縮刷版2022年2月下旬号


【2月28日】 今日で1年の6分の1が終わってしうなんて早すぎると言ったところで、2月が28日しかないのはすでに決まっていたことなので仕方が無い。明日からの3月に備えて締切の近い仕事を片付ける準備を粛々としていこう。一方でひと仕事が終わってお金も入ったのでいよいよもって調子が悪くなっているPENTAXのカメラを買い換えようと検討。新品はさすがに手が出ないので今持っているPENTAXのK−7よりは新しくそして今出ているK−3の3だとかK−1シリーズよりは古いK−3の2をフジヤカメラで中古で購入する。バッテリーグリップもセットで。istDの頃からなぜかずっとバッテリーグリップは買っているのだった、カッコ良いし。

 同じK−3なのに3はなぜか新品価格が20万円を超えてしまって中古も20万円近く手が出ない。それで画素数が倍になっているかというとそうでもないからどこに違いがあるのかちょっと分からないけど時代が流れて旭光学からPENTAXブランドのカメラがリコーへと移ってさらにマイナー感が濃くなり、それに合わせてシグマやタムロンがPENTAXのKマウントのレンズを出さなくなっていよいよ少量生産が行き着いてしまった結果なのかもしれない。薄利多売の出来ない弱小の厳しさよ。逆に言うなら値段は安くても帰納的にはそれほど違わないのかおしれないと思いここはK−3の2を使い倒そう。レンズもズームが壊れた16−50ミリのスターレンズと同じのを注文。取り付けて来たる春、桜でも撮りに行きたいな。

 「進撃の巨人」は昨今の情勢をとりたてて鑑みることなく普通に放送されたようでまずは善哉。復活したアニがパイを頬張ってはその顔を見られても吹き出すことなくもぐもぐと食べきるところの愛らしさ、車力の巨人姿のピークちゃんに向かってハンジが歯磨きとかしないのと聞いて失礼ですよと返されるところの面白さが、悲惨で陰惨な状況が侵攻しつつある世界でも人が生きて考え面白がっている生々しさを感じて嬉しくなった。どんな時でも希望を。そして笑いを。でも笑いが誰かを貶めることで成り立つもので、それをエスカレーションしすぎた挙げ句にのっぴきならないところまでいて、遂には国を滅ぼしてしまったら無意味なのでポピュリズムの行き過ぎには注意を。注意しておけば良かったと思った時はもう遅いのだから。

 書店の棚を見て「東京人」の3月号が新版画を特集していてそこで「サイダーのように言葉が湧き上がる」のイシグロキョウヘイ監督とか漫画家の江口寿史さんとかアニメーション美術の山本二三さんが対談に出たり寄稿していたりしたのを発見。3月3日には次の号が出てしまうのでその直前に気づけて良かった。せっかくなので購入してパラパラ。イシグロキョウヘイさんについては「サイダーのように言葉が湧き上がる」について喋ったイベントで川瀬巴水とか吉田博といった新版画の影響を口にしていたから出ているのは不思議がなかったけれど、最新作「ブライト:サムライソウル」はもっと吉田博を意識したと話していてそれなら見なくちゃと思った次第。Netflixに入っているといつでも見られると思って逆に見ないんだよなあ。

 江口寿史さんは遅くなってから川瀬巴水を知ったそうだけれど、他の小村雪岱とか小原古邨といった画家なんかを知る機会があってそうした人たちとの繋がりが分かってなるほどと思ったとか。漫画やイラストレーションに近いところがある川瀬巴水の絵はなるほど平面の中に色を置いて雰囲気を表す江口さんに重なるところもあるかなあ。フォルムと色彩の妙というか。それでも単純に色をベタっと置くだけじゃない版画ならではのぶれみたいなのがあて、そうした手仕事による味が最近は手間もかかるためか減っていることを気にしていた。「その効率の悪さゆえ時代の流れから取り残された木版画だが」「現代の最新鋭の印刷技術をもってしても決して出せない味わいが」あるとこと。そんな江口さんがPANTONE時代に作っていた作品も色数こそ今より少なくてもそれだけ選りすぐりの輝きがあった。鈴木英人さんも同様。今は……。その差についてちょっと考えてみよう。


【2月27日】 「ねとらぼ」で山下達郎さんのシングル曲の人気投票が行われて案の定「クリスマス・イブ」が第1位に。それは納得だけれど個人的には2位に入った「RIDE ON TIME」を推したいところ。テレビのCMに達郎さんが出てきてあの歌声を聴かせてくれて1発でファンになってから幾年月、それくらいのインパクトがある楽曲だし今もライブでは必ず唄ってくれるからそれだけ当人にも思い入れがあるってことなんだろう。第3位は「さよなら夏の日」でこれも悪くない。細田守監督の映画とのタイアップが後に増えたのもこの時の夏=達郎のイメージが繋がっているような気がするし。

