縮刷版2021年9月下旬号


【9月30日】 2021年度もこれで半分が終わってしまう9月最終日。カップの天ぷらソバを食べて空腹を満たしつつオンラインで会議を行ってから「シン・仮面ライダー対庵野秀明展合同記者会見」をネットで観る。取材とか申し込んだら紛れ込めたかどうか分からないけれど、いつも書いてる媒体が本業の東京ゲームショウ2021で忙しくって、多くが集まり報じるイベントを書いてもあまり意味がないからその編は遠慮。そして明日10月1日に普通に展示を見に行くことにしているけれど、台風が近づいていて果たして行けるのかどうなのか。タイフーンの中でタイフーンベルトを着けた庵野秀明監督のパネルを観るというのもなかなかにオツかもしれないなあ。

 さて会見。池松壮亮さんが本郷猛役、そして緑川ルリ子役として浜辺美波さんが決定して会見に登場したけどなぜか池松さんが松葉杖をついていた。池松さんと特撮作品といてばとてつもなく昔に東宝の砧撮影所で行われた「鉄人28号」の製作発表会に行って、正太郎くんの役を演じる少年として観た記憶がある。当時は神木隆之介さんが子役として全盛だっただけにどうしてと思ったけれど、今となっては役者として広く国内外で大活躍している池松さんを、この時点から見いだしていたってことになるから制作陣もなかなかの眼力だったと言えそう。

 そんな2人に庵野秀明監督も交えてまずは段上のサイクロン号のベールを外して一般にお披露目、ってすでに短いプロモーション映像が流れてそこで突っ走っていたからデザイン的には再確認。やっぱり顔が4灯でエヴァの2号機を思わせる。それもそのはずで庵野監督によればデザインはエヴァと同じ山下いくとさん。そしてほかに出渕裕さんと前田真宏さんがデザインに参加していてライダーだとか怪人のデザインを手がけている。歴戦の勇者たちが集っているだけにそちらにも大いに期待が湧いてきた。

 さて会見というとことで、まずは池松さん挨拶。「本郷猛を演じる池松壮亮です。こんな姿(松葉杖)なのは、この映画これから撮影なんですが、アクション練習を詰めていたところ、おととい靱帯の部分断裂? を起こしてしまって、1週間脚をつくなということでした。主人公が改造手術にちょっとだけ失敗したけれど、撮影には支障がないと書いてください」を話してた。浜辺さん、庵野監督が「よろしくお願いします」と挨拶をして質疑。まずは池松さんに出演にあたって何を思ったかが尋ねられた。

 「驚きました。それよりも何よりも庵野さんが仮面ライダーを準備しているということを1年くらい前に聞いてワクワクしました。軽々しく引き受けられるものではないですが、、素晴らしい挑戦に自分も参加して力を出せたら良いですね」。そして浜辺さん。「小さい頃から仮面ライダダーという存在が大好きで関わること、庵野さんが関わることでどんな物語になるか、それにヒロインとして出演するのが驚きです」と話してくれた。最後に庵野さん。「池松くんはオーディションに来てくれて良かった。50年前の仮面ライダーとは池松くんがやるなら違う仮面ライダーになる」と行っていた。

 「初代の仮面ライダーは藤岡弘、さんの存在が大きいですから。なので違うイメージを作る時に池松君は大きい」と安野さん。豪傑で侍でワイルドな藤岡さんとは違った本郷猛になりそう。そして浜辺さんは「会社にTOHOのカレンダーが貼ってあって、その月が浜辺さんなので決めました。TOHOのカレンダーも役にたつ、という案配です」。どこまでが本当かは分からないけれど、東映作品に東宝の役者を使うのだから相応の理由がちゃんとあったんだろう。「賭けグルイ」も後で観たそうだからその演技のキレっぷりはちゃんと理解した上で、演技をさせそう。

 そんな庵野監督の言葉を受けて、池松さんは「オーディションのときに外国にいて、ほぼ間に合いそうになかったが、帰ってきてZoomでお会いして、それがオーディションだった。言われたことは特になかった。互いの感触については合う合わないなので分かりません。Zoomって素晴らしいと初めて思いました」と返答。本当にオンラインだけで決めたとは思えないので、ある程度は指命の決め打ちだったのかもしれないなあ。浜辺さんは「カレンダーが8月で良かった」とリップサービスを繰り出した。
 「庵野監督とはドキュメンタリーを見ていたが想像以上に柔らかくて声色も温かい」という印象だったと浜辺さん。すかさず庵野監督が「ドキュメンタリーはそういうところが切られている」と庵野監督が突っ込むと、受けて「ルリ子を演じていく上でヒントを与えて戴けると安心感がある」と相思相愛ぶりを感じさせてくれた。デザインの話になって「出渕裕さん、エヴァンゲリオンでやっていた山下いくと、あとうちの会社にいる前田真宏が担当しました。彼ら3人で手分けしてやっています。サイクロン号はほとんど山下くんがやっています」と紹介した。

 ライダーともなると「前の50年前の作品イメージが離れないが、そのラインを踏襲しつつ現代風にならないかというイメージを形にしてくれた」とデザインチームを称賛。「ライダーや怪人は出渕さんと前田がやっているけれど、やっぱり50年前に戻るんだなあ。特撮展で展示してあるのを見れば分かります」とのこと。映像に登場したライダーとか仮面が本当に50年前と同じようなデザイン感を漂わせていて、観て本当に安心できるのだ

 だからといって、庵野監督がノスタルジーから自分の観たかったものを作ったかというと「ノスタルジーも捨てたくないが、ノスタルジーだけでなく新しいこともやる。仮面ライダーを見ていた人のためであり、当時はまだ生まれていなかった青年や、今の子どもが見ても面白いものをおを目指す。両者の間ではなく融合したものを作れないかを模索中。頑張ります」と庵野監督は話してた。なので今朝の朝刊で、庵野監督が仮面ライダーのコスプレをした広告を載せて自分の夢がかなった的なコピーを乗せたことに「今朝の新聞で東映さんがやらかした」といったニュアンスの言葉を出してきた。

 「あれだと僕が50年前の仮面ライダーの独占をしようとしている、僕が作りたいと考えた仮面ライダーを作るような印象を与えてしまう。僕が広告を見せられてそう思ってしまった。そうではないんです。僕も見たいが、僕が見たいだけのものではなくて、観客の皆さんが面白いと思ってくれるもの、これは良いと思ってもらえるものを作る」と訴えていた。

