縮刷版96年6月下旬号


【6月30日】 運転免許更新のリターンマッチに勝利して、5年間有効の新免許証を手に入れる。5年後の平成13年といえば21世紀の最初の年にあたるわけで、そこまで行ってもやっぱり、今と同じ仕組みの車を、運転し続けることになるのだろー。小学生の時に、21世紀にはエアカーが大都市の空をブンブン飛んでる、なんて絵を描いて表彰してもらったことを考えると、現実とゆーのはなかなか厳しい。

 思い立って古本屋通い。家の近所には今のところ、大小とりまぜて3軒ほどの古本屋があるよーで、なんか面白い本はないものかとハシゴする。最初の古本屋で竹宮恵子さんと光瀬龍さんの「アンドロメダ・ストーリーズ」(朝日ソノラマ)サン・コミックス版全3卷を1000円で購入。アニメ版をテレビで見たことがあるけれど、ほとんど筋を覚えていなくて、コミックス版でよーやくこんな話だったのと理解した。萩尾望都さんが絵を描いた「百億の昼と千億の夜」に出てきたよーな、機械によって安眠を約束された人類の描写なんかが、なるほど確かに光瀬龍っぽい。ほかに野村修さんの「ベンヤミンの生涯」(平凡社)を700円で買って次の古本屋へと向かう。

 途中寄った1軒にはあまりめぼしい本がなく、ちょっと遠いけど歩いて「ブックオフ」へと向かう。100円均一の棚が豊富で、おまけに探すと結構珍しい本が混じっている。亡くなってからそろそろ12年になるかがみ・あきらさんの「サマースキャンダル」を見つけ、実家にあるのになぜか欲しくなって購入。それから西炯子さんの短編集「え・れ・が」(新書館)とか、小説では大和眞也さんの蜜柑山奇譚シリーズの1卷「花が散る春」と2卷の「鳥が来る夏」(角川書店)。大和眞也さんのは。たがみよしひささんが表紙を描いていたシリーズで、実家にも多分あるはずなんだけど、最近どこかで話題になっていたのを思い出して、つい買ってしまった。しかしいったい何卷まで刊行されたのだろーか。

 そしてなにより驚くべきことに、滅多なことではお目にかかれなくなってしまったとり・みきさんの「てりぶる少年団」(小学館)が100円の棚に入っていた。最新作の「トマソンの罠」ではシリアスなとり・みきを見せてくれているけれど、少年サンデーに満を持して連載を始めてあっとゆーまに玉砕した「てりぶる少年団」の、「るんるんカンパニー」時代を思わせる爆裂するギャグのオン・パレードには、しばし言葉を忘れて堪能する。なんか漫画ばっかり読んでいた週末。こうやって、だんだん小説が読めなくなってしまうんだよな。


【6月29日】 聖誕祭が近いので、運転免許の書き換えに幕張のセンターまで行くが土曜日は休み。そうだ思い出した確か前回も土曜日に行って休みで引き返して日曜日にもう1度行ったんだ。まあどのみち今日は、「ウィンドウズ・ワールド・エキスポ/トーキョー」にも行くつもりだったから良かったんだけど、しかし開場まで2時間近くあったので、ぶらぶらと幕張の大通りを歩いてプレナまで向かい、珈琲屋にしけこんでブレンドとサンドイッチで1時間あまりを潰す。さすがに退屈。ようやくにして時間をやり過ごし、珈琲屋を出ると人の波。さすがに土曜日で最終日だけあって、朝っぱらからぞろぞろと妖しい人たちが幕張メッセに向かって歩いていく。遅れてはならじとせかせか歩いてメッセに向かい、行列に並んで会場に入る。