 でも夏だ海だ達郎だとなるならやっぱり「LOVELAND,ISLAND」は欠かせないところ。とはいえアルバム「FOR YOU」が出た頃にはシングルカットされていなかったこの曲が、2000年代に入ってシングルとして発売されたから堂々の候補作となった模様。全体でも4位に入って「高気圧ガール」を上回っていた。これに加えてもう1曲、選ぶとしたら個人的には「未来のミライ」の主題歌だった「ミライのテーマ」かなあ、バラードではなくポップで底抜けに明るくて映画のイメージにマッチしていた。この路線の細田守監督でもう1本、作ってくれないかなあ。それによって達郎さんの新曲も生まれる訳だし。

 女子サッカー皇后杯の決勝が開催されて我等がジェフユナイテッド市原・千葉レディースが三菱重工浦和レッズレディースと対戦。優勝すればもちろん初の栄冠だったけれど、リーグ戦で圧倒的に強くなでしこジャパンにも選手を送り込んでいるレッズレディースが後半に元ジェフレディースの菅澤優衣香選手の決勝弾を得て、そのまま逃げ切り勝利を飾った模様。こちらも初の栄冠でなおかつ男子の浦和レッズの天皇杯とのアベック達成。嬉しいだろうけれどもジェフを応援している千葉県民としてはやっぱりジェフレディースに勝って欲しかったなあ。でもあの強いレッズレディースをギリギリまで0点に抑えていたんだからそこはやっぱり褒め称えたい。

 新宿へと出てバルト9で「DEEMO サクラノオト −あなたの奏でた音が、今も響く−」を見た。元ネタはリズムゲームでそれに出てくる音楽を基本にしつつ藤咲淳一さんがストーリーを作り吉田ヨシツギさんが世界観を描いたアニメーションに仕立て上げた格好だけれど、留めに梶浦由記さんの主題歌を持ってきた関係から、瀕死の状態で走馬燈を見る竃戸炭治郎に煉獄杏寿郎がピアノで「炎」を奏でながら「心を燃やせ!」と叫ぶ、と蘇って鬼無辻無惨との戦いを続けるような話にちょっとだけ思えてしまった。なぜかは見れば分かると言っておこう。

 モーションキャプチャーを使いながらもキャラクターの造形は簡素でリアルには寄せておらずセルルックでもないどこか自主制作3Dアニメーションっぽさが感じられるもの。ストーリーも閉ざされた心の内と外から音楽によって突破していくといったもので世間に割とあるといえばあるものだけれど、そうした展開を支える音響がドルビー7.1チャンネルで立体的に響く上に精緻に紡がれているから音にのまれているような感覚で見ていくことができた。ピアノはたぶんちゃんと該当する鍵盤を抑えているとは思うんだけれど、「劇場版ヱヴァンゲリヲンQ」でシンジとカヲルが見せた連弾ほどには“弾いてる”感じはなかったかなあ。まあそうした演奏をアニメでどこまでリアルに描くか系とは違うから良いんだけれど。

 ニュークリア・シェアリングだなんて言うけど安倍元首相、専門家によればそれは核兵器といっても戦術核であって侵略してきた敵をまとめて殲滅するためのちょっと威力のある兵器といった位置づけで、それも使用するのは侵略を受けた自国であって仮にそれで戦争に勝ったとしても、あとに残るのは放射能で汚染されて破壊され尽くされた大地だったりする。ニュークリア・シェアリングがそういうものであることを知って安倍元総理が発言しているとはとうてい思えずいわゆる戦略核、ICBM的なものを置かせてもらってそれで敵基地なり敵都市なりを脅かしておけば攻められないといった頭で発言しているだけなんだろう。専門家を誰かつけて助言してもらえよって思うけど総理の時だって専門家を蔑ろにしてトンチンカンなコメントを発していたから思いついたらそれを曲げられない性格なんだろう。

