縮刷版2021年9月中旬号


【9月20日】 トランプ大統領を持ち上げたいあまりに、大統領選挙戦で行われてもいなかった不正があったと散々っぱら喧伝しながらデマでしたと謝ることなく、愛知県知事のリコール運動で同じ様なデマを拡散していた界隈が、今度は自由民主党の総裁選に立候補した河野太郎ワクチン担当相へのデマをまき散らしていて懲、りないものというかあきれ果てるというか。なるほど河野太郎さんとその父親の河野洋平さんが役員やら株主をしていたりする日本端子という会社は太陽光パネルと接続するコネクタとか作っているし中国に子会社も持っている。でも別に中国とだけ仕事をしている訳ではないし太陽光パネル向けの端子が主力商品でもない。

 これから伸びていくだろう分野だという認識はあるだろうけれど、メインはやっぱり家電であったり自動車であったりといった電気を使った機器で使用するコネクタであり圧着端子。それも決して業界最大手ではなく日本圧着端子という最大手の何分の1かの売上高しか無い会社をとりあげ日本のソーラーパネルが日本端子を介して中国共産党に支配されるかのような印象を喧伝して、河野候補を貶めようとしている言説は後々になって誹謗中傷だと訴えられたら果たして言い抜けられるのか。アメリカだったらまさかバイデンが訴えてくることはないと勝手を言いまくれたけれど、今度はネットには明るい河野太郎さんが相手だけにいろいろリアクションがあったら楽しいなあ。さてどうなるか。

 そんな河野さんだけれど受け狙いな言説も多くって、ウーバーイーツの配達員に向かってもっと働きやすくなって副業で稼げるようにしてあげると言ったとか。いやいやそうじゃなくってウーバーイーツを副業としてやってようやくしのげるくらいに本業が安いことが問題で、それこそ1日8時間で週5日40時間、そのうち1時間は休憩だから正味で35時間を働いて家族3人くらいが普通に食べていけて遊びにもいけるくらいの賃金が支払われる国にならないと、消費も増えないし学歴が下がって国力だって下がっていく。副業の推奨の根底にある本業の低賃金化をこそ防ぐべきだと言えば果たして分かってくれるかどうなのか。それが分からない人が総裁から総理になった先に何が繰るかを考えるのが怖い。なのでやっぱり安心の岸田文雄さんになるんだろうなあ。

 理念推進の週を乗りこえてジェフユナイテッド市原・千葉レディースがWEリーグに参戦するとあってフクダ電子アリーナへ。途中の蘇我駅に入ってベックスコーヒーでノルマとなってる1日10本の下読みをどうにかこうにかクリアしてから歩いたフクダ電子アリーナへと続く道を、ラクロスのラケットを持った女の子たちが歩いていたのでまさかサッカーを見るためではないなと思ったら、フクアリの向こうにあるサッカーコートの1つを使ってラクロスの試合が繰り広げられていた様子。フィールドのサイズならそれほどたぶん違わないからラクロスだってホッケーだって使おうと思えば使えるんだろう。そうやっていろいろなスポーツが盛んになっていくとこで蘇我のスポーツタウンとしてのステイタスも上がっていく。たとえ親玉のジェフユナイテッド市原・千葉がJ2に過ぎなくても。いやでもやっぱりトップリーグにいて欲しいなあ。

 そこをカバーしてもうずっとトップリーグにい続けているジェフユナイテッド市原・千葉レディースは、女子のプロサッカーリーグにもしっかり名を連ねている上に補強などもしてそれなりのチームを作り上げてきた様子。ゴールキーパーで主力の1人だった山根恵里奈さんが引退して、そして船田麻友選手を放出してもしっかりと3人のゴールキーパーを確保しているところからも、補強の具合というのが見えてくる。そんな船田選手が行ったちふれASエルフェン狭山がプロ化されWEリーグの初戦というのも何かの縁か。お互いに戦力をやりとりして共に強くなったところを見てもらおうとしたのかも。

 さて試合の方はといてばエルフェン狭山に41歳になってなお現役の荒川理恵子選手がいてスタメンでフォワードに入ってはターゲットになってヘディングを落としたりボールをためて捌いたりしていて、しっかりと基点になっていたけど周囲がまだ落としたところに走り込むとか受けて戻してまた受けるような動きをしきれていないこともあって決定的な場面は作れない。それでも1点を先取したところでジェフ千葉レディースもヤバいと思ったのか、ピッチをあげて攻撃を強めてサイド攻撃から折り返しのヘディングをきめて同点においつくと、後半も左右に振って攻め立てるけれどもそこを移籍した船田選手にとめられるというから皮肉だけれど戦力の平準化という意味では良い感じになっていた。

 結果、同点で終わった試合それ事態はジェフ千葉レディースにとっては不本意だったかもしれないけれど、中盤で背番号10番の鴨川歩美さんが切れ味するどいドリブルからパスを見せていたし後半最後に入った広瀬桜さんがサイドを突っ走って中に折り返す動きをいっぱいしていたから、ようやくエンジンがかかった段階として次の試合あたりで結構な活躍を見せてくれるんじゃなかろうか。オーストラリアから入ったアレックス・チディアック選手もまだ馴染んでいるといった感じでは無かったので、練習も経て試合も繰り返した先に見られるグレードアップを期待してしばらく追いかけていこう。次のフクアリはいつだっけ。


【9月19日】 バイクで暴走する奴らがいたとしてもバイク乗りの全員を暴走族扱いして非難するような空気が以前ほど濃くはなくなっているのは、バイクに乗っても慌てず暴れないでルールに従い乗っている人がいることを、誰もが認識している世界になっているからであってそうなる前はバイク乗りはイコール暴走族扱いsれている時代もあって、不良の象徴のように扱われていた。一部の無法者によってカテゴリーの全員が迷惑を被ることはなかば必然の出来事であって、それ事態を嘆いてもすぐに改善はしないなら自らがルールを守っていることを、強くアピールする必要がある。

 霞ヶ浦かそのあたりの狭い水路を水上バイクが10数台駆け抜けてはシジミ捕りの小舟を揺らしている光景がテレビで放映されて水上バイクの無法ぶりに注目が集まり、また神戸の方では水上バイクの暴走によって泳いでいた人が恐怖感を覚えたことに神戸市長が殺人未遂での告発を行ったことが話題になっている。その兵庫県では水上バイクが暴走した果てにテトラポットに激突して乗っていた3人が死亡する事故も発生。無茶で無謀な乗りものの象徴のように喧伝され始めていたりして、そのことに普通の水上バイク乗りが強く反論していたりする。

