縮刷版97年3月上旬号


【3月10日】 しつっこく朝っぱらから「2nd」をプレイ。しよーと思ったけど、月曜朝は「スレイヤーズ」の再放送がテレビ東京でやっているので、そっちを見ながら朝の支度をする。「剣と魔法」の異世界ファンタジーが、再放送とはいえ朝っぱらからテレビで堂々と放映されるよーになったのも、SFの拡散と浸透が進んだから、って訳では決してなさそーで、どちらかとゆーと「ドラゴンクエスト」が嚆矢となっての異世界ファンタジーRPGの普及が、受け手の(本なら読者、アニメなら視聴者)の抵抗感を無くしたんじゃないかって、そんな気がしてるけど、実際のところはどーなんだろーか。

 赤坂プリンスホテルで宮崎駿監督の最新作「もののけ姫」の製作発表会。どーやら全国から地方紙、地方TV局の担当者を呼び集めたらしく、入り口にそんなことを書いた案内札が立ち、後の質問でも地方紙、地方局の人が幾つか質問を出していた。そこまでして宣伝をしなくても、ちゃんと観客が入る作品だから心配しなくてもいーのにと思ったが、会見が始まり製作総指揮の徳間康快・徳間書店社長の挨拶を聞いて、そこまでやる意味に合点がいった。

 曰く「配収で60億円を目指す。『南極物語』を抜いて日本一を狙う」とか。製作費で20億円をかけて、宣伝費でも製作者側が10億円と、特別協賛の日本生命が12億炎の都合22億円も使う訳だから、これまでの配収でトップだった「紅の豚」の27億1300万円でも、完全にアシが出てしまう。大宣伝をして大動員をかけないことには、とてもじゃないが他の製作者陣が納得しない。実際に発表会でも、日本テレビの氏家社長は「宮崎さんは野茂で徳間さんはラソーダ監督」と言って活躍を期待する旨発言し、電通の成田社長も「世界進出という意味で新しい歴史を作る作品」と褒めそやす。東宝の石田社長も「失敗は許されない」とプレッシャーをかけるから、黙って座っていた宮崎監督も、きっと胃がシクシクして来ただろーね。

 といってもさすがは宮さん、「来年の7月だったら良かったと今も思っている。きっとギリギリまで色を塗っているでしょう」と製作者陣に逆プレッシャーをかけ、映画の主役の1人、「もののけ姫」のサンについても、プレスから性格設定なんかを聞かれて「映画が出来てみないと解らん」とサラりと言ってのける。会場で流された予告編についても、「手や首が飛ぶけど、ある映像をつなげただけだから。別にスプラッタじゃないよ。本編が出来ると印象が違っているでしょう」と発言。これじゃあ前景気を煽りたい製作者陣も、監督の意向を無視した宣伝はできないだろーな。でもやるだろーけどね。

 さて3分50秒の予告編から見た「もののけ姫」は内容のハードさ、激しさはあっても絵柄はやっぱり宮崎アニメ。別に劇画調にもなっていなければ等身を上げてあるわけでもない。コナンみたいな可愛らしいキャラクターが戦争したり剣を振り回してバトルするなんて映像は、ディズニーじゃあ絶対に作らないだろーね。あと宮さんに言わせると「ディズニーはこれから質的に落ちるだろう」とのこと。長編アニメを8本も走らせているディズニーだけど、長編アニメは恐ろしく疲弊することを知っていて、人間を倍にしても才能は絶対に倍にならない現状を実感している人だけに、宮さんを核弾頭にして世界に打って出ようなんて考える徳間側の思惑を、暗に牽制してるんだろーね。でも徳間、本当にジブリを吸収しちゃうのかなー。

 偶然ではないが徳間書店から刊行されたスティーヴン・シンギュラーの「ハリウッドを掴んだ男 マイケル・オーヴィッツ」(1800円)を買う。米国最大のタレント・エージェンシー「CAA」の総帥としてショウビズ界に君臨し、ディズニーに招かれたオーヴィッツの成功譚を、多数のインタビューを交えて伝えている。本文が良いのか訳文が良いのか解らないが、エージェンシーの仕事やその中で成功したオーヴィッツのやり方を、分かり易い文章と飽きさせない構成とで、実に的確に伝えている。

 成功と失敗で積み上げた毀誉褒貶を踏まえてもなお、作者の視点はおもねりもこびもなく、また墓あばき、やじ馬根性、のぞき見趣味といった要素も廃していて、読んでいてなかなか気持ちが良い。ちなみに今日はホリプロが東証2部に上場した日。ホリプロでこういった本が今成立するか、最盛期にあるナベプロを相手にこーゆー本が書けたかと考え、その責任の一翼を担うべきプレス側の人間として胃が痛くなる。シクシク。


【3月9日】 やっぱり朝っぱらから「新世紀エヴァンゲリオン 2nd impression」をプレイする。どーにか地球防衛バンドを登場させることに成功したが、転校生がステージで歌を唄ったかというとそうでもなくって、ラブラブなどとは縁遠い、しょぼいエンディングを迎えてしまった。2回ある戦闘シーンで負けることはもはやなくなり、枝編のストーリーを捜す上で、必ずこなさなくっちゃいけないイベントと堕してしまった。ちょっとつまらない。

 とはいいつつ、同じシーンを何度も何度も繰り返して見る苦痛はそれほど感じず、つまりはLDやビデオで同じシーンを繰り返し見ることに慣れている、とゆーか見返すことが大好きな、根っからのアニメファンであったことが再認識された。あと20回は見返して、セリフなんか全部覚えてしまうことになるんだろーね、この1週間で。

