縮刷版2023年3月下旬号


【3月31日】 カヌーイストって呼ぶんだっけ、そんな言葉を知ったのもカヌーに乗って世界の川をめぐってリポートを書いていた野田知佑さんの存在が大きくて、カップヌードルだったかのCMでその渋い風貌と犬を載せてのカヌー紀行というビジュアルも含めて、格好良く中年以降を生きている男の象徴のように感じていた。それは野田さんと同じような界隈で活動している水中写真家の中村征夫さん、そしてエッセイストの椎名誠さんにも言えることでサラリーマンとは違った行き方があるってことを強く感じさせてくれた。

 その野田知佑さんが死去。40代から50代の渋いおっさんといった印象はもう過去のもので、84歳になっていたというのが驚きだけれどこちらが20代の時の憧れの中年男だった訳で、こちらが憧れられない中年男になってしまったら相手はやっぱり歳をとる。それでも変わらない印象を保ち続けていたところに手に職を、というか体にカヌーをまとった人間の強さってものが漂う。かくありたいけれど、今からでは遅すぎるかなあ。

 野田さんが84歳ならその界隈、渋いおっさんたちのあやしい探検隊的な人々も椎名誠さんが77歳で目黒孝二さんこと北上次郎さんも今年76歳と相当な年齢。弁護士の木村晋介さんは77歳でイラストレーターの沢野ひとしさんも77歳で中村征夫さんも今年77歳と、目出度い年齢に続々とさしかかる。それでいて未だ現役感を漂わせる彼ら年齢になった時、自分はどこで何をしているのだろうと無職になってちょうど3年の日に思うのだった。生き延びるだけで精一杯だったけど、多少心にゆとりもできたのでいろいろ考えるか。

 延期となった上映も今日で終わりということでTOHOシネマズ新宿に「Adam by Eve: A Live in Animation」の爆音上映を観に行く。前回から変えて最前列で見たら真正面に据え置かれた巨大なスピーカーから響く音がシートを揺らして背中から振動が伝わってきてライブ会場にいるというか、ボディソニックのシートに座っているような体感があった。そうした会場で奏でられるEveのサウンドはカラスは真っ白のようにソリッドなギターがテンポ良く響く感じなその上に、若い世代が聞いて響く歌詞が乗ってなるほどそれが人気の源になっているのかと改めて感じさせられる。

 アニメーションのMVを使うのも植草航さんをカラスが真っ白が起用したのと同じような流れで、「お気に召すまま」あたりは「Fake!Fake!」のようにテンポ良く切り替わる感じが重なっていたけれど、最新の「退屈を再演しないで」はテンポで引っ張るだけじゃなくってもうちょっとダルい感じが漂う音楽にキャラクターたちが浸っているようで、それでもちゃんと見せるように動きや表情が工夫されている印象を持った。作ったWabokuさんは東京工芸大の卒業制作「EMIGRE」あたりから世界観を見せられるクリエイターだったか、本来に戻ったとも言えるのかな。

 今は本当にMVの仕事がキレているだけにいろいろと見たいけど、いつかオリジナルの世界観でアニメーション作品も作って欲しいなあ。2015年の卒業制作「EMIGRE」に「スラムのような街の上をとぶ巨大な船にいつか行けるという望みを抱え母を失った少女に襲いかかるバーサーカー的なものの攻撃。破壊される街を少女は駆け……。巨大感と悲壮感に溢れた映像」と書いて褒め称えただけに。そのあとでデザインフェスタか何かに出展していたWabokuさんからDVDを買ったけど、部屋のどこに置いてあるんだろう。探してみないと。

 自由業という名の無職に選択退職とうなのリストラを喰らってなって3年をどうにか生き延びたご褒美にと、ちょっとだけ贅沢をしようとキッチンDIVEに言ってミートボールパスタとハンバーグ3枚を買って一気食い。したかたったけどここしばらく野菜中心の食事を続けていたので胃に収まらなかった。結構痩せて一時着られなくなっていたAB6のスーツがはいるようになっているので、食べるのは今日だけにして4月からは心機一転、またダイエットを続けて絞っていこう。そでないと77歳まで生きられないから。なにをやって生きるかはこれから考える。


【3月30日】 ロシアが「Z」を錦の御旗にして正当性を訴えていることに対して、ドイツの一部の集が「Z」をナチスドイツの鈎十字と同じくらいの禁断のマークに指定して使ったら罰するとか言い出した。そりゃあ運動に荷担するような意味合いで「Z」を使ったらあまり褒められたことではないけれど、「Z」自体は以前からいろいろな称号に使われていて究極であるとかいった意味合いなどを表すシンボルにもなっている。それを禁じられたらたとえば「フェアレディZ」なんてドイツのその州を走れないのかって話になる。先に使っていたのは日産自動車なのに。

 そうした記号に対して貼られたレッテルを諾々と受け入れるようなスタンスに、我等がアニキこと水木一郎さんが反論をしてくれた。週刊文春のインタビューに答えて「Z」を叫び「マジンガーZ」の主題歌を歌う自分のアイデンティティに関わる問題でもあるし、「Z」という言葉自体には究極を表すような意味合いもあるからといって使い続ける方針だとか。そうした言葉をバックにしてあらゆる場所で「Z」がロシア支持とは違った意味合いで強く濃く使われれば、やがてロシアの方が霞んでいくと思えば良いんじゃないかなあ。あるいはロシアが「Z」を使っていることを全世界がガン無視するとか。

 遠く杉並区にある東京工芸大学杉並アニメーションミュージアムで大塚康生さんを追悼する展示が始まったと聞いていそいそと出かけていく。荻窪駅からバスに乗っても良かったけれど天気も良かったので徒歩でてくてく。途中に青梅街道大勝軒があったので入ってもりそばを食べたらつけ汁があまり甘くはなかった。東池袋とかその界隈とはまた違ったレシピになっているのかな、ってかい店的にどっちの系列なんだろう。行列ができていたから味に評価はあるみたいなんだけど、神保町の店の店主に絡んだパワハラ問題もあっただけに、ちょっと気になった。

