縮刷版2008年月上旬号


【1月10日】 やっぱダメかもしれんね。あの様を10個は並べてその偉業を讃え仰ぎたい漫画の女神様にして菩薩様、萩尾望都さんのインタビューを記事にして掲載したんだけれども周囲で仕事をしている人たちの間にまるで反応がなし。というか萩尾望都さんがどんな人でどれだけ慕われ敬われているかをそもそも知らなかったりしてその関心の狭さにそれでトレンドを追うべき仕事の人たちなのかと愕然とする。それとも最先端を行く人ではないけど少なくとも名前くらいは知ってて当然だと思っていたSFマニア的な自分の見識の狭さを問うべきか。でも経済系の新聞じゃなくって若者向けに売ろうとしているタブロイドにも、ファンが読めばリンクして評判を広めてくれるネットにも転載されていないところを見ると、担当している連中の関心の幅がやっぱり狭すぎるってことなんだろー。そりゃあ衰える訳だよなあ。まあネット版とか作ってるのって素人のアルバイトなんで、転載にあたって鷲が鷺になる恥ずかしい間違いも平気でしてしまう。校閲? そんなものはございません。爺と素人が作って爺とマニアが読んで。そしてそのまま平均年齢が上がっていく、ってSFといっしょじゃん。

 うっかりして「ドラゴノーツ」の録画を失敗してしまったけれどもずっと見ていなかったりしてあんまり残念な気持ちが起こらないのはアニメ好きとして間違っているのか、それともアニメを思う者としては仕方のないことなのか。むしろ「トゥルーティアーズ」の録画を失敗していた方が最初は気持ち的にはどうでも良いかって思ったけれども10分だけ録画されてたラストの部分を見て、朝ご飯のシーンのあまりのリアルさとそれからキャラクターデザインの今風なんだけれども美少女ゲーム的とも美少女アニメ的ともちょっぴり違った、癖はないのに引っかかる雰囲気にも惹かれてこれはちょっと見つけてみたいかもって気になった。決定打はエンディングの集団チキンラン、じゃない鶏を追いかけるちびキャラたちの格好の可愛らしさでこのエンディングアニメを見られるだけでも録画する価値はあるんじゃなかろーか。前を向いたり上を向いたりして表情も豊かだし。あの鶏は喰われるために追われているのかどうなのか。

 こっちはちゃんと撮れてた実写版「ネギま!」は実は1回くらいしか見返してないんで今回もやっぱり見なさそう。しかし2クールもやって大丈夫なのか、ってことは実写版「キューティーハニー」にも言えるか。でも「ハニー」はお色気とアクションがある分「ネギま!」よりは一般受けもしそーだけれど。「コスプレ幽霊 紅蓮女」とどっちが愉快さで上かなあ。んでもってこれも何故か録画には成功してしまう「超時空要塞マクロス」の再放送は3倍速くらいの早回しでどんなエピソードだったかを思い出しながら鑑賞、小さくなって潜り込んだゼントラーディーの兄ちゃん達が間抜けな格好をして動き回る回か、あと女性軍団の司令官とか映ってたたずまいの凛々しさにちょっぴり惚れ直す。もしも実在したらむしゃぶりつきたい可愛さだけれどむしゃぶりついても谷間に埋もれて窒息確実、なんだよなあ彼女我の差は。それもまた良し。かもね。

 とか言ってたら出ちゃったよビザが水野晃樹選手に。アレックス選手だって言ってユニフォーム姿まで確か披露したのにビザが下りなくなって逆戻り。そのまま日本でそれなりな選手としてそれなりな活躍を見せつつそれなりなオーストリアへと行ってそれなりな仕事ぶりで帰国の憂き目に合ったとゆーのに日本代表ではまだ4試合しか出場していないけれども五輪代表では大車輪、でもっておそらくは世界に名の轟くイビチャ・オシムの秘蔵っ子だって噂も伝え及んだか英国労働省が厳しいはずのハードルをぐいんと下げて水野コーキを受け入れた。まあ若さもあってこれからの長い活躍が期待されたんだろー。本田圭祐といいアテネ五輪世代がフル代表からはじかれ不遇をかこい続け居ているうちに北京五輪世代が続々と海外雄飛。とうてい埋められない経験とゆーギャップを作ってしまった責任はやっぱり重いよなあ、ジーコジャパンの時代の。

 これでコーキ、2年くらいセルティックでやってそしてイングランドのプレミアリーグへと移籍すると楽しいなあ、レアル・マドリーへの移籍なんかを匂わせているクリスチアーノ・ロナウドの後釜としてマンチェスター・ユナイテッドの右サイドを埋める、とか。ああ見てみたいぞ見られるかな。順調にステップアップしているよーに見えるけれども、これがもしもオシム監督の下を経験していなかったら、オランダだかで行われたワールドユースでの活躍直後に重用されて天狗になって、そして潰れてたかもしれない。オシムは確か水本裕貴選手も含めてオランダ帰りの水野選手をあんまりスタメンでは起用しないでサブに置いたんだっけ。そこで腐らず頑張りレギュラーを張るまでになったからこそ伸びたスピードにテクニック。さらに中村俊輔選手って抜群のテクニシャンを間近に見ながら更なる成長を遂げればクリロナの後釜だってまんざら空想じゃなくなるかも。千葉には残念だけれど日本には楽しみ。だから頑張れ骨を埋める覚悟でスコットランドに、イングランドに大英帝国に。

 表紙が「コードギアス 反逆のルルーシュ」になっている「アニメディア」を見ていよいよ放送も間近に迫っているなあ、1日1ルルーシュもラストスパートに入れるなあと感慨を抱きつつアニメイトに立ち寄りポスターを回して1枚がセシルさんで2枚がカレンとゆー女性ばかりのゲットに多少は厄も落ちたかと喜ぶ。っても5枚中で男だけってのはルルーシュの1枚だから出て当然なんだけれど。これでルルーシュ3枚だったら泣くねさめざめと。んでもって上野へと回って堺三保さんの2年目に向けた壮行会に出る前に丸井の地下にあるGAPへと寄ったらバーゲン価格が更にさがってトレンチコートが8900円になっていたんで黒いのを1枚買って着替えてそして堺さんたちがたむろする店へと入って1時間くらい自己紹介。そこで萩尾望都さんの記事を見せたら誰もが驚きと喜びを示してくれた、そうだよこれが普通の反応だ、ってSF界隈ではの話なんだけど、でもちょっと嬉しいかも。

 目玉なグループはどこも大変そうな雰囲気を味わいつつ堺さんが撮影したホラー映画を見て1回目は1人が背後霊なら2回目は引きずり込まれた1人も加えた2人が背後霊になって3人4人と増えて最後は100人の背後霊が図書館で勉強する女性を後ろから見つめているのにそれに女性は気づかず外野から子供の声で「SOKO! SHIMURA,SOKO!」って声がかかったら更に愉快な映画になったかもしれないと思ったけれどもそれじゃあ単位はもらえないだろうなあ。日本人にしか分かりませんってば。もう1本は空手する人たちに映画撮影の楽屋落ちみたいな2本のオムニバス短編だけれど英語での説明が分からないからどういう位置取りでもって観客に愉快さを感じさせているのかが分からなかったのが残念。日本風の空手に中国風の音楽をかぶせるところはそれがカリフォルニア的に受けると分かっての所業か。こだわりよりも伝わり易さ。エンターテインメントの道は厳しいのぢゃ。


【1月9日】 問題はだからあのふかふかとした尻尾の付け根の、毛の生え具合がどんな感じになっているかできっちり途切れているのかそれとも、だんだんと薄くなっているのかを触って確かめたいって気が後ろ姿にムラムラと浮かんできたけど、猫だって尻尾の付け根を触れば暴れ出す。ましては相手は賢狼ホロだから下手に触ろうものならでっかい口で頭を囓られてしまうだろうからここは遠目に眺めるだけに留め置く。耳はいったいどうなっているんだろう顔の横についているのかそれとも頭の天辺のものだけか。猫耳娘も含めてこれが最大の謎だったりするんだけれど実物で確かめるのは不可能だからなあ。