 秋葉原に行って最初に出た方のセガ・サターン対応ゲーム「新世紀エヴァンゲリオン」を捜す。先週は売り切れていたところが多かったが、今日は何件かのショップに「2nd」といっしょに、でいーんと積んであった。1枚買って隣の店をのぞくと、100円安い値段で出ていてぎりぎりと歯がみし、向かいの店をのぞくと、300円安い値段で出ていて地団駄を踏む。無駄足でもやっぱり、すべての店をチェックしてから買うべきであったと、今後のための自戒とする、ってまだ買うつもりか、ゲームソフトを。

 それにしても「2nd」は、どこの店に行ってもガンガンに積んである。あまりゲームソフト市場に詳しくないので、発売3日目にあれだけ残っているとゆーのが正しいのか間違っているのかは解らないが、根っからのゲーム好きに受けるタイトルとも思えないので、テレホンカード付き映画前売り券みたく即日完売にはならなくっても、不思議ではないんだろー。付録の「カードダスマスターズ」欲しさにソフトを2枚とも買った人って、やっぱり大勢いるんだろーか。ヲレみたく。

 池袋に行って改装なった西武百貨店の書籍売場をのぞく。すっかり様変わりしていて、どこにどんな本があるのかさっぱり解らない。つらつらと見回って、普段出入りしていた新刊の文芸書を見つけるが、これといって本の量が増えたとゆー感じはうけず、文庫のコーナーも新宿の紀伊国屋本店とさほど違いが感じられなかったので、本を捜すために無理に出かけよーとゆー気にはならない。ヤング・アダルト関係は結構充実してたけど、それだったら同じ池袋のパルコの方が、ヤング・アダルトから同人誌系のパロディー本、やおい系のノベルズまでがズラリ揃えてあるから役に立つ。

 パルコの方は、最新刊が絶賛発売中の「ファイブスター物語」も、既刊といっしょに平台にどーんと積んであって、店員さん、なかなか解ってるじゃないファン心理、って気になった。本屋は量じゃないってこと。心して聞けよ、紀伊国屋新宿南口。あと写真集なんかも品揃えばっちりで、速攻で完売したはずの「お宝ガールズVOL.1」が、刷り直されたのか山と積んであった。社長ヌードの走り(にしてしまをー、この際)ともいえるチバレイの写真集も、平台に山積みになっていて、ちょい心が揺れ動く。お金を持っていなかったので買うのを見送ったが、買っておけば値上がりする類の写真集なのだろーか。

 帰って「新世紀エヴァンゲリオン」をプレイして、アニメシーンの印象があまりに本編と違うのでずっこける。本編からパクったシーンはともかく、新しく描き起こした部分、とくに戦闘シーンに本編の特徴だったクールさがまるでない。蹴ったり殴ったりする時のポーズきめっぽい演出や、長槍をぐるぐる回してから突き刺すシーンなんかを見ていると、昔のゲキガン・アニメを思い出す。キャラクターの性格設定もなかなかのポン酢ぶり。人のことを気にかける綾波レイなんがどこにいる?

 なにも舶来品を礼賛するつもりはないが、ミッキーならミッキー、アラジンならアラジンの「世界観」をかたくなに守り、そこからの逸脱を極端にとゆーか絶対に嫌う、ディズニーの路線を支持したく思えてくる。「2nd」の方ではその辺り修正されてたみたいだけど、こんどは戦闘シーンがポン酢だからなー。ベースがあるからファン層が見えて売りやすいってことはあるけれど、そうしたファン層の思いこみに応える内容にするのって大変だからなー。ほんとキャラゲーって難しい。


【3月8日】 朝っぱらから「新世紀エヴァンゲリオン 2nd impression」をプレイする。やっぱり2回目の戦闘でぐっちゃんぐっちゃんにされてしまい、「最悪のシナリオ」でエンディングを迎える。ちょっと休憩してもう1度最初からプレイ。今度はやっとこさで使徒を倒してちゃんとしたエンディングを迎える。でも地球防衛バンドは出てこない。しつこくリプレイ。転校生と結構会話がはずんでるのに、地球防衛バンドのボーカルを引き受けてくれない。優柔不断がいけないのかな。自信がないのが悪いのかな。付録のシングルCDに入ってる挿入歌って、いったい誰がどこて唄うんだろーか。

 しかし、この程度の戦闘コマンドすら使いこなせないおっさんゲーマーには、「バーチャ」みたいなアクションとかシューティングとか格闘とかいった反射神経を要求されるゲームは、多分きっとおそらく絶対無理だろー。「マリオカート」とか「リッジレーサー」もやっぱり無理。「エヴァ」そのものは、いくつもシナリオのある30分強のOVAって感じで、根っからのゲームファンにはシナリオの真っ直ぐさやイベントの少なさ、戦闘シーンの難易度といった点で、ちょい物足りないかもしれないが、老齢のアニメファンが初めて手を出すゲームって意味では、これくらいがちょうど良いのかもしれない。さあ来月は「ナデシコ」だあ。

 本屋に行ってうろうろ。ハードカバーに見る物はなく、コミックのコーナーで岩崎陽子さんの「王都妖奇譚10」(秋田書店、400円)を手にとってから、ヤング・アダルトのコーナーへと足を向ける。電撃文庫から発売された、ドラゴンが登場する短編を集めたアンソロジー「ドラゴン殺し」(メディアワークス、618円)を発見して購入。1年前に単行本として発売されたものが、早くも文庫になっての登場だ。表紙は「プリンセスメーカー」で「星界の紋章シリーズ」な赤井孝美さんで、ちょっぴりエッチな綴じ込みの扉イラストもあって、「プリメ」ファン、「星界」ファンの心を強く揺さぶる。