 到着した杉並アニメーションミュージアムでは大塚さんの原画めいたものはとくになく、子供の頃にえがいていたらしい機関車のスケッチをコピーしたものと、あとは新聞の連載を切り抜いてパネルにしたものなんかが並んでいた。原画マンとしての凄さはだからそこからは分からなかったけれど、コレクションしていたミニカーだとか大塚さんキャラの「ルパン三世」の悪役連中、パイカルだとかお子様ランチだとかいった面々のフィギュアが並んでいて雰囲気を出していた。あとはワルサーP38。「7番目の橋が落ちるとき」でルパンが遊底を噛んでスライドさせたのを、果たして可能か大塚さんが実験してついた歯形が見えた。出来たのかな。家にあったモデルガンは重くて指で弾くのも大変だったけど。果たして。

 夕方に大塚さんについて関係者に尋ねたドキュメンタリーが上映されるってことで、いったん出て荻窪あたりまで戻ってちょっとだけ仕事をしてからまた戻って上映を鑑賞。前に東京アニメアワードフェスティバルで見て、その後にユジク阿佐ヶ谷でも上映されたのを見てはいたけれども劇場でかかるのと違ってBDあたりから再生しているからか、4Kで撮られたようにくっきりとしていて大塚さんが今もそこにいるかのように思われた。声はくぐもっていたけれども他の方々のははっきり聞こえたからそこはお歳ということで。
 富沢信雄さんに友永和秀さんにおおすみ正秋さんに高畑勲さんに小田部羊一さんといった大塚さんの周囲でいいっしょに仕事をして来たアニメーターやプロデューサーが証言していく内容では、高畑宮崎と仕事をする大変さってのが感じられて興味深かった。あと何をいっても世間がそれを正伝として伝えることになりがちな大塚さんの証言に対して、違うことは違うと言わないとってことをおおすみさんが話していて、やっぱり尖った人だなあという印象を着けた。作られてから7年とか8年が経つドキュメンタリーでは、高畑さんが亡くなられ大塚さんも亡くなられたけど他の方々はまだご存命なんだろうか。先日も友永さんと富沢さんが貴重な証言をしていたけれど、おおすみさんも含め今のついにいろいろと聞いておきたいなあ。もちろんおおすみ正秋というプロデューサーの凄さについても。


【3月29日】 思い立って埼玉スタジアム2002へFIFAワルドカップ2022カタール大会のアジア予選、日本代表対ベトナム代表を見に行く。すでにアウェイでのオーストラリア戦に勝利して出場は決めているものの、そこから本大会に向けて選手間の生き残りというものがスタートする大事な試合、出てくる選手たちも本気を出してプレイしてくれるからその熱を感じたかった。公式戦で日本代表を見る機会というのもそうはなかなかないし。

 っていうかキリンカップみたいな親善試合以外で自分、日本代表の試合を見たことがあったっけ? 過去のワールドカップ予選はだいたいが満席でチケットなんてとれなかったから行こうとも思わなかった。五輪代表の予選だとか女子のワールドカップ出場がかった予選だとかは見に行った記憶はあるけれど、フル代表はもしかしたらこれが初めてで、そして最後になるかもしれないと思うと行けるときに行っておきたかった。そんな感じ。

 結果、見られたのは前半に関しては代表に残ってカタールに行こうと思っているとはちょっと考えられないグダグダなプレーぶり。その責任を選手に求めるのは間違いかもしれないけれど、たとえ監督が思惑をもってポジションをきめて選手達を送り出したのだとしても、その意図にそぐうプレーができるメンバーではないと気づいたのならピッチで選手達で話し合ってシステムを変えポジションを動かし出ているメンバーでベストなプレーを見せるべきではなかったか。

 けれども原口元気選手は中盤を行ったり来たりしてほとんど姿を見せず柴崎岳選手は中盤の底でボールをもらっては蹴り返すだけの壁みたいな存在で戦局に何ら貢献をしている感じがなかった。久保選手に三笘選手は両サイドでドリブルをしかけても相手ディフェンスにダブルチームでつかれて切り込めず切り返せずボールを戻すばかり。そこでえぐってセンタリングでもあげるとかすれば目立てたのに、何も良いところを見せられないまま逆にベトナムにコーナーキックから1点を先取されてしまう。

 スタジアムでは本来は禁止されていた声出しによる応援をベトナムのサポーターが派手に繰り広げていたと問題になっていたけれど、日本代表を相手にベトナムの向こうをはって声を出して叱咤したいとすら思えない体たらく。吉田麻也選手が呼びかけたところでのってくれるサポーターもいなかったんじゃなかろうか。とはいえそんな状況だからこそ自分で打破したいと後半早々に前に出て、ゴールを決めた吉田選手はやっぱり日本代表のキャプテンに相応しい。この闘志をもうちょっと他の選手も受け取っていれば、前半だって違う戦い方になったんじゃなかろうか。

 そして後半は南野選手や森田選手が入って伊藤淳也選手もしっかりと仕事をして良いところまで攻めるものの結局は追加点を奪えず引き分けで終わった。勝ってもその夜にポルトガルとセネガルがワールドカップ行きを決めたためポット2入りは無理だったんだけれどその時点では分からない状態で勝てばポット2入りもありえた試合を不甲斐ないたたかいで落とした日本代表にこそ、日本サッカー協会の田嶋幸三会長は文句を言うべきだった。

 それなのに代表戦の中継がないのは子供たちが可愛そうだと勝手な理屈で大金をはらってまで放映権を獲得し、日本に配信してくれたDAZNを貶めるんだからたちが悪い。自分が何か良いことをしているんだぞと周囲に見せたいがために分かりやすい悪者を作って責め立てるそのやり口が成立するには、満を持して地上波に登場した日本代表が圧巻の戦いぶりを見せる必要があったにも関わらず、見れば呆れてもう見たくなくなる試合をしてしまったのだから何か恥じ入るかというと、そんなことはないなろうなあ。そういう人だ。

