縮刷版96年12月中旬号


【12月20日】 午前零時から「機動戦士ガンダムZZ」の再放送を千葉テレビで見る。ちょっと前まで毎週土曜日に「機動戦士Zガンダム」を放映していたのに、時間帯が変わってうやむやになり、最終回までちゃんと放映したのかしなかったのか解らないうちに、いつの間にか「ZZ」が始まっていた。死ぬほど暗かった「Z」の後を受けてコミカル・タッチにしたとは聞いていたが、なるほど「ガンダム」のキャラでやる「ザブングル」ってイメージだったね。最終回までちゃんと放映するんだろーな千葉テレビ。

 「ZZ」の後は零時半から「蒼き流星SPTレイズナー」の最終回。途中1クール分をすっ飛ばして強引に最終回を放映した作品とゆーだけあって、先週見たのとストーリーが全然つながってない。敵の参謀が寝返って、主人公のエイジは宇宙で敵の親玉と闘ってどーしたこーした。とにかく地球は救われたよーで良かった良かった。千葉テレビでは前に、同じ高橋良輔監督作品のロボットアニメとして、「装甲騎兵ボトムズ」を再放送していた。となれば次は「太陽の牙ダグラム」か、それとも「機甲界ガリアン」か。「ガリアン」って見た記憶がないので、是非とも再放送して欲しいな。もちろんちゃんと最終回まで。

 寝て起きて会社へ。今使っているワープロが古くなったので、全社的にパソコンに切り替えるとゆーことで、その第1弾導入の対象となって研修を受ける羽目となった。今時会社がマッキントッシュを入れるはずもないので、新しく入ったパソコンはもちろんウインドウズ95の導入されたNECのノートパソコン。でもCPUはペンティアムだしハードディスクは750メガあるしモデムも28800bpsが付いているから、今自宅で使っているLC575なんかより1万倍くらい(目分量)サクサク動く。研修はワープロ(一太郎)の使い方と通信ソフトの使い方が主だったけど、それくらいならマックユーザーでも解るので、インターネットにつないでエッチ画像を見ながら時間を潰す。後ろに座っていた人にもサービス、サービスゥ。

 六本木へ。富士通がファッション雑誌「ELLE」を出してる会社と組んでインターネット上のファッションサイトを運営したことを記念するイベントで、着飾った麗人たちが闊歩する夕方の六本木を、みすぼらしいスーツを来て貧相な髪型をした男がしょぼくれた顔して通り抜ける。とっても悲しい。ファッション雑誌のホームページを紹介するイベントらしく、集まっている人もファッション誌とかそーいったところの人たちばかりで、やっぱりフワフワと浮きまくる。あるいはドロドロと沈みまくる。

 ファッションページの編集に協力した、富士通のオンラインマガジン「テレパーク」編集長の村木泉さんを見つけて話しをすると、先日のアスキーのパーティーに出席してて、集まった一部の記者の話題をさらった、某扶桑社が発刊していた雑誌「パンジャ」の創廃刊編集長だった渡辺さんが、数日前に「テレパーク」を見物に来ていたとゆうー。村木さん自身も雑誌「SPA!」の創刊スタッフだったから、たぶん面識があったのだろー。しかし渡辺さん、アスキーでどんな雑誌を出すのかなー?

 ハリウッドの伏魔殿で苦闘しているソニーを描いた「ヒット&ラン」(ナンシー・グリフィン&キム・マスターズ著、森田伸訳、2800円)を買う。CD−ROMタイトルなんかを出しているフェフツウが発行して、キネマ旬報社が発売しているのが不思議だったけど、中身は実に面白く、なるほどアメリカのジャーナリストは仕事が丁寧で、かつエンターテインメント精神にあふれていると感嘆する。日本でこれだけの仕事を出来る人は少ないだろー。とはいえエンターテインメント欄担当としては、決して他人事ではなく、彼女たちを見習ってちょっとは仕事をしよーと思う。来年からは(ってこれがいかんのだよなー)。


【12月19日】 虎の門パストラルでインターネットTVガイドの発表会。これまで試験的にサービスしてたものを、来年からは広告を取って本格的なサービスに切り替えるって内容で、東京ニュース通信社の奥山忠社長ほか、NTT、NTTアドの人がズラリ並んで内容の説明に当たっていた。

 サービス自体は今の番組表とそれほど大きな違いはないけれど、例えばテレビ局のホームページに簡単に飛べるよーになっていたり、インターネットTVでも使いやすいよーになっていたり、スターのガイドや映画のガイドなんかを載せていたりと、それなりにグレードアップが行われている。サービス自体は無料で、広告によって収入をあげるとゆー、インターネットでのサービスにありがちな仕組みと取るんだけど、果たしてどれだけのバナー広告を集めることができるか否か、それが運営費用を賄うだけの額に達するか否か。先行きに関心ありと結ぶにとどめる。

 マルチメディア本部に名称を変更したソニー・ミュージックエンタテインメントの元ニューメディア本部に行って本部長の堤さんに近況を聞く。最初はちゃんとデジタル関係の話をしていたのに、いつの間にか雑誌「ニュータイプ」の巻末に掲載されている江川達也さんのイラストの女の子の足がいーとか服がいーとか、山口智子と豊川悦司の写真でスポーツ紙を賑わせた雑誌「CUT」の裏表紙前に掲載されているWARPの「エネミー・ゼロ(E0)」の広告を見ながら日本のセンスじゃ出来ない広告だねとか、パフィーの資生堂のコマーシャルを作った人は奥田民夫や井上陽水なみにスゴイとか、そんな話になってあっとゆーまに2時間近くが経ってしまった。濃い人だ。

