縮刷版2021年2月中旬号


【2月20日】 舞台となっている東京港の埋め立て地に1番近い映画館ということで、お台場にあるユナイテッドシネマで「機動警察パトレイバー2 the Movie 4DX」を見る。最前列の真ん中あたりは吹き出す雪をまともに浴びる場所だけど、南雲しのぶが柘植に会いに行く水路のシーンの静謐な状況でぶしゅっと雪を噴出する音が割と響いて少し雰囲気が減殺される感じ。まあそういうものだから一種の仕様と認識はするけれど、いつか静かに雪が降るような仕掛けも考えて欲しい。

   それからお台場だけの仕様かどうか分からないけれども水の噴出する勢いが凄かった。冒頭の4DXを紹介するプロモーション映像の時からもう壊れた水道栓のように噴き出してくるからその度に、眼鏡が水でまみれて拭かなくちゃいけなくなった。それもだから4DXの仕様だから仕方がないとして、冒頭の柘植が紛争地帯で先頭を追えてたたずむ場面でぴちゃぴちゃと降る雨のところに、シンクロしての雨が欲しかったかもしれない。少しタイミングが前だったんだよなあ。

 ストーリーについては今更いうこともなし。どこかで見たような絵がいっぱいなのはそれだけいろいろなところで見ているからか。レイアウトシステムで知られる作品とは知っているけど、どのシーンをとってもばっちり決まっているのが凄い。カメラのレンズもちゃんと意識した絵の作り方がされている。それを意識して描ける人が揃ったってことなんだろう。正面から顔をとらえて魚眼風にふくらませたりフラットにしたりと変化をつけることで、見た目以上に心情なんかが伝わってくる感じ。わざわざレンズ交換をしなくても、筆1本でそれをやれてしまえるアニメーションの凄さってのを改めて感じた次第。

 最前列で聞いても本庁に呼び出された後藤隊長がぶつぶつ言っているセリフはやっぱりはっきりとは聞き取れない。「特車二課」って言っているような印象。襲撃されたとか壊滅したとかいった情報を反芻して何が起こっているかを想像しているのだろうか。荒川を演じた竹中直人はこれがやっぱり声優としては最高かもしれない。他に回るとすべてが竹中直人の声になってしまうから。某池袋映画とか。そんなこんなで4DXでは1と2と、両方を見た「機動警察パトレイバー」の劇場版。次はだったら実写葉の「THE NEXT GENEREATION パトレイバー」でも44DXを、全部じゃなくていいから最後の「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 ディレクターズカット」だけでもと思うけれど、作っているのが今話題の東北新社だから難しいかなあ。いっそ払しょくする意味ですかっと4DX化を。

 大坂なおみ選手がテニスの全豪オープンで優勝。2019年に続いて2度目でほかに全米オープンで2018年と2020根に優勝しているので、グランドスラムはこれで4度目の制覇となる。現役ではクライシュテルス選手の4回と並んだ形。上にはビーナス・ウイルアムス選手やセリーナ・ウィリアムス選手といった果てしない高みがあるけれど、まだ23歳と若い大坂選手ならこれから幾つもグランドスラムを重ねていけそうな予感。新型コロナウイルスの影響もあって連戦がなく余裕をもって試合に臨んでもいろいろと言われない環境でもあるし、ここはじっくりとゆっくりと勝ち進んでいって欲しいもの。東京オリンピックは開催されれば優勝して欲しいけど、無理にとは言わない。だってプロテニスプレイヤーはトーナメントで勝つのがお仕事だから。

 第41回日本SF大賞が発表になって菅宏江さんの「歓喜の歌 博物館惑星3」が早し譲治さん「星系出雲の兵站」シリーズと並んで日本SF大賞に輝いた。第21回の日本SF大賞で「永遠の森 博物館惑星」が候補になったものの落選となり、続いて「誰に見しょとて」も候補になりながら届かなかっただけに時間をかけても作品を出し続けて来た菅さんの粘り勝ち。一応の大団円という作品での受賞も喜ばしいことだろう。これで弾みがついて過去作なんかも掘り起こすとなったら今時流行りの百合SFの始まりにもあたる「歌の降る惑星−センチメンタル・センシティヴ−」のシリーズを2冊、出し直しつつ続きも書いてもらいたいなあ。どうだろう早川書房、今がチャンスだ。

 林譲治さんは日本SF作家クラブの会長という激務をこなしながら9冊を出してしっかりSF大賞に輝いたところが偉業。現在の会長となる池澤春菜さんにそこんところどうなのと聞いたらやっぱり偉業と言っていた。ただ林さん的にはそうやって、組織のトップとなっていろいろと見たことによって自分の作品で、兵站という組織全体を見通し動かすような仕組みについての小説が書けたと話していたとか。それはそれで会長職を務めた甲斐もあったということで、続く池澤さんもひとつ何か。いや自分は無理とかおっしゃらずに。あと中国SFの紹介で立原透耶さんが受賞し、そして功績賞に亡くなられた小林泰三が入って4人が受賞。大変だけれどそうやってSFを盛り上げていくのもひとつの形。Zoomでの会見もあったし、そういう試みから新しいSFが生まれていってくれると有り難い。仕事も増えるかもしれないし。さてはて。


【2月19日】 続々と出てくる、愛知県の大村秀章地時に対するリコール請求の署名が遠く佐賀で擬装されていたという件に関する報道は、中日新聞が福岡県からアルバイトで参加した人が日付を散らして書くように指南されたという話をしていて、そこに9月後半から10月中旬までの日付を書くようにと言われたとか。フェイスブックで偽造された署名が見つかった経緯をつづっていた請求代表者の人が、明らかに偽造されたとみられる署名の日付に9月のものが混じっていたと言っているのと符合する。そういうのが紛れ込んだとしか思えないけれど、リコール事務局の人は佐賀で“作られた”署名は排除したって会見で話したらしい。

 いやいやそこでどうして遠く佐賀で署名が“作られた”のかと疑問に思って調べるのが普通なのに、使えないという判断で排除したというからには署名は作れるものだと認識してたってことになるし、それも愛知じゃない場所で作られていたことを知っていたってことになる。言えば明らかに疑われる話を無邪気に喋ってしまえる当りにこの件の、ろくすっぽ調べもしないで普通の署名活動と同じ様な感覚で臨んだ感じが見てとれる。その割には件数が届かなければ調べられもしないで返還されることを知っていた節もあるから、プロの指南もあった可能性がある。本気か無邪気か。どっちなんだろう。