 あるいはICBMのような戦略核を置かせてえもらうんだとしても、それは同盟が大きな勢力で2分されているから成り立つんであって今時の冷戦でアメリカとソ連が対峙していた時代から遠く離れてアメリカがあって欧州があってロシアがあって中国があってイスラムもあればアラブもありアフリカは群雄割拠な状況で、いつどこにどんな感じに同盟が転ぶか分からない中で核が拡散されたらどうなるか。政変だって平気で起こって昨日の友が明日は敵となって牙を剥くかもしれないこともあるだけに、下手に核兵器なんて置こうものならそれを狙って国内だって乱れかねない。そんな可能性も考えずアメリカの核を日本におけば全部平和だと嘯く安倍晋三元総理のドリーミーさを早くどうにかしないと日本はどうにかなっちゃいそう。ロシア担当特命大臣にして特使としてクレムリンに送り込んでやってくれないかなあ、ICBMにでも乗せて。


【2月26日】 花江夏樹さんと梶裕貴さんが上映後に登壇する舞台挨拶付きで、いしづかあつこ監督「グッバイ、ドングリーズ!」をTOHOシネマズ六本木まで見に行く。試写も含めてこれで見るのは3回目。見所も結末も分かって見ると、セリフや表情のいちいちての意味が分かるので深くキャラの心情に入り込んで展開を追っていける。そして来る伏線回収に感動。浮かぶ感嘆に滂沱。ドングリは2度だけ見るな、3度見ろ! って大声で叫びたくなるなあ、ってかそれくらい見てもらってこそ分かる良さもあるだけに、1度目をまずどうやって引っ張るかってことが大変で、それで舞台挨拶もやったんだろうなあ、緊急過ぎてお客さん、あんまり入ってなかったけど。

 そんな舞台挨拶ではラストシーンを花江夏樹さん梶裕貴さんの2人で合わせて滂沱する芝居したブースの後ろに収録が終わった村瀬歩さんがいて見たら泣いていたとか。スンシンという音でリテイクが出るんじゃないかと心配した程。それくらい感情が高まるシーンは何度見ても良いのだった。ただ、花江夏樹さんも梶裕貴さんもロウマとトトとドロップがあの秘密基地で出会うまで何をしていたかが分からないかもしれないとのこと。そこは角川文庫と角川つばさ文庫で出ているノベライズを読めば実は分かるから読んで劇場へもアリか。

 舞台挨拶では、週末に部活ではなくクラブでサッカーをしつつ塾に行き音楽を習って放課後に友達を遊べない自分を迷いつつ自分でやりたいと言った事でもあったので文句は言えない葛藤を抱えた小学生時代を振りかえった梶裕貴さん。横で聞いていた花江夏樹さんが習いごととかカッコ良いとか囃し立て、英語で挨拶とか良いですねとか言って梶裕貴さんが「See、You!」といってポーズを決めると場内もザワついた雰囲気。それをやると切り取られると言っていたけどやっぱりしっかり切り取られてました。そんな2人のロウマとトトのような仲良さげな会話を楽しめたので、もう1度くらい見に行ってあげたいな。次の特典があれば絶対。いしづかあつこ監督のティーチインがあれば確実に。

 阿佐ヶ谷で新潟名物「イタリアン」をアレンジしたご当地パスタを今月中、出している店で昼食を摂ってから第17回吉祥寺アニメーション映画祭へ。「ちえりとチェリー」の中村誠監督と「PUI PUI モルカー」の見里朝希監督の対談をリモートだけれどあるというので見に行ったら2人とも壇上に出てトークしていてビックリ。見里監督曰く「『コララインとボタンの魔女』が大きなスクリーンで見られるから」だそうでライカでも1番好きな作品に挙げていたのは伊達じゃなかった。

 どこが好きかというと『『コララインとボタンの魔女』にはライカの作品の中でも手作り感がある」とのこと「ところどころ遊び心があるんですよね、桜の花をポップコーンで作っているところとか」。その一方で「シンプルに恐怖の描き方が巧くて引き込まれた」とも。重ねて中村監督が「『PUI PUI モルカー』は敢えて弱めている部分があるが、見里監督の作品は全体的に恐怖というか、何だこれという要素が入ってくる」と補足。なるほど確かに「あたしだけをみて」も「マイ・リトル・ゴート」も「Candy.zip」も怖さ不気味さがある。

 「そうですね」と見里監督「これは色々なところで話しているんですが、可愛いキャラクターが可愛いことをするだけの話は、見ている人が予測できる範囲の話になるんです。見る人によっては退屈になってしまう。恐怖は、未知なるもの、人の好奇心をくすぐるるものです。だから遊園地にはオバケ屋敷が今もあるんです」。そうした恐怖心を誘う作品をこれからも作ってくれるかそれとも。楽しみになって来た。

