縮刷版2021年1月下旬号


【1月31日】 Clubhouseでいろいろと試す。ボイストレーナーの人が開いたRoomを聴講しながら、参加した人が出す声を聞いてどこが拙いかを的確に指摘し、それを改善する方法をその場で提案して実際に発声がよくなっていく様を見て、プロフェッショナルの知見というものはやはり凄いものだと実感する。どこか言葉がつっかえてはっきりしない時は、舌がよく動いていないから指にハンカチを当て舌先をつまんで引っ張り何か言ってから戻すと、舌が顎側に下がらず声がよく通るようになるとか、喉で声がくぐもってしまっている時は、薄く口を開けて舌先をつっこみ喉を震わせることで声が響くようになるとかいった具合。やってみて実際にそうだと実感した。

 論点が整理されないまま喋って話が堂々巡りするのは、話術の問題なのでボイトレとは関係はないけれども声がちゃんと聞こえているかを気にするあまりに喋りが滞る場合もあるので、そうした懸念をまずは払拭する上で有効な手立てを得られる講座でもあった。これを本格的にレッスンとして聞けばお金も発生することを、雑談めいた中でやれてしまえるClubhouseは慈雨ではあるけどノウハウを持ったプロフェッショナルにとってはどうなんだろう。声優さんが声を聞かせる場として使っては商売あがったりな訳だけど、声を試してそこから仕事を広げるといった使い方もあるからなあ。人それぞれといったところか。

 夜にはDr.マシリトこと鳥嶋和彦さんが登場しては電撃ニコゲーマーをやってたTANTANさんをモデレーターに今の漫画について騙るRoomもあって、そこでゲーム版「鬼滅の刃」を手がけているサイバーコネクトツーの松山洋さんなんかも登場して来てメディアの違いがもたらす漫画への影響なんかが話されて興味深かった。イシイジロウさんなんかは漫画雑誌で2ページが見開きで掲載されてきた紙の漫画が産みだしてきた、パッと見開きページを見て右上から左下へとざっと読んで得られる驚きがあり感動があって次ぎへの興味を誘われるひかっけがあってといった要素が、単ページごとに表示される電子版だと削がれてしまって、昔の人気漫画が持っていた迫力なりが感じられないって話してた。

 それは納得ではあるけれど、だからといってそれでスマホが横長になる訳でもないし、ましてや大きくなる訳でもない。iPadプロの巨大な画面を横にして読めば読めるけど、そんな人が町に溢れるとも思えない中で、せいぜいがタブレットサイズの縦画面で漫画が読まれるようになる場合、やっぱり縦スクロールでそしてカラーになっていくのだとしたら、そこでいったい何が起こるのか。スポーツものとかアクションなんかは向かないなんて話も出てたけど、韓国発の「ゴッドオブハイスクール」なんて読んでいると、縦スクロールなのに格闘の迫力をちゃんと出して昂奮させてくれるから、適応した漫画というのが登場してくるんだろうから、そこで何が無理とかはやっぱり言わない方が良さそう。

 カラーが可能なんだからたとえば色でもって変化をつけつつ感じさせるような漫画が出来るんじゃないかと鳥嶋さんは話してて、それが何かを発見できて適応できた時に漫画も次の世代へと適応していくことになるんだろう。もしかしたら「少年ジャンプ+」なんかでウエブ専門の漫画からヒット作を連発することで、集英社なんかはそうしたノウハウをしっかりと溜め込んでいるのかもしれない。代表作ともいえる「SPY×FAMILY」の構造を分析してみたくなった。

 まあ夜帳(トバリ)が黄昏を思って「すき」を繰り返す場面とか、見開きじゃなく単ページの連続だからこそ面白いって言える訳だし。そんな知見も得られるところがClubhouseの面白さだけれど、金だってとれる歓談を無料で配信し続けてどこで稼ぐかそれとも巡りめぐってエンタメが活性化することで取り返すのか。直裁か迂遠かの違いをどう考えるかで付き合い方も変わってくるのかな。手っ取り早く信者を集めてそこで稼ごうと考えているサロン系の人たちのウインドウにはなっているけれど、ボイトレみたいな実益がないと付き合ってはいけない気はした。そんな昨日今日。

 時雨沢恵一さんと黒星紅白あんという「きのの旅」コンビニよる新シリーズ「レイの世界 ―Re:I― Another World Tour」が面白い。芸能事務所に所属する新人アイドルのユキノ・レイがマネージャーの因幡と行った初仕事は地方の町のお祭りで歌うというもの。誰も知らないアイドルなのに来てくれたと喜ばれ、ステージで転んでも笑われない。持ち歌もないから有名な曲を歌って歌って予定を超えて夜までいてもウザがられないで大歓迎されたレイが最高潮のステージで見たものは……。

 そんなエピソードから始まって、レイは兵士が戦っている場面で歌い、巨匠監督の映画で文字通りに死ぬ演技を見せ、微動だにしない10万人もの人たちの前で歌い、やっぱり感情を表さない1人の前で何十回となく同じ演技を繰り返す。いったいレイはどんな仕事をしているのか。それは何のためなのか。死ぬ演技ってどういうことか。10万人はどうして微動だにしないのか。行った先々の奇妙な状況に驚けて、そしてレイならではの特別な事情だからこそ成り立つ展開になるほどと思える。芸能界が舞台のお仕事小説に見えて実はSF。そんな物語。レイとは”光”でないなら何かという問いの答えもふわっと浮かぶけど、そんなレイがめぐる世界が次にどんな設定か、そしてレイは何をするのかを追っていきたい。どんな場面でも全力を見せ愛されるレイに学びたい。


【1月30日】 親不知を抜いたあとがジグジグと痛んできたので、カロナールを夜中から朝方にかけてぶっこんで、とりあえず落ち着いたものの時間がたつとやっぱり痛んで腫れも出て来た感じなので、家から出ないで新しく導入したC;ubhouseとやらを使って知っている人のところで何かを喋る。会社を辞めてからこっち、取材でもなければ誰かと長い時間喋ることもなくなっていたので、言葉が出て来ず難儀もしたけど少しは回復したみたい。まだ決して使いこなせている訳じゃないけれど、喋らなくても幾千万とあるラジオのチャンネルをザッピングしていく感覚を味わえるところは、ちょっと面白いかもしれない。誰か喋っている場を探してのぞこう。

 少し前まで何の波風も伝わっていなかったコスプレについて、急に政治家が出て来てコスプレを海外なんかでする人たちがいて、それを商業イベントなんかで披露したり、とりまとめて商売なんかに使おうとした時に著作権法違反になったりするのを未然に防ごうと、どこまでが著作権法違反になるかをガイドラインを作って、普通の人なら普通にコスプレしてもらえるようにしましょうってことを言い出して、人気コスプレイヤーさんが大臣といっしょに写った画像なんかも出回ってきた。

 そこで起こった、衣装についてはどちらかといえば意匠権の範疇に入るものであって仮に服飾をがっちりと著作権で保護してしまおうとしたら、例えば漫画家が人気のファッションをキャラクターに着せて作品に出したりするとか、映画で人気ファッションブランドのものを登場人物が持ってたりするといったことが、著作権法違反として咎められる可能性も取り沙汰されてしまって、いろいろと面倒なことになるといった懸念が出て来た。

 オタクの支持をバックにして当選したことを誇る国会議員もオタクの味方然として何かコメントをし始めたけれど、だったらどうして同じ与党内で最初から無理筋だって止めなかったかがちょっと不思議。というか話の唐突感に内部でここを攻めればコスプレイヤーさんが喜びますよと薦めたら、意外な方角から反論が出て来て慌てて火消しに待ったようなマッチポンプっぽさも感じられてしまう。そんなことはないと思いたいけれど、ここで折衷案をとりまとめて与党内からもオタクからも重宝がられるか、それともどっちの味方をしとんじゃとコウモリ扱いされるかが問われそう。オタクはチョロくはないよ。