 「僕の夢とか書いてあったけど、同じ世代の人が見て良いなと思ってもらえるものを作るけれど、2号が好きだった世代とか、平成から見た人、令和から見た人、いろいろな仮面ライダーが好きな人がいっぱいいる。そいういう人たちに可能な限り喜んでもららえるものにします」と庵野監督。とはいえ自分がやる以上はといった思いもあるようで、「ニチアサとは違うラインのライダーを作ってあげる。東映へのサービスです」と言って、ここから今の大喜利化しているものとは違った、源流原点に迫るライダーのラインを甦らせたい意識を見せてくれた。

 池松さんもそんな庵野監督に答えるように「いろいろな解釈でヒーロー化しすぎたものを人間的なものに戻せたらと思う」と言っていた。「これから撮影で良い作品になるよう注目して戴けるよう頑張ります。この国の夢を引き継ぐ覚悟で、50年ぶりに新しいものを生み出して行けたらと思います」「これだけグローバルな時代において日本が誇るライダーです。どのようにキャラクターを作っていくか考えていますが、引き継ぐべき日本人の精神性や美徳をどう反映していけるかを考えています」とも。割と真面目に愚直に自分のライダーを考えているようで、それが庵野監督の思いと噛み合った時にどんなヒーローが誕生するか。2022年3月の公開が今から楽しみ。それはそれとして「シン・ウルトラマン」はいつなんだ。やはり誰も聞かなかったなあ。当たり前か。


【9月29日】 まだ春だった頃に行った映画「モータルコンバット」でハサシハンゾウ/スコーピオン役を務めた真田広之さんと、いつも目が光っているライデン役の浅野忠信さんへの、ビデオパッケージやらデジタルレンタルやらの提供開始に合わせて配信されるオフィシャルインタビューが世の中に出回り始めたみたい。それぞれに10分ちょっとくらいの時間を頂いて聞いて書き送った内容が、ほぼほぼ掲載されているようでクライアントにもインタビューイにも邪魔だと思われなかったことを須直に喜ぶ。

 掲載媒体もスクリーンとかオリコンといったエンターテインメント媒体から4gamersのようなゲーム媒体まで幅広く掲載されているようで、元ネタがゲームでそしてハリウッドで映画化でなおかつ真田広之さん浅野忠信さんという世界で大活躍している俳優さんへのインタビューには需要があるって改めて理解する。何を話したかはそれぞれの掲載文を読んで頂くとしてやっぱり気になるのは続編があるかどうか。ライデン役の浅野さんは格闘だって辞さないと話していたから期待したい。あとはやっぱりスコーピオン役の真田広之さんかなあ。カッコ良かったものなあ。そんな2人が登場している「MINAMATA ミナマタ」も早く見に行かないと。

 とか言いつつ先にやっぱりアニメーション映画ということで「整形水」をシネプレックス幕張で。韓国のアニメーションでルック的に手描きかと思ったら3DCGでセルルックに仕立てたものだった。それでいて動きは3DCGっぽくってモーションピクチャーほど滑らかではなかったのは生々しさを抑えようとしたのかな。中身的にはグロテスクなシーンも結構あったから、これでモーションピクチャーを使っていると人体が感じられて痛みと苦しみが伝わってきてしまったかもしれなかった。いやもしかしたら使っているかもしれないけれど、超リアルではなかったかなあ。

 内容は日本でもそうだけれど韓国ではさらにテーマとしてずきっとくる整形の問題。美少女ではなかったからバレエがうまくてもグランプリはとれなかった少女が成長してメイクになったけれども太っていてあまり自分に厳しくない。それでいて嫉み嫉みの意識が強くて芸能事務所のタレントで新進の美女が罵倒してくるのを受け流せずににらみ返してはネットで誹謗を繰り返す。そんな主人公が自分の醜さに絶望気味に引きこもっていたところに届いた整形水なる化粧品の案内。お試しとばかりに使うと何と顔から肉がこそげおちて、顔立ちもまるで違ったものへと変えることができた。

 とはいえ馴れず少女漫画のような顔立ちになってしまたものだから、提供元にコンタクトをとってどうにかしてくれと頼んだら2億ウォン、日本円だと2000万円くらい持って来たら顔も全身も治してあげると言われて言うことを聞いて生まれ変わったところで、悔い改めて自律していければ良かったのに調子にのって食べて太ってそれを運動ではなく整形水でそぎ落とそうとしたものだから失敗してしまった。自業自得。なのにそれを追って他人のせいにした挙げ句に人道にもとる振る舞いで新しい自分を取り戻す。そんな女性が成功したらやっぱり拙いところを物語は因果応報的な帰結へと持っていく。可哀想だけれど仕方が無いよ。

 救いのなさが響くけれども現状、美人ばかりがもてはやされて整形だってカジュアルに行われていたりする韓国で、美人でないことを誇ってそれを尊ぶ風潮が醸成されるかというとなかなか難しそう。そこを乗りこえられば音楽性でもダンスでも、そしてアニメーションでも随分と突っ走っている韓国が世界でも屈指のエンターテインメント大国に発展していく可能性だってあるんだけれど、難しいかなあ向こう何年かの間では。そういう意味で風潮に釘を刺して背中を押すような内容の「整形水」が注目を集めるのも当然か。日本でもルッキズムが先を行く状況は代わらないから同じように注目されて欲しいもの。

 自由民主党の総裁選が行われて岸田文雄前政調会長が当選して次の総裁となりそして総理大臣になることが確定した。最初の投票でも党員票こそ河野太郎ワクチン担当相に上回られたものの国会議員票と合わせて全体のトップとなってそこで1位となって存在感を示す予定だった河野さんにパンチを繰り出し、そして決選投票でも党員票が各都道府県で1票と計算されるなかで38票をとった河野さんを360票ある国会議員票の6割をとることで遥かに上回って大差での当選となった。その政策は穏健で穏便なだけに総理大臣には相応しいんだけれど逆にいうなら新しい感じがしないし党内にあって存在感を保ち続けている前の総理とか今の副総理あたりの言うなりになりそう。何も変わらない感じが続いてこれからの10年も低成長が続けば日本は確実に沈むんだけれど、その始まりとなるのか違うのか。見守りたい。


