縮刷版2022年1月下旬号


【1月31日】 「機動戦士ガンダム」は「月刊アニメージュ」でも「OUT」でもなく「アニメック」から入って、そこから本格的なSFとアニメの沼にハマっていった口なので、その意味では「アニメック」の小牧雅伸編集長は自分の今を決定づけた人の1人だと言える。横浜でのガンダムに関するイベントが開かれた帰りに、多分氷川竜介さん藤津亮太さんと少しお話しさせていただたことがあって、何を話したかは覚えてないけれどもいろいろと聞いたような気がする。その時からすでに20年近く経っているとはなかなかに時間とは駆け足で過ぎていくものらしい。小牧編集長、ありがとうございました。

 朝ドラの「カムカムエブリバディ」に深津絵里とオダギリジョーの娘(役名じゃなくてごめん)が登場。将来の川栄李奈さんだけれど今を演じているのは新津ちせちゃんで、以前にくらべてすっかりと大きくなって小学生っぽさを漂わせながらテレビの中でチャンバラごっこをしていた。どうやら時代は昭和50年でその時点で小学4年生の10歳ということは生まれは昭和40年。つまりは僕といっしょということで、大いに親近感が湧く。

 この子がテレビで「タイムボカン」や「一休さん」を見るようになり、「超電磁ロボ コン・バトラーV」や「超電磁ロボ ボルテスV」を見て「宇宙海賊キャプテンハーロック」や「銀河鉄道999」や「未来少年コナン」を経て「機動戦士ガンダム」でSFアニメにハマると思うとちょっと楽しみ。いやいやだからカムカムエブリバディになるんだってば。それは残念。いっそ時代劇好きから「風と雲と虹と」を経て「花神」を見て加藤剛さんの「大岡越前」や中村梅之助さんの「遠山の金さん」にハマり杉良太郎さんの「遠山の金さん」から「水戸黄門」も見たけれど、大河ドラマの「黄金の日々」で唐十郎さんの奇矯な演技に引っ張られ、状況劇場から小劇団へと行き月蝕歌劇団に入ったら楽しいのだけれど。

 2015年あたりから7年ばかりとある全国紙が言い続けてきた「歴史戦」という言葉が、NHKで取り上げられたとたん初めて聞いた驚いた、こんな言葉があったのか、これは大変だと大騒ぎになっていることにとある全国紙としてその全国紙にあるまじき影響力にどんな思いを抱いたのかが知りたいところ。それでも自分たちがやり続けたおかげでようやく世間が動き始めたと喜んでいたりしそう。現実には、研究もされてある程度歴史的社会的国際的なコンセンサスが取れた説に挑む歴史戦とやらは、世界各地で連戦連敗になっている。それでも挑み続けるのはなぜなのかがやっぱり気になる。

 それは戦っていることを見せるのが大切ということなのだろう。戦っているふりさえしていれば、長期政権の中で着々と親派を増やしていくことができた。その結果として、NHKの岩田明子記者が「シブ5時」でイラストまで添えて大々的に解説して紹介したのだから、もう立派に“勝利”と言える。以後もただ戦っている姿を見せられさえすれば、何かしているんだと応援してもらえるけれど、そうやって信じ切った人が海外に出て無茶をやってしまった時、帰ってくる国際的なリアクションが恐ろしい。せめて世界に夜郎自大ぶりをさらさないでいて欲しいのだけれど。

 テレビアニメの「転生したらスライムだった件」の第1期が4月から日本テレビ系各局にて放送されるとか。以前からNHKが民放で放送された「日常」だとか「ラブライブ!」なんかを放送してコンテンツの充実に努め、そして「鬼滅の刃」をフジテレビが放送して深夜帯に近いにも関わらず高視聴率を連発して、アニメが持つ吸引力への注目が高まっている状況で日テレもMXからのアニメ狩りに乗りだしたってところかな。第3期がいつ始まってどこで放送されるかが気になるところだけれど、リムルが魔王となって本格的な戦いへと乗りだしてくところを早く絵でみたいもの。どこで放送されても配信はあるだろうから今は発表を待とう。


【1月30日】 ちょっと2時間のつもりで寝たらいつの間にやら12時間。気がつきゃ午前も終わろうとしていたので起き出してフレッシュネスバーガーにこもって3時間くらい原稿を書く。実入りの良い原稿だけどエンターテインメントとは遠く離れた分野。とはいえ元々が経済記者で企業取材はお手のものなのでさらりとまとめてどうにかこうにかフィニッシュまで持っていく。チェックもあるしリテイクもあるけどそこの対応もばっちり可能。このテンポで月に3本くらいこなしつつ書評やアニメ評や倉庫整理なんかの仕事を入れていけば今年もどうにか生き残れるかな。会社をリストラされて3年を生き残れたので残る3年を生き延び“定年”を迎えよう。

 明いた時間でいくつか読書。「薬屋のひとりごと」の日向夏さんによる新シリーズは漫画の原作にしてノベライズという「神さま学校のおちこぼれ」(星海社FICTIONS)。超能力が存在する世界観の中で超能力を持った人の中でも優れた能力の持ち主が、神様として尊敬される状況にあってそうした能力の持ち主が集まって学び競い合う学校に、ひとりの少女が進学した。名をナギという少女は祖母が神様だったこともあって神通力の遺伝を期待されたものの、双子の兄に少しばかりナギに思念を送ったり軽いものを持ち上げたりする能力が発現したくらいで、ナギは神通力を持たない普通の子供として育った。

 高校もそのまま普通の学校に行くかと思っていたある時、行方不明になった肉屋の子供を探しに行って見つけたナギが何かをしたことを通りがかった若き神さまのツクヨミが見出し、これがきかっけでナギは神さま学校に推薦入学を果たすことになる。もっとも神通力らしきものは発動せず、成績最下位の中で戸惑っていたと思いきや、やっぱり何か不思議な力が秘められているような感じで、それが何かを探る展開とそしてナギに思念を送ってきた兄の存在が大きく揺らいでナギをちょっとした事件に巻き込んでいく。