 「正面から敵の攻撃と謀略を受け止め戦います」っていったい何を“敵”と認定して戦う気でいるのだろうか。とある美容整形外科医が、愛知県知事を気に入らないからリコールしたいと運動を立ち上げ、そこに名古屋市長も乗っかり大々的に繰り広げられた署名活動によって、43万人分もの署名が集まったといって美容整形外科医もそれだけの支持を得られた、批判する人がこれだけいるんだと吠えていたし、名古屋市長なんかは市議会で聞かれてこれだけの数字があったことを、公知として引っ張り出して支持を得たことを訴えた。

 アメリカの大統領選挙で不正があったとつぶやき続けて、コーネル大学が認定するアメリカ大統領選における虚報の送り手であったと認定された日本の自称ジャーナリスト氏も、これだけの数字を踏まえて「気の遠くなる43万5231人という町田市の人口を超える署名を集めた偉業。感謝しかない。有難うございました」と書いた。よく他人の言説を引用して掲載して、そういうことだと思わせながらも突っ込まれると意見を紹介しただけだと逃げたりするけれど、これは地の文で書いているということは数字を信じ、正規のものと認定した上で「偉業」としたことになる。

 その「偉業」が砂上の楼閣どころか、不正に集められたものだったことが愛知県選挙管理委員会の調べてだいたいのところが判明した。すでに愛知県かの市町村に関して8割が本人のものではなく、同じ人が書き連ねたものばかりだったことが分かり、また愛知県に在住して署名する権利を持っていない人のものでないことも分かった。そして、名古屋市の16万票についても調査が終わってやはり8割が不正だったことが判明。まともな署名など全体で10万票にも届いていないことをもっても、10万という人数は多いと嘯きそうだけれど、ここで問題なのは誰がいったい見知らぬ他人の住所を手に入れ名前を知って、署名をしたかということ。明らかに不正で、そして犯罪的な振る舞いでもある。

 家族の誰かが全員分を署名したって範疇を超えるし、それすらも違法行為にあたる。アメリカのありもしなかった大々的な不正をあったと説く自称ジャーナリストだったら、日本で起こってそれも自身が大々的に応援していた署名活動で、これほどまでに大々的な不正が行われたのなら立ち上がって拳をにぎり、裏切られたと叫んで誰がやったと糾弾し、言葉を連ねて不思議はないのになぜか沈黙を守ったままでいる。謎めく。そして中心となって運動を起こした美容整形外科医に至っては、“敵”の存在を示唆して、その妨害によって不正が行われたと訴えている。

 だから、誰が“敵”なのかと。この場合は、明らかに署名を集めて提出した人たちの中に、何かを元にして名前と住所を自分で書いたか誰かを使って書いてもらったかした署名が大量に混じっていたことになる訳で、それは署名活動に“一生懸命”だった身内の人にほからならいのに、それを挙げて“敵”だというのはつまり署名を妨害するために反対勢力が送り込んだ管長か何かだとでも言うのだろうか。言うのだろうなあ。さすがに良識ある人たちが、提出時にこれはヤバいと発見したのを取り下げようとしたら、怒って勝手な行為をするなと排除した。

 ちょっとの署名を隠そうでもしたのだろうか。でも、隠して済む量でもなかった上に、受け取った選管もこれはさすがにヤバい不正だと調べ始めたら出るわ出るわの同一署名。もちろんたった1人が書いたってことではなく、誰かが同じ署名を大量に書いたような不正のパターンがいっぱい出て来たってことなんだけれど、これすらも一人で11万票も書けるものか、だから陰謀だって誤解曲解を正解にしようと躍起になっている。冷静になって不正が混じったことを恥じて調査に協力してこそ公明正大にして明朗快活な“日本人”なのに、どうして逃げて騒ぐのだろう。いずれにしても事は司法へと行きそう。リコールという直接民主制の宝刀を、虚偽に塗れた場にして信頼を損なったことに対して誰かが捌きを受けるなら、それはすべての責任を負うといった人。分かるよね。分からないかなあ。分かろうとしないかもしれないなあ。


【1月29日】 上の親不知が虫歯でボロボロになって根っこだけしか残ってないのを、抜いたのがいったいどれくらい前だったっけ。元より噛み合っていなかったけれど、歯がなくなって下の歯がまるで無用のものとなっていたこともあって、抜くかどうかと歯科医さんに言われて抜きますと言ったのが1週間前。今はまだ虫歯でボロボロになっている訳じゃなく、根っこもしっかりしている歯を抜いて良いんだろうかと考えたものの、このまま放っておいてはいずれ虫歯になる可能性もあるらしく、また隣の歯に悪さをするとも言われたら抜くしかないと心を決めて、家から徒歩3分の歯医者に行く。

 院長は男性だけれど抜歯は女性の歯科医さんで、そういえば前も同じだったから抜歯が得意なのかもしれない。実際前はちっとも痛くなかったし。まずは麻酔から始めて痛みがないのを確かめてから口に何かをいれて引いたり押したりしていた模様だけれど、目には見えず麻酔であまり感じなかったので何が起こっていたかは不明。上に鏡があってまる見えになっていたらその作業のハードさに気を失ったかもしれない。でもそんな作業をしている歯科医さんが気絶しないんだからようは慣れってことなのかも。

 とはいえ、前以上に何か苦労している感じで引っ張ったり引っかけたりしているようなのになかなか抜けない。女性だから力が足りないのかとも思ったけれど、そうでもなかったことを抜けた歯を見せてもらって知る。根っこの部分が3つ又になっていてそれぞれが外に向かって開いていた感じ。これでは引っかかってなかな抜けない。逆に言うならそれだけしっかり座っていた歯を抜いてしまって顎のバランスはどうなるのか。あるいは右側の上下がなくなて左側の奥の上下も抜いた方が全体のバランスは良くなるのか。

 いろいろ思うところもあるけれど、歯医者さん的には左の上も抜いて下も抜けばお客さんとして繋がるから、誘ってくることはあるかもしれない。とはいえ抜いて保険で2000円の抜歯で歯医者さんにどだれだけの収入になるのか。いずれ近くの歯を修復して何万とか持っていく考えかな。そのための餌付けをしているのかも。ともあれ抜いた後はしばらく穴になっていて、舌先で触ると奥まで届きそう。これが上と同じようにだんだんと埋まってくれば安心だけれど、それまではしばらくジグジグとした痛みが続くんだろうなあ。カロナール飲んで早く寝ようっと。

 三重県の賢島にある志摩マリンランドが3月31日を持って営業を終了するとの報。あれは1974年の8月30日くらいに、小学校では同級生で同じカブスカウトの団に入っていた子の親が務めていた会社の保養所が賢島にあって、カブスカウト仲間と親たちで遊びにいった時に立ち寄ったような記憶がある。どうしてそこまで詳細に年月日を覚えているかというと、1974年8月30日は東京の三菱重工ビルでテロがあって爆弾が破裂して大勢が亡くなるという事件があったから。その報道を確か賢島についたあたりで新聞だかテレビで目にした記憶があるのだった。

 賢島の保養所には2年続けて行ったから、志摩マリンダランドに立ち寄ったのがその年だったか前か後の年だったのか、はっきりとは覚えてないけれど、その頃でまだ開業から10年経っていなかったみたい。今でこそマンボウが水槽で泳いでいることで有名だけれど、当時もいたかどうかは不明。カブトガニだけはいたかなあ。それにしても老朽化だからって改装すれば続けられそうな気がするし、伊勢志摩サミットで観光地としてもクローズアップされた賢島にあるなら観光客だって増えていそうなのに、どうして閉鎖なのかといえばやっぱり新型コロナウイルス感染症の影響で、客足がグッと鈍ってしまっているからなんだろう。この状況が続く中で営業を続けても回復が見込めないなら閉めるしかないってことなんだろう。残念。マンボウはどこかに行くのかなあ。ってか運べるんだろうか、大きいし、すぐ死ぬし。