 「未知なる物は、これは何だろうという好奇心から入ります。単純な可愛らしさではなく、可愛らしいことをするギャップがあります。そうしたギャップも大事ですが、もっと大事なのが主人公をいかに追い詰めていくかということ。やっぱり主人公を追い詰めれば追い詰めるほど、主人公がいかに解決していくかが気になります。そして、主人公達の目的をさえぎる問題が未知なものであればあるほど、人とは恐怖を克服する開館を得られるのです」

 そんな見里監督を引き取って「モルカーも追い詰められますからね」と中村監督。答えて「そうですね、そうですね、モルカーって2分30秒と短い時間に詰め込んだものがあります。細かく描ききるのが難しかったですが、そこでモルカーという車の抱える問題を僕は遠回しに伝わると良いなって思い描いていたところがありました。交通渋滞だとか盗難だとか熱中症だとか……」。そんな「PUI PUI モルカー」に「コラライン」を見ることは果たして可能か。持っている人は見返してみよう。

 そんな見里監督に、ストップモーションアニメーションを作る上で大事にしているポイントを聞いた質問で見里監督は次のように話す。「そうですね、1番大事にしているポイントは、コマ撮りという手法である以上は、見ている人が手にとって触れそうと思える手作り感ですね。実際に、モルカーを見てこういう作品なら私にも作れそうだと思って、手に取って作ってみて作品にする人が出ています。制作したいという気持ちをかき立てる感じ、そういうことを出来る魅力がコマ撮りにはあるんです」

 さらに見里監督。「最近はCG作為が主流でCGの技術が発展して、実写化と思われるくらいの作品が作れるようになっっています。フレーム数、コマ数を減らすことでわざとCGなのにコマ撮りっぽくする作品も増えてきました。伊藤有壱先生も言っていましたが、一時期コマ撮りがなくなってしまうという危機があったそうです。そうなった時、どうしたらコマドリはCGと差を付けられるのかということになって、敢えて完璧を目指しすぎず、ちゃんと人間の手に寄って作られたものですよ、悪く言えば雑さを残すことでコマ撮りの手作り感を伝えることが出来るのではないかと考えました」

 ライカの作品はこのあと『パラノーマン ブライス・ホローの謎』から『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』『ミッシング・リンク』と続いて何がCGとちがうのってところまで言ってしまう。でも見里監督は『コラライン』を推す。「コララインが1番個人的にライカ作品の仲で手作り感を感じるんです。『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』や『ミッシング・リンク』は、取り上げる世界の規模が大きいが故に、背景にCGを使ったりしていますが、コララインはおうちだけが舞台の箱庭的ビジュアルなんです。背景を見て楽しむことをして戴きたいですね」。そこにはヘンリー・セリック監督ならではの動きの見せ方もあって手作り感がよく出ている。そこが見里監督を今も大好きな作品として引きつけているのかもしれない。


【2月25日】 テレビを見なくなっていたので「報道ステーション」で古舘伊知郎アナウンサーの後任としてキャスターを務めていた富川悠太アナウンサーが、今は金曜日だけの出演になっていたとは知らなかった。そういえばNHKのニュース9か何かでキャスターを務めていた大越健介記者が定年退職から転職して「報道ステーション」のメインキャスターに就任するってニュースが流れていたっけ。その煽りですみっこに追いやられたんだろう。

 結果として出演が減って今回の退社へと至ったみたい。報道ひとすじのイメージでバラエティ等の司会が務まる感じでもないから生島ヒロシ久米宏古舘伊知郎的な道は歩まないんだろうけれど、トヨタ自動車が抱えて「トヨタイズム」の記者になるなんて話もあるだけにメディアの形が変わる中、記者という仕事の立ち位置をも含めて買えていく存在になりそう。それを記者かと言えるかというと微妙だけれど。基本的に宣伝以外のこと、してないもんトヨタイズム。  憲法9条があったとしてもウクライナはロシアの侵攻を止められなかっただろうなどと、どこかの国会議員がヌかしているけどそんな穴だらけの意見を満天下に向けて開陳して恥じない精神力があるからこそ、元総理あたりから根深さを増した疑惑まみれの政権与党で国会議員なんてやっていられるのかもしれないと思うと、そんな与党に牛耳られたこの国の将来も同じようなことになるんじゃないかと嫌になってくる。どこと同じってそれはロシアと同じようにってことだ。あるいはプーチン大統領と。

 憲法9条とは国際的な紛争を解決するための軍事力を持たず行わないということを決めたもので、それでは攻められた時にどうするんだという話しになって、対抗するための自衛力は持てるようになっている。その自衛力をあるいは懸念して攻めないと考えるところもあるかもしれないけれど、攻めたいと思ったら攻めてくるだろう。その相手がロシアのような超大国ともなれば、軍事力は厖大でそれに対抗するために軍備で競争したら今度は国がガタガタになってしまう。いたちごっこだ。