 しかしやっぱり後半途中から入った南野選手はリバプールでカップ戦要員ではあっても活躍できるだけのスキルを持ったプレイヤーであることが分かった。前線でよく動いてボールを引き出し確実なタッチで渡すことを繰り返していた。あの感覚はやっぱりプレミアでプレーしているからこそ育まれるものなんだろうなあ。そしてプレミアに来る選手たちの中だからこそ活かし活かされる。日本代表でもそんな南野選手に追いつき追い越せる選手が育っているからあとはセレクトするだけなんだけれど、そこにスポンサーの妙な思惑が絡んで選考が濁ったら何が起こるか。ハリルホジッチが間際まで鍛え上げていた貯金で決勝トーナメントに進めたロシア大会とは違うってことをしっかり自覚しないと、さらに地上波から見放される代表になってしまうぞ。


【3月28日】 容貌がどんどんと時代劇の悪代官化している日本サッカー協会の田嶋幸三会長を補佐する理事として元サッカー日本代表の宮本恒靖さんが就いたということで、現役時代のクレバーな守備ぶりからスマートな協会運営を進言してくれるんじゃないかといった期待をしてしまう一方で、悪代官に引きずり込まれておぬしもワルな越後屋と化してしまうんじゃないかとった不安も浮かんでちょっともやもや。今はちょっと遠慮して田嶋政権が一掃されたあとにクリーンな風を吹き込む役割を与えた方が、ツネ様のためにも日本のサッカー界のためにもなる気がするんだけれど、再任されてしまったからにはあと2年は田嶋会長のままなら、やっぱり今のうちに協会に入らざるを得ないってことなんだろう。

 それにしてもどこまでDAZNをイジれば気が済むんだろう田嶋会長。日本のテレビ局がワールドカップのアジア予選を放送する権利を買えなかったのはAFCが莫迦高い放映権料を要求したからで、その値段では放送してもスポンサーからのお金ではペイしないといった判断をテレビ局がしてどこも買わなかったのを、ペイパービューで観たい人ならお金を出してくれるだろうという判断をしてDAZNが買ってそれでどうにか配信にこぎ着けた。その中からやっぱりこれは必要だろうと国内についてはテレビ朝日に譲ってくれた訳でつまりはDAZN様々、足元に傅いて床に額をこすりつけ、お礼を言っても罰が当たらないにも関わらず、口を開けばDAZNが有料放送したことを腐すような言葉を吐き続ける。

 どうしてそうなったのかといえば田嶋会長が理事を務めるAFCが莫迦高い金を要求したからであって、それが問題なら身内に向かって止めろと良いそれで止まらないなら東アジアで結託してでも連盟を脱退してそして国際サッカー連盟に加入を認めさせるような運動くらいすれば良かった。何もせず方針を決めてそれに諾々と従いながらも一方で放映権料をとられたと被害者ぶるその厚顔さはまるで実物の厚顔ぶりを表しているかのよう。それについて批判せず突っ込まないで諾々と言い分を流しDAZNを悪者にしていく日本のサッカーメディアの腑抜けぶりも最悪。そんなグズグズのサッカーファミリーとやらが何を言ったところで今の聡いサッカーファンは靡かないってことが分からないんだろうなあ。やれやれ。

 朝からアカデミー賞の発表があって長編アニメーションで「ミラベルと魔法だらけの家」が受賞。観て面白くて楽しい作品だっただけに妥当過ぎる受賞だけれども可能ならそこに日本から何か1作品でも候補として入って欲しかったなあ。とはいえそうした可能性が常に浮かぶくらい日本の長編アニメーション映画は毎年優れた作品を送り出している、その一方で実写映画で国際長編部門ですら候補となり得る作品がなかなか出てこないところに日本の映画界が抱えるヤバさがあるんだろう。「ドライブ・マイ・カー」だって日本の映画界というより一部の映画に熱意のある製作会社と配給会社が頑張って監督や役者を支えたからで、そこに東映東宝松竹といった大きな映画会社は一切関わっていない。

 そうした映画会社が送り出す映画は国内では評判になっても世界を相手に何もできていないところにどうしてヤバさを感じていないんだろう。国内で十分にペイできる時代でもないのに。そこが不思議。代わりにちゃんとアニメは支えて細田守監督や新海誠監督を送り出して数十億円から数百億円を稼げる監督に育て上げたんだからアニメ好きとしては十分なんだけれど、それだけではやっぱり寂しいからなあ。少しは改まるんだろうか。無理だろうなあ。「サマーフィルムにのって」や「いとみち」が日本アカデミー賞にまるで引っかかってこないこの状況では。あれこそが邦画界とやらを煮染めたような賞だから。

 マンガ大賞2022が発表されるてんで有楽町へ。1回目からずっと出ている記者も自分くらいになったような気もするけれど、うらぶれていく自分とは反対に賞自体は注目が高まって何が取るかに関心が集まり、取った何かはすぐさま大ベストセラーになっていくサイクルが出来上がった。とはいえ今回受賞となったうめざわしゅんさんの「ダーウィン事変」はアメリカを舞台に動物と人間の違いだとか差別だとかを描きつつ環境保護の過激化だとか銃社会の問題だとかを浮かび上がらせた問題作。それがマンガ大賞を獲得したからといて果たして世間がいっせいに持ち上げられるかというと、なかなかに難しいところもある。逆にいうならこれを映画に出来たら邦画界もすごく盛り上がるんだけれどアメリカが舞台の作品だけに邦画では手が出ないかもしれない。難しい。映像化はやっぱりアニメからかなあ。あるいはNetflixでのドラマ化かなあ。


【3月27日】 今日も今日とてAnimeJapan2022へ。ずっと余裕がある状態だけれどそれほど数が出ていないブースは入場列ができているくらいには混んでいて、駆け足で回らず行列で時間を潰して休息をとりつつあちらこちらを見て回るにはちょうど良いくらいの人出だったといった印象。もうちょっと大勢が集まると移動にも大変で行列も並ぶと余計に疲れる感じになってしまうから。とはいえ宣伝する側としてはそうしたゆとりは宣伝効果にとって逆風なのでもうちょっと混んで欲しいところだろう。あるいはネットによる配信で満足している人が増えて来場しなくても効果はあったといった結果が得られるのか。そうしたリサーチまでされていたらちょっと面白いけど。