 それにしてはSME、これまでそんなに濃いタイトルは出していないし、セールス面でも成功したといえるタイトルがほとんどない。あえて挙げるなら愛があれば大丈夫が手がけた「銀河の魚」か。SMEのオーディションでデビューして、マルチメディアグランプリでアーティスト賞を受賞した佐藤理さんも、第1作の「東脳」と第2作の「中天」の次がなかなか出ないし。まあ、そんな状況だからこそ、来年2月に発売予定の「クーロンズ・ゲート」に、会社の期待がかかるとゆーものだろーね。「E0」に勝ってるかどーか、家にはプレステもセガサタもないから、比べよーがないのがちょっと残念。

 プレステが無いのにソフトだけ2本もあった「トゥルー・ラブストーリー」を鑑定したいとの依頼があったので、段ボールで挟んで手近な封筒に詰めて郵便で発送する。鑑定歴ウン10年のプロ中のプロなので、きっと的確な鑑定をして頂けることだろー。中島誠之介って黒い円盤を持ち上げてコンコンと指で弾いて「いい仕事をしてますねえ」と評価するか、あるいは渡辺包夫って眼鏡をかけたりはずしたりしながらじっと絵を見て「いけませんねえ」と貶すか。初台方面の関係者は刮目して鑑定を待て。

 本屋で千葉麗子さんの写真集が並んでいたのを見かけるが、お金の持ち合わせがないので買えなかった。これまでどーして芸能界を引退した人が裸に近い姿をした写真集を出すんだろーと疑問に思ってたけど、写真集をひっくり返して見ると発行がダイヤモンド社とあって、そーなんだこの本は、経済書や経営書のダイヤモンド社らしく、女性起業家・経営者が裸一貫で頑張ってるんだぞーってことを身を持って示そーとした写真集だったんだと気づいて納得する。これが好評だったらダイヤモンド社、次はA引っ越しセンターとかザ・RとかK談社とかいった、女性起業家・経営者のいる会社として有名な会社の社長さんの写真集をシリーズ化したりして。チバレイと同じデジタル方面からはJシステム専務と光A副社長を候補にしとこー。裸一貫かどーかは別にして、ね。


【12月18日】 年末になると面白そうな本が山積みになっていて、買ってくれいと強烈なオーラを発して呼びかけて来るので、いくらお金があっても足らない。なかに「放浪する少年」という、共通のモチーフを持った2冊の本が、ほぼ同時に(共に12月20日発売)店頭に並んでいたの見つけ、因縁めいたものを感じて両方とも買ってしまう。解説をよむとどちらも処女作だそーな。

 1冊はスティーヴ・ワイナーの「愛の博物館」(葉月陽子訳、講談社、2600円)。ジャン=ミシェル・ヴァハーレンという12才の少年が「自分自身と、愛を探すための旅に」(コシマキ)出る物語で、猥雑で暴力的でグロテスクな描写が冒頭から次々と繰り出される。もう1冊はスティーブン・ビーチーという人の「時の果て、ゴーストたちの口笛」(渡辺伸也・近藤隆文訳、大栄出版、2575円)。両親を惨殺されて孤児院に収容された少年マットが、隣に住んでいたアンダルーシャを探してアメリカ中を遍歴する物語で、ホームレスになっていたザ・ドアーズのジム・モリソンに出会ったり、カルト狂信者、少年愛趣味の中年男と出会うといった、「幻視的」な光景が続く。

 「ハックルベリ・フィン」以来、アメリカに伝統的な少年の冒険物語の系譜に連なる2作といえるが、さわやかでほろ苦い少年の成長物語とは違って、これらの作品には、現代のアメリカに存在するさまざまな問題が、旅先で見る光景、旅先で出会う人々の姿として、描かれているよよーに思う。といってもまだ、冒頭を読んだだけなので、結末がどうなって、2人の少年がどこに辿り着いたのかは知らないのだが。

 毎日新聞社の発表会。なんだなんだと思って行くと、なんのことはない普通の電子メールで置くっている電子新聞を、HTMLのデータで送るよーにするって内容で、ネットスケープの新しいメーラーで見ないとキレイに見えない。そんな程度のことを、どーしてわざわざ記者を集めて発表するんだろーと思ったけど、もとより電子メディアに積極的とゆーか、紙の方がアレなんで電子メディアの方に力を入れなくちゃならないって意気があるんだろーね。しかしそこまでネスケに依存じていーのだろーか。エクスプローラーもじわりじわりとシェアを上げていることだし。