 だからどうにか対抗できるくらいの軍事力を持ちつつあとは外交の力でもって国を守りましょうというスピリッツを持とうということなんだけれど、そうしたスピリッツをウクライナが持っていたとしても、それをねじ伏せようとするロシアの圧倒的な軍事力と、それを振るいたい権力者がいれば攻められてしまうのもあり得る話し。そこに憲法9条があるかどうなんて関係ない。あるいは憲法9条めいたものがあったとして自衛のための軍事力を持ちつつ一方で日本のように米軍の駐留を認め日米安全保障条約でもって持ちつ持たれつの関係を築き上げていれば、ロシアもウクライナを攻めづらかったって可能性はあるかもしれない。

 とはいえ、そうなる過程でウクライナが米軍なりNATOの駐留を認めようとしてロシアに阻まれる可能性もあった訳で、そもそもが成立しないロジックをさも「憲法9条は戦争を跳ね返すバリアである」といった誤解曲解を元に繰り広げたところで、真っ当な世間では通るはずはないのにその界隈では盛り上がってしまうから何というか、やれやれというか。むしろ憲法9条をプーチンのような権力者を出さないための枷としてとらえ、どこの国もが運用すればこうした事態にはならなかったと想像する方がピースフルなんだけれど、それができないから人間なんだよなあ。こればっかりは変わらないのかなあ、世界が滅びるその瞬間まで。

 映画泥棒が「プリンス・オブ・ストライド オルタナティブ」をするような感じだったといえばだいたい伝わるか。そうした道具立てはともかくとして芯になっている「人魚姫」をSF的に解釈したストーリーを誰が作って誰に見せたかったのかがまずは気になるところ。あるいは座組ありきで出てきたものを実力を見計らってあてはめたのかどうなのか。その意味では目に見て凄まじい動きが繰り広げられるハイクオリティのアクションは楽しめるけれど、細かいところの作画は例えば腕時計にしても缶ビールの缶にしても省力化されているなあといった感じ。アクションは凄いし「人魚姫」なんで感動も出来るから見れば楽しめると言っておこう。


【2月24日】 Netflixに最新話が降りてきた「怪人開発部の黒井津さん」の最新話をつらつらと。バレンタインデーに合わせた内容でテレビ放送的にはたぶんバレンタインデーと重なっていたんだろうけれど、配信だとすでに過去の話になってて中で取りざたされていた2月14日を過ぎると価値が半値になってしまうという主張をそのまんま浴びせかけられた感じ。メルティちゃんは見てくれも声もなかなか良いのに中に金属片が混じったことで出荷されず戦いに出られず回収されていってしまった。作り直して来年登場するのかそれとも。というか戦って敗れてもだいたい皆しっかり生き残っているからメルティちゃんもどこかで熟成されているんだろうと信じたい。

 ちばてつやさんとつげ義春さんが日本芸術院の会員になったそうでこれまで漫画家で会員になった方はおらずそれどころか映画監督も演劇のカテゴリーで山田洋次さんがいた程度。そうしたメディア芸術への無理解ぶりにさっさと見切りを付けて日本メディア芸術院でも立ち上げ漫画にアニメにゲームといったところをどんどんと認定してけば良かった気もしないでもない。でもやっぱりそいうした分離隔離ではなく「芸術」という同じ枠組みで認められることの方がどちらにとっても意味があるから、今回のちばてつやさんつげ義春さんの入会はすなおに慶事と讃えたい。

 この2人が入るならアニメから宮崎駿監督も推薦されてて不思議はないんだけれど、そうしたカテゴリーが出来ても誰もいないのは推薦がなかったか、辞退しかたもしれないということで宮崎駿監督が裏で辞退なんかしていた可能性もあるのかもしれない。漫画家となると誰がいるかと見渡して東海林さだおさんなんて入ってしかるべきだけれどストーリー漫画とアート系漫画は選ばれて4コマ漫画は選ばれないのはちょっと寂しい。いずれはと期待したい。でもあの手塚治虫さんを選ばなかった日本芸術院に今さら漫画家として入って気後れする人が多いかもしれないなあ。藤子・F・不二雄さんも入ってない訳だから。せめて藤子不二雄Aさんを。まだ存命なうちに是非。

