縮刷版97年11月上旬号


【11月10日】 知らんどる間に松尾由美さんの「マックス・マウスと仲間たち」(朝日新聞社、1700円)が出とったもんで買ったがね。てっきり「トリッパー」あたりの連載かと思っていたら書き下ろし長編とかで、なるほど朝日新聞でもこーゆーことをやるのかと見直し、なんで松尾さんが朝日新聞から書き下ろしなんだろーかと悩む。まあ「ピピネラ」だって講談社だったから出版社はどこでもいーのかも知れないけれど、「バルーン・タウンの殺人」の頃から本籍地は早川書房もしくは「SFマガジン」とゆー固定観念がこびりついていて、そんな狭い視野を超越するかのごとくあちらこちらへと活躍の場所を広げていく松尾さんのバイタリティーに、とにかくやんやと喝采を贈る。

 喝采は活動ばかりではなく、本の中身についても贈ろう。なにしろ面白くって為になるんだ、この「マックス・マウスと仲間たち」は。マックス・マウスってのは世界でもっとも有名なネズミで人形になったりウェズレー・ランドのマスコットになったりしてるそーだから、知らない人はいないよね、って知らない人ばっかりじゃんか。つまりはあのネズミとあのネズミを創造したおっさんがモデルってことで、それも決して誉め讃えてはいない内容だけに、よくぞここまで踏み込んだ作品を書いたものだと感嘆、そして提示されている問題の現代性同時代性に我が身を振り返って驚嘆する。これを読んでなお玩具屋さんなりビデオ屋さんに行ってどっさりビデオを買い込んで子供に見せていられるか、自分で見ていられるか、それは信仰の度合いを示すバロメーターでもあり、面白さの度合いを図るバロメーターでもある。傑作。

 先月号だったか先々月号あたりからタカ派雑誌の「諸君」で身長体重とも不明の大塚英志さんによる連載「ぼくと宮崎勤の80年代」が始まっていて、つまりは80年代を回顧していこうってな感じの内容だけど、個人的に興味のあった「漫画ブリッコ」に関する記述について、「噂の真相」12月号で身長165センチ体重80キロを超えてるかもな中森明夫さんが「微細な差異にこだわっている」、じゃない大きな間違いを指摘して呆れつつ糾弾している。すなわち「諸君」の連載で、自分が「漫画ブリッコ」唯一の編集者だったよーなことを強調している大塚さんだが、実は「ブリッコ」リニューアルの目玉となり、今へと続くニューウェーブ系漫画人気の礎を気づいた岡崎京子さんや桜沢エリカさんんを発掘したのは、青木光恵さんのご主人の「オガぴー」さんだったと中森さんは書いている。

 なんでも大塚さんの連載では、かくも実績のある「オガぴー」さんのことが「ある出版ブローカーのような青年」と書かれていて、そのことに中森さんは「そりゃないんじゃないの」といたく憤慨している。もとより大塚さんと中森の確執は、「別冊宝島104 おたくの本」に書かれているよーに「おたく」の命名を巡って「ブリッコ」誌上のコラムが打ち切られた当時から実に10数年に及ぶものらしーから、一方の言い分をそのまま信じるのは問題たって声もあるかもしれないけれど、同じく10数年を経て青年にダッシュが付くあたりまで歳を重ねた「オガぴー」さんその人から、「ブリッコ」での仕事のあれこれをそらそれ聞いたことがあるので、「諸君」というタカ派だけどメジャーな雑誌の連載によって既成事実化していくかもしれなかった1つの歴史に、「諸君」ほどタカ派じゃないけどマスコミ界では立派にメジャーな雑誌の連載によって早い時期に異論が唱えられたということは、まこと評価すべき筆功であると心から讃えたい。だから「オガぴー」さん原稿下手でも御免してね。

 解らんなあ「cominavi」の創刊号。たぶん「ぱふ」くらいしかない(「ダヴィンチ」のコミックコーナーはちょっと無視)総合漫画情報誌の世界によくぞ参入して来たものだと、とりあえずはその英断を讃えたいとは思うけど、アニメは売れても漫画は決して伸び盛りではない現在に、こーゆー雑誌を出して果たして需要があるんだろーかと、ついついいらぬお節介をしてしまう。創刊号の特集は、ドラマとかアニメとかとのメディアミックスが漫画の世界で流行っているって内容で、インターネットとかCD−ROMとかってマルチメディアとの融合も進んでいるあたりを抑えていて、それは確かに今のトレンドを抑えている。角川書店のメディアミックスを井上伸一郎さんに聞いているのも正道でしょう。ただちょっと内容が男の子寄りで、男の子って漫画情報誌なんて買うんだろーかと考えてしまって、僕は「ぱふ」とか買ってたけど欲しかったのは普段読まない少女漫画の情報だったりしたから、果たして売れるんだろーかと悩んでしまった。これぞってなコラムがあれば続けて買うかも。単行本の紹介は取りあげられている冊数も内容についての文字数も結構なもので、これは確かに役に立つ。「まんだらけ」渋谷店のコスプレ店員のハニーは足が太いぞ。

 「アニメージュ」12月号を読み巻末のプレゼントのコーナーにある「神崎あかりエアークッション」が欲しまる。パイオニアLDCのグッズだったら社長の人をおどかしてガメに行くんだけど、インクリメントPでもツテを頼ってガメに行くんだけど、いったいどこが作っているんだろーか。大きさが解らないのが難だけど、ぜったいに等身大の抱きつき枕に違いないと頭の中ですっかり想像を固めてしまっているので、もしかりに万に1つ手に入ったとしたら、やっぱりあーしてこーしてそれしてやれするんだろーと、頭の中で勝手に妄想を膨らませている。ブルマはかせるってのは邪道だろーか。穴をあける・・・・ことはしませんだってエアークッションだからそれは無理、ですよね無理じゃなくてもやっちゃーいかんだろー。しつっこく「あかりハウス」も作れよと叫ぶ。

 そんなに面白いのか「フォトン」。天地無用でおなじみな梶島正樹さんがキングレコードと組んで送るよく解らない作品だけど、お色気たっぷりアクションはよく知らないけれどたぶん最高に楽しい物語を得て、てんでバラバラになってしまった天地無用の仇を取るよーな作品世界を見せつけてくれちゃっているのだろー。だってあのカラいあさりよしとおさんですら、星を4つも付けているんだもん。ほかの4人も星5つが3人に星4つが1人ともう最高に近い評価ぶりで、これは絶対に買わなくちゃいかんと、発売日の11月21日を指折り数えて待つことにする。えっと同じ日には「はれときどきぶた」のビデオも登場で、2話入って1980円でいっきょに4巻リリースはちょっとしたサービスではないかと思う。大盤振舞だねえ、白川隆三しゃちょー。LDは先になりそーだからファンならずとも即ゲットしとかんとかんがね。


【11月9日】 上には上がいて先には先がいるのが果てしないおたくの世界。かの「あかりハウス」をすでに製作していた人がいたって、ぜんぜん不思議ではないのかもしれない。ナポレオン文庫全巻読破で有名なかなかのりみさんからご紹介頂いたl−walkerさんの『秘密の空間』に行くと、そこには原寸大で完璧に再現された「あかりハウス」の画像が。原型師の腕も確かならモデリングの技術もしっかりしており、これならワンフェスに出したってコミケで売ったって新宿西口で使用したって全然違和感がないかもしれない。うーん負けちゃおれんと明日にでも運輸省担当のツテを頼ってヤマト運輸あたりに乗り込んで、引っ越しようの段ボールを山ともらって「あかりハウス」の量産を始めるとしよう。年末のコミケで徹夜組に売れば1ハコ1000円で10万人で1億円の収入が・・・・。