【9月28日】 テレビが見られないのでワイドショーなんかでどれくらいの割合で小室圭さんのこととか、自民党の総裁選のことなんかが取りあげられているのか分からないけれど、一般紙とかスポーツ紙ですらあまり触れてなさそうな小室さんについて大きく取りあげて、今はまったくの私人であるにも関わらず白昼つきまとっては許可無く撮影したものを放送しては、肖像権を大きく損ねていたりするんだろう。答えないからといって答える義務なんてものはなく、長髪だからといってそれを悪し様に言うのはルッキズムでありハラスメント。それを訴訟大国のアメリカで法律事務所のメンバーとして仕事をして来た人間に対して、平気でしでかす面々だからこそ日本のメディアは今、世間の意識から乖離してどんどんと信頼を失っているのだろう。

 自民党の総裁選については、それが実質的に総理大臣を決める選挙だからということで重要性はあるけれど、ワイドショーを通して報じたところで一般の人にはまったくもって投票権を持たず無関係の選挙であって、それが喧伝されることによって自民党の政策ばかりがテレビを通じて紹介されるのは、遠からず衆議院議員選挙を控えている状況にあってちょっと偏りが過ぎる気がしないでもない。公職選挙法にも放送法にも引っかかってこないという意識はあるのかもしれないけれど、そこを自重するなり報じ方に工夫をすることすらぜずに面白そうな出来事だと飛びついては面白おかしく報じっ放しを行った挙げ句、とんでもない政権が出来て圧迫を受けたって知らないぞ。そういう候補が並んでいるんだから。

 多宇部貞人さんの「イルダーナフ ―End of Cycle―」(トウー・ファイブ)をようやく読む。エルフのパイロットたちが戦闘機を駆って空戦を繰り広げているけれど、撃墜を厭わないのは死んでもすぐさま意識をバックアップされたクローン体が目覚めて活動を始めるから。森博嗣さんの「スカイ・クロラ」にちょっぴり重なるところはあるものの、意識は直結していないから目覚めて過去を振り返ったりはしないし、仲間と思い出話を語らったりしない。「イルダーナフ」の方は車で移動している時にはねたエルフの娼婦が甦っては何で轢いたと怒鳴り込んでくるからちょっぴりコミカル。個々の死は死として永遠なんだけれど、目覚めた側が死んで生き返ったことを自覚していて、それが何十何百の世代積み重なってきていると、死に対する意識も希薄になってしまうのかもしれない。

 そんな世界で戦っていたルウという戦闘機乗りだったけれど、轢かれたといって飛び込んで来たブリジットという名の少女と出会ったことをきっかけに、従来からうすうすと持っていた世界への疑問が膨れあがってはそれを咎められ、ブリジットともども意識のバックアップから外されてしまう。それからの経験は彼ら彼女たち個人のものであって繋がらない。そのことが死を意識させて恐怖をもたらす構造が面白い。繋がるからこそ平気な死を受けいれられなくなるものなのか。だから逃げていく過程でルウはそこまでの意識をアンバールという名の戦闘機に移し、甦ってブリジットともども逃避行を続けた果てに、その世界の秘密を知る。永遠が作られた理由と、そして外にある真実。繰り返される生の外側にある本当の生を知り、死を知って改めて生きるということに気付かされる物語だ。

 「実写映画を意識しながら表現を高めてきたのが日本のアニメーションです。重なっている部分と重なっていない部分がアニメ映画と実写映画にはあるのです。映画祭においてジャパニーズ・アニメーション部門として独立した枠が設けられているのは、そんな実写とアニメーションの不即不離の良い関係を表しているのだと言えます。ジャパニーズ・アニメーション部門はそんな、アニメと実写の不即不離の関係を前提にしつつ、日本のアニメ映画の在り方を、国内外にプレゼンテーションしていく場所です」というコメントとともに、藤津亮太さんが登場して上映するプログラムについて紹介をした東京国際映画祭のラインナップ発表会を見物。個人の監督を取りあげ特集上映するのではなく、テーマを幾つか決めてそれに沿って数本ずつを紹介するようになっていて、結果として多面的なアニメの現在に触れられるプログラムになっている。

 「2021年、主人公の背負うもの」では湯浅政明監督の「犬王」が日本での初お披露目として上映される予定。公開は来年なだけに今から見られるとあって大勢が詰めかけることが予想される。映画祭関係者向けの上映があるかどうかが気になるけれど、頑張ってチケットをとって見に行くべきかもしれないなあ。それはいしづかあつこ監督による「グッバイ・ドン・グリース!」も同様か。区お買いは2022年になるだろうから今から見られるなら見ておきたい。「フラ・フラダンス」は年末だからちょっと待てば大丈夫だけど、水島精二監督の久々の映画だけに抑えておくべきか。

 「アニメーター・大塚康生の足跡」では前にユジク阿佐ヶ谷で見たドキュメンタリーに加えて「じゃりン子チエ」と「わんぱく王子の大蛇退治」というあまり上映される機会の無いとびきりの作品が来るのでこれは必見。そして50周年を迎えた「仮面ライダー」の特集では、もしかしたら昔劇場で視たかもしれない「仮面ライダー対ショッカー」あるいは「仮面ライダー対じごく大使」を観られるかもしれない。というか何か観た記憶はあるけど何を観たか覚えてないんだよなあ、ただ来場していた仮面ライダーと相撲をとった記憶はある。強かったなあ。あの造形物は今どこでどうなっているんだろう。そんな東京国際映画祭。行こう。


【9月27日】 クリニックに寄ってからドトールにこもってあれやこれや作業。途中で「おっぱぁい!」としか読めないタイトルの書類をみかけて、まさかこんな書類があるはずがないと調べたら「おっぱぁい!」という書籍のタイトルだった。あったんだ。有名なアニメーターさんが表紙絵を描いてアニメーションに登場した数々のおっぱいを集めた画集ということで、きっと開けば右に左に大小さまざまなおっぱいが並んで目にも豊かなたわわを見せてくれたんだろう。あるいは清楚さを感じさせる平らかな様を。見てみたいけれども今でも手に入れられるのだろうか。気になります。

 途中でお昼になったので昨今話題のラーメンを食べなくちゃと船橋にいっぱいあるラーメン店からまだ入ったことがない三代目麺処「まるは」極へと行って千葉県産の材料をいっぱい使ったラーメンを食べたけれどもどちらかといえば家系といった味で半ライスがマッチした。近所にはラーメン無限大という二郎インスパイア系もあって固くて太い麺をがっつりと食べられるんだけれど、そっちよりもさっと食べれてそれでいてしっかりお腹にたまるザ・お昼ご飯といった感触を味わえた。ラーメンとしてもきっとまあそれなりに評価されているんだろう。