 巧みなストーリーテリングと個性的なキャラクター描写でぐいぐい読ませるところは「薬屋のひとりごと」をベストセラーにした作者ならでは。優等生でナギと同室になって指導役を買って出た田中モナカという少女が才女ではあっても高慢ではなくナギを劣等生として蔑みもしないで懸命に上達させようとするところがなかなかに域。自分の内申点に関わってくることとはいえ、そうした態度は読んでいて誰かを助ける心地よさを感じさせてくれて読む人に良い影響を与えるのだ。

 周囲もいい人が多いけどやっぱりツクヨミが圧倒的。甘い物好きで買い歩き食べ回っている姿はとても神さまっぽくないけれど、能力はピカイチでナギを助け不思議な状況にも斬り込んでいく。そんなツクヨミとナギの前に立ちふさがりそうな壁。それが身近な存在であるだけに次巻ではもうちょっとサスペンスフルになるのかな。やっぱりふんわりほんわかとした展開が続くのかな。漫画も気になるけれど小説を読むのが好きなので刊行に期待。

 王将戦の第3局が行われて挑戦者の藤井聡太四冠が渡辺明王将に勝利してこれで3連勝。あと1つ勝てば王将位を奪取して最年少での五冠達成を成し遂げる。いやあ凄い。そして強い。勝負時代は見ていないからどのような経過をたどったか分からないけれど、こうまで渡辺明三冠が圧倒されるのはやっぱり半端ない強さってことなんだろう。だって渡辺明三冠、将棋界でも伝統では最高位にある名人なんだから。それを竜王戦に続いて王将戦でも立て続けに打ち破るのはいったいどんな将棋なんだ。昔だったら週刊将棋が出て次の週で棋譜と共に検討できたけど今はネット上だからなあ。ちょっと見づらい。せめてネットで復活しないものか週刊将棋。廃刊が早すぎた新聞かも。


【1月29日】 土6と日5があったからこそ夕方のテレビアニメーションは今ほど日本テレビのコナン&ヒロアカオンリーではなくバリエーションに富んでいた訳だけれども、それがなくなってしまってもう何年、寂しくなっていた夕方のアニメ枠がどうやら帰ってくるみたい。その名も「機動戦士ガンダム 水星の少女」という作品が2022年に登場するそうで、どういう話なのかそもそも宇宙世紀ものなのかまるで分からないけれども「ガンダム」の名がつくなら期待しておいて損はないので放送開始を待とう。詳細はアニメジャパンあたりで発表されるのか。というかアニメジャパンって今の状況で開催されるのか。ちょっと不安。

 沖縄県でヤンキーが300人ほど集まり警察署を囲んだというニュースで当初は原因となった少年の眼球破裂の大事故が、逃げようとして自損したもんだといった伝わり方をしていてそれで騒ぐとは何という身の程知らずかと思ったら、琉球新報とかが警察の取り締まりで少年との接触があったことを伝えていて、それが事実なら逃げようとしたかあるいは止められようとした際に警察官の警棒か何かが当たってケガをした可能性が浮かんできた。いや触ったくらいで眼球破裂には至らないから殴ったかもしれない。そうなるとヤンキー300人が警察署を囲んだ理由も何となく分かる。

 暴走行為なり違法改造なりしていなかったら止められもせず殴られもしなかったというかもしれないけれど、それでアメリカでは黒人の人たちが警察官によって取り締まられては死亡させられていたりするのに、やり過ぎだって声が出て世界的な問題になっていたりする。日本だってやり過ぎはやり過ぎとして対応されるべきで、けれども黙っていたら自損によるケガだということにされかねなかったものが、騒いだからこそこうして世に問われることになったのだから意味ある行動だったと言えるかも。そこでいろいろ物を投げたりしなければもっと良かったんだけれど。今後も調査は進むだろうけど眼球を無くした少年にはせめて十分な補償がなされることを願おう。

 「地球外少年少女」の評判がことのほか宜しいようで15年ぶりに作り上げた作品がしっかりと売れたことで次を作るチャンスも与えられたことがまずは嬉しい。過去にも映画に挑戦しては1作だけで次を作れない監督が割といただけに、こうしてしっかりと評価されていくことで宮崎駿監督だけじゃないアニメーション映画の傑作が世に傑作と認知され、作品の幅が広がることを期待したくなる。Netflixでも同時配信されたから海外の評判も気になるところ。宇宙ブームの中でアマゾンのジェフ・ベゾスかスペースXのイーロン・マスクが見て大々的に世に広めるとか、実写化するとか言い出したら楽しいなあ。

 柏のキネマ旬報シアターで「サマーフィルムにのって」が上映されるってんでかけつける。前に見たのはいつだろう。多摩映画祭でも上映があったけど遠くてちょっと行けなかったのだった。柏なら船橋から30分だし時間も夕方からだったのでありがたかった。何度見ても飽きないし楽しい映画なので上映中のもう1回くらいは見に行きたい。今回は音感上映ということでやや爆音気味のを最前列で観賞。ずっと楽しいけれどもやっぱりクライマックスで、花鈴の「大活劇だよ!」からの畳み掛けが最高だ。ひらりと舞うハダシこと伊藤万里華のふわっと広がるスカートからのぞく足も最高だ。どうして日本アカデミー賞には作品も出演者もひっかからないかなあ。そんな映画祭なんて意味あるのかなあ。


  【1月28日】 Netflixで配信されているドラマ版「新聞記者」の何が苦手かといえば原作とされている新書の筆者で東京新聞の望月衣塑子記者がやっぱりモデルとして浮かんでしまう作品であるにも関わらず、その望月記者が実際には行っていなかった役割をこなしているところに浮かぶ違和感がどうにも受け容れがたい。別の記者が頑張って暴いた事柄なのにその手柄をドラマの中の女性記者を媒介に持っていくように思われかねないからで、だったらそうではないんだということを当人が前に出て語れば良いのにむしろ手柄を持っていきたそうなそぶりを見せているから厄介だ。