 しかし、それだけではないのが、このアンソロジーの凄いところで、作品を寄せているのが中村うさぎさん、山本弘さん、鳥海永行さん、小澤章友さん、そして「怪人」荒俣宏さんと、ピンで書けばそれぞれがベストセラーになりそーな5人。加えてイラストが米田仁士さん、安彦良和さん、西村博之さん、山田章博さん、そして「グイン」な天野喜孝さんとゆー、やっぱりピンで活躍できて、サイン会には数百、数千人ものファンが詰めかけるよーな人たちばかり。きっと売れるんだろーね。しかしどーして、こーゆー本を昔ながらのSF専門出版社は出さないんだろーか。マーケットがあることは分かっているのに。

 サッカーのヤマザキナビスコカップ開幕。テレビでは日本リーグ時代からの黄金カードとゆーらしー「ヴェルディ川崎VS横浜マリノス」の試合を放映したが、日テレはサッカー中継とゆーといつもワイドクリアビジョンにするので、14インチの小さなテレビでは選手は粒粒になってしまって見にくくて仕方がない。試合は1対1の引き分け。全体的に見てマリノスの方がシステムがしっかりしたよーな印象を受けた。後半、ヴェルディも盛り返したものの、加藤久監督期待の石塚も栗原も思ったようには目立っていなくて、目立ち度ではマリノスのルーキー、中村の方がはるかに上だった。しかし次に試合がテレビ放映されるのは何時だろーか。グランパスは勝ったみたい。しかしヴェルディか市原か柏とでも闘わないと、東京や千葉じゃーテレビ放映がないからなー。ストイコ見たいよー。


【3月7日】 秋葉原に行く。理由は言うまでもあるまい、そう「ROOMMATE−井上涼子−」を買うためであるって、それは助教授。こちらの用事はもちろん「新世紀エヴァンゲリオン 2nd impression」(セガ・エンタープライゼス)を買うため。どこで買っても同じだど思い、駅から1番近いラオックスのゲーム館に裏から入って脇の狭い階段を3階まで駆け上がり(ハアハア)、フロアに入るとすでに10人ばかりの列が出来ていた。順繰りに1000円札とか1万円札を出してソフトをカウンターの向こうから出してもらい、付録のポスターといっしょに受け取って去っていく。きっと帰ってすぐにプレーヤーにぶちこんで、ちゃきちゃきとゲームを始めるんだろー。学生はいーなー。

 来週火曜日付けの「ニューリリース」用に「フランダースの犬」のビデオが4月25日に発売されるとゆー記事を書く。3月15日とゆー、かの話題沸騰で驚天動地なアニメが公開される日と同じ日に、松竹系でロードショー公開される長編アニメ映画「フランダースの犬」のオリジナルTVシリーズ版。前にも確か1本1万2000円くらいで発売されていたけれど、最近のビデオ価格の低下を受けてか1巻3800円、それも各巻5話入りとゆー大盤振舞なソフトとなった。全国の少年少女から「ネロとパトラッシュを死なせないで」と投書が殺到した、悲劇と感動の最終回は第11巻に収録される予定。思い出に浸りたい人、同情を買うために泣きたい人、花粉症をごまかしたい人は発売日の5月25日にビデオショップに走ろう。それまで待てないって人はリメイク版を公開中の映画館へ。CGなんか使っていて雰囲気がTV版とちょっぴり違うけど、やっぱり最後の場面は泣けるから。

 六本木のギャガに行って望月六郎監督の「鬼火」を見る。元山口組顧問弁護士の山之内幸夫原案で、おまけに主演が原田芳夫とゆーから、きっとパワフルなアクションシーンでいっぱいのヤクザ映画なんだろーと思っていたら、予想を覆して血みどろの暴力シーンや派手なアクションシーンがほとんどない、静かで、けれども緊張感に満ちた異色のヤクザ映画に仕上がっていて驚いた。原田芳夫演じる元ヒットマンの国広は、出所した後、知り合いの組に世話になったり、組を追われて印刷会社で働きながら、片岡礼子演じる麻子と2人で暮らしている。普段は暴力もふるわず他人にも親切そうに振る舞うが、拳銃を持って相手に突きつけたりする時だけは、冷徹なヒットマンの目に戻る。派手なセリフ回しやケレンたっぷりの演技がウリの原田芳夫が、抑制の効いた演技で、真面目そうな振る舞いのなかに時折ちらつく炎を見せ、それが燃え盛った時だけは豹変するを好演している。片岡礼子も最高。特にボディが。

 そのまま五反田へ。火曜日に聞いたエディット90主催のシンポジウム「ジャパニメーションの現状と将来性」でもらった紙に、午後6時半から映画「攻殻機動隊」のインターナショナルバージョンの試写をイマジカの第3試写室でやると書いてあったので、でっかい画面で見るのも一興と思って足を向けたもの。会場の前で待っていても、いっこうに他の客が来る気配がなく、もしかして間違えたんだろーかと不安に思っていたら、主催のエディット90の人が来て、「今日の試写はジャパニメーションのシンポに出席した人にだけ案内したんです」と教えてくれた。なるほどそれなら少ないのも道理かと思って、それでも20人くらいは来るんだろーなと待っていても、やっぱり誰も来なかった。