 その意見も理解できるし尊重したいところではあるけれど、現実において最徐行をしない水上バイクの“発見”が相次いでいる状況で、耳目を集めやすい環境を省みないで自分たちは健全だと主張しても一部の無法がすべてをぶちこわす。その無法は一部であっても現存することに変わりはないのだから一部に過ぎないと言ったところでゼロではないと批判されればなかなか反論も難しい。過渡期において起こりやすい現象であるなら過去にバイクであったりスケボーであったり登山であったりと無謀を批判されたスポーツが、大半は健全と認められるに至った経緯を水上バイクもたどる必要がありそう。それこそルールの中でスポーツとして繰り広げられてはスター選手が登場するような。一方で無法を自浄するような動きが出てくるような。起こるかな。

 今日も今日とてフレッシュネスバーガーに入って映像を眺めるお仕事をこなしてから、イオンシネマ市川妙典で6ミタと使って無料で鈴木雅之監督の「マスカレード・ナイト」を見る。ホテルでお客さま第一で動くことのルールと刑事として犯罪者を摘発することのルールがぶつかりあう中でお互いに感化されつつ進んでいく展開は、前作の「マスカレード・ホテル」にも増して楽しかったし、怪しげな人たちが怪しくなかったりしつつやっぱり怪しいような怪しくないような誘導でもって振り回された先に来る結末も、前にも増してキチッとハマっている感じがして見終わってああ良い物を見たという気になった。

 沢村一樹が演じた男の山岸尚美へのしつこくて理不尽な要求は、もはやクレーマーレベルだけれどもそれでも音を上げずに最大限努力して答えることを是とするならホテルってもはやとんでもない場所になってしまいそう。そこを山岸というコンシェルジュの情熱とフィクションという場が絡み合って、素敵な物語に収まっているだけであって、これが実際のホテルで実在のコンシェルジュに対するものだったら果たして通るのか。試してみたい気はするけれどもコンシェルジュがいるホテルなんて使う機会もないから無理なのだった。残念。

 警察と犯人との勝負とでは警察が負けた格好だけれどそこに入ったホテルマンの職業意識と犯人との勝負ではホテルマンが勝ったということで世界最強はホテルマンということで良いのかな。「竜とそばかすの姫」で暴力を繰り出そうとする父親を演じていた石黒賢がスーツ姿に髪型も決めてホテルの厳格なフロントマンをきっちり演じていたのがとても良かった。良い役者になっていたんだなあ。もはやお父さんがプロテニスプレイヤーの石黒修さんで金田賢一さんみたくスポーツ選手の息子で役者ということを忘れさせてくれるくらいの存在感があったというか、もはや石黒修んを覚えている人もそれほどいないというか。

 木村拓哉さんはとことんの対立を経て共感を得ていた前作があった上で、それでも譲れないところはあるといった感情をお互いに持って接する新田浩介という刑事の役に、しっかりとハマっていた。人によてはそんな木村拓哉が前に出すぎて乗れないという意見もあるみたいだけれど、何を演じてもジョニー・デップでありキアヌ・リーブスなハリウッドの俳優たちと同種に木村拓哉は木村拓哉という存在でもってすべてを演じていて、だからスターを見た気になれるのだと思えば問題はないんじゃないかな。

 小日向文世さんにしても石橋凌さんにしても篠井英介さんにしても男優は癖を出して演じる方が多い一方、女優は高岡早紀さんいしても麻生久美子さんにしても他の誰が演じても問題なさそうな役どころ。ひとり山岸尚美役の長澤まさみさんが実直で葛藤しながらもホテル人で有り続けようとする役を表情仕草も含め見せ続けて目立っているところに、グランドホテルな映画であってもオールスターキャストとは違う確固としたスタアシステムの上に作られている映画って気がした。次回作はあるのかな。それは原作次第か。

 投票権を持たず持っていても議員票の3000分の1程度の価値しかなかったりする自由民主党の総裁選挙ごときが世間にどのように伝えられようと、知ったことかというのが率直なところでそんな総裁選挙の会見で特定の候補にのみ質問が集中したからといって、選挙結果が揺らぐとはちょっと思えない。それをさも大事と大騒ぎするライティな人たちはだったら党員として選挙に3000分の1票を投じて応援する気があるのかというと、そこは引いて文句を言うくらい。いくら内輪で騒いだところで結果を替えられないならそれは騒ぐことに意味を見いだしているとしか思えない。共感を誘える界隈があるから成り立つ芸なんだろうなあ。とはいえ総裁選の結果によっては質問せざるを得ない状況になるだろう。そこで厳しい質問が飛んだらどうして聞くんだと騒ぐんだろう。やれやれ。


【9月18日】 台風が近づきつつあるようで雨が降りしきる中をTOHOシネマズ日比谷へと向かって「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」の4KリマスターIMAX版上映を見る。目当ては上映後の押井守監督と音響の若林和弘さんのトークだったので、上映機材の問題から4Kで上映できず2Kでの上映になったことも気にならないというか、気圧の影響もあってまぶたが所々閉じて途中を随分ととばしてしまった。やっぱり真ん中あたりでテーマソングが鳴り響くあたりが鬼門だなあ。

 そして押井監督と若林さんのトーク。といっても4K化に関する話とか映像に関する話はまるでなくって、もっぱら音響作業をしている時の話が中心になた。それもスタジオで酒ばかり飲んでいたという話。ダビングの時は朝から午後の4時ぐらいまで仕事をして、それから酒を飲んで午前2時くらいまでスタジオにいて泊まって朝からまた仕事をしていたとか。そこに編集の掛須修一さんがいて高校サッカーのゴールキーパーをやっていた人で酒を持ち込んで、他が仕事をしている最中にビールを飲んでいたり冷却が必要な機器のロッカーに日本酒を置いて冷酒を造ろうとしたりして、オムニバスジャパンの社長になっていた音響の大先輩、斯波重治さんから大人たちが雁首揃えて怒られたという話に終始した。