 ABCの2020年12月の新聞部数が出たみたいで、朝日新聞が前の年から41万部減って486万部と500万部を大きく割り込んだまま下がり続け、読売も前年から59万部減って730万部と1000万部なんて遠い昔のことになってしまった。日経と競ってた毎日は27万部を減らしたものの203万部で踏みとどまっているけれど、減少傾向は続いているから遠からず200万部割れは確実だろう。一方で日経は199万部となって200万部割れを記録したものの、ネットの会員が多いから案外に深刻さは感じていないかも。産経は……122万部かあ。前年から12万部減。1割近く落としている訳で、このペースなら100万部割れも遠くない。ってか実売ではもう割ってるか。

 こうなると販売収入はぐっと下がるし広告収入だって部数に比例して価格が下がる上に新型コロナウイルス感染症で企業だって広告を渋るから全体として下がることは避けられない。効果を考えるなら部数の多い方へと向かうなら全国紙で最低のところから切られていくと考えると、先に力尽きるのはどこかっていうことが自ずと見えて来る。竹橋もヤバいといえばヤバいけれどもとてつもない不動産があったりするし、夕刊だって維持しているから切れるところはまだまだある。それをもう10年以上も前から進めて何も残っていないところが、人も地方も削っていってなお回復の兆しが見えない以上、この先に来るのは果たして何か。考えると夜寝られなくなっちゃう人もいっぱいいそう。やれやれ。


【1月28日】 楽天ゴールデンイーグルスからニューヨーク・ヤンキースへと移籍して活躍していた田中将大投手が、フリーエージェントになって、さてどこかに移籍するか再契約するかとみていたら、日本に復帰となってて今シーズンはももいろクローバーZのライブなんかでその姿を見られそう。ってんじゃなくメジャーで主力級の投手がどうしてって驚きがあって、いろいろとネットの情報を見てみると新型コロナウイルス感染症の影響で興業が鈍っているアメリカで、フリーエージェントの高額な契約金を出してまで選手を補強できない事情がどの球団にもあるみたい。

 多いのがトレードでこれなら人と人との入れ替えだからお金はかからないし、釣り合わないなら少しばかりの金銭を支払ったりもらったりすれば球団どうしは片が付く。あとは選手との話し合いの中でそれなりの年俸で契約すれば済むけれど、フリーエージェントだと諸々かかって釣り合わないってことが出るみたい。だから乗り気じゃなく、ヤンキース事態も再契約とは行かない中でどこかに安く自分を売るくらいなら、あのイニエスタだって傘下のサッカーチームに置いておける楽天が、福岡ソフトバンクホークスの独壇場に一矢報いたいとマー君を呼び戻したとのに応じたって感じだろう。年俸もそれなりにもらえるんだろうなあ。

 日本ではとりあえずあと1勝で到達する100勝を目指し、それから22勝を積み上げて日米トータルで200勝を達成するってところが目標になるのかな。1シーズンで23勝はよほどの活躍じゃなくちゃ届かないし、そもそもが今シーズンもいったいどれだけの試合数がくめるかが今の状況だと見えないけれど、それなら余計に1年で大リーグ復帰ともいかないだろうから2年くらいの滞在で、どうにか200勝に到達してひとつの看板を手にしてから、養われた英気をまた爆発させるべく渡米するってのも手かなあ。その間、ダルビッシュ有投手はアメリカに残ってどれだけの活躍をするんだろう。それを思うと早い復帰からの投げ合いを見てみたい、ワールドシリーズという大舞台で。

 国旗を損壊したら罰せられるようになる法律を作るの作らないのと大騒ぎ。行為としては低劣だしやるのは恥ずかしいことだけれど、そう思ってやっている人たちを蔑めば良いだけのことで、それでもやらかす人たちがいるなら見ない振りをして挑発を無効化するのがひとつの方法であって、罰則なんか作ったところで法律が及ぶ国内でやる奴らはやるだろうから意味がない。あとはそうした示威行為であっても表現であって、それを止めるというなら反論のための表現だって止められる可能性があると思わなければいけない。お互いにやってやりかえしつつ恥ずかしいことをやっていると周囲が黙して沈静化させるような道を、選べないくらいにきっと追い詰められているんだろうなあ、政府自民党は。

 なにしろこの厳しい経済情勢にあって国民全体を元気づけるような方策を何一つ打てずにいいて、どうにかしてくれといったら生活保護があるだろうなんて国権の最高の地位にある人間が嘯くんだから。いやいや生活保護はもう最後の砦であってここまで来てしまったら生活をしていくのがやっとであって、商売なりを立て直したり家庭なりを起こしたり消費なりに邁進するってことがしばらくできなくなる。当然に経済は停滞の一途をたどっては新しい消費者を産まないまま、さらなる困窮者を呼んで生活保護の需給を増やすだけ。だったらいっそベーシックインカムにしちぇよって話になる。

 というか生活保護があるというなら、GoToトラベルだのGoToイートだので旅行業界や飲食業界を支援しなくても、商売が立ちゆかなくなるのはこのご時世に仕方の無いことであって、潰れるなら潰れてそして生活保護をもらえば良いって話になる。一般の人たちの生活は支援しないのに、旅行業界や飲食業界で働く人たちの生活は支援するというこのバラバラな方針に説明なんてできるのかな。もちろんGoToはあって良いし、それに加えて給付金もあって良い。幸せになれる方へとそろえるべきなのに、底辺へとそろえて良しとするこの国の偉い人たちの良心っていったいどうなっているんだろう。そんなものはない? あり得るなあ。

 「裏世界ピクニック」のアニメ版第3話が放送から1週遅れてネットに来ていたんで見たら結構怖かった。どちらかといえばふわっと存在してひたっと迫ってくる恐怖をメインに取りあげて、ゾクッとさせるのがネットロアを元にした作品だったりするんだけれど、今回は宮澤伊織さんがアニメのために書き下ろしたエピソードであり脚本ってことで、裏世界の限界集落で頭の大きなバケモノたちが集団で襲いかかってくるという、直接敵でパワープレー的な恐怖を味わえた。あんなものに追われたら普通は腰を抜かしてその場でどうにかされてしまうだろう。ってかどうされてしまったんだろう。食われるか消されるか。どっちにしたって助かって良かった。本当に怖い「きさらぎ駅」のエピソードとか、「箱の中の小鳥」のエピソードとかはいつアニメになるのかな。見ていこう。

 電撃文庫から出ている川石折夫さんの「犯罪迷宮アンヘルの難題騎士」をようやく読む。ダンジョン探索の拠点となっている町にやってきて、ダンジョン内で起こる犯罪を調べる騎士団に入った新米の女性騎士ラトラが年配で元冒険者の騎士カルドとバディを組むって設定から、「コップクラフト」的な犯罪捜査ミステリなんかも想定したけど、もうちょっとファンタジーに寄ってて魔法を悪用する集団に、立ち向かう騎士たちといった構図の中でラトラの普段はポンコツだけれど、潜在的に持っていた力が発動するって展開になっていた。ちょっと悲しい帰結もあったけれど、それを経て成長したラトラのこれからを見守りたい。


【1月27日】 エレンが巨人化して、戦槌の巨人の水晶体に覆われた本体を引きずり出しては、顎の巨人の堅い堅い顎を使って水晶体を砕いて中身を取り出し、喰らって戦槌の巨人の力を取り込んだ展開の迫力を、テレビアニメーション版「進撃の巨人 final season」を見て、もうこれは辛抱たまらないと続きを知るために、ネットで単行本の最新刊から5巻ほど遡るあたりまでをそろえて、明け方にかけてポツポツと読んでいく。なるほどそうなるのか。

 アニメで放送された部分から少し飛ぶけれど、そこはサシャ・ブラウスに訪れる悲劇と、そして熱血なガビの事情をしらない頑張りが空回りしてしまう虚しさを、展開から感じるために漫画では読まずにおいておこう。それにしても本当に遠くまで来たといった感じの「進撃の巨人」。スタート当初にマンガ大賞にノミネートもされて読んだ時には、壁によって閉鎖された町に巨人が現れ攻めてきて、人類が最後の攻防として巨人相手に立ち向かい、追い詰められながらも最後は押し返して平穏を取り戻す話になるのかと思った。

