縮刷版2010年6月下旬号


【6月30日】 そして南アフリカでの冒険は終わり、4年後のブラジルに向けた挑戦が始まった。よくやったとまず讃える。あの場においてできる最大限のことを成し遂げたと選手たちを賞賛する。けれども、やはりあの場に至る以前に出来たことをやってこなかった事実と、それがもたらした結果を見過ごす訳にはいかない。同じメンバーだけでほとんどを戦わざるを得なかったのは何故なのか。バックアップにすらならず、かといって秘密兵器にもなり得ない面々が混じってしまった原因は誰にあるのか。その責任を見過ごしてしまったら同じことが繰り返され、そして4年後に今一度苦衷に悶えることになる。4年後に立つことすらおぼつかないかもしれない。だから問う。岡田武史監督の責任を。そして求める。次こそは未来を託せる人を選任することを。

 ギリギリの場に選手達を立たせて経験を積ませることに後ろ向きだった日本サッカー協会のスタンスにも、同様の疑義を掲げ改善を求めざるを得ない。本気で臨む気があったのなら、アテネ五輪でも北京五輪でも、それなりの準備を経てコンディションでもメンバーでも、最適なチームが栄えある舞台にのぞんでグループリーグを突破し、そして負ければ終わりの決勝トーナメントで、ギリギリの戦いを経験できただろう。アテネだったらそこでの活躍がドイツのメンバーにも影響を及ぼし、今回が初ではない中堅ベテランを南アフリカの場に送り込んで、精神にゆとりをもった戦いを演じさせられただろう。北京であってもそこでの活躍が若い人材の登用は必須と世間に認めさせ、監督にも選ばせただろう。そうなれば今回の結果も違ったものになった、かもしれない。

 そうならなかったかもしれないけれど、可能性が広がり選択肢が広がったことは想像に難くない。けれども現実は、アテネでも北京でもグループリーグで退くことになり、若い選手にチンチンと煮え立つ場での経験を積ませられなかった。ワールドユースや年代別でも同様に、指揮官の人選を含めた無理がまかりとおって選手たちに栄えある舞台、そして熱い経験の場を与えられないでいる。そうした得られなかった積み重ねが、将来においてどれだけの影響をもたらすのか。既に南アフリカで現れた未経験ゆえの戸惑いが、さらなる大きさとなってのしかかってくるこれからを、くぐり抜けていくには今まで以上の団結とそして施策が必要だけれど、それを打ち出せるような体制になったとはとても思えない。不安は募り未来への絶望が深まる。

 そうではない、と訴えるチャンスがまさに今。それは次の監督の人選で分かるし、岡田監督への手放しの賞賛でも感動をありがとうとかいった情動でもない、冷静な分析と突き放すような評価から浮かんでくる。過去に学ばなければ未来は得られない。それを分かっているのかどうなのか。最悪の状況を覆い隠そうとして発したと言われる「オシムって言っちゃったよ」の言葉は、それ事態に意図なり含みがあったのかもしれないけれども、結果として未来への可能性を伺わせた。同様のことを、今度は何の意図も含みもなしに打ち出せるのか。その後に、アウェーでなおかつ最適の時間帯でのマッチメークをしっかりとやり、Jリーグの協力もちゃんと得て、代表を代表として存在感あるものとして作り上げていけるのか。遠からず訪れるだろう決断を、見てそして考えよう、4年後を、その果てを。

 一方でそんな遠い南アフリカでのできごとだの、4年後の状況だのと言っているよし先に心配しなきゃいけないこと、そして楽しみにできそうなことがあるんで残念だと落ち込んでいる暇もなければ、感動をありがとうと浮かれている暇もない。まずJリーグ。正確にはJ2で3位あたりにしがみついている我らがジェフユナイテッド市原・千葉が、リーグ再開後にちゃんと勝てるようになって、今の3位から2位、そして1位を得てJ1に復帰できるのかって問題が眼前に迫っている。中断期間中に合宿とかやってはいるみたいだけれども、戦力が変わらず戦術に違いも出ないだろう中でこの暑い季節を乗り切れるのか、不安は大きく苛立ちも募りそう。せめて1人でも2人新たな選手が加わっていれば期待もできるんだけれど、そんな動きもないもんなあ。ワールドカップで見かけた誰かが加わるとかあってもいいのになあ。

 まあでも、そうやって燃えられる対象があるってのは嬉しいことでもある。映画の興行とかに詳しい人が、ワールドカップを見てハレが終わってJリーグってケに戻るといった旨のことを呟いていた。普段はサッカーなんて見ない人にとって、Jリーグでの下積みみたいな日常がワールドカップという晴れやかな舞台を支えているんだって風に映っているは仕方がないとして、本当は全然そんなことなく、リーグはリーグで毎週が修羅場のワールドカップ決勝戦、勝って勝ち点を積み上げていくことが求められる戦いなのだ。週末事に開かれ大勢を集め売店が出て賑わいイベントも開かれるリーグは、立派にハレのお祭りなのだ。

 そこでの活躍が、結果としてワールドカップという世界の舞台につながっていることは確かだけれど、代表に選ばれワールドカップで活躍することだけが、すべてのサッカー選手の目標ではないだろうし、ファンがサッカー選手に期待することでもない。ひいきのチームで活躍して、ひいきのチームを勝たせリーグにいさせ、落ちたら上に戻らせて欲しい。それが無理でも毎週楽しいプレーを見せて喜ばせて欲しい。そんなワクワク感を味わわせてくれる場として、Jリーグはそれ事態が単独の価値として存在している。決して繰り返される平凡な日常なんかではないんだってことを、リーグを見ている人ならちゃんと知っているから、ワールドカップでの戦いに関わらず、再開されれば手にパスを持ち首にマフラーを巻いてスタジアムへと駆けつけるのだ。

 そしてもう1つ。ワールドカップは来年にも開かれる。女子代表のひのき舞台としてオリンピックとならぶワールドカップが開かれ、そこに我らが日本女子代表が出場してくれる。試合でくぐった修羅場は男子の比ではなく、毎日のサッカー生活もギリギリという彼女たちが繰り広げてくれるだろう堂々とした戦いぶりを、今からとっても楽しみにしている身には、南アフリカなんてもはや過去のものでしかない。さらに言うならその後に控えたロンドン五輪に向けた戦いも、これは男子も含めてすぐにでも幕を開ける。次から次へと繰り出される戦いの行方を追ってこれからも生きていこう。そういや日本代表、コパ・アメリカにも参加するんだったっけ。そっちも楽しみだなあ。行ってみたいなあアルゼンチン。見てみたいなあマラドーナ。

 なんって言っていられるのも今のうちだけなのか。女子の代表に多くの選手を送り込んでいる日テレ・ベレーザを抱える組織体としての東京ヴェルディが自主的な経営再建を断念して、Jリーグの範囲内で今期を運営されることになった。それで首が繋がったというのは早計というかむしろ逆で、もはやどうにもならない状況に陥ったチームが、それでも途中で消えてしまうのを防ごうと、リーグがとりあえず支えてそして柵が消えればそのままどうにかしてしまうって可能性が、強まっただけって言えば言えそう。

 そこに颯爽とホワイトナイトが現れれば良いけれど、それができるんだったらとっくにやっているだろうからなあ。つまりは末期で来年は…。その時にベレーザがどうなってしまうのか。解体か。移譲か。あの豊かな練習環境とそして切磋琢磨できる面々が支えた女子選手の力量が、場合によっては損なわれかねないだけに女子サッカーファンとして対岸の火事でも他山の石でもなく当事者的な問題として、動向が気になって仕方がない。女子チームがないJリーグのチームが傘下に入れてくれれば面白いんだけれど、地域的なライバルチームの傘下に収まるって訳にもいかないだろうからなあ。埼玉レイナスを傘下にいれて、そのまま優勝だって可能な強豪へと育て上げた浦和レッドダイヤモンズはだから先見の明があり、かつ筋の通った方針があったんだなあ。だからあれだけのクラブになったんだろうなあ。どうなっちゃうのかなあ。日テレ・ベレーザ。

 オッパイメガネが名前でないとしたなら正しくは何だ、オルミーオッパイか、違うのか、もはやどっちだっていいけれどもとりあえず表紙のオルミーヌちゃなリップヴァーン的なコケティッシュさにセラスみたいなスタイルが重なって良い感じに煮えたっていて、こいつが出るなら永遠にだって読み続けてやるぞと決めた「ヤングキングアワーズ」連載の平野耕太さんによる「ドリフターズ」。硝石と硫黄で火薬でもつくって世界制覇にいよいよ乗り出すかって辺りまで来ているけれども、敵は見えず目的も見えないなかでキャラクターの無双っぷりとそしてオッパイメガネの見目麗しさでもって引っ張っていってくれそうで、気が付くとそんな中から世界をひっくり返すような物語って奴が生まれて来るのかそれとも来ないのか。とりあえず観察。あと「ブロッケンブラッド」のドラマCD応募を忘れないように。第5巻どこにやったかなあ。