 アスキーの懇親会。去年までや役員クラスだけしか出ていなかったのに、今年は編集統括部長クラスまでを引っぱり出して来た。「アスキー」の遠藤諭さんとか、「テックログイン」の河野慎太郎さんとか。「ファミ通」の浜村弘一さんは忙しーのか姿は見えない。もっとも、大半が経済部の記者なので、雑誌の編集長なんかとつきあいがあるはずもなく、会場の右と左にぴちーっと分かれて、料理をはさんでのお見合状態がしばじ続いていたのはおかしかった。帰りがけに「期待のゲームソフト」と役員の人が訴えていた「トゥルー・ラブストーリー」をもらう。前に1枚もらったのがあるので、これで家に同じソフトが2枚になってしまった。しかし肝心のプレイステーションはなく、どーしたものかと2枚を並べて溜息をつく。ソフトとハードを交換してれるよーな店って、ないよね。やっぱり。

 ペルーでテロ。警戒の厳重な日本大使の公邸に、どーして武装ゲリラが入り込めたんだろーか、不思議で仕方がない。きょうび外務省に入るのだって、身分証明とか訪問先の照会とかをしなくちゃならないのに、あれだけ騒動がたびたび起こるペルーで、入り口チェックしないはずがないのに。人質を取ってたてこもっているテロリストのもとに、かつてペルーで大ひんしゅくを買った宮前マキ(元COCO)を派遣して「私をかわりに人質に」なんて立候補させたら、誉めてやるぞ日本テレビ「それゆけ電波少年」。それとも南米をヒッチハイク中の猿岩石の二番煎じ「ドロンズ」を急遽リマへと派遣するか。


【12月17日】 「幻視者」ことスティーヴ・エリクソンの長編「Xのアーチ」(柴田元幸訳、2500円)にとりかかる。その昔、ちくまライブラリーとして発売された巽孝之さんの「メタフィクションの謀略」(1450円)にあらすじが紹介されていて、ぜひとも読みたいと思ってた1冊だったけど、いざ手に取ると、その非エンターテインメント性が災いしてか、起承転結大ありのエンターテインメントしか読めなくなっている頭にすごくこたえる。買ってからもう5年は経っているトマス・ピンチョンの「V.」と「重力の虹」の長編2冊(どちらも上下組だから4冊か)も、まだ10ページほどしか読んでないってほどの怠惰ぶりだから、2日目で100ページまで来た「Xのアーチ」なんてまだ良い方だけど。

 富士通から飛び込みの記者発表会。カリフォルニアに本社を置くウェブTVとゆー会社と、国内で合弁会社を作ってテレビ向けインターネット事業を始めるって内容で、緊急だったにも関わらず100人近い取材陣が、会場の丸の内センタービル20階につめかけていた。このウェブTV、よーするにセット・トップ・ボックスを付けてテレビでインターネットを見られるよーにしましょってサービスをアメリカで手がけてる会社で、9月から事業を開始したところ結構な賑わいを見せ、年末のクリスマス商戦でソニーとフィリップスが作ってるセット・トップ・ボックスが、飛ぶよーに売れてるんだとか。

 元アップルの偉いさんとゆーウェブTVのデモを見せてくれて、それがまたサクサクと動くんだわな。ブラウジングしている画面にリモコンを向けてなんか操作すると、チコンとか音をたてて電子メール用の場面が立ち上がったり、ブックマークの為の「宝箱」なるGUIが登場したりする。ツールバーからプルダウンメニューを出して該当箇所にポインタあててなんて作業はぜんぜん必要ない。ブックマークした先が画面付きで記憶されているのにも驚いた。これなら「index.html」としか書いてない幾つもあるページの内容を、人目で見ることができるね。あと素ロールしなくていーよーに画面を伸ばしたり縮めたりしたり、小さな文字を拡大してくっきり見せたりと、インターネットの本場で本格的なサービスを手がけているだけあって、なかなかのクオリティーとパフォーマンスを出していた。

 しかしやっぱ日本じゃあ、昼間っから電話つなぎっぱなしにしてインターネットって訳にもいかず、夜は夜でテレビはゲームに占拠されるから、いったい誰がいつ使うんだろーって疑問がまとわりついて離れない。通信スピードについても一般回線でいーのかって話しになるけれど、これはISDNなんかも普及し初めているから、文句は言わない。やっぱり肝心なのは電話料金で、圧力くらって値上げ申請なんかしてる国情じゃあ、昼日中からおうちでインターネットぶんぶんなんてハッピーな環境は、まだまだ先のことになりそーだね。ウェブTVもそれまではトライ期間。

 読売新聞朝刊(東京版)にノート型パソコンの広告。ペンティアムの166メガヘルツを搭載して、6倍速CD−ROMドライブを搭載して、大型TFTディスプレーを搭載して、「ISO9000」認証工場で組み立てて、それでいて30万円ちょいとゆー値段のパソコンが、「配給品」として掲載されていた。そう「配給品」。「販売品」じゃーないよ。意味は優れた商品を配給しますってゆーメーカーの意志とゆーことで、なかなか高ビーなメーカーじゃねーかと社名を見たら、「フリージア マクロス」とあった。

 フリージアフリージアフリージア、マクロスマクロスマクロス・・・と考えて「佐々木ベジ」とゆー名前に思い至る。おーそーだ。「フレンズ・オブ・フリージア」を率いてあちこちに買収を仕掛け、谷藤機械を買って社名をヲタクも憧れる「マクロス」に買えた兄ちゃんじゃねーか。ってことは佐々木ベジ、アキアの向こうを張ってパソコンの製造・販売に乗り出したってゆーことか。まあ、かつて兜クラブで会見した時に「最年少の管財人」と豪語していた人だから、マとハとポの付くパソコン屋(マントラ付き)よりは、マトモなパソコンを売るんだろーとは思うけど。でも「配給」ってのはなー。