 そんな感じで始まったアニメーション版「狼と香辛料」はちょっぴり歳を食っておっさんくさくなった「コードギアス 反逆のルルーシュ」のルルーシュ・ランペルージが、こっちは逆に見かけは幼くなって胸のサイズも縮んだけれども、中身は老獪さを増して落ち着きを見せるよーになったカレン・シュタットフェルトを相手に翻弄されて焦らされ、振り回される感じが目をつぶると浮かんできてちょっと愉快。だけれども目を開ければそこに広がるのは麦畑。自分をいっぱしの商人だと自負しているロレンスが、こっちはひとかどの商売人になるんだと意気込む女の子から持ちかけられて逡巡しつつ、一方にホロを抱えてさてはていったいどんな事件に巻き込まれるのか、って地味だけれども結構いろいろ考えられそうな物語が進んでいきそうで1週たりとも見逃せない。

 あんまり動いてなさそうなところを絵の密度と風景の綺麗さでどうにか見せてくれているから大丈夫。あとキャラクターは深みはないけど輪郭線はちゃんとしているんでホロとかのなめらかな曲線を見てその柔らかさをしっかり脳内に想定できる。だからこそ触ってみたいよなあ表面に。やっぱりうっすらと毛が生えているのかそれとも肌はすべすべなのに尻尾だけがふさふさなのか。続いてこれはずいぶんと昔に作られた「フルメタルパニック」も鑑賞、よく動いているじゃん。「かってに桃天使」でその力を満天下に示した京都アニメーションの名を、広く世間にも印象づけた「フルメタルパニック ふもっふ」が後の京アニ万歳な中でやたらと褒め称えられていたりするけれど、お話のシリアスさも絵の確かさも無印「フルメタルパニック」はなかなかなもの。未だ出ぬテッサちゃんのいたいけさなんかも楽しみに出来そうでこれはちゃんと録画して、見続けようと決心したけど見て果たして大丈夫?

 草刈り場といったら選手は草かよって話になるから潮干狩り場といえば今度はアサリかシジミかってことになるんだけれども、ともかくも狩られまくっている感じが年も明けてますます強まっているジェフユナイテッド市原・千葉。同じ代理人がいる佐藤勇人選手と山岸智選手がそれぞれに京都サンガや川崎フロンターレに移籍確実って報じられてからしばらく動きはないんだけれど水面下で着々と動いていそーで、そこに加えて水本裕貴選手がガンバ大阪から誘われたり、羽生直剛選手がFC東京から声をかけられたりって噂も浮かんで主力メンバーのことごとくが抜けそうな恐怖に今年の成績が恐ろしくなって来ている。

 そこに起こった主力の中の主力であってチーム最多得点者の水野晃樹選手がこっちは噂を超えて実体を持った話として、スコットランドのセルティックへの移籍が表面化。すでにチーム間の合意は形成されているってことだから、あとはビザの問題さえクリアされれば2月にはグリーンと白の縞模様で寒いピッチを切り裂くコーキの姿をテレビ越しに見られるんだろー。

 残念といえば残念だけれど行き先としては悪くない。欧州でもトップリーグではなくって中堅あたりからまずは実績を積み上げていってそして認められればさらに大きなところへとコマーシャル抜きで引っ張られて移籍する。それが道筋としては妥当で中田英寿さんもリーグ的には上位だったけれどもチーム的には下位にいたペルージャで認められてローマって世界に冠たるクラブへと移籍した。そこから後がどうにも今ひとつっていうか代理人の思惑か何かに左右されたかチャンピオンズリーグに出るチャンスを蹴って移籍して移籍しまくった挙げ句に監督とそりが会わないまま使われず流されて英国へ行ってジ・エンド。以後はスペインでもイングランドでも成功できた選手はおらずかろうじて、ドイツの高原直泰選手が頑張ったけれども旅は終わって今は上がり下がって流れそして戻りつつある稲本潤一選手だけがトップリーグでレギュラークラスとして頑張っている。

 でも目を転じればスコットランドより上のスペイン2部には福田健二選手がいるしフランスにも松井選手がいてそしてちょい下がるけれどもスイスとオーストリアのリーグのそれぞれトップチームに中田浩二選手と宮本常靖選手がいて頑張っている。森本選手も伊藤翔選手もそれぞれ育成期だから今後の活躍に期待。大黒選手は……もう戻ってきた方が良いよなあ。でもさらに下のリーグに移籍だなんて話もあるし。事務所の方針? いやこうなるとむしろ本人の意地かもしれないなあ。

 そんな様を見るとまずは出られそうなところでトップに近いといった線を見事についてるスコットランドのセルティックなら水野選手くらいの若さの選手には良い感じ。欲を言うなら水野選手とは限らないけど家長選手か本田圭祐選手か水本裕貴選手あたりがフル代表に定着していてそしでワールドカップ出場の実績を引っさげ渡欧していく姿を2年早く見たかったけど、阿部勇樹選手たちの世代ですらお呼びでなかった旧代表の時代があったんで仕方がない。ともあれ果たしてどうなるかも含めて2月以降の海外と、そして3月以降の蘇我姉ヶ崎の浮いた沈んだに注目。監督はクゼで良いのかなあ。

 妹が怪しい。何か怪しいけれども父親の死に目にあって驚いているから多分違うんだろうかそれとも、ってことで三上延さんの「モーフィアスの教室」(電撃文庫)を一気読み。赤い目に襲われるとかどうとかってうなされながら父親が病院で死んで1年、息子は妹と2人でどうにか金には困らず生きて学校に通っていたけどそこに事件が起こる。眠っている生徒がそのまま起きなくなってしまい少年は、隣の家に住んでて幼いころから知り合いの少女とともに事件の秘密を探り始める。どうやら夢を喰う存在がいるみたいでそいつに対抗するには力が必要、ってところで少年に血筋が明らかになって更には隣家の幼なじみの少女までもがっていった感じに膨らみ転がる物語は、まだまだ続きそうだけれども真の敵は未だに見えず。そこの辺りを描いていってくれるんだろーと期待。それにしても最初から出ている割にあんまり絡んでこない妹がやっぱり怪しいもんだ。

 新風舎文庫救出作戦としてOAZOにある丸善で日日日さんが短編を寄せている文庫とあと、あのヴィレッジ・ヴァンガードの成り立ちについて書かれた名著「ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を」の文庫版を回収する。ヴィレッジ・ヴァンガードの本は他に永江朗さんの「菊地君の本屋」ってのもあるけれども作った当人が書いた方がやっぱりリアルに迫ってるし哲学だってしっかる伝わる。自分で感想を書いてるってことは掘ればどっかにハードカバーもあるんだろうけど、それが出た当時は30店だったほどが今じゃあ100店は超えてジャスダックだかに上場までしているんだからちょっと驚き。そんな話を書いた後書きがある分、文庫版もまあ手にとっておいて意味があるのかもしれないし、書店に関心のある人にとっては一種のバイブルにだってなり得るんで見つけたら確保のこと。きっとヴィレッジ・ヴァンガードのことだからここぞと買い占めドカンと積み上げるんだろうけれど。


【1月8日】 どうしろと。いや別にどうするつもりもないんだけれども、どうにかなった方が気分的に落ち着けるって気もしないでもないなあと、新番組の「破天荒遊戯」を朝に録画してあったハードディスクから再生してため息を付いたら白かった。部屋寒過ぎ。たぶん原作を読んでいる人にはどんな話でどんなキャラクターが出ているかくらい分かっているんだろうけれど、これが初見という人にはのっけから女の子を旅に出したら出先で「コードギアス 反逆のルルーシュ」のスザクの癖してまるでクールになってる声の男が拳銃を持ってチンピラを吊り上げていたりして、そいつをどうするかと思ったら仲間に加えてレッツゴー。んでもって訪ねた屋敷で幽霊退治を請け負って、向かうとそこには幽霊が居て聞くと転んで死んじゃったとか。呆然。

 でもっていつの間にやらもう1人増えてて旧ドリカムなユニットが出来上がっててそいつらで万事快調すべて解決、そして旅は続くといった展開のいったいどこに大げさで重量感があって派手派手しい今川泰宏さんのテイストが入っているのかと目を凝らして見たけれどもどこにも銀鈴も味王も出ていない。うーん分からない。それともこれからもっといっぱいに外連味が出て来るのかな。小林沙苗さんの喋りもクールな美女が得意な人に幼くってキャピキャピな女の子をやらせるとどことなく無理が出るって証明みたいな感じだったけれどもまあ、実は大人しくって引っ込み思案なのに無理して明るく振る舞っているのかもって勝手に思い込めばそう見えないこともないから良いのか。しかしやっぱりどうすれば良いのかなあ。見続けるしかないのかなあ。誰かがハイパー化するまで。

