懐かしいけど新しいデザインで、見ていてちょっとパワーがもらえたよーな気がした。しかし「ggg」の受け付けお姉さんたちにはスリムで長身な美人が多い。もらえるパワーはそっちの方がきっと何倍も高いんだろーけど、このパワーって後処理にちょい困るんだよね。うーんごしごし。「最低だな、オレって」。

 やっぱり僕は「アトムの子」、じゃない「達郎の子」。キモチ悪いって言わないで下さい最近はどーも頭が達郎さんを追い越してしまったよーで、昔見にいったコンサートで振り向いた頭の分け目の白さにくすっと吹き出した自分が今になってとっても恥ずかしく思えてくるんです、どーもすいませんあのときは失礼いたしました。えっと何の話かってーとつまりは山下達郎さんの新譜が出たってことで、新譜って言ってもその昔アナログ盤で出た真性ベスト盤「GREATEST HITS! OF TATSURO YAMASHITA」がCDで再リリースされて、J−POPの神髄を達郎さんに叩き込まれた身として、ない財布をはたいてその場で即購入してしまったってことを言いたかっただけなんです。でも「達郎の子」ってことはお母さんが「竹内まりや」だから、それもそそれで悪くないねえ。お乳ちゅうちゅう、とか。

 冗談はさておき流石に達郎さん、ただCDにするんじゃ藝がないってことで、超ハイトーン・ボイスなもんで声が変わった最近のコンサートではメロディーをごまかして唄っている「LOVE SPACE」と「FOR YOU」に入っている名曲「SPARKLE」、そしてその昔プロモーション用に出たけれどすぐにプレミア付いちゃって入手困難、1度だけ「サウンドストリート」だったかで流した時に録音した「9MINUTES OF TATSURO YAMASHITA」をボーナストラックとして収録した。ををこれは凄い。とくに最後の「9 MINUTES」はテンポの近い達郎さんの曲をずらり13曲ノンストップで録音したってゆーサービス、サービスゥな1曲。全部唄えたら相当な達郎フリークだ、ってオレ全部唄えるよ、「達郎しばり」のカラオケなら勝利間違いなし、ってやっぱ近づく訳だよな、頭・・・。


【6月4日】 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント系列のアニメーション制作会社に行って社長の人に近況を聞く。2月に移って来たばかりとゆーオフィスは綺麗でとっても広く、机の上には1人1台くらいの割合でパソコンがズラリ並んでいて、まるでどこかのソフト会社の開発部門にいるよーな印象を受けた。もっとも、モニターにスクリーンセーバーで碇ユイさんの姿が映し出されていたあたり、なんとなくやっぱりアニメ関連の会社かなって感じがしたけど。あと会議室の額に名画じゃなくって「るろうに剣心」のセル画がはまっていたり、帰りがけにチラリのぞいた長テーブルの上にやっぱり「剣心」のセルが山積みになっていたりするとこも。そうこの会社、あの水曜日の人気番組「るろうに剣心」を作っているのです。

 こーゆー会社に行くとどーしても話がディープになっていけねえってのは、先週末にスタジオジブリの鈴木敏夫さんに会いに行った時と同様で、今日も事業計画だとかそーいった堅苦しい話は抜きにして、どんな漫画をアニメにしたらウケるんだろーかとか、「剣心」で主役をアテてる涼風真世さんへの抗議(つまりは合わないってこと)のお手紙もようやく来なくなったとか、「剣心」のビデオ化にはあれこれ難しい問題があるとかないとか、「もののけ姫」ってのは客が入りそーかとか、まあそんな話。あと「剣心」の主題歌とエンディングはほとんどがミリオンになってウハウハってこととか。とにかく「アニメなんて嫌い」って割には、仕事だけになかなかあれこれ知っていて、さしもの僕もついていけないところがあった。とゆーことにしておく。

 テーマソングでは「剣心」に続いてこの会社が手がける「はれときどきぶた」で、パフィーのユミとアミがそれぞれオープニングとエンディングを唄うってんで、ちょっと前から話題になっていて、なるほどレコード会社の系列らしく、こーいった所でのプロモーションは上手いなあと感じた次第。ほかにも本編絡みの話が動いていたりと、年末にかけてなかなか活動が活発になっていきそーで、新参のアニメ会社が「剣心」で射止めたビギナーズラックが、真価だったと認められるためにはここが頑張りどころってところですね。でも白川さん(社長の人)、「寄生獣」ってホントに女性向けのホラーアニメになり得るんですかー?