 船橋にはいつも行くタリーズへの道の途中に「いさりび」という店があっていつも混んでいて、そこでは新しい日本のラーメンというのを食べさせてくれるみたいなんだけれどどちらかといえば透明系のスープにホウレンソウとか載ったさっぱり系な感じ。さっと食べるにふさわしい印象だけれど果たして味はどうなんだろう。もう出来て結構経つのに入ったことがなかったから、今のラーメン評論家ディスな雰囲気の中、ものは試しと味わいに行って見ようかな。どうせずっと家にいるんだし混んでる時間とか気にせず行ける訳だし。

 侍とライトセイバーばかりだと評判の「スター・ウォーズ:ビジョンズ」において、日本のアニメーションの多様性を反映させるにはやはり現代日本から転生した引きこもり男子が、自分を召喚した女シスを巻き込んでは辺境の街へと降りたって、そこで個人所有のデススターのスーパーレーザー砲を発射することだけが生き甲斐の女総督と、ライトセイバーをいくら振っても誰にも当たらないけど逆にジェダイに切られても平気な女暗黒卿を引き連れて、向かってくる共和国軍相手に戦い勝利するようななエピソードが必要だったように思うのだった。スーパーレーザー砲発射のかけ声はもちろん「エクスプロージョン!」だ。

 ジャクーでひとり暮らしを始めた少女時代のレイが、中古のスピーダーを手に入れちょっとずつ行動半径を広げる中で友人ができていっしょに旅をする話とかが必要だったかもしれないけれど、タイトルが「スピーダー」では味気ないので「スター・ウォーズ・カブ」とでもしておけば良いのかな。あるいはハン・ソロの船に家出少女が転がり込んで、流石に手も出せずもやもやとしながら実家まで連れて行く話とか。つまるところはラブコメだとか異世界転生といった“最先端”をまるで取り入れてないところがちょっとつまらないのであって、そこを取り入れた「スター・ウォーズ」って奴が見てみたいと思って作り始めたら、ガラリと傾向が変わっていたりする可能性もあるからやっぱり伝統にのっとって、5人の女ジェダイが色とりどりのライトセイバーを持ちながらも使わず殴り合う(以下略)。

 ご本人についてはICUだなんてなかなか入れない学校を卒業までして渡米し、弁護士の事務所で働かせてもらえるだけの学才見識も備えた人物であってその明察さに眞子内親王も惹かれたのだとしたらお二人の関係に外野が何か異論を差し挟む権利なっていっさいない。そのお二人が新しい門出を迎えるのだとしたら祝福をして必要なだけのお金も渡して末永く幸せな暮らしをできるようにするのが、皇室を敬愛する愛国者たちの振る舞いであるはずなのにそうした愛国者然とした態度を普段からとっている人たちが、お二人の幸せをぶち壊すような言動をぶつけているところに、日本の愛国なんて自分の気持ちに過ぎないんだってことが透けて見えて愕然とする秋の夜長。

 ご結婚を反対されて天城山で命を捨てた満州皇帝の姪とその交際相手の例が過去にあるのだから、騒いで反対すればいろいろな不穏が起こりかねないと心配するのかと思いきや、そうした可能性へと突っ走らせたいとしか思えないプレッシャーをかけ続ける。もはや八歩ふさがりな状況でたどり着く場所は真っ暗、ハッピーの欠片も見えない行く末をどうやったら明るいものにできるかといえば、もう無関心を決め込んでご自由にお過ごし下さいを送り出すしかないんだけれど、それができるほど日本のメディアは成熟していないからなあ。もはや誰も見ていないテレビ、呼んでいない週刊誌が騒いで一部が盛り上がるスパイラルが、世論のすべてを形作っているような錯覚を生んでお二人を追い込まないことを今は切に願う。


【9月26日】 好きか嫌いかで言えば口調が乱暴でプロセスとかあまり気にせず上から目線で命令するパワハラ気味の態度はあまり好きでは無い河野太郎ワクチン担当相だけれど、自民党の総裁選に立候補した4人を横に並べて見た場合、安倍前総理から菅義偉現総理へと流れてグダグダとなった政治をパリッと改めてくれそうな期待感では河野さんがやっぱり大きくて、外交も含めてこの閉塞感に溢れた状況を打破してくれそうな予感がある。

 とりわけ喧嘩腰な態度が一分に受ける韓国であり中国を相手にした交渉ごとで、政治的にも経済的にもプラスになりそうな結果を招いてくれそうなのは河野さんくらい。それを媚中と糾弾する人たちもいるけれど、現実問題として今やアメリカを凌駕するマーケットなり、また技術的にも日本を超えて世界トップに迫っている中国を敵視し続けていては日本が逆においていかれかねない。アメリカも対立しているようでしっかりと理解していて、トランプ前大統領から変わったバイデン大統領は中国のTPP参加も含めていろいろと施策を繰り出して来ることだろう。

 そうした流れを見極めながらも締めるところは締める両面作戦を、受け狙いで嫌韓反中をぶち上げてやんやの喝采を浴びては、界隈の支持を集めている候補たちではまず進められない。それで自尊心は満たせてもお腹は満たせないということを知るべき時期にあるのなら、一方で引き締める担当をちゃんと置きつつ一方で広げる仕事も可能な内閣を作れる総理が立つべきだろう。それは誰か、ってところでいろいろと考えはあるけれど、そこに落ち着くためには派閥の壁とかいろいろあるだけに今後の展開を見守る必要がありそう。まあ個人的には名を挙げてこき下ろし続けている準全国紙が、河野総理の誕生でいったいどうなるかを見てみたい気がするだけなんだけれど。

 近所のタリーズで2時間ばかり仕事をしてから、幕張まで行って「整形水」を見ようかとも思ったけれどタイムラインにICAF2021が国立新美術館でもパブリックビューイングを行っているってことが流れて来たんで、これはやっぱり見ておこうと地下鉄を乗り継ぎ六本木へ。途中でラーメンでも食べようかと見渡しても店が閉まっていたりした関係で、美術館の側にある中華料理屋で名前は違うけど同じ系列では出している豚バラ青菜チャーハンを頼んで久々に食べたら美味しかった。秋葉原のヨドバシカメラの上ではよく食べたよなあ。まだ店あるんだろうか。