 それだったらむしろ直後の「君が主で執事が俺で」の方が存分にイマガワってた感じがするなあ、突拍子もない展開に重なってとてつもないキャラクターたちがとんでもない言動を見せるあたり。そこで大佐が「見よ、きみあるは赤く萌えている」って感じに見栄のひとつでも切ってみせれば立派に今川アニメになったものを。それとも実はお互いに監督名をフェイクで出してて実は裏で取り替えっこしていたりするのかな、そうだとしたらこっちも見続けないといけないなあ、親の暴力が嫌で出てきたって割にはこんなに成長するまでいったい何やってたんだ特に姉貴の方はって疑問とか心の奥底にしまい込んで、久遠寺森羅の演技が瑛花なくせして姫に聞こえてしまってこれなら逆に「スカイガールズ」は瑛花も音羽も1人で出来たんじゃないかって空想も放りだして。

 そんな新番組の第1話とも思えないくらいにスピーディーでアメージングな作品ばかりが続くと「バンブーブレード」がいかにどれくらい真っ当にして真面目な青春スポーツアニメかってことが如実に感じられて見る目がさらにいっそう優しくなる。いやあ東ちゃん、可愛いのか無様なのか分からないけどミヤミヤが相手でかなう一般人なんっているはずもないから誘い込まれて突きつけられ、諭され脅され引きずり回された挙げ句に自分は剣道をやらなくちゃいけないんだって思い込まされたって仕方がない。それだけのことができるミヤミヤなのに小田島礼美が相手だと自分を見失ってしまうんだから不思議というか、いったいどれだけの恐怖を礼美はミヤミヤに与えたんだ。その謎もいずれ明らかになるんだろうけどでもアニメの方もそろそろ原作に追いついてきてしまった雰囲気だしなあ。残る3カ月をどう乗り切ってどこまで描くのか。追い続けるぞ。DVD買うかはまだ未定。

 DVDと言えば2007年を代表すると言っているのは僕くらい? だけれどもそう思っている人は探せばきっと世界に5人はいるだろー映画「キサラギ」のDVDが早売りされるってんで秋葉原のお店をのぞいたらなるほど並び始めてはいたけれどもスタンダードエディションばかりで狙いのスペシャルエディションは店内には見あたらずカウンターの奥の棚にならんだまま。これは予約でいっぱいかもと即座に店を出て近所の別の見せに入るとそこでは今まさに陳列されたスペシャルエディションがたった4セットだけあったんで、そのうちの1つを手に取りカウンターへとゴー。在庫を見に行ったけれどもそのままでの販売になったってことは予約分を除いてはいったのは4本のみってことになる訳で、いったいどうしてそんなに少なかったのか、やっぱりみんな小栗旬がミキちゃんに声援を贈りながら踊るシーンをフルバージョンで見たかったのかと昨今の小栗ブームの凄さを実感……しちゃあいかんよなそんなことで。でも案外に。あるいは踊るいちご娘のファンが世界に5万人はいたとか。いかねない。それだけの演技を見せてくれたもんいちご娘。日本アカデミー賞とブルーリボン賞を受賞の暁には髪にあのカチューシャを差して御登壇を。是非に。

 何かの話の番外編って感じでもないけど群像劇って割には2話しかないのが不思議な渡辺まさきさんの「ゆうなぎ」(HJ文庫)だけれどもその辺りを気にしなければ、どこかレトロな明治大正あたりの町並みに錬金術とか魔術とかってのを混ぜ合わせた世界観が世知辛い現代とは違った安らぎとそして便利な現代とはやっぱり違った苛烈さを感じさせてくれるかも。1本目の「夕化粧」ってのは登場人物で妖精の取り替えっ子だと思われてしまう病気か何かで成長しなくなってしまった女性がとある事件をきっかけに、居酒屋に世話になることになってそこで女将が置かれている境遇を知り、その思いを知っていろいろと協力してあげる。

 そもそもが成長しない病気って設定が必要なのか分からないけど続く「ほうこぐさ」って短編で母親と2人で田舎に暮らして田畑の作業を手伝い日々の糧を得ている少年が出会う街から来た少女が人間とはちょっと違った自動人形で、そんな少女を扱う錬金術師ってのも存在している世界ってものを成り立たせるには他にもいろいろと不思議をちりばめておく必要があったんだろう。こっちはこっちで自動人形である必要が果たしてあるのか別にちょっぴり融通の利かない真面目な少女が主人に言いつけに従い仕事をしていてそして少年と出会い仕事とは違った交流を深めてそこに主人が現れ少年に起こった危機を先進的な力でクリアする、って展開でも納得は出来ただろうけれどもまあ、それだと時代設定が難しくなるからやっぱり江戸明治大正な雰囲気に科学魔術錬金術の類が絡む世界観で正しいんだと見るべきか。


【1月7日】 選考委員が言葉で戦い決めるよりも候補者たちが拳で語り合った方がより有意義にどこからの異論もなく決まるんじゃないかと思った第138回直木賞の候補作。何というか漂う空気が実に漢くさくいというか、当人がどうだかは知らないけれどもハードにサスペンスでノワールなアクションの感じがあってここのところ続いてた女性作家の台頭っていったイメージを、覆そうってタクラミでもあるんじゃないかって思えてくる。候補作はこんな感じ。井上荒野さん「ベーコン」(集英社)、黒川博行さん「悪果」(角川書店、古処誠二さん「敵影」(新潮社)、桜庭一樹さん「私の男」(文藝春秋)、佐々木譲さん「警官の血」(新潮社)にそして馳星周さん「約束の地で」(集英社)。

 いやなるほど井上荒野さんは聞くと井上光晴さんの娘さんだし桜庭一樹さんも妙齢の女性ではあるけれども、他に並んだ作品が「悪」に「敵」に「警官」とタイトルについたもので字面だけならコワモテ系。でそして言わずと知れた馳星周さんとあってはやっぱり井上さん、桜庭さんには申し訳ないけど同じリングに上がって拳と爪先と肘と踵で語り合うって方がやっぱり相応しい。作品さながらにハードな男を気取って革ジャンやら白いスーツでリングにあがってウォームアップ。そして始まるバトルロイヤルは……極真直伝のフルコンタクトを披露して男共を血の海に沈めて桜庭さんが勝利、と。これはこれでうん、実に収まりが良いなあ。

 膝頭、ではないのだ。「みなみけ」から制作会社を変えて始まったアニメーションの「みなみけおかわり」。場面は温泉。のっけからてこ入れか。そして入浴の南家3姉妹。檜風呂の縁(へり))沿って背筋を伸ばす長女の春香。高校生にしてはなかなかな曲面が肩より体の前面へと流れそして湛えられた湯面へと続き、そこで深く切れ込んだ入江と2つの量感ある岬を形成する。一転。背中をずるりと顔の下が湯面へとつくまで下げ、腰を伸ばして姿勢を楽に。畢竟、肩から曲面への地続き部分が水没し、そして顔の前には湯面が入り込んでその先に2つの丸い島がぷかりと浮かぶ。

 その瞬間の場面だけを見ればあるいは膝頭とも思えなくもない2つの島。けれども前より続き流れてきたシーンにおける春香の一連の動作をしっかりを観察していれば、それが膝頭ではなくそれなのだという理解も可能となる。と思うのだがしかし果たしてそうなのかという確信はない。そもそもああいった感じに浮かぶものなのか? ぽっかりと? 先端はどこに? そこは重くて沈んでしまうのか? 分からない。分かるはずもない。なおかつ現実世界で確かめる術はない。園宮可憐なみの計算力があればあるいは、密度から浮力を計算して起こる状況を絵にも描けるのだけれど。悩ましい。

 とまあそんな感じでスタートした「みなみけおかわり」だったけれども、絵こそとんでもなく違っていても声が一緒で原作もあるから性格も前のを引きずってるんで、ちょっぴりリアルで立体感あるキャラとか動きのくねくねした感じとかを気にしなければ、まんま無印の「みなみけ」を楽しんでた感覚で見続けられそう。慣れれば絵の違和感だってすぐ抜けるし。というかエピソードとかは完璧に無印から地続きで、大晦日で終わった前回から今回は元旦に移行。例のジュースは片づけられて被害者も帰宅してそしておじさんが闖入して来てまこちゃんと冬馬が呼びつけられたって感じ。そのまこちゃんや冬馬の設定上の説明もなし。おじさんがしつこく聞く藤岡と夏奈の関係も説明無用ってことみたい。新設なのか不親切なのか。とりあえず今回もウチダは悲惨だなあ。