 「びでおていぷれこーだー」様がご家庭に来たのを良いことに、Gコードなる謎めいた機能を使って今が旬の「機動戦艦ナデシコ」を予約録画しておく。キングレコードなどで放映前から期待の1作と聞いていたし、放映後もあちこちの雑誌、そちこちの新聞、をちこちのホームページで噂になっていたから、是非とも1度この目で確かめんと意気込んで再生ボタンを押す。うーん、こーゆー話だったか。明るいマクロス、でもないか。陽気なイデオン、ちょっと違う。キャラクターで魅せる、お遊びで魅せるって要素が前面に出てしまっているけど、裏にはきっと芯の通ったドラマがあるんだろー。たぶん。きっと。来週もきっとGコード予約するよ。ゲキガンガーが負けちゃったあああ。


【12月16日】 午前零時半に起き出してサッカーアジア杯決勝トーナメントの日本対クエート戦を見る。しょっぱならかクエートのスピードについていけず、防戦一方の内容になっていたのでヤバイと思っていたら、案の定一本のロングパスを裁き損なってゴール前に流れたところを、センタリングを出されて決められてしまった。

 得点された場面だけ見れば、たしかにバックスのミス。だがそこに至る過程で、パスミスが出たりプレスをかけられたりして中盤をなかなか支配できず、相手方の中盤から前線へとどんどん玉出しされてしまっていたから、いつかこーゆー事態になることも予想できた。日本も最後列から前線へとロングを出すが、精度にかけていて前線の選手につながらない。ラグビーじゃないんだからタッチを割るよーなロングボールはぜんぜん意味がない。体力・技術とも基礎が大事ってゆーか当たり前で、そこから先にどれだけ積み上げていくかってことなんだけど、いきなりすっ飛ばして一流選手然とするんだから、日本人選手って。

 3時頃にいったん寝てから、朝起きて仕事に。先週届いていたワーナービジョン・ジャパンの新作ソフトの話とか、東芝EMIから来年2月に発売される新作CD−ROMタイトルの話とかを記事にして出す。東芝EMIの製品は、かの「愛があれば大丈夫」(社名です)の作品で、音楽とイラストを融合された画期的タイトル「ダリア」の3作目にあたるもの。今回もなかなか良さそーな印象を、リリースの文字を読んでうけた。しかし先週は、1日で300行とかを出す日が2−3日あって、大変なじゅーろーどーを強いられたけど、今週はちょっとはラクができそー。ってもまあ、普通の新聞社に比べれば書く量は(中身は訪わないとして)2倍から3倍は軽く超えてるけど。んでもって給料は・・・と書いていくと愚痴っぽくなるからまあこのへんで。

 一般紙が出ていないのにスポーツ新聞は出るのが新聞休刊日の翌朝。日刊スポーツを買うと先週あたりから話題になっている大塚寧々さんの上半身ヌードが付いたホーキンスの全面広告が載っていた。東京版だけかも知れないけど、先週の日経といいこれで2枚貯まった。貯めてどーするって訳でもないけれど。それから寧々さんをペロリとめくると、そこには「第1回アンコールワット国際ハーフマラソン」の告知広告が、やっぱり全面で出ていた。下に「カンボジア対人地雷被害者救済協力レース」とあって、大会の収益金なんかをチャリティーとして寄付し、地雷で足を失った人に義足なんかを贈ると大会趣旨にあった。

 それだったら例えば、賞金1億円で命知らずを1万人とか集めて、地雷が埋まった野っ原を「よーいドン」で走らせるレースなんかを開催したら、いっきに地雷も始末できるだろーにと考えた。名付けて「カンボジア対人地雷除去協力レース」。踏んだら即アウトだけど、踏まずに一番で戻ってきたら1億円がもらえるってんなら、結構な数の参加者が集まると思うよ。先頭を走っているランナーが、折り返し地点で足を早めて歩幅を広げた瞬間にドッカーンとか、皆が通った後だから安心と思って最後尾を走っていたのに、危険だからと誰も立ち寄らなかった吸水所に知らず立ち寄った瞬間にドッカーンとかいった具合に、レース中は派手な花火があちこちで上がるのが見られるって寸法。「ツール・ド・カンボジア」とか言ってシリーズ制にして、10レース終わってトップの人は10億円ってのもいーかも。


【12月15日】 天気がいいのでお散歩に。ワークブーツの馴らしもかねて、いつもなら自転車に乗って行く「ブックオフ」まで、15分くらいをかけて歩いて行く。100均の棚をチェックするも、たいして出物はなし。しかたなく普通のお値段(とっても中古のお値段だけど)の棚を見ていくと、あったあった、ずっと探していた清水玲子さんの「輝夜姫」(白泉社)が8巻まで揃って並んでいた。

 「月の子」が終わってしまったあとに登場した連載の単行本化だっただけに、ずっと気になってはいたんだけど、第1巻を買いそびれたら、そのままずっと買えずにいた。これは好機と8巻分、各200円を棚からごっそっと抜いて確保する。前に「おたんこナース」の第3巻を見つけた時は、後で買おうと思って5分後に行ったら、すでに買われてなくなってたもんね。まあ「輝夜姫」がなくなる心配はあんまりないけど、用心にこしたことはない。