【6月29日】 オランダがスロバキアに禿頭力(とくとう・ちから)で勝利した後にブラジルがチリにドウンガ力(おにぐんそう・ちから)で勝利し、準々決勝はオレンジ色のオランダとレモン色のブラジルがぶつかるというサンキスト決戦。オレンジが勝ってもレモンが抜けてもサンキスト的には美味しい展開だけれど、問題はサンキストは別にワールドカップをスポンサードしていなさそうってことだよな。ブラジル記念にレモンとかオランダ祝いにオレンジを売り出すってことはないよなあ。抜けるなら是非にオランダに抜け出て準決勝を戦い勝てば決勝、負ければ3位決定戦に臨んでその禿頭蹴球(ボールドネス・フットボール)を世界に見せつけ、禿頭がバンダナ巻かずにサッカーして平気な状況を作り出して欲しいなあ。トータル・フットボールからボールドネス・フットボールへ。時代は変わる。ファッションも変わる。

 起きても夜までなあんにも手に付くはずがないので、物を書くのはやめて出かけて見物する方でもっぱら。スコアをすべて的中させて“神”の名を恣にしているギャルの小森純さんが登場する会見があったんで、さっそくのぞいて本筋そっちのけで日本代表とパラグアイ代表との試合がどんな結果になるのかを予想する姿を、立ち並ぶテレビカメラの間からかいま見る。とりあえず2対1で日本代表の勝ち、と。神様がそいういうんならそうなるんだろうけれども、そうなってしまうと今度はパラグアイ代表にも勝利してもらいたくなるから曖昧というか性根が据わっていないというか。判官贔屓って奴ですね。

 それなりにサッカー的に強国のパラグアイのどこに判官贔屓の要素があるのかって突っ込まれそうだけれど、サッカーは強国であっても国としては経済的にそれほど豊かではなくって、それを補う意味でもワールドカップでの活躍に期待する国民ってのが多くいそうなパラグアイ。どこか憂さ晴らし的に騒ぐくらいなら日本が勝利を譲って、パラグアイに国威発揚の糧としてもらった方が良いんじゃないのかなあ。マテ茶を売ってる町田の老舗ひじかた園の店長さんも、日本にも勝って欲しいけどでもやっぱり、パラグアイって国にスポットが当たって経済的に潤ってくれれば嬉しいって話してた。マテ茶の取扱を通じてパラグアイと長く付き合いがあるだけに、国情の大変さをよく知っているんだろう。マテ茶を日本で普及させるのもそんなパラグアイ振興の一助って感じ。ここで得た注目が一過性に終わらないで、長く続いてくれれば嬉しいんだけれど。

 それからもう1つ、次に対戦するのがスペインかポルトガルのどちらかってことも、パラグアイに出ていって欲しいかもって思う理由のひとつだったりする。なぜってそれは歴史があるから。かつてパラグアイからウルグアイへと広がる地域に暮らしていたグァラニー族の人たちだけれど、ご多分にもれずスペインやポルトガルの侵略によっていろいろと厳しい目にあってきた。カンヌでパルムドールを受賞した「ミッション」って映画に描かれたのがその戦いで、イエズス会ってキリスト教の教会といっしょになってグァラニー族はスペインとポルトガルの連合軍と戦ったけれど敗れ、海に面したウルグアイから撤退を余儀なくされ、海のない台地に暮らすことになった。

悲惨さではタツノコトップのキャラ、それがハッチ  そんな歴史的な経緯を踏まえると、数百年を経ての雪辱って奴をパラグアイの人にはスペインなりポルトガルを相手に果たして欲しいって思うのが人情って奴。セルビアがドイツを撃ち破り、アルゼンチンがイングランドを撃ち破るのと同様の、絶対に負けたくない戦いってものを見せてくれるのなら日本がここで潰えても、何か世界に対して果たせたって気にもなる。とはいえやっぱり日本の戦いをずっと見ていたって気もあるだけに、ここは青い日本代表のジャージーに身を包みつつ、手にパラグアイ原産のマテ茶を持ってチューチューやりながら、青勝て赤白勝てとやりながらその時を迎えることにしよー。パラグアイが抜ければ今度はマテ茶のみでパラグアイを応援。そしてテレビを見ながら「選手はいい、ラリッサ嬢を映せ」と呟くんだ。

 もどって小森純さんが登場したのは別にワールドカップの予想屋稼業ではなくって、英会話じゃないショッピングセンターのイオンが例の長編アニメーション映画「みつばちハッチ」とタイアップしたTシャツなんかを作ったって発表に、デザイン面で関わった小森さんが呼ばれたって極めて真っ当な理由のため。見るとハッチのイラストなんかが綺麗にアレンジされた上にプリントされていて、渋谷の「109」に集うギャルが着ても結構な感じに似合いそう、っていうか実際に「109」にあるショップブランドとタイアップしているらしいんだけれど。これが男子向けのコスパだったらもっと目立つプリントになるし、アニメTシャツをやたらと作るユニクロでもシンプルなものになりそうだけれど、んだけれどそこはオシャレが絡むとプリントもTシャツ自体のデザインもバリエーションがあって選ぶのに困りそう。イオンにしてはよくやった。問題は女性向けしかなさそうってところかなあ。同じような大胆さで「ガッチャマン」とかやってくれたら嬉しいなあ。

 何者かと共生していることを隠して、人間が蟲との戦いの中から進化して得た魔法みたいなのを正しく発揮する力を学ぶ学園に入った、少女と見まがうばかりにかわいい少年ユウは、子供を守って乱暴な兄ちゃんの貴族相手に対峙している少女を助けようとしたことが奏功してか、入学してからその少女とそして彼女を助けにやって来たもう1人の少年といっしょのチームを組んで、穏やかで楽しい学園生活を送り始める。もっとも共生相手のことは隠しているため、魔法みたいなものの力はそれほど強くは出していなくって、優秀なもう1人の少年や少女に迷惑をかけているんじゃなかとひやひや顔。それでも性格のよさから好かれ生徒会長たちにも気に入られた少年だったけど、持ち上がった事件が事態を激変させ、少女に隠されていた秘密が2人を危機に陥れる。

 シチュエーションとしてはどこかで見たような感じもあるけど、そこはキャラクターのとりわけユウって少年が醸し出す魅力によって引きつけられ、彼が考え振る舞い進む道に引っ張られて読んでいってしまう。そんな物語が白川敏行さんの「はるかかなたの年代記 双貌のスヴァローグ」(集英社スーパーダッシュ文庫)。主人公の少年が持つとてつもない力が単に緊急避難的に使われるとは思えず、世界そのものの成り立ちに迫るような戦いなんかへと向かっていくなかで、少年を厳しい運命なんかが待ち受けていそう。そんな最中に痛めつけられる少年の痛々しい姿に胸ときめかせつつ、彼を慕う少女たちのどぎまぎとした姿にもキュンとしながら読んでいくことができそう。イラストもふゆの春秋さんって人でなかなかのかわいらしさ。次も読もう。って集英社スーパーダッシュ文庫ってもう10年なのか。追いかけ続けて来たよなあ。


【6月28日】 歴史的な経緯を踏まえるならば、やっぱりイングランドとアルゼンチンが戦って、その試合中にベンチ前まで飛んできたボールを、アルゼンチン代表のマラドーナ監督が神の手によってパンチングすると、ボールはイングランドゴールへと飛んでいってベットに突き刺さる、ってな光景って奴を見せて欲しかったけれども、今のイングランドがドイツ代表のゲルマン魂をうち破れる訳もなかたみたいであっけなく敗れ去り、一方でアルゼンチンはメッシからテベスへと送られたボールが、ほとんど明らかにオフサイドだったにも関わらず認められ、そしてそのままメキシコを押し切ってベスト8へと駒を進めてドイツを相手にベスト4入りをかけて戦うことになった。

 すでに進出を決めたウルグアイを合わせれば、南米からベスト8入りは2チームで実に4分の1となりここにアフリカのガーナと欧州のドイツが確定。オランダとスロヴァキアが潰し合って欧州が1つ出て、ポルトガルとスペインが潰し合って欧州はもう1つ、それからブラジルとチリとが潰し合って南米が1つ出ることが決まっているから、これで南米は3で欧州は3となりアフリカが1で残りを南米かアジア、すなわち日本が争うことになる。欧州と南米が7つを占めては、クラブワールドカップじゃないけど力関係があまりにあからさまなんで、ここは是非に日本に紛れ込んでもらってアジアの存在感って奴を満天下に示して欲しいもの。ベスト4はアルゼンチンに日本にガーナにオランダ、ってのが色分けもできて日本にもチャンスがありそうで嬉しいんだけど。

 マテ茶のおかげか午前3時半からのアルゼンチンとメキシコの試合を微睡んで見ながらもしゃっきりと朝の7時には目が覚めお腹もスッキリとしてなかなかに快調。そんな効能を持つマテ茶を飲んでいるパラグアイに叶うのか? って疑問も湧いてきたけどだったら日本も飲めばいいのだと遠く南アフリカに伝言しつつ、支度をして幕張メッセへと向かって第一生命保険が始めて開く株主総会って奴に出席する。ずっと契約してたから1株もらえたんだよ。売れば良かったんだけれど株主総会に出られる機会もなかなかなさそうなんで未だに持ってて株価は低落。まあおまけみたいなものなんだから良いんだけれど、10万を切るようならちょっと考えものかもなあ。