 アフレコについても振り返っていて、普通だったら極力反響を抑えつつ数本のマイクが横に並んだアフレコスタジオで撮るところを周囲に何本もマイクスタンドを建てられ、あとは天上からもマイクをつるせる音楽のスタジオのようなところで立体的に録音できるスタジオで録ったってことを話してた。それによって反響が生まれてバトーの声が響くような感じになったとか。あと電脳空間で会話している際に、くぐもった音を作とうとしていろいろ試して男性は壺の中で録音を再生して突っ込んだマイクで録れば雰囲気が出せたけど、素子お演じた田中敦子さんは女性で高くて響かなかったので、ポリバケツを持って来ててそこに頭を入れて喋らそうとしたらしい。

 でもものの1分でこれはダメと分かったので、録音した声を壺の中で再生する方法に切り替えたとか。結果、電脳で喋っている素子の顔にポリバケツを被った田中さんが重ならなくて済んだ。そんな声優の演技について若林さんが「昔の人はそれぞれが別の時代の人物に化けようとしてくれる。役が広がって幅ができるが今は売れたキャラクターとか流行ったキャラクターといった感じで、どうしてもそちらの要求に応えようとしてしまう」といった話をして、大塚明夫さんや山寺宏一さんのような濃さを出せる人がいないか、出せる場所がないことを嘆いていた。音楽についても刑事ドラマらしくない構成で並べられたけど今はそういう風にはさせてもらえないとのこと。売れ線狙いは瞬間を稼げても永遠は作れないということを、26年経ってもなお劇場で大勢を集めて上映される「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」が証明していると知られて欲しいものである。

 そのままIMAXで「レミニセンス」を見ようかとも思ったけれどオンラインでの会合があることを思い出して帰宅。途中で竹町さんのシリーズ最新刊「スパイ教室6《百鬼》のジビア」を買って読んだらやっぱりラストで厳しい状況をつきつけてきて続きが読むのが怖くも楽しみになって来た。前の巻のラストで地獄のようなエピローグを添えて鬼っぷりを見せてくれたけれど、その地獄が「この茶番にいつまで付き合えば」といった感じの大逆転にはならず胸苦しさを増した上でのさらなる地獄送りとなって、いよいよ深刻で残酷な事態が訪れるのかと不安になってしまう。そこはサブキャラクターの「鳳」とメインキャラクターの「灯」との違いからいろいろと企みがあると思いたいけれど、そのさらに奥にとてつもない仕掛けが待っていそうでやっぱり読むのが恐ろしい。50万部に達したそうでこれと「探偵はもう、死んでいる。」のヒットがスパイアクションやサスペンスへの関心を呼んでライトノベルの傾向を替えてくれれば面白いんだけれど。


【9月17日】 自民党の総裁選がはじまって立候補者も出そろってそれぞれに推薦人がついたけれどもライティな言説が話題となることが多い三原じゅん子さんが意外や野田聖子さんの方に名前を連ねていて高市早苗さんではなかったのは自民党の中で女性議員がポジションを得るための活動を長く続けてきた実績を買っているからなんだろうか。高市さんもポジションはそれなりに得てはきたけれどもどこか調整の結果とされるところも多いだけに、取り込まれているといった判断があるのかもしれない。

 そんな高市さんの方の推薦人にはやっぱりな人がズラリといたけれども最右翼とも言え推すな杉田水脈議員の名前がなかったのは頼まなくても20人分が集まったからという判断なのか、あまりにライティが過ぎるので高市さんといえども頼むのを躊躇ったのか。ちょっと気になった。岸田文雄さん河野太郎さんの方もそれぞれがそれなりに。河野さんと小泉進次郎さんと石破茂さんの三角関係(ってちょっと違うか)を称して「小石川連合」と言うんだとか。河が最初で小と石があとからつくなら河小石連合となって河原の小石並みに存在感がないと思われるから、ちょっぴり高級感の漂う小石河(小石川)にしたのかな。それもまあお公家さんっぽくて勝ち抜けなさそうだけど。

 いやあ凄かった。どういう訳か京都アニメーション作品ではなくサイエンスSARUが手がけた「平家物語」で山田尚子さんのが監督を務めていて、フジテレビオンデマンドで第1話だけ無料で見られるんで見たら淡々として足下とかよく映す演出でもって琵琶法師の娘が父親を平家に殺害されて彷徨っていたところを平重盛に見初められ、共に見えないものを見ることができる異能を持っていたこともあって歳の差を気にせず関係を深めていくんだけれど、そんな重盛の息子達にもだんだんと平家の奢りが見え始めて来て、下馬をめぐった諍いに平清盛がなにかを突っ込んでいきそうなところでとりあえず話が終わった。

 それがさらなる平家のおごりを招いて反発を食らうことになるんだけれど、清盛は何よりも「面白いこと」かどうかを規準に動いているところがあって、周囲の奢るだけとは何か違ったものを見ている感じがする。そんな剛胆な清盛なり、無常を知って奢りを諫めたい重盛なりが存命だったら平家の歴史も変わったかもしれないけれど、史実は残酷にも頭領の2人から先に命を奪って残るは烏合ばかりにしてしまう。結果はすでに分かっているストーリーをいったいどう描いていくのか。そこは古川日出男の原作もすでにあるけれど、キャラクターの絵をえてセリフものったアニメーションとして描くのは山田監督の方。饒舌さとは違った端正な絵と動きとセリフで奢る平家の久しからざる様を描いていってくれるだろう。FODにも入ってしまおうかなあ。

 何でも4Kと銘打ちながら2Kの劇場もあるとかで、4Kリマスターをうたった舞台挨拶が行われる会場ですら2Kでの上映になると分かったので新宿まで出たついでに「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」の4Kリマスター版を見てくる。映像がくっきりする訳じゃないけれど、ザラつきはなくなってちゃんとしっかりとした色味が出ている上にセリフが聞き取りやすくなっていて、音楽もただ鳴るだけでなく背景までちゃんと奥行きが感じられるようになっていたので世界にふくらみが出た印象。あとやっぱり大きなスクリーンで見ても荒れず歪まない作画は当時の最高水準だったのだなあ。それについて押井監督が何を言うか。台風が来ているけれど聞きに行こう。

 本命となる「リョーマ! The Prince of Tennis新生劇場版テニスの王子様」の無発生応援上映に参加しに新宿バルト9へ。TOHOシネマズ新宿も取ろうと思えばとれたけれど、応援上映といえばやっぱりバルト9に来る人たちの方が経験知も高く統率もとれていだろうと考えそっちを選んだ。結果として自分以外が全員女性という凄まじい環境で見ることになったけど。それを予想して最後列の最端を予約していたので視線の邪魔にはならなかった。