 ジブリといえば「日経エンタテインメント!」で鈴木敏夫さんが例の徳間書店とディズニーとの提携話の一端を暴露(って大袈裟なもんじゃないけど)してくれている。曰く今回の提携話は、徳間社長とディズニーのトップとが交渉して成立したってなドラスティックなものじゃなく、もともとはブエナ・ビスタホームエンタテイメントの星野康司代表が、ジブリに「トトロ」とかのビデオをウチから出させて欲しいと打診したことに、どーせやるなら日本だけなんて小さなことを言ってないで、もっとでっかくやろーよ、本国のディズニーと交渉して全世界で「トトロ」を売ろーよと、鈴木さんの方が逆提案したのが発端らしい。こないだ鈴木さんから聞いた話ね。

 「アラジン」や「ライオンキング」で200万本、300万本ビデオを売ったっていっても、全米の数千万本ってレベルから見れば、たった10分の1に過ぎないのが日本のセルビデオ市場。そんなマーケット事情を知ってか知らずか、本国の方からはもっと売れるはずじゃんって、日本のブエナには相当プレッシャーが入っていたんだろーね。起死回生ってばかりにジブリに話を持ちかけて、受けた逆提案を成立させるためにかかった期間が1年ほど。もちろんディズニーでも現場のアニメーターあたりはハヤオミヤザキの名前くらい知っているけど、ディズニー・モンロー主義の経営トップの人たちは、ニッポンの1アニメスタジオの作品なんて知っているはずがないってこと。そこをくどいて説得して、ようやく提携にこぎつけたのが去年の7月で、その成果がいよいよ今月、「となりのトトロ」のビデオ発売とゆー形になって現れる。

 とりあえずは星野さんも鈴木さんも「おめでとう」ってことになるけれど、でも日本で「トトロ」が売れるのは当たり前だもんね、やっぱ本当に喜べるのは、全米で「魔女の宅急便」のビデオがバカ売れして、「もののけ姫」の映画が大当たりして、よくぞニッポンから素晴らしい作品を持って来てくれましたって、本家ディズニーの人たちが感謝の言葉の1つでも吐くよーになってからってことになるんだろーね。それまでは星野さんも、見かけのニコニコ顔をは裏腹の、胃の痛い日々が続くんだろーね。でもどーせだったらDVD出せよ、ってこれじゃあ昨日とおんなじだ。

 会社に戻って普通に仕事。するフリをしてパイオニアLDCのホームページにアクセスして、「ノエル」の清水代歩ちゃんの画像をインターネット・エクスプローラーの機能を使って次から次へと壁紙にして遊ぶ。いや遊んでいるんじゃない、来週パイオニアLDCに取材に行く用事があるから、会社の概要や最近の製品なんかを確認してるんだって主張しても、誰も信じてくれないのがとても悲しい。白いコットンパンツにシャンブレーのシャツ、ブルックスのランニングシューズにネクタイはピンクがメインのタータンチェックで、金ボタンの紺ブレを着て髪の毛を後ろで縛っている僕の、どこがヤクザな新聞記者に見えますか。どう見たって堅い堅い業界を担当しているジャーナリストですよねえ。あっ、舌を抜かれた。

 朝行った会社の社長の人にはいまいち評判の芳しくなかった「少女革命ウテナ」を家に帰ってビデオで見る。なるほどますます悪辣ぶりが板についてきた生徒会長に、髪の毛を下ろした顔も素敵だよの七実ちゃんと、それぞれのキャラに萌えてる人にはたまらない回だった。七実ちゃんの戦闘服(ってゆーのか)姿もなかなかだったけど、オープニングで見せるあの動きが本編の戦闘シーンでほとんど見られないのはちょっと寂しい。絵柄にも唄にももう慣れた、とゆーよりあの唄がかかってくると体がシビレはじめるよーにすらなって来た。来週はいよいよ生徒会長とウテナの一騎打ち、さて勝のは生徒会長か、それともやっぱりウテナ様か。どっちにしても秋まで続くうちの1つの山場になりそーなので、まずは必ず絶対に見る。見なくてはならぬ。あっと「剣心」見忘れちゃったあ、ごめんね白川さん。


