縮刷版97年10月上旬号


【10月10日】 体育の日なので体育をするために「ららぽーと」までけった(=自転車)とばして駆けつける。「そごう」の屋上にしつらえられたフットサルのコートは相変わらずの閑散状態が続いているよーで、休日の真っ昼間だとゆーのにどこの誰も試合をしておらず、見て勉強するとゆーことができない。こんな時に自分たちが試合なんぞをはじめた日にゃあ、ギャラリーがぞろりと集まって来て下手っぴーな技術を笑われるとゆー恐怖感がむりむりと沸き起こるが、幸いなことに屋上にはペットショップと子供向けの遊具くらいしかなく、若いにいちゃんたちに囃される心配はなく、とりあえずホッとしながら試合までの時間を潰す。

 2週間前に同じ場所で試合をした時に比べて数時間遅い時間帯なのに、太陽の照り具合がよろしいのかそれとも体育の日だからなのか、妙に熱くてノドが乾く。決して走り回ってはいないのに、ちょろちょろとラインを駆け上がってシュートしてミスして反撃をくらっても、戻るだけの体力がない。これが広いサッカーグラウンドだと、まあだいたい与えられた範囲を護っていれば事足りるんだけど、全員攻撃全員守備が鉄則のフットサルではそんなズルがきかなず、痛む足をひきずりひきずり、なんとか試合をクリアする。まあ同じチームどうしの練習試合だから、そんなにシャカリキにはやらなかったけど、きっと明日は足をひきずっていることでしょう。だから親指、踏んじゃダメだよ。

 「ららぽーと」は相変わらずの人出。船橋に住んでまもなく8年になるけれど、最初のうちに面白がって通っていたときは、妙にダサいとゆーかフルいとゆーか、どこか地方のレジャー施設ってな趣(おもむき)の人たちが三々五々集まって来たって感じがして、どこか寂れた雰囲気をもっていた。それがいまでは結構なレジャースポットへと復活を遂げ、土日ともなれば着飾った(ってもカジュアルだけど)若者たちがワンサとつめかけ、親子づれがどっちゃり入り込み、通路もろくに歩けない程の混雑を見せている。あるいは景気が悪いので、お金のかかるレジャー施設に行くよりは、こーゆーところで1日ツブした方が安上がりってな、昨今の経済情勢を繁栄した現象がここに顕在化しているのかもしれない。

 ミネアポリスには「アメリカン・モール」があってオーランドには「フロリダ・モール」があって、そのどちらも広さでは「ららぽーと」の何倍もあって施設も充実しているけれど、日本の狭い国土を考えたら「ららぽーと」でも広さだけなら国内でも有数っていったところでしょう。これで巨大なマルチプレックス・シアターとか、洋服のアウトレットのショップなんかが出来たら最高なんだけど、生憎と映画館はそれぞれの系列のがすでに入って系列どうしの縄張り争いを強めているし、アウトレットなんてやられた日にゃあ既存店が大損をこく。運営者側がどういう意識でいるのかは解らないけれど、それでも「トイざラス」なんかを入れたあたりに、次への打開策を模索する動きが見えないこともなく、これから果たしてますますの発展をとげるのか、それとも海外旅行にディズニーランドといった巨大レジャー再びな状況になって寂れていくのか、沸き立ついまこそ大事な岐路にあるってことだと言えるでしょう。「まんだらけ」とか、出来ないかなあ。

 体育の日に相応しいアニメ「バトルアスリーテス大運動会」は2話にしてテンションはますます鰻登り、ギャグの入りも気持ちよく、とりあえず安心して見ていられる。同じテンポだったけど「新・天地無用!」や「魔法少女プリティサミー」はキャラへの思い入れが強くそれがネックとなって目を曇らせていた観がある。「大運動会」もゲームにOVAがあるけれど、とりあえずはテレビ版が自分にとってのファーストルックでスタンダードなので、先入観なく見ていられるのが有り難い。しかし関西弁でタイガース大好きで部屋には猛虎の旗に通天閣のモデルが置いてある一乃ちゃんの声が久川綾さんだったとは。キャスティングした人エラい。しかし幅の広い人だなー。

 2週間を見ておよそだいたい見通したついた。「大運動会」は世界的ではないにしても気持ちのよかった作品として語り継がれることでしょう。ブルマーの股間アップショットは伝説になります。「VIRUS」はカッコ良かったアニメとして今世紀中は話題を集めるでしょう。あとは設定やドラマがどこまで人を惹きつけられるかだけど、うーんいまのところちょっと解らない。エンディングのアニメとゆーかイラストは歌とともに確かにグッドですね。しかしやっぱり何故か「ウラシマン」を思い浮かべてしまう。トラウマかなあ。あとは「ベルセルク」。まだ1回しかやっていないけれど、まずまずオッケー。しかし原作付きはつらいぞ。あの「北斗の拳」だってアニメじゃあ失速したからね。「YAT安心!宇宙旅行」、って新作じゃないぞ終わったはずなのにまだ続くぞ何故なんだ。だったらせめて「イサミ」の再放送でもやってくれよー。「ヤダモン」でもいーぞ。1週間分を50分確保してやってくれれば有り難いんだがなー。

 「ラビナス」のCMソングを唄ってるのってもしかして福岡ユタカか。うーんあの声聞くとなんか背中がゾクゾクしてくる。好きだったんだけどなあ「PINK」、レコードもほとんど録音してもっていたもんな。大晦日の「ロックンロールバンドスタンド」に出演していた時、その踊りとゆーか唄いっぷりの気色悪さに周囲は沈んでいたけれど、声とゆーか歌だけは最高に気持ち良かったからなあ。ってこーゆー感じ方はもしかして異常なのか。解散してしまったあと、いろいろなバンドとかユニットとかソロとかで名前を聞くことはあっても、実際に作品を耳にすることはなかった。もしも「ラビナス」が福岡ユタカだとすると、いまもぜんぜん変わっていないってことになる。相変わらずあのしゃくれアゴな顔で唄っているのかなー。


【10月9日】 明日が祝日で明後日が土曜日でその次は当然日曜日、でもって休刊日となると月曜日には新聞が出ないことになり、ってことは祝日と土曜日と当然日曜日には新聞を出さないわが表新聞、いったい次に出るのはいつと考えて答えは簡単、はい火曜日です。まる4日出ない新聞を果たして新聞と読んでいーのかどーか、疑問を抱く人は社内にも社外にも決して少なくはないけれど、働いている当人にとっては、頭を切り替えて次への展開をゆっくり落ちついて考えられる、一種のインターミッションを与えられたとゆーことで、デイリーの仕事に終われる日常からちょっと離れて、深いふかい瞑想モードへとその身を没入させる。ぐうぐう。月曜日付けに記事を寄せてもらっている某助教授もたぶん。ぐうぐう。

 池袋の東武百貨店に同僚と連れだって撮影会。グラマラスな黄金色のボディーをさらして、日本中の老若男女の心をグニャリととろけさせている、あの人気者のヌード写真を撮りにいったもの。はやる心を抑えて1階の受け付けで待つこと数分、降りて来た広報の人に案内され、エスカレーターを上がって開場に着くとそこには。輝かんばかりのオーラを発散したあのお方が、そこにかしこに鎮座ましまし、集まる僕(しもべ)に甘く微笑みかけてくれた。ああなんと愛らしきお顔だことよ、わが「ピカチュウ」様は。