 チェックコース「その2」の文庫の棚にも出物はなし。ハードカバーの方をずーっと見ていると、おおこれは松尾由美さんの「ブラック・エンジェル」(光風社出版)ではないか。94年の刊行だとゆーのに、「ジェンダー城の虜」だとか「ピピネラ」だとかが話題になっている作家なのに、初の書き下ろし長編ミステリと銘打たれた「ブラック・エンジェル」なのに、書店で新刊として見かけることがなくなっていた。はやり好機と購入を決める。読むのは先のことになりそーだけど。

 中古ソフトの方は、かの飯野賢治さん率いるWARPの新作ソフト「エネミー・ゼロ(E0)」が並んでいるではないか。その巨躯を噂される飯野さんだけど、実際は180センチもなかったと思うし、話し方も丁寧で理路整然としている。ぜんぜん恐くないよ。でもまあ、身長はともかく極めて「フォトジェニック」な人だけに、自身が登場する「E0」のCM(関東地区だけの放送って噂あり。事実か?)は、なかなかにインパクトがあったね。

 セガ・サターンもプレイステーションも持たず、「Dの食卓」もプレイしたことがないので、飯野さんがどーゆー方法論でゲームを作る人なのかはよく知らない。すくなくとも1つだけ言えることがあるとすれば、「E0」のCMなんかに登場しているCG美女(「ローラ」さんだったっけ)には、僕はとても感情移入できそーにない。アニメ的2次元美少女だったらワクワクしながら見られるのに、3次元CG美女をウキウキとは見られないってのは、世代の違いなのかもしれないし、根本的なズレかもしれない。いくらシステムとして優れていても、あるいは感度的なフィナーレが待っていたとしても、肝心の視覚的な部分で入り込めないってのは、いかんともしがたい。まあ慣れってもんもあるから、見続ければあれでなかなかカワイイと思えてくるのかもしれないけど。

 しかしハードはなくても仕事柄ソフトだけは集まってくるよーで、アスキー渾身の恋愛シミュレーションゲーム「トゥルー・ラブストーリー」が、なぜか自宅に転がっている。キャラクターの好みでいえばイマイチ。しかしゲームをやりはじめて、ゲームのなかで会話したり親しくなったりしていると、だんだんと親愛の情が芽生えてくるんだろー。近所のディスカウント屋に行って万札を2枚出し、プレイステーションを買って来ればすぐにでも始められるんだけど、それをやってしまうと時間がめいっぱいとられてしまうのが見えているので、なかなか踏み出せずにいる。一線を越えて夜を奪われた人々の屍が累々としている世界だけに、今のところはソフトのジャケットでもながめて、中身を予想するだけにしておこー。年末年始を誘惑に耐えて無事越えられるかがちょっと心配。

 鎌田秀美さんの「無慈悲な夜の女王に捧げる賛歌」(アスペクト、2000円)を読了。なんで月が舞台なんだろーと疑問に思いつつも、ストーリー自体はアクション性にも思弁性にも富んでいて、なかなかに楽しめる時間を過ごさせてくれた。文体は好き。でも外人名のキャラクターが山ほど出てきて、ちょっと覚えにくかった。主人公の幼少期から青年期とか、テロリストの「モグラ」の生い立ちとかを、みっちりと本気で書き込めば、野阿梓さんの「バベルの薫り」にも匹敵する重厚長大にして荘厳華麗な小説になったかもしれないけど、そのあたりをいっさい省いて、ただただストーリーを進めていくのもなかなかに潔い。

 先の森岡浩之さんの「星界の戦旗」とともに、年末にしてこーゆー本が出るとは、ニッポンSF界もまだまだ捨てたもんじゃねーや、と思っていると海外からはエイミー・トムスンの新作が超弩級の迫力で到着するもんだから、霞んじゃうんだよなー。アスペクトよりはハヤカワの方がブランド力あるもんなー。


【12月14日】 もそもそと起き出しては駅前に行って、新聞と食糧を本を買い込んで家に戻るのが、出かける用事のない時の週末の日課になっている。今日もその日課に見事はまった一日で、まずはキオスクに行って一般紙とスポーツ紙を買い込み、本屋に行って新刊を買い揃え、デパートの地下食料品売場に行って食糧を買い貯めて、1時間余りで家に戻る。外は青空いい天気。風はおだやかインディアン・サマー。けれども出かける当てもなく、人に会うなどもってのほかの週末は、近づくクリスマスが例年どおりのロンリーな一夜になることを、はやくも思い知らせてくれる。

 愚痴はこのへんにして新刊について。ヲタクな兄ちゃんによって作られたアンドロイドの美少女が、傷つけられながらも健気に生きていく様を描いて感動を呼んだ「ヴァーチャル・ガール」のエイミー・トムスンが、異世界を舞台にした「ファースト・コンタクト」物を引っ提げて日本のSFファンの前に再登場した。その名も「緑の少女 上・下」(田中一江訳、ハヤカワSF文庫、各660円)。アンリ・ルソーっぽい緑のジャングルの表紙絵が、数ある文庫本の中でもひときわ目立つ。