 そこはまあフィクションなんだと割り切るにしてもドラマを作るにあたってテーマにした大阪の財務局員の妻にコンタクトをとっては取材ではなくドラマのプロデューサーを仲介するという新聞記者にあるまじき振る舞いを見せているところが引っかかる。記者としての役割を商業利用しているに等しいその振る舞いを、どうして東京新聞が許しているのか。自分で記事にするどころか逃げ回ってさえいるような報じられ方もされているのに、どうして反論をしないのか。できないのかもしれないし準備をしているのかもしれない。ただこうなるともはや何を言っても背景に利益誘導が見え隠れしてしまう記者を今後も看板として掲げるなら、東京新聞はせっかくの首都圏で地歩をのばすチャンスを失うことになる。ようく考えよう。

 痛ましい。埼玉県のふじみ野市でなくなった女性の弔問に訪れた医師が女性のたぶん息子に猟銃で撃たれてそのまま死亡。立てこもりの人質になっていたというけれど行って撃たれて周りは逃げたまま近づけなかったという状況なんだろう。もしかしたら早くに医者に連れて行ったら助かったかもしれないけれど、時間オーバーとなったのは立てこもった犯人の男性の責任で、それをもってどんな理由があっても殺人の罪は免れないだろう。なおかつ救命の義務も怠ったということでその命を罰として差し出すことも求められて不思議はなさそう。

 女性は撃たれた医師によって訪問診療を受けていたみたいだから患者だったんだろう。その往診なり治療なりに不満があったのかもしれないし、亡くなった理由についても調べる必要はあってそれで医師の方に何か過失が見つかるかもしれない。だからといって男性が撃って良い理由なんてどこにもない。客観的には医師は周辺の300件あまりの家庭を回って患者を診ていたそうだから、病院を離れクリニックを作ってそれだけの仕事をするくらいに訪問診療に熱心だったんだろう。だって大変だから。なのに殺害されてしまった。診てもらっていた人たちがこれからどうなるかが心配だ。

 真相についてはこれからいろいろ出てくるだろうけれども直情が招いた悲劇という意味合いでは大阪で起こったクリニックへの放火事件にも重なりそう。いったい何がそこまで人を絶望させるんだろう。そして周囲を巻き込んでまで怒りを噴出させるんだろう。もっと社会に余裕があったら変わったかもしれない時間を思うとやりきれない。どうしてこんな国になってしまったのかなあ。自分が益体もないマスクをかき集めては大量に余らせ保管料とかで国に大損をさせ、なおかつそれを無料で配って今度はマスク業者の利益を圧迫する元総理のせいかなあ。反省どころか人気があると誇らしげに語るそのおつむ、開いてもきっと何も入ってなさそう。

 大塚康生さんについて友永秀和さんとか叶精二さんが語ることで楽しみにしていた三鷹ネットワーク大学のアニメーション講座が新型コロナウイルス感染症の蔓延もあって中止になってしまった。去年も予定されていたアニメーション講座がやっぱり中止になってしまって残念だっただけに今年こそはと思っていたけど無理だった。まあ仕方が無い。4月に再開の可能性もあるので状況だけはチェックしておこう。人が何かについて語れるのはその人が存命な間だけ。オーラルヒストリーの必要性を改めて感じているだけに機会が奪われるのは残念を通り越して大きな損失。早く感染が収まってくれることを今は願う。

 レビューを書くために試写は見ていたけれども改めて、大きなスクリーンで診るために新宿へと出て新宿ピカデリーで「地球外少年少女」の前編を見る。「電脳コイル」の磯光雄監督による15年ぶりの監督作品はARだとかVRだとかMRなんてものがもたらしてくれる暮らしの変化に関するビジョンを描いた前作と同様に、宇宙ステーションができて宇宙で暮らす子供たちが現れるようになってAIが超進化した未来のビジョンを描きつつ、そうした状況下でいったい何が起こるのか、そして今後どうなっていくのかといったことを存分に見せてくれる。まだ上映が始まって間もないので詳細には触れないけれども驚きの連続の果てに来る壮大なテーマが素晴らしい。人類はどこへ行くのか。人類は誰といくのか。考えつつその道へと近づくために何をすべきかを考えよう。


【1月27日】 野田司令による「プラネテス」への言及は行き過ぎといった発言も出て当事者間では落ち着きを見せたようだけれども、外形的には妙な陰謀論が取りざたされてしばらく尾を引きそう。いわくホリエモンが立ち上げたインターステラーって小型衛星の打ち上げなんかを目論んでいる事業の子会社に野田司令もCTOとして参加していて、そんなインターステラーが事業を行う上で「プラネテス」が描いていたデブリの問題に直面して、いろいろと迷惑を被っていたのでここで叩いてみせたって話らしい。

 野田司令の宇宙に関する生真面目さを考えるとそうした恫喝めいた活動に乗って動くとはちょっと思えず、純粋に最近また再放送なんかで取りざたされて着たのを機会に「プラネテス」を見たら自分が知っているデブリの知識をちょっと超えていたので異論を差し挟んだんじゃないかと思いたいものの、タイミングとしても唐突だったしぶん殴り方も強烈で、なおかつご本尊が出てきて煽ったりもしているのを見るとそうした陰謀論もあるいはなんて思わせられてちょっと困る。

 ただ現実問題としてCTOとして事業に関わっている立場から商売にとって支障となる状況に対して異論を言ったという状況が浮かび上がってしまった以上、個人としての純粋さを超えたところで事業者としての戦略めいたものがまとわりついて、その言から技術者としての純粋性を奪ってしまうことは避けられない。以後の発言もフラットな立場からの提言なり苦言ではなく事業者としてのクレームとしてとられなかねない状況を、今後も甘受するなら周りもそう見なすしかない。逆にふらっとな立場を取り戻すなら進退を考えなくてはならない。どうなるか。遠巻きに見ていきたい。