 都内に幾つもある百貨店のなかでも、東武百貨店の池袋本店にある玩具コーナーは規模、商品の充実度ともピカピカ、じゃないピカ1で、とりわけ「ポケットモンスター」に関しては、ほとんどのアイティムが揃っているとかで、企画に必要な写真をそこで撮らせてもらうことにした。広報の人は「数ある百貨店でなぜウチを」と不思議がっていたけれど、そんなことくらい知らなくて、新聞記者はやってられませんよ。仕事サボってロケハンと偽って、都内のデパートの玩具売場をさまよい歩きながら、綾波人形とかセーラムーン人形とかを眺めて歩いていた経験が、はじめて活かされたってことだね、いやホント。

 実際ここの売場の充実度は、「ポケモン」のグッズを作っている側からも一目置かれているよーで、トミーが今月下旬に発売するボードゲームを、1足早く10月1日から全国に先がけて扱うことが認められたのがその証拠。すでに初期入荷分はすべて売り切れみたいで、次に入るのは10月下旬ってことらしー。トミーの懇親会で実物を見たけれど、主人公の男の子の人形が入っていたりして、ファンにはたまらない内容なのかもしれない。それからあの1分の1ピカチュウが、なんと棚にズラリならべられて鈴なりになって、ピカピカと微笑みかけてくれていた。うーん可愛いぞ、抱きしめたくなるぞ、腹が立ったときはサッカーボールかわりにけっ飛ばしたら気持ちがいいぞ。確実に手に入れたい人は、取材に快く強力してくれた東武百貨店の池袋本店の玩具売場に駆けつけよう。でもちょっと高いかなあ。

 連れだって上野にあるダイコク電機のショールームへ。用事があるのは同僚の方で、僕はといえば今度新しく春日井市に立て替えるとゆー新しい事務所の設計図をながめて「安藤忠雄じゃん」と驚いていた。名古屋といえばやっぱりな黒川紀章が地元出身ってことでハバを聞かせていて、悪評高い「名古屋市美術館」なんかの設計に関わったりしてる。関西出身でアカデミズムとは縁遠い安藤さんが、保守でなる名古屋とゆーか中部圏で仕事をしたってことはあんまり聞いたことがなく、もしかしたら唯一かもしれない安藤作品を、オープンする来春以降、機会があったら見に行きたいと思った。コンクリート打ちっ放しの建築物だから、某名古屋大学のミステリィ作家助教授も本業として見に行くことになるのかも。作品に登場したら全国の森ファンに名前が知れ渡ることになるから大喜びだね、ダイコクさん。でも殺人現場にされるのは嫌かなあ。

 久々に上野の「まんがの森」に寄って「ファイブスター物語」の第6巻を購入、べらべらと読み(仕事中だろいーのか)(瞑想中だからいーのだ)、家に返って近くの本屋で残りの第7巻と第8巻を購入し、これで既刊8冊がとりあえず手元にそろった。初期の頃のファンが10年かかって胃を痛めながら1日千秋の思いで待ち続けた作品を、1週間とたたずにすべて読めてしまうってことは、もしかして凄く贅沢なことなのかもしれないけれど、こっちだって今なら1日で読めてしまう「風の谷のナウシカ」を、こちらも10年近いスパンをかけてじりじりと読み継いで来た経験があるから、おあいこってことで許してね。

 ただし「ナウシカ」はすでに完結した姿を拝めるけれど、「ファイブスター物語」は未だ完結せずこれからどんな展開になっていくのか予想もつかない、もしかしたら庵野ってぶん投げられてそれまでってなるかもしれない作品だけに、新たに加わった読者であろーと、等しく同じ切望の気持ちを味わわせられるってことで、「ナウシカ」より罪が重いかもしれない。「ニュータイプ」ではなんか新章がスタートしたみたいだけど、本当にいつまで続く作品なんだろーか。「少年エース」の「エヴァ」より先に終わるか終わらないかで、ちょっとしたカケが出来そー。賞金もらえるまで生きていられるかが、最大の心配事ですが。


【10月8日】 秋のアニメ新番組第1話紹介特集もそろそろ終わりにしましょうか、ってんでトリを飾るのが日本テレビが満を持して送り込んだ深夜アニメの決定版、「剣風伝奇ベルセルク」だ。白泉社のえっと「ヤングアニマル」だったのかな、とにかくなんかに連載されているこの作品は、漫画としても結構評判になっているとゆーことだけど、いかんせん筋肉系の作品にまで資金が回らず「覚悟のススメ」と同様にこれまでちょい手出しを控えて来た。「聖マッスル」は今買っておかないといつまた再び絶版にならないとも限らないからちょっと別格扱い。古典だしね。

 で、何も知識をもたないまま見たアニメ版の「ベルセルク」は、とてもテレビシリーズとは思えないほどに高品質の作画、んでもって迫力の演出と、もう第1話から飛ばしまくってくれている。このテンションが本当に最後まで続けば、少なくとも”アート”として後世に語り継がれる作品になるとは思うけど、肝心のドラマがダレずに最後まで保つのか、逆に単行本として結構発売されている作品が端折(はしょ)られてつまみ食いされないか、そこのあたり単行本を読んでいないだけになんともいえず、第1話ではまだほの見えただけの設定の、どこのあたりに着地点を設けてこれからドラマを進めていくのかを見守っていきたい。たぶん”カルト”にはならないだろうとは思うけど。キャラも設定も真っ当過ぎて。

 うーん欲しいぞ「マジデスカーA」。超合金として登場させるだけじゃなく、ちゃんとアニメとして動かしてみせるとは、「むじんくん」のアコムも結構マジでオタクどもからシンパシーを得て、んでもってお金を借りてもらおうと考えはじめたんじゃなかろーか。心の琴線に触れる物を見つけてタガが外れれば、限界まで使いきらずにはおかれない「オタク財布」の持ち主たち、そんな心が大爆発を起こしそーな、例えば「中野ブロードウエイ」とか「まんだらけ」のよーな場所に、「むじんくん」をそっと置いておくなんて戦略を取られたら、もう1発でコロリとカード作っちゃうんじゃなかろーか。

 何年も探し続けていた同人誌が、フィギュアが、LDが今目の前に売られている、けれども長く目を離せばきっと同人誌は売れてしまう、フィギュアは買われてしまう、LDはガメられてしまう、ってな恐怖感に脅えている貴方の目の前に、「マジデスカーA」で心にシンパシーが植え付けられている「むじんくん」がデイン。おおこれは天恵、オタク心のわかる会社のマシンなら、きっと悪さはしないだろーと思い込み、「ラララむじんくん」などと唄いながらずらずらと並ぶオタクたちのニヘラっと笑った不気味な姿が、とってもくっきりと目に浮かぶ。列に1人丁髷姿のおっさんの姿。ああ俺だよ。

 マジにスレたアニメ好きたちの評判を取りにきた「ベルセルク」に対して、テレビ朝日はノスタルジックな雰囲気によってファンの郷愁を誘おうとゆー戦略だったらしい。それは「深海伝説マーメノイド」を見れば一目瞭然、とても90年代も末期にさしかかった時代のアニメとは思えない、キャラクター、ストーリー、演出、音響とも80年代のテイストを感じさせる、なんだかとっても”懐かしい”気持ちを抱かせる作品に仕上がっている。

 ってつまりは古くさいアニメだなあってことなんだけど。夜中まで起きているのがいいことばかりとは限らない。まさかこんなものを見せられるとは思わなかったぜ、テレビ朝日さんよお。それでも作画だけはしっかりしているから、なんだかとっても無駄遣いをしているよーな気がして仕方がない。分散する金と人材を結集させたら、いったいどんな作品が出来たんだろーって考えるけど、下手な鉄砲数打つなかから次代のクリエーターが生まれるかもしれないって考えもできるしなあ。うーん、とにかく来週は多分絶対見ないだろーね。