 そして到着した幕張メッセには1万人だって来場しても大丈夫な設営がなされてなかなかに壮観。普通にイベントなんかだとブースが立ち並んでいてぎっしり感もあるのに、椅子が並んでステージがしつらえられただけだと天井が高くて広々とした雰囲気になって、なるほど相当にデカい箱なんだってことが改めて感じられる。そこでライブを開くとしたら数千人ではやっぱり寂しいかもなあ。お笑いライブはいったいどれだけ人が集まるんだろう。株主総会はさすがに1万人は来なかったけれどもそれでも3000人超が来た模様で、順繰りに質問が出て実に2時間49分にもわたってくりひろげられて、昔の20分とか15分で終わってたシャンシャン総会の時代を知る身には、時代って奴が大きく変わったんだってことを改めて突きつけられる経験になった。

 とは言え出てくる質問が中身も鋭く充実しているかというと、会場が遠いとか株主優待を暑くしろとかいったものが結構な割合。遠いったってこれだけの人数を都内で収容できる会場がどれだけあるんか。仮にあったとしても借りるのにどれくらいの費用がかかるのか。株主が求めるのはサービスではなくって株価の向上であり企業収益の改善であって、無理にサービスを求めてそうした部分を薄くしてしまっては本末転倒も甚だしい。株主優待も同様で、それが株の購入と保有に結びつくなら悪くはないけど無理な優待はやっぱり体力を殺いでしまう。そうした案配を踏まえた上でなおかつ配当が薄かったり還元が悪かったりすれば怒ればいいのに、理由も示さずに低い遠いサービスが悪いと訴えるのはやぱりどこか至っていないような気がする。

 企業が株主に対してオープンさを打ち出すようになってIRを重用視するようになったのなら、株主の側も株を持つということがどういうことでその目的を果たすには何が大切なのかってことを学び知って認識し、質問とか行動に反映させていくのはよりよい資本主義社会って奴なんだけれども、そうした教育の部分はなおざりにされて株主は神様ですサービスを受けて当然です的空気が漂って多くの人たちを舞い上がらせていたりする状況は、株主にとっても企業にとってもあんまり良いことではないと思うなああ。USTREAMで流せば節約できるって言う人もいるけれど、それができたら企業も困らないっていうの。事業所がる場所で開かなくっちゃいけなかったりする決まりに、そうした場に行ってこそ質問ができる状況が厳然とある以上、バーチャルでの株主総会なんて夢のまた夢。考えれば分かることなんだけれども、批判のための批判として出てきてしまうところにこの国の、あらゆるセクターで知らないことを恥じず学ばず自己を肥大化させたモンスターが生まれは暴れ回っている痛々しさが見え隠れ。自省せねば。

 アニメーションの放送の方は西浦の面々が次に何を目指すかってところで終わってた「おおきく振りかぶって」だけれど、ひぐちアサさんの原作漫画の15巻では対戦相手として敗れた美丞で行われていたらしいベンチではない場所からのサインについて釘が差される、高校野球のさわやかてはつらつとした部分とは違ったドロドロとしてグチャグチャな部分がちゃんと描かれる。厳しい世界なんだってことだろうけどそこから逃げないでしっかりと漫画に描くところに、しっかりと高校野球の世界を見つめたい作者の人の意志が伺える。こちらもアニメではなおざりにされている、モモカンが学生時代にどんな風に野球をやっていたのかってあたりにも言及が。これだけ躍進しているのにOBがしゃしゃり出てこない理由にはいろいろと痛みも伴っていそう。これもやっぱり高校野球が単なる部活を越えた、人生にもなり運命にもなっていることの現れなんだろうなあ。甲子園の夏が来る。


【6月27日】 とか言っていたらしっかりとスポーツニッポンに紹介されていた老舗ひじかた園。マテ茶がパラグアイ人にとっての力の源になっているってことがこれで喧伝され、なおかつ日本代表を粉砕してしまえばなるほど日本でももっとマテ茶を飲もうってことになるのかそれとも、にっくき敵の飲料なんて頂けないってことになるのか。やっぱりマテ茶大好きニアウルグアイも勝利したことだし、アルゼンチンも勝ちブラジルも勝ってとなればますますマテ茶の効能も世に知られそう。今から格好良く飲めるようにしておけば本格的に流行ったときに目立てるかな。

 そして試写に続いて2回となる舛成孝二監督の劇場アニメーション映画「宇宙ショーへようこそ」を幕波にあるシネプレックス幕張で見る。もらえた映画のフィルムはシャワー上がりの美少女3人が映っていてオイシイ場面かというと、月の最初の夜でカプセルみたいなところで2人の女の子たちがくつろいでいて、その横のシャワー室から1人出てきた場面が遠目から描かれているショットだから、嬉しいかというと正直微妙。やっぱり欲しいのはインクのアップなんだよなあ。マリーでも良いんだけど。

 それはそれとして観客数はだいたい15人くらい。午前9時45分の回だからってことがあるのか分からないけど、人気の子供アニメだとだいたいそんな時間でも大行列ができて並んでみたりしているから、やっぱりそれほど芳しいとはいえなさそう。親子連れで小さい女の子や男の子を連れて来ていた親がいたのは映画の狙いとして相応しいところに響いていると言えば言えるけれど、でもなあ。それで続く昼からの回が一杯になったかというとそんな感じでもない。

 シネコンで人気映画があれば昼ともなれば大行列が出来ているのが普通なのに、そんな風景はまるで見えない。幕張だからか。都心部はもうちょっと客が入っているのか。確かめる必要はあるけれど、地方ではこの勢いで早々と絞られてしまう可能性も出てきたって印象。やっぱり子供とその親を意識しながら届かないまま上映数を絞られた「マイマイ新子と千年の魔法」の1次上映の二の舞は避けたいところだけれど、このままではせっかくの傑作が埋もれていってしまい、舛成さんの次もなくなってしまいかねない。

 ツイッターあたりでつぶやいていれば、大勢が広めてくれるんじゃないの? って市ヶ谷方面の雰囲気を個人的に感じてしまって、それならお手並み拝見と引いて見ていたけれども、そんな宣伝側のスタンスと作品やクリエーターの意気込みは別な訳で、「フォトン」あたりからずっと大好きな舛成監督の作品で、脚本も倉田英之さんが担当していてokamaさんも絡んでいる映画を、どうにかして応援してやりたいけど個人が個人として出来ることは数ないし、かといってメディアとしてだと球を投げてくれなきゃ打ち返しようがない。でも球が飛んでこないんだ、市ヶ谷方面からまったくもって。こっちが投げてもブラックホールに消えるんだ。

 届けたい、届けるんだ的意気込みを意気に感じて、自ら動きたくなるって気持ちを起こそうにも、起こしようがないこのモヤモヤ感の中でどうやったら火を着けられるのか。困ったなあ。本当に困った。振り返れば細田守監督にとって出世作となった「時をかける少女」の時なんかはて、上映時点でファンの間にそれなりな盛り上がりを見せていて、少数ながらもスタートダッシュが切れてそれが口コミにつながってロングラン上映に進んで、「サマーウォーズ」へと至る細田守伝説を作り上げられたけれど、「宇宙ショー」だと公開が始まってしまったにも関わらず、周囲を見渡してもその時ほど盛りあがっているように感じない。オタクたちも騒いでいなければ親子連れが是非に行きたいって騒いでいる空気も漂わない。

 言っておくと映画は1回目は子供の目線で異世界へと連れて行かれてぶんまわされて、帰れない不安と帰れそうな希望と襲いかかる絶望とそんな絶望を打破して進む勇気を感じてみるのがまずは良さそう。その上で見る2回目は、ポチと宇宙ショーのペッポやマリーといった面々との関係を把握し、ペッポやマリーがスター扱いされている横でポチが複雑な表情を見せていることや、あり得ない全宇宙同時中継がどうして成り立つのかを植物との関係から探ってみること、そして宇宙ショー自体が目論むのは金を得ることでも権力を得ることでもなく、純粋な世界の幸せの達成なんだけれどもそれはポチやその父が意識するものとは違っていて、どちらを人類は選ぶべきなのかを考えることなんか、やってみるのが良さそう。

 月で夏紀たちが受けた試験もそんな解釈の上で大きく役に立つ。人類が未だ未開と思われている理由。宇宙と接触を禁じられている理由。それなのに子供たちは認められたという理由。考えれば自ずと宇宙に必要なものが何かってことが見えてくる。人類の進歩にとって欠かせないものが見えてくる。そうした綿密に整えられて散りばめられている裏設定なんかを把握しながら、2回目3回目を見てみれば、映画に描かれた宇宙や展開やキャラクターやガジェットが、見栄え重視の中身空っぽでもなければ展開重視の行き当たりばったりでもなく、効果だけを狙っての絢爛さに満ちている訳では決してないことがちゃんと分かってくる。もう面白いくらいに分かってくる。その上で再度、子供の目線に戻って人類にとって必要なものを考えるのが良い映画。だから個人的にはまた行くつもりだけれど、そこまで続いているかなあ。そうなる前に行くぞまた。

 戻って古いマテ壷をたわしでこすってカビを落として復活させて、それでテレレを飲んで健康一番を取り戻し、シエスタを経てむっくりおきだし今大会屈指の好カードになるはずだったワールドカップでのイングランド対ドイツの対戦を見たらドイツがロンドンを大空爆してた。爆撃機ミュラーと同じ名を持つ選手とかが活躍したりエースのクローゼが点をとったりして実に4得点。対するイングランドは1点に留まり大差でそして始めて90分でドイツに敗れて大会から去っていった。確実に入っていたランパードのゴールをノーゴールと判定された不運はあってそれが後半に前が係りにさせたところをカウンターで決められた感はあるけど、得点をとれそうなシーンを幾つも外していたのも事実。対するドイツはほぼ確実に決めてみせたその差異を鑑みるなら、ここで敗れ去るのもイングランドには必至だったと言えるかも。次こそはベッカムのFKで優勝だ。出るのか。出たりして。