 ところが、進んでいく展開の中で壁が自分たちを守るためのものではなく、自分たちが隔離されたものだといった状況が浮かび上がり、そして壁の外からはるか海を越えた場所に大勢の人が住んでいて、かつて壁の中に閉じ込めた人々に蹂躙された過去があったことが判明。世界がひっくり返ると同時に正義がひっくり返って善が悪となり、悪が善となってそれぞれの立場にいた者たちを悩ませる。それはアニメでいう「final season」に入っても同様で、ガビたちマーレに暮らすエルディア人たちが感じていた自分たちの正義が、決して正しいばかりとは限らないことが見えてきて迷わせた先、よりいっそうの統一的な悪=エレンという存在が屹立してそこに与する人類もいたりする中で、何かを為すために立ち上がる調査兵団の面々の存在が、改めて強く浮かび上がって来る。

 しばらく脇におかれていて、イェレナたち義勇兵の面々や獣の巨人ことジークあたりが中心となって進んでいた展開を、取り戻したもののその中心にエレンがいないというのが面白い。最後はやっぱりエレンとミカサの対決となるんだろうなあ、その2人の物語から始まって、そしてその2人に帰結する構造がやはりとってもすっきりする。そんな開の上に、認識がひっくり返る世界への認識があり、それを成り立たせる壮絶な設定があった「進撃の巨人」は完結すれば確実に、2021年を代表するSF作品として日本SF大賞にノミネートされるだろう。むしろ受賞したって不思議じゃないと思うけど、漫画がなかなか上に上がりづらいからなあ、最近は。どうなるか。見守りたい。

 「PUI PUI モルカー」とは別の意味で、毎週の放送が楽しみな「EX−ARM」がAmazonPrimeVideoに来ていたので見たら、登場した迷彩服の男が自動車のフロントウィンドウ越しに見えて、そして動いたものの迷彩柄はまったく動かず、もしかしてこれは柄ではなくウインドウに張りついた汚れかと思ったら、男が脇に回ると見えなくなって、やっぱり迷彩服なんだと分かった。つまりは服に貼り付けたテクスチャではなく、動く人物の輪郭に合わせて切り取られた部分が見えていたってことみたい。

 「鬼滅の刃」が1枚1枚丁寧に、動く着物の柄を描いて動きの自然さを再現していたのと比べると、とんでもない手法。3DCGアニメならモデルに貼り付ければ済むはずなのにって思わないでもないけれど、その時だけの雑魚キャラをモデリングする時間がないのか作画になっていたりして、テクスチャを貼るなんて作業がすっ飛ばされたって感じ。凄いなあ。ほかにも吹っ飛ばされて崩れ落ちた瓦礫に潰されたはずの犬型ロボットが、次のシーンで破壊された後もないのが凄かった。そうした異常さとは別に、ストーリー自体はそれなりに面白いから見入ってしまう。あとアンドロイドの少女たちが妙にエロいところとか。逆覇権という意味で2021年を彩る作品になりそう。

 日本アカデミー賞の各賞が発表になって、アニメーション映画賞には「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」「ジョゼと虎と魚たち」「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」「映画 えんとつ町のプペル」「STAND BY ME ドラえもん2」が優秀アニメーション映画賞を獲得していた。ここから最優秀が選ばれることになるんだけれど、数字だけで見れば過去最高額を記録した「鬼滅の刃」ってことになるはず。とはいえ過去にテレビシリーズの劇場版が選ばれたことは「名探偵コナン」でも「クレヨンしんちゃん」でもなかった。

 かろうじて「STAND BY ME ドラえもん」であるくらい。これは初CGのドラえもんだったからって意味もある。今回はその続編的な位置づけになるから除外だし、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」もテレビシリーズの続き、「鬼滅の刃」にいたっては漫画の原作の途中といった作品で、単独しての映画といった感じがしない。そうなると残るのは「ジョゼと虎と魚たち」か「プペル」ってことになって、作品性ではどちらがとっても不思議はないけれど、そうなった時に興行収入でその年最高だった映画が無冠で終わってしまう。「君の名は。」は最優秀アニメーション映画賞を逃しても新海誠監督が最優秀監督賞を受賞できた。「鬼滅」にはそれがないんだよなあ。かといってアニメーション映画賞を与えるのはなあ。迷います。


【1月2日】 放送された「PUI PUI モルカー」の第4話をテレビではなくネットで視聴。モルカーの中でいろいろと食べてはゴミを散らしている男性は、監督の見里朝希さんではなかった。第1話でモルカー渋滞の原因となった、社内で音楽を聞いて信号が変わったのに気付かず発信させなかった男性は、見里さんが演じていたけど帽子を被って顔を伏せていたので表情は分からず。第4話はモロ顔出しをしていて、背格好が何となく似ていたのでもしかしたらと一瞬思ってしまった。

 ちなみに第1話で渋滞につかまって困る女性運転手をしていたのは、確かお姉さんだったっけ。身内と知り合いで固める家内制アニメーションかなって感じさせたけれど、そこまでインディペンデントではないよなあ、バンダイナムコアーツが深く関わっているみたいだし。そんな「PUI PUI モルカー」第4話は、外に放り出されたゴミをモルカーが食べて回収していくのを見て、乗っていた男性がゴミをどんどんと放り出しては食べさせのを繰り返す。

 捨てたのに拾われたのが気に入らなかったのか、それとも拾わせるのが楽しかったのか。そこがちょっと判然としないけど、いずれにしてもモルカーにとっては良い迷惑。食べるついでの道ばたのゴミまで食べてしまったのが良くなかったのか、お腹の具合が悪くなって道ばたのトイレにかけこんだ。そうか食べたらやっぱりお腹に来るのか。そのお腹ってのが運転席なら運転手は食べ物か。いっそそのまま胃液で消化してしまえば……ってことはできないようで、取り込んだゴミともども外へと排泄。ポイ捨て野郎が文字通りのクソ野郎扱いされる展開が、子供たちの教育にとってはとてもよろしいんじゃなかろうか。

 コンテは前回に続いて「澱みの騒ぎ」が毎日映画コンクールの大藤信郎賞をとった小野ハナさん。個人で作る作品はもっとアートに寄っているけどそうした作品を手がける合間に、こうした商業作品にも出ていっては、脚本に沿って冴えたコンテで、人間の悪い所業をそれと分からせる絵を作ってくる。とはいえ前回は炎天下の車中に置き去りにされる猫でありモルカーで、今回はゴミを食べさせられるモルカーといった具合に、モルカーが困る描写が続いたのは裏返せば、人間としてモルカーを、困らせる着想に長けているってことになる。そんな残酷な。いやまあ人間とは基本残酷な生き物で、それを省みられるからこそモルカーに託して自分を戒めようとしているのかも。嗜虐的か自嘲的か。聞いてみたい。

 そんな「PUI PUI モルカー」をネットで見ているうちに町田に到着。船橋からだと1時間半くらいだから三鷹と比べてもそんなに遠くはないか。商工会議所さんでいろいろと話を伺ってから、随分と前に立ち寄ってマテ茶に関する取材をしたお茶のひじかた園に立ち寄って、マテ茶を飲むのに必要なボンビーリャと呼ばれる金属製で先端に茶こしがついたストローと、そしてマテ茶を選んでもらって購入する。ボンビーリャは前にも買ったけれどしばらく使っていない間に錆が出てしまったのだった。

 買い換えようにも近所で売っているところはなし。ネットでも通販はされているけれど、町田に行く用事があるなら日本で一番、マテ茶に詳しいひじかた園なら揃っているだろうと思って入ったら、いろいろと取り出して来てくれた。ネットより値段は張るけど店主さんが厳選したものだから間違いはなし。マテ茶もセレクタ製でパラグアイ産のグリーンマテ茶にインドのモリンガというハーブを混ぜたものを薦めてもらったのでそれを購入。カバンに入れて戻る途中、新宿に寄ってTOHOシネマズ新宿で副音声付きで「劇場版 銀魂 THE FINAL」を見る。