 「機動戦士ガンダム00」の後番組として始まるかもしれない「コードギアス 反逆のルルーシュ」の続編はキャラクター設定がCLAMPさんから高河ゆんさに代わっててメカも大河原邦男さんになっていたらと想像すると夜も眠れなくなっちゃうかも。それはさておき「私の優しくない先輩」に続いて「ちーちゃんは悠久の向こう」までもが鬼籍に入ってデビュー作の2冊ともが世界より消滅の憂き目に合うとは日日日さん、よくよく不運というか、もとよりそーいった星の元に生まれて世に出てきた人ってことになるみたい。

 もっとも幸いとゆーか「アンダカの怪造学」に「狂乱家族日記」にあとは「蟲と眼球とティディベア」がいずれも横並びのデビュー作って位置づけになっていたりする関係もあって確立では5分の3、6割もの生存率を誇るって点で100%か0%かどちらかしかない普通一般の作家とは、ここでも違いを見せつけてくれた新風舎の民事再生法申請。すぐさま会社が消える訳じゃなくって営業を存続させつつリストラなんかもやって立て直して行きましょうっていう話だから真に受ければ「ちーちゃん」だってその後の「うそつき」「ピーターパンエンドロール」も消えないことになるんだけれども別方面じゃあ文庫は絶版って話も飛んでてちょっと予断を許さない。

 だいたいが「ちーちゃんは悠久の向こう」て映画化公開目前じゃん、まさに売り時な今にこーゆー事態とは映画会社もよくよく運がないっていうか出版者もちょい勿体ないっていうか。まあ作家的にはそれなりに活躍している人なんで3冊ともどっかで救出って可能性は高そうだけれどそれ意外の面々がどーなるかって辺りが目下の考え所。とくに松山剛さんの「怪獣工場ピギャース!」は「初音ミク」のKEIさんがイラストを手がけているってこともあるけど中身の方もキリキリとしていて愉快に見えてとってもシビアでシリアスなストーリー。個人的には「虐殺器官」よりもシリアスさで上を行ってる上に「虐殺器官」では悲劇しか描けなかったものをこちらでは前に開いた未来って奴を見せてくれて心を勇気づけてくれた。

 だから年間のベストにも推したいと思っていたのにこれで読めなくなるのは至極残念。同時にデビュー作でやっぱり主張を持った「閻魔の弁護人」も消えてしまう可能性があるんで未だ親切な書店に置いてあるのを見かけた方は、拾っておいてみてはいかが。ちなみにやっぱりKEIさんがイラストを手がけている相良直樹さんの「魔王の憂鬱」とその続編と、あと「怪獣工場ピギャース!」「閻魔の弁護人」は7日夕方の「丸善丸の内本店」3階の文庫コーナーに残っていたんで早いもの勝ち。新風舎文庫には他に昭和の事件を描いたルポルタージュ物も再刊されててオウム事件とか帝銀事件とか下山事件三鷹事件に逆噴射な航空機事故なんかのルポもあってそーゆー方面を研究している若い人には大いに参考になった叢書だけに撤収は痛いかも。連合赤軍を扱った「赤い雪」のよーに関係者からの批判を受けたものの凄惨さの描写で読む人を仰天させる本も入っていたりするしなあ。タカノ綾さんが表紙を担当した櫻井まゆさんの遺稿集「トランストランス・フォーエバー」もここん家だ。探して見つけたら要確保。


【1月6日】 シロイシロイイッパイシロイ。そりゃあ総量で西島克彦さんの「Aika」にゃかなうはずもないけれども、ひたすらに見せまくることを前提にリミッターを開放させて作られたOVA作品を、テレビシリーズと比べるのがそもそもの間違いでだったら同じ西島さんの「ナジカ電撃作戦」と比べたらどうかってーと、やっぱり「ナジカ」の方が多そうだけれどキャラクターの肉感って奴だと線に漫画っぽさの残る山内則康さんではどこか健康さが残ってあんまり香りとかは漂って来ないから、やっぱり見ていてうーんこれはとピクつくって点では「ロザリオとバンパイア」の方が上って気がしないでもなさそう。互角さでは「一騎当千DD」あたり? 無印「一騎当千」は飛び抜けてたし。もうすぐDVDボックスの発売だなあ。買わなきゃ。

 っていうか自転車に乗って走っているスカート姿の女の子が通り過ぎる際にふわりとまくれ上がったりするのはご愛敬としても、背中を向けて直立しているスカート姿の女の子から極端なローアングルでもないのに見えてしまうっていうのはどういう了見だ。これが現実世界だったら街は大騒ぎ。風でも吹こうものなら阿鼻叫喚じゃなくって歓喜狂乱の声がわき上がるに違いない。んでもって首からロザリオを外された赤夜萌香(あかしや・もか)の真正面からの蹴り上げシーン。そこを蹴られる対象でもって功名に隠す技とかが東京キー局のお達しもあってちまたに広まっている中で、視聴者が欲し描き手も望むままにしっかり描かれていたりするから素晴らしいというか凄まじいというか、ただただよくやったと讃えたい。このあけっぴろげさが「コードギアス 反逆のルルーシュ」にもあればなあ、って見えて嬉しいキャラもそんなにいないけど。ミレイ会長ぐらいか。どういう趣味だ。

 問題はあれだ、中学浪人になりそうだったところを、親がどっかで拾って来た入学案内を頼りに放り込まれた少年が行くとそこが妖怪だけの学校で、妖怪の女の子たちから慕われ妖怪の男たちからは狙われる中で起こるドタバタを描いたストーリーが今時の感性に照らし合わせて果たして面白いかどうかって所でこれが「怪物王女」あたりだと、慕われるというより徹底して下僕と扱われながらもどこかに通う情愛が見えて心トキメいたりするんだけれども「ロザリオとバンパイア」では古典的なハーレム模様しか目下の所は伺えない。そのあたりいろいろ波瀾万丈な事態も起こりそうなんで注意はするけどでもまあ目先はやっぱりシロイシロイ世界をどれだけ見せてくれるか、って辺りが鍵になるのかなあ。黒とか縞とか水玉とか苺はいないのかなあ。

 講評を書いて段ボールに原稿を詰め込みカートで運んでクロネコヤマトから発想してとりあえず完了。その足でさても高校サッカーの準決勝に行こうかと迷ったものの明日までに仕上げなきゃいけない原稿もあったんで籠もることにして、総武線から地下鉄東西線で日本橋まで出ていつもの鉄鋼ビルに入っている「TULLYS」に入ろうかと思ったら地下鉄日本橋駅からつながるビルの地下が出来ててのぞくとそこに新しく出来た上島珈琲が。おそらくはさくら銀行か何かがあった跡地でその後に確か昔の全信連、今の信金中央金庫が大きなビルを建てていたのが完工した模様なんだけれども日曜日とあって人もおらず数人しかお客さんがいないという幸運もあって早速入店する。

 東京って場所は街中だとドトールだってマクドナルドだって人が一杯だったりするから厄介なんだけれども日本橋や大手町界隈は商業施設が少ないってこともあって人が少なくって有り難い。問題はだったら店を閉めてしまおうって所も少なくない点だけれどもここん家は開いててなおかつ人が少ないのが好印象、でもまあいずれ知れ渡ってくれば日本橋界隈に買い物に来ている人たちであふれかえったりするんだろうなあ。ともあれ腰を落ち着け総括原稿を6枚ばかり。書きためてきた中からピックアップしつつある程度の共通項を立ててそれに沿って手直しを加えて2時間くらいでひとまず完成。見ると国立に駆けつければ第1試合の流通経済大柏の試合には後半から間に合いそうだったけれどもまあ、決勝に出てきてくれると信じてここはパスして地下鉄で上野広小路へと向かい今年最初のアメ横散策、ここはいつ来ても人が一杯で見ているだけで元気になる。飛び交う言葉に日本語じゃないのも混じっているけれど。ほんと増えたなあ観光客。