 キックオフ早々に1点を奪ってそのまま圧倒できるかと思ったAFCアジアカップのサッカー女子日本代表だったけれども追加点を奪えないまま後半に韓国に1点を奪われ同点で試合を終えてしまった。もったいないないなあとは思うし女子サッカーにおいて韓国は以前は日本になかなか及ばなかったこともあって、これを韓国の台頭と見るか日本の停滞と見るかでちょっと迷う。東京オリンピックでも以前ほどの圧倒的な強さを感じさせなくなっていただけになでしこジャパンがひとつの岐路にあることは事実。監督が替わって次のワールドカップを目指し動き始めている中で、どのような底上げがされるのか。そこが気になる。

 解説していた大野忍選手について別の解説の人が試合の中で周囲にサポートの選手がいるように呼びかけて、護らなければそれこそ怒り心頭なところも見せたといった話をしていて、そういった微温的なコミュニケーションではなく勝利のための叱咤を内部でもしていく必要があるんだろう。以前は同じ日テレベレーザなりその下のメニーナでいっしょにプレイをしてかつて知ったる関係でもあった面々だからこそ、競い合うコミュニケーションが可能だったんだろうけれど選手の出自が広がって、始めていっしょにプレイするような人もいる代表で勝利のために厳しいやりとりをすることが可能かどうか。そこはだから監督が引っ張るか選手の中にリーダーを育てるしかないんだろう。

 それは男子の日本代表も同様で、いよいよ瀬戸際からの中国戦にのぞんで2対0で勝利はしたものの、選手たちがどこかおとなしくボールが来るのを待っているようなところがあって勝利のための貪欲さに欠けたような雰囲気が感じられる。後半になって前線に大勢が出て言ったところで誰かが飛び込んだり引いたりかきまわすことはなく、点在する中をボールを回すだけのプレイがしばらく見られた。

 プレミアリーグとか見ていると速攻から動き回ってシュートとかって場面が散見される。あるいはラ・リーガならパス回しにも意図が感じられるけど日本代表にはまだそこまでの意識がない。これもリーダーシップの欠如から来るものなんだろうなあ。とはいえ前田大然選手とか久保武久選手とかが入ってからは何か活性化したようにもめいた。貪欲な選手たちによる熱が変えたと見るならその勢いを次のサウジアラビア戦でも見せて、オーストラリアを突き放すような勝利を是非に獲得して欲しい。それこそ本当の天王山。あるいは桶狭間。勝利はどっちだ。


【1月26日】 なんとなく見知っている人なら「ああ野田司令か」「まあ野田司令だし」で済む話だった気もしない野田篤司さんによる「プラネテス」に対する厳しめの言葉への大々的な反応。登場するキャラクターの言動にちょっと問題があるようで、宇宙開発の中でそうしたパーソナリティが登場してくることはないだろうはずなのに出てしまったことへの違和感なんかもあったのかもしれないけれど、エリートばかりの世界だった宇宙開発もお金によって誰でも参画できるようになった先、働き手を選ばない場所となったら性格とかで選別できない状況に至るかもしれない。そうした可能性を閉ざして現状から批判してしまったことへの違和感が、大きな反応を読んだのかもしれない。

 あとは技術的だったり理論的だったり部分の齟齬も感じたのかもしれないけれど、フィクションにおいてそうしたリアルさを追求するとドラマ性が薄れてしまう場合があって、そこはオミットして話を進めることは割とある。近く上映開始となる「地球外少年少女」の先行上映イベントで、磯光雄監督が登壇した時にも「宇宙なのでちゃんとやらないといけないと思った。これは間違っている、実際はこうではないと思われてしまう所もあって止めようとした。けれどもこちらの方が面白いからこちらで良いとした」と、リアルから外れた部分があっても気にせず進めたことを明かしてた。

 野田司令が割と関わっていた「宇宙兄弟」は宇宙飛行士の選別から宇宙行きまでをとことんリアルに描かなければ選別というドラマが成立しないこともあってそちらに寄せたけれど、「プラネテス」は宇宙で働く人が出始めた状況でどういうことが起こりえるかを描いている部分で求める方向性が違う。そこに必要なのは宇宙は過酷な場所だという意味でのリアルだけれど、そんな宇宙に必要な資質の部分でのリアルは求められていなかったという点で、現実離れが起こってしまったかもしれない。

 それを咎めてはドラマが成り立たず、ひいては訴えたいことも伝わらないならオミットするしかなかった。そうは理解はしていても、ご意見番としては厳密さを求めてしまったのかもしれない。セルジオ越後が「キャプテン翼」のシュートは現実離れして起こりえないと批判するようなものなかあ、いやセル爺なら「キャプテン翼」だってサッカーの普及になると思えば讃えるか。「プラネテス」が将来における宇宙時代を描いた点でSFとして認められ日本SF大賞を受賞した意味を、今一度考えてその価値を味わいたい。とか言いつつ実は見たことないんだ「プラネテス」。

 APAグループの元谷外志雄さんの思想は思想として独立して尊重されるものである一方、その思想によってすべてが覆われるべきではないといった認識に立つならば、演劇における「反権力」のスタンスを「呪縛」と断じてしまう元谷さんの考え方については、尊重しつつ絶対視はしたくない。にも関わらず、「演劇都市TOKYO演劇祭」なるイベントにおいて実行側に立つ新宿界隈の劇場主たちが、支援してくれた元谷さんを訪ねてそこで出た「演劇が反権力の呪縛に囚われることなく、真っ当な夢と希望溢れる場所となる未来へ」といった主張をそのままSNSに掲載し、喧伝してしまってはやはり思想に取り込まれたと言われても仕方がない。