 日本動画協会のブースも出ていて3月に公開予定だった日本のアニメのデータベース「アニメ大全」の公開が2022年夏予定に先送りになっていた。発表自体が去年の10月でそれから半年経ってローンチできないのは何か難しいところでもあるんだろうか。データ自体は集まっているからすぐにでも公開できそうなものなのに、そのデータの変換だとかに手間取っているならプロフェッショナルなエンジニアでも使った方が良いような気がする。あるいはデータそのものの信憑性に問題が出ているとか? 協会がアニメ会社から集めているならそうしたことはないと思うんだけれど、違う方法で集められたデータをアニメ会社に投げて正否を確かめてもらっているのだとしたら時間もかかって当然かもしれない。意外と昔の映像って見返すの大変なんだよなあ。

 AnimeJapan2022では初日の最初にバンダイナムコアーツのステージイベントを見て、そして最後もバンダイナムコアーツによる「ハイドライバーズ」のステージイベントで締める。まるで情報がなかったタイトルだけれどどうやら富士の裾野の御殿場によくにた街に走り屋たちが集まってレースを繰り広げているんだとか。沖縄に集まったスケボー乗りみたいなものなのか。そして4つのチームがあってそれぞれがホンダのNSXだとかSUBARUのWRXだとかトヨタのGR SUPRAだとかNISSAN GT−R(R35)とかに乗っているという。そこはリアルな実車が登場。自動車会社の協力があってのものらしい。

 そうした展開に声優として出演する諏訪部順一さんの車愛が炸裂。NSXは値段が高くて初代は結構なプレミアムがついているとか、GR SUPRAはGRを着けることに意味があるとかSUBARUのWRXやらBRZはともに水平対向のボクサーエンジン搭載だとかGT−R(R35)は2番目に高い車だといかいった解説を即座に入れて、エンスージストとしては聞いていてとても楽しかった。とはいえ集まったのは声優ファンの女子が大半だけにいったい何を言っているんだと思ったかもしれない。そうした女子をエンスー道に引き込む効果が発揮されるのか。放送が楽しみ。いつからだろう。

 本人の中にはたぶん一貫した何かがあるんだろうけれど、外に出るとそれがちんぷんかんぷんで支離滅裂な弁護士にしてテレビタレントにして元市長な人の一連の発言。マリウポリあたりから人がロシアに連れ去られているといった話に憤るどころかナチスみたいに強制収容所に入れられて虐殺されるとか、満州にいた日本軍みたいにシベリアの極寒の中で強制労働させられる訳じゃないから安心して降伏しろとウクライナに呼びかけていたりする。

 けれども居住していた地域から共生的に移住させられること自体が人権に対する重大な挑戦であり犯罪。殺される訳じゃないから良いというなら太平洋戦争中に強制収容された日系アメリカ人だって良いって話になる。そんなことを強制収容された人に言ったらぶん殴られるんじゃないかなあ。合理的なことを言っているようで法理的にズレ過ぎていたりするこの人を、テレビはいつまで出すんだろう。そしてその発言をスポーツ新聞はいつまで“報道”し続けるんだろう。そこが日本のメディアの衰退を招いていると気づかないのかなあ。気づいていても辞められないんだろうなあ。やれやれだ。


【3月26日】 「ハヤカワミステリマガジン」の2022年5月号が「古畑任三郎」特集。ドラマではたしか前に「相棒」の特集も行ったことがあるけれど、「古畑任三郎」はやっていなかったのかと記憶をめぐらせてひっかりそうで引っかからなかったから多分やってなかったんだろう。そこに古畑任三郎を演じられた田村正和さんが登場されないのは残念だけれど、企画したフジテレビのプロデューサーで今は日本映画放送の社長になってしまった、かつては不思議少女シリーズで名を売った石原隆さんが登場して、脚本の三谷幸喜さんと対談していて十二分に腹一杯な情報量。「古畑任三郎」を大好きな人で且つ、ミステリが大好きな人が読めばこれだけ面白い対談もないんじゃなかろうか。

 当初は三谷さんが「安全地帯」の玉置浩二さんを主役にイメージしてしたたというのもちょっと驚き。黒ずくめの男が自転車に乗ってかけつけるといったビジュアルイメージから始まって、実際のキャスティングの段になって玉置さんではなく田村さんを出して刑事物には出ないらしい田村さんに第1話の脚本をまるまる書いて渡して理解してもらったとか。どういう経歴であの場所に立つようになったのかといったバックグラウンドを必要とせず、ふっと現れさっと事件を解き明かす颯爽として意地悪なところもあるキャラクター性に惹かれたのだろうか、ハマり役となってシリーズ化されて田村さんの代表作にもなった。

 それはだからら、キャスティングでの段階での三谷さんの発想はジャストにベストだったってことになるのだろう。役者の個性を見抜いて最大限に引っ張り出す巧さは大河ドラマの「新撰組!」では香取慎吾の近藤勇を作り上げ、「真田丸」は草刈正雄の真田昌幸という老獪だけれどスタイリッシュな武将を作り上げた。今の「鎌倉殿の13人」でもきっと意外なキャスティングの意外な当たりを引き出しているんだろうなあ。見始めるか。そんな三谷さんと石原さんの対談からはミステリに関する情報もどんどんと出てきて楽しそう。2人で組んでフジテレビで新しいものを作れれば、これは最強なんだけれどそれが難しくなっているところが今の沈滞につながっているのかなあ。石原隆さんを社長にしたらどうなるのかなあ。