 いずれにしても犯人が外部な訳はないよなあ、数十箱に及ぶ作られた署名が運び込まれて気がつかない内部でもあるまいし。そんな署名についていよいよ読売新聞も書いてきていて、こちらはこちらで署名活動の期間が終わっているにも関わらず、佐賀では署名作りが行われていたとかで、ひとりなんかは10月24から28日までのうちの4日間、参加して働いたそうな。26日以降は完全に日付オーバーなんだけれど、それをスタッフは「署名した日付も期限内に偽って書くよう指示していた」というからちょっと驚く。

 スタッフは「『人数が足りない。明日は友達を連れてきても構わない』と話していた」というからやっぱり完全に違法と知ってやっていた節がある。これだけ証言が出てくるってことは警察も誰が何をやらせたかは掴んでいるだろう。あとは足りない分を補ってでも数をそろえようとしたお金の出所が、いったいどこかってところで、1番お金を持ってる誰かに及ぶ可能性は高そう。騙されたというならそれもまた不徳の至りすぎるのを満天下に晒すわけだから、次の機会に浮上なんてあり得ないと思いたい。それでも応援するメディアがありそうなのが怖いけど。オレンジ色のタブロイドとか。

 文化庁がメディア芸術部門で展開している連携基盤等整備促進事業の報告会がネットで行われて家でつらつら。関わっているアニメ分門以外では漫画の部門でいろいろと原画の保存なんかが行われているようで、それについて秋田県にある横手市増田まんが美術館の人が、漫画原画の保存に向けた取り組みをしている中でいろいろと相談を受けていることが明かされた。その数は全部で21件あって、うちヒアリングが6件、電話やメールで5件、調査継続・調査依頼10件の相談を受けたとか。この発表について明治大学の森川嘉一郎教授が、どういった傾向の相談があったかを聞いていて、その答えがいろいろ面白かった。

 相談は週刊マンガを連載している作家から話が来たそうで、美術館にも来た人もいたという。自分が所蔵している単行本や雑誌も寄贈したいという話があったり、亡くなった作家の版権回りにいる方々から展示会を含めた収蔵相談が行われたりしたそうで、中には英国に住んでいる漫画家が、東京のアトリエを畳む際に原画を整理したいけれど、帰国できず整理ができないという相談もあったとう。誰だろうかちょっと気になった。気になるのは、誰でもOKかってところだけれど、誰と絞らず遍く手を伸ばすのがアーカイブではあるものの、そこは費用もかかるだろうから誰でもって訳にはいかないんだろうなあ。

 「ラブひな」の赤松健さんも質問に立っていて、自分に今、ムロタニツネ象さんの作品について、「わんぱく三銃士」など電子化はしたが、原稿の保存が手つかずになっている相談されてから調査が始まるんだけれど、今は新型コロナウイルスの関係もあって現地調査ができず、いろいろと案件が貯まっているって話になった。とはいえムロタニツネ象さんは結構なお歳で、早く決めたい気持ちもあるだろう。そういうのはとりあえず預けておいて、あとでいろいろ扱いを検討していくことも可能らしい。

 ただ寄託か寄贈かといったところで差もあるようで、ただ預けるだけなら美術館側にメリットも少ない。そこを寄贈にしてくれるなら、順番が繰り上がる可能性もあるかもって話してた。一考する価値はあるかも。でも誰でもって訳にはやっぱりいかないんだろうなあ。そこはだから国が収蔵施設を作るべきなんだけれど、このご時世に予算もきっと大変だろう。そうこうしているうちに海外にかっぱがれる可能性。まとめで森川教授が話していたように、クリスティーズのような老舗のアートオークションが乗り出してきて漫画やアニメのセル画なんかを美術品価格で扱い始めた。ネームバリューとキャラクターバリューで価値が決まる世界。歴史的な意義とかすっ飛ばされる価値付けはアーカイブにとって決して良いとは言えないだけに、早急な対策が必要で国が収蔵していく方針を決める必要があるんだけれど、そこでやっぱり予算がって話になるんだろうなあ。いっそアラブの石油王が漫画もアニメもすべて買う、ってなれば砂漠にだて見に行くんだけれど。働けと言われても行くかなあ。暑いの嫌いじゃないし。


【2月18日】 藤井聡太二冠が高校を辞めて棋士に専念することにしたとか。タイトルを2つ持ってて他にも棋戦でも勝ち上がっているからスケジュールも過密だったはず。それで名古屋の学校に通っていたらとてもじゃないけど東西から全国規模で行われる対局に参加できるはずもないから、今は退学して正解かもしれない。羽生善治九段も確か高校に進学はしたものの対局過多で辞めたあと、通信制に通って高校卒業の資格を得たそうだから藤井二冠もそうした道を今後選べば良いんじゃないかな。来期はB1でそこを抜ければA1でそこで名人にに挑戦権を獲得して勝てば名人。2年半はかかるけれどもどうにか最年少名人はいけるかな。そのためにも今はやっぱり棋業専念、止む無しだ。

 ついでに言うなら瀬戸市を走る聖火リレーを辞退したのも、忙しい中でスケジュールがどうなるか分からないから仕方が無い話。決して森喜朗元総理が東京オリンピック組織委員会の会長として発した女性を差別し侮辱するような発言に対して抗議したものではないけれど、藤井二冠の辞退が表明されたとたんに会長辞任が取り沙汰されたんで、影響があったと見られてしまったかもしれない。そんな森元総理の後任会長に橋本聖子五輪担当相が決定してしまって、キスだの何だのといった前歴が取り沙汰されては全世界的に叩かれてしまわないかと思うとちょっと可哀想になってくる。和解めいたこともして釈明もしてチャラになったかというとそうでもないけど、国内では下火になっていた喧噪が再燃しかねないからなあ。

 一方で五輪担当相というそれなりに意義もある地位を捨てさせられる構図もちょっといかがなものか的。元総理やら現総理やら自民党の偉い人やらがよってたかって後任にしようと動き回り、退路をふさいでそっちに向かわざるを得なかいようにしたのはどこかパワハラめいて見える。セクハラが問題になっている人がパワハラをくらう循環は、どうにも日本のオヤジ的な政治環境社会環境を象徴しているようで薄気味悪い。一方で五輪担当相には「愚か者」発言で名高い丸川珠代議員が就任。まあ前にも就いていたから悪い選択ではないんだろうけれど、女性でそれなりに名が知られた人をおいておけば良いじゃん的構図も感じられるだけにやっぱりこれも日本のオヤジな政治環境が透けて見えて薄ら寒い。アメリカみたいな適材適所がバシッと決まる国みたいにはならないものかねえ。