 米田淳一さんの「プリンセス・プラスティック」(講談社ノベルズ、950円)を1晩かかって読了、うへーいこーゆー人がまだまだ世界にはいたんだってことが解って嬉しくなる。コスプレした姉ちゃんが2人立っているヤングアダルトのよーな表紙の絵を見て、またかと呆れる人は少なくないかもしれないし、読み始めて真っ先に登場するキャンパスクイーンを決めるシーンに、やれやれと疲れる人も少なくないと思うけど、そのまま読み進むとおおなんと、士郎正宗の描くようなネットワークで結ばれた近未来社会を舞台にした、エヴァンゲリオンの描くような世界を影から操る秘密組織の陰謀を、大野安之の描くようなすーぱーぷりてぃいひーろーず(だったっけ? 手元に「That’s イズミコがないんで解らんのだが)が叩き潰すってなスーパーハードなHGじゃないSFが展開されているではありませんか。

 帯にあった「シファリアス級女性型戦艦、進空!」って意味が最初だけではさっぱり解らず、もしかしてトランスフォーマーよろしく表紙の美少女たちがガチャコンと変形合体して戦艦になるのかと思ったらさにあらず、それは最新の宇宙理論なのか量子力学なのか情報工学なのか遺伝子医学なのかはともかくとして、さまざまな科学理論をテンコモリにしてつなぎ合わせたの成果としての、まさしく「シファリアス級女性型戦艦」だったのだと知って、またまた吃驚仰天してしまった。こりゃ無敵だわ。んでもって無敵な彼女たちがあらゆる制約のなかで精いっぱい最大限の能力を駆使する緊張感溢れる物語を展開するにあたって、これは米田淳一タダモノではないと驚天動地してしまった。続編があるのかないのか知らないけれど、これから出る瀬名秀明さんの新作をともに、97年の掉尾を飾る2大SFとして歴史にその名を刻むことであろー。どーせだったらイラストも大野さんだったらよっかたのにー。

 太り気味なのでダイエットのために肉も卵も入れないバジリコスパを作って食べよーとバジルの葉っぱを買いに行く。ついでに塩がきれていたことを思い出して、西武百貨店の地下で赤穂の天塩を探していたらフランスの「ゲラントの塩」とゆーのを発見、洋モノに弱い性格が禍して3倍もの値段がするこの塩をフラフラと購入してしまう。1キロ700円は精製塩だったら10倍くらいの値段かな。しかし値段が高いだけあって一粒ひとつぶがしっかりと大きく、かつ独特の風味に満ちている。それこそ指にのっけてそのまま舐めても立派に酒のつまみになるくらいの濃い味で、なんだか冬に向けて御一献、吟醸酒を仕入れに行きたい気持ちに駆られてしまった。どうせだったら地元愛知ですら幻扱いされている蓬莱泉の「空」を仕入れにいきたいところだけど、東京近郊じゃあ滅多に見かけないからなー。「美」じゃーちょっと格が落ちるし、やっぱ蔵本に押し掛けるか、すっげー遠いけど。

 食事を終えてイトーヨーカ堂へと腹ごなしに出向き、新作のガシャポンでもないかと5階に上がったらありましたありました、「機動戦艦ナデシコ」のガシャポンが鎮座ましましておられまして、早速1000円札を100円玉にくずして200円づつ3回プレイ、一番人気の「ルリルリ」は手に入れられなかったけど、2番人気の「ユリカ」に3番人気の「ゲキガンガー3」に4番人気の「エステバリス」をゲットして、家に帰って早速組み立てる。ロボット系はさすがに原型師の腕がよいのかダイナミックなフォルムが美しいけど、ユリカは線が細くておまけに色がハミ出たりして、机の上にあんまり映えない。胸が大きいところはそれでも流石にトキメクけれど、下から見上げて肝心の「白」がないのは許せない。たかだか200円のガシャポンに「白」もなにもないんだけど。明日は早引けして「ルリルリ」ゲットしに行くぞー。「白」あるかな?


【11月8日】 「大運動会」を見る。録画の予約を忘れたのを深夜になって思いだし、大勢のさらりまんで賑わう繁華街で「しまった」と大声で叫んだ先週の如くに1週話があいてしまって何が起こっているのかさっぱりわからず、いきなり神崎あかりが北海道に帰っていたので驚くが、主人公の脱走は「ガンダム」の昔から「エヴァ」にいたるまで成長物語には不可欠なのでまあお約束、第6話ってのも半年のシリーズではむしろ遅すぎるくらいで、たしか「エヴァ」なんか第4話で逃げ出してるから、およそ常道を突き進む作品とういことなのだろう。

 アムロの場合はうやむやのうちに戻って闘うことになったしシンジは連れ戻されて立ち去ろうとして自分で戻った。あかりはといえば親友のいっちゃんが迎えに来ていやだいやだと意固地になって、それでも説得されて思い直して戻っていくというこれまた完璧な王道なパターン。ちょっとだけ成長したところを見せて次からは一挙に頭角を表していくことになるんだろーと勝手に想像。畳めばポケットに入り被れば夜露がしのげて凄いスピードで走っても壊れない「あかりハウス」、だれかコミケで売らないかな。なければ自分で作って売るか。

 でらでらとベッドを抜け出して東京駅へと向かう。昨日から旧国鉄本社ビルの公開が始まっていて、まあ折角の機会なんでのぞいておこーと大勢のおじさんおばさんとおじいさんとおばあさんとお上りさんとガキのお子さまに混じってあちらこちらを見学する。運輸大臣室はなんだJR東日本の役員フロアじゃねーかつまんえーと思いつつも窓からながめる東京駅の全容に、「我こそは鉄道の神なり」と大声で叫びだしたくなったけど、叫ぶバルコニーもなくたすきもはちまきもアジビラも関の孫六も持っていなかったので(あれ、ちょっとアイティム間違えたかな)諦める。そのまま8階の司令室に上がると、かつて進駐軍総司令のマッカーサーをしてその接収を諦めさせたという日本の鉄道の総本山の中枢が、機械も抜かれて残骸をさらしてくれちゃっていた。

 見ると隅の方で壁にはられた鉄道の路線図に描かれている駅名を、1つひとつ指でなぞっている中途半端に長髪の妖しい青年。そうかこれがウワサの「鉄ちゃん」かとじっくり観察していると、振り向いてつかつかつかっと歩み寄って来る。もしかして洗脳されるんじゃないか、明日から家を出るとき出発進行と叫ぶよーになるんじゃないか、などと震えていると意に反して僕には見向きもせずに、後ろにあった別の機械にいとおしそうに触り始めた。ボタンを押したり受話器ととったりなぜたりなめたり股間をスリ寄せたり・・・・はしなかったけど結構真剣にこれらの機械をながめていて、世の中には本当に鉄道が好きな人がいるんだなーと眼を開かれる思いを味わう。こんな熱烈なファンの人たちに支えられているJR諸君、商売なんぞに血道をあげずにちゃんと安全守って働きましょう。