 開場時間になって試写室に入ると、当然そこはカラッポの椅子、椅子、椅子の列。50席はある試写室をほぼ貸し切り状態で、最高画質、最高音質の最高環境のなか、英語版日本語字幕付き「殻攻機動隊」を見るとゆー、超贅沢な経験をさせてもらった。95年の秋にはじめて封切りされた時は、イマジカの試写室始まって以来の聴衆が集まって、立ち見も出るほどの騒ぎだったと聞いていただけに、よけいに贅沢に思えてしまった。実際の作品はアメリカで買って来たビデオとまったくいっしょで、家のテレビで見た回数と合わせると、これで3回もインターナショナルバージョンを見た勘定になる。ちなみに日本語オリジナル版は、恵比寿での試写会と松竹でのロードショー時の都合2回見ているだけ。頭の中にはもう、「攻殻機動隊」は英語の映画とゆー印象が出来上がってしまった。

 「新世紀エヴァンゲリオン」とか「美少女戦士セーラームーン」とかいった、声優さんに特徴があったり声優さんんが目立っていたりするアニメが英語になると、違和感を覚えてしょうがないことがよくあるが、「攻殻機動隊」の場合は、草薙素子やバドっていったい誰が演じていたのってくらい、声優さんについての印象がない。あるとすればトグサ役のバズーカ山寺(って名前でベイFMでキャスターやってるんですよ、山寺宏一さんは)と、人形使いの家弓家正さんくらい。人形使いについては「HAL」みたく抑揚のない美声でしゃべるインターナショナルバージョンの方が、ケレンある家弓さんより「人形使い」っぽい気がするくらいで、今日本語版を見せられると、逆にそっちに違和感を覚えてしまうかもしれない。慣れって、恐い。ちなみにインターナショナルバージョンの「攻殻機動隊」もやっぱり15日から公開。春のアニメ戦争を勝利するのはいったいどれか。まさか「ヘルメス」、ってことは、だがしかし、うーん。

 「エヴァ」ちょっとプレイ。とゆーか戦闘でぎったんぎたんにされてしまって、ちょっとしかプレイできない。とことんゲーム才のなさを痛感する。今日は寝るが明日は早起きして再挑戦だ。待ってろよアスカのスクール水着姿。


【3月6日】 日経BPから出た「日経ゲームビート」(480円)を買う。「日経クリック4月号増刊」とゆー形態だが、いずれはコードを取って月刊誌化(まさか週刊誌ってことはないよね)するんだろーな、「日経エンタテインメント」みたく。内容はといえば、実はゲーム雑誌なんて読んだことがないから、はっきりしたことは言えないが、他のゲーム雑誌に比べて、なんだか密度が薄いよーな気がする。ゲームをやらない人間がだいたいの傾向をつかむ、ってあたりの情報量は入っていても、毎週毎週ゲーム雑誌を買う人にとっては、情報が古かたり少なかったりするんだろー。どの辺りの層を狙った雑誌なのか旗幟不鮮明だが、おいおい詰めていくんだろーね、きっと。書評のコーナーに因縁ありすぎの「ゲームの大學」が載っていたからとりあえずマル、ってことにしとこー。

 猪俣謙次さんの「ガンダム神話Z(ゼータ)」(ダイヤモンド社、1854円)を買う。前の「ガンダム神話」に続く、ガンプラをはじめとしたキャラクター・マーチャンダイジングの方面から「機動戦士ガンダム」とゆー稀代のコンテンツが生まれ育ち広がっていく様子を描いた渾身の研究書。「うんらたの秘密」なんて、ゴーストが3日で書くよーな謎本とはひと味どころか100味も1000味も違う。資料編が多いためか本文がちょっと短いのが残念。「機動新世紀ガンダムX」って打ち切られたんだねー、なんか知らないうちに終わっていたから解らなかった。99年の「ガンダム20周年」に向けて、もうひと花咲かせられるかってとこが注目で、ガンプラを育てた現サンライズ常務の松本さんが、どんな企画を暖めているのか、ちょい探ってみたい気がするなー。

 六本木のブエナビスタで「101(ワンオーワン)」を見る。「101匹わんちゃん」の実写版で、営団地下鉄に嫌とゆーほどポスターが貼ってあるから、知ってるって人も多いはず。アニメ版「101匹わんちゃん」がどんな話だったのか覚えてないので、実写版「101」との違いは解らないが、少なくとも実写で101匹ものダルメシアンを動かすってことの大変さは理解できる。で、映画の方はとゆーと、本当に実物のダルメシアンが101匹(推定)動き回っていて驚いた。動作している場面を細かくつなぎあわせたり、同じ場面を繰り返し撮影したりして合成してるんだろーけど、その流れたるや実にスムーズで、無理に演技させているとゆー感じがあまりしない。

 主演なんだろーね、毛皮大好きオバさんのクルエラ・デ・ビル役のグレン・クローズの体当たり演技は、プライドのカタマリのよーな日本の女優さんにも是非見見習ってもらいたいところ。日本語版ではどーやら山田邦子さんが声を当てるみたいだけど、ついでだから日本版の実写「101」(舞台でもいーかも)を制作して、山田の邦ちゃんに穴から落っこちたり樽に突っ込んだりしてもらいたいね。ダルメシアンの飼い主の1人、ジェフ・ダニエルズ演じるロジャーがちゃかちゃかと作っていた「101匹わんちゃん」のアドベンチャーゲームを評価する「先生」に注目。ソフトは実際にディズニー・インタラクティブから発売される予定だけど、映画に出てきた「先生」のよーに「悪役が最高ッ」って言えるかな。