 「100日後に死ぬワニ」が100日後にアニメーション映画「100日間生きたワニ」となって登場するとか。どうなることかとワクワクさせつつハラハラもさせた漫画が終わって大感動を呼んだ瞬間に商売っ気がまき散らされて大反発を暗い、グッズも絵本も散々な成績に終わってもはや立ち直れないところまで落ちてしまったかとも思われていたけれど、「だんご三兄弟」のようにピークからあっという間に消えてなくなったアイテムとは違ってしっかり水面下で立て直しが進んでいたもよう。「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督がこれをやりたいと手を上げ、そしてアニメーション映画「こんぷれっくす×コンプレックス」で毎日映画コンクールのアニメーション映画賞を受賞した奥さんのふくだみゆきさんも参加することで作品として興味が持てる企画になった。

 なおかつ「伝説巨神イデオン」や「聖戦士ダンバイン」のキャラクターデザインで知られるアニメーターの湖川友謙さんが絵コンテで参加というからいったいどんなビジュアルになるんだろう、ってそこは元の絵が絵本としてかっちりしているから、絵柄が大きく変わることはないんだろうけれども動きだとか見せ方に湖川さんならではのダイナミックで情念のこもったものが見られるような気がして鳴らない。

 神木隆之介さんや中村倫也さんや木村昴さんといった芸達者も声で参加。スタジオはアニマにイルカと笹原組な昔から続くCGスタジオが関わっているなら映像としてもちゃんとしたものになるだろう。「映画 えんとつ町のプペル」と同様に成り立ちだとか作り手だとかの評判で敬遠されかねない部分もあるけれど、こと作品として見るならクオリティは間違いなさそう。あとはどうしてもハンディが付けられるスタート地点からどれだけかっ飛ばせるか。そしてやっぱり新型コロナウイルス感染症の影響がそこまで続いて公開が危ぶまれないか。諸々の課題はあるけれどそれらを乗りこえて2021年でも話題の1本になって欲しいなあ。

 2021年のアニメーション映画はこれだけじゃなく、きっと公開されるだろう「シン・エヴァンゲリオン劇場版」がまずあって、それからプロモーション映像が公開された細田守監督の「U」もあってとなかなかに盛況そう。「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」のとてつもない興行成績を見てしまうと、その後に何が来てもたいしたことないって思われてしまいかねないけれど、個々の作品が20億円から50億円、そして100億円といった規模でヒットしていってくれた方が市場全体としては盛り上がるし、クリエイターたちもやる気が出る。そんな状況が来てくれると嬉しいなあ。あっとそうだ「映画大好きポンポさん」もあった。あとは「サイダーのように言葉が湧き上がる」も。どれも凄い映画ばかり。日本のアニメーション映画は2021年も芳醇です。


【2月17日】 中日新聞と西日本新聞による報道で本格化した、愛知県の大村秀章知事に対するリコール実施の署名活動で行われた署名偽造の追求は、新たに署名を名簿から写すアルバイトに参加した人の証言なんかを引っ張り出しては、誰かリコール運動の事務局の人らしい責任者が現場にいて仕切っていたことを報じていた。ほかにもリコールを応援してちょという葉書を投函する仕事を請け負った広告会社が、仕事を回した下請けが署名の偽造を行う要因を動員した際に、事務局からの依頼があったといった話も浮上。これで事務局があずかり知らないところで勝手に偽造が行われ、紛れ込まされたなんて良い訳も通用しなくなって来た。

 電話やメールや暗号で依頼した訳でもないなら、やりとりの記録は残っているし記憶だってあるだろうから、いずれ遠からず当事者が判明して指示系統も明らかにされるだろうけれど、そこで果たして総責任者の美容整形外科医の指示があったかどうかまでたどり着けるかはちょっと不明。今の時点になっても直接敵に事務局の人間に対して監査を行うこともなく、というより事態が浮上した11月の上旬時点で率先して調べるどころか逆に手仕舞いをしようとしていたあたりで、何か勘づいていたような雰囲気もあるし勘づいていなかったのだとしたらそれはそれでやぱり責任を問われるだろう。

 これが河村たかし名古屋市長になると、実働部隊&スポンサー的な相手と認識をして応援はしたかもしれないし、名簿あたりを融通した可能性も考えられない訳ではなさそうだけれど、直接の指示となるとそこはさすがにワルではないから、偽造までして水増しをして存在感を高めようとはしなかったんじゃないかなあ、いや実はワルかもしれないから分からないけれど。とはいえこちらも11月の頭あたりでいろいろ疑惑が浮かんでいたにも関わらず、調べようとせず一人歩きを始めかけていた数字を元に大村知事を断罪したことに対して、撤回も謝罪もしていないから何らかの責任は負ってもらわないと納得を得られない。そういう真摯な姿勢がとれるなら、過去に舌禍や失政も犯してないだろうから無理かなあ。となると名古屋市長選も無理か。いずれにしても捜査が始まれば速攻、明らかにされるだろう事件。見て行きたい。

 「美少女戦士セーラームーン Eternal 後編」をららぽーとTOKYO BAYにあるTOHOシネマズまで見に行って、レディースデイで女性がいっぱいに入ったシアターで最前列に陣取って、にょっきりとのびたセーラー戦士たちの脚なんかを見上げつつ、デッドムーン相手のバトルを大画面で堪能する。しゃがむと丸みを帯びながらもお尻ではないよう巧みに描かれた太ももの裏側のエロティックさがいろいろと堪能できたのは良かった。あと男装の時はすらりとしているのにドレッシーな服ではしっかり谷間もできる天王はるかさんの肢体とかも。押さない土萌ほたるを相手に太陽系を作るゲームをしていた時も、はだけた前からのぞいてはいたけれど。

 そんなはるかや海王みちるや冥王せつなも含めた外部太陽系戦士たちも加わって、セーラー戦士の大軍団が総がかりで挑んでもなかなか倒れない敵の強さが改めて感じられた後編。セーラームーンなんていったい何段階進化したんだ。ノーマルからクリスタルからエターナルからプリンセス、だっけ? 何段階にも変化していくセーラームーンを例えばセーラーバルキー、セーラーガウォーク、セーラーバトロイドと名付けたらどうだろうかとちょっと考えたけど、それだと進化している感じがあんまりないか。

 「デッド・ムーン編」を前後編にまとめる関係でてきぱきとした展開も目立った印象。あるいは原作もそうなんだろうか、セーラームーンとタキシード仮面だけエリオスがいる聖地エリュシオンに向かおうとして、他が自分たちもと申し出たら断ったのに、ちびうさがやっぱり行くと食い下がったらわかったみんなで行こうと豹変する臨機応変振りが楽しかった。アマゾネス・カルテットはそうか原作では4大小惑星のセーラー戦士だったのか。小惑星でもセーラー戦士になれるならどこかにセーラーリュウグウもいるかもしれないなあ。若返って赤ん坊から成長を始めたほたるやら、ちびうさやら小さくなったセーラームーンやら幼女童女にも溢れていた印象。それが只野和子さんのデザインで描かれるのだから堪らない人には堪らない映画かも。BDを両方ともそろえてみたくなった。