 そして始まった無発生応援上映では青学ということでリョーマを含めて手塚国光ら青学のメンバーが出てくるとだいたい青いペンライトが光り、そして歌の場面で他の学校が出てくるとそれぞれのイメージに合った色が出て来てテニミュからの統率感がちゃんと出ていた。気になった柳生比呂志による独唱部分は誰もがその瞬間に推し色の黄色なりに合わせてオペラのように朗々と歌う柳生に合わせてペンライトを振っていた。会場の一体感がグッと増した瞬間だった。エメラルドはラケットの色がパープルなのでそっちを選ぶ人と、名前や目の色から緑を選ぶ人が混ざっていた感じ。次のglory編では統一してくるかな。

 いずれにしても声こそ出さないものの誰もが応援したいという思い出参加し、その気持ちをペンライトに乗せて見せてくれたイベントは空間が幸福に満ちていてとても心地よかった。エンターテインメントの将来が危ぶまれているけれど、こうやって少しずつでも取り戻して行ければ未来は決して暗くはないと思いたい。映画では冒頭、チラリとうつる車いすのテニスプレイヤーがいるけれど、どうやらエメラルドらしいと改めて認識。そして過去にいろいろあったことでモデルに転身していたということなのか。ってことは戻って来た世界で越前南次郎は全米オープンで優勝したことになっているのか。歴史変わってる。でもそこは修復が働いているのかも。というより細かいことはどうでも良くて楽しいことがやっぱり大事。それを感じさせてくれる映画でありイベントだった。glory編もやっぱり行こうかな。


【9月16日】 自由民主党の安倍晋三前総理が高市早苗前総務大臣を次の自民党総裁に推していることもあって、日本に女性の総理大臣が誕生したら世界が驚くといった話をしたそうで、そりゃあ驚くけれどもそれは革新への称賛などでは決してなくて、英国のサッチャー政権の誕生から40年も遅れてドイツのメルケル首相やニュージーランドのアーダーン首相ら現役組にも遅れをとっていることを何ら恥じないで喧伝する安倍前総理の今さら感への呆然を含めた驚きであることに間違いない。

 なおかつそうやって推している人が夫婦の選択的別姓に強く反対したり家父長制を尊んでいたりとターリバーンほどではないにしても反動的な思想を割と強調しがちな点でも、世界からいったい何周遅れているんだ、それどころかどこまで遡っているんだといった驚愕を引き起こしそう。問題はそうした世界の反応にいっさいの思いを示すことがなく自慢げに話してしまう安倍前総理のあまりにも旧態依然とした心理であり、そんな安倍前総理を強く推している保守とは言うもののいわゆるライティな人たちの心理。今の時代にまるでそぐわないにも関わらず、それがすべてと信じては周囲で現状にマッチした考えを示す人たちをあざけり罵倒する態度を示して辟易とさせている。夜郎自大も過ぎるけれど今回ばかりはダメージが強い中で最後まで走り抜けられるか。もしも走り抜けてしまったらその時に日本はどうなるか。総裁選いよいよ告示。

 最初に勤めていた日韓自動車新聞の中部支社から徒歩圏内にあった割には気付かずいかなかったデカ盛り喫茶のダッカが閉店とかで、連日大勢の客が訪れているという。名古屋でデカ盛りというとせいぜいがCoCo壱番屋の1300グラムあたりで、あとはヨコイのスパゲッティの2倍を食べてお腹いっぱいといった感じだったので、ダッカが山ほどのハンバーグが添えられたカレーだとか、こちらも山盛りのスパゲッティを提供していたというのはちょっと驚き。どうして気付かなかったんだろう。それを言うならヨコイのあんかけスパだって大学を卒業して就職して、栄辺りを出歩くようになって始めて行ったくらいだから名古屋の人は案外に名物というものに意識が向かないのかも。味噌煮込みうどんだって家で食べるものだしなあ。

 ああいや、寿がきやだけは別だけれどあれはスーパーだとかデパートの中に普通に入っている一種のファストフードだから、ハンバーガーのスワロウだとかロッテリアだとかと並んで普通に利用していただけ。名物といった意識はなかった。手羽先も別に名古屋だからというよりは普通にあちこちにあるから入っていたくらい。コメダ珈琲店も今ほど普及していなかったから、よほどじゃないと入らなかったらやっぱり店舗数によるんだろう。今はそれこそ台湾ラーメンにまぜそば等々、いろいろな名物も出て来てそれを店頭で名古屋メシだと競っている。なおかつそれらを情報として発信するメディアも発達しているから、知られてバズりやすいのかも。情報化とはいろいろな名物を生みだして、そして流行とともに廃れさせるのだ。

 「また久保か」という言葉とともに夕刊フジの久保武史によるサッカーに関する記事が手に取られては、また無茶苦茶なことを言っていると揶揄されていたのと平行して、あるいはそれ以前から「なんだ江尻か」といった感じでポン酢な野球記事を夕刊フジ紙上で連発しては、読者を呆れさせていた江尻良文記者が死去。70歳を過ぎてなおかつ記事への反応は毀誉褒貶の最初と最後の文字に傾いていた記者をずっと在籍させていたところに、名物となってしまったらどうにもできないこの新聞グループの一種のスタンスを感じ取る。本紙の方も名誉毀損で敗訴したりまともじゃないと批判されたりする人たちが論説の看板を背負って厄介な言説を10年以上も発信し続けているからなあ。結果はご覧じろということで、この先どうなってしまうのか。とりあえず夕刊フジの野球記事の今後に注目。

 残り80まで追い込んだと思ったらやっぱりというか予想通りに締めきりギリギリのかけこみ分がどかっとのっかって残り100へと引き離され、そしてどんどんと増えて残り200まで大きく離されてしまった。だからといって足を速める訳にもいかないので1歩ずつしっかりと踏みしめていくしかなさそう。それでも幸いに半分以上はこなしていたので、同じだけの時間をかければどうにか最後まで到達できそう。その日の心境とかによって感触が代わってしまうところもあるから、通して歩いたあとにまた歩き直して歩幅を調整する必要もあるので、とりあえず来月初頭を目処に1度は歩ききろう。その過程で見つかったいろいろはそのうちどこかでまとめておきたいなあ。世界は凄いなあ。何のこっちゃ。