 旧国鉄本社ビルを出て東京ステーションギャラリーで「レオノーラ・キャリントン」の展覧会を見る。戦前から活動をはじめて今も現役とゆーシュールレアリストの画家。20歳前後であのマックス・エルンストと親交を結んで同居もしていたとゆー熱情いっぱいの人みたいだけど、描く作品は幻想的かつ思想的でちょっと神話的で、絵とゆーよりは物語の1場面のよーな印象を受ける。カバラやエジプトの神々やらから始まって近作になるともう原典は解らないけれど想像の限りを越えた神秘の世界をカンバスに描き出していて、見る者を幻想の世界へと引きずり込んで話さない。緻密だったタッチがだんだんとゆるやかになっていくのはやっぱり歳だから? 12日まで開催中、大人800円。

 着々と書き進められていた島田荘司さんの「三浦和義事件」(角川書店、2800円)が発売される。これを落とすとワールドカップへの出場が途切れるとゆー試合が延長からPK戦へと持ち込まれて最後に蹴る段になってキッカーのカズがマークの上にボールをおいて顔を上げたとたん跳んで来た空き缶に頭をぶつけて絶命したいったい犯人は誰なんだ、とゆーこれから起こる事件とは一切の関係はない。ベタな冗談ですいません。この事件が世間を騒がせた昭和59年から60年は大学に入ったばかりで結構忙しかったはず(だって往復4時間かけて通ってたんだから)なのに、事件の経過をワイドショーは見でいたし深夜番組でも見ていたし、雑誌もしっかり読んでいたよーな気がする。

 つまりそれだけ連日連夜「三浦事件」が報道されていたってことで、それもすべてが「俺に関する噂」も底抜けなプライバシーのあらゆる部分にまで吹き込んだ微に入り細かを穿つ報道で、数カ月を経ずして日本中が「三浦さん」についての評論家になってしまった。これ以上の報道集中といえば当たり前だが昭和末期の「昭和天皇崩御」報道くらい。もしかして1生に1度、いやいや1000年に1度あるかないかの大騒動だったんだなあと振り返り、それを同時代で経験できた生まれのめぐりに感謝する。自戒はあっても自慢にはならんが。

 「ポスト・エヴァンゲリオン時代のラディカル・ハードSFが誕生した」とゆー大森望さんのいかにもにやっぱりなセールストークを真に受けて、講談社ノベルズから出た米田淳一さんの「プリンセス・プラスティック」(950円)を買う。まだ読んでいないが「2135年、シファリアス級女性型戦艦、進空!」とゆー惹句に期待するところはまあそこそそ。表紙のイラストにグッとこないのが難点だけど、とりあえずは「貞本義行のキャラに士郎正宗の蘊蓄をぶちこんだ」「戦闘総質量十万トン」とゆー大森さんのお言葉を信じて信じ抜いてじっくりと物語世界を味わうことにするか。責任とってね。

 をーにっぽん。強いじゃん。最初からこんな試合をしていれば楽勝で1位でグループを抜けてとっくにワールドカップ出場を決めていたはずだよなー。パスは回るし足離れは良いしオーバーラップは的確だしセンタリングはばっちりだしシュートは極めて決定的。中央突破っぽいところとスルーパスが決まらないところがややもすればイラつく部分ではあったけれど、それも再度アタックへの布石とみればまんざら捨てたもんではないし、高木が入ってからは中央付近の混戦でもなんとなく石がしっかり出来た感じがして、そこを起点にぼつぼつとミドルを決めていくって手も使えそーな印象を持った。もうカズいらんな。ロペスを入れて高木中山残して岡野はポイか。うーん可哀想だけど親会社があんなんだから御免なさいして下さい。平野ー、出ろ。


【11月7日】 めずらしく早起きして運輸省へと向かう。金曜日は定例の大臣会見があって国会会期中は院内の議員食堂で8時半とかゆー殺人的な時間帯に会見を行うので、いつもすっとぼけてシカトしていたのだが、今日は特別に朝10時からの会見で、それも重要事項についてのお言葉が発せられるとあって、ヤジ馬根性も手伝ってついつい出席してしまった。明日が新聞出ないから聞いてもまったく意味はないんだけど、これってこーゆー場にいたってこと自体がなんか後世に語れるかもしれないと考えると、やっぱりついつい覗いてしまう。ああ打算的。こないだの三洋証券の倒産会見だって戦後初って意味ではなかなか重要な会見だった訳で、そういう場に居合わせたことを末代まで語って「あの時はなあ」とかしつこく絡んで、最後には嫌われ者のジジイになるんだきっと。

 大臣会見の骨子は1つが整備新幹線ってゆーど田舎を走る新幹線をどこから作るかってんで、地方自治体がほいほいと手を挙げていて、それに政府が一応の優劣を付けたってこと。といっても1番2番3番と着順の札を持たせるようなあからさまなまねは有権者様に気兼ねしてとてもできず、とりあえずは需要予測とゆーことで開通したらいったい何人くらいの人が乗ってくれるのかって数字を、政府なりに試算してみせたってこと。しかし地方自治体が何十万とかいってはしゃいでいるのとは対照的に、政府の試算は超厳しくって、とりわけ北陸新幹線の長野−上越間なんて数千人キロってな需要しかないみたい。ほかは一応数万人キロって数字が上がっているから、これだけ見たら1番九州2番青森ずっと下がって3番北陸ってことになる。

 しかしそれでじゃあ決まりってならないのが政治のイヤラシサで、やれフル規格で作ったらどうなるとか北陸だったら上越から富山を経て金沢方面へと延伸した場合はどうなるかとかいった、あれやこれやとオプションをつけて絶対に言質をとられないように予防線を張っている。おまけに折角の試算に上乗せするかのよーに、長銀総合研究所に再度試算をしてもらっているってんだから驚きで、政府とか運輸省とか自治体が出した数字ってのはそんなに信用ならんもんなのか、あるいは長銀総研ってそれらを上回るだけの予想ができてかつ権威のある機関だったのか等など、いろいろと首をひねってしまう。TVブロス等で話題の山形浩生さんがいるシンクタンクはなんで依頼されなかったんだろー。やっぱ例の問題(もちろん証券不祥事のこと)でヤバいのかなー。

 そのまま続いてスバルのレガシィに欠陥が見つかったにも関わらず、スバルがだんまりしていた問題で運輸省がキレて法律違反だと罰を下した件について大臣がコメント。その途中で会場を出て自動車交通局長の部屋へと向かい、こっちではスバルの社長が局長から感謝状じゃない勲章でもない有り難くないことこの上ない警告書をもらう様を取材する。さすがにもらってVサインはしなかったねえ。さらに流れて共同会見場でスバルの社長の糾弾会。どうしてクレームがちゃんとリコールの対象になっていることを認識できなかったのか、組織上に問題があったのか社員の意識に問題があったんか、ってことを聞いているのに社長の人は認識が甘かった反省している気を付けるの繰り返しで、真相についてはなかなか語ろうとしない。想像だけなら上から隠せ隠せってな支持はなくても、暗黙のプレッシャーがかかっていて、リコールだよって言い出しづらい雰囲気があったんじゃないかと思う。ともかくもスバルが以後ちゃんとした体質になってちゃんとした車を作ってもらえればとりあえず良しとしよう。社長の人の目に涙はみていてやっぱキツいよなあ。