 早めに予約しておいてよかったかも。ジュンク堂で開かれるとり・みきさんのサイン会の情報が、なぜか「週刊文春」なんて超大メジャー雑誌に出ていたのを発見、たぶん文春漫画賞を受賞した流れとか、文春のコミック雑誌に連載している関係とかで載ったとは思うけど、これできっとジュンク堂には電話ががんがんとかかって、残りの席は即いっぱいってなことになっただろう。質疑応答の形式で進むとあって、ペンネームの由来とか聞かれるだろうってな想定問答が載っていたけど、いまさら聞いてもなあ。

 かといって、他に何を聞いていいのかちょっと思い浮かばないし、うーん家を建てるまでの苦労? おっさんくさくていけねえや。30過ぎた原田知代を今でも好きですか、広末涼子に鞍替えしてませんか、佐藤藍子の方が良いいでしょう、村田和美も捨てがたいですね、三輪ひとみがブレイク間近でしょう、佐伯日菜子にトドメを刺しますよ、ってつまり今好きな女性アイドルはいますかってことか、そんな質問じゃあつまらないしなあ。うーん、あと3日あるので考えておきます。やっぱ9コマ漫画と日本固有の序破急のリズムとの無関係性について、かなあ。


【10月7日】 改変期に伴うアニメ新番組の雪崩落としも2週目に入って「吸血鬼美夕」が登場、OVA版でも結構知られた作品だけど、そーゆー場合テレビ版はちょいまずいことになるってケースが少なくなく、じっさい某「マスター・モスキートン」とか某「天地無用!」とかで辛酸を舐めさせられた苦い記憶があるだけに、ちょい心配しながらビデオで録画しておいた第1話を再生する。感想は「いーじゃん」。ストーリーもそれなりにまとまっていたし、絵だってちゃんと動いてぜんぜん崩れてもいなかった。長沢美樹さん演じる「美夕」は可愛くそして残酷。事件の犯人ともいえる先生は救うのに、被害者の生徒は死んでいくに任せているし、美夕に関心を抱いた少年なんて惑わして屋上から落っことしちゃう。ヒーローでもありアンチヒーローでもある主人公の揺れる心象を描きつつ、美夕は学校を渡り歩き、そして話は進んでいくのだろー。ちょっと「エコエコアザラク」に似てるかな。来週も多分見るでしょう。録画してだけど。

 しかし、「吸血鬼美夕」のスポンサーが、某目ん玉マークのメディアコングロマリットの一員にあたる「アミューズメントメディア総合学院」だけってのがちょっと驚き。代々木の会社はほとんどのアニメに山のよーに広告を出しているけれど、アミューズメントメディア総合学院がここまでメディアを使って宣伝をするとは予想していなかった。もしかして儲かりはじめたのか、それとも逆で生徒集めにやっきになっているか。とまれいろいろ複雑な事情があるんだろーと類推する。CMのセンスは超バッド。本当にちゃんとした学校なのか、もしかしたらなに新しい訪問販売かなにかのCMなんじゃないかって、そっちの方から見ている人を不安に陥れる思うよあのCMでは。もっと目ん玉マークを前に出した方がいーんじゃないかって思ったけど、でも放映しているのがテレビ東京だから、それはちょっと無理なんだろーなー。

 アニメーターに漫画家にCGデザイナーに声優に小説家まで、あらゆる「クリエーター」を養成している学校だったとは、同じグループながらついぞ知りませんでした。いやアニメ関連とかマルチメディア関係を養成していたのは解っていたし、卒業生で結構有名なソフトに関わっている人がいるってことも知っているけれど、漫画家に小説家ってのは、学校に行ってコースを受講すればなれるものだったの? 大学にだってワークショップとか創作課とかってあるけれど、そこはプロの作家とか編集者が教授だったり講師になって後進の指導にあたっている場合が多い。果たしてアミューズメントメディア総合学院の漫画家コースに教えに来ている漫画家は誰だ、小説家は誰だ。うーん聞いてみたいのぞいてみたい。本当に漫画家や小説家になれるなら会社を辞めても入学したい。講師で雇ってもらってもいーですよ。似顔絵だったら一応プロですから。自社媒体に無理矢理載っけてもらっただけだけど。

 こっちも同じ吸血鬼物だけど、てんで盛り上がらない「マスターモスキートン’99」。なんだか解らないままイナホ・ヒトメボレに捕まってしまったモーちゃんが、やっぱり解らないままオーパーツに惹かれて異空間へと飛んでいったイナホを助けにホノオとユキを連れてジャンプ、んでもって解らないままイナホを助けるんだけど、それでもイナホはオーパーツ探しに夢中になって、危険を省みずに世界中に散らばるオーパーツ集めに乗り出すのだった。って、本当だったら第1話でやってしかるべきな導入部を、2話もかけてやってしまったのが、全体にダレてしまった原因なんだろー。それに、来週からいよいよ宝探しに世界へ飛び出していくのかと思いきや、舞台設定が学園ってことは、ここがどーしても拠点になるってことで、世界中を飛び回っては大騒動を引き起こしたOVA版のテンポは、やはり望むべくもないのだろー。でもユキちゃんのチャイルディッシュバージョンが可愛いから全部許す、って先週と同じこと言ってるなあ。

 エレクトロニクスショーへ行く。ちゃんと公開日になっていて、早速家電のコーナーとエンターテインメントソフトのコーナーをのぞくとどこもかしこも「エヴァ」だった。いや本当は「DVD 」とゆーのが正しいんだけど、DVDプレーヤーのデモンストレーションで、パナソニックもパイオニアもどこもかしこも「エヴァ」のDVDをかけているから、あちこちのブースで同じよーな「逃げちゃだめだ」が流れている。いやあ売れてるタイトルは違うね、マーケットを引っ張るだけのインパクトがあったんだね、にしては最初に新聞で取りあげたにもかかわらず、どこからも無視されたのってのは世間がエヴァって「状況」をナメてたからなんだろー。えっ、新聞が売れてないから見られなかったって? おとっつぁんそれはいーっこなしよ。

 面白いのはソフトのブース。あっちではモニター3台ならべてキングレコードが「エヴァ」のDVDのプロモーションをやっていて、こっちのでもやっぱりモニターを3台並べてガイナックスが「エヴァ」のDVDを流している。販売チャネル別で中身はいっしょだけど2種類のタイトルが出回っているのは仕方のないことだとしても、こーゆーイベントくらいどっちかに統一するなりいっしょにやればいーのにねー。もしかしてケンカでもしたのかな。なんて想像してみるのもヤジウマ的には楽しいけれど、単に打ち合わせがぴしっといっていなかったか、製造元のパナソニックがブース出展の援助をしたかってな、たいしてキナ臭くはない理由があったんでしょー。とフォロー。どっちからでも買えればそれでいーんだけどね、ちゃんと最後までちゃんと出すってことも含めてね。

 なんだか亡くなってしまっていたらしい「コト」の横井軍平さん。今でこそ宮本茂さんの名前が任天堂を語る上で大きくクローズアップされるけど、横井さんも任天堂で「マジックハンド」にはじまって「ゲーム?ウオッチ」そして「ゲームボーイ」を仕掛けた超一流のゲームクリエーター。今の任天堂の礎を築いた人とさえ言って良い。「ヴァーチャルボーイ」の失敗の責任をとらされて任天堂を去ったってな記事も日経新聞を飾ったけど、真偽はともかく大きくなりすぎた任天堂を離れ、単純だけど面白い、原点のよーなゲームの企画・開発を手がける会社を興して夏前に最初の製品「くねくねっちょ」を送り出したばかりだった。