 まだピリピリとした緊張感を覚えてないのはどこかドネツクとルガンスクの占拠に留めてウクライナ全体をロシアに編入するような暴挙には出ないだろうといった思いがあるからで、にも関わらずキエフの空港を制圧したとかオデッサに上陸したといった話しが流れてきて、ロシアがウクライナ全土を制圧する全面戦争に本気で乗りだしたのかと驚いたものの、時間が経つにつれてオデッサには上陸しておらずキエフの空港も制圧されていないようだと分かって来た。誰かがそうした危機感を煽るフェイクでも流しているのなら、いったい誰が何のため行っているのか。そこも含めて見えないウクライナ情勢からはしばらく目が離せない。

 SNSとかだと軍事に詳しい人が全面戦争を口にして全土制圧も間近といった見方を示してここから第三次世界大戦だなんて話しも出てきていたりする。プーチンが強欲だからといって世界を相手に全面戦争をしかけるなんてさすがにやらないだろうと思ってはいたものの、そうした常識すら突破しかねない雰囲気を漂わせ始めているだけにこれも先が見えない。ウクライナ政府もロシアの狙いをウクライナの制圧だと見ているらしいから、本気を出せばそれくらいやって来るってことなんだろう。

 とはいえ、東部だけが切り取られて膠着状態になるのではなく、キエフへと進軍して全土を制圧して親露政権を打ち立てるチェコ動乱だのハンガリー動乱の再来を画策しているのだとしても、それで冷戦が熱戦へと至らなかったように同じ旧ソ連の中の出来事と西側も模様眺めで終わらせないとも限らない。それで気を大きくしたプーチンが次に北海道あたりに手を出してくるならこれは日本も大変だけれど、ウクライナ1国で終わらせたら果たしてどういうスタンスで相手をするのか。そこはやっぱり同じ未来を見ている安倍ちゃんを送り込んで手打ちでも何でもさせてやって下さいな。出来ればノーベル平和賞だって夢じゃないとか何とかいって煽てて。


【2月23日】 家にいたら寝てしまうので電車に飛び乗り中で本を読むことに。山室有希子さんが書いたノベライズ版「グッバイ、ドン・グリーズ!」(KADOKAWA)では冒頭にドロップがロウマと知り合う場面が書かれてあってこれがあればアニメだってキャラクターの立ち位置をすんなりと理解できたんじゃないかと思ったけれど、そういうところも含めてなんとなく分からせてだんだんと感じさせるなり、2度目に改めて見てそうなんだよなあと分かったで見る人に新たな感慨を与える効果を禰らったんだろう。そういうことにしておこう。

 そうこうしていたら中野に着いたので前に寄ったトルコライスの店に行こうとしたら見当たらない。中野ブロードウェイへと続くアーケードの下にあったはずなのに看板もなければ店もないのはきっと潰れたからだろう。前に寄った時も注文してから出てくるまでに大分と時間がかかっていたからなあ、味は悪くなかったんだけれど店長めいた人が1人でオペレーションをしていたから調理から配膳から会計まで大変そうだった。調理中に会計をお願いして良いか迷ったくらい。そんな客に気を遣わせる店に足を運びたくないよなあ。

 仕方が無いのであたりを歩いて奥にあるハンバーグ屋さんはどうかと思ったものの込んでいたので途中にあったカレーのターリー屋に入店。看板に出ていたチキンケバブ丼のキーマカレーがけが上に目玉焼きも乗っていて見るからに好物そうだったので引かれたけれど、出てきたものは想像通りの味でやっぱり好物だった。というかケバブ丼だけで十分なのにそこにどうしてキーマカレーをかけるかなあ、ってカレー屋だから当然か。大盛にも出来たみたいだけれどそれをやったら引っ込めているお腹がはち切れてくるので我慢。それでも多すぎるくらいなので夜は抑える。

 本を読みながら船橋へと戻って、本の整理が終わって再開した船橋中央図書館で2時間くらい原稿書き。どうにか仕上げて中を歩いて目下懸案のウクライナとロシアの関係がだいたいどれくらいの遺恨を秘めたものかが書かれたティモシー・スナイダー「ブラッドランド」の上巻を借りてくる。下巻は貸し出し中だたけれどロシアによるウクライナへの人工的な飢餓政策は上巻に書かれているからだいたい間に合う。読めばスターリンが工業を発展させようとして農村部を疲弊させ、食糧不足を招いて大勢が餓死したことが分かる。