 しかし朝日新聞社とかテレビ朝日に主催をとられたから言うわけではないが、2月に開いた「マックワールドエキスポ/トーキョー」の時より人が少ないよーな気がする。デジタローグのブースで、今回も先頭にたってチラシ代わりの雑誌に「ジャングルパーク」のシールをペタペタ貼っていた、CD−ROMプロデューサーの江並直美さんに聞くと、金曜日まではビジネスユーザーが大半で、うわっついたエンターテインメントタイトルを扱っている、デジタローグ、ボイジャー、シナジー幾何学、愛があれば大丈夫の面々が集う「パブリッシャーズ・フロント」のブースには、あまり人が集まってこなかったそうな。まあ午前中の開場直後だってこともあるから、午後からは結構賑わったのかもしれない。そーいえばボイジャーの萩野さんも、やっぱり店頭ではりきってデモやってた。「パソコン創世記」の作者である富田倫生さんにも直々にデモしてもらえたし、早起きはやっぱりトクをする。

 会場内をぐるぐる歩いてコンパニオンチェック。IDGのブースにはスリムな体をピタTで包んだホットパンツ姿の女性が大勢いて絶景。あとオラクルのブースでお立ち台の上でヘンな英語を使ってデモしてた女性も、エナメル系のホットパンツ姿で、まるでダーティーペアのよーだった。せっかくだから、決めのセリフをゆーときに、なんかポーズでもとって欲しかったなー。カメラは持っていたけど、現像に出すときに恥ずかしいのでコンパニオンは撮らない。デジタルカメラだったら撮って帰ってパソコンで見られるのになー。


【6月28日】 米diba社の記事の件で取材の労を取ってくれたインテグレーテッド・システムズの人から御礼のメールを戴く。有り難い。これから伸びそうな技術、もしかしたら世間を代えそうな技術を紹介しているのかもしれないとゆー自負だけが、一般にまだ知られていない会社の、一般にはまだ知られていない製品を紹介するときの、心の支えになっている。もちろん付け入られる恐れだってあるから、常に勉強が欠かせない。とゆーわけで、勉強と称して会社でインターネットをやりまくり、漫画とSFを読みまくるのが、果たして正しい行為と認められるか否か。僕の無謀な挑戦は続く。

 本屋で加門七海さんの「鬼哭。−続・晴明。−」の下巻(ソノラマ文庫、540円)を購入し、空き時間を利用してまたたく間に読了してしまった。いやあ面白い、そして考えさせられる。加門さんについては、ベストセラーになった「大江戸魔方陣」「東京魔方陣」から、アラマタ的風水本の書き手だと思っている人も多いけど、実は小説家としてデビューし、すあちこちの出版社から何冊も本を出している。この春に出た「くぐつ小町」も面白かったけど、今度の新刊は小説としての筋立てはしっかり、キャラクターの魅力はたっぷりと、およそ非の打ち所がなく仕上がっている。橋本正枝さんの描く28歳の安倍晴明の色気といったら、いのまたむつみさん描く宇宙皇子にも匹敵する。

 それからとり・みきさんの「トマソンの罠」(文藝春秋、530円)も買う。ギャグではなく、かつてSFマガジンに連載されていた「山の声」のようにシリアスな短編ばかりが入っている。1つ1つがまさに珠玉の短編で、あらためてその才能に感嘆する。ラストに入っている「石の声」は、諸星大二郎の「暗黒神話」や、半村良の「闇の中の系譜」を思わせる、古代日本に材料を取った伝奇漫画。「ある長編の序章として」と副題がついているから、続きが読めるかもしれない。とっても期待。


【6月27日】 「DiVaX」の記事は6月25日付けね。今日もいろんな会社の記事を書く。まずは米diba社(名前が同じディーバなのは偶然)。カリフォルニアにある会社で、インターネットにつながる家電端末の製品化技術を持っている。昨日会ったエライ人が、日本まで運んで来た大きなトランクのなかには、インターネットTV用のセット・トップ・ボックスとか、電子メール機能付き電話機とかのモックアップが入っていて、行く先々で「こんなもん出来ます」といった具合に、見せて歩いているのだそーな。テレビでインターネットを楽しみたいとゆー人が、日本にどれだけいるのだろーかとゆー疑問はあるけれど、電子メール電話の方は、もしかしたら使い道があるかも。電子メール付きポケベルなんてのもいーね。