 高速道路で発生した事故に巻き込まれての死去は、あまりに急であまりに唐突。「くねくねっちょ」に続くオリジナル商品のアイディアだって無数にあっただろうから、それが横井さんの死によって、永遠に失われてしまっったのは、単にゲーム業界という狭い世界にとどまらず、日本の「エンターテインメント」という世界において、いや世界の「エンターテインメント」において、大きな損失であることは間違いない。功績を讃えその死を惜しんで、葬儀にはきっと大勢のゲーム関係者とゲーム愛好家で賑わいを見せることだろう。謹んでご冥福をお祈りしたい。合掌。

 ポニーキャニオンに行ってオーディション部隊「DNA部」の話を聞く。部長に人がちょんまげのないミッキー・カーチスって感じで、やっぱり音楽業界濃い人が多いなーと簡単する。少なくとも運輸業界には丁髷はいません。運輸省にはいるけどね。さて「DNA部」、やっていることはソニーのSD企画部とほとんど同じだけど、規模も実績もまだないだけに、少ない人数を高いフットワークで補って、新しい才能の発掘に日々邁進しているらしー。スタッフの机の上にはラジカセがでいんと置かれて、送られて来たデモテープをガンガン鳴らし、たぶん思いっきりナルシスなビデオを見ながら、ポニーキャニオンにとっての未来の「PUFFY」を見つけようと血眼になっている。

 大型の移籍ばかりが目立つ音楽業界だけど、3万を売るアーティストを発掘して10万を売るアーティストに育てていく地道な作業こそが、将来の食い扶持を稼ぐもっとも確実で大切な方法。そのことに最初に気付いたソニーは「PUFFY」他で実績をあげており、「ドリカム」がいっちゃってもそれほど動ぜずに澄んでいる。方や「チャゲ&飛鳥」に抜けられ「THE・ALFEE」をとられて大物がほとんどいなくなってしまったポニーキャニオンが、大物の抜き返しじゃなく(そんなお金もないだろーし)、小さいことからコツコツはじめるその姿勢に、大型企画で金集めに走ろーとしている某工業新聞も見習わないといけないと思うよ。でもボーナスはちゃんと欲しいなー。


【10月6日】 買って1週間も蒸らしておいた「エコエコアザラク」のLDを見始める。どどどどどっと8話まで見て、前半のシリーズはこないだ「闇のエコエコ大祭」で見た後半のシリーズと、こんなにもテイストが違っていたのかと驚く。バトルがメインとなった後半のシリーズは、フトモモからナイフな描写とか楽しめる場面が多かったけど、人の心の醜い部分を、そそって暴いてたたき潰す黒井ミサの哀しい生き様を描いていて、改めて面白いシリーズだったんだなあということに気が付く。BGMが変わっていたことも、心理描写を音楽に乗せて理解するってな芸当が使えて効果があったのかも。ダレる回もあるにはあるが、まあとにかく佐伯日菜子さんが出ていれば全部オッケーとゆーことで。第1話から第3話まではナイルな堀川早苗さんも出ているし。トトメスファンは必見、でもないけどね。

 たぶんトトメスファンな九州在住の某人@永野護大嫌い氏と、「ファイブスター物語」の評価を巡って話し合いを重ねるも、もとより小心者で弱腰な小生ではかなうべくもなく、あっけなく粉砕される。仕事中になにやってんじゃいなのだが、これも仕事なのだよ、人の話を聞くとゆーのは、ブンヤにとって、すべて。しかし説得されっ放しも業腹なので、東京と九州の間にある名古屋で開かれる来年のSF大会で、「藤田屋の大あんまき食べ比べ競争」を行って決着を付けようと提案するが、実は名古屋出身で「大あんまき」は子供の頃から食べ慣れていることがバレれば、卑怯物めと謗(そし)られるのがオチなので、やめて「寿がきや白いスープのラーメン食べ比べ競争」を再提案しよう、ってこれも名古屋の名物か。白いスープだからトンコツと勘違いして食べて驚いて腰を抜かしてくれれば、こっちにも勝ち目があるんだけどなあ。

 エレクトロニクスショーに行くが午前中はまだ開場前で展示がなく、明日に再起をかけてスゴスゴと退散する。途中の本屋で「ファイブスター物語」の第4巻を買って電車で読み、ますます広がる世界に頭がついていけず何度も何度も読み返す。あと10回くらい読み返せばなんとか追いつけることだろー。ついでに高野史緒さんの新刊「架空の王国」(中央公論社、2200円)を購入、あとがきに頻出するユルスナールやらアナール派やらブルックナーといった言葉に、SFファンなんぞが手を出しても良い小説なんだろーかとゆー不安もちょっとだけ覚えるが、冒頭に登場する本と図書館の描写は本好きの琴線にピクリと触れるものなので、そこをテコになんとか読み進んでいきたい。まあ今週中には読み終えられるでしょう。

 読売新聞社が毎週月曜日に掲載している「マルチ読書」のセッションが、ヨミネットで開かれていて、HIROMIXの「光」と「ジャパニーズビューティー」が集中砲火を浴びて轟沈した。「(褒めている媒体が)『スタジオ・ボイス』というだけでも、もうお里が知れるようなもの。どういった奴等が礼賛しているかということが」とか、「ぽいじゃん写真」とか言われて、大人の思惑だけで持ち上げられている写真家じゃないかってな評が相次ぎ、写真そのものは「昔の少年少女が手帖に書いていたおぞましいポエム」と同列の扱いをされて、正面切っての検証はほとんど行われなかった。

 言い得て妙のところがあるけれど、例えばHIROMIXが森山大道であっても無名の写真家であっても、「光」に収められている逆光の浮島のクレーン群を撮った写真が見せる、まるで虚構のような都会の心象に、僕は素直に感動できたと思う。HIROMIXだからと、その名前を喜ぶ人がいるのと裏返しの理由で、HIROMIXだからと、その名前を嫌う人がいるってことなんだろーけど、いったん確立された名前は、もうそれだけで価値を持ってしまうから悩ましい。「デジャ=ヴュ」誌上で募集されたコンテストに応募してきたHIROMIXの作品を、フリーの状態で見ることができた荒木経惟さんんや飯沢耕太郎さんの感性をとりあえず信じて、斎藤美奈子さんの激しい拒絶反応にもめげす、香山リカさんのやれやれ的な反応にも負けず、あたしゃHIROMIXを応援していくぞ。顔はあんまし好きじゃないけど。

 大日本印刷の銀座のギャラリーで開かれた展覧会をのぞく。グラフィックデザイナーの3人が、ファッションデザイナーの生み出す作品を3人3様に解釈して飾ったり調理する一風変わった展覧会。ポスターとして描いた作品はそれとして、実際の服をハンガーにかけた時に、ほこりを避けるために被せるケースを3人が思い思いにデザインした作品が、入っている主張の強い服をくるみこんで沈黙させる、あいるいはさらに饒舌にさせる効果を発揮していて、見ていてさすがグラフィックデザイナーよと関心させられた。

 なかに福島治さんがデザインした、たまごっちの「おやじっち」の風船をいっぱいに張り付けたものと、「ドラえもん」の風船をいっぱいに張り付けたものが2つ、ほかの先鋭的な作品と並んでいて、高尚なギャラリーの空気にとってもキッチュな雰囲気を醸し出していた。たまたまキャラクタービジネスに関連する取材をしていたこともあって、「アートにも組み込まれるキャラクター」なんてカット写真にならないものかと数枚パチリ、でも普通の工業新聞じゃあ使えないだろーなー。「アート」なんて金儲けの結果得られた節税大作のご褒美くらいにしか理解していないし、編集幹部連は。ともあれ銀座にお立ち寄りの方は1度ご覧あれ。運がよければ受け付けにいるファティマもびっくりな超美人に会えますから(いやホント)。