 とここまでが午前中の仕事。午後は海運会社の決算がまとめてどどどっと入って来て、あれやこれやで夕方になってしまいドッと疲れる。疲れながらも気を取り直して原宿のキリンアートスペースへ。今日から始まった太郎千恵蔵さんの展覧会「ROBOT LOVE」のオープニングレセプションがあるってゆー案内を、小山登美夫ギャラリーの小山さんからもらっていて、別にそれほど面識があるわけではないけれど、なんだか面白そうと思って顔を出す。受け付けではしっかりマスコミの名刺で入場、しかしアートで100歩譲ってキリンビールのギャラリーでも、やっぱ海運5社の決算とか整備新幹線の問題とかを担当している記者が行く場所ではなく、来場している最先端の人たちにもまれながら、とりあえず会場をウロウロしておつまみをかき込む。おお篠山紀信先生も来ているぞ。荒木経惟さんと仲直りしたんですかー、とは聞けんよな、やっぱり。

 太郎千恵蔵さんはなんでも18歳の時に単身ニューヨークへとわたって、映像とかアバンギャルドを学び、ジェフ・クーンズ(たしかチチョリーナの旦那だった人)とかといっしょに活動し、帰国後も矢継ぎ早に意欲的な作品を発表し続けている、村上隆さんあたりと並んで今もっとも話題のコンテンポラリー・アーティスト。近作ではたとえば首のないドレスを着た胴体が会場のなかを何体もめいめいに動き回る作品「ロボットドレス」が有名で、イタリアの展覧会なんかでは絶賛を浴びたそーな。今回も規模こそ小さいものの、ちゃんと動くロボットドレスが展示してあって、その奇妙な踊りぶりに引き込まれそうになった。でも具合が悪くて転ぶ奴が何体も出て、ちょっと無様だったなあ。改良の余地あり、かも。

 展覧会をプロデュースして自らも彫刻なんかを手がけている三澤憲司さんに話を聞くと、今がコンテンポラリーアートでもっとも活気がある時で、すごいアーティストがぼこぼこ出ているから、何でも見ておくといーよーとのことだった。10年たったらもう出ないとも言われてしまい、なるほど太郎千恵蔵さんが展覧会を開いた、その場所にいたってことが、三洋証券倒産会見なんかよりもはるかに重要な、後世に語り継ぐことの出来る事柄なのかもしれないと思ってしまった。ちょっと説得され過ぎかも。しかし三澤さん、アーティストでありながらコレクターとしても頑張っていて、村上隆さんのでっかい作品をコレクションしてほかにも太郎さんの作品が欲しい買いたいと会場を回っていたのが印象的だった。さすがに彫刻作品はバッティングするから駄目と言っていたけど、他のアーティストにも目を向けてその良さを認めコレクションするとゆー態度にはなかなか感心してしまった。どこにそんなお金があるんだろーってな関心も抱いてしまったのも事実だけど。12月7日まで開催中。午前11時から午後7時まで、入場料は一般500円。


【11月6日】 劇場版の「夏エヴァ」(「春エヴァ」もだが)で弐号機が寸胴なのはみやむーにフラれた庵野監督のイヤがらせだとゆー説もあるおーだが、それはともかくとして「夏エヴァ」のフィルムブックをじっくりと読むといろいろな事に気がつく。別にアスカの乳輪が小さいとかシンちゃんの液が濃いとかいったシモネタではなく、例の「大人のキスよ」とミサトさんがシンちゃんにキスしてエレベーターで送り出した後、ズルリと倒れ込んで絶命、枕元にレイが立って次の瞬間大爆発が起こったあのシーンで、爆炎のなかにちゃんと五体バラバラなミサトさんがいたんですねー。足なんかちょんぎれちゃって胴体もきっとざっくりこん。こーゆー細かなところで凝るくらいなら(っても一瞬だから手間はないのかな)、やっぱ寸胴は止めて頂きたかったなー。

 DHLが北朝鮮に営業所をつくって国際宅配便の配達を始めたとゆー記事を書く。もちろん日本からもちゃんと送れるそーだけど、北京経由になっておまけに現地では現地の運送会社を使うことになっていて、本当に本当に大丈夫なんだろーかと別に見下す訳じゃないけどなんとなく心配になってしまう。送ったお米が途中で消えちゃう国だから。例えば北朝鮮に住む友人のオタクに日本の特撮映画を送ったとしよー、当然とゆーか絶対とゆーか途中でダビングされてマスターはあのお方のところにコレクションとして言ってしまい、ダビングされたものが友人の家に届くに違いない。なにせ北朝鮮でも1番の映画コレクターとゆー話だし、特撮映画に目がなくって自分でも特撮映画を作っちゃったくらいに人だもん、それも日本から一番の着ぐるみ俳優を招いて。あるいは宅配便の配送先にあのお方を指定して送ったらちゃんと届くんだろーか。こちらは本当に日本のアニメとか特撮映画をどっちゃりと入れてプレゼントと書いておくんだけど、もしかして喜ばれて招待されたら、なんか特ダネが書けるかもしれんなー。いっちょやってみるか。「平壌・金正日様」

 もう1つ仕事の話。中国への返還以後、ガクっと減ってしまった観光客を呼び戻そーとJTBが企画した超格安香港ツアーが登場したとゆー話を書く。12月1日から1月3日までの出発で、全4日の日程でなんと最低料金が6万1000円。どーせ妖しい場末のホテルに泊まらされるんじゃないかって、そう訝る声が出ても不思議じゃないけれど、ホテルは1つが「エクセルシオール」で、もう1つが「ニッコー香港」、おまけに移動は日本航空ってんだから、時期を考えれば通常だったら10万円から20万円はするコースってことになる。1番高くなる12月28日以降だって、最低が10万8000円(ホテルは「エクセルシオール」)だからやっぱり安い。2日目の夜には1時間のクルーズもついて、超お買い得なこのツアーに、ああ参加したいが1人部屋は別に3万くらいかかるんだよなー。だったら誰かと行けって? だっていったい誰と行くんだ!

 帰って「はれときどきぶた」を見る。幸せを感じる。安い幸せだねー。しかし冒頭から番組表と違ったタイトルがでておっとこれは間違えたかな、それとも間に合わなかったのかなと首をひねっていたら、やってくれるねー、ギャグだった。わざと違うイントロでぐっと観客を目をつかんでから、一気に本題の「はれぶたVSクロブタ」の巻へと突入、朗々と歌い上げるクロブタに対抗してレゲエにヒップホップにパンクに演歌をキュウキュウと唄うはれぶたのその可愛くなさといったら。バラエティに富んだ展開は、おそらく単一商品のはれぶたのキャラクターにバラエティを持たせるためであって、きっとそう遠くない将来、レゲエぶたにヒプホップぶたにパンクぶたに演歌ぶたのPHSストラップとかピンバッジとかヌイグルミとかレコードが登場するに違いない、ってそーゆー考えがあることを実は製作者の人から聞いていたりするんだけど、でも実現するかはまだまだ解らんなー、認知度けっして高くないし。某ポケモンが18%稼ぎ出すと、結構良い数字を出しているにも関わらず、落ち目に見られちゃうから、仕方がないところもあるんだけど、でも決して落ち込むことなく、とりあえずは来年3月まで頑張って。