 感動物の内容だったけど、それだけに日本語のタイトルやコシマキの惹句にちょっと違和感を覚えた。まず「緑の少女」ってあるけれど、これって惑星に置き去りにされた女性生物科学者のことなのだろーか。だとしたらいささか薹(とう)の立った「少女」ってことになるね。惑星に居住している緑色の体表を持った少女のことならピッタリなんだけど、それだったらコシマキの「異境でひたむきに生き抜く少女を描いた感動の物語」って惹句が合わなくなる。英語に自信がないので、「THH COLOR OF DICTANCE」とゆー原題のニュアンスが意味するものが解らないけど、健気なアンドロイド少女のキャラクターが受けた「ヴァーチャル・ガール」を意識しての日本語タイトルだとしたら、ちょっと違うって気がするなー。

 それはともかく「緑の少女」、主人公の生物学者を置き去りにする宇宙船の名前が「小谷丸」で、乗組員の生命科学斑主任の名前が「タカユキ・タツミ」ってのが、日本贔屓でコンベンション・フリークのエイミー・トムスンらしくて面白い。日本人のSF者にちなんが名前が付けられたキャラクターなんかが登場する作品って、きっと過去にもあったろうけど、宇宙船の名前になってしまったのって、これが多分初めて、なのかなあ。誰が書くのかは別にして、「ノゾミ・オオモリ3世号」なんて宇宙船が出るのはいつの日か。

 「ノゾミ・オオモリ」と言えば大森望さんの解説が付いたミステリーじゃないSF作品が、新刊として本屋の平台に並んでいた。タイトルは「無慈悲な夜の女王に捧げる賛歌」(アスペクト、2000円)、書いたのは鎌田秀美さんとゆー人。読んでないのでどーゆー話かは知らないけれど、誉めてる人が誉めてる人だから、某「コズミック」と同様に、SF者には面白くためになる話であることには間違いない。なにせタイトルがふるってるじゃない、かのハインラインを思わせて。森岡浩之さんの登場で黄金時代一歩手前(と自分で勝手に思ってるだけ)の日本SF界を、一段と沸き立たせてくれる新鋭の登場か。あとは読んでのお楽しみ、だね。


【12月13日】 昨晩のことだけど、千葉テレビで懐かしいけど覚えていないアニメが放映されていたのを偶然にも見てしまう。題名は「蒼き流星SPTレイズナー」。昨日買った「このアニメがすごい!」(宝島社、1000円)によれば、昨日取材に訪れたサンライズが、85年に放映したアニメーションとゆーことで、まさに偶然の一致と、ついつい終わりまで見入ってしまう。エンディングの後、流れた次回予告のタイトルが「歪む宇宙」だった。

 あれれ、これもどっかで見たばかりと思って、「このアニメがすごい!」の中の「トンデモ最終回伝説」を読み返すとあった、あった。「なかでもすごかったのは」という前置きで語られているのは、1クールをすっ飛ばしていきなり最終回に行ってしまったアニメとして、この「蒼き流星SPTレイズナー」が語られているのだ。そして途中をすっ飛ばして放映された最終回のタイトルが「歪んだ宇宙」だったのだ。これまた恐るべき偶然の一致。とゆーわけで千葉テレビを受信できるサンライズファン、アニメファンの面々は、来週木曜日の24時30分(たぶんこの時間。保証はないよ)に注目だ。歴史的「トンデモ」最終回を見られるぞ。

 かつて「ハイ」なるヤング・アダルトの雑誌を出して惨敗した早川書房が、偶然にもタナボタ的に成功を得たヤング・アダルトの大傑作、森岡浩之さんの「星界の紋章」の続編が出た。その名も「星界の戦旗1 絆のかたち」(早川書房、520円)。「紋章」のあとは「怨歌」じゃないかと、平井ファンにした通じないギャグを勝手にほざいていたのは大ハズレに終わったけれど、とにかくも「紋章」が売れて「戦旗」が出せたのは本当に良かった。

 早川側にヤング・アダルトという実感があるのか無いのかは知らないけれど、森岡さん渾身の「星界」のシリーズは、今のSF的作品の商業的主流を占めているヤング・アダルトの作品群と、充分にタメを張った売れ行きを確保できる素材だと思う。本当だった「SFマガジン」に、「星界」シリーズを連載してもらって客を集め、いっしょにハードだったりコアだったりするSF作品を読んでもらうといった、大胆な試みを期待したいんだけど、「歴史の重み」ってのもあるから、そう簡単にはいかないんだろーね。とりあえずは2月号に掲載される外伝と、たぶん大森望さんによる作者インタビューに期待したい。

 それにしても森岡さん。こう言っては僭越だけど、本当にストーリーテリングが旨くなった。「星界の紋章」を初めて手に取ったとき、冒頭で延々と語られる設定に辟易して、なかなか没入出来なかった記憶がある。でも「星界の戦旗」は、当意即妙の会話を核にした短いエピソードが積み重なって、実にテンポよくストーリーが進んでいく。キャラクターたちの性格の面白さも際だって、なかなかに読みごたえのある作品に仕上がっている。売れること間違いなし。高千穂遥さんの「ダーティーペア」以来、久方ぶりの「SFマガジン」が生んだ大スターに、きっと「ジント&ラフィール」はなれるだろー。次巻が5月頃ってのが、つくづく残念で腹立たしい