 それから扶桑社の記事。昨年末にいったんオープンしたものの、それ以来ずーと放りっぱなしだったホームページをリニューアルしたとゆーもの。といっても今のところは、「週刊SPA!」のコーナーしか動いていなくて、「CAZ」も「JUNIE」も「ESSE」も、看板だけで中身がない。ご多分に漏れず人手不足のフジサンケイグループなので、多分このホームページも、担当者が昼夜1人でシコシコ作っているのだろー。ホームページを真剣なPR媒体として使うなら、やっぱりそれなりの人材とそれなりのコストをかけなくてはいけないと思うのだが、これをいい出すと「天に唾」となるので、適当なところでやめとく。

 CICビクターに行って最近のセルビデオ市場の話を聞く。ディズニー物のブエナビスタは相変わらず絶好調なよーだが、ワーナーの「マジソン郡の橋」はディズニー物ほどターゲットが広くないので、一時の勢いが消えたら苦戦することになりそーとのこと。CICビクターは「ジュラシックパーク」で50万本を売り上げて、以後もディズニー物ほどではないけれど、20万本とか30万本とかのヒット作を出しているから、セル市場では結構自信を持っているみたい。「フォレストガンプ」とか「アポロ13」とか「キャスパー」とか、タマもそれなりに揃っているしね。

 山口雅也さんの「垂里冴子のお見合いと推理」を読了。うーん、軽くって手頃な本。2000枚とか3000枚とかの重厚頂戴なミステリーもいいけど、この本といい、北村薫さんのシリーズ物とい、短編の連作をポクポクと読んでいくのもまた楽しい。続きは書かれる予定なのだろーか。主人公の冴子さんは架空世界の主人公に似合わず歳を取るみたいだし、このまま難事件を解決してばっかりいたら、いつまでたっても結婚できない。続きは読みたいが、不幸せが続くのも可哀想。なんか娘を嫁にやる親の心境。


【6月26日】 「ウィンドウズワールドエキスポ/トーキョー96」を見に幕張メッセに行く。といっても今日は、展示会場の方には1歩も足を踏み入れていない。9時半からマイクロソフトの記者会見、10時45分からビル・ゲイツの基調講演に出なくてはならず、終わったら終わったで会社にトンボ帰り。聞いたことを記事にして午後の取材に出て会社に返って会議会議の連続攻撃に、ぐったりとして帰途につく。

 今日は新聞記者にとって「ビル・ゲイツの日」。マイクロソフトの新製品発表会、エキスポの基調講演と、幕張での2連ちゃんに続いて、午後はホテルオークラで任天堂、野村総合研究所と合同会見を行った。午後の方は忙しくて出られなかったけど、人によってはビル・ゲイツに1日つき合ったとゆーことになる。それにしてもビル・ゲイツ、来日するたびに、NTTやアスキーやソフトバンクや任天堂と共同事業を始めたり、合弁会社を作って帰って行く。どことのパートナーシップが1番長続きして、成果をあげるのか、馬柱なんか立ててレース形式で予想してみたくなるけれど、さすがに差し障りが多すぎるのでやめとく。

 「ウィンドウズワールドエキスポ/トーキョー96」の方は、マックユーザーってことや、今回から主催を朝日新聞にとられたってこともあって、マックワールドほど熱心に見たいとゆー気は起きない。しかし、これも仕事のうちなので、金曜日か土曜日にでも行って、あれこれ見て回るつもり。頭縛って皮のトランク下げてるアヤシイ人物を見掛けたら、それが私です。石は投げないで下さい。

 キッド・ピストルズなんかで知られる山口雅也さんの新刊「垂里冴子のお見合と推理」(集英社、1500円)を購入。ピンク地にサクラの木、和服の女性の装丁が、パンク探偵の山口作品とはとても思えず、本屋で何度か作者名を見直しした。中身の方はタイトルのとーり、お見合するたびに事件に巻き込まれる主人公が、鋭い洞察力、推理力で事件を解決していくって話。お見合ってしたことがないから、結構勉強になるけれど、お見合なんてすることもないから、勉強しても役にたたない。