 劇場というプラットフォームが思想を持つなとは言わないし、運動が思想に染まってはいけないとも言わない。というか運動は元々が思想のベクトルだから何かの考え方に沿って動いて当然だ。あとはそれを認められるか否かというところ。権力に対して挑むも靡くもそれぞれの演劇人たちが、それぞれのスタンスで演劇を作り展開していくことが必要だろう。そして、元谷さんの考え方を了として打ち出した以上、「演劇都市TOKYO演劇祭」という運動が、「反権力」を「呪縛」と捉えて廃するベクトルを持ったものだと認知され、その上で歓迎するか敬遠するかといった賛否が出て来るのはそれこそ真っ当な反応だろう。 僕としては権力の礼賛も権力の否定も共にあって良いスタンスで、その一方を呪縛として退けるのは歓迎したくないところ。なのでそうした思想に靡いた「演劇都市TOKYO演劇祭」と主催する3つの劇場については、しばらくはそういうものだという意識で眺めていくことにしよう。

 東京都で1万4000人もの感染者が発生した新型コロナウイルス感染症。全国では7万人が感染して重症者も増え続けている状況で政府は何かする訳でもなく蔓延防止を呼びかけるくらいというのはワクチン接種が行き渡って以前ほど重症化が広がっていないという認識に立っているからなんだろうか。でも以前と比べて格段に多い感染者数だと比率は低くても絶対数でもって重症者が増えるのは当然の流れ。そこに向けた対応が見えていないところにちょっとばかり不安を感じないではいられない。感染力の強さもあるし今は亜大丈夫でも明日はどうなるか。出歩かないから確立は低くてもこれも絶対数の前には意味を成さないからなあ。用心用心。


【1月25日】 日本映画製作者連盟が2021年の映画興行成績とまとめたみたいで、全体の数字は前の年から13%伸びたそうだけれどそれは前の年が非常事態宣言とかで映画館に客が来なかった時期があったから。そしてシェアでは邦画が全体の8割近くに及んで洋画は2割と大きく差を付けられた。見渡せば洋画で大ヒットした作品なんてほとんどなく、最高が「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」でそれすらも36億円というから実に寂しい。10億円以上にしても5本しかないそうで「DUNE/デューン 砂の惑星」なんか欠片も入らなかったみたい。

 配給作品を軒並み配信へと持っていったディズニーが少しは劇場に戻ってきたみたいだけれど、春先に公開予定だった「私ときどきレッサーパンダ」が配信オンリーになるとかで、今までいっぱい予告編をかけて盛り上げてきた劇場が文句を言っているみたいだけれども公開されても果たしてどれだけお客さんが来たかと思うと、洋画作品全体にこれといった爆発力が足りない気がしないでもない。「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」が好調だから2022年はこれがトップになるかそれとも別の何かが控えているか。それによって2割から増えるかさらに沈むかが決まってきそう。

 邦画だと「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が約103億円で堂々のトップとはなったものの、前の年の「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が1作で400億円を稼ぎ出したのと比べると大きく下がってしまった。名探偵コナンのシリーズはやっぱり強くて「名探偵コナン 緋色の弾丸」が76億円と過去作に並ぶ成績を見せて次への期待を誘う。細田守監督の「竜とそばかすの姫」は66億円でキャリア最高を叩き出してブランドの回復が進んだからこちらも次に何を繰り出してくるかが楽しみで仕方が無い。

 2022年は新海誠監督の新作も来るし「シン・ウルトラマン」とか話題作も抱負だけれどそこにかかってくるのがやっぱりコロナの拡大基調。今までと違ってテレビ番組の人気タレントやアナウンサーが続々と発症しては番組を休んだり番組がなくなったりしてる。あの松本人志さんも感染者ではないももの濃厚接触者になるほど業界内は猖獗を極めている感じ。狭いスタジオに大勢がこもって仕事をしていればそうなるけれど、以前はそれでも発生を抑えていたからどこか緩みが出ているのかもしれない。今は重症者が少なくなっているけれど、これがまた変じたらどうなるか。2月は注意が必要だなあ。

 船橋の駅から数分のところにしばらく前にできた「あせる王様」という食パンの店はあちらこちらで奇妙な名前のパン屋をプロデュースしている人の新しい店でオープン当初から割と賑わっていて、やがて同じ駅から近い場所に2店舗目が出来てもどちらも閉まることなく続いていた上に、千葉県内のあちらこちらに店が出来ていたようで繁盛しているのかと思ったら、全国的に同じような奇妙な名前のパン屋で閉店が相次いでいるようで、「あせる王様」も検見川浜の店が開店から1ヶ月で閉店になったほか半年とか数ヶ月で閉まる店が続出していたらしい。

 じゃあもう終わりかというと五井とかいろいろな場所に出ている店は健在みたいで船橋の方も閉まる気配なないところを見るとそれなりに商圏があれば成立するといったところ。住宅街とか人のそれほどいない場所に出したのがそもそも間違いでそれはプロデューサーの責任というよりフランチャイズのマーケティングミスって奴なんだろう。とはいえ一度下がり目のイメージがつくとそこで買うのがカッコ悪いんじゃないかといった印象を与えて全体がシュリンクしていくことは割とある。船橋は果たしてどうなるか。閉まる前に1度くらいは買っておくかなあ。でも1斤は食べられないよ。

 最近はパンも朝にバターロールを2個食べるくらいで昼はおにぎりが2個で炭水化物はそれくらいに抑えてちょっと減量中。正月に実家に帰って姿見で見た自分の横幅が大いに気になって痩せねばと思ったのだった。とりあえず夜はサラダを主食におかずを3品ばかり食べる感じでそれも魚中心にして夜8時過ぎはあまり食べないようにしたところ、キツい感じがしたピーコートの前がちょっとユルくなったような感じがする。お腹も垂れ下がっていたのが引き締まった感じ。まあ気のせいだけれどあと1ヶ月、同じ食事を続ければ目に見えて減ってくると信じたい。体力もとりあえず持っているから炭水化物不足によるエネルギー切れはまだ起こってない。頑張って2年前に買ったスーツが入るくらいには痩せよう。