 表の新聞が主催した「草の根シンポジウム」にかり出されて経団連会館に出向く。米国の地方新聞の記者を集めて、日本とか世界とかに関して話し合ってもらうのが目的のシンポジウムで、普段はあまり接することのない、地方都市の新聞ジャーナリストが日本を訪れて得た感想を、興味深いエピソードを交えながら、実にはっきりと語ってくれた。二条城のウグイス張りの廊下から、名刺を交換し合ったり、何かと細かな情報を欲しがる日本の人たちの性格を読みとるなんて、日本人にはおよそ不可能な思考形態だと思う。言われてみれば確かにそーで、なるほど物事は客観的な視点が必要なのだと、改めて思い知らされた。

 「紋章」の次は「怨歌」だと思わせた張本人の平井和正さんが、乾坤一擲魔羅勃起を目的に書き継いでいる「月光魔術團」の最新刊、「哀愁のヒマラヤナウサギ」が出ていたので購入する。ますますもってエッチの度合いはいや増して、けれどもストーリー自体はいっこうに進む気配のない状態が、この第6巻でも続いている。唯一、真黒と人美の一瞬の交換があったのが、ちょっとした発展といえるだろー。ちょっとばかりはずしていた犬神明(メイ)の登場も、読者の次巻への興味を増進させる。しかしいったい、どんな終わりを見せるんだろーか。未完にだけはしないでくれい。


【12月12日】 六本木にあるアクシスとゆー会社からリリースが届く。「インフォ・バンク」シリーズとゆーソフトの新製品が出たとゆー案内で、今回は日本の戦後史に関する情報を満載したソフトと、世界の国々に関する情報を満載したソフトの2本。戦後史の方では政治とか経済とか文化とかスポーツとかその他もろもろの情報が、およそ3万件入っているとか。あれが流行ったのはいつだったっけ、とかあの総理大臣っていつの人だったっけ、とかいった突発的に気になった時に調べよーのない情報が、だーんと入っているそーな。新聞屋のよーな仕事をしていると重宝するかもしれないけれど、普通の人にとってどれだけ利用価値があるかはちょっと解らない。でもまあ、年表って見ているだけで結構楽しいから、もうちょっと値段が安くなったり、初めからパソコンに入っていれば、割と利用するかもしれない。考えて下さい、アクシスさん。

 新宿の住友ビルでデジタル・メディア・ラボが中心となった発表会。ソフマップにパソナにギャガ・コミュニケーションズにウェザーニューズ社にカルチュア・コンビニエンス・クラブにマジックマウスといった、若手企業かとか学生ベンチャーが出資したりアドバイザーになって、新しいインターネット関連の会社を立ち上げるとゆー内容。目指すのは国内最大のインターネット・モールだったり、インターネット広告会社だったりと多岐に渡っている。確かにそうそうたるメンバーが揃っているし、ビジョンもそれなりに明確だけれど、これだけ世界中にサイバー・モールが乱立しているなかで、どれだけ存在をアピールできるのか。どんなにつまらないホームページでも、自社の媒体でガンガンと宣伝できる既存のメディアの強みとゆーかズルイところを、利用していくことになるのかな。

 西武鉄道の新宿駅から電車に乗って上井草へ。昨日の「スタジオぴえろ」に続いてアニメーション・スタジオシリーズの第2弾(ただの偶然とゆー説もある)となる「サンライズ」に行っていろいろと話しを聞いてくる。アニメスタジオとゆーと板張りの床に投げ捨てられた吸いがらが溜まり、ごみ箱は描き損じの紙だらけ、なんてイメージを勝手に抱いていたんだけど、昨日の「スタジオぴえろ」も今日の「サンライズ」も、ビルはキレイで床にはゴミ1つ落ちてなく、働いている人も3日間フロに入らずヒゲぼうぼう、髪ぐしゃぐしゃって感じではなかった。あるいは「ぴえろ」や「サンライズ」が特別で、他には資料の山の下で寝袋にくるまって沈没している人がいるよーなスタジオがあるのかもしれない。

 まあ「サンライズ」の場合、つい最近ビルが新しくなったってこともあって、1階のロビーなんか実にキレイ。それにポスターの1枚、おもちゃの1つも飾ってない。上の役員がいる部屋の脇にある秘書さんたちの机の上にも、やっぱりフィギュアとか雑誌とかCDといった、アニメに関連する品物が一切置かれていなかった。ブエナ・ビスタじゃパーテーションの上に縫いぐるみが座っていたり、コンピュータのモニターの上にフィギュアが止まっていたりして賑やかなのに。あるいはクリエーターの部屋に行けば、プラモに雑誌にゲームなんかが山積みになっているのかもしれない。ちなみに会議室の棚の中には、第32回日本SF大会だかでサンライズが受賞した星雲賞が、ゴールドディスクだとかアニメグランプリだとかのトロフィーや楯なんかといっしょに飾ってあった。流石だね星雲賞。でも瓦煎餅だったらどーしたんだろー。