【6月25日】 SFマガジンの8月号がすごい。なにが凄いかって、森岡浩之さんの「星界の紋章」の外伝「誕生」に、赤井孝美さんのイラストが2枚も付いている。文庫本ですら1冊に1枚しか付いてなかったのに、なんとゆー大盤振舞かと感嘆する。ってのはまあ半分冗談で半分本気としても、マジに今月号は、歴史に残る1冊となるのではないかと思っている。

 特集の1つはサミュレル・R・ディレイニー。まあこちらは、ようやくにしてやっとかめに「アインシュタイン交点」が翻訳されたことを受けたものだから、新刊にからめてSFマガジンがよくやる手の1つと理解できる。しかしもう1つの特集が、この3月に圧倒的な絶叫を受けてひとまず終了したアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」とゆーのは驚嘆に値する。山岸真さんもエッセイで「『スター・ウォーズ』の公開当時、SFマガジンでは、とくにあの映画を特集しなかったんですよね。そのおなじSF雑誌が、こういう特集を組む」。当時はSF映画を特集しなくても雑誌が売れていたのか、それともSF映画は特集するに値しないと考えられていたのか。僕が1人で見に行った初めての映画が「スター・ウォーズ」とゆーぐらいだから、当時の世間に与えた衝撃はエヴァの比ではないと思うのだが・・・。

 当時の判断が正しくて、エヴァを特集するSFマガジンが間違っているとゆー意見もあるだろうが、僕自身は、SFマガジンがアニメを特集することになんら異論はない。それだけの作品だったと思っている。まあ、「すべてがSFになる」(by水玉蛍之丞さん)状況では、SFマガジンに取り上げられたから、エヴァンゲリオンが正統なSFとして認められたんだといった議論は、あんまり意味をなさない。それでも「浸透と拡散」から「雲散と霧消」へ向かうかと思われていたSFが、あらゆるジャンルを巻き込んで生き続けているんだと思うことにすれば、それはそれで楽しいことではなかろーか。

 午後は大崎まで取材。かの「ヴァーチャル・ヴァレリー」をしのぐアダルトCD−ROM「DiVaX」の日本語版を発売している会社に行って、ウリである3次元マウスを使った操作方法を目の当たりにする。触った感触がじかに返ってくようなインターフェースは、まだまだ遠い先のことだけと、そこは想像力を働かせて、触ってる感じ、もみあげている感じを想起していただければ幸いであろー。ちなみにこのCD−ROM、初版3000枚がたちどころに売り切れ、今は再版を用意している最中だから、見つけた人は超ラッキー。来月発売されるとゆー3次元マウスも買って、パソコンの前で指をぐるぐる動かしてみよー。


【6月24日】 花王の記者会見。シャンプーやらリンスやらをコンビニに流すルートで、富士通パレックス、NECインターチャネル、日本IBMのCD−ROMタイトルを流しましょーとゆーことで、4社が合意したって話。全国津々浦々に流通ネットワークを張り巡らせている花王に目をつけたって所はなかなかだと思うけど、果たしてコンビニエンスストアで「世界の車窓から」とか「新潮文庫の100冊」とか「CDショウケース」とかを買う人が、どれだけいるのだろーか疑問に思う。

 まあ聞くところによれば、あんまし高くないCD−ROMをコンビニ向けに作って売るって話もあるから、それなりに成果はあげるのかもしれない。富士通パレックスの人が話していた、「コンビニの人はお弁当を全部試食して売るかどうかを決めるというから、期待と同時にとても緊張している」とゆーあいさつなんか、単に販路を広げただけってことではない、それなりの決意を表しているんじゃなかろーか。

 午後は新宿ピットイン。オタクアミーゴスを見に行ったわけではないし、シュガーベイブのライブを見に行ったわけではもちろんない。誠和システムズとゆー会社が年に何度か開いているプライベートショーを見に行ったのである。この会社、「ラムダブラー」だとか「キューカム」だとか「オーガイ」だとか、結構なかなかなソフトを出している会社だけど、ど派手な宣伝をしない分、プライベートショーに命をかけている節があって、前回は確か、浅草の木馬亭で寄席風プライベートショーを開いて、新聞記者や雑誌編集者らの意表を突いた。