 期するところがあって、今や「PC−FX」と並んでマイナー機の仲間入りを果たした「セガ・サターン」を買う。理由は「アレ」をプレイするためです。そう「E0」のため、じゃない「野々村病院の人々」のため、これはちょっと近いが本当は「サクラ大戦」のため。うんこれなら8割正解。10割正解の答えは、今日が3月6日で明日が3月7日だとゆーことに深く強く関わっている。ビデオを買ってゲーム機を買って、ますます冥府魔道への道を突き進んでいる気もしないでもないが、「シューティング」とか「格闘」とかに熱中するタマでもないので、しばらくは某ソフトの専用機として稼働するだけとなるだろー。そう「アンジェリーク・スペシャル」専用機(ウソだって)。


【3月5日】 台東区にあるバンダイビジュアルに最近のソフトの話を聞きにいく。エレベーターから案内してくれた広報関係の人が「クレヨンしんちゃん」のエプロンをかけていたり、エレベーターホールにある台の上にコーワのカエルの人形が鎮座していたりと、いかにも「ヲ」系の会社とゆー印象を受けたが、制作関係のフロアにある応接室に入るとさらに吃驚。部屋中の壁が「エモーション」をはじめとするバンダイビジュアルのアニメビデオで埋め尽くされ、数々のアニメファンのフトコロを泣かせたLDボックスで覆われていた。ビデオ機器が備えられた部屋だから、食糧と寝袋を持って立てこもれば、それこそ1カ月や2カ月は退屈しない毎日が過ごせると思ったが、「つぱくあまる」ほどには根性がないので、思うだけに留めておく。でも本当のアニメファンの部屋ってのも、やっぱり似たよーな状況なんだろーか。LDボックスが床にゴロゴロ、とか。

 もらった資料をベラベラ。名作にして傑作の「未来少年コナン」が1巻3800円の全7巻で再ビデオ化される案内とかが載っている下に、何故かDVDに関する豆知識を書いた「DVD&LD」とゆーコラムが載っている。イラストのキャラクターに、1回目は「アニメーションと同じ絵がDVDでミラ得るのかなあ・・・」、2回目は「ドルビーデジタルは、音を収録するときに各チャネルに分けて収録したソフトなら最大限に楽しめるよ。アニメ作品は少ないけどね・・・」と言わせていて、ちょっぴりDVDネガティブな印象を受ける。協力がパイオニアだから仕方がないのかもしれないけど、やっぱりDVDでアニメを見たいって人は少ないんだろーか。

 本屋で「日経エンタテインメント」と「キネマ旬報」を立ち読み。共通点は? はい「エヴァ」でした。とくに「キネ旬」の方は関連商品のリストとその売り上げ実績の数字が細かくまとめてあって資料的価値が高い。本当だったらい新聞もやらなくちゃいけない仕事だけど、毎日が締め切りとゆースパンで仕事をしていると、こーゆー細かい所までなかなか体力と知力が及ばないので有り難い。しかし、いくら相手が「エヴァ」といっても、アニメ作品を「キネ旬」が巻頭特集まで組んで大々的に報道するなんてよほどのこと。2月14日の緊急会見なんて見開き2ページを使って記者と庵野秀明監督、角川歴彦・角川書店監督との一問一答を完全収録している。これは凄い。新聞だって会見の一問一答完録は滅多にやらない。ファンとしては嬉しい限りだが、果たして映画ファンと呼ばれる人は、どう受けとめているのだろーか。

 マージ・ピアシーの「時を飛翔する女」(近藤和枝、學藝書林、2800円)を250ページほどまで読み進む。精神病院と未来社会をいったりきたりするなかで、次第に幸せそうできゅうくつな未来社会の様子と、きゅうくつで悲惨ででも考えようによっては幸せなのかもしれない精神病院とが入り交じって来て、頭の中がぐるんぐるんとして来た。まだ半分以上も残っているので、さらに1山、2山、3山あることは確実。早く読み終えたい気になる一方で、読み終えるのが惜しい気もしている。

 そんな時にはちょっと浮気をしてヤング・アダルトに逃避。電撃ゲーム3大賞の小説部門で金賞をとった栗府二郎さんの「NANIWA捜神記」(メディアワークス、587円)を買って読み始め、面白くってあっとゆー間に読み終える。電脳空間に救う邪悪な意志って感じのストーリーで、ちょい前に読んだ東野司さんの「電脳祈祷師 美帆(邪雷顕現)」(学習研究社、780円)に共通するところが結構ある。関西在住の30代後半のおっさんが書いて、ヤング・アダルトの新人賞を受賞したデビュー作って点では、麻生燦さんの「風水バスターズ 南京町虎笛奇譚」(角川書店、618円)とそっくり。こーゆーとろこに偶然の一致とゆーか「シンクロニシティー」を感じてしまう。しかし、関西のおっさんパワーってのはすごいねー。僕も何かやってみよーって気になってきたぞー。


【3月4日】 東芝EMIからプレスリリース。「マスター・オブ・モンスターズ」とゆーゲームソフトのプレイステーション対応版を出すとゆー話。去年発売したサターン版からシナリオが大幅に強化されて、グラフィックも山本まるみさんとかゆー人のキャラクターを中心に、ぐわーっと増強されている。ムックなんかで活躍しているイラストレーターで、確かにウケそーなイラストを描く。女性のシミュレーションゲームファンを開拓したいとゆーEMI側の思惑も頷(うなず)ける。年内にあと1、2タイトルはゲームを出したいとゆーことだが、聞くとどーやらプレイステーション対応版が中心みたいで、ここにも圧倒的なプレステマーケットの影響が出ているね。

 そのプレステが、アジアで販売するバージョンに、あろーことかビデオCDのアダプター付きを投入するとゆー発表が。セガサターンがネットワークに対応してインターネットを付けてビデオCDのアダプターも発売し、その他もろもろの拡張キットを投入して、まるでガンダムのGファイター状態になっていたのに比べると、プレステの方はこれまで、かたくなにゲーム機としての位置づけを守り通して来た。ビデオCDが大流行のアジアマーケットのニーズに応えたって理由は解るが、蟻の一穴じゃーないけれど、これを機会に6神合体ゴッドマーズ的拡張路線に走るかプレステ? 国内じゃー多分しばらくはなさそーだけど。