【10月5日】 夏もとうに過ぎ去ったとゆーのに、季節外れの深夜ホラーが2本も立て続けに新登場、チェックを入れるが圧倒されるだけの内容に乏しく、夜風も冷たい秋の季節の寂しさを、苦い思いとともに噛みしめる。まずは飯田譲治さん脚本・監督の「幻想ミッドナイト」第1話。かつての恋人から誘われたバーテンが乗り込んだヨットには、某訪問販売で大金を稼ぎ出している男が待っていて、カタログを見せながらしきりにバーテンを商売へと誘う。けれどもバーテンは一顧だにせず、そうこうしているうちにヨットが岸壁から200メートルほどの場所でストップ、原因が解らず男が底に潜るとキールに引っかかっていたものは・・・という「太陽がいっぱい」的恐さを感じさせる、ホラーというよりは一種の心理劇ともいえるストーリーだった。

 ぎょぎょぎょっとさせるオドロな描写があるにはあるけれど、男がそのことに恐怖を感じるに至った描写の積み上げが省略されていたためか、心理的な恐怖と、映像による直裁的な恐怖とが乖離している気がして仕方がなかった。オドロな音楽も派手な演技もないけれど、最後まで目を離させないシナリオはさすがに飯田譲治ならではの冴え。高橋克典と田中美奈子とは深夜枠にしてはまあ豪華なキャストを使ったものだし、クルーザーが大好きな某訪問販売からはチクリと言われそーなシナリオは、CMはトイレタイムって認識のTV局だから、たいして怖くないんだろーね。トーンががらりと変わって特撮バリバリな作品もあるかもしれないので、90年代の「怪奇大作戦」になり得るかどーか、これからも一応チェックだけはいれていこー。

 先週まではGAGAが仕切っていた時間帯に、プリクラで儲けたアトラスが参入しての「真・女神転生デビルサマナー」は、「ねらわれた学園」の清水厚さんを監督に迎え、相変わらずなナナメで広角な「実相寺アングル」ならぬ「清水アングル」を駆使した映像が魅力といえば魅力。しかしいまいちテンポにかけるのべらーっとした場面展開が続くためか、なかなかストーリーが頭に入ってこず、なんとなくなにかが始まっているくらいしか理解できなかった。こちらは本家ウルトラ・ヒロインの桜井浩子さんが出演して、妖しい占い師を演じてくれているけれど、昔と変わらない声はともかく顔がとってもコワくって、30年とゆー年月がいかに重たいものなのかを、強く実感させられた。ああ。来週はたぶん見ないな。

 西武百貨店をのぞくもあまりの人出に息苦しくなって地下へと避難、いつの間にかできていた中古ソフトショップでアニメ版「フィアブスター物語」のビデオが出ているのを見てゲットする。1000円ってのは安いのか高いのか、価値についてほとんど知識がないので解らない。88年度の製作だからかれこれ10年近くはたっている勘定で、にしては画質も音質も衰えていないところを見ると、磁気情報ってのはこれで結構長持ちするもんだなーと、テクノロジーの素晴らしさに感謝する。10年以上も前に録音した飯島真理さんの「ロゼ」と「ブランシェ」をカップリングで録音したカセットテープが、今も普通の音でちゃんと聞けちゃうんだから、これくらいなんてことないのかもしれないけれど。

 なるほどこーゆー世界観だったのか「ファイブスター物語」は。パラ読みなコミックは永野護の作家性がこれでもかってくらいのトーンで込められているため、入り込むにはよほどの覚悟が必要と恐れをなして、これまでほとんど読んだことがなかったけど、アニメの方ははじめて接する一般大衆を意識したのか、絵柄もストーリーも複数の人たちのフィルターを通してあったから、実に分かりやすい内容に仕上がっていた。角川では飛ぶ鳥落とす勢いな井上伸一郎さんの永野護本(っていーよね)「マモルマニア」(トイプレス)によれば、このアニメ版で「ファイブスター物語」にハマった人が大勢たらしいってことで、たしかに華麗なキャラとリリカルな物語、そして他を寄せ付けない圧倒的な造形美にあふれたモータヘッド「ナイト・オブ・ゴールド」の姿は、ロボット物が巷に溢れる現在にあって、なお一頭ぬきんでた作品として十二分に通用する。

 某産業新聞によれば某アニメが来春ふたたび総集編となって劇場公開されるそーだけど、そんな金があったら角川書店、単館でもいーからこのアニメ版「ファイブスター物語」を、ドルビーサラウンドくらいの迫力あるサウンドをつけて、ふたたび劇場公開しなさい、その方が新しいファン層の拡大に役立って、単行本の売り上げ増大にも貢献するから、ねえ角川歴彦社長。もしまた爆発的な人気を勝ち得れば、ふたたびの映像化ってことにもなって、「マモルマニア」で井上さんが強く強く望んでいる「そろそろ、次の大きなイベント」に結びつくだろーから。頑張ったって「ウラシマン」(なんか思い出しちゃったんだよね、見ていて、あんまり脈絡ないけど)すら絶対に抜けない「VIRUS」なんぞに関わって、NHKのインタビューなんかに答えている場合じゃないよ、井上さん。

 うげ、加茂監督解任とはまあ思い切った手段に出たもんだ。しかし加茂を選んだ長沼が辞めないってのは筋が違うんじゃなかろーか。まああれだけ日本人監督に固執して、強化委員会が推したネルシーニョを土壇場で袖にし、ネルシーニョからして腐ったミカン呼ばわりされた日本サッカー協会だもんな、トカゲの尻尾切りくらい平気でやるわな。それに、たとえば強化委員会が推したネルシーニョだったらどうだったかって考えても、戦術とゆーよりはタレントを中心にサッカーをしたそーなネルシーニョでは、若手の抜てきにのみ力を出したファルカンを持ってきた時と、たいして変わり映えしない成果しか残せなかったと思うしね。グランパスの再生とアーセナルの活躍を見るにつて、ベンゲルだったらもしかしてって思うけど、今さら言ってもしょうがないか。とりあえず残り全部勝てばとりあえず行けるわけだから、まあせいぜい頑張って下さいね。

 うーん30歳までか扶桑社。いや朝日新聞に求人広告が出ていたのを見ただけなんだけど、午後1時が早朝という激務な会社だけあって、30を越えたロートルはいらんとゆーことなんだろーなー。しかし仮に某初台の出版社から週刊誌に関わっていたスタッフがごっそりと応募してきたら、どんな対応を見せるんだろーか、んでもって出戻って来たそーな人が混じっていたら、どんな態度で臨むんだろーか。やっぱり勝利者の余裕をカマしながら、ふんぞりかえって切り捨てるんだろーな。勝てば官軍負ければ賊軍どころかただの塵(ごみ)ってのは資本主義な世の中のことわり。敗者はただ堪え忍ぶだけなのかも。ましてやすでにゾンビな某工業新聞社なんかが、しゃしゃり出る幕じゃーないね。ああ。


【10月4日】 風邪が悪化して頭がぼーっとしているのでどこにも出かけず家に篭って本を読み倒す。読み倒しながらもぼーっとした頭では読んだ文章などその場ですぽんと抜け落ちてしまうから、けっきょくなにもせずにただ茫然としながら1日を終えることになる。こういう1日が週に3日もあれば残された日に集中しなくてはとの思いも強くなって生産性もあがるのだが、やがてまもなくこういう1日が週に3日では少なすぎると思うようになって結局毎日ぼーっとしてしまうかもしれないので、やっぱりぼーっとするのは月に1日あればいー。ああぼーぼー。