 会場の入り口で高橋まこりん@BNNを見掛ける。会場内にはいると同時にショーの開始。ウェブ上で再生できる動画を簡単に作ることができるソフト「スマートスケッチアニメーター」だとか、ウィンドウズ95のスタートボタンなんかのインターフェースを制作した人が独立して作ったメモパッド風ユーティリティー「スティックノート」だとか、ややっとくるソフト、おおっとくるソフト、むむっとくるソフトを次から次へと紹介していく構成で、後になるほど時間が押して、説明がぞんざいになっていく。

 ラインアップにあった、DOSとかウィンドウズのファイルをマック上で簡単に開けるようにするユーティリティー「DOSマウンター」は開発コードが「どすこいマック」、逆にマックのファイルをPC上でアクセス出来るようにするユーティリティー「ヒヤ&ナウ」は開発コードが「マックどすえ」とゆーそーな。こっちの名前で商品化したらエライと思うけど、たぶんしないだろーね。


【6月23日】 そろそろ1カ月たったのでカバーガールを変えてみる。マウスでぐりぐり描いているのであんまり似ていない。細部がどーしてもうまくいかない。目とか鼻とか口とか、細かい描写なんてとてもできないから、やっぱり顔を描かないでおく。描けないからじゃないよと言い訳。

 街に行く。神宮前から徒歩5分のワタリウム美術館に行って写真集やらポストカードを眺めて過ごす。春には出ていたとゆーが、今日まで買えなかった写真集「hysteric Vol.1,」を所望する。このシリーズは森山大道さんの2冊(定価1万円!)が有名だけど、今度のOSAMU WATAYAとゆー人の「RIVER BED」も、アレブレボケ具合がプロヴォークしていてカッコいい。洋書だったらちょっとした版形の写真集が1万とかするのに比べると、「RIVER BED」は日本の写真集だから特大サイズでも5000円とお買い得。でもあんまり売ってないので見つけたら即ゲットしよう。今はもう売ってない(僕も持ってない)大道さんの1冊目なんて、プレミアついてるからね。

 いっしょに買ったのはイリナ・イオネスコとゆー女性写真家のCD−ROM写真集。「リテレール」の最新号にインタビューが載ってるし、「ブルータス」の最新号にも2枚ほど作品が紹介されているから、見たことのある人もいるだろー。少女や女性をヘルムート・ニュートンとはちょっと違った雰囲気で、頽廃的耽美的貴族的に撮る人ね。

 7800円とゆー値段はちょっとした輸入写真集なみ。でも限定120部の紙の写真集が85000円もするから、CD−ROMを買うしかない。モノクロの写真が262点も入っていて、じっくりながめている分には飽きはこないけど、いかんせんインターフェースがデジタローグ物を見慣れた目にはお粗末に写る。ランダムなスライドショーはあってもシリーズごとのオートプレーがないため、本をめくるようにいちいちマウスをクリックしなくちゃなんないのが辛い。動画で入っている作者へのインタビューが、これまたブレボケの粗い画像で、おまけに派手なカラーだから、作品世界からそっちに移ると、一気に雰囲気が醒めてしまう。「ジャングルパーク」買った方がよかったかなー、でも第1刷は1000部とゆーことだから、もしかしたら稀少版になるかもしれないなー、と自分を慰める。


【6月22日】 いとうせいこうさんの本を初めて買う。「豊かに実る灰」(マガジンハウス、1500円)は、へりをわざと汚した装丁が、古本屋で10年くらい棚のなかにほっとかれた感じを出していて、さすが曲者いとうせいこうと感心する。おまけに共著というか共作というか、作品の構成に「占い師」として深く関わっているのが「マドモアゼル朱鷺」。なんでもマドモアゼル朱鷺の占いをもとに書かれた小説とゆーことになっていて、ページのそこかしこにタロットカードの写真が出ていて、なんとも神妙な雰囲気を出している。