【9月15日】 健康診断があるので久々に西へ。巣ごもっている間に歩かず食べてばかりだった関係で体重が増えているだろうと想像していたらやっぱりとてつもなく増えていた上に、腹囲が大変なことになっていてこれはちょっとヤバいかもしれないので少し食べるのを控えるか出歩く回数を増やして半年前くらいのレベルまでには戻したい。それでも5年前に比べてやっぱり大変なことになっているので本格的に何かを始める必要がありそう。錆びさせているマウンテンバイクを片付けロードバイクを買って走り回るかな、マウンテンバイクだとやっぱり乗り回すには重すぎたんだよ。

 せっかく街に出たので新宿に立ち寄ってテアトル新宿で亀山睦実監督によるSF映画「12月のカイ」を観る。SFで人間とヒューマノイドの関係を描いている内容とはっては見に行かなければいけないのだ。何でもフェニックス映画祭のSFコンペ部門で高賞を受賞したとかで日本のインディーズに近い製作体制から出てきた作品でもそうした場所で上映されて見てもらえて賞までとってしまうことにまず驚きつつ、それだけの内容を持ったものなんだろうという想像を巡らせてみた映画はなるほどいろいろと突きつけてくるもののある作品だった。

 すでにパーソナル・ケア・ヒューマノイドなる人間そっくりの姿をして受け答えもしてくれる”人造人間”が実用化されている日本で付き合っていた彼氏と別れたキョウカという女性がそれなりに稼いでいたこともあって男性型のパーソナル・ケア・ヒューマノイドを購入し、いっしょに暮らし始める。カイと名付けたそのヒューマノイドは最初こそぎこちなかったものの、すぐにキョウカの生活に寄り添うようになって優しくうけとめてくれて体も重ねてくれる。

 それで満たされているようだったけれど、それだけで満たされていたというと曖昧で、数ヶ月は別の人間の男性とも付き合おうとはしていたみたい。けれどもパーソナル・ケア・ヒューマノイドのことを認めようとはせず人間でなければならないといった主張に反発したキョウカはますますカイへとのめりこんでいく。友人の1人はそんなキョウカに理解を示すものの他の2人の友人は半信半疑。なおかつキョウカの身に重大なできごとがおこって人間とヒューマノイドという、似ていても決定的に違う存在を認めるかどうかといった難問にぶちあたる。

 すでにしてパーソナル・ケア・ヒューマノイドが人間にそっくりな姿で普及しているのなら、それとの関係性もある程度は社会に容認されていて一緒にくらすのみならず、結婚したい籍だっていれたい子どもだって作りたいといった要望も出ていただろうと思うけれど、そこまで社会を成熟させられないのが現実の人間でありまたフィクションとしてのストーリーテリングもあるのだろう。キョウカの母親はキツくあたり、キョウカを戸惑わせつつも反発させて時代の認識を進めさせる歯車にさせる。

 その結果を果たして幸福とみるべきかそれとも悲劇と感じるべきなのか。どちらともとれそうなエンディングに半歩だけ進んだかもしれない新しい時代における新しい認識の可能性を考える。亀山監督にそのあたり、聴いてみたい気がするけれど、4ヶ月くらい撮影期間にかけつつキョウカとカイを演じた俳優達にも意見をもとめて最初はまるできまっていなかったエンディングを書き足していったというから、そこは演じた2人が演じた姿も含めて何を考えていたのか、そして今何を考えているのかを想像する必要がありそう。もう1度見る必要があるなあ。上映あるんだろうか。

 科学的にとてつもないことが起こっているのだとしたら、それを個人のレ好悪のレベルに納めておいて良いはずがないし納まるはずもない。そこのリアクションの淡泊さが気になった。パーソナル・ケア・ヒューマノイドを作っているソムニウムという会社の思惑については別に「ソムニウム」という連作シリーズがあるそうなので、そちらも見た上で改めて「12月のカイ」を見るとより裏も読んでの感想を抱けるかも。いずれにしてもフェニックス映画祭のSFコンペ部門受賞作というタイトルは得て他の映画祭でもノミネートされているそうなのでSF方面にとっても気にしておいた方が良い映画ではありそう。

 「機動戦士ガンダム」絡みで新しくアニメーションの話が2本ほど。1本は「水星の魔女」という話だそうでいたったいどういう話かまるで分からないけれども金星よりも内側にあって灼熱の水星で戦うとは思えないので、象徴として用いつつそんな感じの美少女が活躍する話になるのかな。もう1本は「ククルス・ドアンの島」で「機動戦士ガンダム」のテレビアニメーションでは1エピソードとして反戦サボタージュしている兵士の姿が描かれているけれど、それを元に「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」の安彦良和監督が原作の漫画も出ているから、そっちみたくリブート気味にオリジン再度の思想をベースにしたエピソードが綴られることになると思いたい。でもやっぱりここは「トニーたけざきのガンダム漫画」をアニメ化して欲しかった。安彦良和さんの作画監督で。絶対に面白いものになるのになあ。


【9月14日】 もう死んでいる探偵が人気になったと思ったら、今度はまた殺されてしまう探偵が登場。てにをはによる「また殺されてしまったのですね、探偵様」で主人公の追月朔夜は殺されても生き返ってしまう“体質”らしく幾つもの事件の中で殺されては、復活を果たしてその度に助手のリリテアから「また殺されてしまったのですね」と言われながら膝枕の上で目を覚ます。よほど間抜けな探偵かと思いきや父親は世界で暴れていた《最後の七人》(セブンオールドメン)と呼ばれる罪人たちを捉えて刑務所に放り込んだ名探偵。やはり死なない体質らしく息子もそれを受け継ぎつつ、探偵としても徐々に活躍の場を広げようとしていた。

 そして舞い込んだのが映画プロデューサーの浮気を調査して欲しいという妻からの依頼で、父親とは随分と違った仕事だけれどそれでも引き受けプロデューサーが仕立てて女優や取引先らを乗せた豪華客船に乗り込んでいってそこでやっぱり死んでしまう。女優の卵の灰ヶ峰ゆりうがプロデューサーの猫を探して走り回っているのに行き当たり、手伝うことになってあちこち歩いていたところで見つけたのが首吊りしたい。自殺? かと思いきやどうやら他殺らしいと気付いたところで後から喉をかききられた。そうしたところに防御の意識が働かないのはどうせ死んでも生き返ると分かっているから。だったら犯人の顔もしっかり観たかというと後からいきなりだったから観てない。