【1月24日】 王将戦の第2局で挑戦者の藤井聡太四冠が渡辺明王将を下して2連勝。あと2勝すれば史上最年少の五冠達成となって羽生善治九段が過去に打ち立てた数々の記録のうちの1つがまたしても破られることになる。さすがに当時の七冠全制覇と同じ偉業を成し遂げるのは群雄割拠の中で難しいとは思うけれど、そんな群雄割拠の中ですら四冠を持っている訳で、一方で渡辺明三冠も3つと2人で8つあるタイトルの7つを占めている訳だから、抜きんでて強い人はやっぱり強いのが将棋ってものなのかもしれない。

 そんな2人はもはや将棋星人の住人で人間とは違うんだろうなあと三段あたりの棋士が思って不思議はないのかも。「りゅうおうのおしごと!」で若くして竜王位を獲得した九頭竜八一を指して空銀子が言う言葉で、銀子だって昔は八一と同じくらい強かったし、女性の中では抜きんでて将棋が強いんだけれどそれでもようやく三段リーグを突破し新四段となったばかり。その段階の棋力からすれば竜王なんて雲の上も上。それを自覚しないで飄々と買っていく八一にだから銀子も苛立つんだろう。そして里見香奈女流五冠も。

 5つのタイトルを持っているんだから将棋が抜きんでて強いことは誰だって分かるけれど、だからといって男性たちも混じった将棋指しの中で抜きんでて強くないことは、三段リーグを勝ち抜けず四段のプロ棋士に届かなかったことからも分かる。次点を1度とってもう1回とればプロ棋士に上がれる訳だから年齢制限めいっぱい頑張って欲しいという気もしたけれど、ナンバーのインタビューでその歳で三段リーグで指している自分が想像できなかったといったコメントから、やっぱりどこかに限界というのを観てしまったのかもしれない。頑張れというのは周りの勝手な思い。それを受ける必要は無く、女流という道があってそこで頑張ることが許されるなら、そちらを行くのも生き方ってことだろう。後はきっと誰かが継ぐ。藍田苺とか。

 興業通信の週末映画ランキングで「劇場版 呪術廻戦 0」が1位へ返り咲き。前週1位の「コンフィデンスマンJP 英雄編」は2位となってそして「スパイダーマン:ノー・ウィエ・ホーム」は3位と並み居る強敵を押しのけ5週目にしてなお1位というのはやはりそうとうな強さを感じないでは居られない。ちょうど第2弾の特典配布も始まって乙骨祐太の純愛ボードが配布されるとあって駆けつけた人も多そう。この勢いが持続すれば23日時点で93億円の興行収入もすぐに100億円を突破するだろう。

後押しするようにドルビーシネマと4DX&MX4Dの上映が決まってくっきり映像でもって迫力のサウンドで観る禪院真希とか乙骨祐太の戦いぶりは相当に楽しそうだし、4Dだと小学校から真希を背負って出ようとする乙骨祐太の背中の感触をシートが再現してくれるんじゃないかって期待も……それはさすがにないか。むしろ里香が呪いを引き裂いて吹き出す血が再現されて辺り一面血まみれになるとか。それはそれで『呪術廻戦』っぽいかなあ。特典も第4弾まであるみたいなんでそれで上積みして100億からさらに上を目指しても、さすがに400億円となると厳しいか。やはりバケモノだよ「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編』は。

 日本SF作家クラブの第20代会長を務める池澤春菜さんへのインタビューが掲載。4月に代官山蔦屋書店で開かれる日本SF大賞の贈賞式なんかも含むようなイベント「SFカーニバル」の情報なんかも入っていて、そうしたイベントを仕掛けるわSFプロトタイピングでいろいろな企業と話をつけるわといった活躍ぶりを改めて聞いて凄い人が会長をやってくれているんだといった思いを改めて抱く。他にも自分で翻訳はするし新しく創作なんかにも挑むというからもう才能はマルチ。なおかつ本業は声優なんだからこれはもう父親なんて越えているんじゃなかろうか、作家で翻訳家だけれどそれだけな訳だし。福永武彦から続く文人家系で1番の才能ともはや言っていいのかも。残る人気で何を見せてくれるかな。


【1月23日】 3時間少しだけ寝てから仕事をする予定が12時間くらい寝てしまったようで目覚めたら朝になっていたのでこれは拙いと支度をして図書館にこもってしこしこと仕事。映画とか見に行く予定もなかったとはいえ日曜日くらいはゆっくりする予定が飛んだけれども平日ゆっくりしているから構わないのかもしれない。フリーの特権であり無職の職権といったところ。それで失うのは収入というから実にリアリスティックだ。

 3時間ほど仕事をしてからどこかの喫茶店で続きをしようと思いつつ、昼ご飯でもと思いそういえばここらへんにあったはずだと歩いて行った船橋名物ソースラーメンの店が開いていたので入ってソースラーメンハムカツ乗せを戴く。30年以上船橋に住んでいながら今まで1度も食べてなかったソースラーメンだけれどなるほど薄めたソース焼きそばのスープにしっかりと腰のあるラーメンが入って食べ応えも十分なら味も上場。ソースのスープが染みたハムカツも美味しくてこれはなるほど名物になるはずだと納得する。

 船橋はこれでラーメン激戦区でしょうゆラーメンから塩ラーメンから二郎系からネオラーメンまで様々な店が店舗を構えて食べ歩きに備えている。昔はそういえばラーメンストリートなんてのもあったくらいでそこに店を構えていた青葉も東武百貨店の中に確か残ってすぐにでも食べられる距離にある。そうなると案外に行かないもので評判のネオラーメンも最近ようやく食べたばかり。なるほどの味だけれども1杯が1000円くらいとなるとおいそれとはいけないのだった。その点でソースラーメンはハムカツをいれなければ780円で野菜たっぷりだから健康には良さそう。いつ開いているかが問題だけれど図書館からも近いし、勉強をしたら立ち寄ることにしようかな。

