縮刷版2009年10月中旬号


【10月20日】 世界でどれだけ「機動戦士ガンダム」が見られているのかというとうーん、「新機動戦記ガンダムW」あたりは割にキャラクター人気もあるみたいだけれどもファーストSEEDに00ってあたりがどうなのかってところはなかなか曖昧模糊とした感じ。とはいえ日本で流行っているものなら世界に伝わるのも当然で、それをなぞって打ち返してくる人たちもいるのだろうってことで「TIFFCOM」って映像の見本市に行くと香港の会社が「フューチャー・ファイターズ」ってのを出していた。分かりやすく「ガンダムみたいなもの」という説明があったけれどももっと別のロボット物っていった感じ? デザインもメカ的っていうよりは有機的で悪魔的。そんなバトルがいつ見られるのかはこれからの展開次第。日本から出資するところはあるのかな。

メキシコツンデレ、か。  気になったのはメキシコのアニメで遠目にはディズニーのスティッチっぽさもあったけれども中にキャラクターで日本っぽいのがいたりしたりと実にハイブリッド。内容は何だっけ、マヤ文明だかの時代を舞台にしたファンタジーバトルってことでそれってつまり「太陽の子エステバン」か「時空転抄ナスカ」(イリャッテッセ)みたいなものなのか。中米と南米がやや混じり気味。とはいえ現地の人たちが作る訳だから神話にしても何してもリアルさではこっちが上になるんじゃなかろーか。ルチャ・リブレとかも出てくるのかな、ってメキシコ曲解過ぎ。ともあれ楽しみだけれどいったい何時になったら出来るんだろう。というよりそもそも日本で見られるのか。頑張れNHKあたり。

 何でまた長野ダービーというか信州ダービーというか、長野県で飛車角を張っている長野パルセイロと松本山雅が遠く千葉県は市原臨海競技場で対戦することになるんだという不思議はおそらく海を見たことがない信州の人たちに海の側で戦うチャンスをあげて海を見てもらいたいという犬(飼)心なんだと想像したけど既にして北信越だなんて日本海のチームとブロックを組まされ富山方面へと抜ける時は佐々成政よろしく厳冬の立山連邦をサッカーボールを蹴りながら踏破させられているチームたち。海なんざあ見飽きてるんだろうけれどもそこは日本海と太平洋の違いってものを感じてもらおうという里心があったのかも。って市原は太平洋じゃなく東京湾だ。

 いやここはやっぱりジェダイマスター要田選手に戻ってもらってラスト5分の根性ってものを我らがジェフユナイテッド市原・千葉の選手に見てもらいたい感じてもらいたいっていう犬(ジェフィ&ユニティ)心なんだと理解するのが優先か。とはいえしかし相手はJ1でも強豪の浦和レッドダイヤモンズよりも強い松本山雅なだけあってフォースも通じず敗退してしまった全国社会人サッカー選手権大会。勝った松本山雅には優勝すればJFL入りがかなうんだったっけ? 長野からJはマスター要田選手にもかなえて欲しかったけれどもそれでも新しい県が加わるのは良いことなんで是非に上がってそしてJFLも抜けだして、J2へと来て我らがジェフ千葉と……いやそれはないない1年で抜けるはずだから。いやでもしかし。ジェダイマスターの帰還を臨む。御大ならなお結構。

 民主党の新政権が誕生してからこっち、環境に関係する話題が以前にも増して増えてきた。鳩山首相が温室効果ガスの25%削減だなんて壮大過ぎる目標を国連の場ででぶち上げたことに加えて、勝ち馬にだけ乗り群がるメディアの体質も重なって、国民が支持する鳩山首相の言うことなすことすべて善、そんな雰囲気になっている。もちろん温室効果ガスの削減は急務。けれども上から目線でさあ減らせと言われると、とたんに反発したくなるのが人間の気持ちというもので、電気はこまめに消そうと告げるテレビが誰も見ていない真夜中も休まず放送してるのはなんじゃいちおか、レジ袋は良くないというけどコンビニの小口パックの方がよっぽどムダじゃねえのかと、思って電気もつけっぱなしでレジ袋ももらいっぱなしの日常。つまりは口先だけで訴えても人の心には響かないってことですね。

 んじゃあどうすれば良いのかっていうと、答えはひとつ、行動あるのみ。それも声高ではなく静かに、着実に行動することだけが周りを変え、世界を変えるのだ、ってなことを伝えてくれるモデルケースがここに。サンフランシスコの海に原油が流出した事故を見たジョン・フランシスって青年は、自動車には絶対に乗らないと誓って徒歩での移動を始める。最初は近所を歩いていただけだったけど、やがて故郷を出てアメリカ大陸を歩き始める。はじめはただの独りよがりと見なされ、自動車を必要とする人たちから自分を否定するのかってな感じに嫌味を言われ、非難も浴びていたけれど、カリフォルニアを出て西海岸を北上し、そこからアメリカ大陸を横断する旅を続けるようになって、フランシスの行動に共感を示す人たちが増えて来た。

 絶対に喋らないって沈黙の誓いを立たフランシスは、手振り身振りでコミュニケーションを取り、それで大学を経て大学院にも入って博士号を取得するまでになる。研究テーマは原油の流出がもたらす環境と経済えの影響とか何とか。それが時流にものり引用されまくるようになって第一人者を見なされ、今はNPO法人で歩きながら世界を変える運動をする一方で、環境に役立つ仕事なんかをしているみたい。そんなジョン・フランシスの手記ともいえる「プラネット ウォーカー 無言で歩いて、アメリカ横断17年」(尾澤和幸訳、日本ナショナル・ジオグラフィック)を読めば声高に上から目線で叫ぶより、もっと意義深くって意味のある行動があるんだって見えてくる。自分がそうしたいからしているのだと示すこと。それが周りに何かを気づかせる。

 自動車は捨てられないけれど、ほかにできることが自分にもあるのではと考えさせる。気付きの輪は輪は世界へと広がり少しづつ環境を変えていく。1人が自動車に乗らないから何だって最初は言われたけれど、1人1人が自動車に乗らなかったり何かをやった集合体は結構デカい、ってことなのだ。いこうとしている。1人の青年のアメリカ徒歩縦断記として読んでも、厳冬期の山をサバイバルする冒険があり、様々な人との出会いもあって楽しめる。その上で世界のために自分が何をできるのかを考えるきっかけを与えてくれる奇跡のような宝石のような手記。読み終えれば次の駅まで歩いてみたくなる、かもしれないけれどもそれが何になる? って考えてしまう俗物ではまだまだ。せめて秋葉原までは歩かないと。朝6時に出れば昼には着けるし。どうだろう。

 何だかなあ。北京帰りの中国に関しちゃエキスパートで知識もあって人脈もたぶんあって仕事もまずまずで上からの覚えもお目出度そうで会社にとっても看板な感じになっていたりする、ように見えた人間があっさり退社していくってのはつまり端から見ているほどには厚遇されていなかったのか、それともそれだけ優秀で内情にも詳しいだろう人間の目から見てもはやここにいてはいけないかもねって思えるくらいの状況に至り始めているんだろうか。それが起こることによる影響力波及力ってものを考えるんだったら無理にでも囲って引き留めるだろうところもなかった風な感じだし。どっちにしたって4万キロも離れた場所での出来事なんで我が身とは直接的にも間接的にも関係ないんだろうけれど、北京での蝶の羽ばたきがニューヨークに大嵐を巻き起こすのもまたカオス世界のならいごと。身を顰め口をつぐんでどんな嵐が来るのかを待とう。でもって共に吹き飛ばされて雲散霧消。逃げときゃ良かったかねえ。


【10月19日】 古谷徹さんにはもうお目にかかれたし一緒に池田秀一さんにもお話を伺えたし等身大の18メートルもある立像も目の当たりに出来たし富野由悠季監督にはインタビューこそしていないけれどもそこかしこで実物に見えられたってことで「機動戦士ガンダム」関連について思い残すことがあるとしたらあとはメカの大河原邦男さんにどこかで話が聞けたら良かったかもしれないかなあといったことくらいか。安彦良和さんは何かの機会にご尊顔だけ拝めたんだけど大河原さんだけは未見なんだよなあ、それともタツノコプロ関連のイベントに顔を見せていたのかな。

 かつてファンとして純粋に楽しんでいた作品の関係者に、仕事で出会える機会もそれなりに得られるようになって例えば萩尾望都さんにお目にかかれたり、松本零士さんからインキンタムシの話を聞けたりもして一生に残る喜びとなっては来たけれども、それでもやっぱり思いはいろいろと残っているもので97年あたりにとてつもなく熱中していた「エコエコアザラク」に主演していた佐伯日菜子さんに12年を経て見える機会もありそうな感じだったりしちゃったりして、エコエコロジストを自称し「闇のエコエコ大祭」にも行き写真集の巻末のイベント紹介記事にしっかり写り込んでいたりする身としては、天にも昇るというかエコエコらしく地獄の底に堕ちる気分が浮かんでなかなかの僥倖。とはいえ相手は黒井ミサ。その目で射抜かれ呪文を唱えられ地獄に落とされたら……それはそれで本望か。エコエコアザラクエコエコザメラク。