 何と役に経たない行き返り能力。でも隠滅された現場の証拠は覚えていて、あとは状況から犯人を焦らせ再度の行動にとらせるところがある意味で名探偵の証なのかも。そうやって解決したかと思ったところに空から父親がハイジャック犯を追って乗り込んでいた旅客機が落ちてきて客船と激突して父親は死亡。とてつもない展開になるかと思いきや映画館でゆりうの新作映画が完成したというので披露の上映会があったところで毒殺されたり、その映画を撮影している途中で20年前に起こった事件にも似た連続殺人に巻き込まれて首を切断されたりといった事態に遭遇する。それで生きてられるのだから旅客機で墜落して黒焦げになったと観られた父親だってきっと生きているだろう。

 そんな想像の中、暗躍し始めた《最後の七人》が手を替え品をかえて朔夜に絡んで来そうな予感。さっそく1人が。それより先に実は……ってなところで「探偵はもう、死んでいる。」から始まった探偵もののようでラブコメでサスペンスでアクションでスペクタクルでSF味もある何でもありのライトノベルがまた誕生。これが当たってそれから電撃文庫で久我悠真さんが始めた奴隷の身分にありながらも国王の娘という少女が、隣国から潜入したスパイと組んで王位を目指す勝負を勝ち上がって行くというストーリーの「プリンセス・ギャンビット 〜スパイと奴隷王女の王国転覆遊戯〜」も人気となれば、ラブコメ全盛になってきている文庫ラノベの世界を少しは変えられるかもしれないなあ。「スパイ教室」の新刊も出る9月がひとつの転換期になったと後に言えるかどうか。記憶しておきたい。  銭湯から「かげきしょうじょ」の暖簾を盗んで走り去った人物はしっかりと防犯カメラにとらえられていたから、近隣の防犯カメラも含めて捜査すればそれほど苦も無く犯人とか割り出せそう。じわじわと追い詰められる感覚にこれはと観念して戻せばそれで良いけれど、隠滅を図って燃やすとか捨てると課するのが最悪で、それをやったら罪一等は減じられるどころか重くなる上にのれんも汚されてしまって取り返しがつかなくなってしまう。ファンならそういうことにはならないと信じたいけれど、今時は転売目的にかっぱらって売り払おうとする輩もいたりするから無事かどうかは返ってくるまで分からない。闇市場じゃないんだからネットで転売すればすぐ足はつくのに。だからやっぱりファンが持っていようと思ったのかな。だったら返そうよさっさと今すぐ。

 読売新聞がいわゆるワクチンの陰謀論にひっかかってしまった家族を持った人たちの苦闘を記事にしていて、昨日あたりから話題になっているとある人物の反ワクチンへの傾倒なんかとも含めてどうしてそうなってしまうのか、分からないけれども信じたい何かがあるんだろうかと類推する。その人は身内も自身も病気を患って医療への不信感があったのかもしれず、そこに親族の訃報などもあっていろいろと身心に影響が出ていたのだろう。そこにもたらされた医療への不信を声高に叫ぶ反ワクチンの声に惹かれてしまったと。それなら落ち着けば戻って来るかというとやっぱり世界が新型コロナウイルス感染症から元に戻るのは数年先になりそう。それまでの間に起こるだろう紆余曲折の中でより深い方へと足を踏み入れないとも限らない。だからあっぱり早い段階で誰かが戻して欲しいけれど、そういう役割を果たせる重鎮がもういないんだよなあ、案外に。悔しいなあ。


【9月13日】 DAZNでものすごく久しぶりにF1グランプリを観て最近のF1カーはどれここれも似ているなって思ったらどうやらレギュレーションがガチガチで似たような形のしか作れなくなっている感じ。それこそティレルの6輪車とか初期のジョーダンのどこか有機的なフォルムとかいろいろな工夫があって面白かったF1だけれど、トップチームの開発力がシャシーもエンジンも行き過ぎて、形をいじったくらいでは競争にならないとなるとあとは統一化によって戦力差を縮めないと面白みが薄れて観客が離れてしまうって感じたんだろう。

 ネットなんか漁るとすでに2022年のコンセプトマシンなんかも上がっていてフロントウィングのシャギーな感じとかYの字方に延びたコックピットガードとか2021年のマシンを延長したような感じで、これを標準にしてフェラーリもマクラーレンもレッドブルも似たようなマシンを作り出してくるんだろう。そうした中でホンダがオフィシャルとしてのエンジンサプライヤーから降りる2022年度はメルセデスとフェラーリの出来上がり次第で2極化するグランプリになりそうな予感。そんな中でルイス・ハミルトンとかマックス・フェルスタッペンとかバルテリ・ボッタとかが競い合うんだろう。DAZNに入っていたら観られるかな。

 そんなF1イタリアグランプリはレッドブルホンダがいなくなって突っ走るマクラーレン2台の後を最後尾から出発したメルセデスのボッタが追いかける展開に。間にペレスも入っていたけどペナルティで5秒が加算で最終的には表彰台には上がらずマクラーレンの2人が登壇してはシャンパンファイトを繰り広げていた。そこでこのご時世だからやならいんじゃないかとも言われたダニエル・リカルドによるシューズでのシャンパン一気のみが登場。いちおうは履き替えているんだけれど2時間近く車を運転し続けた足はきっと蒸れ蒸れで、それが少しの時間でもはいった靴でシャンパンを飲むのは当人はともかく回されたペレスはいろいろ思うところもあったんじゃないかなあ、同僚とはいえ。さすがにボッタには回らなかったけど。でも楽しげな表彰式。こういう笑顔が日本では観られないのが辛い。早く良くなれコロナパンデミック。

 SFなら科学に依拠して正確なことを語るかというとそこは科学に依拠しつつより面白い方、恐ろしい方へと想像力をめぐらせるのがSF的な思考方法でもあったりするから名のあるSF作家の人が新型コロナウイルス感染症に関連してワクチンに関するデマゴーグを信じて拡散することもあって不思議ではないのかも。もしかしたらあるかもしれない、あるいはあったほうが興味深いかもしれない状況に思考が傾く傾向、あるいは権威なり権力に対して懐疑的になりつつ物事を相対化して眺める意識が今はそっちへと向かっているだけだと思いたい。でもやっぱりワクチンに関するデマを周回遅れで信じている気はするなあ。不安に忍び寄る安心と騒乱の心理を解消するには信頼している誰かの助言が必要。誰ができるだろう、今。