 久々にららぽーとを散策してフードコードで肉がいっぱいのラーメンをかき込み、運動も兼ねて徒歩で戻ってからいろいろとチェック。森喜朗元総理が辞任を表明した東京オリンピックの組織委員会会長に、五輪担当相の橋本聖子さんを推す声が高まっているそうだけれど、当人はいろいろ諸事情もあって辞退したい意向。いちおうは決着を見て、だからこそいろいろな団体の会長職だとか五輪相だとかを担当して責務を果たしている過去を、改めてほじくり返されるのも面倒だし、何より今は五輪担当相として政府の側から東京オリンピックやパラリンピックを推進する立場にある人が、その職を辞して似て非なる職に就くのは今の仕事を軽んじていると思われかねない。それは当人にとっても不本意だろう。

 というか、推す人は五輪担当相であり比例代表によって選出された自民党の参議院議員という職責を、引き替えにできるほど組織委員会の会長職を重たいものだと見ているんだろうか。開催されても時限的で開催されなければ3月あたりで終わってしまうかもしれない職を、よってたかって押しつけようとしている構図がどうにもパワハラめいて見苦しい。菅総理あたりが一喝して、政府に必要だから大臣を任せているのであって引っこ抜くなどもっての他と言えば良いんだろうけれど、そんな政府が率先して追い出して押しつけようとしているなら、この国もいよいよ末期的だと全世界的に思われてしまうだろうなあ。とっくに思われているか。やれやれ。


【2月16日】 「シン・トセイ始まる」というキャッチコピーから浮かんだ会話。「都知事、ムリです、人手が足りません!」「ムリって言うな、非正規を雇って!」「都知事、ダメです、時間がありません!」「ダメって言うな、徹夜しろ!」「絶対間に合いません!」「弱音を吐くな!これだから若い職員は……」。それが伊吹マヤ整備長くらいならまだ聞いてられるけれども今の都知事となるとキュンと来るところはなくグシャっとなってしまいそうなプレッシャーかも。「シン・トセイ」事態はネーミングの便乗ぶりはさておき、何かやろうとする前向きさは評価したい。でも都民じゃないから恩恵は受けられないんだけれど。

 これは見事なスクープだ。愛知県の大村秀章知事に対してリコールを行うかを決める署名活動で、偽造された署名が大量に見つかったという一件で愛知県選挙管理委員会が事態を民主主義への挑戦だと重く見て、被疑者不詳ながらも愛知県警に事件として告発をしたというニュースが出たけれど、そんな偽造がいったいどうやって作られていたかを遠く佐賀県に取材して暴き立てた。何でも広告代理店経由で人材派遣会社に人集めの要請がいって、それで集められた人たちが佐賀県にある会館の会議室にこもってせっせと何かの名簿から、名前や住所や生年月日を署名用紙に写していったらしい。

 自分ではなく関係者でもない名前を、リコールの署名として勝手に書くのは地方自治法違反だからもうそれだけで犯罪行為だけれど、持ち出された名簿がいったいどこで作られたものなのかってところでも、個人情報を勝手に転用するといった悪事の匂いが漂ってくる。そんな曰く付きの名簿を写してもらうにあたって、10人分書ける紙に10人分をぎっしり書いたら不自然だからと、7人とか8人に抑えろと指導したってところは、名簿を自然に見せようとする偽造の意図がきっちり入り込んでいる感じ。つまりはそうした制度に長けた人が間に入って業務的に偽造しようとしたってことになる。

 せっかくのリコール活動を応援したから、周囲に黙って知り合いの名前を借りてしまって御免なさいといった、犯罪は犯罪だけれど気持ちのこもった家庭的な偽造とはレベルが違う話な訳だし、ちょっとした小金持ちがこれを機会に誰かとお近づきになりたいからと、、お歳暮レベルの考え方で偽造してしまったという話でもない。それだとそもそも名簿が手に入らないから。ずらりと愛知県民の名前が並んだ名簿を手に入れられて、なおかつリコール署名の機微に通じて、そしてアルバイトを動員できるだけの財力もあるところがやったっていうのが自然な推理になる。

 つまり……ってところで頭を働かせればやっぱり上がる本家本元な訳だけれど、この後に及んでも外に自分たちを嵌めた誰かを見ようと怪気炎を上げているのはいったいどういう了見なんだろう。祭り上げられただけで知らなかったって可能性ももちろん無い訳ではないけれど、だったら11月の頭にヤバい署名が見つかり始めてごちゃごちゃして来た段階で、どうなっているんだと周囲をタダしてヤバい署名については排除して嵌めようとした奴がいたから糾弾するぞというのが普通なのに、逆に署名はもうしないからあとは出すだけ出して戻って来たら溶解処分と頑なに言い、調べようとしなかったのはどうしてか。そこに話は帰結してまう。

 普通に考えれば、そして自分が無関係なら当然にとるべき行動をとらないのに、自分たちの側に非があることを認めようとはしない態度の分裂具合が、そのまま精神の分裂に関わっていなければ良いのにとすら思える。最近のTwitterでの言動も朝令暮改的で辻褄が合ってないことも多いからなあ。そんなご高齢のリーダーはそうとしても、若い事務局あたりは当然に何か知っていたり、感じていたりするはずなのにここに至って無関係を貫こうとするのもなかなかに凄まじい。

 佐賀県で署名が作られていたことに対して、驚いてみせるどころかそういうものが作られていたことを聞いていたって会見で言ったらしく、そもそもが愛知県民が対象の署名が佐賀県で作られていると聞いた段階で、これは明確な地方自治法違反の署名偽造だと感じ取り、誰がやっているんだと調べ上げては犯人を究明し、排除して公表すべきところをこれまで何もせず、提出はしなかったと言ってのけるところに事態の重大さを噛みしめていない節が感じられる。作られたことが分かっていながら出していないならそれは手元にあるってことなのか。それこそ警察に届け出て潔白を表明すれば良いのに。まったく訳が分からない。

 そもそもが11月の頭くらいで、ヤバい署名が紛れ込んでいることが話題になって訴え出る人も出ていたのに、それから3カ月も大きく事態が進展しているようには見えなかったところに、世間も事態をたいして大きくは受け止めていなかった節も感じられるうけれど、愛知県の選挙管理委員会が動いて署名の8割が偽造だと言ったあたりでこれは民主主義に対する挑戦だといった理解も広まり、地元メディアだけでなく全国紙も動き出して報じ始めたのは僥倖か。それでもどうして警察発表もないのに、そして告発されたばかりなのに新聞がスクープを飛ばせるのかって言う人がいる。もう3カ月前から話は出てたんだってば。