 アプリを入れて音声を落としておくと、上映と同時に再生がスタートするという仕組みで、ちゃんと展開に合わせて杉田智和さんと阪口大助さん、釘宮理恵さんが喋って冒頭の「ドラゴンボール」みたいな映像に突っ込んだりしてた。そうかアニメの制作現場を描いた場面で女性アニメーターの叫びを入れていたのは宮脇千鶴監督自身だったのか。とにかく盛りだくさんの内容だったけれど、中ではお妙さんを演じていたゆきのさつきさんが、最初の頃は豹変して叫ぶ収録で飛ばしすぎて喉を潰してしまっていたとか。だんだんとセーブするようになったけど、それであれなら最初は凄かったってことだよなあ。Netflixに入っているので順にお妙さんの出演場面を探して見返していこう。

 TOHOシネマズ新宿の9番シアター最前列はリクライニングが聞く上にスクリーンまでの距離もあって見やすいことが判明。今後も利用したいけど1番見たい「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の公開が延びた今だと、何を見に行ったら良いのやら。今週末だと最前列で浴びるようにして見たい作品ってないし。かといってスタジオジブリがリバイバルの第2弾を用意している感じもないから、もう1度くらい副音声なしの「銀魂」を見ることにしようかな。

 帰ってマテ茶を久々に入れる。肝心のマテ壺はヒョウタン製のものは黴びてしまっていたけれど、別に買ったパロサントって木製のものは大丈夫なので、それを使うことにする。マテ茶を取り出し壺に入れ片方に寄せてお湯を注ぎボンビーリャを突っ込んで口を付けたら熱かった。そうか金属製でお湯だとそうなるか。今まではたいてい水を注いでテレレで飲んでいたのでそういう“事故”とは縁遠かったのだった。夏までまだ間があるししばらくはお湯で飲むのが続きそうなんで、水を電気ポットで沸騰させる寸前まで温める技術を会得しよう。味は……お湯だとハーブっぽさがいまいち不明。でも味は懐かしいマテ茶。ビタミン豊富でノンカフェインだから健康には良さそう。これで痩せるとなお嬉しいが……。


【1月25日】 自衛隊に決起を促しながらも立たず逆に罵声を浴びせてきた自衛隊に絶望して、割腹して果てた三島由紀夫が自分で組織した「盾の会」は自衛隊からは独立した私的な部隊であって、自衛隊ではできない訓練をほどこし自律していこうとしていた節がある。そんな「盾の会」と一緒にされては迷惑も甚だしいと三島も思いそうな共同通信による自衛隊OBによる自衛隊員の私的な時間を使っての合同セミナー的訓練。参加したのはあくまでも自衛隊員であって、日々の訓練だとか仕事にプラスアルファで、能力の向上に努めたいって気持ちがそこにはあったんじゃなかろうか。

 自衛隊OBは別に三島由紀夫のように自衛隊員を囲い込んでは私兵として育て決起を促そうとしたものではない。まあナショナリズム的で尊皇的なイデオロギーはありそうで、その線にそって自衛隊員をオルグしたいって思いはあったかもしれないけれど、当の自衛隊員達が誘われて参加してちょっぴり強くなって賢くなったと思うような自己啓発セミナーに近いものを、ことさらに問題視してヤバいと訴えるのも大人げない気がしないでもない。とはいえ自前で鍛錬だって出来るだろう自衛隊員が、余所のセミナーに参加するのも考え物。そうはならないコースを作ってあげるべきなんじゃないかなあ。教えるんだシステマとか忍術とかカポエイラとかを。

 あるいはウエイヴか。何それって人に説明するなら坂口択さんっていうアクションが得意な俳優さんがたどり着いた近接格闘の流儀みたいなもので、それこそゼロレンジから手数を出しては相手を圧倒するようなバトルって奴を繰り出せるようになるらしい。「Re:BORN リボーン」という映画でその技を見せてくれたそうだけれど、その一端に「暴力無双―サブリミナル・ウォー―」でも触れられそう。映画ではなく配信向けのVシネマ的な作品で、監督は榊秀雄さんという人で、坂口択さんが出演してほかに「仮面ライダー斬鬼」に出ていた松田賢二さんや女性で格闘もする浅井光星さんや、バイプレイヤーとして活躍する松本実さんも出演している。

 ってそれ「VERSUS」じゃん。そう2000年に世に送り出された北村龍平監督の「VERSUS」に出演していた面々が、20年という時を経て集った作品が「「暴力無双―サブリミナル・ウォー―」。もちろん三坂知恵子さんも出演しているけれど、20年前はさらわれては襲われ守られるヒロインだったのが、今回は悪の親玉といった感じになって暗躍しては、最後にロケットランチャーか何かで吹き飛ばされて炎上して果てる。そこへと至る過程では、必殺処刑コップが出て来ては片腕を切り飛ばされたり、坂口さんが喋りまくる相手に「お前の話は長いんだよ」と告げたりと「VVERSUS」を見ていた人なら思い浮かぶセリフやシーンが満載。松本実さんも慌てふためいて逃げ回っているけれど、その演技も20年が経って円熟味が増していた。

 榊英雄さんは髭がなくてちょっと老獪さが増していたといったところかな。坂口さんのようなアクションでのしてきた人ではないけれど、それでも近接格闘の妙を見せてはくれていた。瞠目は女性の浅井光星さんかなあ。あれから20年が経ってもしっかりとしたスタイルを保ちつつショートパンツ状のジーンズからにょっきりと足を覗かせて蹴りを放ち腰を落とし拳を繰り出すといった目にも楽しい格闘シーンを見せてくれた。どうやら洗脳されていたらしい状態では圧倒的な強さを見せるのに、洗脳がとけたとたん可愛らしくなるのは「VERSUS」でも見られなかった姿で面白かった。三坂さんに変わるヒロインは「手裏剣戦隊ニンニンジャー」で百地霞を演じた山谷花純さん。かよわい風ではあったけれど、癖のありまくる面々の中でも物怖じしない演技を見せていたからきっと、これからの邦画で活躍していってくれるだろう。注意していこう。20年後にロケットランチャーで爆破される可能性も見据えて。

 賀来ゆうじさんの「地獄楽」が少年ジャンプ+の連載で完結に。すでに前週でだいたいのストーリーは終わっていて、後日譚的な展開が描かれた感じで画眉丸は幻かもと一時は言われた女房がしっかりと実在していて、幕府による追求をくぐりぬける形で野に降りてはしっかりと仲睦まじい暮らしを送っていた。ペアを組んだ佐切の立場がないっちゃあないけれど、もとよりヒロインというよりはパートナーとしての登場であって、画眉丸があらゆる誘惑や迷いや攻撃をしのぎ退け生き延びられたのは、すべてが妻の結への思いがあったゆえ。そんな一途さを支えるバディだったと思えば今も幸せを願う立場で間違いはない。女性としてはどうだったのか。そこは杠(ゆるじは)が埋めてあげているのかな。

 ひとり正当な立場を得た剣豪の民谷厳鉄斎は道場破りも少なくなくて大変そう。ヌルガイと士遠で子連れ座頭市ってちょっと笑った。ヌルガイってそんな歳でもないのになあ。あとも気になる面々がいるけれど、それよりエンディングで現代が出て来てそこに描かれた面々は天仙の生き残りか何かだったっけ、そのあたりもうちょっと読み込んで考えよう。そんな「地獄楽」が連載終了と同時にアニメ化決定。「チェーンソーマン」も週刊少年ジャンプでの連載第1部が完結したのと同時にアニメ化が発表されてたし、人気の途中でアニメ化されて原作を飛び越し盛り上がっては終了となった一方で、漫画の存在感が薄れる事態を避けて漫画の盛り上がりを引き継いで、アニメでまた盛り上げようという手法を取り入れ始めているのかもしれない。声が誰かが気になるなあ。あと制作会社。見守りたい。


【1月24日】 アメリカのコーネル大学が、先のアメリカ大統領選で、バイデン大統領や民主党に関するデマをまき散らしたツイッターのアカウントを洗い出しては並べてみせて、その中に日本のアカウントというカテゴリーがあって沖縄から出向いて行ったジャーナリストの人や、日本にずっと居ながら不正があったと叫び続けた自称ジャーナリストの人なんかのアカウントが上位に並んでた。さすがは全米屈指の名門大学、見ているところはしっかり見てる。歴史の本を書いた作家の人とか、その本を編集して対談までした人とかが入ってないのは謎だけれど、影響力はあっても回数的に頻繁ではなかったという判断か。あとは通信社の元政治部長も。取るに足らないと思われた?