 将棋の叡王戦第5局が開催されて豊島将之叡王に挑戦した藤井聡太棋聖・王位が勝利して三冠を史上最年少で奪取。あの羽生善治九段が達成した記録を3歳以上も上回る19歳1カ月はきっとおそらくあと半世紀は破られないんじゃなかろうか。これで竜王戦への挑戦権も獲得して同じ豊島竜王に挑戦が決まっている。それで勝てば四冠となり王座に王将も獲得すれば年度内に六冠だって夢じゃない。名人位だけはA級に上がってそこで挑戦者にならなければ挑戦できないからまだ数年は先だけれど、それでも羽生九段が達成した七冠を、今の八冠に増えた時代に超えることだって不可能じゃない。どうなることか。

 そんな藤井三冠の誕生で、こちらではすでに二冠ですら追いつかれていた「りゅうおうのおしごと」の九頭竜八一の立つ瀬がますますなくなった。まあフィクションなんでここから巻き返して多数のタイトルをとらせることだって不可能じゃないけれど、そこに至るまでの道筋を作ってそれが納得のいくものでなければもはや世間は納得しないから、きっと無理に超えさせることはしないだろう。むしろ今は女流棋士たちの苦闘を描く方が中心で、最新刊「りゅうおうのおしごと!15」で八一の下を出た雛鶴あいをタイプがまるで違う、そしてあいを敵視していそうな鹿路庭珠代の下で修行をさせてお互いに一皮むけさせつつ、周囲にもおおいに影響を与えて珠代が師事する山刀伐尽八段を名人挑戦にまで至らせた。

 そしてあい自身も釈迦堂里奈女流名跡に挑戦させるというところまでたどり着いた。誰もが萎えていた中に登場した本気のあいが女流棋士たちの棋士としての魂に火を着けた格好。そして供御飯万智の八一への恋心にも。けれども受けず姉弟子のことを思い続ける八一に答えて療養に出ていた銀子の復活は果たしてあるのか、といったあたりが第16巻の読み所になるのかな。八一自身も次のタイトル戦とかあるか分からないけれど、そろそろその魔神ぶりを見せては名人相手に凄みを改めてみせて欲しいもの。気になるのは祭神 雷が埒外におかれているところか。八一ですら苦手とするそのキャラクターにあいが向き合って潰されないかどうなのか。刊行を待とう。半年後くらいかなあ。


【9月12日】 朝からタリーズへと入って10本ばかり下読みをする仕事をしてから本屋に行って月刊ニュータイプの2021年10月号を購入。表紙と巻頭の特集が「探偵はもう、死んでいる。」なのにKADOKAWAグループのMF文庫Jから出ている小説が原作とはいえ、そうしたことに忖度しないアニメ誌で表紙を飾るまでの作品になったのかと感慨にひたる。2019年の年末に第1巻が刊行されて1年ちょいでアニメ化となってそして2年弱でニュータイプのの巻頭とうのはライトノベル的にもなかなか異例の出世ぶりだからなあ。

 いわゆるなろう発でもない作品がこれだけ盛り上がるっていうのも珍しいけど、ここに至るまでにメディアファクトリーの編集O氏が頑張って仕掛けたところがあるからそこを褒めたい。異世界転生でもないしラブコメでもないSFとミステリもごっちゃになった異色の作品をそもそもライトノベルとして売り出すにあたって普通にやっては気にとめられないと大勢に声をかけてコメントを寄せてもらって印象付けたその後も、立て続けに刊行して意識を途切れさせずに1年間を突っ走った。これとファンタジア文庫「スパイ教室」の人気が今はラブコメ全盛に傾いているライトノベルを何でもありいに引き戻してくれれば面白いんだけれどなあ。

 昼過ぎには帰宅してDAZNでWEリーグの開幕戦となる日テレベレーザ東京ヴェルディと三菱重工業浦和レッドダイヤモンズレディースの試合を見る。栄えあるプロリーグの開幕戦なんだからそれこそ新国立競技場で大勢の観客を集めて開きたかったことだろうけれど、このご時世でどうなるか分からない中で国立を抑えるのもリスキーだっただろうから、こぢんまりと始めていざという時の中止リスクも勘定に入れていたのかもしれない。なので西が丘のチケットはとれず自宅での観戦になったけれど、一応の推しチームとなっているジェフユナイテッド市原・千葉レディースは理念追求日だとか何といかいう余りチームとなって来週が開幕だから、そちらを見に行くことで自分的なけじめは果たせるのだ。

 試合はベレーザが専制したもののレッズレディースが菅澤優衣香選手のニアサイドからのコースをかえるようなゴールで追いつきそして逆転のまま一応のアウェイでの勝利を確保。リーグでも強かったから別に番狂わせでもなかったけれど、それでも業界的に目立つベレーザが勝利をつかんだ方がいろいろと押し出しが聞いたのか、男子のトップチームが持つ分厚いファン層をそのまま受け継ぐレッズレディースが突っ走った方が裾野が広がる感じなのか、そんなあたりも観つつプロとして運営されていくWEリーグがしっかりと観客もスポンサーも確保して、黒字体質の運営を可能にしていくかを見極める必要がありそう。理念が先走っても潰れたプロリーグって過去にもいっぱいあるからね。

 金曜日に発表されたNetflixアニメ・クリエイターズ・ベースに関して日経がアニメ人材の抱え込みだって書いていたけどそれはちょっと違うんじゃなかろうか。クリエイターズ・ベースはプリプロダクションよりさらに前段階の企画立ち上げに役立つイメージボードの制作をとりあえず手がける部署で、いずれは企画書の作成代行なんてのもやるかもしれないけれどアニメーション制作会社の弱い部分を受け持ちつつ自分たちが通したい企画を練り上げアニメーション制作会社へと提案する機能であって実際に作ってくれるスタジオがなければ動かない。

 あるいはアニメーションスタジオが作りたい企画を持ちこんで、それをNetflixが作ると決めたものについて事前の開発を受け持つとか。いずれにしてもそうやって自分たちのアニメのために動いていくれるスタジオを動かすために資金を集めて提供する機能を、イメージボードから脚本からいろいろな権能を有していくことで強化していくんだろうけれど、それによってNetflixがアニメの中心になるってことはないような気がする。サンライズだとかトムス・エンタテインメントといったトップチームもNetflixと作ってないし。