 「ONEPIECE」の続きを読みに行ったら休載で残念だった近所のコンビニに広江礼威さんの「BLACK LAGOON」第9巻が並んでいたんで速攻に購入しつつ第9巻ってことはこれでもう「漫画大賞」にはノミネートできなくなっちまったんだと残念さに感極まる。せめて最終選考にノミネートされていてくれればもっといろんな人に読んでもらえたのになあ。まあこれだけ有名な作品だから今さらって感もあるか。新シリーズもOVAながら始まるってことだしそっちでの露出によるよりいっそうの認知度向上に期待だ、ってテレビ放送じゃなくOVAって当たりに後退っぽさも見えて隠れてたりするんだけれど。うーん。

 まあ仕方がない。日本映像ソフト協会の統計なんかによればこの半期のアニメDVDの売上はアニメーションが前年同期で1割減とかそんなもん。アニメーションのブルーレイディスクが10倍近くになっていたって全体のシェアではまだまだなだけに市場にいったいテレビで放送してからパッケージ化したって、どれくらい元が取れるんだって気分が広がっていたって不思議はない。だったらもはやテレビに頼らず劇場を経てパッケージと行くなり、口コミなんかを使いいきなりパッケージで行った方が無駄なお金をかけずに内容面を充実させられるって踏んで当然。ってことはつまり「BLACK LAGOON」の第3期は相当に相当な内容になってくれると期待、したいんだけれどこれってやっぱり延々ロベルタリベンジ編なのかなあ。

 最新9巻自体もそんなロベルタリベンジ編のクライマックス。読み終えるとそれはもはやリベンジだなんて殺伐としたものじゃなくって、ガルシア・ラブレスとロベルタとの大恋愛成就編だってことが分かって顔が赤くなる。なんていうかコロンビアからロアナプラからラオスあたりも巻き込んだ壮大な愛の物語。それが成就していく過程で繰り広げられた戦いでの、米陸軍の不正規部隊を率いるキャクストン少佐やバラライカに張といったロアナプラの面々ヤられっぱなしぶりに無駄死にっぷりが妙なおかしさを醸し出す。いっそだったら最初っから、ガルシアがロベルタの首根っこを押さえて坊ちゃんからご主人というかリアルな亭主となっておけばロベルタの暴走だって防げたのに。ちょっとでもロベルタのショタ属性があったらガルシア可愛さで暴走なんてしなくて済んだのに。とはいえ大団円。でもってキャクストンの部下に死者多数。やっぱり無駄死にだよなあ。

 本誌だと描かれていなかったエピローグ的なところもしっかり載ってて、そこではロックに衝撃の出来事が到来。朱に交われば赤くなるっていうか、感覚が既に闇へと落ちているっていうか。日本編で雪緒にこのどっち付かず野郎が的な言葉を吐かれてそうじゃないんだと否定したことが、やっぱり事実となって来ている感じ。闇へと落ちかけているロックがこれからどうなるのかってのが「BLACK LAGOON」のひとつの見所か。張すら感心させた手腕を発揮してロアナプラの頂点に立つか。それにしても第9巻ではレヴィにほとんど出番なかったなあ。正体の怪しさだけが仄めかされたダッチよりはましだけど。挟み込みのチラシによればブルーレイは12月から発売予定で毎月2巻づつで全8巻で2期分を収録。買いつつ懐かしみつつ新シリーズへの突入を待とう。「マイマイ新子と千年の魔法」も見なくっちゃ。レヴィもロベルタも出てないけど。

 高橋慶太郎さんの「ヨルムンガンド」も出ていてこちらは第7巻だからまだまだ「マンガ大賞」へのノミネートは可能。頑張ろう。ココ・ヘクマティアルを狙うCIAの外郭に位置する姉ちゃんヘックスの活躍が描かれているんだけれども、ココの周囲に張りついていたやっぱりCIAのスパイのアールが妨害に動いてさあ大変ってストーリー。そして敗れたヘックスは捲土重来を期すもののそこに爆撃機が襲来。哀れヘックス。美人薄命っていう奴か。でもって発売されたばかりの「サンデーGX」はロベルタのど派手な水着姿のクリアファイルもおまけにつきつつ「BLACK LAGOON」は未掲載のまま「ヨルムンガンド」だけが進行。アジアでのヘクマティアルへの牽制が始まる中でいよいよココが日本へと乗り込み雪緒と銀次のペアを相手に派手な先頭を繰り広げ、そこにホテルモスクワも介入して大騒ぎ、にはならんかやっぱり。KAWAII系のキャラに頬染めるバルメに期待。ドクター・マイアミはまた出てくるのかな。


【10月18日】 そうかもう出ているのか「機動戦士ガンダムZZ」のブルーレイディスクボックス。とはいえしかしほとんどまるでテレビ放送時は見ていなかった「ZZ」なだけに、発売にもまるで感慨が湧かないというか湧く要素に乏しいというか、そもそもが御大・富野由悠季監督によって「機動戦士Zガンダム」が新約として劇場アニメーション化された時点で、歴史から消え去っているんじゃないの的見方もあったりするけれど、あれはカミーユがショックでパーを出したかどうかの違いでしかないといった見方もあったりするから謎。ともあれハマーン様のご活躍だけは望める作品として、見返したい気持ちもあったりするだけにここが決め所かどうかを迷いつつ、でもやっぱり買わない可能性が大か。とりあえずさっさと「機動戦士ガンダム」のブルーレイを出そう。というか僕のDVDボックスはいったいどこへ行ってしまったのか日本海か伊勢湾か。

 そんな秋葉原を散策していて加藤和彦さんのコーナーが出ていて探したけれども「あの頃、マリー・ローランサン」が見あたらないんでお見送り。何でまたこれってことになるけどそれは、発売された当時に割にFMラジオを聴いていてそこでやたらをながれてタイトルも含めて結構耳に残っていたりするのが理由。そういうことって割によくある事で、これが山下達郎さんならやっぱりテレビCMで顔とともにながれた「RIDE ON TIME」が楽曲としては強い印象ながらも、アルバムとしてはFMラジオで散々っぱら聴いてほとんど全曲、エアチェックしてた「FOR YOU」が自分にとってのメインアルバムって位置づけになっていたりする。1年早くても遅くても大きく違ってくるマイフェイバリット。それが一生を決めることもあったりするだけに人生ってなかなかに面白い。あの頃「オネアミスの翼」をしっかり見ておけば、とか。

 加藤さん絡みで言うなら買った「スポーツニッポン」の大半がフォークの加藤和彦といった扱いになっていて、つまりはそれだけ「フォーク・クルセダーズ」の印象が強いってことなんだけれども個人的にはそんな当たりへのシンパシーがまるで湧かず意識にズレ。むしろ加藤さんといったら「サディスティック・ミカ・バンド」で日本のロックの下地を作ったことのみならず、海外に雄飛し英国でも評判を得た上にそこから高中正義さんを輩出して世にギターキッズを山と生みだし、フュージョンの人気を押し広げ、また高橋幸宏さんを輩出して「イエロー・マジック・オーケストラ」を生みだし、テクノポップのワールドを作り日本と世界の音楽を確実に変えた、そんな根元に位置する人って印象が個人的には強力にある。

 けれども記事とか読むとフォーク世代のノスタルジーを喚起し寂しさに訴えるような雰囲気。「サディスティック・ミカ・バンド」の後にはそれこそ「あの頃、マリー・ローランサン」で見せたようなオシャレでクールなシティポップを長く繰り広げ、一方でアニメファン的にも一種のマスターピースになっている飯島真理さん「愛、おぼえていますか」を作曲したりと、フォークから離れた場所で強固な地位を確率していたにも関わらず、棺を覆う文言はフォーククルセダーズや帰ってきたヨッパライやイムジン河によって埋め尽くされている。想像するなら作ってる側の責任者あたりが50代に差し掛かっていて、フォークルでヨッパライでイムジンこそが加藤和彦なんだって決めてかかっているのかもしれないけれども、そうだとしたら新聞ってもはや相当にオールディーズなセンスのメディアってことになるよなあ。売れない訳だよまったく。それを言うなら音楽もか。

 でもって秋葉原ではコトブキヤで「マクロスF」の1番くじを3枚ばかり引いてタオル2枚とミニフィギュア1つを確保。デカいクランクランとかシェリルとかランカも並んでいたけど流石に当たらないよなあ。まあでもとりあえず前の1番くじでもらったあれはシェリルだったかが1つあるから良いか、いや良くないんで可能性のある限りは引いていこう。でもあんまり見かけないのはそれだけ「マクロスF」の人気が弱体化しているからか、否、幕張メッセとかのイベントはすぐにチケット完売だったみたいだから人気はまだまだ続いているっぽい。映画の公開も近いしこの11月はきっと盛り返して来ることだろう。でも12月になるとどうなっちゃうんだろう。May’nさんもシェリル・ノームのスキンがつくと売れるんだけれど、ピンだとなかなか名前も姿も出てこないし。リン・ミンメイのスキンが長く張りついた飯島さんみたく悩むことになるのかなあ。中島愛さんは「けんぷファー」で沙倉楓って脇に見えつつ実はラスボスっぽい役を演じてるから、とりあえずイメージの泥沼からは抜け出せそうなんだけど。