 悪事として捉え保持始めた媒体の中には、オレンジ色のニクいタブロイド紙も入っているけれど、ずっと「署名活動終了 高須院長は自信たっぷり」とか「署名集計8割見込める」とか「43万人署名を「真摯に受け止めているのか」とか「『怒りの民意』署名43万人分」とか書いてた過去など知らぬ顔をしているところが流石というか。お抱えの女性ジャーナリストにも讃えるコラムを執筆させながら、女性ジャーナリストも含めて反省も検証もしないまま、事態が歴史的なレベルになった時にはたしてどういう態度を見せるのか。何も見せずにスルーする可能性に賭けるのが安全かなあ、やっぱり。


【2月15日】 安里アサトさん「86―エイティシックス―Ep.9 ―ヴァルキリィ・ハズ・ランデッド―」(電撃文庫)を読んだ。仕事が生活と一体になって生きる目的と化してしまうと、仕事がなくなってしまった時に生活も失われて迷い悩み悶えることになる、といった感じのエピソードが描かれていた。それを戦場での戦闘に置き換え考える的な感じというか。戦う自分を正当化できる材料として自他共に認めていた唯一絶対のものとしての賞賛であり栄誉が、するりと外された時に浮かぶ徒労感なり絶望感をどうやったら乗り越えられるのか。突然のリストラへに対する向き合い方を考えさせるというか、当事者として考えてしまった最新巻。

 人間を絶滅させることだけをプログラミングされて暴走を続けるレギオンを相手に戦い続ける人類は、ノイリャナルセ聖教国とともに戦場に赴くことになるけれど、シンたちエイティシックスの部隊がレギオンと戦っているまさにその時、ノイリャナルセ聖教国によるとんでもない振る舞いが繰り出されてシンたちを窮地に陥れる。その背景としてノイリャナルセ聖教国はインドのヴァルナ・ジャーティ制にも似て生まれた家によって継ぐ仕事も決まっている中で、軍人なり兵士の家系も同様で血を流すことを禁じられた国にあって唯一、戦うことができる一段として矢面に立たされ命を散らしていた。

 レギオンとの戦いはそんな国で戦える人たちの数を減らし、もはや年齢も関係なしに戦場に立つことが求められる残酷な日々の中にあったけれど、そうした苦衷も国のためだという栄誉と引き替えだったところがあったから耐えてこられたのが、もはや後が無いといった状況で大きな方針転換が行われる。それは唯一だったが故に与えられる栄誉と引き替えにできた苦衷を無意味としかねないものだった。聞いて果たして軍人たちは耐えられるのかどうなのか。それが絶対という教えだったら従うしか無い。一方でそれが絶対だったと信じていたからこそ裏切られたという思いも浮かぶ。

 狂信の行き場を外されてたが故に浮かぶ戸惑い。それが、生活のすべてを仕事と引き替えにすることに納得していた身から仕事の意味が失われた時に浮かぶ虚無感と重なった。聖教国とは事情が違うけれど、エイティシックスの面々も戦場でこそ自分たちの生を意味づけられると信じ込んで戦ってきた人たち。いずれ終わるかもしれない戦いの先で、どうなるかを不安視する気持ちが戦争を終結させるという行為に歯止めをかける。そんな逡巡から果たしてエイティシックスたちは脱せられるのか。新たな目的を見いだしていくのか。そんな問いかけを改めてされたこの先、そろそろ最終決戦へと向かうかな。楽しみ。

 愛知県の大村秀章知事に対するリコールを行うかを問う署名活動で偽造された署名が大量に発見された問題で、愛知県選挙管理委員会がこれは地方自治に関する大変な事態だということで被疑者不詳ながらも愛知県警に事態を告発。これで取り沙汰されていた疑惑が事件化し、本格的な捜査が始まることになるかどうなのか。法律に詳しくないから段取りとかよく分からないけれど、受理した県警が捜査に乗り出し任意同行なり事情聴取なんかもした先で、不詳の被疑者を特定した上で逮捕なりして取り調べを行い、クロなら検察へと送って起訴なりするって感じかな。

 気になるのは不詳となってる被疑者がどのあたりになるかってことで、現場的には偽造の署名を行うために自分以外の名前を書いて、指印なりを勝手に押した人たちってことになるけれど、そうした実行犯に限らず組織だってそうした行為を指令して行わせた人がいるなら教唆とか共犯といったレベルを超えたホンボシとして摘発し、裁判にかけてくれないと一般の人の思いを煽って犯罪に手を染めさせた本当のワルが、逃げ延びることになって精神衛生上も、そしてやっぱりこの国の民主主義と平和のためによろしくない。そうした行為が行えるように兵站を組んで資金を集めたり流したりした人も含めて、全体の構図を明らかにして責任者を暴き糾弾してこそ、民主主義は守られると信じて警察と、検察の頑張りを見守ろう。

 「ぶらどらぶ」を見ていて気になったのがクレジットに現れる原画の中の「〆斬守乱」という名前で、英語クレジットの時も「MAMORAN SHIMEKIRI」として登場するから紛れ込まされたギャグではないとは思ったけれど、アラン=スミシーのように実在はしない誰かの使い捨てペンネームかもといった可能性も考えていたら、どうやらほかのアニメにも同じ名前の人が作画で関わっていることが判明。「体操ザムライ」だとか「かぐや様は告られたい」なんかにも登場するなら押井守総監督の冗談ではないということで、あとはだったら本名なのか有名な人の別名なのかが気になる所。twitterにはまさに同名のアニメーターがいるみたいだけれど、当人なのかなあ。〆切りは守らないって書いてあるけどそういう人は使って貰えないだろうからそっちは冗談かなあ。謎肉。


【2月14日】 朝から「鬼滅祭」のオンラインイベントをあちらこちらで見る。とりあえずアニプレックスのサイトからYouTubeで「鬼滅学園」のアニメーションのバレンタイン編を3本ほど。基本的にはチョコが欲しい吾妻善逸が夏場あたりからチョコをもらえるにはどうしたらいいかを、モテる先生たちに聞いていくといったスタイルで、最初に訪れたのが煉獄杏寿郎先生だったけど、大声でハキハキと喋っていればしっかりモテるとしか言ってくれないから善逸も困ったかというと、もとから大声でわめき散らすタイプだから大丈夫だったみたい。いやそれはないか、煉獄先生と善逸じゃあ大声の質が違いすぎるから。