【6月3日】 「IDO」の中吊り広告が欲しくて欲しくてたまらない。何で欲しいかは「IDO」のテレビコマーシャルを見た人ならもう知ってるよね、そうあのたわわに実った巨大な○○を谷間もくっきりと見せつけてくれるテレビCMもそのままに、やっぱり巨大な○○をカラー写真で紙の上に定着してくれているのだ。いつやるのかわからないCMを録画しよーとリモコン持って小1時間、結局やらずにがっくりと来ていた今日このごろだけに、たとえ動いていなくとも、たとえ谷間をこちらに向けてくれていなくとも、手元に置いて観賞できるのならただの写真でも良いのだあああ。でも満員電車で「1、2、クリップ」(by週刊アスキー)の逆をやる訳にもいかないし、誰か僕のためにあの中吊りを取ってきてくれー。ってなんだ職権濫用してIDOに頼めばいーんだ。えーとうちの通信担当記者は誰だったかなあ・・・。

 ○○といえば「ペントハウス」の森口博子さんも、中吊り広告で谷間もくっきりと立派な○○を見せてくれている。もう大昔に出た「WOW」だったかな、とにかくアイドルだった頃の写真集でもご立派な○○を見せてくれているけれど、苦節数年を経てバラドルから立ち上がり、いまよーやくオバドル(っていってもいー歳かも)の座を確保した森口さんが、いよいよぶんか社から久々の写真集を出すってことで、その一端を雑誌でご披露してくれいているのであった。某Zガンダムのテーマソングを唄っていたころは、誰が唄っているかよりもニール・セダカが作った曲ってことでやけに注目を集めていたっけなあと思い出に耽るふりして、しっかりとグラビアを立ち読みし、28日だかに写真集発売との報を読んで(月末だから金は大丈夫だな)と心の奥底で計算している自分が悲しい。以上、「父の日」前に相応しい話題でした。

 浅草ビューホテルでシナジー幾何学とツクダの共同会見。マルチメディアの雄と玩具の老舗との共同会見に、まさか某社と某社の失敗をフォローするかのごとくいきなり合併を発表するなんてことはないだろーなと思っていたら、さすがにそこまでのことはなく、単に共同でCD−ROMタイトル販売会社の「ツクダシナジー」を設立するとゆー内容だった。社長はシナジーの粟田さん、会長はツクダの佃さん(まんまやねん)で、とりあえずシナジー幾何学のCD−ROMタイトルをツクダの全国販売網を使って積極的に売っていこー、それからツクダグループの力をつかってシナジー幾何学のCD−ROMタイトルに登場するキャラクターのグッズでも作っていこーってな仕事をしていくらしー。

 たしか粟田さん、自前でシナジーワークスって流通部門を使ってなんとかバンクとかなんとかウェーブとかいった大手流通を使わずに、直でCD−ROMショップなかを回ってCD−ROMタイトルを売っていこーと頑張っていた。けれどももとがクリエーターが頑張ってる会社だけに、流通面で頑張るってことに疲れちゃったのかな。やっぱり餅は餅屋ってことで、セガ・サターン対応ゲームソフトの販売とか、CD−ROMタイトルの取り扱いとかを始めていたツクダにそっちの方をまかせちゃおうって考えが働いたんだろーね。ツクダは玩具店に強いし、シナジーワークスはパソコンショップや書店に強いから、足して2ってことになるって、まあそんあ皮算用も働いたみたい。

 CD−ROMの内容を知り尽くしたシナジーの営業担当者が回ってもなかなか浸透できないマーケットを、営業はプロでもCD−ROMのこと、それもクリエーターの思いがストレートに出ているクセだらけのシナジーのタイトルを、果たしてツクダの営業担当者がショップに売り込めるんだろーかって、ちょっとした疑問はある。けれども粟田さんが言っていたよーに「あと1年でCD−ROMの内容が流通主導になって、作りたいタイトルが作れなくなる状況が来る」んだとしたら、どこでもいーから自分たちの仕事に理解をしてくれる会社を見つけ、そこの流通チャネルを利用してマーケットに地歩を築き上げておきたかったんだろーね。作り手の頑張りが繁栄されないマーケットって、なんだか悲しいものがあるなー。

 久々に「新・天地無用!」を見るが、もー何がなんだか解らない。絵は悪くないし、ストーリーだって仕切直しがあったから初めての人でもどーして天地の家に美女軍団が滞在しているのかが解っただろーけど、過去に強い印象を受けた設定があると、どーしてもそれに引きずられてしまって、今の設定を素直に受け入れることができない。夏には映画も控えているけど、こないだの会見ではいったいどの設定にぶら下がるのか聞くのを忘れてしまった。OVAっててことはないだろーから、「in LOVE」みたく最初のテレビ版の外伝ってことになるのかな。でも長谷川菜穂子さんが脚本だから、OVA版の世界を使ってるってこともあるのか。うーん、解らないからこんどパイオニアLDCに取材にいったら、文句を含めて詳しく聞いてこよー。OVA版を1900円で再版するに至った心境も含めて。でもどーせだったらDVDで出せよな。