 そして電車を乗り継ぎ「フクダ電子アリーナ」へと向かい、途中で肉巻きおにぎりを買って喰って試合を見て途中まで見ていたけれどもラスト近くになって気を失って気がついたら日付が代わっていた。そういうことってよくあるよね、見たくないものは見ないという。ああでも現実は確実にやって来るから覚悟だけはしておかないと。欲を言うならやっぱり奇跡の5連勝プラスどこかの連敗でもって残留を確定して欲しいけれども、2部に落ちたからってそれで応援する姿勢が変わるってものでもない。そこで繰り広げられるのは紛れもないジェフユナイテッド市原・千葉のサッカーであって、相手がどこであろうと応援する姿勢に変わるものではない。むしろ今までとは違ったところを相手に戦う楽しみもあるし、そうした相手のホームへと出かけていく楽しみもある。柏とか、ってそりゃあ今年も行ったよな。

 2部落ちがダイレクトに経営に結びつく心配がないチームならではの余裕って奴だと、少ない費用で頑張っている所からは批判もされそうだけれども、そうしたチームたちと一緒になって2部であっても高品質のサッカーを見せ、楽しませることが出来るんだと訴えていくことで日本のサッカー風土全体の底上げにつながるのなら、2部落ちも悪くないんじゃないのかなあって気がしないでもない。湘南ベルマーレは2部が長いけど湘南藤沢にサッカーの火は消えてないし、ヴァンフォーレ甲府もベガルタ仙台も2部で頑張って地域のサッカー文化を盛り上げている。チームがあり続けるなら応援し続けるし、応援し続ければチームだってあり続ける。戦う場所なんかじゃない、戦っていることが大切なんだって1度分かることでもある。ここでの2部落ちを敢えて前向きに受け止めてみようって覚悟を、とりあえず今から固めておこう。でも1年で復帰するけどね。


【10月17日】 エイプリルはそうかやっぱりダメだったのか「DARKER THAN BLACK 流星の双子」。あの喧噪を生き残ってはるばる時を越え復活を遂げたばかりで即退場とは残念至極。変装して新しいキャラクターを見せていたのにもうあの博士姿は見られないのか。とはいうものの代わって出てきたあれはMI6所属か何かの魔術師コルネリウス・アルバ、の偽物もあっさり黒(ヘイ)に沈められてご退場。偽C.C.のアンバーが最後まで出きったこととは対称的にパチもんならではの役立たずぶりを発揮してくれていて実に楽しい。あんな赤いトレンチコート、どこに行けば買えるんだろう? シルクハットとセットで買って着て歩きたい。赤いピーコートはもう持っているんで。

 新顔でも大丈夫なのは日本チームで黒いストレートなロングヘアにスーツ姿で刀を振りまわすという、アニメーション版「紅 −Kurenai−」のリ・チェンシンほかどこにでもいそうなキャラだけれども、それだけ見目麗しいと目されているタイプの能力者が登場しては戦いに視聴者サービスに大活躍。名は葉月水無か。対価がまた羨ましいというか当人的にはまったく逆なんだろうけれども一緒に仕事をしている鎮目弦馬とやらには戦うたびに美味しい思いをしやがってと殺意も浮かぶ。でも能力でぶん殴られて終わりか。そういやあ弦馬の対価は何だったんだ。眼鏡のアシスタントの沢崎耀子は口直しをされて嬉しい人? ささめく人? そんなの多い秋アニメ。誰だ不作だなんって言ってた奴は。どえりゃあ(名古屋弁でとてつもないの意)方策じゃんだらりん(三河弁の語尾の集合体)。

 そんな感じに日本とCIAとMI6とあとロシア当たりがぐちゃらぐちゃらとしながら「流星の欠片」とやらを追いかけている構図を見せてキャラも惜しみなくぶっこんで、スタートダッシュに成功した感じがある「新DARKER」。葉月の百合とか耀子の胸とかキャラにサービスもいっぱいあるしシオンの負けないお転婆ぶりとそんなシオンに狼狽える黒(ヘイ)といった掛け合いの愉快さもありそうだし、銀(イン)がどうなっていて猫(マオ)もどうにかなっているのかといった前作から見続けている人への興味を引っ張る仕掛けもあってそのまま尻上がりに調子を上げていってくれそう。やっぱりあのモモンガか。背中にサイレンがついてないのは何故なんだ、ってそれは絶チル。あとはBK201を天体望遠鏡で見ていた霧原未咲がどう関わってくるのかって所か。やっぱりみんなまとめて東京大集合か。この先の見えなさ。オリジナルって楽しいなあ。モモカンはやっぱりエロいなあ。

 イベントもない土曜日、とかも言ってられない「コ・フェスタ」マンスリー、って割には世間ではまるで盛り上がってないぞ「コ・フェスタ」。去年はそれでも麻生前総理が秋葉原に顔を見せてさいとうたかをさん弘兼憲史さんと対談なんかしたりして、メディアにも取りあげられたんだけれど今年はそういったメディアへの露出を狙った仕掛けがまるでなし。ある意味では健全とも言えるけれども世間がまるで気づかないまま過ぎていくイベントもあったりする訳で、せっかくいろいろな作品が上映されたり、すごいクリエーターの話が聞ける機会もあったりするのに勿体ないこと甚だしい。今日も今日とて「ジャパンアニメコラボマーケット(JAM)」ってイベントであの「アリーテ姫」で「BLACK LAGOON」で「マイマイ新子と千年の魔法」の片渕須直さんが登壇してトークをするってんで仕事じゃなかったら普通に行って、映画を見てトークを聞いたんだろうけれども仕事だったんで映画は前に見た記憶をそのままにいろいろとお仕事。

 コトリンゴさんの楽曲が流れてから始まったトークは聞いて、そこで片渕さんが映画に描いた防府の松崎小学校3年3組に、原作者の高樹のぶ子さんだけではなくって7月に亡くなられて片渕さんも送る会に関わっていた金田伊功さんが通っていたという話が披露されて偶然というものの素晴らしさに触れられた、っていうかすでに片渕さんも各所で形ってはいたようだけれど、映画を見に来た人にとってはそうなのかって思いにも繋がったんじゃなかろうか。過去から現在から未来まで、すべてが繋がっているという事実を描いていたりする「マイマイ新子と千年の魔法」。防府に1000年前にあの清少納言がいたという史実を引っ張り出してそこでの彼女の暮らしを見てきたかのように描いてそれを、新子が走り回る昭和30年の世界とつなげて重ねてみせる。

 1000年前があり昭和30年があってそして現在がある。1000年前はもとより昭和30年に活きていた人もいなくなっているかもしれないけれども、確かにいたという事実、それを感じることで過去に思いを馳せ、自分という存在がその瞬間に突然現れたのではないのだということを知り、そんな自分が未来のために何かを繋いでいくことになるのだという可能性に思いを馳せる。「Always」 3丁目の夕日」的なノスタルジーの喚起だけではない、過去を今につなげて考える大切さって奴を教えてくれる映画だってことを知ればなるほど、見てみたくなる人も大勢いそうだけれどもそうやって知らしめることがなかなか難しいんだよなあ、今の時代。キャラは可愛いけれど萌えてないし、アクションはあるけどガンではないし。でもそこは口コミパワーの発達している時代。見た人の心が語ればきっと広まっていくだろう。片渕さんは22日の「ロケーションマーケット」にも細田守さんと共に登壇の予定。行って聴こう、防府と上田を描く楽しさを。

 そこで帰る予定だったけれども誘われたこともあるし1話目を見たアニメーション版「空中ブランコ」が予想を上回って愉快で痛快だったこともあってこれに関わっている人たちが、何を考えているのか聞きたいとそのまま続きで「ノイタミナ」の宣伝プログラムを見たらこれがまたとてつもなく面白かった。まずは過去の作品の上映があり、そして「空中ブランコ」の第2話の上映かへと行ったんだけれど出演する声優の櫻井孝宏さん目当ての若い女性たちがいっぱいいる前で、果たして上映されて良かったんだろうか櫻井さん的にも声優生命に大きな巨根、ではなく禍根を遺すんじゃないかといった懸念も浮かぶくらいにカゲキな内容でひっくりかえる。仕事じゃなくって普通に一般人として大半の女性に交じってみていたらきっと頭をかかえただろうなあ。

 だって病名が陰茎強直症だよ、いんけいきょうちょくしょう。つまりは「勃ちっ放し」って奴になってしまった気の弱い区役所員のストーリー。演じるのは櫻井さんなんだけれどもそれがアニメでは本人をスキャンしたようなまんまのキャラで登場し、口では勃ちまくっているだのどうだのと言い、姿では痛みを和らげようと前屈みになったまんまの姿を見せている。そうした映像を見るのは大半がうら若き乙女たち。横で上映される映像を見て映像に見入る乙女たちを見て、いったい何を思ったのか、って考えたけれどもトークになって櫻井さん、別にもう1人の患者の役も振られたけれども一生に演じる機会なんてまずないと、こちらの勃ちっ放しの役を選んだのだとか。流石は役者。あの三ツ矢雄二さんが学校で教える中でも印象に残った若手と言うだけのことはある。魂に刷り込まれた役者の情熱が勃起、ではなく発揮されまくった第2話に今から注目。男子は痛みを想像してもだえ、女子は固さと高さを妄想して濡らせ頬を歓喜の涙で。