 薬をたくさんよりどりみどり、は大貫妙子さんの大昔の歌か、ともかく風邪薬を飲んだのでようやく頭からぼーっが抜けて真っ当な思考が可能になったので、家を抜け出てライオンズの優勝祝いで賑わう西武百貨店へと向かうが、あまりの人出に恐れを成してイトーヨーカ堂へと避難、ガシャポンで「サクラ大戦」のアイリスをゲットして喜びいさんで家へと戻り、トミーの店頭公開記念パーティーでもらった1番な文明堂のカステラを4分の1かじりさらに4分の1かきこんでこれで半分、お昼ご飯代わりに食べてしまったことになる。2番の電話はかかってこなかった。

 まだちょっとおかしい。ああ、森博嗣さんの新刊「幻惑の死と使途」(講談社ノベルズ、930円)を買って読み飛ばす。うーんモデルになったと思われる名東区の牧野が池緑地公園には、たぶんもう15年は行ってないなー、たしかにそばに池があったけど、大脱出のマジックショーなんかできるほどには深くなかったし綺麗でもなかった。ちょっとした高台があってそこにちょっとしたコテージがしつらえられていて、高床式になった根本の雨が当たらないところに、アリジゴクが巣を作っていたのを遊びに行った時に見つけて蟻を投げ込んで遊んでいた記憶が今も鮮明に残っている。子供って残酷。

 あいかわらずな萌絵の疾走ぶりはさておいて、助手の国枝桃子が出番こそ少ないもののいつになく強力なオーラを発散していたのが楽しい。桃子を前にすると冷静沈着な創平でもときおりじたばたする様を見せていて、ひょっとして創平、萌絵よりも桃子のことが好きだったんじゃないかと思えて仕方がない。なにせ夢にまで見るくらいだからね。創平と桃子の2人が家で夫婦の会話している様を創造すると、ちょっと恐ろしいものがあるけれど。街角で見受けられるぴょこぴょこ飛び跳ねる紙人形の秘密が解ったのはラッキー。でもこれバラされて商売上がったりな露天商を裏で動かすイスラエル・コネクション(なのか)に消されませんか、森先生。

 ああやっぱりな日本代表。後半もロスタイムに入ったところで日本のマークがはずれて、そこを真正面から決められてしまった。取れそうなところで点が取れない決定力のなさ、そして最後の場面まで集中力が続かない甘さが、前回同様に日本のワールドカップ出場の足を引っ張ることになりそー。残り全部勝てば出場への希望は首の皮1枚繋がることになるんだろーけど、この程度の実力だったら出たって予選リーグでの敗退は確実だから、もうこのへんで誰か不祥事を起こして連帯責任とかいって出場を辞退した方が、潔よくっていーかもしんない。

 来週の土曜日に池袋の「ジュンク堂」で開かれるとり・みきさんのトークショウを電話で予約する。9階のカフェとゆーか喫茶店とゆー会場の都合から、入って30人がやっとってトークショウ、おまけに会期まで残り1週間しかないから、らもう席はいっぱいですよと断われるかと思っていたら、電話に出たお姉さんからまだありますと聞いたので、とりあえず1つよろしくとお願いする。もしかしてとり・みきさんて漫画家、ジャニーズほどには人気がないのか、それとも1000円とゆー値段が高すぎるのかと不思議に思うが、単に情報が行き渡っていないだけなんだろーなー。

 同じ日に開かれるサイン会はまだ出ないいつ出るんだな「SF大将」じゃなくって、やっと出たけどどこに売ってるんだな「遠くにいきたい」の第2巻が対象とのことで、探している人は「ジュンク堂」に集合だ。僕はもう持っているんだけど、サイン入りも欲しいのでやっぱもう1冊買うことになるんだろーね。本屋でのトークショウだから「ダイ−ホン−ヤ」でもいーんじゃないかって思うけど、でも「ダイ−ホン−ヤ」ってまだちゃんと刊行してたっけ。いやほら、鳴り物入りで創刊した週刊誌ですら3月で絶版にする(正しくは廃刊という)(休刊だってばさ)会社から出ていた本だもんね。まあいーや、とにかく当日ウロウロしてますんで池袋周辺の人、石投げないで下さいね。


【10月3日】 アニメ番組を予約録画していると、スポット契約なのか番組が始まる直前に、いっしょに「コイケヤ」のポテトチップスのCMが入っていることが多くって、あの「チッ、チッ、チッ、プース」ってな気の抜けるよーなフレーズを、その都度聞かされてヘロヘロになる。それでも女子高生が演っていたバージョンは良かったけど、現在放映中な「でっかいどー、ほっかいどー」風大自然での「チッ、チッ、チッ、プース」は、出てくる女の子たちの服装になつかしの80年代テイストが感じられて、同時代を生きた者として、見ていて妙に気恥ずかしくなる。

 「ポテトチップス」を食べながら、明後日の方向を見つめるポーズもどこか居心地が悪く、加えてモデルがモデルでモデルだから(垂れ目ー)、ますますチープなイメージを「コイケヤ」とゆーブランドに持ってしまう。もっともいかなヘロヘロなCMであっても、その露出の度合いが臨界点を突破した段階で、肝心の商品名がしっかりと頭に刷り込まれてしまうから不思議なもの。「ポテトチップス」同様に、ヘロヘロなCMをしつこく繰り返して放映してきた「スコーン」は、もはや知らない者のないブランドとなって、放映頻度の高いテレ東の視聴者の間には、「カルビー」に匹敵するスナック菓子のメーカーとして、「コイケヤ」はしっかり認知されたことでしょう。名古屋じゃどーなんだろー。九州では。

 そんなCMを枕に、大型深夜アニメとして始まった「VIRUS」は、とてつもなく評判の悪いゲームとは違って、カッコ良いレイアウトにカッコ良いアクション、そして思わせぶりなストーリーと、流行る要素を第1話からしっかり放出してくれた。ただし、大張正己のキャラクターがあまりにも特徴あり過ぎて、感情移入ができるまでにしばらく時間がかかりそー。とくに女の子のキャラクターが、ナナメになるとホッペタがプックリ膨らむあのパターンで、慣れないとちょっと馴染めない。とくに目玉がね、生きてる感じがしないんだよね。同じ文法のキャラクターでも、「はいぱーぽりす」の頃はナツキくらいしかいなかったから良かったけど、「VIRUS」は女の子のキャラクターが、みんなおんなじ顔してるからね。男もまあ切れ長の目の同じよーなキャラばっかしなんだけど、髪型とか目の色とかでメリハリつけてるし、そもそも興味もないから気にしない。

 メカもたしかにカッコは良いけど、ハッとさせるだけの新鮮味がない。アーマードギアとゆーかモビルスーツとゆーかレイバーとゆーかエステバリスとゆーか、とにかく人が胸のあたりに座って乗っかって操縦するメカのデザインなんて、もう20年近くも描かれ続けて、きっと引き出しがカラッポになりかかっているんだろー。バリエーションの世界に入っていて、あとは物語世界への興味やキャラクター人気と連動する形で、メカへの関心を引っ張るくらいしかないんだろーね。となれば物語には是非とも頑張って欲しいところで、とりあえずはこの先どんな展開を見せるのかを、刮目しつつも1歩引いてながめていこー。レイヴェン役の鈴置(ブライトor万丈)洋孝ひさびさの好演に期待。やっぱ声いーわ。