 後に毛沢東が大躍進で同じことをしでかした訳で、共産主義ってやっぱりヤバいんじゃないかといった印象を世間の植え付ける結果となった。ヤバいのは主義より人物な訳だけれど、指導者がすべてを決めて進める体制があるいはそういった権力にしがみついてすべてを支配したがる人物を生み出すのだとしたら、やっぱり改めるべき主義なのかもしれない。とはいえ民主主義もポピュリズムが先立って、ろくでもない人間を上に祭り上げるからどっちもどっちか。つまりは人間はダメってことか。

 さてウクライナではスターリンのそうした施策が反発を招き、西からナチスドイツを呼び寄せる結果となったものの、ドイツもまた同じように搾取を続けた上にホロコーストまでやってさらに大勢の死者が出てしっちゃかめっちゃかになった土地に、ソ連邦時代を経てようやく立ち上がったウクライナ人の国にまた、ロシアが攻め入ろうとするから反発も起こるのが当然か。プーチンあたりは若いからそうした過去の苦渋に思い至らず、功利的な考えで蹂躙しようとしているけれど、当地の人には先祖伝来の食い物の怨みが骨の髄まで染みていて、納得なんて出来ないってことなのかも。かくして戦争が始まり世界の終わりが始まるのか。注視したい。

 TBSで「呪術廻戦」の姉妹校交流会編が放送されたそうで大勢が見入ったもよう。でも最大の見せ場ともいえる野球の回は放送されず、落胆していた人も多いかと思ったら何とネット配信のTverでもって野球回を無料配信するという太っ腹を見せてファンを喜ばせた。分かっているねえTBS。まあNetflixにもAmazonPrimeVideoにも入っているからいつでも見られはするんだけれど、見てよと差し出されればそれをきっかけとしてみたくなるのが人情ってもので、改めて見てやっぱりメカ丸は最高のピッチャーで、そして三輪は役立たずだと思うのだった。あと真希さんナイッピー。


【2月22日】  2がいっぱい並ぶ日らしいけど次が2222年2月22日と200年後だなんてちょっと寂しいので令和22年2月22日も入れてあげれば18年後と存命中に出会えそう。もちろん令和があと18年続けばの話しでそこは現在の長寿社会を鑑みるなら大丈夫だと思いたい。そしてそんな2がいっぱい並ぶ日を「ニャンニャンニャン」だから「猫の日」だと言って騒いでいる日本を遠目にウクライナではロシアがドネツク共和国あたりの親ソ勢力を保護するためだといった名目で軍隊の派遣を決めたとか。

 まあよくある戦争の手口で日本も遠く満州あたりでやったことではあるけれど、アメリカイギリスドイツフランスがしっかり対峙する中でやってしまうロシアの強引さはいったい何を目的としたものか。ウクライナがNATOに編入されればそこからミサイルがモスクワに飛んでくると本気で思っているのだろうか。いやさすがにイギリスアメリカは直接はやらないけれども同じ旧ソ連の中で勢力争いをしているロシアとウクライナの間だけに分からなかったりするからプーチンも不安なんだろう。

 あとはやっぱりキエフ公国を発端にウクライナもロシアもベラルーシも立ち上がっていたりする訳で、共和国ではあっても独立した一国というより旧ソ連邦の仲間みたいな感じでベラルーシともども囲いたいのかもしれない。反ロシアの勢力が今は政権を握っているとはいえ絶対的にロシアが嫌いってことでもなさそうだし。ただクリミアをぶんどられ今またドネツクとルガンスクをかっさらわれようとしているとなるとウクライナの警戒心もマックスまで来て敵対意識も醸成されるかも。

 ロシアに経済なり資源なりエネルギーで頼らなくてすむなら自分の道を行きたいと思い立ち上がっていきたい状況で、占領されればやっぱり反発するだろうなあ。かくして戦争が始まり西側諸国はウクライナを支える。日本は? 前にクリミア“併合”をやった直後にプーチン大統領と電話で会談し直接会ってもいたりする元総理大臣が権力にしがみついて後ろからあれこれ注文を付けている国だけに総理大臣も思うようには動けなさそう。なおかつ離れているからといってテキトーなことを言って煽るだけ煽って失敗すればそれみたことかと言いそうな元総理。厄介だなあ。いっそ禅譲して全部仕切らせれば……日本が潰れるか。それは拙いのであとはその口を黙らせる方法を考えて下さいな。

 「進撃の巨人」のアニメが進んでいよいよエレンが始祖の巨人の力も手に入れ壁の中の巨人を目覚めさせては地ならしを始めたところ。見送るミカサもアルミンもジャンもコニーもどうしようもない感じだけれどそこはハンジが死に損ないを引きずってマガトとピークに話しを持ちかけ力を合わせてエレンを止めようと言い出した。仮にそのリーダーシップがなかったらジャンはイェーガー派を裏切ってミカサたちとともにオニャンコポンを助けマーレ勢と合流したかと考えると、あれでやっぱり調査兵団の団長としての格を持っていたんだとハンジについて思わせる。