 いつもなら電源を求めてドトールかタリーズに行ってそれでダメならフレッシュネスバーガーに回るところが昔から浸かっていたベローチェに電源が確保されたことが分かってそこで2時間ほど続きをしこしこ。ついでにネットなんかをあさって慶応の内部進学組が集まって成人式のパーティーを開いては新型コロナウイルス感染者を出していた問題で、TBSなんかの報道に慶応学生新聞が間違いがあったとツッコミを入れていた。それが結局は傷口を拡げるものでちょっと笑う。

 1時間の予定が2時間もといった報道に対して最初から2時間だったというのはこのご時世にそんな長時間のパーティを予定していたってことだし、飲食の提供はなかったというのも間違いで飲食の提供はあったというのもやっぱり同様にこのご時世にしては迂闊なパーティ。2次会で2万5000円もの料金をとっていたのも間違いだけれど一般で8000円とVIPは1万5000円というのは成人のパーティとして果たして妥当かそれとも高過ぎか。真実を求めて逆にヤバさをさらしてしまっても真実を追究する学生新聞の心意気にちょっと震えた。内部進学組のやんちゃぶりに良い気分じゃなかったのかな。ジャーナリストは清貧という名の貧乏がつきものだし。

 山形県のローカル新聞「米澤新聞」が10月から発行を止めていたけれどもいよいよ破産を申し立てて廃刊が決定した。山形県には山形新聞という県紙があるけれども戦時中の新聞統制の中で米澤新聞とあと荘内新報というローカル紙が統合され、そして戦後にそれぞれの題字を持った新聞が復刊して今まで続いてきた。それだけでも戦後75年に及ぶ訳わけだれど、紙離れも激しい中で過疎化もあるのか地方で新聞を求める動きは小さくなって、そして影響が出始めているということだろう。

 ローカル紙にはそれなりに地域の情報を密に載せては冠婚葬祭だとか人事だとか夏祭りだとか町内会といったものの広報に役立っていた時代もあったけれど、ネットでそうした情報が出回るのなら新聞の乗せてもらう必要もなく、お付き合いで広告を出さなくて済むならそれが収入源だった新聞も購読料だけでは成り立たなくなっていたのだろう。荘内新報は果たしてどうなるかが目下の関心だけれど、県紙だって決して安泰ではないからそこは大手の新聞の参加に入って発行から広告から記事から世話になるような時代が来るのかなあ。読売と朝日がそうしたネットワークをになって毎日は東京と大阪のローカル紙になる。産経は……それは聞かない約束で。


【1月22日】 特典が新しくなったというのと、それが500万分ではなく50万部と10分の1で手に入らない可能性が高いのがあって朝からイオンシネマ市川妙典へと出向いて「劇場版 呪術廻戦争 0」を見る。5度目だっけ6度目だっけ。途中の2回をなぜか狗巻棘と乙骨祐太が組んで戦うシーンで寝てしまう失態があって、それを4度目で取り返したから5度目かもしれない。幸いにしてグラウンドで祐太と禪院真希が戦うシーンの下からの煽りや開脚での攻撃よけは見られたけれど、やっぱりその後の展開で寝てしまったのは朝早かったからと、昨日の「安彦良和/機動戦士ガンダムTHE ORIGIN展」や「さよなら銀河鉄道999―アンドロメダ終着駅―」で脳を疲れ果てさせていたからかもしれない。映画イベントは1日2本が限界かなあ。歳を取った。

 戻って来た船橋駅にある菓子店のカウンターに展覧会では見慣れた「Mr.」の絵があって、これは何かと近づいたらバレンタインのコラボレーションでガトーフェスタ ハラダが「ガトーラスク」のパッケージとかで「グーテ・デ・ロワ バレンタインセレクション Mr.コラボデザイン缶」というのを作ったらしい。どちらかといえば異端のオタクアートを突き詰めたMr.がファッショナブルな洋菓子の世界に受け容れられるとはこれが時代か。20年以上活動してきた意味ってのを目の当たりにした感じ。2種類あるんで買って積んでおけば20年後にアート作品として値がつり上がるかな。それはないか村上隆さんのアート食玩だって1個100万円にはなってないし。なって欲しいな。

 地上波のテレビをほとんど見なくなってから、お笑いタレントにとんと疎くなって新しい漫才だとかコントの人たちを覚えられないまま、ネットで流れてくるM1グランプリのニュースなんかを見て、ようやく存在を知ってどんなお笑いをしているんだろうと興味を持ってネットでの配信なんかを見てなるほどこれは受けるはずとか、衝撃的扱いされるはずだと理解する日々。2021年のM1を制した錦鯉なんかはバカをやってる渡辺隆の叫びをCMとかでそういえば見たような記憶があって、それに冷静に突っ込んでいく長谷川雅紀の辺りの強さでバランスが取れているなあと思わせた。

 そんな2021年のM1グランプリで決勝に出ながら10位に沈んだランジャタイがいろいろと話題になっていらしいけれど、とんと見る機会がないまま21日放送の「全力!脱力タイムズ」にピンで国崎和也が登場。この番組だけはネットで流れてきたコーナーがところどころ面白かったこともあって「Tver」で追っかけることにしていて、この日はアンタッチャブルの柴田が相変わらず突飛な相方をあてがわれてはアドリブで漫才を成立させるという企画に全力で取り組んでいた。

 ザキヤマとのコンビが長く見られなかったのを何度か違う相方に扮装させて挑ませた挙げ句、本物をぶつけて“復活”させた番組だから、どんな鉄砲玉が飛び出すかでいつもワクワクさせてくれる柴田回。今回はツッコミの反射神経が凄い柴田であっても果たして太刀打ちできるかっていう相方を次から次へとぶつけた3人目が見せた芸が、ひたすら弓矢をピューと発射したら面白くなくなくないと言い続けるもので、柴田が何をいっても気にせずやり続ける芸は果たして漫才なのかと思ったし、誰もがそう思いそう。