 「SFバカ本 たいやき編」(ジャストシステム、1600円)登場。うーむ内輪ネタは減ったがシモネタは増えてる、ってゆーかほとんど全部になんらかのセクシャリティな描写が登場して、そうかバカ話ってエロ話だったのかーと得心したくないけど現実そーなので納得せざるを得ない。うーん、面白いんだけどねえ、面白いんだけどやっぱりなあ、こう固まってこられるとツラいよなー。1番はやっぱり森奈津子さんの「西城秀樹のおかでです」でしょう。あまりにもバカ、そして楽しくどこか哀しいその展開に、ああ俺もあの時はいっしょになって「わーいM・C・A」ってやってたなーと遠い目になる。キャラクターは異色だけど、設定も異様だけど、そんなキャラや設定で当然思いつくシモネタに絡めとられることなく、人間のあくなき正しき欲望をとことん描き出すなんてホント凄い。大原まり子さん、山藍紫姫子さんもグッドグッド。まあ「バカ」かどーかは別にして、季刊ペースで続けて欲しいアンソロジーではあります。雑誌にしてもらった方が安くなっていーかなー。


【11月5日】 別冊宝島349「夜のおかず読本」を買う。食欲の秋の日は釣瓶落としにぴったりの、夜のおかずたちをたくさん集めたムック。ページを開けば美味しそうなフォルムがぎっしりと詰まって、動き出した右手(あるいは左手)は激しい動きにその輪郭は霞んでみえず、次から次へと登場するレシピに、もういくらトイレットペーパーがあっても足りません、ってちがーう。そうじゃない、いやそうかもしれないけれど、それじゃああまりにもナマ過ぎるから訂正します、正式には「空想美少女読本」です。良い子の皆さんは本屋さんで決して「別冊宝島349夜のおかず読本くださーい」とは叫ばないよーにね。

 タイトルを見れば一目瞭然のよーに、「空想美少女読本」ってのはつまり、アニメとゲームと特撮に登場する美少女たちをいっぱい集めたムックとゆーことで、最近別冊宝島でとっても力が入っている、アニメ物マンガ物オタク物の流れを組む1冊ってことでしょー。取りあげられているキャラクターは極めてオーソドックスで、ラナなりナウシカなりラムなり不二子なりメーテルなりセイラなりエヴァご一行様なりってなあたりを中心に、当然黄色のインナーがまぶしかったアニーや、白がよかった白鳥のジュンなど、夜の股間をツンツンと言わせてくれた美少女たちがしっかり抑えられていて、とっても胸キュンな気持ちになる。まあキュンとなるのは胸だけじゃないけれどね。

 同じ気持ちの人が多いのか、ヒロインたちを紹介している文章のなかにも、いわゆる右手系(あるいは左手系)のエピソードが数多く取りあげられていて、女性が読んだらきっと赤面するかも(って今時小学生でも赤面しねえやな)と思ったけど、考えてみればとても女性が読みそうもないタイトルなので、そのあたりライターさんも全開で臨んだんだろー。ファスナーも全開か。個人的には「ドロロンえん魔くん」の「雪子姫」がちゃんと取りあげられていたところに拍手。なぜって大昔だけどまだビデオを持っていなかったころ、夏休みで再放送中だったこの番組の雪子姫登場のシーンを、カメラで撮ってプリントして大事に取っておいたホロ苦い記憶があるから。使ったかって上半身しか写っていなかったからちょっと使えなかったけど、でもテレビで飛び跳ねていた雪子姫を見ながらスルのは結構大変だったよなあとあの熱い日々を思い出して、やっぱり下半身がキュンと来てしまった。なんかマロンフラワーな話ですいません。あとは真面目になります。

 「新世紀エヴァンゲリオン劇場版」のフィルムブック「第25話夏のおかず」を買う。4度見てそれも冒頭のシーンをくっきりと頭に刻み込んで家に帰っておかずにしたあの暑い夏の日を思い出して・・・(グゴガッ)・・・すいません。ちゃんと生きます。よーするに「第25話Air」のフィルムブックのことなんだけど(知ってるよな)、冒頭のおかずなシーンだけじゃなく、「春エヴァ」公開時も含めて何度も見返して結構しっかりと頭に刻み込んでしまっていた関係で、フィルムブックで読み直してもストーリーそのものを確かめることはしない。

 むしろどんな絵だったのかを確かめる方にウエートを置いたけど、やっぱり寸胴だった弐号機の不格好さだけが、改めて気になってしょうがなかった。あの「アスカ来日」の時に、戦艦の上で跳んだり跳ねたりしていた弐号機が、なんでこんなに太っちゃったんだろー、仮に昔のままだったら、あのウナゲリオン共との戦闘シーンももっと締まったものになったんじゃないかって、死んだ子の歳を数えるよーなことをしてしまった。とまれ早く「まごころを君に」を出してくれ。絶対買うから。もちろん「冬のおかず」にするために。

 「TVブロス」買う。後ろの方に載っている実質的な「ファビュラス・バカ・ボーイズ」のページから真っ先に見ると、おうおう紹介しているではないですかあの「オルタカルチャー日本版」をガース柳下先生が。わかりにくい「オルタナティブ」なんて言葉を「TVブロス」であり「オタク」と割り切って考えるその潔さあっけなさになるほどと得心、んでもって「基礎知識がなければ無意味」と言っている部分になるほど単なる用語辞典ではない、「オルタカルチャー日本版」の奥深さを再認識させられる。けど最大のヒットで「SF」と「小谷真理」の項目を取りあげているなら、問題とゆー中身についてもノーコメント(ここではとの注釈は付いているけれど)なんて仰らずに、ちょっと解説してやくれませんか。そっちのぎょうかいにきそちしきがないのでよくわからないんですぼく。

 運輸省の共同会見室にJR七社の社長たちがやってくる。アクの強いJR東日本の松田社長を筆頭に、お歴々がずらりと並んで座った様はまさに壮観、滅多に見られるものじゃなく、カメラを持ち出して何枚か撮影して会社に送る。これは珍しいものが撮れましたと注釈をつけて、ね。なんで7人が一同に揃ったかといえば、旧国鉄時代の長期債務で政府が処理することになった28兆円が、実は政府だけでは処理しきれなくなっていて、だったら国鉄から独立して民間会社になったJRに負担してもらおーとしたところ、呼びつけたJR7社の社長たちが、筋が違うと怒ってそのことを自民党で説明して、返す刀で運輸省で会見を開いたから。

 別にケチだから払えないんじゃない。すでに分離の時に応分の負担に応じていて、とても余裕があるわけじゃないし、おまけに上場企業だから、予定になかった負担で経営が悪化すれば、投資家や株主から反発をくらって、日本の証券市場への不信感にも繋がりかねない。株主代表訴訟だって起こされちゃうかもしれない。とまあ、筋論でいけばまさにその通りで文句の付けようもないんだけど、感情的にはなんか負担しちゃってもいーよーな気がして、そんな無理と道理とがせめぎあいが、今月いっぱい続けられることになるんだろー。どーでもいーけど冬もポケモンラリー、やるのかなー、松田社長に聞きたかったけど、とても聞ける雰囲気じゃなかったしなー。って当たり前だわな。