 そんな櫻井さんが声優の学校で三ツ矢雄二さんに教えられていたということは名古屋にも講師で来ていたのか三ツ矢さん。最近はそういう仕事とあとは音響監督の仕事をメインに時々動物だとかアクの強い役を脇でやるって感じになっていたけど、この「空中ブランコ」では堂々の主演。それも大伊良部は縫いぐるみに入った妙な姿だけれど中伊良部は二枚目の青年で、本人的には「タッチ」以来の二枚目を演じることになったって驚き混じりで話してた。「六神合体ゴッドマーズ」はそれより前だったっけ。櫻井さんに「陰茎強直症」と言わせることも冒険だけれど、超ベテランを今に主演として起用し様々な役をやらせてみせるのもやっぱり冒険。そしてそれが見事にハマっているというところに、この「ノイタミナ」って作品が持つ凄みがあるし、見て面白いと感じる秘密があるんだろう。という訳で「空中ブランコ」はこれからも見所多数ありそう。そして次ぎは「のだめカンタービレ」のファイナルか。突っ走るなあ。その次はいったい何だろう。いよいよ「あさきゆめみし」か(ないない)。


【10月16日】 それだったらお台場に建てられていた「機動戦士ガンダム」の等身大立像を天辺に重ねておけば18メートル分、高くなって中国の広州に立つという同等に世界最高の電波塔を引き離せる上に450万人を集めた「ガンダム」というバリューも得て観光の増大も期待できるのではなかと思った「東京スカイツリー」の延伸計画。とはいえあれを天辺につければ流石に塔全体が歪みそうなのでここはいっそ基盤部分に置いて塔を担がせるようにすれば、近くでガンダムも見られる上に高さも稼げるのではないかと思ったりした次第。どっちにしたって出来ません。けどでもここで発表したら中国だって黙っていないだろうなあ。100メートルくらい延ばして来るに違いないなあ。ロボットはないから兵馬俑の兵士のフィギュアを50体くらい肩車させるとかして。あるいは毎日毎日雑伎団の100人くらいが交替で天辺に登って肩車をして高さを稼ぐんだ。

 かすかに感じるその違和感が、文芸なりエンターテインメント世界ですでに一家を成した牧野修さんと、ライトノベルにどっぷりと浸かって育って書き方綴り方のすべてがライトノベルに染まっている人たちの間に、たぶんある違いなんだろうなあと「少年テングサのしょっぱい呪文」(電撃文庫)なんかを読んで考えたり悩んだり。細かく分析すればもっといろいろ見えてくるものもあるんだろうけど、印象でいうならそれは世界なり構造なりといった語りたいことがあって、それを語るために必要なキャラクターを配置し出会わせ物語の中で動かしているってこと。対してライトノベルはキャラクターというものの属性がまず先にあって、その強烈な個性をテコにして物語を転がしていく。

 読み手の大半がキャラクターに自分を添えて展開に身を浸しているような感じがあるライトノベルでは、そういったキャラクターの個性が何者かになりたいと憧れる読者を引き付け引っ張り込んで引き回す。そういった読み方を前提に「少年テングサのしょっぱい呪文」を開いて読み始めると、まずいったいどのキャラクターに“ぼく”を添えていいのかってところで迷いそう。なるほど個性はたっぷりなキャラクターばかりだけれど、どれが明快な主人公って風にはならない。とりあえず主役は決まっているけれども、彼に身を寄せて流されるままに世界を楽しみ出会いを楽しめるような雰囲気にはなっていない。感じられるのは世界の構造。そして設定の妙味。そこにそうなのか! という驚きを感じられる人は良いけれど、“ぼく”の物語ではないと戸惑い離れてしまう人もいるかもしれない。

 舞台は現代からたぶん未来で、邪神が人間の世界にいっぱい現れるようになった結果、邪神法人なるものが出来て人によっては邪神をご本尊にした団体を立ち上げ、そこに入る信者のお布施なり、邪神に何かをお願いしたい人の依頼料なりを得て暮らしていた。主人公の少年の家もそんな邪神法人のひとつ。それもなかなかの強さを持った邪神らしく、他の邪神法人から果たし合いを申し込まれることもある。とはいえ果たし合いには膨大な書類が必要らしく、果たし合いを申し込んできたヤクザみたいな邪神の使いとグラマラスな邪神の使いを、ハンコが足らない書類が不備だとあしらっていた矢先。通っていた喫茶店でアルバイトをしている少女のお腹に出来てしまった子供を狙って、より強大な邪神が彼女を害しにやって来た。

 主人公は好みの彼女を守ろうとするものの、相手はとてつもなく強力で強大。勝てない可能性の高い戦いの果てに少年は、自分の運命がどういった連鎖のもとに出来たのかを知り、頑張って得られた結果への歓びを浮かべる。邪神たちがはびこっているという世界の状況の不思議さと、そんな邪神に娘が同級生達に虐め殺された復讐を依頼する母親がいたりする状況の不条理さ、そこでも書類と依頼が必要だったりする可笑しさなんかを感じさせるという目的がまずあって、そこにキャラクターを配したといった感じがあるところに最初の違和感なんかが浮かんだんだろうなあ。もちろんライトノベルにもそうした状況を語りたいがためにキャラを配置する作品もないでもないけれど、既にして大家な感すらある牧野修さんだけに余計に物語り作りの巧みさと、それ故なライトノベルとしての異質さって奴が感じられたりしたのかも。たぶん気のせい。牧野修さんを知らずに読んだ人がどんな印象を抱くのかに興味。

 つまみ食いして見た印象はサイケな上に絵としえ動いていなくてどうしたものかといったものだったのに、最初から通してまとめて見るとこれが意外にストーリーの内容にマッチして心理を貫く超演出。キャラクターが抱える妙な不安に見ている側のこれで良いのかという不安が重なって、ドロドロとした謎の世界へと気分を誘い繰り出される紙芝居的な演出もリアルな人間の登場も、すべてをそういうものだといったマインドの中へと引っ張り込んで離さない。変化する伊良部の姿も揺れ動く心理を逆なでしているようで実にベスト。そんな具合に進めた上でちらりと重なった人間を次の主役にしつつ1つの物語としてつないでいく構成も面白そう。ノイタミナ枠の「空中ブランコ」。これまた刺激的な1作だ。DVDは多分買わないけど。杉本有美さんはなかなかにエロいなあ。「クイーンズブレイド THE LIVE」の写真集に出ている森下悠里さんに負けず劣らずだなあ。ちなみにこいつ、白いのとか見せまくりな写真集。でも「クイーンズブレイド」は白いのの下すら見えそうなだけに、むしろおとなしめにすら見えるんだ。どういうことだ。

 なるほどやっぱり面白いなあ高橋留美子さん。「るーみっくわーるど 高橋留美子劇場」なんかでも、異質な存在に出会って戸惑いながらもそれを日常に取り込んでしまうような短編が描かれていたりしたけれど、そんなちょい引き気味なテイストを今回は色濃く出しつつ、毎週の連載に耐えられるようなキャラクターも設定をして、退魔な仕事の少年と霊が見えてしまう少女とのドタバタな日常って奴をくっきり描き出している。「境界のRINNE」(小学館)。真宮桜が単に何者かによって引っ張り込まれた異界で偶然に霊感体質にさせられてしまったのか、それとも六道りんねという少年が、死神だった祖母と人間だった祖父との間に生まれた誰かの子として生まれ育ったことにどこかで関わりを持っていて、必然として出会い語らいいっしょに輪廻へと霊魂を載せる仕事に就くようになったのか。行方不明なりんねの父母の正体あたりも含めつつ、いろいろと仕込んであるだろう大きな設定が明らかになって、シリアスへと突き進む展開が来るかそれとも来ないのかを楽しみつつ待とう。2巻同時発売。


【10月15日】 とりあえず「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」はなかったことにして1年戦争での栄冠から30年ほどたった宇宙世紀0110年あたりに再び巻き起こった戦争に、地球連邦はかつてのエースで赤い悪魔を相手に引くどころか奇跡の50人抜きすら演じて喝采を浴び、今なお絶大なる人気を誇るアムロ・レイを司令長官に据えた布陣で臨んだもののパイロットとしては優秀でも一切の司令経験を持たなかったアムロ・レイ。天才ゆえの気まぐれさで暴飲暴食に走りドラッグに溺れ視線を彷徨った果てに復帰し体調こそ整ったものの気まぐれさは直らず、ニュータイプ的直感を信じて差配をしてもそこは知ろうと司令長官。勝てるはずの戦を落としてもうここで負けたら後がないという瀬戸際へと追いつめられたその時。