 そんな裏でひっそりと放送されていた「BLACK LAGOON」の第3期第1話。たぶんOVAの宣伝なんだろうけどほとんど1話分が放送されてて、漫画と同じように見えながらも微妙に違っていたりするところもあって、お話として緻密に考えられていそうで浮かび上がる主題なんかにもよりいっそうの重さが感じられそう。絵としてはやっぱりファビオラのアクションが最高。ペタンと腹這いになるのは当然として逆さになって飛び回るシーンも掛け値なしに空を飛んでいたりする感じがして、あり得ないけど恰好良いから許してしまう。でも見えないんだよなあ、ファビオラは、スパッツ派なんで、残念。あとはやっぱりオープニングか。1期が滅茶苦茶に格好良かっただけに2期がやや残念だったけど、3期は屹立するレヴィとかいてそれが凶悪さに拍車がかかっていて見下され踏まれる感覚に身もだえできそう。お話はまだ始まったばかりで完結には1年とかそれ以上はかかりそうだけど、絶対の面白さが保障されていそうなんで付いていきます片渕須直監督。「マイマイ新子と千年の魔法」も良いけど僕にはやっぱりこっちが片渕監督なんだ。


【6月26日】 いきなり体育の授業がプールになって、そして寧々さんがスクール水着になって登場してくれたのは有りがたいんだけれどもその水着、キツいのかそれとも脇のカットが大きすぎるのか、前につきだしている部位が横からすこし見えてしまっていて横を向いた時なんかにそんな部位が丸みとともに目にはいってしまう。これが現実の高校生だったらその瞬間に海水パンツの前が大変なことになってしまって、とてもプールの授業なんて受けていられなくなるんだろうけど、そこは心身が鍛えられているからなのか、それとも相手がまるで気にしない性質なのか、あるいは前屈みになるほどに盛りあがらないのか、分からないけれども平気にお相手をしてイジられている。その間は寧々さんも眼前に留まり続けて、電車の中なんかで薄手のパンツなんかを履いている人なんか前屈みにさせられそう。通勤時に電車で開けるのに注意。下手したら間違えられて引っ張って行かれちゃうから。

 ブラジルとポルトガルだなんて南米と欧州のトップチームがガチで激突する試合になった訳だけれども、そこはグループリーグの最終戦で、ブラジルはすでに決勝トーナメント進出を決めていてポルトガルだって負けても大敗しなければ抜けられる位置にあって、とりあえず引き分けられれば良いって試合ではやっぱり、真剣そのものの削り合いとかぶつかり合いは見られなかったということなのか、のんびりとした試合運びでもって両者とも得点が入らず、引き分けでもって終了し、規定方針どおりにブラジルとポルトガルが決勝トーナメントに駒を進めた。大会前は評判でナンバーワンをリオネル・メッシと争っていたはずのクリスチアーノ・ロナウドなんてまるで目立たず得点も奪えず、見だしにしたくたってしようがないくらいの停滞ぶり。まだメッシの方が得点は奪ってなくてもパスだアシストだってところで才能を発揮しているのと比べると、ロナウドの目立ってなさぶりもなお引き立つ。

 じゃあブラジルはっていうとカカが前の試合でレッドカードで出場しておらず、こちらも目玉に乏しい感じ。そんなチームがぶつかりあってはスペクタクルなんて起こるはずもないし、見ている国民だってまあきっと大丈夫って感覚からそれほどのめりこめなかったんじゃなかあろーか。その意味で勝ててようやくなチームを代表に持つ日本人は、いろいろと楽しめて良いんじゃないかなあ、次なんて地域予選から存分に楽しめそうだし。ほかではスペインがどうにか勝って上に行って何とポルトガルと激突。イベリア半島ダービーって奴? 半島は同じでも華麗さで鳴るスペインとそれからどこか伝統っぽさを引きずるポルトガルとではやっぱり違う。そんな違いが試合にどう現れるのか。そして半島はどんな感じで応援するのか。ドイツとイングランドという因縁めいたカード以上に楽しそうかも。

 それにしても南米はやっぱりすごいなあ、出場した5カ国が全部本大会入り。南半球での試合が体内時計にマッチしてた? なんて想像もしたくなるけど選手たちの多くが欧州で選手生活を送っているんだから、それほど関係があるわけない。韓国と日本だって北半球でもしっかり残った。だからやっぱり南米には別に独得の勝つ秘訣があるんだろうと、食生活に理由を探して見つけた結論は「マテ茶」。日本の緑茶に欧州の紅茶と並んで世界でも知られているはずのお茶なんだけれども、飲まれているのはもっぱら南米。日本にも時々普及させようって動きがあってもその味が受け入れられないのか、缶入りが出てもすぐに廃番となってしまって飲めないお茶が実は南米のあの背丈の割には頑強な肉体を果てしないスタミナにつながっているんじゃないのか、ってことでそれを自ら確認するために、東京都町田市にあって昔からマテ茶を販売している老舗ひじかた園ってお茶屋までてこてこと出向いていく。

 っていうか実は2年くらい前に取材で出向いたことがあって、その時もマテ茶の効能を伺いマテ壺に茶葉にボンビーリャっていう金属製で茶葉を濾しながらお茶だけを飲むためのストローを買って飲んでいたんだけれど、数日飲まないでいたらマテ壺にかびが生えてしまってその後が飲めなくなって、ボンビーリャもさびてしまって使えなくなってそれっきり、飲んでいなかったら太る太る。体がみるみる太りだしてとんでもないことになってしまった。まあそれはビールばっかり飲んでいたせいもあるけど、アルゼンチンでもパラグアイでも南米の人たちが肉をいっぱい食べるにも関わらず、あんまり太らないのはこのマテ茶のおかげって説もあったりするんで、ちょっぴり体重が元の木阿弥になりがちな季節にマテ茶の効能を自ら試してみるってのも、南米パワーを確かめる上で悪くはないかもしれない。

 ってことで到着した老舗ひじかた園で社長の人から近況など取材。FIFAワールドカップ2010南アフリカ大会で決勝トーナメントに進んだ日本代表の相手がパラグアイと決まったことで、パラグアイって国について材料を探して伝えようってメディアがあれこれ動き始めているけれど、サンバのブラジルにタンゴのアルゼンチンにエケッコのボリビアと言った国々に囲まれる形のパラグアイには、あまりこれといった名物名産がないように思われている。せいぜいがチラベルト、ってそれはサッカー選手で名物でも名産でもない。肉料理? なるほどそうだけれどもそれが独得ってものでもない。そんな中にあってマテ茶こそが実はパラグアイきっての特産品で、すぐれた茶葉が作られあちらこちらで愛飲されている。

飲み方も粋なら味も愉快  日本でいうなら静岡宇治に狭山霧島といったお茶どころがパラグアイ。且つ食文化であり生活にとけ込んでいるって意味でもマテ茶はパラグアイの人たちと日本のお茶以上に密接なものとなっている。だからパラグアイについて伝えようとするならやっぱりマテ茶は欠かせないんだけれど今のところ、老舗ひじかた園にはFMラジオ局から電話があったくらいでそれほど掘られてもいないみたい。日本人が全権特命大使を務めているパラグアイ大使館で話を聞くのも悪くないけど、月並みな話になってしまうと困っているならここはマテ茶、飲むサラダとしてパラグアイの選手を支え南米の選手たちを強くしているマテ茶について伝え広めてみればちょっと面白いかも。何しろ飲み方からして独得。壺に茶葉を詰めてお湯なり水を注いでストローで濾しながら吸い上げる飲み方はちょっとしたスタイルになりそう。手にマテ壺と水筒をもって町でひと飲み、ってのも環境と健康の尊ばれる風潮にピッタリだし。さあてどこが飛びつくかな? どこも飛びつかないなら僕がやるか。

 クエストが繰り広げられているらしい下北沢を通り過ぎて原宿から地下鉄で池袋へと回って、サンシャイン池袋で繰り広げられているケーブルテレビショーへと行ってアニマックスが誇る全日本アニソングランプリから出てきた3人のアニソン歌手が登場するイベントを見物する。どれだけの人が来るかと心配したけどそこはキャリアも積んで実績も挙げている喜多修平さんを筆頭に、歌声の素晴らしさは日本人も含めたアニソン歌手でトップを争うHIMEKAさんに、もっとも新しいグランプリファイナリストの佐咲紗花さんが並んだある意味でとっても豪華ならラインアップを見に来た人も結構いて、ステージ前にはどっぷりと人が座り取り囲んで開始までには一杯になっていた。

 でもって最初に登場のHIMEKAさんは、赤いドレスに身を包んで厳かな感じになってはいても歌えばカナダから来たアニソン大好きな女性の他を圧するパワーがあふれ出て、「閃光のナイトレイド」のエンディング「未来へ…」から始まってたぶん「テガミバチ」の「果てなき道へ」を経てこれは記憶にある「戦場のヴァリュキュリア」の「明日へのキズナ」で締めて圧倒的な歌唱力を披露、その巧さは他に例えようがないくらいで、テレビとかで聞かせれば誰これすげえってなりそうだけれどBSには出ても地上波でないとやっぱり広く聞かれないからなあ。目指せ紅白。