 そして第2話では逆に喋らなすぎることでモテるという富岡義勇先生が、ぼっち飯のブドウパンを囓っているところに出かけていって、そんな話を聞いてやっぱりぶち切れる善逸。そりゃそうだ。端から見れば顔も避ければ声だって甘くて最高な義勇先生を善逸と比べることが間違っている。そして宇随天元先生は、極めて功利的に脚が速ければ小学生ならモテるし、大人になればお金を持っていればモテるとアドバイス。それを「鬼滅学園」のレベルの善逸がどれだけ取り入れられたかは微妙だけれど、頑張った挙げ句に不審者扱いされてみたいで果たしてどうなるバレンタイン! といったところで始まった第4話。

 ちゃんと禰豆子ちゃんは善逸のためにチョコレートパンを作ってくれたけれど、それ以外の誰にだって作っていたのを横でみていながら、大喜びする善逸の態度はとても正しくて清々しくて親しみがもてた。誰がもらえようとも自分がもらえればそれは自分がもらったことなのだ、っていう感じか。それを視野が狭いというなかれ。評価されたことこそが絶対なんだという心理はとても勉強になった。義理でもチョコはチョコなのだ。そんな禰豆子ちゃんはほとんどしゃべっていなかったけれど、元から喋らない役でもありながら「むー」とか「んー」とだけ言っても可愛らしいからとても良かった。

 そんな「鬼滅祭」の最後くらい、AbemaTVで放送された部分でいよいよ遊郭編のテレビシリーズ化が決定したとこと。放送局がどこだとか、放送時期がいつだといった話はなかったみたいだけれど、いずれにしても映画ではなくテレビでやってくれるからには、そして手がけるufoableが原作を大切にするスタジオであることから、安易に視聴率だとかを気にしつつ一般性を気にしてお手柔らかにして欲しいなどという局ではないことを祈りたい。あと「遊郭編」だけで1クールもいかないなら「鍛冶の里編」もいれてシリーズをやった上で、対鬼舞辻無惨編を映画で3部作とかでやっていくんじゃないかなあ。それで5年計画。でもそれだと今10歳の子が15歳になってしまうからなあ。巻いていくかそれとも。注目して見て行こう。

 「ぶらどらぶ」のまだ見ていない5話以降をAmazonPrimeVideoで見始めたら餃子が食べたくて仕方なくなった。すでに1回、中華料理屋を訪ねては餃子やチャーハンや焼きそばを喰らって大暴れする描写があって、その時に吹っ飛んでいたはずなのにしっかりと立ち直ってはマイの父親が訪れて、餃子やチャーハンを喰らっていたところに昔ながらの翌週になればすべてチャラなギャグアニメ的テイストを感じられて楽しかった。同じ意味でギャグのセンスが往年のギャグアニメ、つまりはタツノコプロであったり「うる星やつら」のギャグパートに近くて若い人だと尻込みしそうな印象も抱いたけれど、そうした感性にどっぷり浸って育ってきた身には気楽に見られて良かった良かった。

 それでいて少しずつ話も進んでいるようで、どうにかこうにか献血部は立ち上がって活動として演劇なんかも行われた。その後はいったいどうなるのか、って考えるならやっぱりマイと貢の関係が百合百合しく進んでいくのかってあたりだけれど、「うる星やつら」のようにラムとあたるとの腐れ縁にひとまずの決着をつける「リメンバーマイラブ」的な帰結が用意されてないのだとしたら、盛り上がっても腐れ縁が続くようなオープンエンディングへと向かってはいそれまでよってなるんだろう。それもまた往年的ではあるかなあ。

 絵については正面とサイドが出て来て口だけ喋ったり表情が変わっても何度が使う感じで省力化。そして時々キックのような派手派手しい動きもあってとメリハリがあってアキさせない。場面展開では無駄にゴージャスな東京の空撮からしょぼい貢の平屋の家が写って室内。そんなルーティンでカット数を節約し秒数を稼ぐ手もまたアニメーションの原点を探る上での勉強になる作品って言えそう。全12話くらいが一挙公開になるかと思ったら6話までだったけど、このあといつ、残りの6話くらいが出てくるのかが今は気になる。ちゃんと出来ているとは思うんだけれど。そして押井さんの作品を並べた映画祭の再会も是非に。AnimeJapan2021もオンラインになった今、開かれても4月以降になってしまうのかなあ。それでも是非に開催を。


【2月13日】 ガバメントだとかウッズマンとかシングルアクションアーミーとかパイソンといった拳銃が有名なアメリカの銃器メーカー、コルトのカブをチェコの銃器メーカー、Czが買ったそうでこれでコルトがどうなるか、と言われても最近のコルトの状況が分からないから何とも言えない。ただガバメントなんて1911年から使われている拳銃だしSAAなんて西部劇の中だけでし見ないしパイソンは『シティーハンター』でウッズマンは『ワイルド7』か『キノの旅』の森の人くらいだろう。

 銃器が山ほどでてくる『ブラック・ラグーン』でもコルトなんてロベルタがガバメントのクローンらしいブラジルのインベル社製M911を使っていたけどメインではなかった。ロベルタの場合はガルシア家に伝わるマスケット銃とか傘に仕込んだショットガンのスパス12がメインみたいなところだから、やっぱり今はガバメントも主力拳銃ではないんだろう。そう考えた時にコルトの凋落ってのも何となく分かるけれど、だったらどうしてCzがコルトなんて買ったのかってところが分からない。

 市場を失って衰退するメーカーの製品を作っても売れなければ意味はない訳で、だとしたら武器として売るよりも違う使い方を考えているのかもしれない。贈答品とか。やっぱり箱にはいってピカピカに磨き上げられた彫刻の施されたSAAの2挺セットとか欲しいものなあ。あとはリボルバーってことでロシアンルーレット専用とか。それにしてもこうして9ミリの自動拳銃ばかりになると44マグナム弾とか357マグナム弾も作られなくなって、次元大介が使う武器が「S&W M940」になってしまうかも。9ミリパラベラム弾を撃てるリボルバーって他にあまりなさそうだし。

 Netflixが「進撃の巨人」なんかを作ったWIT STUDIOと組んで動画の人の養成を始めるそうで、10人くらいを対象に毎月15万円を支給しつつササユリカフェを展開していた館野仁美さんのところの指導も受けつつ半年間、みっちり鍛えてそしてNetflixが作るアニメの制作に投入していくんだとか。講習費も60万円をNetflix持ちだから、都合1500万円ほどがかかることになるけれど、それで10人の動画がちゃんと使える水準まで来たらアニメの制作効率も上がるものなのかな。それもあるし動画から育てて向いている人は原画にも行ってと全体の底上げにも繋がるって寸法。余裕があってなおかつ作品が欲しいNetflixと、余裕はないけど人は育てたいアニメ会社の思惑が一致したってことだろう。