 若きエースのリオネラ・メスこそ堅持しつつもかつて我が後継者と目されながらもいつしか消えてしまっていたペブラ・アイメルらを誘い不動のエースだったガブリエラ・バテスタも誘い魔術師とも歌われたオルティーガって組み直したクルーで臨んだウルグアイ戦役を僅差で凌いで勝利を得、そしていよいよ敵本営との最終決戦へと向かおうとしているもののそこは多士済々が集い最新の戦術と兵器が繰り出される0110年の戦場。かつてのエースの古びた直感で緒戦を突破できるのか? といった状況にサッカーのアルゼンチン代表は「機動戦士ガンダム」に例えるとあるって言って良い? なんだかんだいってもちゃんと4位に入ってワールドカップ行きを決めたマラドーナ監督を、いくら手腕に不安があるからといってここで降ろす訳にはなかなかいかないからなあ。というか後を引き継ぐ人がもはや誰もいない。いやラモン・ディアスなら対極ということで手を挙げるし世間も納得するか。今何やってんだろうラモン・ディアス。

 一方で日本代表の岡田武士監督は(偽)トーゴ代表との試合直後のテレビインタビューを拒否して素通り。世間に対して代表監督がもっとも近づく試合直後のインタビューを袖にするたあ監督の義務として許せない、って意見もしっかりあってそれは確かにそうだけれどもそうなるかもしれないって予感も報道やら噂なんかで事前に漂っていたなかで、TBSがまるで手を打っていなかったということの方がちょっと気になる。原因は報じられているように「スーパーサッカープラス」での小倉隆史さんによる監督インタビューで、相手を不快に思わせるようなことがあったってことなんだろうし、インタビュー自体も不要不急の問題を直裁的にぶつけ過ぎていたきらいもあって不快に思われて当然、といったところもあるかもしれない。

 そもそもが司会の加藤さんが喋った言葉を8割方オウム返しにしてあとはそうなんですそうでしょうと添える受け答えが妙に目立って、肝心の深い解説がなかなか聞かれなかったりすることも割とあったりする小倉さん。テレビという場に瞬間瞬間でのぞんで場を明るくするって役割に徹しているんだとしても、水沼さん金田さんといったお歴々の鋭さをつい期待してしまう目にはちょっと物足りなさもあったりした。いや実際のプレーを見せるコーナーでは、往年のレフティモンスターぶりを見せてくれていたからそれはそれで嬉しかったんだけれど、だったらもはやスポーツバラエティの人として、かつての定岡正二さんのような振る舞いをしていればテレビのフレームに奇麗に収まったかもしれない。少なくとも真っ直ぐさがまず大事な場では対極に有りすぎるキャラクターではあった。

 けどそれはそれで仕方がないこと。原因があってそれが結果を招きそうだと分かった段階でやはり手を打っておくべきではなかったか、といった考えも浮かぶ。そういう空気を読んで気を配り、根回しをできる人がいなくなっているってことなのかなあ。そしてインタビュー拒否。それもそれで実に情けないという対応。不快感ならこれまでも示す機会はあっただろうに1番やってはいけない場所で、どんなリアクションが起こるか想像できるにも関わらずやってしまったところにどこか至らなさって奴を感じてしまう。これがマラドーナ監督だったらテレビに向かってテレビの態度を堂々述べるか時間が迫っているにも関わらず延々と1時間くらい自説を開陳して相手を辟易とさせるかして裏でほくそ笑んだだろうなあ。監督としての力量云々ではなく器のデカさの問題になっていきそうなだけに岡田監督の今後が心配。監督としての力量は……これもまあ何だよなあ。

 まだ最終回ではなかった「うみねこのなく頃に」は新しいベアトリーチェが散々っぱら悪さをやってそれを元ベアトリーチェなベアトがはらはらしながら見ている構図。どう頑張っても手詰まりになりそうなだけに次はどうチェスのテーブルをひっくり返して裏側からの思考って奴を描いてくれるのか、そしてそれは出口にちゃんと繋がっているのかを期待しつつ不安がりつつ眺めていくことになりそう。ベアトリーチェは暴君の地が出てやんちゃ坊主になっていたのが新ベアトリーチェの暴走をたしなめられて否定されてシュンとなって可愛げが出てきた。まあでもベアトリーチェなんできっとまた再びのヒヒヒな高笑いを見せてくれるだろうと期待。「生徒会の一存」はまああんなもんか。だらだらと。


【10月14日】 富野由悠季監督によるショートフィルムながらも新作のガンダムと言える「Ring・of・Gundam」が収録されている風はなく、それならいらないと一瞬思った「機動戦士ガンダム」の30周年を記念して開かれた「ガンダムビッグエキスポ」のスペシャルステージベストセレクションDVD。だが、ずらりと並んだプラグロムの中で「ザビ家の肖像 −ジーク・ジオン−」と題されたコーナーの内容を読んでこれはやっぱり買いだろう、これだけでも買いだとほぼ確信する。

 「本編中でも全員が一同に会することのなかったザビ家がガンダムビッグエキスポだけの奇跡の共演!」と煽り文句の付けられたステージにはデギン公王の永井一郎さんを筆頭にギレン・ザビの銀河万丈さん、キシリア・ザビの小山茉美さん、ドズル・ザビの郷里大輔さんにガルマ・ザビの森功至さんといったネームバリュー的にも演技力的にも一級の人たちが勢ぞろい。「イベント開場全体を揺るがした銀河万丈(ギレン・ザビ)による演説もノーカットで収録予定」とあって会場でそういったものを聞けなかった人間に、感動の時間をきっと与えてくれるに違いない。土田晃之の特別ゲストだけは余計だが。

 「ホワイトベース同窓会」というものもあってアムロ・レイの古谷徹さんにカイ・シデンの古川登志夫さん、フラウ・ボウの鵜飼るみ子さんミライ・ヤシマの白石冬美さんハヤト・コバヤシの鈴木清信さんリュウ・ホセイの飯塚昭三さんとこれもなかなかに豪華なメンバーが大集合。ここにブライト・ノアの鈴置洋孝さんとセイラ・マスの井上瑤さんが入っていないのが返す返すも残念だけれどそれが30年経ったということでもあるのだろう。いややっぱり早すぎる、か。きっとそうした話も含めて聞かせてくれるに違いない。土田晃之の特別ゲストだけはやっぱり余計だ。若井おさむが交じっていたらそれはそれで愉快だったかも。発売は12月22日。寝3段は5040円。バンダイビジュアル。

 そんなバンダイビジュアルのリリース予定を眺めていたら富野監督の「リーンの翼」が6話入って6090円だなんてスペシャルプライスで発売されるとあって嗚呼。でも買ったOVAは最初の1巻だけだったんであんまり痛いってことはない。廉価系だと「無限のリヴァイアス」と「スクライド」のDVDボックスが11月25日に1万5750円とかで発売とか。谷口悟朗&黒田洋介&平井久司な2作ってことで吾郎な人には今が買いかも。「リヴァイアス」はでもしばらく前にDVDボックスが出たばかりじゃなかったっけ、そうでもなかったっけ、買わずにおいて正解? でもブルーレイディスクとかもありそうだしなあ。熟考。ブルーレイだと「舞−HiME」と「舞−乙HiME」が2010年に相次ぎボックス化。30450円は悪くないんじゃない?

 デジタルコンテンツ協会(DCAj)ってところがあって毎年「デジタルコンテンツグランプリ」ってのを出していたりするんだけれどそこのグランプリに当たる経済産業大臣賞を細田守監督の映画「サマーウォーズ」が受賞。これが初戴冠? 日本アカデミー賞のアニメーション作品賞にこれが来るか「ヱヴァンゲリヲン新劇場版・破」が来るかは不明ながらもいろいろと受賞するだろう賞でもそんなに悪くはない(知名度はあんまりないけれど。昔のマルチメディアグランプリだったら分かったかな)のを取ったってことで、今後のファイナンスとかにも弾みがつきそう。授賞式には細田さん来てくれるかな。

 でもってビジネスっぽいものに贈られるんだったっけ、DCAJ会長賞ってのには我らが芸者東京エンターテインメントの「電脳フィギュアARis」が輝いた。うおっすげぇ。発売が去年の10月とかで賞の期間の入ったか入らなかったか微妙だった上にそれから1年が経って忘れ去られてしまったんじゃないかって心配もあったけれども、あの不思議さとあの先鋭性は審査する人たちにしっかりと認められたみたい。来年だったら「世間コンピュータ」じゃなかった「世界カメラ」が受賞しそうだけれど同じARってことで先を行った「ARis」で打ち止め? だとしたら実に先見性があったなあ田中泰生さん。社長の人ね。

 あと優秀賞は「ドラクエ9」で技術賞は「パコと魔法の絵本」でコンテンツ制作スタッフ賞が京都アニメーションで銀だか錦だかの賞が「富山観光アニメプロジェクト」で審査員特別賞が実物大ガンダムで同様に審査員特別賞が金田伊功さん。何かサブカルばっか。その意味ではかつてのマルチメディアグランプリの雰囲気が戻りつつあるなあ。授賞式が華やかになりそうで楽しみたのしみ。