 早川書房から吸血鬼ブームに便乗して出版された(ってことかな)「血」(1600円)を読む。吸血鬼を題材にとった書き下ろしの短編小説を集めたアンソロジー。参加している顔ぶれは真っ当から異端まで幅広く、よくぞこーゆー人選をしたものだと、編纂した人の嗜好を探ってみたくなった。誰がやったんだろー? 表紙に名前をずらり並べて、真ん中にオドロ風なフォントで「血」と赤で書くその装丁は、菊地信義が得意とするパターンではもっとも嫌いな部類に入るデザインで、吸血鬼に相応しい美麗さもなければ品もなく、どこかチープな感じが抜けきらない。どーせだったら天野嘉孝さんにでもお願いして、見目麗しい吸血鬼でも描いてもらえばよかったのにと思ったけど、それだと作品を寄せている菊地秀行さんの「D」っぽくなっちゃうからまずいのかな。赤井孝美さんだったら売れゆきは倍になったかも。ヤングアダルトの文庫で出た「ドラゴン殺し」(荒俣宏ほか、メディアワークス、618円)みたいにさ。

 ざっと読んで夢枕獏さんはやはり格別とゆーか別格とゆー感じ。こーゆーアンソロジーに切り札ともいえる「晴明&博雅」を持ってくるたあ、ファンの心をしっかり掴んでいるってゆーか、アンソロジーの売れ行きに大きな影響を与えるってことをしっかり理解しているってゆーか。これが読みたいばっかりに、アンソロジーを買う人のきっと相当数いることを、予想して夢枕さんを選び話を書かせたとしたら、これでなかなか早川書房も商売上手ってことになる。個人的には九十九乱蔵の「闇狩り師」シリーズでやってくれてもよかったけど、最近書いてないから主人公がなかなか降りて来ないだろーな。「キマイラ」もたぶん無理、だろーね。どっちも続きが読みてえよお。

 珍しいのが劇場版「エコエコアザラク」の佐藤嗣麻子さん。映画監督だけどなかなかどうして、荒んだ都市に暮らしている吸血鬼の、美しく哀しい物語を、その流麗な文体によって描き出している。読んでいるうちに、吸血鬼が闇のまにまに跳梁する、凶暴で切ない、凶悪で愛しいビジョンが浮かび上がり、いずれ佐藤さん自身の手によって、映像化されたら素晴らしいなーと思った。佐藤でも亜紀さんの方は、民話とも伝承ともつかない奇妙な味わいの、どこか人間を小馬鹿にした訓話のような、ほのぼのとしつつも毒を含んだ、まるで吸血鬼のような短編を寄せている。面白さではアンソロジーでも屈指。ウイーンの穴蔵の酒場に行って、こんな民話を1人ぺらぺらと読んでいたいって、そんな気持ちにさせられた。

 ウイークデーを締めくくる新作アニメは「大運動会」。すでにOVAで評判をとっている作品だけど、テレビ版もなかなかどーして、テンション高い演出でそう酷くダレることなく、1回目を終わりまで見通すことができたのはちょっと意外だった。大地を駆けるローラーの一群、引っ張るのはブルマーとゆーかボディスーツとゆーか、とにかくエロい体操着姿のお嬢さんたち、揺れる胸に張りのあるフトモモ、アップになる股間と、健全な男の子の興味のすべてを惹きつけてやまない「反則技」な映像が、冒頭から終わりまで続く展開に、薔薇で男装で眼鏡っ娘で合唱だった「ウテナ」の第1回目よりは、正統的な「つかみはオッケー」を感じることができたしね。

 とにかく「ドジでノロマ」な主人公が、並みいるライバルをおしのけて「コスモビューティー」に輝くとゆーストーリーが核になるとは思うから、お約束な結末に向けてどんなドラマを組み立てていくのかに、とりあずは刮目して次回以降を見守りたい。あるいはそんなスレて真っ当な見方を思いっきりハズす、隠し玉的展開を秘めているのかもしれないけれど、「天地」に「サミー」に「エルハ」と続いたパイオニアLDCのテレビシリーズに限って、頭を使わせるアニメになるってことはないだろーから、週末の疲れた頭を癒す「リラクゼーション・アニメ」として、せいぜい楽しませてもらうこととしよー。でも天地OVA第3期もちゃんと作ってね、野田隆一さんへのお願い、です。


【10月2日】 番組数だけはやたらと増えた深夜アニメだけど、どーして老舗のテレビ東京とほとんど同じ時間にぶつけるかねえ、テレビ朝日は。片一方をビデオで撮りながらもう一方をリアルタムで見ればいいってことなんだろーけど、なんだか最近早寝遅起モードに入っていて、10時間くらい眠らないと頭がしゃっきりしないため、夜も12時を過ぎると完全に沈黙の世界に入ってしまっている。おかげで初お目見えな「深海伝説マーメノイド」、すっかり見逃してしまったよ。果たして面白かったんだろーか、次からチェックが必要な番組だろーか。まあ話題になったらなったでその時はビデオ見るからいーや、どーせ出すんでしょ、出さなきゃ元とれないもんね、って足下見てるね視聴者も。

 で録画しておいた「ネクスト戦記・エアーガイツ」は、地球にコロニーにモビルスーツ(本当はちょっと違う)に少年に謎の勢力が絡み合う、「ガンダム」シリーズにそのままつなげても良さそーな設定で、それ自体に目新しさを感じろってのは、「ファースト」でハマったはおっさん世代には、きっと絶対無理な話。それでもまあ、絵はしっかりしてたし動きもしゃっきりしいたから、これでお話がダレずに続けば、そこそこまとまる作品になると見た。とりあえずはくんずほぐれつな人間関係と、結構迫力の戦闘シーンを楽しんでいけばいーんだろー。どこか天地(「天地無用!」)に似ているキャラとか、どこかあやめさん(「サクラ大戦」)に似ているキャラがいたりして、大繁盛なアニメ界も、そろそろキャラの引き出しが尽きてきたのかねー。

 安売りチケットHISが作った新規参入の航空会社、スカイマークエアラインに新しい広報担当者が着任、運輸省の各記者クラブを回って資料を配り歩くその口調が妙に手慣れていたので不思議に思う。普通は新しい会社の人って、新聞記者におそれをなして及び腰で資料を配り歩くんだよね。かみつきゃしないのにね、エサさえやっておけば。聞くとその広報、前は広島にある大きな自動車会社(ってバレバレ、そうマツダです)の広報担当者をやっていて、大手町にある日本自動車工業界のクラブに出入りしては、常駐の記者たちと会話し遊んでいたらしー。

 しかし世界に冠たるフォードの子会社(になっちゃった)なのに、新興勢力の安売りチケット屋さん系列の飛行機会社より、給料が安いってのがちょっと驚き。タワラみたいなヤワラちゃんが内定をもらった、世界に冠たる愛知の田舎の自動車会社だったらまだしも、売れない車のメーカーってのは、やっぱ相当に厳しいんだねー。芝生は決して青くない。まあウチからみれば、どこもかしこも芝生は底抜けに真っ青なんだけど。ああ。

 ヤングアダルトな作品で知られる図子慧さんの最新刊「イノセント 沈む少年」(角川書店、1500円)は、人工知能を話題に取りあげた一瞬SFかとも思わせる作品だけど、ストーリーの主軸は大嫌いなのに忘れられない男女の不思議な関係におかれ、無理矢理意識の奥底におしこめてきた過去の記憶を掘り返しながら、あるものは癒され、あるものは傷をひろげて朽ちていく、そんな切ない愛の有り様が描かれている。定年を過ぎて嘱託期間も終わったのに、居場所を見つけに学校へと出勤してくるどこか止んだ元教師の老人の痴態や、とりあえずな仕事として学校「でも」選んだ、学校に「しか」選ばれなかった「でもしか」な教員たちの怠惰な日常の描写に、妙なリアリティーを感じてこれは侮れない作品との意を強くした。