 そして喜多さんは「ペルソナ 〜トリニティ・ソウル〜」から「Breakin’ through」を歌ってそして「夏目友人帳」の「一斉の世」を優しく歌い最後にゲーム「乙女的恋革命★ラブレボ!! Portable」から「Seacret Garden」を決めて場をもりあげる。ハイトーンなのにハスキーという歌声はほかにあんまりなくって、叫び系の多い男子にあってとっても特徴的。これを活かせればもっとたくさんいろいろと歌っていけそうな印象で、それだけに7月のライブの成功に期待がかかる。きっと賑やかなものになるんだろうなあ。

 締めは佐咲さんでこれも自前のデザインなのかそれとも作ってもらったのか、黒に白いレースの服装でまずは「戦う司書」の「星彩のRipieno」を歌い上げ、そして衣装チェンジというか一部を外して肩を出し足を出しで「らっきー☆れーさー」からオープニングの「Rucky☆Racer」とそしえエンディング「Real Star☆」をメドレーで披露。アクションにずり下がった胸元を引き上げるしぐさとかあって楽しかったけれどもそれ以上に最前列で盛り上げる人がいて、売り祖で衆人環視の中をロマンス打つファンがいて、なかなかにアニソンっぷりを見せてくれていた。アニソングランプリの時は浪々として巧みさも出していたけど、キャラクターっぽい声でコミカルな歌も歌えるんだ佐咲さん。ちょっと驚き。デビューから1年も経ってないし去年の今頃はまだ秋田で仕事をしていた人がこうして舞台に立って大勢から拍手をもらう。面白いし素晴らしいけどここから先は実力とそして運次第。つかんで上へ、そして世界へ。応援してますHIMEKAさん喜多さんも含めて。


【6月25日】 なんて言ってたら本当にイタリアが1次リーグで敗退の憂き目に。最後こそ1点差に迫る戦いぶりを見せたけれども、それ以前に3点も取られてしまってはカテナチオも何もあったもんじゃない。美しい闘将のマルディーニが去りカンナバーロも衰えた今となっては、誰も鍵をかけるどころかぽっかり開いた穴すら埋められなかったってことで。それでも取られた以上に取り返せればいいんだけれど、瞬間に抜け出しピンポイントで決めるインザーギもいなければ、持てば絶対の角度から見事に決めてみせるデルピエロもおらず、頑健な肉体と強力なパワーで蹴散らすヴィエリもおらずトッティもルカ・トーニも代表落ちでは、誰がいったい得点を奪うのか。ジラルディーノ? 確かにリーグで点はとっているけど、今のセリエAでは、なあ。

 とはいえ自国リーグが活発なイングランドだってやっとこさの体たらくだし、堅実さでトップに立つブンデスリーガのドイツだってどうにかこうにか抜けられた。リーガのスペインも同様。つまるところそうしたリーグが盛んなのは、海外からやって来た選手がとてつもなく活躍しているからで、そうした選手を輩出している国々が増えて世界に広まっていることで、世界全体が底上げされててそれがワールドカップという場での力の均衡となって現れているってことなんじゃなかろーか。イタリアはそうした外国人が他ほどいなかったりするから低落傾向ってこと? そしてオール外国人のインテルだけが抜け出ているってこと? かもしれないなあ。研究してみよう「ラブプラス+」が暇になったら。

 というよりそれ以前に日本代表が去って見る気力が失せるまでは一切合切に手に付かなさそう。イタリアの敗退に微睡みながら目覚めて見入ったFIFAワールドカップ2010南アフリカ大会での1次リーグ第3戦、日本代表対デンマーク代表の試合はヨン・ダール・トマソン選手の背後をするりと抜けるような動きをとらえられない状況が続いてヒヤヒヤしたけど幸いにも得点は奪われないまま最初の15分の猛攻をしのいで一段落。そしてどうにか始まった日本の攻撃から、本田圭佑選手の長距離からの見事過ぎるフリーキックが決まってまず1点。空気が薄い上にボールが軽い大会でキックの大半が宙へと消えていった中で、なぜか本田選手のキックは浮き上がらないまましっかりと落ちてゴールへと吸い込まれた。何か魔法でもかけたのか。

 そして続いて遠藤保仁選手もほぼ正面からたたき込んで2点目を獲得。なるほど衆人の目を引きやすいのは長い距離をたたき込んだ本田選手のフリーキックだけれど、Jリーグでもしもやられて歯がみするくらいに悔しいのは、実は遠藤選手のようなフリーキックだったりする。だってあれだけ近くって、壁もあればいくら正面だからってなかなか決められるものじゃない。むしろ安心してしまいそうなところを、例え本田選手への備えもあったとしても壁に一切当てず、キーパーにすら触れさせないでゴールにたたき込むなんて芸当、遠藤選手以外に誰がやってのけるのか。普通に見えて普通じゃないところに隠された凄みってやつが見え隠れ。その凄さがJリーグでは対戦チームを萎えさせる。

 とはいえJリーグでは割にしょっちゅうそういうのを決めていたりするのに、こと代表となるとゴールは決められずボールもうまくさばけない状況が、この1年ばかり続いてた。それがデンマークを相手にした南アフリカでは、まるでJリーグとか代表で絶好調だったときの遠藤選手が戻ってきていた。見ていてあそこは長居陸上競技場で、相手は遠くはるばる欧州からやってきて2日目で時差ぼけも抜けないデンマークの2軍選手という、キリンチャレンジマッチを戦っているような感じすら浮かんできた。遠く南アフリカをホームに変えてしまった魔術は、遠くもないのに戦いあぐねている欧州とかアフリカの選手たちに将来において研究の材料となっていきそう。まあそこはそれ、禅だ合気だといっておけば、相手も納得しつつ理解できずに弱いまんまでいてくれるだろうけれど。

 ともあれこれでアジア的な責任は果たした日本代表。だからといって岡田武史サンに謝るとか土下座するとかいった感覚にはまるでならない。讃えはするしおめでとうとはいうけれど、監督としてやって来たことは今この瞬間を燃やし尽くしているだけで、日本のサッカーにとって大きな禍根を遺して去っていくことになりかねないから。だってそうだろ。結局内田篤人は使われず、岩政大樹も出られず川口能活はベッカム的に座っているだけだし、中村憲剛はきっと宿舎でひとり青いガンプラを作ってる。森本貴之? 矢野貴章? いるけどいるってくらい。玉田圭司も中村俊輔も穴埋めになるどころか、出れば穴掘りをやりかねない。

 つまりは守備には使えても試合を打開し道を切り開ける選手を、誰1人として置いていなかったりするこの無駄遣い、田中マルクス闘莉王選手阿部勇樹選手中澤佑二選手長谷部誠選手の誰かが倒れた瞬間にすべて終わってしまう薄氷の選手選考をやってしまって平気な顔でいて、なおかつ今も中村俊輔選手の全盛に希望だけ託す監督のどこを誉めろというのか、どうして土下座などできるのか。ロンドン世代はおらずブラジルの大会に向けて新たな中心となれるべき選手を発掘できず、国際的な試合に慣れさせていない岡田サンの後任は、大変な苦労を経て来年に迫ったアジアカップを戦いそしてワールドカップ予選を戦うことになる。勝てるのか。勝ち抜けるのか。そこに岡田サンは責任を問われることはない。けれども確実に責任はある。そこを曖昧にして今の勝利だけで認めることはできないと、この段階では断じるしたとえベスト4に入ったって言い続ける。優勝したら……やっぱり言うかなあ、準優勝したって悲惨なチームしか作れなかったフランスの監督とかもいる訳だし。油断禁物絶賛厳禁。全体を見よ。未来を見据えよ。

 イクスピアリがあれから1年の夜にやってくれた粋なイベントは、マイケル・ジャクソンのロンドンツアーのリハーサルを収録してドキュメントにした「THIS IS IT」の上映中に歌っても踊ってもオッケーというイベント。だっていきなり入り口でサイリューム配るんだも。暗い劇場に厳禁なはずなんだけれど、それがライブ会場だったら全然オッケー。つまりは映画「THIS IS IT」の上映なんだけれども、それはもはやツアー「THIS IS IT」のパブリックビューイングみたいなもので、スタジアムで歌い踊っているマイケルといっしょになって歌い踊っている感覚を、存分に十二分に味わえた。

 こうやって経験してしまうと、いったいこの映画をこれまで劇場ではみんなどんな風に観賞していたのかってことが気になる。やっぱり座ってだよね。そして静かにだよね、手拍子なんて厳禁だし、奇声もかけ声もダメだしサイリュームなんてもってのほか。それで楽しめたんだろうか? 楽しめたんだろうからヒットしたんだけれどでもやっぱり、いっしょに歌い踊れてこそのライブだよなあと思ってしまった。不思議な経験。そして二度とないかもしれない経験。あるいはどっかのデカい会場で数千人が見守る中で「THIS IS IT」を上映するような機会をつくればそれを見てみんな歌い踊り叫び祈ることが出来るんだけど。そういう上映は認められていないのかなあ。