 やはり六本木ヒルズのはるか上にある会場は人の出足に影響を与えていたようで、敷居の高さと物理的な高さが新人クリエーターのプレゼンテーションという目的と乖離してしまっていたことを反省してか、「東京コンテンツマーケット」は会場を平場で海抜もゼロメートルに近い「東京ビッグサイト」へと移して開催。あまつさえプロフェッショナルなプロパティが勢ぞろいする「ライセンシングアジア」との共催となって、企業が提供するキャラクターやらロゴマークを企業なんかが見に来る「ライセンシングアジア」の会場に、企業へとキャラクターやら映像なんかを提案したいクリエーターもまじって、会場の中でもいろいろと商談が弾むような体制が整った。

 それが果たして吉と出るのか、プロフェッショナルなライツに来場者が集注して「TCM」には目もくれられないのか、不安もあったけれども始まってみればむしろ「TCM」のクリエーターが並べるまだ誰も見たことがないキャラクターやら映像に、興味を抱いた人たちがわんさかとやって来て結構な賑わい。すでにして概要が固まってしまっているプロパティも少なくない「ライセンシングアジア」よりも活気があったようにすら見えた。これって果たして良いことなのかそれとも来年に向けて拙いことなのか。アマチュアに負けないようにプロにはだから頑張って欲しいって天の声ってことなのかも。ああでも阪神タイガースのブースは人気なら全国区だけど窓口は関西にあるって思われがちなタイガースのグッズを作りたい人にとって一網打尽の一石二鳥。賑わっていたからこれはこれで意義ある展示会だったのかも。

 つらつらと見た会場ではまず3DCGの映像を作っているKeiさんこと中村啓さんの作品が目に止まる。「美吉野の炎」ってかわさき映像コンテンツアワードの「岩崎学園情報科学専門学校賞」ってのを受賞した作品は能っぽい世界が濃密に描かれJAPANな感じ。でもって新しく提案していた「アルノーの翼」はジブリな駿っぽいラピュタみたいな山野みたいな場所を舞台に少年の冒険が描かれるストーリーになりそう。イメージボードが並べられていてここから3DCGの映像を作っていくんだとか。見てくれてスポンサーになってくれたら、なんてことを期待しているんだけど完成までにはまだしばらくかかるから、見て判断って人も多いだろうなあ。

 でも見せるまでが1番、お金がかかるんだよなあ。そこんところを支援する仕組み、ってのもないだけにイメージボードとそれから過去の作品から、力量を判断しつつある意味“賭ける”心意気を持ったインキュベーターが今は何より求められているんだろう。昔はコミックスウェーブとかあったけど今はどこがそういう役目を果たしているんだろう。やっぱり同じ会場にいたロマのフ比嘉さん率いるスタジオアールエフくらいになると、実力もはっきりしているから投資とかもしやすそう。「URDA」とか「キャットブルーダイナマイト」とか懐かしの作品なんかも流しつつ、製作にかかわった「ヘルシング」なんかも流していて目立ってた。「キャットブルー…」はやっぱり続きが見たいだけど、どこか本気出してくれないかなあ、ロロノア・ゾロの3刀流に勝てるのは彼女の2腕1尻尾拳銃しかない!

 映像のアイディアを持ち込んでスポンサーを募っていた系はほかにもいろいろ。ガイナックスともお仕事をしているらしい月眠ってスタジオの人なんかはクレイアニメの人形とかを並べてこれでこういう映像を撮るんだって見せていた。自立する人形のコマ撮りアニメかと思ったけれども細身の人形では自立は不可能。ではどうしてと眺めると背中にちゃんと棒があってそれを操作し動かしたのを撮ってから、1コマ1コマ棒を消していくんだとか。何という手間。だったら3DCGで作っちゃえばとも思ったけれども立体物だからこそ出る味もある。同じ意味ではホールマンスタジオが人形アニメを作っているけどそのキャラ化に、人形を撮影したのを写真としてグッズにプリントしていることからも伺える。CGをプリントしちゃあやっぱり雰囲気が出ないんだとか。そいういうものか。

 キャラでは「スタジオフェイク」ってところが出してた「みどりのセバタン」ってキャラに笑う。緑色をした縫いぐるみでアースカラーなんかをバックに立ってる姿はとってもエコ。でもって映像化された作品に出てくる「みどりのセバタン」は車に跳ねられ吹っ飛ばされて体から綿をまき散らしても、自分で針を持って縫い挙げて直すセルフリサイクルがやっぱりエコ。同じエコでもどこか真逆な捉え方にキャラクターの一筋縄ではいかなさって奴を見る。可愛いんだけどブラック。これは受けそう。元セガな人? 「PICONA」って会社の人は手書き風なアニメを作る企画を提案していて、聞くとこちらも元コナミだかどうだったか。ゲームの人は描けてプログラムも作れてプロデュースも出来るから独立してもいろいろ立ち回れるみたい。書くしか能がない(その内容も標準以下)な我が身を振り返ってちょっと羨望。スキル大切。

 ほかにもいっぱいいろいろな人がいた「TCM」だけれど1発で千金とはいかないのがこの業界。TAKORASUさんだってまた出しては映像化の提案をしていたくらい。今回は出ていなかったけれどもobetomoさんだって3年はかかった。だから出し続けて見せ続けて探り続けること。それが大事。あとは見る側も見る目を養うしかない。それが1番足りて成さそうだけれど。おっと「ライセンシングアジア」では「ワイルド7」のキャラ化が見た目に楽しそう。望月三起也さんの手書きのカラー原稿が飾ってあってお尻ぷりぷりなユキが飛葉と抱き合っている絵に目は釘付け。これがまんまフィギュアになればって思うけれども造形が難しそうな絵柄なんだよなあ。どうコンテンツ化していくかに注目だ。


【10月13日】 劇場版「機動戦士ガンダム」でスレッガー・ロウ中尉の声が玄田哲章さんから井上真樹夫さんに代わったのは何かの都合だったとしても、アムロ・レイの母親役に賠償知恵子さんが起用されてそれが宣伝の目玉扱いされかかったことに、当時のファンがどれくらい眉を顰めたかは想像するに難くない。個人的には劇場版にそれほど思い入れがなかったこととあと高校受験も重なったりしてそれどころではなかったこともあって、憤るどころか気にすら止めなかったが、後になってエンドロールのキャストでトップに倍賞さんを持ってこようとした映画会社に、声優さんたちが反感を覚えて抵抗した結果、しっかりとアムロ・レイが主役としてクレジットされたといった話を聞くにつけ、相当にに現場には葛藤があったということが伺える。

 配給をした松竹としては「男はつらいよ」の看板女優でもある倍賞さんを出すことで、海の物とも山の物ともしれない「ガンダム」が一般メディアに取りあげられる機会が増えて、映画をヒットさせられるといった思惑があったのだろう。とはいえすでに社会現象となりつつあった「機動戦士ガンダム」に、そうした配慮は余計なことでしかなかったのかもしれない。結果として物語の力と燃え上がった人気によって映画はヒットし、「ガンダム」は今につながるコンテンツの代表格となっていった。そこに倍賞さんの起用がどれだけの効果をもたらしたのか、あるいはどれほどももたらさなかったのかを検証することは、昨今の映画宣伝において、本編とはまるで無関係のタレントを引っ張り出して宣伝隊長といった役に据え、ワイドショーやスポーツ新聞への露出を計って認知度を高める手法の横行に、何らかの歯止めをかけるという意味でも必要なことのような気がしてならない。

 タレント起用のすべてが悪いという訳ではない。実際にそうやって映画の存在を知ることも結構あったりするから、良い面もおおいにあるのだが、どれもこれもとなると結局は埋没してしまって見向きもされないまま消えてしまうことだって起こり得る。むしろ本編の良さをしっかりと伝えて口コミで集客を呼んで長くじっくり見てもらえるような宣伝を、行った方が結果として効果を得られるケースもある。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版・破」が一切の前宣伝を行わないままロードショーへと突入し、そのまま今なお上映され続けているような具合に。これは特殊過ぎる例だとしても、映画の何が面白いのかを知らしめないようなタレント先行の宣伝は、結果として映画の力を削いで観客離れを招くというマイナススパイラルへと突入していく可能性を、もっと考慮する必要があるのではなかろうか。

 そんな流れで言うなら冬に公開の「ウルトラマン」の映画に、小泉純一郎元総理が声優として起用されたというニュースは、宣伝効果だけを狙っての振る舞いだっていった感じに文句のひとつも言いたくなりそうなことだけれど、何しろ相手は元総理。滅多にお出ましにならないような存在を、あの手この手で引っ張り出したというプロデューサーの凄腕っぷりを勘案してしまうと、むしろ逆に「よくやった、感動した」と言って差し上げたく鳴ってくる。手紙を書いてカネゴンのフィギュアを贈って目に留めてもらって読んでもらって、小泉進次郎さんに後押ししてもらって出てもらったというサクセスの物語は、過去に誰かがやろうとして多分ダメだと諦めていたようなことを、それでも必要だからと突っ走って突き抜けることで成功を得る大切さって奴を、改めて教えてくれた。あれだけの根性があるからこの20年を、いろいろありながらもサバイブし続け、特撮の総本山で特撮ヒーローの元祖の製作を任される存在になれたんだろう。見習いたい。