 んで見てあるいて赤いダッフルコートとか、クラークスの安い靴とかあれば買おうと思って眺めていたら、スポーツ系とはちょっと違ったブランドのスニーカーを扱っている「TOPtoTOP」って店で英国生まれのメーカーで創業1905年と歴史もあって、かつてはサッカーシューズも作っていた「Gola」のレザースニーカーが半値で出てたんで飛びつく。調べると1シーズンくらい前のみたいだけれども黒は黒のみ、茶は茶のみの色目でシンプルでカジュアルにもオフィシャルにも併せやすそうで、どっちかなあやっぱり茶かなあと迷ったもののここは半値なんだからと両方購入、これにて年始のバーゲンあさりを打ち止めとする。そういや新宿紀伊國屋の地下にあるライター屋の福袋を今年は買ってなかったなあ。

 「Gola」あそういえば恵比寿にある三越の地下を歩いている時にワゴンにサンプル品が積み上げてあったのを見て2足ばかり買ってその足入れのスムーズさに今も結構愛用してたりするんだけれども、デザイン面でちょい凝ったものが正規品だと多くて普通には買ってこなかったっけ、まあ今回のも正規品だけれども古い割にシンプルな所があって前に見たサンプル品に近いんでこれはこれで良いものと認定、早速履いて履きつぶそう。ほかにも見ると「CRUYFF」ってかのヨハン・クライフの名を冠したスニーカーとか、アディダスやプーマが蔓延る以前にドイツで立ち上げられて陸上やサッカーの選手にも愛用されていたけれど、不振もあって1980年代にいったん終わったものが創立者の孫によって再会された「Mobus」ってドイツのブランドのスニーカーも並んでて、どれもがデザイン的にスタイリッシュで欲しくなる。

 雰囲気でいうならやっぱりサッカーとかバスケでトップの人気だったのが外圧に押され、機能面では凌駕できてもスタイリッシュさで衰退気味だったアシックスが、懐かしい「オニツカタイガー」のブランドでちょいレトロな中にスタイルを込めたスニーカー群を出し直して若い層にアピールし始めたのに近いかも。アシックスもそうだけれど、ゴーラと良いモーブスといいサッカーに縁を持つブランドながらもグローバリズムの中で3本線やらスオッシュやらに駆逐された経緯があって、それがデザイン面で斬新さを持たせて復活を遂げ、今に迎え入れられているってのはなかなか興味深い。

 エアマックスだのジョーダンだのと先進性で売ってたナイキとかアディダスが、デザイン面でなかなか新しさを打ち出せないまま異形へと走る傍らで、アメリカンスポーツの日本での人気停滞もあって気分的に後退気味。かろうじてプーマにデザイン性の高いラインがあってスタイリストに人気だったりするけれど、デザイン面に寄りすぎていて結構な値段でちょっと手が出ない。それだけに値段はリーズナブルでデザインも悪くないモーブスやゴーラとか、やっぱりサッカーシューズで知られた「Quick」に人気も集まりそうな気もしないでもないけれども、やっぱり知名度が、なあ。まあ人気が出過ぎてパトリックとかニューバランスみたく賑わった挙げ句に陳腐化するよりは良いのかも。同じ流れで「クリックスヤスダ」もシューズブランドとして復活したりしないかなあ。


【1月5日】 んでまあせっかくだからと早起きがてら、散歩と読書を兼ねて電車を乗り継ぎ鷲宮神社へ。いわずとしれた「らき☆すた」の“聖地”とやらで年末年始とかにはきっとそれっぽい人たちでずいぶんと賑わったんだろうけれども、そんな中に混じって入るほどの気力もないんで三が日も過ぎたあたりでひっそりと、様子を観察して来ようと思ったらさすがは関東でもそれなりの古さを持つ神社だけあって参道には車が連なり境内にもたこ焼きにイカ焼きにお好み焼きにジャガバターにトウモロコシにフライドポテトといった屋台も立ち並んで、まだまだ正月気分って奴を見せていた。本殿にお参りする人の行列もなかなかなもの。当方と同様にそこがそれと知って来ているっぽい若い一団はいたものの、中には流石にコスプレとかしている人はおらず。一応は態度をわきまえているんだ皆々さん。

 とはいえそこは“聖地”なだけあって絵馬を飾る場所にはつかさにみゆきさんにゆい姉さんがそこかしこ。つかさにこなたがいたかは不明だけれどもまあ探せばきっといたんだろう。んでもって書かれた願いも千差万別で読むとちょっぴり心も痛んだけれどもそれも青春って奴だ。高校に受かりたいとかいった願いと並べて果たして良いのかって気はしたけれど、でもそんな願いだってどんな願いだって分け隔てなくかなえてくれるのが大社の心意気って奴で。下手なんで流石に自分では絵馬を買って描くまではせず。手元にサンプルもないし。でもいつかまた位ったら今度こそしっかりと描いてくるぞひよりんを。どんんな顔してたっけ。眼鏡な娘だったっけ。

これ売ってくださいと札束をリュックから出す金満な方とかいるのかないそうだな  考えてみれば総武線で西船橋まで出てそこから武蔵野線で南越谷へと行き乗り換え東武伊勢佐木線の新越谷駅から久喜まで急行で一気に走ってそして各駅停車で1駅と、時間にして乗り換えも含めて1時間半とかそんなもんだから下手に川崎大師とか行くより近いかも。お払いとかもやっていてあんまり時間もかかってなかったみたいなんで、どうしてもって人は散歩がてらに出かけてみても悪くないかも。お札も霊験あらたかっぽかったし。さすがに境内じゃあそっち系の絵馬とかは売ってなかったけど。

 じゃあ入り口の茶屋なら売っているかと見たら店の前に並べられた品物にそーいったものは見えず。きっと三が日で売り切れてしまったんだろー。仕方がないので横の看板にかかっていた巨大な石製の「らき☆すた」絵馬を記念撮影。そのなかなかっぷりに拝借していく奴とかいないか心配になったけれどもまあ、1人じゃ重くて持てなさそーなんでひ弱で軟弱なアニメとかゲームとかのファンでは絶対に無理だと向こうも理解しているのかも。財力でアプローチする人とかはいそーだな。

 考えなくちゃいけないのは、こういった“聖地化”が果たしていつまでの寿命を持っているかって部分で例えば過去に大河ドラマの舞台となって観光のためにあれやこれや施設を押っ立て誘致に勤しんだ結果、ドラマのやっている間とあとは終わってしばらくはどうにか人気を保っていた物の移ろいやすい人の心はほどなく他の場所へと向かって閑古鳥。後には懐かしさよりは哀れさを感じさせる登りやら看板やらが残ってその間を寒風が吹きすさび、ターンブルウィンドが転がるとゆー光景が現れなおいっそうの惨めさを誘っていたりする。観光地の自業自得と言えば言えないことはないけどそこで生まれた地元の感情、そして周囲の目が“聖地”を見捨てたファンの目へと向く可能性なんかもあったりするから悩ましい。最初は奇異に見られ、そんな中でも地元の理解があってどうにか始まったコラボレーション。それを一方的に見捨てたって思われたら吹く逆風も前より遙かに厳しくなる。

 かがみとつかさの巫女姿が添えられたポスターとか石のプレートとか身ながら参拝に来た普通のおじいちゃんおばあちゃんがテレビの漫画で有名になって人が一杯来るようになったんだよって決してネガティブじゃない声音でそいつは目出度いって感じに言ってくれているのを聞くとなおさら、一過性で終わらせたら後に残る禍根もありそうって気が湧いてくる。まあ単行本とかまだ出ているしアニメだってあるいは2期とかあっても不思議じゃないくらいに人気は未だ続いているから向こう1、2年は安心だろうけどそこで気移りしないでファンは、見捨てず離れず年に数度は参拝に行って差し上げて欲しいものだし地元の人たちもだからブームで一儲けとか考えないで、長くいっしょに育てていくつもりで商品を作り参拝客と接して差し上げて頂きたいもの。お札とか買ったんで返しに頑張って来年も参拝に行こう。

 んで行き帰りの電車で三上洸さんって人の「マリアの月」(光文社)を一気読み。アウトサイダーアートと殺人事件を結びつけたサスペンス、って思っていたら話がどんがんとふくらんで大変なことに。おいおい日本の公安って奴ぁそんなに間抜けか。権力って奴ぁそんなに腑抜けか。いくら政治家や官僚とつながっているったって、バックにどっかの国家なんぞを持って過激に非公然をやってる輩と関わって居るんだってことが一介の地方紙の記者にだって知られている面子を、政治の表舞台に上げて歩かせ果てには閣僚のポストまで用意してあげるなんてことは、普通だったら絶対にあり得ないんじゃなかろーか。つながっている政治や官僚にも影響があり過ぎるってことで、どっかの段階で挙げられ抹殺されるんじゃなかろーか。それを言うなら「コードギアス 反逆のルルーシュ」のルルーシュだってまるで検挙される節がない? まあほらエリア11は混乱が続いているから公安とかも機能してないってこで。