 そもそもがNetflixが、作りたいアニメとアニメーション制作会社が作りたいアニメが合致するかというとそうでもない。だからあくまでもひとつのファイナンス元であり企画発注元といった、昔のパッケージメーカーが担っていた機能がプリプロダクション部門の内製化とともにNetflixの内に装備されるといったところだろう。それよりもNetflixオリジナルのアニメーションも何でも凄いといった印象がちょいズレてきているのが気になるところ。「B the Beginning」の第2期がどうだったってアレだったし、「Yasuke」なんてもう誰も気にしてないし。作りっぱなし流しっぱなしで終わりって感じ。そこから儲けを最大化させるようなプロモーションとかヘビーローテーションなんかをしてくこと、それより以前にやっぱり企画の段階で大勢がこれと思う作品を企画することが重要なんじゃないかなあ。「スター・ウォーズ」で攻めてくるディズニー+に叶わないよ、このままじゃ。

 DAZNが動き始めたのでWEリーグの他の試合とかセリエAのサンプドリア対インテルの試合なんかをザッピング。リーグを制したインテルが開幕から連勝してあたったサンプドリアは目下未勝利だったけれど、吉田麻也選手のゴールなどもあって2点を奪い2点をとられたものの同点で終えて勝ち点1を手にした。セリエAの守備の要として機能している吉田選手はやっぱり凄い。おまけに得点まで決めてしまうんだからやっぱり世界でもトップクラスのプレイヤーってことになるんだろう。そうした1人がいても他に並べる人材が育ってないのが代表の目下のパフォーマンスに現れているのかなあ。監督の観る目ってのもあるのかなあ。次のサウジアラビア戦が決め手になるな。


【9月11日】 ライティ方面に受けたいと勇ましいことを言うのもあって不思議はないけれど、それが日本にとって逆に安全を脅かすような言動だとやっぱり問題も大きいだけに用心したい自民党総裁選での高市早苗候補の動勢。「高市氏は『必要なところにしっかりお金をかけないと日本を守れない』と強調した。安倍前政権が着手した敵基地攻撃能力の保有を巡る議論も結論を急ぐと明言。『敵基地をいかに早く無力化するかに重点を置きたい』とも指摘した」って言動には、専守防衛の方針をはみ出して敵基地の無力化を狙って先制攻撃も辞さないといったニュアンスが感じられて不安になる。

 だってそんなことを言えばだったら先に無力化だって話になって日本に直接攻撃が及ぶ可能性が膨らんでしまう。抑止力だという言い方も出来るけれどそんなハリネズミ合戦が行き過ぎれば軍事費の増大に繋がっていろいろと経済が回らなくなる。あとやっぱり問題なのが「電磁波や衛星を利用した敵基地の無力化を可能とする法整備の重要性を説いた」ってあたりで、何か指先をパチンとやれば無力化できる装置があるような言い方だけれど、現在の武装でそれが可能なのは高高度核爆発電磁パルス攻撃くらい。つまりは核保有であり核攻撃の容認であって、被爆国の日本にとうてい認められる話ではない。世界からだって袋だたきに遭うだろう。そうした可能性を示唆したというあたりでいっせいにメディアが突っ込んでくれれば良いんだけれど、甘いからなあ、オールドメディアはどこもかしこも。

 連日のタリーズで短いアニメーションを観る仕事。大勢が取りかかって作り上げたフル3DCGアニメーションの見かけの高くて整ったクオリティと個人が表現を突き詰めて手描きした2Dアニメーションの見かけの個性的なクオリティのどちらを上で下かといった判断がつけづらくって迷う。動画からセル画をつくって撮影をしていく商業アニメーションの手法とは区別がついた個人制作のアニメーションだったけど3DCGは個人とか数人のチームであっても商業と代わらないクオリティが出せてそれでいて個人制作に近いニュアンスも持っているとアートっぽくないと断じる訳にはいかなくなる。そんな葛藤を世界中のファンが持って眺めている今の過渡期からその先に、どんな短編アニメーションの世界が来るんだろう。ちょっと気になる。

 近所のイオンシネマ市川妙典に「サマーフィルムにのって」が来たので55歳割りを使って見に行く。他が60歳からの割引がイオンシネマだと55歳からになっていて想起退職組に優しい映画館。これで新浪剛史サントリー社長が言うように45歳定年なんてものが標準化したら45歳からでも安く映画が観られるようになるんだろうか、ってことはたぶんないんだろうなあ。新浪社長の言い方は今の一括採用からの年功序列気味に勤めて定年まで持っていく雇用体系の中でいきなりやれば、再雇用の可能性がないままで貯金もさほどもたない子育て世帯がいきなり無職になりかねない無茶を含む。これが若いうちから仕事量にマッチした給与を得て貯金も出来て結婚も出来て45歳くらいで子育ても終わりが見えて来るならそこでリタイアするってこともありかもしれない。

 あるいは30代で経営に回って定年とか無関係に働き続ける環境が整っていれば大丈夫なのかもしれないし、逆に単純労働の市場に労働力がまわって1年更新の派遣雇用が永遠に続く地獄になるのかもしれない。いずれにしても現状が代わらないと無理な話を持ち出して語ったところに突っ込まれる余地も多分にあった。どういう言い訳をしてくるかが気になるところ。って話はさておいて「サマーフィルムにのって」はこれで4度目で、ハダシを映画に出演させた場面で花鈴が立ち上がろうとする際にしっかりスパッツがはいていたのが今回も確認できた。だから嬉しいかというと悩ましいところだけれどスパッツだって観られると嬉しいというのが人間性って奴だからこれはこれで有り難い。

 そんなシーンとあとはハダシが倫太郎と激突するシーンの感触を想像する楽しさを味わったあと、体育館での上映からのハダシ監督による撮影続行へと至るシーンでの湧き上がる昂揚を今回もたっぷりと味わう。何をすんだと咎めたように見えた花鈴が「さあ大活劇シーンだよ」と映画部員を鼓舞して、部員たちがいっせいに箒とか持って刀に見立てて構えてハダシを迎え撃つ殺陣を演じる統率感。そういう展開へと持っていって見た目のカタルシスを与えつつ花鈴もやっぱり映画の虫なんだということを分からせ親しみを抱かせ、そして抜群のラストシーンへと持っていく展開は今年の映画でもトップクラスの感慨を与えてくれる。「竜とそばかすの姫」におけるすずになったベルの歌唱シーン、そして「いとみち」におけるいとの三味線の演奏シーンと並べて3つのベストって言えるかな。ああ「サイダーのように言葉がわきあがる」のチェリーの俳句による叫びからの告白もあった。名シーンのある映画は名作だ。そんなことを感じさせてくれる年だなあ。


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