【11月4日】 テレビ東京で「吸血鬼美夕」を見る。アミューズメントメディア総合学院の相変わらずなCMも、見慣れてくればこれでなかなか・・・・やっぱり変だ。しかしたとえ変でもそれはそれで話題になれば良いことで、一生懸命遊んで書いた記事がまったくもって人々の口に上りもしない辛酸をナメ続けている身にとっては、たとえ悪口でも罵倒でも雑言でも評判になるってことは素晴らしい、ってあのCMが悪口雑言罵詈罵倒の対象になっているかの如くの言い回し、すいません、かの如くではなく本当です。「美夕」は代わらず「美夕」のままで「ゲゲゲの鬼太郎」とも「ドロロん閻魔くん」とも全然違った妖怪退治の物語を見せてくれる。キメの場面なんかでアップになるキュッと締まった口元(エンディングでも2つばかり出るネ)に、下半身がゾクリと来る私は口フェチなのだろーかなのだろーな。

 打ち合わせなどをして寝て起きて仕事。電車の中で津原泰水さんの「妖都」(講談社、1700円)を読み終える。アンドロギュノスが出てくる辺りは耽美の要素も抑えているけど基本はゾンビなホラー物、あふれでる血飛沫にはみでる臓物、割れる頭蓋骨がゴンガンと、まあそんなオドロな描写が結構相次ぐ。けれどもヌレヌレベトベトな印象を不思議と受けないのは、使われている文章の流麗さによるところが大きいようで、流石に少女小説の世界で鍛えただけのことはあると得心する。入れ替わり立ち替わりの登場人物に誰がどれでどれがあれだったんか迷うことしきり。しかしおおむね理解し終えてもなお謎に満ちたラストに、再読、再々読の必要を強く感じてとりあえず表紙を閉じる。まんず今年下半期のエポックメイキングたりえる作品。後ろの4人も決して誉めすぎじゃーないね。まあ澁澤的にアンドロギュノスさえ出てれば結局なんでもオッケーなんだけど。

 新宿駅の南口に出来たJR東日本の新本社ビルに初めていく。ほんとうはそこにある部屋に詰めていなくちゃいけないんだけど、人減らしのお陰で担当がどえりゃー規模に及んでいて、とても鉄道だけにかまけていられなくって、これまでついぞお邪魔をするのを忘れていた。とにかく巨大な建物は、何兆円もの借金をかかえて事実上破産した旧国鉄の系譜につらなる鉄道会社には思えない偉容を誇っていて、14階あたりからのぞくとタカシマヤのビルも下になってちょっと良い気分。まあ反対側を見れば都庁とかホテルとかオペラシティとかがあって、ビルの形も高さもかなわないんだけどね。

 しかしどうなっているのやら14階のトイレは。普通だったらエレベーター横とかって奥まった場所に作るのに、この建物では建物の一番外壁に近い部分に、それもちゃんと足下まで下がった窓つきの部屋をわざわざ作ってトイレに仕立て上げている。もちろん朝顔は壁ぎわとゆーか窓側ではなく、窓に背を向ける形でついているんだけど、窓に背を向けてファスナーを下げてごくごく小さいものを取り出した時、なんか背中の視線が気になって仕方がない。あるいはズボンを足下までズリ下げてするタイプの人(って結構いるんだよね)だったら、もっと落ちつかない気分になっただろー。ブリーフを足もとまで下げて、って人はあんまりいないからいーか。

 ちなみに窓の向こうにみえるのは新宿の西側に広がる高層ビル群やらオペラシティ。もちろん眼下にはアスキーの本社ビルなんかもあるから、望遠鏡で僕の立ち姿をのぞいていたのはそこの社員かもしれない。なんかとっても自意識過剰。でもJRのビルからじゃー、トーシンビルは小さすぎて見えんのです。こっちからもパンツ下げてる人が見えるよーに、もっと稼いで高く大きくなって、隣りのNTTのビルとかを追い抜いちゃってね、ってそれはあまりにもあんまりな要求か。

 「デジャ=ヴュ・ビス」もはや10号。プロヴォーグを取りあげたり何度も荒木経惟を特集して話題だった雑誌「デジャ=ヴュ」がぶっ潰れてしまって幾星霜、残念に思っていたら何故か突然新聞形式で復活した珍しいめずらしい写真誌は、一見チープに見える紙ながらもクオリティーの高い写真を印刷するその技術と、カメラ雑誌が見向きもしない写真家たちの活動なり作品を紹介するとゆー独特の活動で、しっかりファンをつかんでいるんだろー。何しろ荒木経惟と篠山紀信って日本を代表する2大カメラマンが、創刊時からずーっと作品なり文章を寄せているんだもん、こんな贅沢な雑誌とゆーかペーパーが注目されないはずがない、売れないなずがない。えっ知らない、売れないはずはないんだけど、売ってないところが多いんだよなー。

 記念すべきはずではありながらもそんな大々的な特集を組まないのもらしくて良い。古屋誠一さんをトップ記事に中面では話題の「HIROMIX」についてのレビューが幾つか。あのヨミネットで大罵倒をしてくれちゃってた香山リカさんがなぜかこっちではベタホメしてくれちゃっていて、いったいどっちなんだと不思議に思って首を傾げる。あるいは言ってることはいっしょでも、記事に仕立て上げる側があれこ事情を斟酌してトーンを微妙に代えているとか。実際読売新聞の紙面に掲載された香山さんのコメントは、微妙にスリ帰られてマイルドにされていたからなー。でもまあ誉めてくれている分には結構なことで、あとはこのレビューが幅広く読まれることが大事なんだけど。だから見つけたら買ってね「デジャ=ヴュ・ビス」。500円だからお昼ご飯より安く荒木さんの撮り下ろし写真とさらにはしまおまほの「天才写真家星人アラキング」が読めるんだからー。


【11月3日】 ちょっと前に読んだ「麻子先生の首」という小説の作者で、たくさんの作品を撮っている映画監督の高橋玄さんから「読みました」とのメールが届く。もしや悪口でも書いてないかと感想文を見直して、茶化しても冷やかしてもおらずよかったーとホッと胸をなでおろす。前に柴田よしきさんから「炎都」についての感想文を読んだとメールを頂いた時は、結構ひどいことがかいてあってそれを見られて前身冷や汗ものだったからなー。しかし高橋さんがホームページをひらいていたとはつゆ知らず、のぞきにいってその火の車ぶり、にもかかわらずのヒラキ直りの潔さに、とにかく感服してしまう。

 まるで火の車の内情なのに、でいんと構えて次なる作品の構想を練り、ホームページでは映画のなんたるかをコーチする文章も寄せるといった具合に、立ち止まることも引き返すこともしないその前向きな姿勢には、とにかく感心してしまう。製作環境の制約があったVシネ版「麻子先生の首」ではなく、小説版のポップでファンタスティックなテイストの「麻子先生の首」を映画化したいとの考えもあるようで、まさにピンクのどこでもドアがゴロゴロと転がる研究室が再現されるのかと思って嬉しくなったけど、さて火の車だけにそそぎ込めば炎も盛りに灰となる。まこと世の中ままならず、いまは雌伏の高橋監督を、影ならが応援していきたい。精神的な。