 ユニークなのは、そうやって指摘されてもなお、とっくの昔にフェイク認定された自称を持ち出しては、不正があったことは事実だと嘯いてこうした指摘は認めないと言ってることだけれど、現地の当局者たちも不正の存在を見いだせず、裁判に訴え出ても却下されまくっている事柄を遠く日本にいてどうして事実だなんて言い切れるのかが分からない。よほど凄まじい情報源があるのか、それとも知らない間にアメリカにいって調査をしていたのか。分からないけれどもこうやって名前が挙げられリストアップされたからには、内容を精査されてはアメリカの敵認定され、渡米なんかにも影響が出るかもしれない。どういうビザでアメリカに長期滞在しては報道に関わっている沖縄のジャーナリストにもそろろそ影響があるかなあ。報道ビザなり特派員ビザってなかなかとれないものなんだよなあ。

 そんなライト方面でも極端にライト側でなおかつアンダーグラウンドな印象すら放ち始めている面々から、同じライト方面に属しながらも敵認定されてしまった人たちが集まってYouTubeを使ってアメリカ大統領選について番組を作って発信していた。語られる内容は極めて真っ当にトランプ大統領が煽った感じすらあった1月6日の連邦議会突入はテロでありそれ以上にクーデターでもあって、関わった者たちは全員が国家に対する叛逆の罪でもってマークされることになると指摘。そうした行為が起こりえることを予見できなかったとしても、結果としてきっかけを与えたトランプ前大統領にはやは罪があって罰を受けるべきだろうと話してた。

 どんな状況であっても、民主主義の名の下に占拠が行われてそして法律的に問題がないと分かったのなら政権を譲るのがアメリカ合衆国という国の美徳であり、世界で最初の民主主義国家たるプライドでもあるといった意見も極めて納得できるもの。そうした意見をどうして普段から言わずに同じ狢として一緒くたにされていたのかといえば、やっぱり中国憎しの感情があってそれをバックアップしてくれるアメリカの当時の政体に、異論なんて言えなかったってこともあるんだろうなあ。

 でもさすがにアメリカ合衆国という国そのものの根幹であり、成り立ちを揺るがすような事態が、あったと糾弾する声には与せなくなる人も出て来たというか。だからこそなおもしがみついて不正を糾弾する人達の狙いが分からない。いや分かるんだけれどどうしてそこまでイデオロギーを過ぎたカルトの領域に足を突っ込むかが分からない。衣食足りて礼節を知るというか、武士は食わねど高楊枝の反対というか。それで果たしていつまでも食べていけるのかが見物だけれど、この段階になって堂々と連邦議会に突入したのは極左だといった論調で書かれた記事を掲載して、表紙にまで見出しを載せる雑誌もあったりするから、まだまだしばらくは日本においては続くんじゃなかろうか。止める手立てもないし。

 目覚めると雪こそ降っていなかったけれども雨で遠くに出かける気力もないので、買い置きの野菜ジュースを飲んでしばらくうだうだとしてから、むっくりと起きて近所のチョコクロまで出かけてサンドイッチをコーヒーで流し込みつつ、先だってオンラインで行われた会議の議事録なんかをまとめる作業を数時間。どうにか一段落付けてから、スーパーで昼食用のチキンカツと納豆巻きとサラダを買って、それから夕食用にカップ麺と豆類とゆで卵とミニカツ丼を買って買える途中に本屋に寄って、新刊を仕入れてそれから帰宅。途中でi☆Risの開かれなかったコンサートのチケットを引き出したら前から3列目とか6列目の両席で泣いた。もう渋谷梓希さんは見られないのかと思うと寂しくなった。最後のライブは行けそうもないからネットで見よう。

 これは凄いSFなので宇佐楢春さんによるGA文庫大賞の金賞受賞作となる「忘れえぬ魔女の物語」を読むように。相沢綾花という高校生になったばかりの少女がいて、稲葉未散という同級生の少女と仲良くなって始まった高校生活は、翌日も同じように綾花と未散が始めて出会って知り合うことになる、そして翌日もやっぱり綾花と未散が出会って友だちになる。

 どういうことか。実は全部同じ4月6日のこと。それが3回繰り返されて、その中の1日が選ばれて翌日の4月7日に繋がっていった。鍵になっているのが綾花という少女の不思議な能力。彼女は生まれてからずっと、同じ1日を数度、たいていは5度くらいて多いともっと多くの日数を過ごしてから、そのうちの1日が継続する形で翌日へと進んでまた何回か同じ日を繰り返したあと、翌日へと進んでいたのだった。15歳の綾花はだから、その5倍くらいの時間を自身の体感として過ごしていたことになるからだいたい75年。幼くして老成してしまった感すらあって、そうした態度を恐れて両親は綾花を離れにひとり、放り出して住まわせていた。

 そんな綾花が未散と知り合って歩み始めた高校生活も、やっぱり何度か繰り返しては進んでいく日々だったけれど、そうした中で育まれた未散への感情から、起こったことが続いて欲しいと願うなり、起こったことがなくなって欲しいと願うようになっていた。危険に遭うならそうはならず、良いことがあったらその記憶が続くようにといった具合。上手くいく時もあればそうでない時もあってそれが苦しくもあり嬉しくもあった綾花の日々に、大変なことが起こる。

 時間の牢獄。超えられない壁。それにぶつかった時に、諦めないでいられるか。自分を保っていられるか。問われるところがある。そしてもうひとつ、観測することによって進む時間の流れは自分以外にもあり得るのかといった疑問。もしかしたら世界は認識する誰かの数だけ、存在はして分岐しながら進んでいるのかもしれない。百合的な関係性を描きつつ、ハードな時間への認識を問いつつ、突破する道を思考させる思弁性を持ったSFストーリーだ。


【1月23日】 4000人を超えて例年のインフルエンザによる死者数を超えてきた新型コロナウイルス感染症の影響だったけれど、それから10日を経ずして亡くなった方が1000人増えて5000人を突破。なるほどこれが指数関数的な増え方かって感じさせられるくらいに、拡大の一途をたどっている。なるほど陽性者がいくら増えようとも重症にならず亡くなりもしないならただの風邪かそれ以下って言う人の意見も分かるけど、こうも亡くなる方が多くいて、そして入院時の長さと後遺症の重さを考えるならやっぱり邪険にあつかって良い病気じゃない。

 それだけに対策もしっかりして欲しいところだけど、ワクチンは手に入らず打てる人も限られそう。それで大勢を招いてのオリンピックなんて開けるのか、ってあたりにも帰結しそうな問題を、軽く考えている漫画家さんとその周辺は今後の状況が悪化した場合、どういった良い訳をしてくることになるんだろう。若い人が亡くなっていないからたいしたことがないってあたりに落ち着けるんだろうなあ。だったら年寄りは亡くなっても構わないのか、ってところは開き直るんだ。今は若い世代の支持さえ得られれば食っていけると割り切って。やれやれだ。