 人工知能のテーマが次第に横滑りして脇へとそれていくのは、たぶん物語の主題が「人工知能」ではなかったからだろうけれど、せっかくの余韻として残した「人工知能犯人説」をもう幾分強調しておけば、最近流行のバーチャルアイドル物の延長線に位置する作品として、ミステリーのみならずSFのシマでも注目されたかもしれない。とりあえず物語は現実に説明できる範囲で完結を迎えてしまうので、いくら出自がそーだからといっても、SFの陣営へと引っ張り込むのはチョイ苦しい。かといってミステリーのフィールドで図子慧さんに関心が集まるとも思えないので、ここはあらゆる手段を使って、とりあえずはこの「イノセント」が面白いとゆーことを、強く訴えてこのセンテンスを締めくくろう。2段組のハードカバーにしてはまあ安いし。

 いきなり「MIB(メン・イン・ブラック)」な展開の「はれときどきぶた」。町内に宇宙人がいることがわかり、その人たちといっしょに秋の星座と地球の平和をかけて野球をするってなストーリーそのものに、大きく突出したところはないけれど、いきなり1500点もとられてしまったその後に、やっぱりいきなり1500点を取り返してさらに1点を使いす設定なんざあ、実にアニメ的ともいえて懐かしかった。

 しかしこれほど大風呂敷なストーリー、放映時期からいったら、とても「MIB」をパロってる余裕はなかったはずで、とすれば今回の「はれぶた」のテーマは、映画の存在そのものではなく、今が宇宙人の旬なんだぞってな感触をキャッチしたことによる、同時多発的な宇宙人ブームの一環として、設定されたものだといえるのかも。もしかして映画やアニメに日常茶飯事に取りあげられるくらい、宇宙人は人間の生活に入り込みとけ込んでいるってことか? まさか。まさかとは思うけど、それにしてはあいつちょっと宇宙人っぽいし、こいつもやっぱり宇宙人っぽい。「写るンです」向けてみるか。「長男じゃないわよね」って聞きながら。


【10月1日】 録画しておいた秋の新作アニメのたぶん第1弾、「マスターモスキートン’99」を見て泣きたくなる。OVA版は去年の夏にテレビの特番でちらっと見たくらいで、ストーリーそのものについての言及は出来ないけれど、それでもまだ動きとか演出とかには、OVAならではのクオリティの高さと迫力が感じられた。テレビ版もキャラとか絵柄とか動き自体は、それほど酷いとは思わなかったけど、いかんせんシナリオに緊迫感がない。キャラにも世界にもほとんど説明のないままに、なんとなくキャラだけが出そろったってなつかみどころのない第1回で、これで次もまた見たい、見なきゃと思わせられると考えたのかと、製作サイドの見込みの甘さを疑いたくなった。

 ミッション・スクールで才媛の誉れ高いイナホ・ヒトメボレが、実はあくなき金儲けの権化で、いきなり現れた吸血鬼のモーちゃんをつかまえて、見せ物にして稼ごうってな行動自体は、ギャグの範囲として容認できないこともない。でもモーちゃんに襲いかかられて追いかけられて、反撃しながら逃げるテンポがなんかダラダラ。そうこうしているうちにモーちゃんが、イナホにやられてしまって復活して、学校の教師に収まるってな必然性のない展開は、はじめに学園物ありきな発想から、無理矢理こじつけたとしか思えない。

 突然あらわれたピラミッドやらスフィンクスやら得体のしれない物体に、世界が大混乱に陥ってるって設定も、ほんわかふんわりした学園の中にはまるで届いていないみたいで、緊迫感のないまま学園ラブコメが続くんじゃないかって、そんな心配も抱いてしまった。チャイルディッシュ・バージョンのユキちゃんが、声も姿も可愛いから、とりあえず全部許すけど、来週以降も腑抜けたラブコメが続くよーだと、行く末が大いに心配ってところ。舐められてるのかもなー、視聴者が。

 神田・小川町の小学館プロダクションに行ってピカチュウの話を聞く、じゃない「ポケットモンスター」の話を聞く。ポケモンと聞けば100人のうちの90人がピカチュウと返すほど、151種類いるモンスターの中で圧倒的な人気を持つに至ったピカチュウだけど、こうした突出した人気を持つキャラクターが登場してしまったことを、送り手側では決して手放しでは歓迎していないみたい。キャラクター人気は確かに強い訴求力があるけれど、別の人気キャラクターが登場したら、そっちの方に世の中の嗜好がザザザッと流れてしまいかねない。そうならないためにはキャラクターではなく「ポケモン」という世界観そのものを愛してもらう必要があるとかで、「ポケモン」のグッズを作ってもらう時には、ピカチュウばかりを持ち上げないよーに、いろいろ注意を払ってもらっているのだとか。

 アニメが好きな大きいお友達は、たしかにピカチュウ1本かぶりのところがあって、それからゲームボーイをやらない小さい小さいお友達も、アニメで見たピカチュウにコロリと参っているけれど、ゲームとしての「ポケモン」そのものを楽しんで来た、人気を支える中核世代の子供たちは、単なるキャラクター人気ではない、「ポケモン」を集めて交換してってな「ポケモン」本来の楽しみ形を踏まえた上で、151種類いるキャラクターを、平等に愛し慈しんでいるはずだろう。

 そして、それがベースにある以上、「ポケモン」人気がピカチュウ人気とイコールで、アニメの衰退とともに人気も衰退していくってな一般的な道筋をたどることなく、ピカチュウ人気はそれとして、「ポケモン」そのものの人気も衰えることなく長く保たれ続けるんじゃなかろーか。とかゆー小学館プロダクションのオフィスにも、飾られていたのは1分の1を含めてほとんどがピカチュウのヌイグルミだから、やっぱり大きなお友達は、ピカチュウ可愛さにハマっているんだろーね。ピカピカ。しかしドラえもんはどこに行った?

 青山のヴァージン・アトランティックに取材に行ったついでに南青山を散策、霞ヶ関あたりでは絶対に見かけないオシャレでスリムな女性たちの大群に、鼻血をおさえつつウロウロと通りをさまよい歩く。センスの良い店があって、センスの良い人が大勢歩いている環境に四六時中おかれていれば、否が応でも真っ当な格好をしなくちゃいけないと考えるんだろーけど、ドブネズミにハリモグラな格好の官僚たちの群に混じっていると、格好なんてどーでもいーやと思えてきて、皺だらけのシャツに穴の空いたスーツで平気で会社に行ってしまうから、たまに青山あたりに出ると、気恥ずかしさにたぷっとした身がぎゅぎゅぎゅっと引き締まる。

 とろとろと歩きつつ、ふらっと角を曲がった時に正面に立った人の顔を見てびっくり、どこかで見たことがあるもなにも、”教授”こと坂本龍一さんその人であった。黒い服を流麗に着込み、長い前髪をかきあげながら、なぜか外国人の太めのオバサンを案内しながら歩いていて、コムデギャルソンのビルのある通りを、信号を渡って南の方へと歩いていった。オバサンもどっかで見たことがあるよーな、やっぱり見たことがないよーな。アーティストの人だったっけ? まさか奥さんに隠れてデート? ってことは絶対にないよね。写真撮っておけばよかったかなあ。


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