 会社に向かう途中で本屋に寄って「別冊ぱふ 活字倶楽部」を買う。森博嗣さんのインタビューはこれまでどの雑誌に掲載されたものよりも分量内容とも抜きん出ていて、その編集ぶりにこの時ばかりは感謝する。名古屋で同人誌即売会といえば「コミカ」くらいしか知らず、それも鶴舞の公会堂で開かれた会に1度だけ行った経験しかないから、森さんが所属していた同人誌を手に取りも見もした経験はないけれど、その当時には結構「ぱふ」を読んでいたから、紙面では表紙くらいはみたことがあったかもしれない。改めて掲載されたその漫画は、当時だったらたぶんモダンすぎて受け入れられなかっただろーなー。でも同じペンだけってタッチの「あびゅうきょ」は好きだったから、あるいは受け入れていたかもしれない。キャラクターは結構可愛いし。とにかく当時のことは当時にしか解らないもので、今となっては当時出会えなかった不幸を、ちょっと残念に思うくらい。だってもっていれば良い値段で売れたハズだヨ。

 ついでに津原泰水さんとゆー元少女小説家の初大人小説「妖都」(講談社、1700円)を買う。金子国義さんのデッサンを配したオレンジ色の表紙は昔風でとにかく本屋で目立つけど、中を見るまで京極夏彦さんとこの仕事だとは気が付かなかった。「パズル崩壊」なんかの仕事とはちょっと毛色が違っていて、いろいろなフトコロを持っている人なんだなーと改めて感心する。裏表紙側に4人の推薦文をびっちりと載せるあたりもちょっと昔風。そのまま古本屋に置いてあってもおかしくないって気がした。肝心の中身は途中なので明言はできないけれど、かなり、いや相当に、たぶん絶対に面白い。腐臭と血糊でベタベタになりながら暗闇をのたうち回るって恐怖を味わえそうで、今が夏でなくって良かったと安心しているほどだから。あとでトイレ、いけるかなー。

 休みなのに会社ってのはたまに回ってくる休日出勤のため。で、何事もなくさあ帰ろうかと思った夕方、いきなり大蔵省から三洋証券がらみの発表があるとかで大騒ぎとなり、あれやこれやしているうちに三洋証券が会社更生法の申請をしたって話になり、午後8時から東京証券取引所で記者会見を開くってことになってかり出されてかけつける。会場に陣取って一生懸命メモをすること小一時間。後ろからガンガンとカメラが回っていたけれど、結構真ん中辺りに席を取っていたから、もしかしたらしっかり映っていたかもしれない。えっと、黒いとっくりセーターに頭しばった禿の後ろ姿が正面に向かって通路右に見えたらそれが私です(って解るわきゃねーよな)。

 安心して下さい三洋証券はつぶれません、じゃないつぶれたんだけど保護預かりにしている証券とか運用しているファンドだとかはみんなちゃんと帰ってきます。ストックを運用して商売している銀行と、そこが違うところでしょせんは売って買っての手数料で商売している証券会社、預かった株をうっぱらったり昔禁止になった運用預かりなんてことをしていない限り、預金みたいにデフォルトになるってことは証券会社の場合はありません。ありませんが取り付け騒ぎから金融不安になるってのはヤバいので、この休日に慌ててスキームを作って発表して、明日からの市場に備えたってところでしょう。休日出勤にブチ当たっていたほうにとっては良い迷惑だったけど。眠いヨー。


【11月2日】 微熱少年by鈴木茂っているのか頭がぼーっとして回らない。あるいは寒さしのぎにちびりちびりとやっている、5年も部屋のなかに放ったらかしにしてあった(未開栓ではあったが)「カミュXO」が血液中に溶けたまんまになっているのかのどちらかだろー。それでも工業新聞で初めてパンチラフィギュアの写真を載せてしまったインチキな企画が終了し、何週間かぶりに自由に動き回れる日曜日だったので、ごりごりと頭をなでつけて家を出て、木場にある東京都現代美術館へと向かう。朝飯代わりに近所のジャパニーズワッフルな今川焼きを2つ所望。1つは小倉でもう1つはクリームにしたけれど、秋なためかどちらにも栗の実が入っていてマーベラス。地下鉄の中でむしゃむしゃやりながら朝日新聞日曜版をチェックする。収穫無し。ちぇっ。

 到着した東京都現代美術館はまるで東京都現代美術館じゃないよーな混みよーで、現代美術が好きな人が世の中にまだまだこんなにいたんだなーと感涙にむせる。のも一瞬で、中に入ってしばらくして、実はこの人たち、別に明和電機や村上隆がスキって訳じゃー絶対になくって、「ポンピドー」ってな超ビッグネームに引きつけられてやって来ただけなんだなーってことが解る。たとえばピカソの前には黒山で、マティスの前にも黒山で、カンディンスキーにルオーにシャガールと見ればもうたくさん、1階に上がってミロあたりまではなんとか保つけど、デュシャンにマグリットにダリでうーんと首をひねり、ボイスにキーファーでもう沢山、3階に上がってバスキアにステラにコールダーにヂュビュッフェともなると、あれだけいた人がなぜかすーっといなくなる。おかげでゆったり見られたけどね。ディンゲリーの巨大なガラクタを。

 考えてみればすっげー幅の広い作品群を、一同に集めた大デパートな展覧会、老いも若きも楽しめるって点ではなかなかなのかもしれないけれど、じゃー日本でも同じことをやろーとしても、つまり20世紀初頭から今最先端の美術までをコレクションとして持てる「ポンピドー」みたいなことをやろうとしても、きっと資金と世論が許さないんだろーなー。超有名なリキテンシュタインの作品1枚が高いからってさんざんもめるお国だもん、ましてや超マイナーな現代美術を税金かけて集めるなんて、ね。かくして現代美術は生き残るためにオーディションを受け、熊ちゃんメールを作り、ガレージキットを巨大化させるのであった。

 しかしルオーの「聖顔」とかダリの「部分幻影、ピアノに現れたレーニンの6つの肖像」とかシャガールの「杯を掲げる2重肖像」とかミロの「闘牛」とかピカソの「アルルカン」とかブラックの「ギターを持つ男」とかをナマで見られたのは、たとえ黒頭茶頭ごしでも最高な気分。とりわけシャガールの3点はどれも美しく幻想的。これとルオーが見られただけでも行った甲斐がありました。3階までの吹き抜け部分に張られたピカソのタペストリー「バレエ『バラード』の幕」は圧巻。見上げると吹き抜けの1階部分に腰掛けた女性の奥が見えそうになるのは壮観だが、あんまり見つめ続けると石を投げられるので気を付けましょう。オペラグラスなんか使っちゃダメだよ。

 秋葉原へと転戦、中古のLD屋なんかを回りながら時間を潰す。最初のリバティーでジョージ・ルーカスが学生時代の習作をもとに作ったメジャー映画「THX1138」のLDが2280円で出ていたので即ゲット。これの存在を知ったのも、そうだ大昔に買ったバンダイのムックだったんだよなー。聖さんありがとう。つぎにディスクマップに回ると入り口付近に長蛇の列。ポスターの自販機が2台あって、中身はどーやら「悠久幻想曲」らしく、そこだけの設置だったとはいえ、これだけの人気ある作品になったのか、良かったなあと遠く(遠くもないけど)新横浜に向かってエールを送る。

 はじめは同人誌っぽい絵柄だなあ、なんて思ったくらいでさして気にも止めていなかったけれど、雑誌なんかもメディアワークスが中心とはいえ結構取りあげているし、グッズ類もやたらと出てくるよーになったし、人気なのか「2」の発売も決まったってほどだから、やっぱそれなりにウケるキャラクターだったんだなー。おじさんさっぱり解らない。ちなみに絵を描いている「moo」ちゃん、CMがヘロヘロな学院に在籍時代から女の子の絵ばっかり描いていて行く末を心配されたとか。初志貫徹ってゆーか好きこそものの上手なれってゆーか、とにかく得意技が1つあれば分業が進むゲーム業界、なんとか潜り込みたたき上げて果てはビッグマネーを手に出来るのかも。