 タロットカードを初めて見たのは、多分少年チャンピオンに連載されていたつのだじろうさんの漫画「恐怖新聞」(宅八郎の「業界恐怖新聞」じゃないよ)の中だったと思う。映画「エクソシスト」が流行っていたころだから、もう20年近く昔になるだろーか。おりからの悪魔払いブームを受けてか、「恐怖新聞」でも悪魔払いが取り上げられていて、そのエピソードの冒頭だったかに、老婆がタロットカードを持って現れ、不吉な予言をしていたことを、なぜか今でも覚えている。その後は「パタリロ」に出てきたのを見た。作者の魔夜峰央さんは自分でもタロットの絵を書いていて、一時期本屋さんに解説本とセットで売られていた。今でも売っているのだろーか。最近では「ジョジョの奇妙な冒険」に出てきたから、これを見てタロットにハマッたって人もいるかもしれない。

 大学に入って、ふいに欲しくなってタロットカードのデッキを買った時、占いの参考にしたのが「アレクサンドリア木星王」とゆー人の本だった。最初のころは毎日のよーに世界の行方だとか明日の試験のヤマだとかを占っていたけれど、いつまで経ってもカードの意味を覚えられず、いちいち本と首っ引きになって占うことが面倒になって、今では年に1度か2度(盆と正月みたいなもん)くらいしか占わなくなってしまった。ホントはそーゆー態度はいけないんだそーだけど、自分のことを占って(これもホントはよくない)、それがとことん当たらないとなると、やっぱ嫌になってしまう。

 しかし、それにしてもすごい名前だなあ「マドモアゼル朱鷺」といー「アレクサンドリア木星王」といー。昔テレビによく出ていた占星術師は「ルネ・ヴァンダール・ワタナベ」ってゆー長髪のヘンなおっさんだったし、最近はとんとご無沙汰だけど一時期人気を博していたのは「王麗華」だった。占う時はやはり名前を変えてみるか。「リウイチーノ・タニグッチ・八白土星」とかに。


【6月21日】 金曜日好例の若手(って歳でもないけど)の研修会に出るために朝7時前に家を出る。夕べは秘密の仕事で3時まで起きていたので、ほとんど寝ずに仕事に行ったとゆーことになる。ちょっと前までポンキッキーズはおろか水曜日朝のムーミンのエンディングまでしっかり見ていたのに、ここんところ真面目に朝9時前(って真面目でもないけど)には家を出るようになってしまった。これでは「怠惰な新聞記者」とゆー看板が泣く。看板に偽りがあってはマズイので、これからは、極力夜の7時までに仕事を終えて帰途に着き、バランスを取ることにする。これでも「スレイヤーズ」は見られない。悲しいなあ。

 小室哲哉で稼ぎまくっているエイベックス・ディー・ディーから夏好例のライブイベントの資料が届く。今年はインターネットを使って、ヴェルファーレのライブの模様を他のライブハウスやご家庭のパソコンに中継する試みが予定されている。うまくはいくんだろーが、観客を興奮させられるだけのクオリティの高い音声や画像を、電話回線で遅れるものなのだろーかと不思議に思う。ライブへのパスは7月中旬に発売のCDに入っている。これはエクストラCDにもなっていて、インターネットのライブを見るためのソフトがいっしょに入っている。最先端のさらに先行くエイベックスが作ったとゆーことだから、エクストラCDもいよいよ普遍的な音楽ソフトになるための道を、1歩、また1歩と進み始めたとゆーことに。ならないかなあ。

 「パール、オパール、金、銀、珊瑚」。これって何かのCMのコピーだったかな。なぜ突然こんな言葉が思い浮かんだのかとゆーと、川西蘭さんの「パール 時のはての物語」(トレヴィル、1957円)を読んだから。プログラミングの「パール」が浮かばないところに、自分の文系たる所以を見たような気がする。さて「パール」、核戦争後の地球を描いた小説とゆーから、世に類似の小説は山ほどあるのだけれど、そんな先人たちの著作に影響されることなしに、楽しく1気に読み終えることができた。生き生きとした少年や少女の行動に、ついついほだされてしまったのかな。


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