 ICAF2021では参加している各校から1本づつが選抜として登場。中に東京藝術大学大学院アニメーション専攻の修了作品として作られた石舘波子さんの「わたしのトーチカ」が含まれていて、改めて見てその完成度に感嘆する。さすがはNetflixのイメージボードチームにスカウトされた才能だけのことはある。親の過剰な愛情に息苦しさを覚え自分の居場所を見つけられない状況を、潜水服を着て水の中にある世界で暮らしているビジョンとして描いたような内容は、象徴性があってアニメーションとしても高度で今年度から来年度にかけて各所でいろいろと取り沙汰されそう。ICAF2021でも観客賞の第1位を獲得してた。

 実は東京工芸大学から参加のコウショウゲイ、コウカエイ、リュウビさんいよる「失くした花」という作品も、同様に母親による管理と抑圧が厳しい家庭に育って周囲が見えなくなっている少女が、打算しかなくなっていた思考からどうにか脱却して自分の意志を取り戻すと言った内容で「わたしのトーチカ」とテーマが重なっていた。やっぱり共通なんだなあ、あの世代にとっては。絵柄はどちらかといえばアニメライクで可愛らしかったけど、それで決して自主制作っぽさはなく商業として流しても通用しそうなできだった。こちらは観客賞に残らなかったけれど評判は気にしていきたい。

 アニメライクといえば噂のグレンズそうさんこと宮崎創さんによる「白紙」は凄かったし、吉備国際大学から参加の「スクールウォーズ」も荒々しさはあったものの動きがとてつもなくスーパーアニメーター的で見てこれは凄いと思った。そして大阪芸術大学の横田新監督を中心としたチームが手がけた「月と幽体」。なにかのはずみで幽体離脱してしまった少女が、夜の街をさまよい歩く中でひとりの少年の幽体と出会い、祈れば元に戻れるという話をきいて空港にある神社を目指すストーリーが、ロトスコープを使ってよく動くアニメライクなビジュアルでつづられる。

 最後は切なく、そして少女が失っていた前向きさを取り戻して歩み始めるという内容は、中高生や大学生に限らずあらゆる層にピンと来そう。もっと見られて欲しいけれど、上映の機会とかあるかなあ。横田新さんはどうや制作進行でスタジオ・コロリドに入ったみたいなんで、いずれ演出として立ってくるかな、コロリドといえば先輩の石舘さんみたく大学院に入り直してさらにNetflixという例もあるから、将来は有望。見守っていこう。


【9月25日】 新型コロナウイルス感染症にかんしてニューズウィーク誌が、武漢ウイルス研究所に対してアメリカの非営利研究組織がコロナウイルスの遺伝子改変を研究するための費用を出すために、こともあろうにアメリカの国防総省傘下の防衛先端技術研究計画局とやらに資金の提供を要求していたといった話が掲載されていて、やっぱり武漢ウイルス研究所が悪いんだって話になているけど、そもそも論でいうならアメリカの団体を経由してアメリカのお金が流れ込んでいたってことで、その目的はいったい何だったんだって話になってくる。

 武漢ウイルス研究所で新型コロナウイルス感染症のウイルスが漏れ出たって話が広まった時に、中国が調べて違うこれはアメリカの差し金だなんて説をとなえて世界中から何言ってるんだって突っ込まれていたけれど、ニューズウィークの報道が本当だったらあなあち間違っていなかったことが裏付けられる格好となる。同時に中国の武漢ウイルス研究所で作り出されたものが漏れ出たって可能性も一気に高まる訳で、つまりはアメリカと中国の謀略めいた動きの中で世界中が迷惑を被ってるって話になって来るけれど、中国嫌いの人たちはこれで中国だけが割るかのように騒ぎ立てるんだろうなあ。バイデン大統領が非営利研究組織の思惑にどこまで迫れるかに真相の究明もかかってきそう。そこにトランプ前大統領の思惑が絡まっていれば凄いことになるんだけれど。

 王貞治さんが現役時代に打ち立てたホームランの年間記録を破られないために、日本のプロ野球の投手たちが外国人選手のホームラン打者に対して勝負をしかけずホームランを打たせないようにしたからこそ、ランディ・バース選手は1本差から詰められず追い越せず、タフィ・ローズ選手もアレックス・カブレラ選手も並びながら抜けなかった。それが2013年にウラディミール・バレンティン選手によってようやく抜かれて60本まで記録が伸びた例を過去に見ているから、アメリカの大リーグで大谷翔平選手が日本人選手として初となる年間本塁打王に迫りながらも敬遠を受け続け、1本差を詰められずにいるのもある意味で因果応報だと言えなくも無い。

 ゲレーロ選手はカナダとドミニカの二重国籍だし、ペレス選手のベネズエラ国籍でともにアメリカ人ではないけれど、最初から大リーグで活動してきた身内でもあるし純粋な打者でもあってそんな2人を日本から来て投手もやりながら打者もやっている大谷選手に抜かれてはたまらないちう意識が、大リーグの選手達のそれも同じ投手達の間にあったりするのかもしれない。打者だってたとえば同じ打者がマウンドに立って討ち取られたら嫌だろうし。

 って考えると投手として投手から本塁打を打ち打者として打者を三振に取る大谷選手って嫌われても不思議はないのに、対戦時以外はとても好かれているのはいつも明るくそして真面目で丁寧だからなんだろう。それは日本人の美徳というより大谷選手の資質であって、その実直さを味方につけて選手以外のところから、勝負をしろといった声が高まればあるいは環境も変わるかも。せめて最後のチャンスとなったら目いっぱい、勝負してやって欲しいなあ。

 まるで日本の高校生バンドのようなルックスとファッションで登場していたからリンダ・リンダズのことをそんなひとつと思ったら、純粋にアメリカのロサンゼルスで結成されたバンドでメンバーにも日本人はおらず東洋系ではあっても日本とは無縁。ただバンド名では「リンダ リンダ リンダ」という映画でありその元になった「リンダ・リンダ」を歌っているブルーハーツがあるそうで、アニメや漫画に限らず日本の文化が海を渡って青少年に影響を与えている一例として、その成功を注目して行きたい気がしている。

 何でもロサンゼルス公立図書館で演奏したのが注目されて、エピタフ・レコードと契約をしてデビューも果たしたそうで、その映像を見るとドラムのミラ・デラガーザが11歳ながらもちゃんと叩いてそれで歌ったりもしていてとなかなかの才能。フロントのセンターでベースを弾きながら歌うエロイーズ・ウォンがパンチの効いたボーカルを聞かせてくれて、ほかのルシア・デラガーザもベラ・サラザールも歌えて弾けるところがなかなかに強い。ちょっとまだまあと思わせるところもないでもないけれど、それは初期にアイドルユニットとしてデビューした感じのスキャンダルでもそうだった。今では誰もが凄腕のミュージシャンとなったようにリンダ・リンダズも数年後には全米屈指の女性バンドとしてフェスに数万人を集めるようになったりするのかどうなのか。気にしていこう。