 第75回毎日映画コンクールの受賞作品が決まって、アニメーション映画賞は佐藤順一監督と鎌谷悠監督による「魔女見習いを探して」、そして大藤信郎賞には岩井澤健治監督の「音楽」がそれぞれ輝いた。一般性を持った映画がアニメーション映画賞に来て、大藤賞は芸術性が尊ばれる場合が多いことを考えるとこれは妥当な配分。佐藤順一監督だと「泣きた私は猫をかぶる」もあったけれども、Netflixでの配信がメインだったからなのかノミネートはされておらず、当然に受賞は無し。あと日本映画史上最高の興行収入をあげた「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」はノミネートされていたものの、テレビシリーズの続きといったこともあってが単品で判断されるコンクールで受賞はやっぱり難しかったのかもしれない。

 20億円を超える興行収入に達した『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』もテレビシリーズの続きだからやっぱり除外されたのかも。それは「おジャ魔女どれみ」と関連して、シリーズを見てないと分からない部分もあったりする「魔女見習いを探して」も一緒だけれど、そうしたテレビ番組があったんだということを索引を通して知り、そこで何が繰り広げられていたのかをうすうすながらも感じ取れる展開を通して、かつての少女たちがそれぞれに成長してしまった今、社会の中で直面しているさまざまな問題に触れ悩みながらも、過去に培った思いと新しく得た仲間たちをより所にして、立ち直り歩き出していくストーリーが人生において普遍のものと受け止められ、受賞に至ったのだとも考えられる。

 個人的には「ジョゼと虎と魚たち」にも頑張って欲しかったけれど、公開時期が年末のギリギリでは届く層に届かなかったのと、あとはやっぱり実写版と比べられてしまったのかもしれない。「サイダーのように言葉が湧き上がる」がノミネートされたのはちょっと勿体なかったかなあ、映画祭だけの上映で本番はまだ先な訳だし。大藤信郎賞の「音楽」は1人が頑張って絵を描いて作り上げた上に、それがとても巧みで展開にマッチしてグングンと気分を盛り上げられ、そしてラストで始める展開に大いにやられたから受賞は当然。それこそアニメーション映画賞でも良かったけれど、個人の思いがたっぷりということで大藤賞にに回ったのかも。ストップモーションアニメーションの秀作「劇場版 ごん −GON, THE LITTLE FOX−」は惜しかった。

 一般の映画に目を転じると、最高賞の日本映画賞は大森立嗣監督の「MOTHER マザー」で少年の祖父母殺人事件をテーマに描いたものらしく、そういえば予告編は見たけれども本編は見ていなかった。こういう家庭がどっぷり描かれたものを今はまだ見る気力がないのだった。日本映画優秀賞は武正晴監督の「アンダードッグ」でボクシングがテーマの作品だけれど確か無茶苦茶長いんじゃなかったっけ。東京国際映画祭で見るチャンスはあったけれど時間がさすがに気を引かせた。上映続いているなら見て期待かも。大林宣彦監督の遺作となった「海辺の映画館 キネマの玉手箱」も長かったけれど、これはめくるめく変幻する展開に翻弄される形で見てしまったっけ。そこはやっぱりマジック。でも遺作だからといって受賞できるとは限らないか。他の映画祭ではどうなるか。見て行きたい。

 第33回ファンタジア大賞で金賞の水原みずきさん「魔女と始める神への逆襲 道化の魔女と裏切られた少年」(ファンタジア文庫)は修行というか試練を重ねた分だけ魔技が身につくとう設定がちょっとユニーク。とはいえ重ねる努力には常軌を逸したものもあって、氷を扱う魔術だったら365時間詰めたい場所に浸っていないと行けないとか、クリアする前に死んでしまいそうなものもあるし、とてつもない犠牲の上に成り立っていたりするものもある。

 そんなひとつで、神匣の心臓といって、神がかりの領域に達している絶対に死なない体になれる魔技を身に着けてしまった少年が、ぬいぐるみによって追い立てられている場面から開幕。そこに現れたのはしばらくぶりに人前に姿を現した3人いる魔女のひとり、道化の大魔女オヨチで追われていたティスクという名の少年を助けて自分の住処へと連れて帰っては、その神匣を消し去る魔技があると誘って少年にそれを授けようとする。

 目的は神に逆らいたいかららしいけれど、そのために必要な材料を集める家庭でオヨチの裏切りというか、元からティクスを騙していたっぽい状況が判明。けれどもどこか違っているぞといったところで、魔女ではあってもなかなかに感情がありそうなところが浮かび上がって来る。でも本当にそうなのか、魔女ってもっと恐ろしいものなんじゃないのかってのは、オヨチの親にあたる大魔女の非道ぶりからも感じられたりする。甘酸っぱいボーイ・ミーツ・ガールなのか奥深い策謀の上でのやりとりなのか。そんなプロセスを経てたどり着いた結末から先、新たに始まりそうな冒険の先に現れるのは何者か、ってところにも興味。大魔女なんてラスボスの先だからとんでもないものが出て来そうだけれど、勝てるかな、オヨチとティクスは。


【1月22日】 クラーケンが炸裂するとか告発されるとかいったトランプ前大統領の支持者たちによるバイデン大統領へのまったく根拠のない権勢を、いかにも真実かのように取りあげては拡散していた日本の自称ジャーナリストとか通信社の元政治部長とかがいたけれど、結果として何の事態も起こらずバイデン大統領が普通に就任しては早速WHOへの復帰を決めたりパリ協定への復帰を決めたりして、トランプ大統領が人気取りのためにしでかした無茶の修正に乗り出した。こうした状況にデマを拡散し続けた自称ジャーナリストとか元政治部長は普通だったら恥ずかしさで頭を丸めて旅に出たくなるはずなのに、そんな気配は見せずに相変わらずせっせとデマを集めては広めてる。

 だいたいが不正の上に成り立ったバイデン大統領だなんて言いぐさ事態が根拠の何も示されないデマだったりする訳で、証拠を見せてよと言っても不正をやってない証拠を見せろと悪魔の証明を求めてきたりする感じで処置なしといったところ。最近もトランプの解任につながる修正第25条の発動が取り沙汰されたことに、多くのメディアが飛びついて結果として発動されなかた状況にデマを拡散したなんて嘯いていたけれど、それを言うならクラーケンだのドミニオンのドイツでの欧州だの米軍と現地警察の戦闘だのといったありもしない事態を喧伝していたのは誰なんだって話になる。

 そうした我が身を省みない態度に若いユーチューバーも呆れ帰って離れていったみたいだけれど、相変わらずの支持者の少なくないから当面は、そっちに向けた言説でもって商売を続けていくんだろうなあ。何しろ準全国紙の結構なポジションにあるコラムの執筆者にまでなってしまったんだから。やれやれだ。それはそれとして立派に就任をしたバイデン大統領とカマラ・ハリス副大統領のペアが果たしてどんな政策を見せるのか。中国の台頭は貿易と経済の発展の上で欠かせない一方で、国内での統治の方法に乱暴なところを見せているだけに締め付けも欠かせない。そうした舵取りを間違うと将来に禍根を残しかねないだけに、どこから取りかかっていくかをまずは見極めたい。ウイグル問題とか最後っ屁的に大批判を残していったからなあ、トランプ政権。これはこれで厳しい問題だけにどうするかに注目。

 アメリカも大変だけれど日本もいろいろと大変そう。東京オリンピックの開催について海外ではもはや中止の方向で調整が始まっているって感じの報道がされているけれど、日本の側でそうですとは言えないだけにいつ、どのタイミングで言い出すかってところでいろいろと綱引きがありそう。トップに君臨する森喜朗元総理とかが西日本新聞のインタビューに答えて「延期はない」って喋っていたけれど、だったら中止もないのかというとそこは3月の聖火リレーの再出発が果たされるか否かを見れば分かると曖昧な表現をしていた。完全否定できない事情があるってことだとするならば、そのあたりで中止を言い出すってことになるんだろう。