 まず描かれるのは夜の森。8歳くらいの少女が夜空に感動して歩いていると向こうで医者と看護婦が何やら女性を介抱している、かと思いきや女性は拘束着姿で動けないままスコップで殴られ息の根を止められ大木の根本に埋められようとしていた。見てしまった少女は逃げようとして見つかり追われて崖下へと転落。それがもとで脳に障害が残り今は知的障害者が入所している施設に入って日々をふわふわと過ごしている。そこに派遣されて来た画家は将来を嘱望されながらも過去にどうやら盗作をやらかし、発覚こそしなかったものの自分をゆるせず画壇から遠ざかっていたところを、師匠に言われて施設に絵の講師として送り込まれたものだった。

 さっそく出会って画家は20歳をもう超えていた少女・マリアに絵を描かせようとしたらもとより才能があったのか、マリアは一瞬をとらえた風景を描いて画家を驚かせる。才能に気づいて画家はいろいろと描かせようとして、ピクニックにも連れだしたら突然マリアは怯え逃げ出し暴れた挙げ句に、奇妙な黒い絵を描き始めた。抽象の概念を持たず見たものしか描けないマリアが描き出した絵が意味したものは、彼女が崖から落ちた事故の発端になった事件であり、そして今へと連なる謀略の存在であった。

 読み始めればついついページをめくらされてしまう巧さがあるし、マリアって無垢な上に才能を持った存在に対して抱く感情もあって先へ、先へと引っ張られてしまう。ところがそこに現れるのが眉に唾を付けたくなるよーな壮大というか壮絶な設定。これさえなければ1人の少女に生まれたサヴァンにも似た能力がアート作品となって結実する中で、過去に行われた犯罪が浮かび上がってそして迫る危機を1人のこれもちょっぴり過去を背負った画家が頑張って振り払い、そこに恋人を失った新聞記者も加わって逆襲していくってゆー読んで感動もあり勉強にもなる作品に仕上がったって気がしないでもない。

 あるいは単位をインタアナショナルなレベルにするんじゃなくって、地方に強い権力基盤を持って地域の政治経済を牛耳る一族の過去の犯罪を暴くといった感じに抑えておけば、おいおいそりゃあ大げさだぜって気分も起こらなかったに違いない。でも出版社の宣伝なんかを見ると書店員も作家の人もそこは気にせず少女が秘められた才能を爆発させる所に感動を覚えているみたいなんで、それを際だたせるって意味からインタアナショナルな大仕掛けって奴もあって悪いことではなかったのかもしれないなあ。しかしやっぱり苦しいよなあ。


【1月4日】 そういや2007年末に予定から1週間くらい遅れて発売された「涼宮ハルヒの約束(限定版)」って「プレイステーションポータブル」用のゲームソフトがアマゾンから届いてて、付属していた予約特典の「サンタ水着ハルヒフィギュア」にクリスマスを過ぎてサンタフィギュアもないもんだとつかの間思ったものの、白く縁取られた小さめサイズの赤い水着をまとっただけの姿のどこがサンタって気もしないでもなく、むしろ夏にこそ相応しいフィギュアかもしれないから、別にクリスマスを過ぎていようが関係ないしそもそもハルヒとついてりゃ何だって良い人たちにとっては季節感など無関係。そこに存在するってだけで幸いさを覚えてしまうのだろー。ああ幸い。予約しといて良かったよ。

 つかいつ予約したんだっけ。秋頃に川崎のラゾーナにある「ヒーローズベース」の中に入ってるショップの入り口にプレミアムボックス予約中とかってPOPが出ていたのを見た時には「ふうん出るんだ」ってなもんだったからその後か、アマゾンをふらりふらりと見ていた時に舞い込んだ発売の情報に魔が差して、「プレイステーション2」対応のもう1つのハルヒゲーム「涼宮ハルヒの戸惑い」の完全限定版とともに予約したんだとは思うけれどもはっきりとしたことは覚えていない。歳か。ほかに何か予約して忘れてないだろーなー。「ブレードランナー」のスーツケース入りボックスはもう届いたし……。だめだやっぱり記憶が薄い。

 ちなみに「約束」は「レイトン教授」も未終了の現時点ではとても開ける余裕なんてなく、アマゾンから届いた時のまんまにボール紙を台座にビニールパックされたまんまで横にサンタフィギュアもくっつけて転がしてあるけれど、調べたら発売直後に中古の価格が19800円とかに上がって激怒を誘っていたとかどうとか。真空パック状態もオークションとかに流せばさぞやお高そうだけれども、最近はアマゾンのマーケットプレイスでも値段が落ち着いて1万円前後とプレミアも乗らずそれでいてサンタフィギュアも付いてたりするんで慌てず1週間を待った人にこそ勝利が転がり込んだみたい。ってことは売っても売れないんで売らずに新刊の発売とか、新作アニメの公開なんかで気分が盛り上がるまで転がしておくことにしよー。開けるのは5年後あたりか。

 若さって素晴らしいなあと、とあるペーパーメディアで繰り広げられた若手のエリート社員たちによる、未来に勝利するためにペーパーメディアがなすべき施策のプレゼンテーションの話を伝え聞いて、微笑ましく受け止める。何を置いても地球環境の保護が尊ばれる昨今、紙資源を古紙とは言え使うペーパーメディアとって紙の廃止は不可能だけれどそれでも減らすことは可能だと、発行物のサイズを小さくすることを提案したらしーんだけれど、これをいきなり半分にする案は割にありがちで、なおかつ変化も激しすぎて読者に容易には受け入れられないところを若い人たちは下を2センチ、カットするだけでそれなりな面積の森林が伐採されることを防げるんだと訴えたとか。何と斬新。且つ新鮮。

 ちょっと小さめだから読む側もそんなに違和感なく移行できて、効果もそれなりってのは折衷案でもなかなかの英断。いつかの統制の影響が今も残っているのかほとんど統一されたサイズしかない状況で、1つのサイズだけ作ってロールにして納入している関係もあってコストも低廉なものになっているだろう所に、うちは下2センチがいらないんで、サイズの違うのを作って売ってくださいと製紙会社に向かって言ったら、その分だけコストも高くなって経営に影響が出る上に製紙会社も印刷会社も発行企業も、そういった紙を作ったり使ったりするために新たな設備を整えなきゃいけなくなって、いろいろと資源が投入されて石油も消費されるんだろーけれども人だって商品だって見た目が9割な今の風潮では、そーしたバックヤードで起こるだろう様々な苦労とか、トータルコストの概念を置いても見た目の小ささでもってとにかく社会に対してアピールを行うべきだっていう、ある種の信念めいたものが漂っているよーで実に初々しい。歳を食うとあれを立てればこっちが立たないとかっていろいろ考え過ぎたり、気を遣い過ぎてしまうんだよなあ。

 社会に好評で人気が出て部数が伸びて企業からの広告出稿希望が増えても、そこでページを増やしたら元の木阿弥なんで企業には話してお引き取り願うんだろー。何と清廉な。社内で使うトイレットペーパーは引き出してから2センチ戻すこと、なんて統一感をもたせた活動を展開できればなおいっそうのアピールは確実。男子社員は背広の袖とズボンの裾を2センチ、女子社員はスカートの丈を2センチ縮めてあつらえること、ってなったら見た目も涼しげで夏場なんかには冷房費の節約にもつながりなお環境へのアピールが出来そう。「この2センチがシロクマを救う」とかってアピールしたら、大受けして社会を挙げてのキャンペーンにも発展するかも。受けてよーし分かったとセル画の下2センチが切れていて、原画には描かれていた下部が描かれておらず画面には白い帯が入ったようには見えるけれども環境のためには仕方がないと誰もが想像で補う「環境対応アニメ」ってのが誕生したり、ブラのサイズが2センチ小さくはみ出してそうな「環境対応グラビアアイドル」ってのが登場して世間をにぎわしてくれるんだ。

 萩尾望都さんの話を書くために改めて買い込んだ「ポーの一族」の愛蔵版とか「山へ行く」とかをペラリペラリと見て昔も絵は耽美だったけれども今も女性はどんどんと可愛らしくなっているところに日々是進歩の凄みを感じて敬服。描かなくなる漫画家だって結構いるのに萩尾さんとか山岸涼子さんとか竹宮恵子さん大島弓子さんにあと萩尾さんの話で出た漫画仲間の福山庸治さんとか同世代が未だ最前線で現役だったりするからこれは凄い。単にネームバリューだけじゃなくって描くものも常に新しくって画期的なものになっているし絵だって進化し進歩しているからなあ。あやかりたい。ついでに萩尾さんが三浦しをんさんとよしながふみさんについて対談している「ダ・ヴィンチ」も買ったけれどもこっちは時間がなかったんで未読。何か他の人たちによるブンガクがどうとかって対談も載ってるのかな? そっちはどうでも良いやおそらくは既視感の言葉の横溢だろうし。川上未映子さんと穂村浩さんおトークショーってそういや何時だったっけ?