【9月24日】 日本テレビ放送網の金曜ロードショーが「ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝−永遠と自動書記人形」を放送するそうで、それだけだとストーリーが分からないということでテレビシリーズから何話かをピックアップして設定が分かるように再編集したものも事前に放送するとか。そこまで仕込んで外伝を放送するのはその後の完結編となる「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の放送も見越してのことなんだろうけれど、全部をあわせたら3週間分が必要となる作品を文字通りのゴールデンタイムに放送するからには、それだけの視聴率が確保できてスポンサーも獲得できるといった手応えを作品に感じているからなんだろう。

 以前だったらスタジオジブリの作品くらいしか放送しなかった金曜ロードショーが、細田守監督という新しいクリエイターを得てその作品を放送するようになってしっかりと視聴率を稼ぐ監督に押し上げたという実績はあるものの単独で映画として成り立つジブリ作品であり細田作品とは違った「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の獲得に向かったのは、それだけ一般の人のアニメーションに関する関心が高まっているといった認識があるのがひとつと、フジテレビがテレビシリーズが始まりの「鬼滅の刃」でしっかりと視聴率を稼いでいるのを見て自分たちも何かテレビシリーズから探した結果として、京都アニメーション作品という要素も持った「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」に白羽の矢を当てたってことになるのかもしれない。

 この流れで「響け!ユーフォニアム」からテレビシリーズを再編集した2本「北宇治高校吹奏楽部へようこそ」と「響かないメロディー」を続けて放送して、そして「響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜」の放送へと行って欲しいけれど、そこまで一般性を帯びている感じでもないだけに日本テレビも躊躇うかなあ、いやでも内容的には現代が舞台で部活がテーマの「響け!ユーフォニアム」の方が一般には通じやすいし、見れば感動も得られることは請負なんで是非に頑張って欲しいもの。そして大金を注ぎ込んで最終章のアニメーション化を始動させて欲しいなあ。いろいろと悲しいこともあったけれど、それを乗りこえて「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」が完結したのなら「響け!ユーフォニアム」も是非に。絶対に。

 朝方に「ダンジョン飯」と「空挺ドラゴンズ」の紹介を書いてそれからネット番組の収録で「スター・ウォーズ:ビジョンズ」について喋ってから家を出て新宿へと向かい、「リョーマ!The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様」の無発声応援上映」が始まる時間までフレッシュネスバーガーで待機しつつ原稿を書いたり作業をしたり。だいたいの時間になったのでビッグカメラへと向かって新しくなったiPadmini6を触ったらどえらい軽かった。それこそ段ボール紙を貼り合わせたかのような感触で、これまdねおiPadminiになれた身にはちょっと軽すぎといった印象すら与えてしまう。曲げたらパキリと行きそうな不安。でもそこは大丈夫なんだろうなあ。どうなんだろう。

 たつ屋でとり丼をかき込んでからバルト9へと入って無発声応援上映。東宝が配給だから1番小屋はやっぱりTOHOシネマズ新宿になるんだろうけれど、応援上映といえばやっぱり新宿バルト9が本場で集まる人たちも馴れて作法に準じるプロフェッショナルが多いから、見ていても安心できるのだ。そんなバルト9でも最大のシアター9が満席というから人気の程が窺える。glory編ということで跡部様を讃えるバージョンということもあるんだろうけれど、前回の応援上映がやっぱりとても楽しかったからより大勢が参加を希望するだろうという計算が劇場の方にもあったのかもしれない。それが証拠に完売になって他のシアターも軒並み満席に近い状況に。このコロナ下で楽しいことが減って寂しい気持ちをたっぷりと埋めてくれた。

 ストーリー自体はだいたい一緒だけれどエメラルドの登場シーンでペンライトの色がエメラルド色というか緑色にだいたい統一されていたあたりに応援上映のエキスパートたちによる収斂の意志が感じ取れた。あとはやっぱり柳生比呂志の独唱で場内が黄色一色に染まる部分に大きく感動。歌でもグッとアゲられる上にペンライトの統一感でもジンとさせられる。こういう体験は家にいても味わえないならやっぱり行くしか無いのだ女性ばかりだといっても。今回はざっと見て3人ほど別に男子もいて、同志かと思ったら3組とも女性連れのカップルで膝から崩れ落ちて頭を地面にたたき付けたくなった。ああ無情。でもだからといって行かない理由はないので行ったし、またあれば行きたい。そして心の中で歌いたい。「お前がテニスの王子様」と。


【9月23日】 気温の上下が激しいことが体調に影響しているのかやたらと眠くて時間があれば寝てばかり。そんな合間に見る夢も、今さらどこかの大学に入って教室まで行ったけれどもどうにも体調が思わしくなくて帰ろうとしてエレベーターで1階に降りようとしたら、上にばかり行ってなかなか下に向かうのがやって来ない。

 どうにか到着したので中に入って1階まで降りたらそこで開いた途端になぜかトリムの最後尾に乗っていることになっていて、狭い通路で人が普通に往来している中をそこそこのスピードで走ってどこかの駅へと向かってく。ちょっと不思議な経験。昼間に見た光景とかが夜の夢に反映される場合が多いけれど大学やトリムは覚えがないからいつかの記憶が睡眠の中で掘り起こされているんだろう。あるいは脳が解けて染みていた記憶が泡のように浮かんでは消えていくとか。

 「スター・ウォーズ:ビジョンズ」の評判がじわじわと世界に広がっているようで眺めているとやっぱり人によって「THE TWINS」の評価が高かったり低かったりして良くも悪くも反響を引き出している模様。ジェダイを武士にみたててライトセイバーを刀としてとらえる動きが多い中、日本アニメの神髄を見せつけた意味はやっぱりあった。それが味となって伝われば晴れての続編もあるだろうと期待したい。

 垪和等監督による「村の花嫁」も冒頭から繰り広げられる結婚式の儀式をどう捉えるかで評判が振れる感じ。いろいろな星がある「スター・ウォーズ」の世界には、星の数だけいろいろな風習があるんだってことを表すのに、結婚式というのはひとつのショウウィンドウになっただろう。それを「スター・ウォーズ」らしさと捉えるかバトルのおまけととらえるかが違いになっていたりするのかな。後半の女性ジェダイによる戦いは彼女が持ってる黄色いライトセイバーとともにいろいろと想像を喚起しそう。その意味ではファンが読み甲斐のある1編と言えるだろう。これも続きが見たいなあ。