【6月2日】 カレーは2日目が美味しいってことで、「週刊アスキー」の第2号はコクがあってまろやかなカレーのような味わいの雑誌に仕上がっていた。これぞってな記事が正直なかった第1号に比べると、第2号はサラリーマン諸君にとって「となりの芝生は真っ赤っか」的自己満足を得られる企画「実物公開!気になる他人の給与明細」に始まって、伊良部投手のヤンキース入りにタイミングを会わせたかのよーな「緊急インタビュー団野村」、インターネットに幻想を抱いているノンデジナルなおっさん読者の袖を引く「逢わずして愛して Eメール不倫は至上の愛」といった具合に、見事「30代の男性6割女性3割」が中心とゆー読者層にハマった記事構成となっている。「高城剛の『これがジェネレーションデジタルの生きる道』」は誰が読むのかな。

 連載陣も絶好調。なにはさておき真っ先に読む「岡田斗司夫のオタク王国」は唐沢俊一さん、眠田直さんの「オタクアミーゴス」が登場する回で、その舌に乗せているのが「スター・ウォーズ」とあっては、これはもう小学生・中学生の頃に瓶入りコカ・コーラの王冠を集めてウラの「スター・ウォーズ」の写真に一喜一憂し、明治製菓だったかのキャラメルやらマーブルチョコやらを買いあさって「スター・ウォーズ」のオマケを集めた20代後半から30代前半の読者は、涙なしでは読むことができない。「高城剛の『これがジェネレーションデジタルの生きる道』」も別の意味で涙がでるけど。

 ましてや初期バージョンを名古屋のヘラルド会館のシネラマで見て大感度し、親の金をくすねて1人で2度目を見に行った小生にとって、しょせんはウィンドウズ3・1がウィンドウズ95になった程度の(意味不明)「デジタル厚化粧」的処理を施されたに過ぎない特別編ごときで感動などするものか。世間が沸き立つなかで、そんなオールドファンの思いをズバリつくコメントを寄せた「オタアミ」にはもう拍手喝采だ。20世紀FOXは渋い顔するんだろーけど。あと見開きでズバーンとくるあの文字のスタイル。今でこそエヴァ風明朝花盛りなタイポ界だけど、あのムダに長く向こうに行くほど小さくなるSW風タイポだってまんざら捨てたもんじゃーないね。「高城剛の『これがジェネレーションデジタルの生きる道』」は拾ったもんじゃないけどね。

 しかし日本人版スター・ウォーズのキャストでレイア姫役が椎名へきるってのには嗤った嗤った。ルークが香取慎吾ってのもまあまあ。個人的にはつぶやきシローがルークだったら理屈っぽいけど哲学的なスターウォーズになったかもって思ってる。ハン・ソロは館ひろしよりはやっぱトヨエツかなあ。松崎しげるじゃあ洒落にならんし(意味深々)。デス・スター役はやっぱり宇宙軍大元帥こと野田昌宏さんでしょう。なぜかってこれは昔のSFマガジンを読めば解るよー。ヒントは油性マジック。胡散臭さにいかがわしさが要求されるとてもとても難しい役所のランド・カルルシアンは高城剛さんでどーでしょーか。ダース・ベーダーだって皇帝だってインターネット始めちゃう、みたいな。

 そんなこんなで結構読み出のあった「週刊アスキー」を抱えて発行元のアスキーへと乗り込む。地下の講堂で97年3月期の決算発表が開かれたもので、会場前には西和彦・アスキー社長をはじめ、昨年から導入したカンパニー制で各カンパニーのプレジデントに就任した人たちがずらり並び、順にそれぞれが担当するカンパニーの事業計画などを説明していった、ってちょっとだけ新聞風。「週アス」出してるインフォメーションカンパニーとか「ファミ通」出してるエンタテインメント・カンパニーとかはまあ当たり前の増収予想。とくにエンタテインメントは「ダビスタ」に「ミニ四駆」のソフトが貢献して、すっげー利益率になるみたい。