【1月3日】 見るべきテレビのカケラのなさにモニター前を離れて書斎兼台所兼玄関に籠もるというかはじき出されて講評書き、うん良いのがあったけれども趣味の違いの甚だしさを指摘されがちな当方だけに果たしてどんな結果となりますやら。んでもってバーボンをすすって適当に気持ちよくなった所で眠り起きて家を出てさあ高校サッカーに行くべきか、それともアメリカンフットボールの社会人代表対学生代表の「ライスボウル」を見に行くべきかを思案して0・0003秒で「ライスボウル」という結論に至る。なんのこっちゃ。

 だってアメリカンフットボールだよ、「コードギアス 反逆のルルーシュ」のように米国がブリタニア帝国になっている世界でだって存在するくらいに有名なスポーツだよ、でもってチアリーダーがいっぱいだよ。そりゃあ流通経済大学柏にだっているこたぁいるけど高校生で人数も少数。対してアメリカンフットボールだったら大学生だったらチアリーダー部に10代から20代と実に絶妙な年齢の美少女(予定)たちが数10人は所属しているだろーし、社会人ならほとんどプロってチアリーダーが所属して見るも鮮やかなダンスって奴を踊ってくれそー。それを寒風の吹きすさばない「東京ドーム」で目の当たりに出来るとあっちゃあ1も2もなく選ぶは「ライスボウル」ってことになる。人間というのは正直な生き物なのだ。

 んでもって家を出てとりあえず神保町辺りへと向かい仕事をこなせそうな場所と昼ご飯を食べられそうな場所を探して水道橋方面へと歩く途中にあったステーキとハンバーグの店に入ってちょいお高めだったけれども正月ってことでダブルで合計260グラムくらいのハンバーグとやらを頼んだらタルタルステーキだった。いや別にまるまる生って訳じゃないけど焼いた鉄板の上に載せるのがもうこねたばかりの挽肉で、それが鉄板の上でじゅうじゅうと焼けるんだけれどコンガリとなんて行くはずもなく表面は焼けても中はまっ赤。これで果たして大丈夫なの? って疑問も起こる。

 けどそこは専門の店だけあって中途半端な肉とかは使っていなさそーで、表面が焼けて中は赤くってもちゃんと食べられてそれもしっかり味が染みててなかなかなもの。これがデフォルトなのか単純に店員が手抜きをしたのかは分からないけれども味とか悪くはなかったんで良しとしよー。んでタリーズに入って仕事をしようかと思ったけれども電車の中で読み始めていたスクウェア・エニックス小説大賞の佳作を受賞した琴羽マクラさんって人の「紅刀三姉妹」(スクウェア・エニックス、857円)が面白かったんでそいつを一気に読了まで持ち込む。

 事故に遭って気が付くと綺麗なお姉さんに泣かれながら抱かれ頬ずりされていたことに気づいてから幾年か。事故以前の記憶がまるでないという障害が残ったものの他にはとりたてて影響はなく両親とともに暮らしていたシンイチって少年の両親が急な転勤で海外に行くことになってシンイチはいつか自分に親切にしてくれた、どうやら従姉妹らしい冬子さんの家に厄介になることになる。何しろ綺麗な人でそこでお世話になるんだからと心も浮き立ち尋ねると、周囲を黒服の男たちに囲まれた妙齢の美女がいて見るとそれが冬子さんだった。

 男たちには怜悧な表情と言葉を放つもののシンイチを見つけた途端に顔を崩してがばと寄ってきてはシンイチをかき抱き、車に乗せて家へと連れ帰っるとそこには無口で人見知りをする3女の小蝶ちゃんと正反対に美人なんだけれども乱暴な2女の渚がいてそして始まった美少女3姉妹と純情な少年とのラブコメ同居物、って思ったらこれが違ってシンイチ自身の過去に関わる事件へと進んでそして3姉妹の真の姿が発動する、っていった感じに聞けば嬉野秋彦さんの作品とかも含めて割にありがちな展開だけれど、書かれている文章がしっかりしていて流れもたくみで読んでて飽きずに最後まで読んでいける。おおよそ想像の範囲内にとどまっているクライマックスも予定調和のうんざり感はなくむしろ頑張る男の子の姿が放つ輝きに目を奪われてしまう。なるほど冬子さんが惚れる訳だよ。

 言えばとんでもないことをされながらもそれをやった相手がずっと好きでした、ってことでオールオッケーになってしまう事態は異常でそれもこれも記憶がすっぽりと消されてしまって嬉しくも麗しい出会い以降の記憶しかないからで、それ以前の後戻り不可能な情愛をはらんだ記憶が蘇ってもなおそういう態度でいられるのかって疑問もあるけど、そこはそれ、健康で健全な男の子って奴で目の前にある美女の豊かな肢体やら可憐でゲーム好きな妹系やらやんちゃで乱暴者の同級生やらを取るのが当然ってこと。かくして始まった3姉妹との同居生活で起こるだろうお風呂シーンに添い寝シーンのオンパレードを今後も期待しながら出るかどうか分からない続刊を楽しみにしよー。

カレッジのチアリーダーと同じ人種なはずなのに縦の長さ前後の幅の違いは何だ?  ってことで読み終えて「東京ドーム」へと向かい会場へと入りさてどっちに陣取るかを考えてここは若さだと決めて関西学院の応援席へと回りチアリーダーが陣取りそうなグラウンドに近いスタンドの最前列に陣取りキックオフまで待機。やがて現れたチアリーダーのダンス位置はちょっぴり正面からズレていたけど斜めに顔をバックスクリーン上のモニターに向けた目線の上に位置していたのはラッキーで、最前列だとまるで見えないプレーをモニターで確認しながらしっかりとダンスするチアリーダーを観察できて実に一石二鳥な観戦に相成った。これも厄年が終わったからこその僥倖か。

 いやいや対面にグラウンドを経て見える松下電工のチアリーダーの肢体の伸びやかさに踊りの派手さ、そして何より衣装の面積の小ささにちょっぴりしまったという気にもなったけれども時はすでにキックオフまで30分。移動したって席はないからここは若さを尊ぶべきと自分に言い聞かせて腰を落ち着かせる。もしかしたら人数で3分の1くらいしかいなかった松下電工のチアリーダーを会わせた色気の総量は、関学のチアリーダーのそれを上回っていた可能性もありそーだけれどこの歳になって色気ばかりじゃ心も爛れる。むしろ若さを浴びて英気を養う方こそが相応しかったんじゃなかろーか、うんきっとそうだそうなんだ、しかしすげえくねくね踊ってるよな松下電工のチアリーダー、うーん来年は社会人側に座ろうかな。

 そして始まった試合はやっぱり社会人が強くて松下電工がハーフタイムまで大きくリード。けれどもさすがは社会人の「Xリーグ」で踊ってるってだけはあるゴージャスなチアリーダーのパフォーマンスを経て始まった第3クオーターに、関学が反撃に出て残りツータッチダウンって所まで来てそして残り確か数ヤードってところでクオーターバックがサックされボールをファンブルしてターンオーバーに。これがおそらくは最大の分かれ目でその後リードを広げられけれども追いすがってワンタッチダウン差まで来たのに引き離されるという展開のまま試合終了。でも大差で破れるかと心配した前半から後半は互角に見えるところまでよくぞ立て直した。応援した甲斐もあったってもんだ。チアリーダーの人たちも平べったい割に脚とか立派だったりと初々しさを感じさせて目にとっても勉強になった。ありがとう、そして来年も会いましょう、でも来年こそは日大が復活して来るかな。