 オリンピックを見に行くなんて一生に1度、出来るかどうかの事態だっただけに残念だけれど、目の前で延期になって中止になるなんて経験も一生に1度あるかどうか。チケットを発券できれば記念になるんだけれどなあ。それとも実施ということになれば、観戦者は選手とか海外から来た人たちにうつしたりうつされたりするのを防ぐ必要があるってことで、優先的にワクチンの接種が受けられるなんてことがあったら、チケットを持っていることが重要になってくるけれど、昨今の報道だとワクチンの納入期限が6月から年末へとズレ込んだみたいで、日本国民に万遍なく行き渡るのは数年後って可能性も出て来た。こうなると流石に開催も無理って言うかと思ったら、ワクチンの接種は無関係に開催するかを検討するだけって菅総理。言質を取られたくないんだろうけれど、ビジョンを示せないリーダーに任せていたら気持ちが沈む。やっぱり早くどうにかしないと、でも誰に? 目立ちたがり屋のワクチン担当相だけは勘弁な。

 500年の眠りから覚めた魔王が見たのは魔法が使えるファンタジー的な世界と科学文明が発達したいわゆる現代の地球のような世界が融合してしまった状況。そこでは魔法の力で科学を駆動させることも可能になっていて、そうした仕組みを搭載したウエアラブル端末がすべての人たちの生活を支援していたり、パワードスーツのようなものが作られたりしていた。だったら魔王はといえば端末がある事情から使えず、配下にあった少女の世話になりながら日々をどうやって暮らしていくかを考えなくてはならなかった。そんな設定なのがファンタジア大賞で大賞となった柴大悟さん「魔王2099 1.電子荒廃都市・新宿」だ。

 復活して落ちぶれた魔王という設定が愉快だし、そして始めたのがゲーム実況のユーチューバーというのも面白い。下手だけれど顔と声の良さでファンを増やし、諦めないでクリアに挑むプレイぶりも評判になるのもギャップがあってなかなか楽しい。そうやって信者を集めることによって、少しずつでも魔王としての力を取り戻してくという展開があって、その先でかつての配下で今は魔王を虐げ世界を手にしようとしている吸血鬼を相手に挑んで倒した後、続く物語はいったいどんな敵を魔王の前に立ちふさがらせるのか。配下の誰かが裏切ったりしているのかな。追っていこう。


【1月21日】 いろいろと応援している「探偵はもう、死んでいる。」のテレビアニメ化が決定。去年に作者の二語十さんとイラストのうみぼうずさんにインタビューさせてもらって、刊行から1周年を祝ったばかりだけれど、さすがにアニメ化は2年3年かかるだろうなと思っていたら意外すぎるペースで話が進んでいた。制作会社だって決まっていて声優さんもキャスティング済み。さすがに作品が重なりすぎている感じもあるのか、シエスタの声は悠木碧さんにはならかったけれど、若手で「装甲娘戦機」なんかに出ている宮下早希さんが務め、そして出演が多くなって実質的なヒロイン役を担う夏凪渚は竹達彩奈さんが演じてくれるから、これは安心と言えるだろう。

 もうひとりの主人公、君塚君彦は長井新さんとうこちらも割と新しめの声優さんで、斎川唯の高尾奏音さんは「放課後ていぼう部」の鶴木陽渚で注目の元気者、シャーロット・有坂・アンダーソンはこれまた新鋭の白砂沙帆さんといったフレッシュな人たちを並べてくれているから、見て果たしてどんな感じの声を聞かせてくれるかが今から楽しみ。一方でコウモリは松岡禎丞さん、カメレオンは子安武人さんとベテランの主役旧が並んでいるから、こちらは安心して聴けそう。気になるのは加瀬風靡さん、そして《SPAS》のボスのシードを誰が演じるかってところか。それぞれに鍵となるキャラだけあって大者が来ると期待。水樹奈々さんとか宮野真守さんとか。それは贅沢かな。

 そりゃあワクチンで感染呼予防なんてなかなかできるものではなく、感染した場合の重症化を防ぐ方に重点が置かれていたりする。にも関わらず、そうしたことを踏まえてされただろう発言を受けて「ワクチンは感染を9割防げない」という言葉だけを引っ張り出して、新型コロナウイルス感染症のワクチンがいかにも効かないようなトーンで報じたら、誤解も甚だしい上に、ワクチンによって亡くならくても良い人が亡くなる事態を減らしたいと願う医療関係者に対して、失礼も甚だしい。場合によって人類に対する罪にだってなりかねない。それをデイリー新潮がやってしまったから、新潮社で本を出している現役医師の知念実希人さんが反応した。

 それは、記事が取り下げられなければ新潮社から出している本の出版権を引き上げるという厳しいもの。片方で誤りが垂れ流されているのなら、もう片方で正しいことを発信していくようなバランスの取り方もあるいは可能かもしれないけれど、ニュースとして世に伝わり浸透する範囲と影響力は、物語を通してひっくり返すにはあまりにも広くて強いし、自身の創作をそうした誤りの是正に傾ける必要は作家にはない。そして、誤りが是正されない場所で創作を発表していることで自身が被る心理的、そして表面的なダメージも少なくないと考えるなら、そこで創作活動は出来ないという判断になっても仕方がないと言える。

 これで、報じた内容が妥当だったらベストセラー作家による気に入らない意見への牽制だとも取られかねない。自分に対する批判は許さないといった態度で、自身の作家的な権勢を違う方面で振るって記事を出させないような人も一方にいたりする中で、このケースは知念さんの医師としての良識が働いたものとして、世間も認めてくれるんじゃなかろうか。実際に誤った記事なら引っ込めて当然で、出版社もそこで突っ張る必要はない訳で、結果として新潮社は記事を取り下げた模様。配信された先からもだんだんと記事が削除されている。まずは善哉。

 とはいえ、油断しているとどんどんと出てくるワクチンへの懐疑。どこかの音楽ランキングが得意だった媒体も、新型コロナウイルスのワクチンを女子高生の多くが打ちたくないと答えたアンケートを配信し、新聞社なんかが転載して大騒動になり、すぐさま取り下げたっけ。どうしてこういう情動で煽るアンケートが行われるのか、そして配信されては大新聞が掲載するのかというと、ワクチンに懐疑的な雰囲気がどこかにあって、そこにビビッドに刺さって評判を呼ぶことが分かっているからだろう。アクセスが稼げればそれで収益に繋がるネット媒体の仕組みを、自らハッキングしては信頼性という部分を売り渡している感じ。その果てに何が残るかというと、先の見えない準全国紙の今の状態が証明しているんじゃないかなあ。

 最初の頃は熱心に読んでいたけれど、最近の動向はあまり追いかけていなかった和月伸宏さんの漫画「るろうに剣心」の連載開始から25周年を記念する「25周年記念 るろに剣心展」が東京ドームシティで始まるというので内覧会を取材に行く。驚いたのは漫画の展覧会で多いコピーではなく生の原画が飾られていたことで、フキダシなんかに写植が貼られてかき込みもされた原稿を、目の当たりに出来る上に撮影まで可能というのだからこれは大盤振る舞い。同じ会場で直前まで開かれていた「画業40周年記念 ゆうきまさみ展」も同じように原画が並び撮影可能だったことを考えると、漫画の展覧会はそういう方向になっているのかもしれない。個人が権利者というのも了解を得やすいのだろう。

 どこまで読んだか忘れていたりもするけれど、童顔の剣心が連載スタートの明治10年の頃で29歳くらいというのが分かってそうかやっぱりそれなりな歳だったんだと改めて感じた次第。そりゃあ幕末に新撰組なんかと戦ってた志士が10代の訳はないよなあ。それで終わったかとうと北海道編へと連載が続いているようで、どういう感じの戦いが繰り広げられているのかがちょっと知りたい。この頃になると原稿もデジタルからの打ち出して写植はフィルムが重ねてあった。実際にはデジタル上で版下まで作られるから、セリフも写植ではないんだろうけれど、掲載時を感じられるように配慮がしてあったとこも漫画の原画の展示方法として興味深かった。これを機会に読み返してみるかなあ。アニメも見返したいかなあ。


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