 映画「攻殻機動隊」のプロモーションを担当したエディット90が主催した「ジャパニメーションの現状と将来性」とゆーシンポジウムを聞く。受付でもらったパンフレットがえらくキッチュで格好良く、最初の公開時とずいぶん違うなーと思っていたら、シンポジウムが始まって報告者として登壇したアーティストの村上隆さんが、15日からテアトル新宿で始まる「攻殻機動隊凱旋ロードショー」のために、「勘違いにおける日本のポップカルチャー」といったテーマでデザインしたものだと話して合点がいった。コミック版とも映画版とも違った草薙素子がセクシーでグーで、1枚ポスターが欲しいくらい。会場で売ってるのかなー。

 シンポジウムは最初がアニメーターの北久保弘之さんの「ジャパニメーションでのデジタル技術」とゆー報告。ディズニーのよーな使い方じゃーなくって、どっちかってゆーと実写映画のCGIに近いデジタルの使い方を、日本のアニメではするんだとゆーことを話していた。合間に見せたプレステ版「攻殻機動隊」のオープニングアニメーションは、走るフチコマがとにかく迫力で、コードにつながれた草薙素子もとにかく悩ましい。凱旋ロードショーでゲームのムービー部分を5、6分に編集して上映するそーなので、もしかしたら大画面で飛び回るフチコマを見られるかもしれない。夏まで待てない人は「エヴァ」を振ってテアトル新宿へ走ろー。

 2番目の村上隆さんは、「ヒロポンちゃん」や「DOBくん」といった、日本のポップカルチャーに題を取った作品で知られるアーティスト。アメリカではジム・ジャームッシュ的、ヴィム・ヴェンダース的に日本のアニメが語られてるとか、ジャパニメーションがコラージュ的に使われたケン・イシイのビデオクリップがMTVで流れた翌日、ニューヨークあたりのアニメショップが騒然となったとゆー話を披露してくれた。

 北久保さんがややマイナー志向でこれからもいくんじゃないかと話したのに対して、村上さんは日本のディストリビューターが腰を据えて売れば、必ず米国でもメインストリームで受け入れられるはずと、楽観的な見通しを語ってくれた。「エヴァ」についても同様で、村上さん曰く、最先端の雑誌の表紙はみーんな「エヴァ」になっているとか。もっともエディット90の桑原さんはやや慎重めな見方で、この辺り、アーティストとして作品の価値を見るか、プロモーターとして作品の価値を見るかの違いが出ているよーで、参考になった。今晩あたり、オーランド市で買って来たインターナショナルバージョンの「攻殻機動隊」と吹替版の「エヴァ」でも見返すかな。英語だからさっぱり解んないんだけどね。


【3月3日】 アスキーからビル・ゲイツ本アップデートのお知らせ。バージョンアップを重ねて製品を良くしてついでにお金もむしりとろーとするソフト業界の頂点に立つ人間だけに、書いた本もバージョンアップを欠かさないとゆーことらしー。確かに95年に最初の版が出た当時は、インターネットが今ほど爆発的なブームになるとは思われていなかったため、最初の版ではインターネットにほとんど触れていなかった。その名も「アップデート版」ではネットスケープとの競争やオラクルのネットワーク・コンピューター(NC)への懐疑、通信品位法への反論なんかが大幅に書き加えてある。また売れるんだろーね。でもこの本って、しばらく前に大森望さんのページでチラチラと翻訳が進んでるって話題が出てたのに、翻訳者の名前はやっぱり旧版と同じアスキーの社長の人になっていた。大人の世界ってフクザツ、だなー。

 アーサー・C・クラーク賞の受賞歴もある女性作家のマージ・ピアシーが書いたSF長編「時を飛翔する女」(近藤和枝、學藝書林、2800円)を100ページほどまで読み進む。貧困にあえでいる女性が讒言によって精神病院に収容されてしまったが、未来から声に招かれて差別のない共同体で誰もが静かに暮らしている世界に飛翔するとゆー内容。現代と未来の違い、ユートピアとディストピアの対比を浮き彫りにすることで、現代とゆー時代の理不尽さを撃とうとゆー内容らしー。とにかく重厚で読んでいて心が痛くなるが、まだ100ページ。これからさらに重たいテーマが立ち現れて来ることになるのだろー。期待大。

 キングレコードのスターチャイルドレーベルが15周年を迎えたとゆーことで、目白のフォーシーズンズホテルで謝恩会。記念にもらったのは「エヴァ」と「ナデシコ」の非売品テレホンカード。でも「エヴァ」のは「エヴァ」しか写ってなくて、綾波だったらすっげー値段で取引されただろーなどと不謹慎な思いが頭に浮かぶ。いっしょにらった資料には、現在絶賛放映中の「機動戦艦ナデシコ」や、春から始まるTVシリーズの「スレイヤーズTRY」と「少女革命ウテナ」、OVAの「VS騎士ラムネ&40」や「宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ」「ジャングルDEいこう」なんかの簡単な設定とCD、ビデオ等の展開予定が書いてあった。

 主だったところでは、4月25日にナデシコのヴォーカル集「機動戦艦ナデシコ 明日の艦長はキミだ!」が発売される予定で、VTとLDの方は5月9日に第1話と第2話収録を3700円で発売。カセットには第1話の完全オリジナル全長版絵コンテ、LDには絵コンテと麻宮騎亜さん描きおろしのイラスト入り特製BOXがいずれも初回限定で付くそーだから、ファンはの人は要予約だ、ってなんかキングの人みたいなこと言ってる。やっぱ商売上手いよね。