 3年ぶりに観客を入れてステージイベントも行うAnimeJapan2022が始まったので見物に行く。お目当ては「RWBY」の新作アニメーションで2016年の吹き替え版第3弾の劇場公開でそろったチームRWBYの4人、早見沙織さん日笠陽子さん嶋村侑さん小清水亜美さんが再結集して仲の良いところを見せてくれているだけでも嬉しいのに、新しく作られる2Dのアニメーションが虚淵玄×冲方丁のストーリー陣に「輪廻のラグランジェ」の鈴木利正監督を加え「ブラック☆ロックシューター」のhukeさんによるキャラクターデザインを得て作られるというからこれはモンティ・オウムも大喜びなんじゃなかろうか。日本アニメへの愛を注ぎ込んで「RWBY」を手がけながらも病没して7年。日本からの返礼を受け取ってくださいな。

 大雨が来そうだったのと全体の出展がゆるやかで観るものも多くはなかったので、正午前には退散をして日比谷へと出てTOHOシネマズ日比谷で実写映画版「おそ松さん」を観る。トト子ちゃんの脚も含めた再現度の高さがまず目を引く映画だけれど、脚本の方も実写で6つ子をSnow Manのメンバーが演じる無茶さを逆手にとったお約束の明示を展開に組み入れつつグダグダになりがちなエンディングを引き締め虚空の彼方へと吹っ飛ばしかけてすっと戻して大団円とする巧さがあって安心できた。

 お話し終わらせ隊の3人が頑張っても頑張ってもなかなか終わりに向かわないところの畳みかけが面白さのリミットをちょいはみ出して、くどいなあと思わせるところもないでもなかったけれどもそこまでやってこそ浮かぶ爆笑もあったので許容範囲。同じジャニーズのなにわ男子から道枝駿佑が出演する「今夜、世界からこの恋が消えても」のような恋愛×不思議展開の映画をも包含してギャグのネタにするとか業界にケンカ売ってる感じもあるって楽しかった。そういうイジリが「おそ松さん」だからこれで良いのだ。そしてやっぱりトト子ちゃんは可愛かった。最前列で見上げるようにして観るのに良い映画だった。また行こう。


【3月25日】 日本代表のワールドカップ行きが決まったサッカーの予選は欧州でもプレーオフが行われていてイタリア代表が北マケドニアを相手に戦って1対0で敗れ2大会連続でワールドカップ行きを逃すというひとつの波乱が発生。北マケドニアが弱小という訳ではないんだけれども欧州選手権で優勝を果たしたチームが決して弱いはずはないから、それでワールドカップに出られないというのはやはりどこかに拙いところがあったんだろう。決定力不足というか。

 かつてのイタリア代表といったら点取り屋が必ずいてデルピエロだったりバッジョだったりヴィエリだったりインザーギだったりといった選手が確実に得点を奪ってそして固い固い守備によって逃げ切り勝ちきってきた。そのうちの守備は健在でも得点の方で以前みたいにこれといった点取り屋が聞こえて来ないのが2度にわたってワールドカップを逃す一員になっているのかもしれない。世界最高のストライカーをクリスチアーノ・ロナウドが担ってメッシが並んでほか見渡してもイタリア人ストライカーって聞こえて来ないものなあ。そこからどうにかしてかないといけないのかも。

一方でそんなロナウドを擁するポルトガルはロナウドが点をとらなくてもトルコを相手に3点を奪って勝ち抜けて次は北マケドニアと対戦。まあ勝つだろうからワールドカップからロナウドがいなくなるということは避けられるんじゃなかろうか。ロシアとウクライナが戦争中ということで予選に参加せずウェールズが次に対戦するところとか分からず出られるかどうか不明だったりして落ち着かない欧州だけれど、今の状況だとウクライナもロシアもワールドカップのために停戦だなんて状況にはなさそうなんで、不戦敗からの勝ち上がり組でポーランドがスウェーデンと戦い勝者が出るって形になるんだろう。ウクライナについてはそれまでにスコットランドとの試合を終えて勝者がウェールズと戦う形になるかどうか。厳しいかなあ、戦争しているものなあ。

 AnimeJapan2022の開幕を前にアニメ関係の発表がいろいろと相次いでその中で「RWBY」が日本のシャフトによってアニメーション化されると発表。現地の方で今いったいどんな段階に行っているのかまるで追っておらず、分裂したチームRWBYがようやく再会を果たしたあたりかなあってところだったけれどもそうした状況はおいて4人がそれぞれの能力を活かしながらバトルをしてくれるストーリーを、hukeさんのキャラクターデザインを得て鈴木利仁監督によって楽しくも迫力のストーリーを楽しませてくれそうな予感。hukeさんで武器使いの美少女だとブラックロックシューターだよなあ、そっちもそっちでアニメ化されるだけに楽しみ。プロダクションI.Gの新作映画も発表になっていて、I.Gらしさって何だろうとちょっとだけ考える。ちょっとだけ。


【3月24日】 またぞろネットでアニメーションの原画のお給金について話題になってて月に30カットを手がけて14万から15万円くらいにしかならないなら、月に60カットを手がければ良いという人がいる一方で月に60カットなんて出来るはずがない、それより原画の1カットあたりの報酬をもっと上げるべきだといった人もいて、本職の人にとってどちらが実態を反映しているものなのか聞いてみたくなる。

 たぶん昔の感覚だったら1カットを例えば10枚描いたとしてもキャラがザッと動いてロボがばっと戦ったりするような画面で1日に数カットくらい行けたのかもしれないし、それくらいやれなければ1話分を数人の原画で描けなかったワケだけれども今の緻密な線でリアルな動きをさせようとしたら、1カットがたとえ10枚に及ばなくても相当な時間をかけなければ仕上がらない。それこそ1日に1カットできればやっとといったペースで仕事をして、月に30カットをやると休日亡しで1カ月が埋まってしまう。

 それで1カットが4000円とか5000円ならそりゃあ月に14万円とか15万円に留まらざるを得ない。昔に比べて緻密な原画を求められる今なら原画の報酬もクオリティに従って上がるべきところを同じ規準で計算されてしまって大変というのが多分実態なんだろう。ラフな第一原画をいくら仕上げたところでそれを二原がクリンアップしてそれが動画に渡るといった手間がかかってそれでも製作費が同じなら分散されるだけ。ちゃんと描ける原画に仕上がりまで面倒を見てもらいつつ必要な対価が支払われる状況が来ないと、いつまでも同じ議論が続くことになるんだろうなあ。今のクオリティの原画って1枚をどれくらいの時間で描けるんだろう。気になります。