 でもってウルトラマンキングを演じた小泉さん。演説とかでもっとくっきりと喋っていたりする声がそのまま乗っかれば、すごく活きのいいキングになったような気もしないでもないけれど、歳もとったし気も張りつめていないアフレコの現場では、セリフを追うのがまずは大事。そうして得られた声はどこかふわっとした感じになっていたようで、キングの強さというよりは大らかさが感じられる声になったみたい。ここから音声変換なりの技術でどこまで迫力と重みを付け加えていくのか。そういう意味でも楽しみだし、こうして世の中に一気に広まったことで、映画自体がどれだけの評判を呼ぶのかにも期待がふくらむ。今回ばかりは見に行くか、劇場へ。

 しかし小泉進次郎さんはこれで特撮ファンを一気に味方に付けたよなあ。彼がいる間の自民党へのシンパシーも一緒に得られたて訳で、そこまで考えて父親の背中を押したのだったらなかなかの策士だし、そうでなく純粋に出て欲しいと願ったのだとしても結果は同じ。そうした結果を類推して、父親が息子に進められたのだと言っているのだとしたら、それはそれで父親の深慮遠謀ぶりが伝わってくる。オファーした側にそうした相手方にメリットをもたらすような可能性への思いつきがあったかは分からないけど、こうして結果が伴って来た今、次の手をねらって二番煎じ三番煎じの宣伝企画が動き出しては映画をやっぱりやれやれな物にしてしまいそうな予感。麻生前首相をさいとうたかおさんの「ゴルゴ13」のアニメに出演させたりする企画とか、動いてそうだよなあ。それはそれでちっぽけ過ぎるけど。改めて小泉って存在のインパクトの強さが浮かんで来る。自民党、滅びるはずだよ。

 消す前にさっと見ておくかとHDDレコーダーに録り溜めてあった「うみねこのなく頃に」のアニメーションを見始めたら、これが面白くって愉快で楽しくって一気に最終回まで見てしまったよ。あれが最終回だっていうならば。まずは嵐の山荘ではなく孤島の豪邸での連続殺人があって、その裏でうごめく魔女を引っ張り出し似た展開を起こしリセットしてから3度目へと至って違うルートを描くとう凝った作り。だけれど似た話ばかりを8回繰り返した作品とは違って、差異があってズレもあるからそう来たかって楽しみを味わえる。エスカレートしていったり別の角度から描いたり。現実で対抗しようとがんばる少年だけれど非現実が氾濫してもみくちゃにしてしまって、それでもしつこく頑張ってみたりするけどやっぱりってな繰り返しは、どっちに転がるにしてもいろいろと考えさせられて、眠気とかを吹き飛ばされる。あとはやっぱりベアトリーチェを演じた大原さやかさんの怪演ぶりか。上品さと下品さがない交ぜになってるシーンとかほんと、よく演じているよなあ。あの演技で「ARIA」のアリシアさんとか演じたらいったいどんなアリシアさんになったかなあ。とか言ったら「うみねこ」はまだ続く模様。しゅんとなって反省した大原さやかの再びの爆裂に期待。


【10月12日】 酒場、ってのが「機動戦士ガンダム」に出てきたのはシャアがギレンの演説を聞いていたバーと、あとはランバ・ラルがアムロを出迎えた町のレストランといったところで、いわゆる女性がいっぱいいてウハウハな歓楽街はたぶん全編を通じてほとんどどころかまったく出てこなかったような気がしないでもない。というよりホワイトベースのクルーがスレッガー・ロウ中尉を別にすればおよそ20歳に届いていないかと思えるような若造ばかり。そもそもがシャアだって20歳に達していたか。それで酒場で酒を飲んで良いのかという問題はさておいて、若い奴らが戦争の中で酒場買い良いも女遊びもする余裕なんてなかったと思うのがここは正しい見方か。

 同様にそうした酒場や女遊びが出来る場所を“仕切る”勢力の存在もあまり垣間見らなかった。言葉を換えれば裏社会というものがあまりなく、成金はいても政府に暗然とした力を持って太陽系を動かすような存在が、後の「Zガンダム」でのルオ商会は別にするならファーストの方では出ていなかった。むしろ軍人の側に暗然として先鋭化した存在が生まれて勢力を握り反攻する、といった展開へと向かうことで表と裏を表現していたような気がする。

 裏のない社会。それはとてもクリーンでフェアで分かりやすいとは言えるけれど、時として闇は表で滞った血流を攪乱してながして全体を前へと進める効果を持つし、建前に凝り固まった表に対する本音となって、溜飲を下げる効果ももたらす。子供も見るアニメにそうした社会の理を混ぜ込む不用意さを判断したのかもしれないけれど、建前がぶつかり合ってうまれた争いが「Z」につながったのだとしたら、やはり世界を平穏へと導くには、裏をも含めて設計されることが必要なのかもしれない。

 なんてことをセガの「龍が如く」ってゲームのシリーズが存在したことで起こった変化なんかから考えてみたりする。道徳的にこれどうよ的な反社会的ゲームがアメリカあたりで大流行しているけれど、そうしたゲームに似ているようで「龍が如く」は両極に位置していてまるで異なった倫理観を持ったゲームになっている。あっちが法律って規制をぶちやぶる快楽を追い求めたものだとしたら、こちらは仁義って規範にのっとった中で熱情を滾らせる歓喜を追い求めたものなんだけれど、そうした対極へと向かう正反対の矢印を、同じベクトルとして見てしまって共に不謹慎だと誹る声の何と多いことか。

 奇麗な世界を奇麗な人たちが奇麗事だけを言って進んでいく内容のものはなるほど奇麗な心だけを純粋に育てるかもしれないけれど、そうやって偏ってしまった心はとても頑なで、余裕がなくってすべてを包括して愛し慈しむ柔軟性に欠けてしまうような気がしないでもない。悪もあるけど悪にも理由があって善も良いけど善ばかりでは行き届かないこともある。そんな社会の様子を知ることなしに育ってしまった人たちばかりが跋扈する世界の何と息苦しそうなことか。あるいはゲームというジャンルひとつとっても、健全で頑ななものばかりがはびこった先に待っている未来はどれほど味気ないものなのか。そんな壁に挑み答えを出して来たセガの名越稔洋さんが堂々の講演をするってんで駆けつけた「劇的3時間SHOW」だったんだけれど、意外に人の数が見えなくってちょっぴり寂しいおおいをする。

 なるほど糸井重里さんのように世間に知られた人の場合は開場がぎっしりと人で埋め尽くされていて、そんな人気に違わない有意義な話を聞かせてくれてはいたんだけれどもああいった生き方は糸井さんだからこそ成せる技。もっと手前の卵としてクリエーターを目指す人たちにとって、有意義さで言うなら名越さんの話の方がよっぽど役に立った。チームワークはどうやればうまくとれるのか、それは入り口と同時にゴール地点も決めてそこにシュートを打つんだって目標を決めたら何があってもリーダーが全責任を負う覚悟で進めていくしかないんだって話は、ゲーム作りに限らずあらゆるクリエイティブな作業において参考になる。大川功さんがゲームクリエーターを社長に据えて会社を分社化させた時に名越さんに言ったバランスが何事も大事で、それが崩れたらたちまち潰れてしまう、でもって組織が大きくなったらバランスを取る項目も飛躍的に増えていくけどそれを全部バランスとって動かしていくのが経営なんだという言葉は、才能に頼りがちで突っ走りがちなクリエイティブの世界に対してそればかりじゃないんだってことを諭している。

 ゲームがうまうなくたって、ゲーム会社に入るのに不利になるどころか、ゲームを知らない人の気持ちが分かるってことで逆にアドバンテージになるって話も、業界を目指す人のみならず、あらゆる分野に役に立つんじゃなかろーか。なるほど日焼けサロンで焼いた黒い顔をし、ゲームのキャラクターよろしくキャバクラ嬢を会見なんかでは脇に侍らせ、ファッショナブルなジャージ姿で闊歩する見かけのすさまじい人、ってビジュアルイメージが行き渡ってしまった名越さんけど、こと仕事に関してとてもロジカルに考え、実行しているんだってことを教えられたトークの内容を、聞けばなるほど社会ってものはこういうものなんだ、ならば自分もこうやって社会にアプローチしていけば良いんだって分かって来る。

 とにかく為になった内容なのに、人数があんまりいないのはこれだけやっぱりゲームクリエーターって存在が、世間に認知されるようになったとはいえ、メディア全般で活躍して来たコピーライターの人ほどには、知られていなかったりすることの現れなのかもしれないなあ。アニメの業界において最先端の仕事をしている田口浩司さんの講演も、やっぱりそれほどぎっしりって感じじゃなく、あちらこちらであれやこれや喋っている鈴木敏夫さんが一昨年にやった時なんか、満杯を超えていたのとは対称的過ぎるのと似た構図。勿体なといいうより他にない。