 予習のために買った宝島社の「このアニメがすごい!」を見ると、サンライズの作品が実に多いことに気が付いた。ロボット物なんて半分近くがサンライズ絡みだからね。しかしこの「このアニメがすごい!」、20代半ばから30代にかけての、「マジンガーZ」「エヴァンゲリオン」(あと「ナデシコ」とかも)までをすべてリアルタイムで見て来た層は、冒頭の「マジンガー」とか「タツノコプロ」の話に狂喜乱舞し、70年代の声優に関する対談で記憶を突っつかれて涙を流し、「月刊OUT」に掲載された「悩ましのアルテイシア」のピンナップ再録に脳天カカト落としを喰らった衝撃を再び味わうことになる。でも20代前半とか10代の人たちが、読んでどんな感想を持つのかにちょっと興味がある。「エヴァ」本かと思って買ったらつまらない昔のアニメの話しばっかり並べやがって、とか、押井守さんのインタビューと「ガンダム」や「エヴァンゲリオン」のトレーディングカードの話だけしか読んでいない、とか思うんだろーなー。あーあ、オヤジになっちまったよ。


【12月11日】 渡辺プロダクションのグループ会社でマルチメディア関連事業を手がけているワタナベ・デジタル・メディア・コミュニケーションズの記事を明日付け用に書いて入れる。インターネットでライブやらプロモーション・ビデオやらアニメ番組やらを流すとゆーサービスが、11日から始まったことに合わせて、先だって渡辺ミキ社長に聞いておいた話しをまとめたもの。実際にサービスを見ればイメージが湧いたんだけど、自宅の14400bpsのモデムではどーも動画が上手く見られないそーだから、28800bpsのモデムを買うか、ISDNでも引いたら見ることにする。

 ちなみにインターネットを通じて見られるアニメとゆーのは、画面の隅にちょっぴり開いた窓の中で放映される程度で、決してクオリティー的には誉められたものではない。おまけにほかが音楽ばかりのコンテンツで、いったいどーしてアニメがと思って、作品を提供した名門アニメ制作会社の「スタジオぴえろ」に行って社長の布川さんにいろいろと聞いてくる。布川さんいわく、クオリティー的には確かに満足できるものではないけれど、海外に自分ところのアニメ作品をピーアールする手段としては利用価値があるだろーし、海外の人が見てどんな感想を持ってくれるのかを知るだけでも意味があるとゆーこと。ただし権利関係の問題はまだまだすっきりとはしていないらしく、世界のヲタクに人気の「うる星やつら」とか、「幽々白書」とかが流れるのはまだ先になりそー。それでも日本のヲタクを驚喜させた「クリーミーマミ」が流れてるんだから、まーいーか。

 話していて抱いたのは、新聞やテレビといったメジャーなメディアがしきりに使い始めるよーになった「ジャパニメーション」とゆー言葉が象徴するほどには、海外とくに米国で日本のアニメが一般的に受けているのだろーかとゆー疑問。布川さんもアジアは確かに日本が強いしヨーロッパでも昔から日本のアニメが受けてきたけど、米国はガードががっちりしてるとゆーか、シンジケーションがしっかりしてるとゆーか、飛び抜けた作品は別にして、一般的な作品ががんがんとネットワークで流れる環境にはほど遠いってな意味のことを話してくれた。それでも「スタジオぴえろ」では、「るーみっくワールド」とか「エリア88」とかの英語版を米国に持って行って頑張ってる。インターネットを通じたアニメ作品の発信が、いちだんの浸透を促す先触れになればいーと願ってやまない。

 年末の風物詩ともなった宝島社「97年版このミステリーがすごい!」を買う。1位も2位も3位も読んでいないことがわかり、積ん読家などといってもしょせんはこの程度とがっくりくるが、まあ趣味ってのもあるから、読んでいなくたって悪かねーやーと開き直ると元気が出てきた。4位に「蒲生邸事件」が入っていたのは古き良き日本SFファンとしては嬉しい限りなんだけど、これをミステリーの人たちがミステリーと言い切ってミステリーのランキングに入れて疑問に思わない最近の風潮が、SFの拡散とミステリーの浸透を示してるよーな気がしてならない。これで「蒲生邸事件」が直木賞を受賞したって、だれもSFの側から「SFが直木賞を取ったぞーい」などと声を上げて祝わないだろーなー。それってちょっと寂しい。草上仁さんだったら、中間小説誌なんかにがんがんと書くよーになれば、清水義範さんとかかんべむさしさんみたく、SF側の応援を受けて、賞をねらえる人になると思うのに。スミセイの仕事が忙しーのかなー。

 「蒲生邸事件」の中のギミック、2階の非常階段ですーっと消えてしまう設定の意味付けにいったんは感心したけれど、考えてみれば地球は太陽のまわりをすっげースピードでぶっ飛んでいて、おまけに太陽系は銀河系の周縁をぐるんぐるんと回っていて、さらに銀河系は宇宙の膨張とともにどんどんと外に向かってかっ飛んでいるんだから、何十年前に戻った瞬間、宇宙のまっただ中に放り出されてしまんじゃないだろーかと、まあ具にもつかない揚げ足取りを思い付く。でも突き詰めない。似たよーなギミックでは、火浦功さんの「高飛びレイク」シリーズに出てきた、落下しながらテレポートしたら、その運動が移動先でも続いていて、すっげースピードでベッドのマットレスに突っ込むシーンがあったっけ。懐かしーなー。


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