 もちろんこれは貴重なケースで、作品への投資に続いて人への投資も始めたNetflixを讃えたいけれど、半年がたって15万円を自分で稼げる動画になれるかどうかってあたりもひとつ気になるところ。それなりに腕が動くようになっても半年ではそこまでってなった場合に折れてしまわないか心配になる。そうはならないようアニメ会社の側でもしっかりとお金をもらいそして回す努力をし、そして出資する側もちゃんと現場が回るようなお金を出していくような流れを作らないと後が続かない。幸いにしてそこはNetflixだから2年3年のスパンで現場を見て、お金を流し込んで雇用を維持していくところまで見込んでいるんだろうと信じたい。

 ササユリ動画研修所もカフェが新型コロナウイルス感染症の影響で立ちゆかなくなったこともあって、ここで動画の研修費用を受けられるようになって良かったんじゃないなかあ。以前からも奨学金制度はあってそれをコミックス・ウェーブ・フィルムが出していたって話はあって、さすが新海誠監督を見いだして育て大きくしただけの先見性があるなあと感心したけれど、それに加えていろいろなところが動画の重大さにこれで気付いて人を育てる努力をし始めることで、良い流れが出てくればアニメ好きとしては嬉しい限り。どうなるか。どんな人材が集まりそこからどんな才能が出てくるか。見たいなあ、教育の方法と成果を。

 前週が女性陣によるバトルで目も引きつけられた「呪術廻戦」は今週は加茂憲紀と伏黒恵の戦いが始まったと思ったら花御が乱入してきてしっちゃかめっちゃかに。帷を貼られて五条悟だけが立ち入れなくなった戦場に庵歌姫とともに入った京都校学長の楽巌寺嘉伸がさてどうやって戦うかと思ったら、着物をはだけて見せた体にまとうはTシャツ、それもミュージック系。手にはフライングVを持って何かを始めようとしていた。やるなじじい。

 まあフライングVをかつて手にしていたジミ・ヘンドリックスが生きていたら舞台となっている2018年には76歳な訳で、楽厳寺学長が憧れて日々研鑽を積んでいたとしても不思議じゃ無い。ストラトキャスターじゃないのはやっぱり見た目のインパクトか、あるいはパワー重視か、マイケル・シェンカーだって使うハードなギターってイメージだし。さてどんなバトルが繰り広げられるのか。続きが楽しみ……って続き知りたくて単行本読んじゃった。それでだいたいの流れから渋谷事変の展開もほぼ把握。次の巻で釘崎野薔薇がどうなったかとか分かるだろうけど、その先が知りたくて週刊連載も追い始めたら切りがなくなるかなあ。ネットで読めたら読んでいくかな。


【2月12日】 放送を見てなかったので「サイコーユ鬼」か「サイコウユ鬼」かどっちなのか分からないけれど、設定では「サイコウユ鬼」になっていることが分かった、プロダクションI.Gによるnoteを使った後藤隆幸展のひとつ、後藤隆幸アニメーター業40th Art Gallery『ドテラマン』編 パート1。タツノコプロの「ドテラマン」に登場するや全世界を可愛らしさで震撼させたキャラクターが設定から作画修正からイラストから何からたっぷり掘り出されて掲載されている。その愛らしさ。その丸っこさ。今ではあまり見られない後藤隆幸さんデザインのキャラクターの神髄がにじみ出している。

 この路線がしばらく続いていけば子供向けキャラの世界で圧倒的な支持を得られて、それこそ只野和子さんのように今もなお当番が期待されるキャラクターデザイナーになったかもしれないけれど、これで固まってしまうのは良くないのではといった自身の判断で、石川光久社長にたのんで違う仕事を入れてもらったという話を、当の石川さんがプロダクションI.Gの30周年を記念した上映会のトークイベントで当人を前に話してた。

 そして「攻殻機動隊 Stand Alone Complex」のような方向に行って今の「銀河英雄伝説Die Neue These」に至りそれはそれで大勢が楽しんでいるから良いのかもしれない。描けば描ける実力はまだありそうだし。ハードな作品をWIT STUDIOなんかが手がけるようになった今、かつてのタツノコのような、あるいはぴえろのような路線の長いテレビシリーズをIGが手がけて、そこで辣腕を振るってくれたら嬉しいかなあ。

 二転三転で七転八倒な東京オリンピック組織委員会の会長人事。現会長の森喜朗元総理が辞めるという話が伝わって、すぐさまJFAの元会長の川淵三郎さんの名前があがって、直々に指名を受けたのなら引き受けなくちゃいけないといった話をしていてお涙頂戴な感じが漂った上に、最近はどうにもライト方面に傾いていたようで作家が書いた歴史書を讃えたり愛知県の大村秀章知事に対するリコールで名古屋市長を応援したりといった具合に、ほじくり返せば拙い言動も目立っていた。それでも就任してしまえば文句も静まるだろうと楽観視していたら違う方向から圧力が働いたようで白紙撤回となってしまった。

 撤回の理由には、密室で話が決まったこに官邸が難色を見せたってことらしいけれど、森元総理だってサメじゃないんだから、当然に後任についてはあれこれ調整もしていただろう。官邸が何か口を挟むことではないといった言質も前に出ていたから、騒動からこっち後任についてはほぼ既定路線で、だからこそ就任前に川淵三郎さんの名前が挙がって、当人へのコメント取りも行われたんじゃないかと思うけれども、そうした日本的な調整に対しておそらくは、海外での反響がとてつもなく大きかったこともあって、これはやっぱり拙いと尻込みした。慌てて撤回に走ったか、自らが諫める形に見せようとして話をし、川淵さんの辞退に至ったって感じに見える。でなければ昨日の今日でこうも動かない。

 結果としては、やっぱり言動にちょっぴり問題も出ていて、自体の収拾どころか火に油を注ぐことになりかねなかった人事を阻止できた形にはなったけれど、それで代わりがいるかというと、なかなかいなさそうなのが実態。元総理が座った席だけに、メダリストで政治家だからといって橋本聖子五輪担当相が横滑りして着けば、それは女性だから選んだと逆に言われてしまう。かといって、鈴木大地元スポーツ相だとどうして男性がという二元論のスパイラルに陥ってしまう。発端が発端だけにそうした議論は避けられないにしても、議論そのものが批判していた実務の能力に無関係に性別で選ばれる状況に陥ってしまうこの皮肉。突破するには遜色のない人を選ぶしかないんだけれど、そういう人を守り立ててこなかったこの国の遅れが、ハンドリングを鈍らせてしまっている。そんな感じ。