 「週刊文春」に例の日本経済新聞における記者の大量離脱のニュースが掲載。今年に入って10人くらいが辞めてそしてデスククラスがばたばたと退職したり休職したりしているのはやっぱりどこか組織として、あるいは働き方として限界なところがあるんだろう。それが上長のパワハラ的な気質によるものか、それとも新聞というシステムに起因するものかは判断に迷うところではあるけれど、ガチガチに縛られていそうな読売新聞から大量離脱の声が聞こえて来なかったりするのはそれはそれでシステマチックに記事を作り掲載するシステムがあって、それが日経では人的な問題から崩れているのかもしれない。

 しかし日経だとちゃんとニュースとして話題になるから羨ましいというか、日経産業新聞によく似た産業専門紙を出していたところで記者が一気に5人だか6人だかが一気に退職したことがあったけれどカケラも話題にならなかった。社長が替わって編集体制が変わっていろいろあって反発が出たからみたいだけれど内部にいなかったので詳細は不明。それで新聞が出せなくなることはなかったけれど、ただでさえ少ない人数が減って大変になったことは確かだった。そのあとも増えることなく末期は1面を1人で書いていたものなあ、発表とか集めて横から縦にしていったっけ。

 挙げ句にリニューアルからの休刊。日経はそうはならないだろうけど媒体の見直しはあるだろうなあ。辞めてしかしどこへ行くんだろう。新聞というシステムはあれでまだまだ記者にとってはやりやすい環境で、ネットメディアは儲からないからと報道部門を減らそうなんて動きが出ていたりする。本石のバズフィードなんかがそんな動きから報道部門の縮小を始めたそうで、日本でもハフポストを急襲したバズフィードジャパンあたりが次は話題のトピックだけに集中して報道をハフポストに押しつけるか逆にハフポストを削るかするんじゃないかと妄想。どうなるか。見守りたい。

 Zoomでインタビューなんかをしながら横目でサッカーのワールドカップ2022カタール大会を目指すアジア予選のオーストラリア戦をDAZNで観戦。前半に攻めながらも得点を奪えず後半も85分まで0点でこれは引き分けて日本に来てベトナムを相手に勝利して決めるかと思ったら、三笘選手がマイナスの折り返しを蹴り込んでまず1点を奪い、そして左サイドから中に切れ込んで放ったシュートで追加点を奪う大活躍で勝利。7大会連続のワールドカップ出場を見事に決めてくれた。地上波だったら40%行ったって不思議はないし合いをDAZNだけでしか観られないのは日本サッカー協会には苦衷だっただろう。

 けど、そうした価値に対価を払わないと決めた地上波があったからの状況。高くたって稼げると思えば出せただろうに、それをせずに間際になってばたばたしたって遅いあろう。そんなDAZNに出て解説をしていた岡田武史さんが日本サッカー協会に副会長として復帰するみたいなんで、改善も進むんじゃなかろうか。ともあれこれでカタールに行ける。そんな日本代表に入れるかどうかの戦いが早くも始まる最初の試合、決して祝勝会にはならないベトナム戦をこの際見に行くか、埼玉スタジアム2002まで。


【3月23日】 前々からポン酢だと分かっていたけど早稲田の某教授がロシアが核兵器を使うといっても広島・長崎に落とされてた程度のものだから大丈夫、だって広島に落とされた原爆は威力はあったけれど爆心地にあった原爆ドームは粉々に粉砕されていないし、コンクリートの中にいた人は助かっているといったことをヌかして広島の人たちの反感と激怒を買っている。そりゃあ粉々にはなってなくても内部は焼けて残っているのは骨組みばかり。そして爆心地から500メートル以内の人は99%亡くなっていて爆風を逃れてもまき散らされた放射線によって後に対辺な事態となっている。

 そうした悲惨を招いた原爆をメガトン級の水爆みたいに半径数十キロを消滅させるようなものではないから使われたところでたいしたことが無いと言えてしまう口を、もしも広島で開いたら蔑まれ哀れまれ罵られて表を歩けなくなるだろう、普通の神経を持っていたなら。けれどもすでにしてそうした真っ当な神経などどこかに置き忘れたか最初から持っていない早稲田の某教授はこれからも広島・長崎級の原爆だったら使われたって平気だ心配するなと言い続け、そしてそれくらいの爆弾を使う核共有からの戦術核仕様も認めていくんだろう。学問の自由が認められ言論の自由が認められたそれが日本の大学なら仕方が無い。とはいえ受講する人にも自由があるならそれをしっかり行使するのだ。

 原稿を書こうと柏に移動しとりあえず麺屋こうじで味玉と載せたつけ麺を食べてからエクセルシオールカフェでパソコンをカタカタ。麺屋こうじは前に休日に選ったら昼を結構すぎていても行列が出来ていて入れなかったので、再挑戦してやっとの入店がかなって食べたらなるほどつるりとしてしっかりと歯ごたえもありながら無駄に固くない麺は食べやすくつけ汁は甘くもなければ辛くもなくてしっかりと麺にからんで喉から落ちる。チャーシューは柔らかくほうれん草は味が染みてそしてノリは口の中を整え麺に挑む心を整える。これならわんこそばのようにもう1玉とか行けそうだけれど蕎麦と違って茹でるのに時間がかかるから、食べたいなら最初から大盛にしておいた方がいいのかも。夜は違うメニューになるそうなんで時間を見計らってまた行くか、キネマ旬報シアターで見終わる前と後で行けば良いのか。

 そんなキネマ旬報シアターで「ベイビーわるきゅーれ」をやっと観た。石あかりさんが演じる杉本ちさとがメイド服姿で銃を構える立ち姿の凜々しさに目を奪われた。あの瞬間を拝むために何度だって観たくなる映画だった。いっしょに殺し屋をやっている伊澤彩織さんは顔立ちも整っていて演技だってできそうなのにほとんどスタントの世界で活躍してきた人らしい。それとも「ベイビーわるきゅーれ」で見せたいかにもコミュニケーションが苦手でぼそぼそと絞り出すようにしゃべるのは地なのか。いやいやコンビニの店長からチクチクと言われた時にふっとスイッチが切り替わって拳銃で撃つところはセリフもすっと出ていたからコミュ障な喋りが演技なんだろう。だとしたら凄い.