 アニメ雑誌でちらほら記事が載り始めた「少女革命ウテナ」は「宝塚舞台のようなロマンの魅力を全面に押し出したアニメ作品」とゆーだけあって、登場するキャラクターはみーんな美男美女ばっか。これを「セーラームーン」の幾原邦彦さんがどー動かすのか、否が応でも期待は膨らむ、ってやっぱりキングの回し者じゃねーか。でも「キューティーハニーF」よりゃ面白いかもしれない。「ジャングルDEいこう」は「万能文化猫娘」のもりやまゆうじさん完全オリジナルによるアニメーション。主人公が変身した花の精霊「ミイ」の巨乳さに男だったら誰でもクラクラだあ。

 アトラクションはスターチャイルドが誇る声優&歌手による歌。最初は「機動戦艦ナデシコ」の主題歌など2曲を松澤由美さんが唄い、それからスターチャイルド最大のアイドル、林原めぐみさんが登場して、たぶんオリジナルアルバムから1曲、スローバラードを唄ってくれた。たった1曲だったけど、集まっていたアニメイトやヤマギワソフト館あたりの店員さんは、きっと狂喜乱舞して聴いていたことだろー。3人目はスターチャイルドが今イチオシの奥井雅美さんが登場して、「ジャングルDEいこう」のテーマソング「J」など2曲を熱唱。パンチの聴いた(ちょっと死語)声で集まったおっさんたちを圧倒して帰っていった。でもホント、アニメの人って歌が上手いねー。

 こーゆー「ヲ」系の商売で必ず登場する角川書店の角川歴彦社長がやっぱり来ていて、挨拶なんぞをしていた。近づいて「新世紀エヴァンゲリオン」の話。新作オリジナルをやりたかったのに、ラストがあーなった関係で総集編とラストの作りなおし編をやらなくちゃならなくなって、おまけに夏もしょい込むことになったのは、角川さんとしてもやっぱり誤算だったのだろー。おかげで「スレイヤーズ」と「天地無用」で抑えていた夏の枠の一部を「エヴァ」に譲ることになって、番組が幾つか飛んだとか。商売っ気を出して夏まで引っ張ったとゆーことでは、話している限りないよーだった。しかし「夏はアニメ戦争」って言葉もうなずけるほどに、各種アニメの企画がどっちゃりこんで、さあいったいどれが落っこちるんだろーと、ファンならずとも(ファンだけど)頭を悩ませることだろー。


【3月2日】 テレビ東京で「エコエコアザラク」を見る。今回の監督は村松弘之さん。ホラーなのにちっとも恐くない映像とストーリーには参るが、黒井ミサ役の佐伯日菜子が相変わらずの佐伯日菜子ぶりを発揮して、垂れ下がった前髪の下から、やや上目遣いで相手を見据えるクローズアップのショットにクラクラする。合間に3月8日公開の映画「ねらわれた学園」の宣伝が入って、やっぱり同じ顔で高見沢みちるを演じていて、ちょっとこんがらがる。「ねらわれた学園」は、初日に「シネマカリテ新宿」で主演の村田和美ともども舞台挨拶があるとかないとか。ちょっと見に行きたい気分。そこで「ニヘラッ」ってな笑顔なんか見せた日にゃー、ちょっとイメージが狂うね。「ニタリ」ってな笑顔ならピッタリなんだけど。

 流れで「新世紀エヴァンゲリオン」を見る。先日の朝日新聞夕刊の記事では、午前2時55分からとゆーおよそ不健康な時間帯であるにもかかわらず、実に2%(コメ印じゃーないんだ)もの視聴率をたたき出しているとか。占有率はもっと高い。ビデオ録画も含めれば、実質的な視聴率とゆーか占有率とかはさらにさらに上がるんじゃなかろーか。制作スタッフ入魂の第19話「男の戦い」は、前に東映の試写室で見たが、直後の第20話はダイジェスト試写では飛ばされていて、問題のラストのあえぎ声をはじめて聴いて、当時「お茶の間」のお母さんたちが吹っ飛んだ訳がよーやく解った。あそこだけカセットテープに撮って、10分くらいに再編集してQ2あたりで流せば、結構な商売になるよーな気がするが、やっちゃーダメだよね、やっぱり。

 寝て起きて本屋へ。「エヴァ」のムックでも買おーかと思っていったのに、何故か買って帰って来たのは川原由美子さんの「観用少女 プランツ・ドール」(朝日ソノラマ)の既刊3巻。これまで買おう買おうと思いつつ、揃っていなかったり金の持ち合わせがなかったり、他にもっと欲しい漫画があったりして、なかなか手が出せなかった。「前略ミルクハウス」以降はほとんど読んでいなくて、後は「SFマガジン」に翻訳が載ったジェイムズ・ティプトリー・Jr「たったひとつの冴えたやりかた」の挿し絵とかで、絵がきれいになって行くなーと思ったくらい。ほとんど10年振りの再会にハマりそーな予感で、10年分を埋めるとなるとまた出費が嵩むなーと、連日カラッポになる財布を見つめながら、ぼわんと1つ溜息をつく。