 これは誰だと気になって調べてこれがランジャタイの国崎和也だと分かって、本当の相方の伊藤幸司が何をどう突っ込んでいるかと調べたら特につっこまずボヤきに徹していた。他のネタだともうちょっとやりとりが成立してい中で突拍子のなさが振り切れた芸を持ってきて柴田にぶつけたわけで、これはさすがにどうしようもなかったけれども最後はちゃんとアクリル板を物理的に突っ込んで、その場をちゃんと収めていた。1人だけ真面目な台本を手渡されては目隠し状態で突っ走ることを、柴田に限らず誰もがちゃんとやってのけるところがベテランの芸人だし、それを番組として成立させているフジテレビも底力はちゃんとあるけど局としてはなぜか沈滞ムード。そこを持ち上げるのは“顔”にされがちな朝とか昼のワイドショーの改変ってことになるのかな。

 1万1227人とはまた凄い数だけれども同時に重症者が12人にとどまっているのは感染力が強くても発症率とか重症化率は低いからなのか。新型コロナウィルス感染症の東京における状況は猖獗を極めているようにも見えてインフルエンザほどの流行感もないという不思議な状況。ワクチンを打っていても熱は出るし咳もでるインフルエンザとは違ってあまり症状が出にくいからなのかもしれないけれど、これが重症化するととたに全身が痛み咳で寝られなくなってそして意識も遠のく新型コロナウイルスだけに油断は出来ない。とはいえ街には人があふれ映画館も人でいっぱい。こうやって騒ぎつつ飲み込んで終息していくんだろうか、それとももう1山でっかいのが来て人類を絶滅の縁へと追い込むんだろうか。未来が見えない。


【1月21日】 ここは地の果て流されて東所沢へと行って「安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN展」のプレス向け内覧会を取材する。午前10時半からのスタートなので家をいったい何時に出たらいいのか分からずとりあえず8時半頃に船橋駅から電車に乗ったらだいたい9時50分に到着した。1時間20分なら例えば通勤で通えない距離ではないけれど、東所沢駅からところざわさくらタウンへと歩く10分ほどの風当たりが冷たくて、その中を毎日行ったり来たりするのはなかなか根性を試されそう。実際に試された人たちがあのオフィスに集っているんだろうなあ。大変だ。

 さて展覧会の方はといえばアニメーションというより漫画の「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」の原稿やイラストレーションの原画がずらりと並んでなかなかに壮観。その数500点以上というから1枚1分で観ても500分はかかる。8時間20分。さすがにそんなにはかけないけれども1枚1枚をじっくり観ていれば軽く2時間はかかってしまうだろう。何しろどの絵も安彦さんの手が入った生原稿。引かれた線の1本1本があの天才的なアニメーターであり神がかった漫画家としての技術によってそこに描かれている訳で、観ていればもう目が吸い込まれそうになる。

 驚くのはそれらがすべて筆で描かれていること。面相筆ではなくもうちょっと固めの描画表の筆を使っているそうで、1回の原稿のだいたい20枚くらいで2本を使い倒すとか。アニメーターだけに絵は鉛筆で描いていたから漫画を描くようになった時、ペンだと固くて使えなくってどうしたらと松本零士さんに尋ねたら筆を教えてもらってそれ以来、ずっと筆だという。でも「アリオン」のようなファンタジーとは違って「ガンダム」だとモビルスーツもメカもスペースコロニーも筆で描かなくちゃいけない。そうしたメカはメカでまっすぐ引かれた線によって描かれているからメカっぽく見えつつ、それでいてどこか人間っぽさがあるのは筆を手で持って描いているからなのかもしれれないなあ。

 見どころはあとカラーでグラデーションだったり塗り分けだったりはコンピュータでは難しそう。それを手作業で塗ってしまうのだからこれはビックリ。アニメーターは絵は描くけれど色は塗らないにも関わらず、漫画家としてそれをやってしまう訳でやっぱり根は画家であり漫画家だったのかもしれない。とはいえアニメーションにも戻って来て「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」を作ったわけで、今も「ククルス・ドアンの島」を作ってる。そんなアニメでの活躍を楽しみにしつつ今一度、漫画を描いてくれることにも期待しよう。安彦さんが描くセイラさんはやっぱりとっても愛らしいから。

 東所沢から東京へと向かって丸の内ピカデリーでドルビーシネマ版「さよなら銀河鉄道999―アンドロメダ終着駅―」を観る。実は始めて。前に劇場版のブルーレイボックスが出た時に、松本零士監督にもインタビューしたけれどもボックスは買いながら映画の方は観ていなかったのだった。なのでどうなるかまるで分からず追った展開はメタルメナが不憫で泣いた。惑星アンドロメダで反省をして身を犠牲にして鉄郎を助けてそしてちゃんと生き残って999にたどり着いたにも関わらず、機械の体ではそこにいちゃいけないってことになって虚空へと身を投じる。

 頑張って999まで戻ってさあここから改めて自分の生を取り戻すんだって可能性が浮かんだのにそれを断ってしまう残酷な展開が、「銀河鉄道999」のクレアともども個人的には腹立たしかった。女の子1人くらい救えなくてなにが革命だ。命を救ってくれた恩人がメーテルを批判したくらいで殴りかかる直情径行ぶりも含めてちょっと鉄郎というキャラクターの情動に不安定感が漂っていた。それで良いってことだったんだろうか封切り当時。ちょっと気になる。メーテルの美しさは「銀河鉄道999」以上で正面から見ても斜めから見ても崩れず端正さを保っていた。どこかに行ってしまたけれどまた帰ってきて欲しいもの。この時代にリブートなり続編とか作られないものかなあ。声はそうだな緒方恵美さんに井上喜久子さんあたり? 動き出す可能性を信じて待とう。


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