 気力を入れて「カラミティ」の日本語吹替版を新宿バルト9で。「ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん」のアートブックがもらえるとあって字幕版とともに初日の各1回がいずれも完売となって良いスタートを切れた。それでもおまけがなくなる週末から、どれだけの観客が来るかで時間帯も変わってくるから見たい人が見られる時間に上映されるために、頑張って皆さん通いましょう。僕も字幕版をスクリーンで観ておきたいから行こうかな。

 改めて見て「カラミティ」の興味深いところは、幌馬車隊がいつもだいたい左から右へと移動しているところ。カラミティ自身が単独で動き始めてからもだいたい右から左へと向かっている。感覚としてこれは新しい場所に向かって挑むといった気分を惹起するけど、地図上だと幌馬車隊はミズーリから見て左にあるオレゴンに進んでいる訳で、そこがどうしてもこんがらがってくる。

 頭を切り替えてカナダ側から幌馬車隊を眺めているんだと思えば左から右でも不思議はなくなるけれど、途中で映画の中に地図が出て来て幌馬車たちがどちらかといえば右から左へと進んでいるから改めて混乱してしまう。映画の作法と地図というメディアを通して植え込まれる間隔のギャップをどう扱うか、ってのもひとつのテーマになるのかなあ。時代劇で水戸黄門の一考が右から左に歩いていると、西国に向かって歩いている気分になるけれど実際にはどうだったっけ。誰か調べていないかな。

 見終わってから近所のドトールで「このライトノベルがすごい!2022」のための投票を済ませて、そして新宿バルト9へと戻って映画版「プリンセス・プリンシパル」の第2章を見る。戦艦を消滅させるケイバーライト爆弾なんてものが発明されたものの使うに使えない爆弾を、誰がどうやって盗み出したのか共和国から帝国へと運び込まれて使われる寸前まで至ってしまう。止めようとする白鳩メンバーの活躍が見どころではあるけれど、あれほどまでに顔をさらして大勢の前に現れても、あとで検証されないところがひとつのお約束ってことなのかも。

 裏で動いている謀略はそれこそトップレベルへと至って帝国の根幹を揺るがしそう。堂々と狙撃されて頭を吹き飛ばされていない段階で妙だといった感覚が浮かんでいたけれど、それが物語の中でどういう決着を迎えるかってあたりが第3章の見どころになるんだろう。悪は潰えるとして気になるのは帝国の行方。そこで取り沙汰される継承権の行方。上位に起こった混乱がプリンセスに至った場合にいったいどういう事態へと至るのか。明かされるのか真実。それは裏切りの事実も浮かび上がらせるだけに共和国と帝国の間に大変動をもたらしそう。そこまでたどり着くのかな。追っていこう。色紙はベアトリス。ちせが出るまで頑張るか。


【9月22日】 3本のインタビューをオンラインで行って、その内容をざっと荒くまとめたら脳がオーバーフローしたみたいで「葬送のフリーレン」が更新されたのも読まずに寝入ってそして起きてから久々に背広に着替えて家を出て、お台場の日本科学未来館で始まる「文化庁メディア芸術祭」の内覧会へと向かう途中、ダイバーシティのスターバックスでインタビューを幾つか清書。とりあえずツインスターデストロイヤーには大笑いしたことと、どうやって劇画調のあのルックを作れったのかといったことは盛り込めそうなので、清書を中断して徒歩で日本科学未来館へと向かおうとしたらいつものプロムナードがまだ封鎖されていた。

 東京オリンピックでフリークライミングの会場が作られていた関係だけれどその巨大なスタンドが今もまだ残っていて、順々に取り壊されている最中だったもののその巨大なスタンドいっぱいに観客が座ることがないまま消えていくというのも、歴史の上でいつか忘れ去られてしまう事態なのかもしれない。というか本当に東京オリンピックやパラリンピックは開かれたのかといった気分が立ち現れて仕方が無い。テレビが見られなくなって2年近く。リアルタイムの番組で盛り上がるという状況がなくなったこともあるけれど、それでもネットで見た幾つもの競技は現実に存在したにもかかわらず、終わった途端にスッと波が引くように記憶から薄れてしまった。

 菅義偉政権はオリンピックで日本が活躍すれば世間も盛り上がって支持率も上がると踏んでいたようだけれど、史上最高のメダル獲得数を誇りながらもあっという間に忘れ去られてしまうのは今時のSNS上での言及が空気を動かしている状況下で、昨日あったことすらトレンドから落ちれば過去以前の記憶の埒外におかれてしまうという現実を、政権も理解していなかった現れかも知れない。あるいは政権にアドバイスを送る広告代理店のようなマーケッティングのプロ達さえも。そこは耳に聞こえがいいことを吹き込んでいれば重用してもらえる代理店が莫迦のふりをしていただけかもしれないけれど、少なくともメディアはまだまだ余韻は続くと踏んでいた。

 それがまるで空気のように雲散霧消してしまった現実を受け止めた上でだったらと刹那的に日々のトレンドを追う方に走るのか、いやいやそれなら自分たちがやりたいことをやりまくってトレンドを生み出す方に回るんだとなるのか、分水嶺にあるような気がする。まあそれを理解したならたぶんテレビの上で日々繰り広げられているだろう自由民主党の総裁選に関する雨霰のような報道ショーは行わないだろうから、まだまだ変われていないんだろうなあ。そうこうしているうちにテレビとは無縁のネット配信で新しいトレンドが続々と生み出されていくのだった。

 というわけで「スター・ウォーズ:ビジョンズ」が配信開始となってさっそく世界が日本のアニメーションスタジオによって作り出された9作品の「スター・ウォーズ」に夢中になっている。内容については先に置くとしてとりあえず世界が名を知る神山健治監督の「The Ninth Jeda」は総じて高評価な感じ。あとは神風動画が劇画調を前面に押し出し黒澤明監督の「用心棒」をアニメでやったような「The Duel」も「スター・ウォーズ」世界と親和性が高いのか好ましい評価を受けている。脚本を担当した堺三保さんへの関心がこれで集まり「オービタル・クリスマス」の映画祭への参戦に弾みがつけば良いけれど。