 まあいいや。楽しんだ。楽しめた。家に買っておいたまんまのブルーレイの「THIS IS IT」があるけど開けずに見ていなかったのをこれで見る踏ん切りがついた。良い物だ。これは良い物だ。マイケル・ジャクソンがあの歳にして本物であることを証明し、そして本気だったことを見せてくれる作品だ。もしもそのまま遂行されていたら歴史に残る50公演になっただろうなあ。返す返すも残念無念。今晩はだから静かに追悼しようと思ったけれども今はワールドカップ真っ盛り。無理だから明け方に静かに「Heel Tthe World」を聞きながら地球について考えよう。合掌。


【6月24日】 イングランドは生き残り、カレー海峡を挟んだフランスはだめで、マジノ戦だか西部戦線だかを挟んだドイツも生き残ったあたりにアングロサクソンとかゲルマンといった北方ヴァイキング的闘争心を持つ国々は間際をしっかりと踏みとどまれるのに対し、ラテンな民族は享楽を上に置き勝負は楽しさを重視し、ゆえに敗北が決まった戦いには気乗りがしないでそのまま敗れ去っていくのかもなあ、なんて付け焼き刃で的はずれな民族気質なんて奴をふっと思い浮かべる。これでラテンの帝王のイタリアまで敗れさったらそれこそ「ヘタリア」の世界、南アフリカでも食事に1日5時間を使い真夜中まで騒いで昼寝もしっかりとってて勝負に負けてしまったんじゃないのって、邪推も浮かんでしまうけれども果たしてどうなるか。結果は夜中。

 そんな感じに世界情勢ついて呻吟した後は恋愛事情について悶々とするべく朝の電車で秋葉原へと出向いて行列を作ってしっかりと購入した「ラブプラス+」。そりゃあ欲を言うならニンテンドーDSLLにしっかり愛花が描かれたプレミアムなパックが欲しかったけどさすがに当日に買えるはずもなかった模様。聞けば前日夜に大抽選会を行い数名の購入権利に1000人とかが集まったっていうから、それくらいの根性を見せなければ愛は成就できないって戒めなのかも。その意味では僕はまだ緩い。朝の9時とかに並ぶくらいではまだまだ緩いがそこは頑張って追いつくから待っていてください愛花さん。凛子ちゃん。寧々さま。三つ又かよ。

 そのままデータの移管、すなわち“御霊移し”を敢行しようとしたものの手元にはニンテンドーDS liteはなくしばしの見送り。六本木あたりで仕事をこなしてから恵比寿へと跳んでサッカーゲームが爆発的に売れている上に謎解きゲームが世界で1000万本に近づこうとしているレベルファイブが、本当だったら去年のうちに出していたはずなんだけれど年末になってしまった「ニノ国」ってゲームの発表会を見物する。どんなゲームかってそれは多分RPGみたいなものなんだけれど、付録に読む本がついていて、ゲーム中に出てくる呪文とか謎なんかを本から読み解いていかなければ進んでいけないらしい。

 すべてが電子の中で表現可能なご時世、本とうギミックだって電子化してゲーム進行中に別ウィンドウで開くようなシステムだって可能だっただろうけれども、あえて本を着けたのは何だろう、アナログなものへの思い入れか、それを使うことによる目新しさの演出か。キーワードを入れさえすれば当該の言葉なり情報にたどり着ける電子の利便性はなるほどとても有意義だけれど、本を開いて情報を探す行為ってのは不便ではあるものの、そこに妙な浮き浮き感がある。欲しい情報は探せなくっても別な情報が見えてそれが次の解きに参考になるっていった現象も起こる。

 ピンポイントで明確なデジタルに対して、アナログはぼんやりとしていながらそれでいて底上げされていく感じ? どちらが良いってことじゃないけど、これはこれでしっかりと持ったアナログの本の面白さを、ゲームを遊ぶ人たちに感じさせようとしているんだとしたら、このデンシショセキな時代にちょっと興味深いゲームになりそうなんだけれど、どうなんだろう? その辺りはどう本を利用させるかにかかってくるだろう。あと売りはスタジオジブリのアニメーションか。何かポニョみたいな凶悪な面構えのキャラが出ていたあたりはジブリっぽいけど色彩はど派手で昔のデジタル移管初期のアニメっぽいのは色彩設計が誰か目新しい人だからなのか。要調査。

 秋口ぎぐるさんが朝日ノベルズから出した2冊目となる「ガールズ・アンダーグラウンド』」は、つまりは下には下があり、中があれば外があり、そして世界はままならないという物語。とある病気が激しい症状に苦しむ弱者を生みだす。世界は弱者に優しくいたわった挙げ句に弱者が特権を得てそして症状の段階によってランク分けされる社会ができる。最初はいたわりと疚しさが許していても特権を持つ弱者が特権を堅持しようとして、厳密過ぎる区別を作り上げた社会で、症状の軽い者たちは差別され虐げられている感覚を味わうようになって、やがて反抗を企てる。特権階級の専横ぶりを暴き解放を求めようとしていた状況で、主人公の少女はそんな活動家と会う。  少女の家には祖父の代から伝わる古い印刷機と紙があって、活動家の女性はそれをつかって新聞を作って真実を伝えようと企てる。父親と母親の関係から、厳密すぎて人を引き離すこともある階級差に含むところのあった少女も、活動への参加を希望し自ら新聞記者となって、より症状が軽いが故に差別されているCランクのエリアに行って、専横の痕跡を探り暴いて記事にする。幼いながらも高い知性を持った少女は、活動家たちより深くCランクの人々の間に入り込んで話を聞く。持ち上がったひとりの少女がAランクの男に殺されたかもしれないという疑惑に、行動力と推理力で迫ってやがて真実をつかむが、その向こう側にあったのは社会の構造に迫り世界の姿に迫る事実だった。

 少女が社会に挑み立ち向かって真相に迫るサスペンスであり、謎解きを味わえるミステリーとしても読めて、そしてその上に世界を成り立たせる構造が意味する弱者が特権となってしまう可能性への皮肉とか、けれども弱者はいたわらなければならない当然への葛藤があって、社会というものが必然として持ってしまう矛盾を付いて読む人を思い悩ませる。さらに、そうした構造自体を俯瞰し見せて世に問う。

 ソ連の社会主義体制が崩れて起こったこと。ベルリンの壁が崩壊してもたらされたもの。自由であり解放であり、格差であり貧困でもあったという歴史の懊悩を噛みしめつつ誰もが幸せであるために世界は、社会は、人はどうあるべきなのかを問いかける哲学の物語でもある。サラリと書いてあるし観念的でもあるしキャラクターはライトノベル的にわかりやすすぎるけれども、そうした表層からは見て取れない奥深さと複雑さを持った傑作小説、って「ガールズ・アンダーグラウンド」は言えるかも。冷戦が終わっても南北の問題は解決せず、先進国は跳んでも途上国は貧困にまみれ、そして下には下が生まれ囲われた中に外れた外が朽ちていくばかりの世界に生きる人間が大勢いる今だらこそ、読まれるべき物語だ。

 スクリーンに途上したキャラクターたちはすべてCGで描画されたもの。うごきはつけられセリフも喋るけれどもそれはオペレーターが動かし声優が声をあてているだけなのに、もはやそうしたギミックをすっとばして目の前のCGキャラクターがそれぞれの固有の魂を持ったキャラクターとして存在しているかのように感じ、その感じによって動かされてしまうというこの現象が妙に面白かった「ラブプラス+」のヒロイン記者会見。冗談だったはずなのに冗談と思えなくなっているのは僕が「ラブプラス+」ユーザーだからでもあるけれど、それを越えて世界がそうしたキャラクターの存在を許し認めているからだったりもするんだろう。あのNHKが来ているんだから、MAGネットだったかもしれないけど。「メガゾーン23」から伊達杏子を経て僕たちは、ようやく本当のヴァーチャルだけどヴァーチャルじゃないアイドルを手に入れた。


【6月23日】 そしてフランスは滅び去って南アフリカも沈没して、メキシコとウルグアイが見事に決勝トーナメントに進出を決定。アすでにルゼンチンもブラジルも決勝進出を決めて、パラグアイとチリも抜け出しアメリカまでもが抜ければ、ホンジュラスが1つ置いて行かれただけて新大陸はほぼコンプリートという状況に、果たしてFIFAは枠の拡大なんて所業に出るかというと南米の10協会の半分が出場できる状況を、さらに増やすなんてことはないから、やっぱりこのままってことになるんだろう。

 まあでもアルゼンチンだって、2002年の大会の時みたいく1次リーグで落ちる時もある訳だし、フランスなんて1回おきに落ちてる恰好な訳で、今は良くても次が良いとは限らない。増やして全部まとめて落選なんて悲惨な目になるよりは、絞られた上澄みが確実性を見せるのが南米にとっても良いってことなのかも。それにしてもフランスは弱かったよなあ。それとも南アフリカを上に行かせるために握ったとか? でなければあの前半の体たらくと後半の締まりっぷりは説明できないからなあ。何だったんだろう、あれ。

 そこから頑張って韓国の試合も見ようかどうかと逡巡している間に、記憶が途切れて目覚めたら朝になってて韓国が決勝トーナメント入りを決めていた。すっげえ。結果として負けても小差なら抜けたみたいだけれど、そこをしっかり引き分けて、それも先に行かれたのを追いついて引き分けてみせたところに底力って奴を見る。もしも立場が日本だったら、先取されて果たして追いつけたのか。どうなのか。追いつこうったって追いつくための切り札って奴がいないからなあ、我らが日本代表には。