 殺し屋の少女2人がどうして殺し屋になったのかといったあたりは説明がなく、幼い頃にスカウトされて育成されたとかいった勝手な妄想も可能だし「デストロ246」に出てくる少女たちのようにさまざまな境遇で殺し屋にならざるを得なかったのかもしれないと多い込むことも自由。そうした結果としての映画の瞬間があってそこで起こりえる諸々を、あり得なさそうだけれどあっても突拍子もなさすぎない程度に抑えて繰り広げるところは脚本であり演出の妙と言えるかもしれない。このテイストが維持されるなら続編にも期待したくなる。もうパパ役の本宮泰風さんは出てこないんだろうけれど。それはちょっと残念かな。

 ウクライナのゼレンスキー大統領が国会で演説したみたいで、特段に日本の歴史を持ちだして急襲なり闇討ちなりの卑怯さを訴えることはしなかったみたいだけれどウクライナにはチェルノブイリがあることに触れて福島の原発事故のことを想起させ、またサリンによる攻撃があるかもしれないことを仄めかせ、オウム真理教による地下鉄サリン事件の記憶を思い起こさせるあたりに日本が被った災厄から、ウクライナがこれから被ろうとしている災厄への想像を沸き立たせて共感を誘う戦略に出たことは、なるほど察する文化を持った日本にはちょうど良いマイルドさだったかもしれない。

 あまりに先鋭的だと反発する人もいるし、かといって何も言わなければ気づかないふりをするずるさもあるから、騒がざるを得ないレベルにうまく調整したのかも。聞いて言えることは応援していくってことくらいだものなあ。その意味ではまず成功。ここからロシアがどう巻き返してくるかが次のポイントか。誰か代理人めいた人間を押し立ててそおn立場を言わせてくるかなあ。政治家だとプーチ大統領ととても仲の良い元総理あたりとか? 時間がないからと逃げ回っている人はあてにならないと交渉すらしていないだろうからそれはないか。日本においてロシアの立場を語って怨まれない存在……チェブラーシカかなあ、やっぱり。


【3月22日】 パワハラという罪に対してJリーグが行ったS級ライセンスの1年間にわたる資格停止というのはそれ自体が罰ではなく、1年間はJリーグのチームの監督という職務に就かないで処分が行われた理由を顧みながら研鑽を積み1年後のライセンス資格復活を迎えるまでが罰だという認識に立つならば、そうした処分が発表されて2週間も経たない時にJリーグのチームのスポーツダイレクターという職に就くことは、自省する期間を得られないということで罰から逃れているのではないかと思わざるを得ない。

 これが例えば大学のような場所で監督ではなくコーチのような立場で奉仕にも似たスタンスで1年間の冷却期間をおくというのなら誰もが認めたかもしれないけれど、同じJリーグという組織に属するクラブチームでは、罰を下したJリーグにとっても処分を軽んじられているように行け止められるのではなかろうか。たしかにスポーツダイレクターという職にライセンスは必要ないけれど、そうしたライセンスを持った監督なりコーチなりを配下に置いてチーム作りを任される立場はより重たい。そこに謹慎中も同然の人物を自省の期間もおかずに尽かせるのはやはりコンプライアンス的によろしくない。

 現場だってパワハラを自省していない人間と一緒に働くことを急に求められて、神経をすり減らす人だって出てきそう。そうした人事自体が最高権力者によるパワハラめいてどうにももやもやとした気分が湧き上がる。それとも「俺が本当のパワハラって奴を見せてやるよ」と雇用したスポーツダイレクターを締め上げて二度と威張れないようにでもしてくれるのだろうか。そういった気持ちがあればそもそもパワハラを問題視された人を呼び寄せないだろうなあ。だからこそ厄介な事態。サポーターは動きメディアも流石にこれはと動けばJリーグだって動かざるを得ないだろう。そこにまだ真っ当な判断が働くかを見守ろう。そんなことよりジェフユナイテッド市原・千葉がやっぱり弱い。困ったなあ。

 「この世界の片隅に」の片渕須直監督による新作がいよいよ動き出しそうで、ラフなスケッチによる人物像なんかを並べた映像が公開されると同時にスタッフも発表になっていた。監督補は「この世界の片隅に」と同じで二人三脚でやって来た浦谷千恵さん。そして作画監督に何と「鹿の王」で監督をしたけれどもやっぱり作画をやらせたらピカイチな「もののけ姫」やら「千と千尋の神隠し」やらの安藤雅司さんを起用。美術監督は「AKIRA」もやれば「ミルキィホームズ」も手がける水谷利春さんといった強力な布陣でこれで平安時代の宮中に集う女御たちの日々はしっかりと描かれそう。

 問題はどういったストーリーになるかで清少納言が「枕草子」を書いていく日々をスケッチしたような随筆アニメになるのかもうちょっと、起伏を持ってエンターテインメント性もある平安絵巻になるのかは情報を追っていかないと分からなさそう。同じ分野で高畑勲監督が「竹取物語」をモデルに下「かぐや姫の物語」を作ってとてつもない映像を見せてくれているだけに、「マイマイ新子と千年の魔法」の千年前を徹底した下調べで描いた片渕監督がさらなる調査と実地のテストも経て描くリアルな平安の息づかいを、感じられる作品になってくれればと期待して待とう。今年度作画開始って3月までが今年度ならもう始まっているってことかな。来年3月までを想定知るのだとしたら完成は2025年くらいかな。先は長そうだなあ。