 日本の皇室がまだ英国王室のようにある程度は開かれているならば、そして天皇が代替わりしていなければ、今は皇后陛下の雅子さまのような外交官経験もある方が就かれれば落ち着いた感じもあるけれど、皇室に入られて30年近く敬われつつ都遠ざけられる中でお心も頑なになられてしまった今ではやはり難しい。サッカーの分野でJFAの名誉総裁をしておられる高円宮妃殿下、憲仁親王妃久子さまなら招致の時にもご活躍されたから名もありお力もあるけれど、これだけ揉めてしまった状況下、開催中止という判断をするかもしれない場所に立って頂くのも申し訳ないとなると、なかなか選ぶ人がいない。どうするんだろうなあ。押し出しが効いて世界も納得する人……吉田沙保里さんなら現在過去未来において、世界最強の組織委員会会長になれるんだろうけど。いやそれは方向性が違いすぎる。


【2月11日】 1996年から続けて来たこの日記も25年が終わって26年目に入りそう。書くこともあまりなくなって内容も薄くなっているけれど、記録することでいつか何かの訳に経つかもしれないのでそこは続けて行くのがアーカイブ屋であり元新聞屋の勤めって奴だから、短くても薄くても何かは書いていこう。ってことで趣いたイオンシネマ越谷レイクタウンで、映画を見たりアウトレットモールで買い物をする時についでに書きものなんかに使っていた、電源が取れるカフェが閉鎖になっていた。それなりに空いていていつも座れてドーナツとかかじれる店だっただけに残念。アウトレットのスタバも電源はとれるけど、賑わっていて書きものをする雰囲気じゃ無いんだよなあ。アウトレットにあるバーガーキングも電源はあったけど、雰囲気があっぱり。全部コロナが悪いのか。さてはて。

 今村彩夏さんが古賀葵さんに代わって何か違いを感じるほどには今村彩夏さんのアンジェ役にハマっていた訳ではなかったし、引き継いだ古賀葵さんが抜群にアンジェの声をしっかり出してくれていたこともあって、そうした情報を見知ってはいても一切の違和感を抱くことがなかった「プリンセス・プリンシパル Crown Handle」第1章は、テレビシリーズで描かれ固まったチーム白鳩の面々がそれぞれに個性を発揮しながらコントロールと呼ばれるアルビオンの壁の西、共和国側のスパイとして東の王国に入り込んではスパイ活動をするといったストーリーの上に沿って、今回もアクションあり仕掛けあり騙しありといったスパイものの面白さを感じさせてくれる。

 持てば空中を自在に浮遊できるCボールというギミックをアンジェに持たせることで、潜入だとか脱出だとかバトルといったアクションに見所を与えつつ段取りを省略する妙は相変わらず。飛び上がっては落っこちてくる時ににょっきりとのぞく足の白さも存分に味わえるのは計算の上のものだったのか。2021年秋とこれまだずいぶんと離れてしまう第2章でも上から飛び降りてくるアンジェの足がスクリーンのど真ん中を突き抜けてくる感じでなかなかの見所になっていそう。公開を待ちたい。

 ストーリーについて言及するのは野暮なので、雑感としてチェスを「打つ」で統一していたのが印象的。将棋なら「指す」というのが正解みたいだけれとチェスは調べてもはっきりとした言い方が分からなかった。英語だとPlay? まあだから好きに使いたい方を使えば良いのか。そしてとある方法で仕込まれていた暗号を解き明かすまでに2日しかないと告げられた時のちせの顔が最高だった。嫌そうな顔。元来が侍なので頭脳労働には長けてないってことなのかも。

 そんなちせも冒頭から活躍していたけれど、とある場所から車で逃げ出す時に「ルパン三世」だったら追っ手になりそうな車をすべて切り刻んで走らないようにしていただろうとちょっと思った。もちろんちせの刀は斬鉄剣ではないから流石にエンジンは斬れないだろうけれど、本編ではアンジェがあっさり開ける南京錠を刀で切り飛ばして開けていたから細いものとか薄いものなら斬れるのかもしれない。

 少しだけストーリーに踏み込むならば細心の注意をはらっていたスパイが周辺に迫る監視だとか、通信手段が露見したこととか、それを利用して攪乱に来ていることくらい見抜いて不思議はないんじゃないかと思ったけれど、そうやって裏の裏のそのまた裏の裏までやっていくと話が複雑化してまとまらないので、1枚くらいにとどめておくのもエンターテインメントの作法と理解する。

 だんだんと強敵も浮かんできて、そして一方でチーム白鳩はあちらこちらで活躍をして正体なんかばれていそうな感じ。そうやって狭まっていく活動範囲の中で5人はどうなってしまうのか。1人また1人と失われていく「ワイルド7」は「魔像の十字路」のような展開があるとスリリングだけれど、それもやっぱり心が痛いので、スパイなんてもういらない世界が来てくれることを願ってシリーズを終幕まで見守ろう。ビショップが飛田展男さんで驚いた。若々しい少年だった声もすっかりおじいちゃん役が似合う感じ。それが実にマッチしていた。声優さんも成長していけるのだなあ。

 誰とは言わないけれどもそれなりに名の知れたジャーナリスト氏が、東京オリンピック組織委員会会長の森喜朗元総理に対するあれこれについて、「83歳の老人をよってたかって吊るし上げる図式に“人権侵害”という言葉が浮かぶ」と言っているけど、そんなジャーナリスト氏は御年78歳のバイデン大統領を不正選挙の主のようによってたかってつるし上げてた訳で年齢なんてものにまるで経緯を払ってないことが伺える。いやいやバイデン大統領は不正をやったじゃないかと良いそうだけれど、だったら証拠はと尋ねても何一つ出て来ないところが名古屋のリコール不正に関して、リコールを潰したい勢力が紛れ込んだと訴えても、その証拠を何も出せないのといっしょ。要するに味方するために味方し続けるというトートロジー的な態度なんだけれど、それでも味方したい人の支持を集めて食べていけるんだから、この国はジャーナリストにとって生きやすいのかもしれない。あやかりたい。

 そんな森喜朗会長がいよいよ辞任の意向をしめしたとかで、後任に谷垣禎一さんの名前も取り沙汰されて、アルプスのパスハンターに乗って颯爽と現れてくれたら自転車好きも感嘆しただろうと思ったら、どうやら川淵三郎元JFA会長に依頼がいったそうで年齢をだとか男尊女卑な口ぶりが問題となっていたにも関わらず、よりゴリゴリな方向へとズレていくこの判断のズレっぷりが世界からどう見えるかが気になって仕方が無い。川淵さんいもJリーグを軌道に乗せたとか、日本のバスケットボール界にあった分裂をとりまとめてオリンピック参加への道を開いたといった功績があるものの、昨今はライティな言動バリバリでヘイトクライム寸前なことも言っていたりする。世界が注視する人事でそういう均か持って来られないこの国のシステム自体がもはや、錆び付いて動かなくなっているのかもしれないなあ。やれやれ。


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