 近所の長崎屋に寄ってゲーム関連製品のコーナーをチェック。「プレイステーション」は相変わらずの品切れ状態が続いているよーで、棚には「セガサターン」と「スーパーファミコン」と値下げの案内が書かれた「NINTENDO64」が残っていた。一方ソフトの方はとゆーと、3本あるラックのうち2本がプレステ、1本がサターンとゆー状況で、ハードの売れ行きの差を如実に示しているよーで面白かった。隆盛を極めたファミコンや隆盛を極めるであろーと予想された64のソフトは壁際のラックのみ。このままプレステのソフトが角川・新潮・講談社文庫的にショップの定番化して面積を拡大していくのだとしたら、サターンはソノラマ・ファンタジア・スニーカー文庫的にちょっと「ヲ」な人向けのタイトルを増やすか、それともマドンナメイト・ナポレオン文庫的な芸風を見せて欲しいね。

 森下一仁さんのホームページで行われた「ベストSF '96」で、見事国内1位に輝いた牧野修さんが寄せた「受賞の言葉」を読み、1人創作に打ち込む作家が抱く寂しさにジンと来る。20年近くSF者をやっていても、その間ファンジンとかファンダムとかいった世界とはまったく関わりを持って来ず、1人本屋や図書館を回っては「SF」を買い(借り)漁り、1人家にこもってはそれらを読み漁っていた。そんな暮らしで、SFの面白さを語る相手がいないという寂しさは幾度も味わって来たし、今でも感じているが、自己満足ではなく、大勢の人と楽しさを分かち合いたいという信念のもと、頑張って創作活動を続けている作家の、反響が得られないことの寂しさは、読者のそれとは質が全く異なるのだろう。応援せねば。


【3月1日】 資料漁りに日比谷図書館へ行く。新聞や雑誌のバックナンバーが揃えられた閲覧室は、少し前まで近在の人たちが退屈しのぎに集まって来て、えもいわれぬ臭いが漂っていたが、最近は入り口チェックを厳しくしたのか、見回りがちゃんとしているのか、それほど酷い臭いはしなくなった。専門の雑誌をひっくり返して、最近の印刷業界の動向なんかをチェック。飽きたらスポーツ誌の「ナンバー」とか、「創」のマスコミ特集号とかを読んで、2時間くらいつぶしたかな。雨が降りそうになったので退散し、銀座まで歩いて1人寂しく「銀ブラ」する。春なのか歩行者天国はアベックがいっぱい。そんな時だけは、天を仰いで「雨ふれ雨ふれ」と、呪いの言葉をつぶやきたくなる。

 山野楽器前で松任谷由美の新譜のプロモーション。たくさんの女性が集まっていて、未だ衰えぬユーミン人気を実感する。裏通りに回って山野楽器のゲーム・CD−ROM専門店へ。いまや「たまごっち」と並んで肉眼で確認することが極めて困難となり、いずれは天然記念物に指定されるであろうと予想していた「プレイステーション」の実物が、でいーんと陳列してあったのをみて心が揺れる。財布の中に2万円ははいっている。どーしよーか。買っちゃおーか。「プリンセスメーカー」も売ってるし。だがしかし、と考え直して財布を取り出すのを我慢する。

 流行モノを買うのは僕の流儀じゃない。就職先だって皆が行きたがる朝日とか読売とかじゃない、超マイナーな新聞社だったじゃないか、ってこれは選ぶ選ばないの問題ではなく、単に選ばれなかっただけだが、それはともかく「プレイステーション」など買っては、カルトなモノ、マイナーなモノに価値を見いだしては、宝物のように愛で、暗闇で取り出してはすりすりと頬摺りするとゆー、ヲタクの道に外れるとゆーもの。ここは敢えて世界の潮流、宇宙の法則に反して「セガ・サターン」を買うべきであろう。「エヴァ」の第2弾といっしょに、って結局は「エヴァ」って流行にのってるんだけど。

 日本橋の丸善へ回って「澁澤龍彦翻訳全集」の第4巻を購入。これまでの3巻、買ってから実は1度もページをめくってない。前に「澁澤龍彦全集」を揃えちゃった以上、やっぱり姉妹編の「翻訳全集」も揃えなきゃって思って、1冊7004円(税込み)などとゆー暴利にもめげず、せっせと買い続けている。そのうち読むだろーが、いまはとにかく時間がない。とりあえずマージ・ピアシーとかゆー女性作家の書いたSF長編「時を飛翔する女」(近藤和枝、學藝書林、2800円)を読み切らねばならないし、ル=グインの本もまだ積ん読の最中。そんでもって漫画にヤン・グアダルトを読んでテレビでアニメ見て、もしかしたら来週から「エヴァ」のゲームなんかやり始めてって、いったい仕事はいつするんだ。これじゃー助教授になっちゃうぞ。

 地下鉄で前に座った若い女性、真っ赤に目を泣きはらしていて、いったい何があったんだろーかと訝るが、何のことはないいまの季節につきものの現象、いわゆる花粉症とゆーやつらしー。目をウルウルさせてるから、なんか悪いことでもしたかなーなんて、自意識過剰になってしまった僕。別の電車ではマスクした女性がチラホラ、ハンカチで鼻をぬぐう男がぞろぞろ。文房具屋でも薬局でも、マスクとかゴーグルがズラリ揃えてあって、またぞろどこかの新聞が、「花粉症グッズ、売れ行き好調」なんて、人の不幸を逆撫でするよーな記事を、特集するんじゃなかろーか。

 グッズ類が売れてもとりあえず仕事には関係ないが、これが「花粉症情報のホームページ」なんてものが出来た日にゃー、ちょっとは仕事に関係して来るかも。花粉の飛ぶ方向や量をシミュレートするソフトが出たとかって話も関係あるかな。ホームページってなんだかありそー。きっと杉の花粉の拡大写真が載っていて、見ているとなんだか鼻がむずがゆくなってくるんだ。


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