 売り上げ的には小さいけれど注目なのが、かの石田晴久大先生をプレジデントに迎えたインターネット・カンパニーで、なにせ先生、過去へのシガラミも憧憬もないもんだから、まずは不採算部門をずばりんこんとばかりに、歴史と伝統だけはある「アスキーネット」をばさりんこんと切り捨てた。切り捨てておいて「不満はなかったねえ、むしろこれまでよくやってくれましたってお礼の連絡をもらったくらい」と呵々大笑するあたり、流石に大物の風格ってところ。西さんも「もっと早くやめるべきでした」としっかりフォロー。でも本当に不満は出ていないのかなー。「ケイネット」みたく何年かたって不満が吹き出やしないかと、ちょっとワクワクしながら成りゆきを見てる。不謹慎だねえ。

 飽きっぽいのか疲れていたのか、西さん他のプレジデントたちが喋っている途中で資料を食い入るよーに見たりガサガサと資料をひっくり返してみたりと落ちつきがない。かと思えばニョイっと脚をナナメに突き出して、履いていたローファーを脱いで足先にちょいと引っかけて、それをグルグルと回し始めたから吃驚仰天。遠心力でぴょーんと飛んでいったら面白いなあと思って見ていたけれど、うまいもので4回、5回、6回、7回と回しても回しても一向に飛び出す気配はなく、そんな目線を気付かれたのか、正面に座っていた元日本IBMで今はエンタテインメント・カンパニープレジデントの廣瀬さんが、何故か目玉の4つあるメガネの奥から眼光するどくこっちを見据えているのに気が付いて、あわてて目線を資料へと戻す。一番前なんかに座らなきゃよかったけど、でもいい藝を見られたので良しとしよー。藝なのか。

 石ノ森章太郎さんの過去の作品なんかを集めて年譜までつけた豪華本「遊びをせんとや生れけむ」を買う。発行元が表の方と曰く因縁のメディアファクトリーで、版形もそーいえば曰く因縁の「ゲームの大學」と同じくらい。でもたぶんきっと石ノ森先生の方が知られているから部数も多いんでしょう値段も安い。っても1900円もするんだけどね。最近でこそ先生、たぶんホントは自分で描いていないんでしょう的歪曲した絵が多くって、おまけにストーリーもサラリーマンは気重な稼業と来たもんだ的ハウツー物とか、漫画は世のため人のため的教育漫画ばっかりで、ほとんど読む気がおこらなかったんだけど、昔の絵はホント女性が色っぽく、とくにあの目の悩ましさにイカレてしまって、なけなしの1000円冊をさっと2枚はたいてしまった。メディアファクトリーに行っちゃうのかあ。

 巻末の「サイボーグ009」に関する記事で、全頁描き下ろしの全巻同時発売単行本に着手したとか、CGアニメの全世界同時公開が行われるとかいったことが書かれてあって、中学生時代に熱中したあの「009」に再び出会うことができるのかと思うと、期限として記してあった1998年末から1999年初頭が今から待ち遠しくって仕方がない。「全世界がこの新しいタイトル一色に染まる日が来る」かどーかは解らないけど、少なくとも全日本だけはそのタイトル一色に染まるだろー。そしてみんなが唄うのだ。「あっかーいマッフウラー、なーびーかーせてぇー」。


【6月1日】 ニフティのオタアミ会議室(FCOMEDY)で「家族輪舞曲」で有名な椎名桜子さんのことが話題になっているけど、彼女ってたしかいもーとの桂子といっしょに出版社を設立して、社長としてバシバシ本を出してるんだよね。ちょい前の日本出版販売の週報を見ていたら、取り次ぎコード開きましたってな挨拶が載っていてひっくり返った記憶があります。んでもって確か自分の本も1冊くらい出してたっけか。写真は相変わらず美人だったけど、某女流SF作家の例にもれず著者遠影を載せていないとも限らないから、あるいは桜と桂をたしたくらいの大きさに育ってしまているやもしれず。桂子さんも倍になってたらこれは結構重たいものがある。会社の床にだって響きかねない。しかしなんて名前の出版社だったかなあ。あとで本屋で探そう。

 日曜朝はさわやかに「エコエコアザラク」を観るのが日課。次から次へと血が吹き出て、まるでトマトジュースを味わっているよーな壮快感を堪能することが出来る、わきゃないよね。先週から始まった「SEVEN」とゆーサブタイトルのエピソードには、黒井ミサを排除しよーとする強大な闇の勢力が登場。だんだんと包囲網を狭めていって、最後は死闘でしめくくるってことになるんだろーけど、まだ2回目なのでいったどんな勢力が襲って来ているのか解らない。