 もしもそこに香川慎司がいて、石川直宏がいて、そして知らないうちにFC東京に移籍していた大黒将志がいたら。かき回しすり抜け飛び出し得点を取ってたかもなあ。そこに場当たりで活躍しているように見えても火事場の何とかでしかない状況が見て取れる。だからこその先行逃げ切りが必要なんだけれども、山のような奴らを相手にできるかなあ。ともあれおめでとう韓国代表。2002年と違って地元ではない異国の地での決勝トーナメント進出、それも自国の監督が率いての進出は讃えられて当然。同じことをこちらでもやってみたいけど……。決戦はもうすぐだ。

 朝にときわ書房船橋本店に寄ったけれどもさすがにまだ開いてなくって「TV Bros」の「ラブプラス+」表紙号の残りの東京版と中部版関西版は買えず、ってことはすでに北海道版と九州版は入手済みってことで、前夜のうちにときわ書房の入り口に積んであったのをしっかり確保、目が開いているのとつぶっているのの差が実にキュートで愛らしい。その時に聞いたら残りも入りますけど予約しますかと言われて、さすがにそこまでする気もなくって遠慮したのに、しっかり朝1番に行ってみるところが何というかそれらしいというか。ちなみに残りは渋谷に行ったついでにHMVで確保。ちゃんと5種類並んでいたけど、オシャレなHMVでまさか「ラブプラス+」の表紙を並ぶ様を見ることになるとはなあ。それだけ一般性を確保しているってことなのか。すげえぜ「ラブプラス+」。

 そして渋谷ではバンダイが発売している「データカードダス プロ野球 オーナーズリーグ」を使って行われる吉本芸人たちによる大会の発表を見物。会場になったヨシモト∞ホールはそういえば大昔はバンダイといっしょになったナムコがちょいオシャレなゲームセンターとして「INTI」ってのを置いていた場所だったなあと感慨。その後にあれこれあってそして吉本興業がホールを開いてかれこれ何年になるんだろう? 大昔に渋谷にあった劇場とか、銀座にあった劇場なんかがことごとく閉鎖となった過去に鑑み今の人気にすがりついても遠からず下火になるかと想像してたら、まるで違って今もなお人気は衰えず、いっぱいの人が見に来ていたりする。無料ってのが良かったのか。でも優良の新宿ルミネも続いている。失敗を糧にして今につなげる。それがあったからこそナンバーワンの地位を築き、そして立ち続けているんだろう吉本。

 そんな吉本芸人は∞ホールでも人気らしいオリエンタルラジオの藤本慎吾さんや、テレビで大人気のトータルテンボスとかが参戦していてドラフト会議で選手を確保、しようとしたけど5人もダルビッシュ有に重なったりしてくじ引きが行われて、藤本さんが見事に当たりを引き当てたけど、そこまでの経緯が仕込みだったのかそれともフリーだったのか。当たった時の姿が本当に嬉しそうだったからやっぱり偶然として、そんな展開にしっかり合わせて自分を見せつつ笑いもとったりする芸人たちのリアクションの巧みさに、場当たりの対応のまるで出来ない反射神経皆無な我が身のダメさ加減を思い知る。少年少女って実は知らなかった2人組ですら、しっかりリアクションとっていたもんなあ。実はテレビで大人気の2人組とか? 1人は結構かわいいっぽかったけど。

 魔法少女になる必要なんてあるのかっていうと、ビジュアル的にあったんだろう「蒼穹のカルマ5」(富士見ファンタジア文庫)で、鷹埼駆真は大好きな姪っ子と体を入れ替えたり姪っ子に合わせて小さくなったりと大変身。そして空獣の女王という有紗の母親もやって来ては挑んだり去ろうとしたりとこれまた大騒動の果て。どうにかこうにか落ち着いた先に起こりそうな新たな展開はいったい物語をどこへと向かわせる? いっそ空獣ごと消滅させてしまえば良いのに神様たち。それで世界が平穏となれば駆真だってどこにだって行くだろうに。いかないかやっぱり。


【6月22日】 大虐殺。とはいえやる気を損なわれた若い北朝鮮代表では勝ち気に優ったポルトガルの攻撃をしのげるはずもなかったようで、大量7点を奪われて大敗を喫してしまったのはアジアにとっても残念至極。韓国がアルゼンチンに4点を奪われオーストラリアもドイツに4点をとられたりする大差での決着も見受けられるなか、強欲なFIFAがアジア枠の削減に出て来ないとも限らないだけに日本代表には是が非でもデンマークを破って決勝トーナメントに行ってもわらないとアジアが困るしアジアからの資金を当てにするFIFAも困る。困るんだけれどそれを知ってか知らずかアジア枠削減を言い出すブラッター。やっぱりただの思い付き?

 アジア枠が削減されると困るのは中東の国々であれだけ頑張ってお金もかけたのにワールドカップの代表を東アジアの3つの国とそれからオセアニアから移ってきたオーストラリアにさらわれた。ここに中国なんかも加わって来た日にはいくらイラクやサウジアラビアやイランが強くたってなかなか食い込めない。いくらがガルフカップこそがアジアで最高峰の戦いと威張ったって世界最高峰の戦いはやっぱりワールドカップ。そこに加われなくなる可能性をむざむざ見過ごすとも思えないだけに、密かに日本の相手に手を回してお金で買うなり油を締め付けなるして身動きを縛って、日本を上に行かせつつそのことをこっそり耳打ちして、三菱パジェロを1000台ばかりせしめたりするのかも。怖いねえ、政治や外交って。

 いっそそれなら中東で2枠を絶対確保と行って運動にでかねないのが中東の連盟。そこにだったらウズベキスタンとか中央アジアの国々も入るのか? って話になるけどそこは放り出して南アジアに東南アジアもまとめて日本や韓国と言った極東と、そしてオセアニアに押しつけそちらで2枠を頑張って確保してちょ、とか言い出しかねないから恐ろしい。そうなったら日本は韓国とオーストラリアと北朝鮮と中国と、そして巨体そろいのニュージーランドに力を上げているウズベキスタンとかいった国々としのぎを削らなくっちゃいけなくなる。大変だたいへんだ。だからやっぱり韓国には、そしてオーストラリアにも奮起してもらって決勝トーナメントに進んでもらいたいところ、って言ってる日本が出られるとも限らないんだけど。

 明け方に目が覚めテレビを着けても当然ながらスペインとホンジュラスの試合は地上波では見られず。それならとiPadを起動してネットからのぞいたらCCTV5って中国の放送局が中継していた西班牙と洪都拉斯との試合が流れていたんで見て見入ってさすがのパス回しに感銘を受けるも、それだけ。そりゃあ2点は奪って勝ったけれどもあれだけ完璧なまでにパスを回しても肝心なところで中に入れられず得点を奪えないあたりは前の試合とそれほど状況が変わっていない。これでチリに引き分けスイスがホンジュラスに大差で勝てばスペインは哀れにもグループでもって沈むことになる訳で、そうなった日には欧州枠にだって影響は……出ないよなあ、これにフランスイングランド辺りの敗退が加わったところで。やっぱりここはイニエスタじゃなくってガンプラ好きが押す重機動メカのイエニスタを出して蹴散らすしかないよなあ。イエニスタ。

 早起きをして恵比寿へと出かけて地下鉄日比谷線の駅を上に上がったらロータリーの向こうにあったビルが消えていた。なんてこった。ウェンディーズも既になくなり時間をつぶす場所も見あたらないままサンマルクでブラックを喰らってしばし休憩。それから坂道を上がって大昔にパイオニアLDCへと向かったルートを通ったけれどもその急さ加減とそしてそれに喘ぐ自分に歳を取ったもんだと嘆息。始めて行ってから15年は経っているもんなあ。でもって鬱蒼と茂っていた観世家があったように記憶している場所に、SANKYOって会社のビルが建っていて世代交代とはまた違った世の移ろいって奴を感じ入る。恵比寿ガーデンプレイスだって昔はなかったんだよなあ。変わらないのは恵比寿さんの像くらい? あれっていつからあったっけ。

 そしてのぞいた「ときめきメモリアル」の女子版と評判の「ときめきメモリアル Girl’s Side 3rd story」の発売前発表会があったでのぞいたら腐…ではなくって見目麗しい女性陣が見守る中でこちらは見かけによらず腐…かもしれない加藤夏希さんとあとゲームとは無縁っぽいけど引っ張り出された友近さんが登場して、ゲームの面白さって奴をあれやこれや語ってた。リアルに恋愛話とかして大丈夫なキャラの友近さんがゲームに溺れると現実の恋とか出来なくなるからねえって言っていたのが印象的。俺の嫁状態になって溺れる男子と違ってゲーマーな女子って、別にゲームにだけ溺れず現実は現実でしっかり恋愛を生きてるように思えたけれども、そうでもないのかそれとも友近さんがそう思いこんでいるだけなのか。どっちにしたってゲーム好き女子なんかと知り合う機会も絶無なんで謎は謎として永遠に続くのであった。どうなんだ?