 来週はコニーが母親に顎の巨人となったマルコを喰わせようとしてアルミンに邪魔され思い直して合流し、ジャンとミカサもいっしょになってピークやライナーも混ぜて海へと向かうあたりか。その後は海を越えてエレンを倒しに向かうんだけれど話数的には10話くらい必要な感じ。となるとテレビで3月中ではちょっと収まらないんだけれどそこはNHKだからクールでの編成とか気にせず話数の続く限り一気に放送しておさめると思いたい。ラストバトルだけ抜き出して映画にしたところでNHKにうま味はない訳だし。どうだろう。MAPPAもこれやって「チェーソーマン」やって「呪術廻戦」の2期をやる余裕なんてないだろうし。さてもはても。


【2月21日】 コムデギャルソンでデザイナーをしているジュンヤワタナベさんのブランド「ジュンヤワタナベマン」がメキシコの意匠を使ったファッションを発表したことが文化登用にあたるとして、メキシコ文化庁がいろいろと異論を差し伸べているとのこと。日本のたとえば着物のデザインだとかいったもの、あるいは歌舞伎のような雰囲気をファッションに応用したからといって日本の文化庁が何か言うとは思えないだけにメキシコちょっとナーバスじゃないかと考えたけれど、そうした異論が出ることは承知で訴えていることには意味があった。

 それはメキシコの意匠がたんなるお国柄ではなくって民族なり集落なりにルーツをもったデザインの発展系として存在しているからで、そうしたルーツが世界に向けて発信し得るポテンシャルを持っているにも関わらず、国際的なブランドが資本力と宣伝力でそうした意匠を自分たちのものとして展開した場合、本来なら得られる利益を損なわれてしまう可能性があるということがまずひとつ。そしてそれぞれの伝統に根ざした意匠を商業の中で使われてしまうことによって、心情的に納得がいかないことがあるというのがひとつ、あっての反対でありそうした異論の解消のために話し合って来たにも関わらず、ジュンヤワタナベマンが先走ったことへの憤りがあるみたい。

 日本でもしばらく前にアイヌの意匠を勝手に使ってデザインをしたものを売ろうとして異論を差し挟まれた一件があった記憶。つまりはそういうことで世界のブランドが日本のアイヌのデザインなり徳川家の三つ葉葵なり天皇家の菊のご紋なりを勝手に意匠として使ったら、やっぱり文化庁なりが異論を差し挟むだろう。メキシコの場合もそうした理由があってのことだと考えるなら、単純に世界が認めてくれて嬉しいだろうと言うのではない異論を差し挟む理由を考える必要がありそう。まあメキシコだって日本の伝統ともいえるウルトラマンを勝手にプロレスラーが覆面に使って戦っていた入りするから、円谷プロあたりが著作権の盗用だって言えば言えるんだけれど。ウルトラセブンは日本人レスラーだから除外ね。

 朝日新聞社がやっている手塚治虫文化賞の候補作が発表になって「【推しの子】」だとか「チ。地球の運動について」だとか「高岳親王航海記」だとか「ジョジョリオン」なんかが入った模様。「【推しの子】」と「チ。地球の運動について」はマンガ大賞2022の最終候補作にも入っているからダブル受賞なんてこともあるのかも。個人的には田村由美さん「ミステリという勿れ」か武田一義さん「ペリュリュー ―楽園のゲルニカ―」にとって欲しいけれど目立つところに行きそうだから「怪獣8号」かなあ、ってそれはまだちょっと早いかな、むしろ「新生賞」かな。

 宝島社から双葉社へと移って“復活”し期待されたにも関わらず編集長のポカで評判ガタ落ちから編集長の交代へと至った「映画秘宝」が双葉社での刊行を停止するとの報。その後についての情報はなく版元を変えて取次コードを得た上で継続刊行となるのかそれともいったんの休刊となるのか。権利はオフィス秘宝が持っているから出そうと思えば出せるんだけれど取次コードがないと全国に配本できないだけにどこか版元を見つける必要があるだろう。それで復刊したとしてこうなった状態で果たしてどれだけの売上げを期待できるのか。無頼でアバンギャルドなスタンスも何かの犠牲の上に成り立っているとなると成立しづらいこのご時世。かといって丸くなったら秘宝らしさが消えてしまう。難しい舵取りを任された新編集長の差配を見守るしかないかなあ。


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