 毀誉褒貶なのが今石洋之監督による「THE TWINS」で、見た目「プロメア」まんまのキャラクターであり色使いであり展開も「キルラキル」的に大仰で熱血でバトルもど派手な内容は、日本の“アニメ”のファンには大受けするだろうこと確実で、実際にそうしたアニメを愛する人たちから高い評価を受けている。一方で「スター・ウォーズ」に武士道めいたものを求めている人にはあまりにもインフレーションしたバトルはちょっと行き過ぎに見えてしまうのかもしれない。とはいえ悪評も評価ならそこでしっかりと存在感をアピールできたのは良い。そしてこの続きを是非に見たいという声が出てくれば、生き別れになった姉弟が再会するまでの物語を、連続アニメで見られるようになるだろうからどんどん騒ごう。

 文化庁メディア芸術祭ではWabokuさんにおそらくは「デザインフェスタ学展」以来にお目にかかってアニメーション部門でのソーシャル・インパクト賞受賞へのお祝いを伝えられた。東京工芸大の卒業制作の頃からスチームパンク的な世界観に宮崎駿的叙情を持った作品を送り出して来たWabokuさん。MVの世界で名を知られるようになって今回もそんな1作で入賞を果たした訳だけれど、活躍を期待されてA−1ピクチャーズから声がかかって「バテンカイトス」というプロジェクトに監督として参加している。自主制作系のクリエイターがスタジオと組んで仕事をする流れが強まってる中でのひとつの成果とも言えそう。来年は新人賞で入ってくる可能性もあるかな。それとも優秀賞やグランプリ? 期待だ。


【9月21日】 界隈の暴れっぷりは留まるところを知らず、今時の経済活動から切っても切れない中国に関連会社を持っているというだけで中国共産党の言いなりだと吠える人たちの多さに、だったら他のあらうる大企業に対して中国に子会社を持っていることをもって反日だと騒ぎ立てるべきなのに、そういう仕草はまるで見せないところが元より為にするためのあら探しに過ぎないことがくっきりと感じ取れる。

 一国の宰相になろうとしている人なら身内に困難があったところで便宜を図ったりするようないとはいえ、そうした動きがあればあったで非難をすれば良いだけのこと。むしろここで騒ぎ立てている界隈が、国内の身内に便宜を図りまくった人を崇め讃えてたりする状況の方がいろいろと厄介だったりする。本当に二枚腰だよなあ、あの界隈。近々でも選挙のための投票用紙に不正が行われているといった話が出始めていたりして、それこそアメリカの大統領選挙で騒ぎ立てたのと同じような論調でもって相手は不正をしていると糾弾を始めていたりする。

 でもそれはどうやらお互い様な様子。でも界隈は自分たちはそんなことはしていないし、しているように見えるならそれは謀略だと言いつのる。それが通るなら相手方の主張だって通りそうなものだけれど聞かず知らないふりをして自分たちこそ正義だとばかりにアピールするのもいつもの手法。そうやって信頼を失い衰退していくかと思いきや、そうした言説を信じたい人たちを集めてますます濃さを増しているから何というか。反ワクチンのカルト言説もきっと同じ構図なんだろうなあ。やれやれ。

 熊本で歴史的な出来事を記したプレートを広場に埋めたらその上を歩いた時に書かれてある人名を踏んづけるかもしれないといったクレームが入って撤去の運びとなったとか。それで文句が出るならハリウッドスター達の名前が星の文様とともに刻まれたウォーク・オブ・フェイムなんてさぞや喧々囂々非難の嵐かと思いきや、平気で大勢が名前を踏み歩いては贔屓のスターの名前を見つけてその上で記念撮影していたりしているから、あまり名前だからといって気にしていないんだろう。ハリウッドスターはスターだけれど踏んで悪い相手ではないという意識なのかもしれない。

 熊本の場合だと地元の英雄の加藤清正公だったり、明治天皇だったりと偉人賢人があってなかなか踏むには遠慮がいりそう。元より意識して名前の上を歩いても大丈夫な雰囲気はなく、広場のところどころに記念プレート的に埋まっていたりするから意識せずとも踏んづけてしまいそう。そうした心苦しさと疚しさがクレームとなって表れたのかもしれない。これが例えば地中にあって上をガラスで覆ったものだったら、直接名前を踏む感じにはならず通ったかもしれないけれど、活字のプレートが剥き出しになっているとさすがに遠慮したくなるよなあ。まあ仕方が無い。これで勉強して無駄遣いが減れば良いんだけれど、共有されずに他でもまた同じ様な事態が起こるんだろうなあ、松戸のVtuber騒ぎのように。

 撤回しろとクレームをつけておいて撤回されたにも関わらず、どうして撤回したんだといった非難が起こって撤回させた側に矛先が向かいそうになると、撤回したのは相手だからといって逃げる言説もなかなかに愉快ではあるものの、根本として求めた撤回については決して言論弾圧一辺倒といったものではなく、どこかにパブリックなものとコマーシャルなものとの境界がユルユルになっていた状況がありそうな気がする。ビール会社ですら水着のポスターをとりやめている状況下、たとえそれが普段着だとしてもヘソ出しの少女像をアイドルシーン以外で使えば必要かどうかを問われるといった認識を、碧志摩メグの件から覚ろうとしないのもやっぱり問題な気がする。その意味でゆるキャラというのは巧い存在だったなあ、セクシャルハラスメントといった批判を出しようがなかったからなあ。

 ハラスメントといえばNetflixが配信して世界的にヒットした「クイーンズ・ギャンビット」というドラマの中で、女性のチェスプレイヤーは長く男性相手に挑まずにいて過去に女性として始めてチェスマスターになった実在のプレイヤー、ノナ・ガプリンダシヴィリですらしばらくは男性と対戦しなかったといったナレーションが繰り出されたけれども、これは事実ではないとノナ・ガプリンダシヴィリの側から批判が起こって何と5億ドルもの損害賠償が求められそうだとか。

 現実を曲げてまで女性の抑圧された状況を醸し出し、だからこそ活躍したヒロイン凄いといったロジックを生みだしたかったのだとしても、そこで曲げられた現実の側にいる人の人権はどうなるのか、といった話になるのは当然。女性の活躍をなかったものとするテクスチャル・ハラスメント的なシチュエーションなだけに係争となれば事実を前にNetflix側が説明を求められることになるんだろう。今はまったく当たらないといった発言をしているけれど、いつまで通用するか。それともエンターテインメントの前に事実もねじ曲げられて当然といったスタンスでいるんだろうか。それはそれでヤバそう。飛ぶ鳥を落とす勢いのNetflixにAmazonやらディズニー+やらが迫る状況下、大きな逆転劇のこれが幕開けになったりするのかな。要経過観察。


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