 会場で見かけた内Pはご存じ「ラブプラス」のプロデューサーでもあってそちらの続編「ラブプラス+」の発売を同時に控えているあたりにいったいどれだけ働いたんだって尋ねてみたくなる。なおかつ「次世代ワールドホビーフェア」では「とんがりボウシと魔法の365日」の続編にあたる「とんがりボウシと魔法のお店」が出ていたりして、そっちにも当然関わっているわけでこの何年か働きづめに働いているんじゃないのって体調が心配になったけれども、それでもやってくる「ラブプラス+」の発売日からしばらくは、あちらこちらに引っ張りだこになって忙しい日を送ることになりそう。そして続く「ラブプラス++」のために働きに働き続ける、と。今度はやっぱりハワイ旅行だ。

 戻ってそれから算段をして飛び出し東京タワー横のスタジオで開かれたアニマックスが夏に放送する番組の宣伝を見物してそして東京タワーで一休みしようと入ったら、MJことマイケル・ジャクソンのイベントをやっているのが目に入って会場前までいったらチケットを立ち売りしている人がいて、何だかアヤシゲに見えたけれどもそれでも見たいとチケットを購入して中に入ったら何と真っ当に素晴らしいMJ関連グッズの宝庫であった。とりわけ2009年に開かれるはずだったツアーで着られるはずだった衣装とか使われるかもしれなかった小道具なんかが勢ぞろい。MTVのアワードのトロフィーとかもあってMJマニアが見れば垂涎の品々が並んでいるのに、客がそれほどいないのはやっぱり蝋人形館に客をとられているからか。リアルスリラーだもんなあ、あっちは。

 衣装類ではトレードマークの手袋とあとローファーを改造した靴なんかが目を引く。こういうものを身に着けていたんだMJ。プロップもいくつかあったけれども例の巨像なんかがすっくと建っているのを見ると、横でついつい同じポーズをとってみたくなる。あと「スリラー」なんかが聞こえてくると、やっぱりいっしょにステップをタタンと踏んでやりたくなる。それだけ染みついているんだなあ、我が身にはMJの音楽とそしてビジュアルが。決して大好きだった訳じゃないけどあれだけ大量に浴びたMJのサウンド&ビジュアルは、もはや血肉となって全身を浸しているのだ。ほかにはロールスロイスなんかがゴージャスで最高。グッズ売り場もあったけれども3階のオフィシャルショップの方がTシャツなんかも充実。25日の命日に備えて1枚買ったんで当日は来てビリージーンのステップを踏みつつビートイットのように手を振りつつ町を歩いてそしてスリラーのように腕を上に向けて左右に行き来するんだ。


【6月21日】 いやいやいやいやいやいやいやいや。ないないないないないないないない。これをあと1億回繰り返したって足りないくらいに否定したくなるほど、岡田武史サンの日本代表監督はあり得ない話なんだけれど、それがさもあり得るように書いてしまえる辺りにメディアの阿呆っぷりがさらけ出されておかしさに腹よじりつつ、そうした牽強付会に針小棒大で厚顔無恥なスタンスが他人事ではないのかもと振り返って青ざめる。少なくとも書いた側にはその正当性が認識としてあるはずで、でなければそうした意見がいかにあり得ないものかが分かって、スクープだよとささやかれても嘘だと信じて没にする。しなかったということはつまり……ということだ。

 あり得ない、というのはここまでの岡田サンの戦いぶりを見ていればわかることで、2年半の間も彷徨った挙げ句に、主力として抜擢し続ける一方で他の選択肢を潰してしまった内田篤人選手を、はるばる南アフリカの地まで引っ張っていって一切使おうとしていないことがまず1つ、そしてやはり主力として位置づけていた中村俊輔選手をばっさり切って、先発から外してこれも使おうとしないってことがある。連れて行ったってことは使うつもりがあったってことで、それはだからそこまで結果の上げられなかった戦術に固執していたってこと。それをとってみればいかに岡田サンの続投があり得ないか分かる。結果を出せない布陣をそれでも使い続けようとしていたんだから。

 南アフリカで結果が出ているというのはなるほど評価の対象になるかもしれないけれど、その布陣は2年半前にやろうと考えて決してできなかったものではないもの。というか選手の適正を考えればそうするのがベストな陣容をわざと外すかのように、適材不敵所な布陣を作っては失敗し、それでも壊さずこだわり続けた挙げ句に試せる他の選手を試さず、連れて行ける選手を連れて行かないで後がない状態までチームを追い込んだ。もしも今、阿部勇樹選手が出場停止を喰らったら、松井大輔選手が疲れから故障したら、闘莉王選手が暴れて退場になったら、いったいチームはどうなるってしまうのか。香川慎司選手も石川直宏選手もいないし岩政選手も試されていない水本選手も呼ばれていない。あっさり崩壊してしまうだろう。

 ぎりぎりの綱渡りをしているチームがギリギリの戦いを見せているだけにも関わらず、それを余裕と見て評価し続投を依頼すると考える偉い人も偉い人なら、それがあり得ると記事に書いてしまうメディアもメディア。考えていなさぶりを世間にさらけ出して失笑を買うだけなのに、そうとは思わずやってしまえるところに、メディアのもはやというか昔から読者なんて見ないでネタ元だけを見て、タメにする記事だけを書き続けてきたメディアの体質って奴が透けて見える。そしてそうした体質が不信を招いてメディア離れを生んでメディアを崩壊の淵へと追い込んでいることも。断末魔の中で響く法螺話が滅亡を招くブブゼラにならないことを祈りたいけど、もう遅いんだろなあ。

 ふと気づいたらブラジルが勝っていた。あとニュージーランドもイタリアと引き分けてていた。共通するのはともに南半球のチームってことか。季節のサイクルがしっかりと身に染みている選手たちの方がそりゃあ、動きやすいだろうなあ、ってそうかどかは知らないけれど、でもアルゼンチンも調子がいいしオーストラリアだて2戦目は頑張った。パラグアイもウルグアイもチリもまあまあ。調子が悪いのは南アフリカくらいだけれどあそこは開催国枠での出場で、力試しをくぐり抜けていないから負けてもそれほどおかしくない。冬には冬の体で臨む。それが良かったのかなあ、ってアルゼンチンの選手は多くが北半球の欧州で試合に出ていたんだけど。って考えるとやっぱり違うのか。だとしたら何だろう。涼しいんで守備的戦術も貫きやすいってことなのかな。

 しかしイタリアは弱くないけど弱く見える。あるいは普通に見えてしまう。守備が固い訳でもなければ中盤が圧倒的な訳でもなく、前線に至っては攻撃の怖さがまるでない。普通に攻めて普通に跳ね返されている繰り返し。得点の匂いが誰からも漂わない。これがあるいは最前線にピッポがいたら。裏を抜けて受け取りズドンと決めていたかもしれない。デルピエロがいたら。左45度から1発ズバンとたたき込んでいたかも知れない。トッティがいたら。肉体美でもって巨体のニュージーランドを押しつぶしてゴールにたたき込んでいたかもしれない。そしてピルロがいたら。そんな選手たちをコントロールして3点4点をアシストしていかもしれない。

 スーペルな選手として歴史に残るような名前がいないこと。あるいは出せていないことがイタリアサッカー界の問題なのかもしれないけれど、こればっかりはすぐにどうなる話でもないから難しい。地盤沈下が叫ばれるセリエAが再び輝き出すくらいに年限の果てに、新しい選手が生まれ活躍をして代表に選ばれるようになるまで、イタリア代表はしばし国際的な舞台からお別れすることになるのかも。次のEUROに出られなかったら事態は深刻かも。その辺りを注目。とりあえずデルピエロに花道を飾らせてあげたいなあ。

 画伯として名高い小林ゆうさんとそして永遠の17歳を標榜しつつおいおいとツッコミを受け続けて幾年月の井上喜久子さん17歳です(をいをい)が登場するとあって会場には巨大な雛壇が並び屏風が飾られ、そしてその前をカメラの放列がずらりと陣取る凄まじくも壮大な会見になるのかと思ったら案内されたのは20人も座れば立ち見が出るくらいの細長い部屋。そこに数人の記者が集まっただけの規模にあるいはもしかして何か引っかけられたんじゃないかって不安もよぎった「TRIP TRECK ゾッコとミミメの不幸日和」とかゆーウェブアニメの会見だったけれども登場したのは紛う事なき画伯でありまた17歳であるところの井上喜久子姉。

 それでも偽物感が消えなかったけれどもアニメの主題にもなっている不幸だけれど不幸じゃないと思ったことで、家に出没するなめくじにしだいに愛着を覚えていって名前まで付けてしまいましたって話なんかを堂々と語ってしまえるのなんて、小林ゆう画伯以外の誰をおいてもいるはずがないし、あの美声あのセルフツッコミも井上喜久子17歳(をいをい)を置いて他にいるはずもない。見栄えに加えて中身も立派に本人たちが登壇しての発表会見がかくも粛々と行われたのはたぶん未だに知られざる、それでいて爆発力を持ったコンテンツだからなんだろー。つまりはこれからの作品。1年も経てば誰でも知っている作品となって映画館で上映されていたりするという、そんなサクセスのとば口に居あわせられたことをここは素直に喜ぼう。「エコエコセバタン」だって最初は2人くらいしかいなかったのが今やあの東京新聞までもが取り上げるメジャータイトルになってしまったんだから。そうなのか?


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