 有名だってことじゃない。今何をしているかってことで聞きに行こう。でもなあ、そうやってアクティブに情報を漁って講演なんかに出向き、パッシブに言葉を受け止めるようなマインドってのが薄れて来ているような気もするなあ。有名な人がいたというその場にいたことだけで満足してしまうという心性。出没したってだけで分かった気になっている僕自身も含めて、発せられた言葉を何かの形にして返すようなマインドとそしてアクションを、持ち行えるようになっていかないと未来はちょっぴり暗いかもなあ。頑張ろう。まずは名越さんも通っているらしいコナミスポーツで鍛錬だ。

 っていうかあれはやっぱり固い鎧の一種だったのか。だから攻撃されてダメージを受けて割れたのか。うーん。たとえ鋳造か何かで作ったにしてもあのサイズに合わせてあれだけのくぼみをつけなきゃいけない訳で、1人に1つの鋳型を用意するなんてことはちょっと大変。それに鋳物だったら重くてとてもつけていられないだろうからやっぱり薄く鉄板を叩き出して作っているに違いない。それだとしたらあのふくらみに遭わせてまんべんなく鉄板をふくらませるなんて相当な職人技。刀を叩くよりも高い技術を要求されるんじゃなかろうか。そんな道具をつけているセシリーはやっぱり良いところのお嬢様。今度はだからルークに頼んで叩かれても割れない強度の胸当てを作ってもらおう。サイズを測る時に鼻からの血しぶきを浴びる覚悟で。そんな「聖剣の刀鍛冶」は絵こそ独特だけれど丁寧に描かれよく動く。ちょっとした職人技。誰のテイストなんだろう。これからどんなの作るんだろう。気になるなあ。

 っていうか丸見えだろう。だったら分かるだろう。それでも分からないのか。分からないくらいに凹凸がないのか上賀茂潤の体には。んでも浴衣姿で疾走している時は抱きかかえた胸元にしっかりと谷間ができてたし。水着になって上半身を出したら明らかに男子じゃないって分かるとカヤにも言われたし。ならば脱衣場ですっぽんぽんになったらそれが男子じゃないって八坂一にだって分かって当然なのに分からないってことはつまり八坂一は女体がどんなかをきっと知らないんだな。だから前のシリーズで潤の体の中に入っても生えているかどうかってことだけが気になって、生えてないから女の子なんだと驚くことはしなかったんだな。うん。そんな訳あるかい。ってことでもはや見ても見えない志村そこ的シチュエーションを確たるものとしながら「夏のあらし 春夏冬中」は加奈子の爆走が続くのであった。そういう話じゃないんだけどなあ。シリアスは後半のお楽しみってことなのかなあ。


【10月11日】 もしも「機動戦士ガンダム」の世界にベストメンバー規定がなかったら敵に赤い奴が見えない戦いはアムロ・レイもガンダムも引っ込んで、カイ・シデンが操るガンキャノンなりハヤトとリュウのガンタンクが出ていって、あれでも新型のモビルスーツの一種ならではのパワーを発揮し、敵をけ散らして終わりって回が何度かあって不思議じゃないんだけれどもそこは一応はヒーローメカとヒーロなガンダムとアムロ。登場しないと視聴率が取れずスポンサー的にも拙いからってことで毎回出ていっては圧倒的過ぎる戦力で敵をけ散らしアムロを増長させてブライト艦長を苛立たせる。

 ブライトにしてみれば適材適所を勘案し、その時に起用するメンバーがベストなんだってことを言いたいんだろうけれども偉い人にはそれが分からないのかあるいは偉い人だからこそ分かってアムロを起用させ、増長させ鼻っ柱をへし折らせ、挫折からはい上がらせて成長させるって遠大な目論みもあったりしたのかもしれない。ただ少なくとも独立愚連隊だからといってアムロを主要な戦線へと必要に応じて借りだし、局地戦は残りのメンバーでとりあえず戦って大事な戦闘になったら戻すだなんて真似は偉い人もしなかったし、ブライト艦長だって認めていなかった。その意味でスポンサーサイドの要求を背景においてのベストメンバー規定がしっかり、守られていたって言えるんじゃなかろーか。

 翻って天皇杯。どこかの誰かがベストメンバー規定を導入するぞと声高に叫んで降格争いに優勝戦線を戦うチームの指揮官たちに「やれやれ」と言わせているのは周知のことなんだけれどもそんな天皇杯で当のどこかの誰かが古巣にしていたチームがJ2でもなければJFLですらない地域リーグの優勝争いから外れていたりするチームに2点も奪われ破れるというジャイアントキリングが発生。選手たちはサポーターに罵声を浴びせかけられていて、なるほどプロとして飯を食ってる人たちでありアジアチャンピオンにすら輝いたこともある日本を代表するチームが、プロ契約もいるとはいえ3カテゴリーも下のチームに敗れるってのは余りあってはよろしくないことだけれど、一方でそんな試合の裏側で代表の試合が汲まれていて、主要な選手を駆り出されてベストメンバーが組めない状況にあったって事実もあったりする。

 あそこに田中マルクス闘莉王選手がいて阿部勇気選手がいたら迫力ではね返し前線へと正確なフィードを行い相手を攪乱して押し込み葬り去っていただろう。いわば主力で要の2人を欠いての、どこかの誰かなら非ベストメンバーだと叫んで悪口雑言を投げかけ自業自得だと誹り怒って罰金すら徴収しそうな布陣で臨んで敗れた理由を、当のどこかの誰かが作っていたりするんだからもう何がなにやら。一方でベストメンバー厳守を口にして、もう一方でベストメンバーが組めない日程を繰り出すこの矛盾を問うのどこかの誰かが果たして理解しているのか、理解したくてもできないのか、分からないけどともかく問題の根は深そう。でもやっぱりベストではないとはいえ超ベターな布陣で敗れてしまうってのもなあ。とか言ってたりするとまるで引っ張られていないため、余裕でベストな布陣を組めるジェフユナイテッド市原・千葉まで敗れてしまったりして。フクアリ行きたいなあ。行けないんだよなあ。

 そんな弟分が柏の葉で試合していたみたいで、こっちもいろいろあって行けなかったけれども延長戦まで闘って0対0のままPK戦に入ってこちらでは4と2で敗れ去った模様。相手も誰も引っ張られていないベストメンバーだった訳で、そこに拮抗できたんだからなかなか強いんじゃなかろーか、ジェフ・リザーブス。まあ中にはちゃんとトップで契約した選手も交じっていたりするから、JFLとはいえなかなかの底力を持っていたりするんだろうけどそれでもカテゴリーで2つ違うトップチームに拮抗できてしまうところに、底上げが進むサッカー界を見つつ一方で戦力が分散してしまって世界に拮抗できる超ビッグなクラブが生まれにくい状況なんかも見えてしまってもやもや。まあ過渡期と思いそうした状況が30年、続いた果てに全体の底上げが行われてトップもさらに飛躍できるんだと考えた方が健全だよなあ。プロ発足からたかが15年、なんだから。

 サッカーに行かず倉庫へといろいろと運び込む作業、といっても部屋からではなく職場においてあった書籍なんかをレイアウト変更のついでに引き上げたってだけで住環境の改善にはまるでつながっていないのが悩ましい。倉庫へと向かう途中のコンビニに「まく☆すた」なコラボレーション1番くじが復活していたんで2つばかり引いたらミニチュアなフィギュアと痛バルキリーが当選。デカいフィギュアは当たらなかったけれどもまだ余っていたみたいんだんで頑張って引ければ引き抜こう。何があったっけ、ランカな誰かとアルトなこなた、だったっけ。みゆきさんのシェリルは確保住み。あとの1人は誰やってたっけ。ヴァジュラ? んな訳ないか。

 「とある科学の超電磁砲」は前週のアクションが一遍して内輪の百合話。ちょっとくどいしこういうのってもっと話を進めた合間にやるから面白いんじゃないのかなあ、せっかく動きの良さで引き付けられたのに何か気持ちが減退。話としちゃあ面白いんだけど。白井黒子の声ってあれであってるの。下手に出つつもどこか老成したところがあってお姉さまにべろべろに媚びてないところは好ましいけど。「クロスゲーム」は三島が出てきてこんにちわ。次は対戦目前で引っ張るかと思ったらちゃんと投げてたあたりに1回の巧守が1年続くような野球漫画とは違うテンポの良さを感じて好感。んで原作はどこまで進んでいるんだ。そろそろ買うか。「ONEPIECE」は逆に進まないアニメの代表格。ようやくやっとインペルダウンの前まで来たか。漫画だと一瞬の他のクルーの動勢を3週かけて順になったりするからなあ。ああでもゾロとベローナの邂逅は良かったかも。あれで寂しがりやのベローナの言いたいけれども言えないいじらしさが見えて良かったよ。そんなにクマシーが好きだったのか。同じ熊でもバーソロミュー・くまには大変なことをされたというのに。とか言ってたらおお! 原作ではバーソロミュー・くまが大変なことに!


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