 別のリバティーへと回って、そこでは古ぼけたビデオを1本購入。なぜか棚に飾られて鈍い輝きを放っていたのが眼に入り、手にとってタイトルを見て仰天、別に幻ではないけれど、あんまり見かけなくなった「くりいむレモン4 ポップチェイサー」だったので即購入する。えっ「くりいむレモン」ってあのエッチでロリロリなアレでしょうって方、そのとーり、一切の否定はいたしません、いたしませんがこの「ポップチェイサー」だけはちょっといわれがありまして、なんとスタッフに「あんのひであき」とゆー人が入っている。あの巨神兵でオドロなエフェクトを手がけた庵野秀明さんと同一人物かどーかは知らないが、他にも「比久保弘之」とか「土器手某」とかって名前が入っているところを見ると、おおよそ予想はつきますね。実際これらの名前に恥じないだけの爆発シーンに戦闘シーンが展開されていて、1680円払った価値は十分にあったと感じた次第。もちろん実用にも十分耐えますが。

 皆川博子さんの「死の泉」(早川書房、2000円)を読了。ナチスにカストラートに医学者に成長を早められた美少女ってな設定に、最初は耽美で退廃の物語を予想したら、耽美ではありながらも筋の通った復讐劇が綴られていて、まずまず楽しむことが出来た。劇中劇とゆーか作中作ってな設定の意味がちょと解らず戸惑っていて、この辺りを踏まえた上でどんな仕掛けがあるのかを、もう1度確かめて見る必要があるのかも。作品に登場する「人狼部隊」ってのは最近別の作品で見たなあ。


【11月1日】 東武百貨店の玩具売場で山ほどの「デジタルモンスター」を見かける。ついでに「たまごっち」のスタンダードな奴も山ほどみかけて、いよいよバンダイ気合いを入れて商品の生産に入ったかと思うが、実際のところはたまたまその日に入荷して並べてまだ売れてなかったってだけなんだろーなー。先週買った船橋西武の玩具売場には、山とあったはずの「てんしっちのたまごっち」も「デジモン」もすでになく、ハイパーヨーヨーですらギアの入った高い奴は姿が消えて一番安価な「インペリアル」だけが、それも6つくらい残っているだけだった。昨日立ち寄った銀座博品館に至っては「ヨーヨー」も「タマゴッチ」も「デジモン」も一切が置いてなく、いよいよ偶然の幸運との思いを強く持つ。

 幸運ならばそれをさらに高める意もこめて、5つ6つ「デジモン」を買い占めて高く売るって手も考えたけど、さすがに手持ちのお金は乏しく、だったら1つでも2つでも買ってお互いに育て在ってバトルし合うって手も流石に寂しく遠慮したい。事実手元には未開封の「デジモン」がもう1コあるんだけど、すでにナメクジモンまで育った「デジモン」を完全体にするために、もう1つの「デジモン」を育てて1人でピコポコやるのは寂しさを倍加するのがオチなので、やっぱり普段からの手持ちは1つのみ、んでもって相手を求めて都会をさまようことを潔としよーと決意する。いざ来たれり、わがモンスターに不足なき相手を。未開封の分は心の戒めとしてとっておこー。誰かに高く売れるまで。

 花が寂しさの象徴になりえるのだとしたら、それは花が人の寂しさを鏡のように写し取る力に長けているからに他ならない。あるいは人が勝手に花に寂しさを写しているのか。ともかくそんな人の寂しさを、花にたとえて写し出す短編ばかりを集めた菅浩江さんの「木枯れの花狩り」(角川スニーカーブックス、800円)を買って読み嗣ぎ、そっと部屋をながめまわして、心を写す花すらないその閉じこもった生活振りに、あらためて気が付いて茫然とする。花はただ咲いているだけで美しい、がしかしその美しさなど所詮は人間の心があってこそ、はじめて認識されるものでしかなく、ただ花として存在し続ける花の存在の力強さを改めて思い、花に思いを写さざるを得ない人間という生き物の浅ましさを強く思い知らされる。波津彬子さんのイラスト、そんな花たちを表すかのごとく凛として美しく、そして寂しい。紛う事なき傑作ゆえ、都会に暮らすすべての寂しい人たちは、すぐさま本書をその手に取れ。

 バンダイビジュアルの発表会でガメた「MEMORIES」のLDボックスを1枚づつ見ていく。まずは「彼女の思い出」から。うーん美人ですねえ、歌の人。おそらくこんな話だろーと予想していたそおとおりに進んでいく、寂しさを頂点まで募らせた女性の思い出にからめ取られる男たちの狼狽ぶりに、やっぱ男って弱い生き物だわってな印象を強く持つ。つぎに「最臭兵器」。あれだけのミサイルやら爆弾やらに被弾してもなお走り続けるってのは、物語を面白いものにするための一種のお約束の世界だと思うが、それをリアリティの欠如と指摘したら一歩も進むことができないし、そもそもシチュエーションを楽しむスタイルの作品で、そんな野暮はいいっこなしと解っている。

 しかしいったいどんな臭いなんだろうかと、画面を見ながらいっさい届いてこないその臭いに思いを馳せる。黄色い色が見えるほどの臭いなんだから、きっとそっち系の臭いなんだろーかと思うけど、臭気も慣れれば実に芳しいものに思えてくるから、瞬時に気絶するほどの臭いってのは、慣れとかそんなレベルじゃないんだろーねー。残りの「大砲の街」はとっても意欲的な作品。映画っぽいって言えば言えるけど、キャラが特異なもんで従来のアニメファンにはちょっとキツかったかもしれない。3本では好みはそうだな、やっぱり美人のキャラと美少女のキャラが出てたってことで「彼女の思い出」かな。「STEAM BOY」の後も大友克洋さん、まともにやれば「2020年までかかるかな」(渡辺繁バンダイビジュアル社長)ってほどの企画を持っているらしーから、少なくとも僕が死ぬまでは楽しませてくれるだろー。もうちょっとペースあげて作ってね。

 勝ったぞニッポン。前半は前のUAE戦の前半と同じくらいプレスがかかって、前線からボールを奪ってささっと攻め上がってんでもって相手が体勢を整えられないうちに得点、って戦法がびったりキマって、最初に1点と、終わり掛けに1点を追加して余裕で折り返すことができた。問題はやっぱ後半で、動きが落ちてボールにプレスをかけれなくなったのは前戦と同じ。攻め方もなんかゆっくりしてきて、個人的に好みな最小限のパスで前線へとあっとゆー間に攻め上がってスポポポポーンと点を取る、そんなシーンが見られなかったのがちょっと心配に思う。動きの落ちた北沢に代えて平野を入れたのはグランパスファン的にオッケー。どーせなら右60度あたりからの左足のフリーキックってのをやらせて欲しかった。次はカズが警告の累積で出られず、たぶん城と岡野の2枚フォワードでいくんだろー。とりあえず出た平野には次もやっぱり出て豪快なミドルをきめちゃって頂きたい。先はまだちょっとだけ長いぞ。


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