 そんな片渕須直監督が、以前にプロデューサーとして名を連ねていた作品から外れたことをツイートしていて、何があったかを遡って調べて昨今話題になっている映画人による出演などの権力権威をふりかざしてのパワハラめいた言動が引っかかってきた。もう何年かずっと問題になっていて深田晃司監督なんかが運動を重ねていたけれど、今回の件は役者としてはファンだった監督が女性を相手にしたパワハラセクハラどんと来いといった態度を指摘されたことが発端となって、改めていろいろな発現が起こってきた中で指摘されたもの。片渕監督が名を連ねていた作品は評判で賞なんかにも名前が挙がっていただけに作品としてはよく出来たものだったのだろう。そういう場合に作品と監督を切り分けるべきか否か。難しいけど監督自身がやはり言葉を発して自省自責を明確にすることが先になるんだろうなあ。どうなるか。


【3月21日】 書く原稿はないものの本は読もうとファンタジア文庫からクォンタムによる「勇者、辞めます」の1巻と2巻と一気読み。魔王エキドナの軍勢を退けた勇者レオがあまりの強さから逆に助けた人間から勘ぐられ、疎まれたのを嫌気して魔王軍に寝返ろうとして面接に行ったらエキドナに追い返された。そりゃあ当たり前だ。とはいえ行く当てもないからと顔なじみというかボコボコにした四天王に頼み込んで仮採用ということで変装して魔王軍に入りまずは事務方を担う淫魔シュティーナを補佐するが、30分くらいちょこちょこと動いただけであとは転がったまま。

 2時間半くらい経って何をサボっているんですかあなたは首ですと号をニヤしたシュティーナが言い始めた頃になってレオが魔法炉をシュティーナだけでなく誰でも維持できるようにしてシュティーナの仕事を永久に緩和していたことが分かってこいつやっぱり凄いんじゃないかといった評判が立ち始める。そして始まるレオも魔王軍大改革は一種、経営者としても読めそうな面白さがあるけれどもそんなレオがただの人間の勇者ではなく、現代文明が作り上げた対魔族用の生体兵器が3000年の間に進化したものと判明。第2巻では同じシリーズで力に長けた同じ勇者と対峙する。

 勇者転じて悪の組織の幹部といったサカサマな反応が面白い上にそのまま人類を虐待に向かわず逆に人類と魔族の間を取り持とうとする動きへと向かう安心感があって読みやすい。四天王も悪逆非道とは遠くエキドナ事態が荒れる魔界を平和にして人類との共存を図ろうとする目的で動いていることもあって、人死にが大勢でて怨みが怨みを招いて悲惨な光景へと向かうこともないから今は読んでいてストレスがたまらない。キャラクターも脳筋エドヴァルドにちょっとおバカなリリに引きこもり系のメルネスとそして秘書系シュティーナと際立っている。

 そんなエキドナを好きで好きで好きで好きで仕方が無い元弟子もやっぱりちょっとヘンといったキャラ設定がこれからも繰り出されつつレオと同じ勇者たちが続々と復活してきて対決しては仲間に加わっていった果て、世界の平和に立ちふさがる何かがあるとしたらそれは何になるんだろう。人類の中に魔族が憎いといつまでも思い続ける誰かがいるか、あるいはそう思わせている大いなる闇的な存在が浮かび上がってくるのかもしれない。それを倒して平定し仲良くなって大団円へと向かうか否か。それまではわちゃわちゃとした魔王軍の日々を文章と、そして4月から始まるアニメで愉しんで行こう。

 明け方になったのでDAZNで始まったエル・クラシコことラ・リーガのレアル・マドリード対FC・バルセロナの試合を見る。ここのところずっとマドリードが勝っているようでカンプ・ノウでの試合でも2対1で下したみたいでもはやバルセロナはマドリードに勝てないのか? なんて悪夢も浮かび始めた試合をカタロニア国旗のカラーを模したユニフォームでのぞんだバルセロナが覆し、山本耀司のデザインによる真っ黒のマドリードを4対0で粉砕してこれまでの雪辱を果たして激しい屈辱を味わわせた。マドリードの何が悪かったかは分析が進むだろうけれど守備がまるで整っていなかったので、これから修正が行われるんじゃなかろうか。あのアンチェロッティがこのまま済ますとは思えないから。未だ残っているチャンピオンズ・リーグでの復活に期待。

 そのまま寝ないで新宿ピカデリーへと出向いて、神山健治監督がWOWOW向け制作したアニメーション「永遠の831」を見る。この世界は温度も湿度も日照さえもギチギチに管理されていてそこで人間は監視されながら世界にとって都合の良いように育成された野菜(831)に過ぎず、そこで標準に合致したサイズや色や形や味に育ったものだけが社会に出荷され受け入れられるけれど、逆らってねじ曲がったり膨らんだり傷がついたりしたらより分けられクズ野菜として捨てられる、そんな世界に対して反旗を翻して人々を銃で撃ち破裂したトマトみたいに赤で染めたり爆破して16連射の指先で突かれたスイカみたいにしていく男たちの物語だった。嘘だ。でもだいたい本当だ。理由は見れば分かると行っておこう。

 そのまま横浜へと出て丸井シティで「伝説巨神イデオン」の今井科学によるプラモデルの箱絵を集めた展覧会を見る。東京でやらず横浜というのが分からないけれどもガンプラの箱絵とは違ってイデオンのメカがバッフクランの重機動メカも含めて絵になって目の前に現れて、ガンダムとは違ったテイストに驚きつつ生態っぽさを覚えて興味を引かれた当時を思い出した。この虫っぽさが「聖戦士ダンバイン」で改めてきわまったと思ったものの「重戦機エルガイム」でロボットに戻り以後はガンダムシリーズばかりになってしまうロボットの系譜。あるいはパトレイバー的な変形メカの系譜。その中に今なお輝くイデオンのメカを改めて見返すチャンスだった。横浜では駅の反対側に回って焼きメシ焼きスパ金太郎でナポリタンとチャーハンの相盛りを食べて東京へと戻って江口寿史さんの展覧会を舐めて帰宅。さあ年渡の残り日数を頑張って生き抜こう。


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