 解ることはあのミサの黒魔術をも簡単に破ってしまうすっげーヤツらってこと。だったら手っ取り早くやっちゃえばって思うけど、それだとリナ・インバースの姉ちゃんじゃないけど5分でカタがついちゃうからね。「SEVEN」ってからには7回は続くのかな。ってことは6月いっぱい続いてその辺りでおしまいってことかな。佐伯日菜子さんミサの格好で嗤うとなんかコワい。次は楳図先生の「おろち」に挑戦してくれえ。

 荒俣宏さんの「レックス・ムンディ」読了。キリスト教でいう”レックス・ムンディ”すなわち”世界の王”の復活に関わる話だったのに、なぜか舞台は異端カタリ派の根城だったフランスのレンヌ・ル・シャトーになっている。”世界の王”が主人公になるならやっぱり舞台は福岡ドームだよねって、そんなベタベタのギャグはさておいて、トンデモ的ガジェットのオンパレードで爆裂的に話を進めていったのはいーけれど、どうも全体に上滑りしているよーな気がしていけない。ってゆーかアレ的にアレな秘密が明らかになる割には、国際的・宗教的な大陰謀に発展して大スペクタクル国際謀略オカルト伝奇小説全30巻になるところを、500ページちょいであっさりと終わらせてしまっている。まああれだけ多芸多才多趣味な人だから、1つの小説にかかりっきりになるってのも飽きちゃうんだろーね。「シム・フースイ」も書いて欲しいんだけど、その前に「幻想皇帝」もあるからなー。

 出かけるのも面倒なので近所の長崎屋を探索して時間をつぶす。玩具売場で「エヴァ」のリアルモデルが1580円で売ってるのを見かけて欲しまったけど、本屋の予約コーナーに貯め込んでおいた澁澤龍彦さんの「翻訳全集」2巻分とかを昨日引き上げてきたばかりで、月央のボーナスまでもうほとんどお金が使えない。残念だけどリアルモデルはあきらめて、返りかけたエスカレーター付近で、ズラリ並べられたガシャポンの中に「エヴァ」の「5インチフィギュア」を発見。後ろ髪を引かれてしまってポケットから100円玉をジャラジャラ取り出し、最初にシンジくん、次にミサトさんをゲットして持ち帰る。

 1コ200円なのにホント良くできてるわの品物で、腰を曲げてオシリを突き出してピースサインをするミサトさんの格好といったら、すらり−と伸びたむき出しの脚、張り出した胸ともどもホント悩ましく、とても子供のおもちゃの「ガシャポン」に入ってるよーな品物にはみえない。中のチラシに対象年齢が12才以上とあったけど、これって「ガシャポン」の中では結構高い方に入るんじゃなかろーか、ってほかに「ガシャポン」買ったことないんでよく知らないんですけどね。今は6体あるよーで、とりあえずプラグスーツの綾波を来週メドにゲットしよー。リツコさんとマヤちゃんも作ってください、セガ(発売元)バンダイ(製造元)様。

 あくまでも企業がどんな分野に進出を意図してどんな人材を求めているのかを知ることが目的で求人欄を見るために(ちょっとくどい)日曜日付けの朝日新聞を買う。他意はない、よ。明日から始まる「ネットワールド・インターロップ」の特集に、オタキング(本社・東京都武蔵野市吉祥寺)の岡田斗司夫さんが登場、後ろから明かりの逆光でぶきみに黒ずんだ顔をひきつらせる岡田さんの写真が掲載されていて、金あんだからもっとまともな写真家を使えよってまずは突っ込む。ネットワーク社会のなかでは自己完結型の人間なんか必要ない、それぞれが分裂した自己が容易になったコミュニケーションによって1つの総体となってまとまるんだってイメージは、まさにインターネット的である。

 ページをめくって高城剛さんが登場しているにちょっと吃驚。まだ生きていたんだねえ、とか思っていたら電車の「週刊アスキー」第2号の中吊りにもでっかく高城剛さんの文字とお姿が。TVブロスのコラムで「オタク」から「オソト」へとかいって、同じブロスに連載中の岡田さんにまるでケンカ売ってるよーな姿勢を見せていた高城さんを、岡田さんと表裏一体で掲載してしまう朝日新聞を鷹揚と見るか支離滅裂と見るか。しかしこれだけインターネットとかマルチメディアがマーケットを広げている割には、高城さんをはじめ浜野保樹さんといー伊藤譲一さんとー月尾嘉男さんといー石井威望さんといー、3年前から登場してくる人がほとんど変わらないってのはなんだかなあ。やっぱり狭い業界なのかなあ。


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