【1月2日】 「釣りバカ日誌」かと思ったら「釣りキチ三平」の方だったか「釣りバカ瑛花さん」のバックグラウンドは。ってことは冬后大佐は魚紳さんか。そーいやどことなく声とか野沢那智さんに似てるし藤原啓治さん。ってことで「スカイガールズ」のDVDに特典として入っている「釣りバカ瑛花さん」の第3巻分を鑑賞、どーして釣りごときにモーションスリットを着用しますか、ってな辺りから始まるバカっぷりは脇に徹して終始控えめだった可憐ちゃんがむっつりとした中に不気味さを発揮する辺りで爆発気味。手にウミウシを抱えてうふふふふっと笑う様には誰よりも高い存在感があったけれども本編では主役だった音羽はこっちでは盛り立て役に徹して目立たず。まあ才能の無さではスカイガールズでも随一だったのを遺伝しでカバーしてた所があるんで、相手がワームじゃなくって魚ならこーなるのも当然か。本編も楽しく終わってDVD購入は決めたけれどもこれが入っているならさらに買う意欲も高まるってもんだ。全巻まとまったところでこれだけ抜き出し再びDVD化、なんてこたぁないだろーし。エリーゼやアイーシャの投入はあるのかな。

 見るテレビもないんで起き出し高校サッカーを見物に柏へと東武野田線に乗って移動。南側は激しい混雑で「かつや」も人でいっぱいだったんで北側に回って「ペッパーランチ」に久々に入ってステーキとハンバーグが乗ったプレートをかき込んでから既に第1試合が始まっている時間帯なんで空いてるバスに乗ってゴトゴトと移動し地の果てにあると言われる「柏の葉公園総合競技場」へと向かう。降り立つと周囲に目立った建物とかまるでない平原に生えるススキも上州からの空っ風風にそよぐ中に近代風の建築物が立っていて、バス停からして東大の何かだとは思うけれども新しいにもかかわらずすでに廃墟の面もちがして、ここに通う人たちの昼飯とかアフターファイブとかはいったいどーなっているのか、公園でサッカーとかスケボーでもして楽しんでいるのかそれとも毎日がキャンプなのかと心配になったけれども頭の偉い人たちにはそんな娯楽なんて不必要とばかりに毎日を、サプリメント囓りながら中で研究に勤しんでいるんだろう。しかし何の東大なんだ。

 んで1500円を払って競技場へと入り後半が始まった地元柏にある流通経済大柏とそれから京都の久御山との試合を見物しつつ横目で流通経済大柏のチアリーダーを見物、この寒空、といっても例年よりは温かいけどやっぱり寒い1月の空気に素足をさらして頑張る姿に感動する。かといってグラウンドそっちのけで脚ばっかり見ている訳にもいかず目線を戻せばそこでは流通経済大柏の選手がたびたび抜け出しシュートを放つものの入らなかったりして勿体ないというか詰めが甘いというか。あとペナルティエリアで2回ほど倒されたのがともにシミュレーションをとられていたのはそれが本当だからなのか審判の目が迷っていたからなのかがちょっと曖昧。高校生ってそんなにシミュレーションをするものなのか? 何か疑っているような笛は気分的によろしくない。というか1回とられて別の選手がまたとれられたんなら警告に留めないで毅然とした態度で廃するべきって気もするけれどもそれをやると試合が壊れてしまうんで仕方がない。直前に得点機会阻止で1人久御山が退場になっていることもあってバランスを取ったってこともあるのかな。それならそれで悪くない笛だったってことか。

 そして本命というか2回戦でも屈指の好カードだった東福岡と野洲の試合がスタート、チアリーダーがおらず野郎どもの野太い声だけが響き渡るグラウンドは傾き始めた陽とともに硬派さを色濃くし初めていたけど試合の方もスピード感があってテクニックもあってとなかなかに本格的。とりわけ東福岡は逆サイドへのチェンジがしっかり出来てて素早いボールが渡ってそれを持って攻め上がったりトップに入った7番の多分深町って選手は超絶的なスピードでもって受け取り走り攻め込んだりと野州のディフェンス陣を翻弄。したけどゴールキーパーの真正面だって何だってことごとく弾き止めるスーパープレイの連発によって得点が入らず前半は共に無得点で折り返す。野州もサイドで切れ込みゴール前に入れるんだけれど入れ方が雑っていつか入れてるだけっていうか、ピンポイントで合わせようったってそうはいかず奪われ反撃される繰り返し。いずれにしても東福岡の方が大人のサッカーをしているって印象を抱きつつ野郎どもの声も聞き飽きたんで会場を出てバスで柏へと戻って福袋なんかを見物しつつ野田線で船橋へと戻る。冬でもミニスカなギャルっぽい娘が雑踏を埋めてた柏から一転して地味目な船橋。これが常磐線文化圏と総武線文化圏の違いか。

 何だ「ジオブリーダーズ」じゃないか伊坂幸太郎さんの「ゴールデンスランバー」(新潮社、1500円)は、それも化け猫抜きの。当初は電子の妖怪が跋扈する街でこれを駆除する女5人に男1人に化け猫娘が1匹の警備会社が奮闘する話、って雰囲気で始まりながらも伊藤明彦さんの「ジオブリーダーズ 魎遊撃隊」は、早々に電子によって縦横無尽に監視され管理された社会が持つ危険性を解きそんな社会の裏側で、人間対化け猫って構図すら管理して秩序と安寧を求めようとする組織が暗躍している様を浮き上がらせては、それによって翻弄され始めた警備会社がやがて崩壊へと至る様ってのを今まさに描き出そうとしていて毎月の連載から目が離せない。ここに来ての急な旋回でないことは以前にも神楽があってそれが最初ではなく今が最後でもないことが、社長のつぶやきやルガーの竜とそして社長の姉が一緒に写った古い1枚の写真とともに示されていたことからも伺える。その設定を当初のギャグ混じりの展開に絵柄から過去編を経てシリアスな展開と絵柄にチェンジさせた中でようやく爆発させているんだろー。

 あらゆる場所に設置されたカメラが把握され管理される一方で、そうして集められた情報こそが真実という風潮が普遍化した時に起こる操作された情報すら真実と信じ込まされ動かされる恐怖、って奴を現在の神楽綜合警備の面々は味わい歯がみしつつも抵抗しようと頑張っている。「ゴールデンスランバー」に登場する青柳って青年はそんな神楽総合警備の立場をたった1人で背負わされている分、大変さも上だろーけど相手に入江省三もいなければ菊島社長の姉もいない分、詰めに甘さもありそーでそこをどうにかくぐり抜けて首相暗殺、だなんて世紀に残る事件の犯人という着せられたぬれぎぬを晴らそうと奮闘。なおかつ生来の人の良さもあって過去に関わった人たちが救ってあげたい助けてあげようと頑張っているところがまるで四面楚歌な今の神楽綜合警備とは違うところか、本当にどーするんだろう田波とか梅崎さんとか。高見ちゃんが外から何とかしてくれるのかな。

 化け猫、って部分さえ除けば「ジオブリーダーズ」だって十分に現実的に起こり得る事態だけれども「ゴールデンスランバー」の方は既に現実に起こっていたりする監視され管理される構造を、一介の宅配便ドライバーでしかなかった青柳が首相暗殺犯に仕立て上げられるって構図から浮き彫りにしていて身に迫る恐怖感って奴もひとしお。ここで青柳が地下水道で謎のカプセルを広い中から出てきた緑色の髪の毛をした少女から能力をさずけられ、追いつめられたら「青柳雅春が命じる、お前たちは死ね」とやったら「コードギアス 反逆のルルーシュ」になるんだけれど、それだと「ジオブリーダーズ」以上に非現実さが増すんで封印。そう思うと便利な力がギアスって。日本だって征服できらあ。

 ここで問題なのは、事情がまるで分からずただひたすらに重大な嫌疑をかけられたことだけ把握しながら突っ走る青柳の立場になって果たして自分だったら逃げ切る自信があるかどうか、ってことで仲間もおらず偶然にも助けられないと1日だって逃げ切れないなあって感じさせ、諦めさせる効果を或いは「ゴールでスランバー」は持っているかもしれないけれど、それだと権力側の強圧的なプロパガンダの片棒をかついだ小説ってことになってしまう。違うぞ決して権力であっても対峙する正義はこれに勝る可能性もあるんだってことを、感じさせ立ち上がらせようって意志も込められているんだと思いたいし、友人の、元恋人の、行きずりの犯罪者の、出会った男の、そして彼を信じる両親の心と行動がそのことを示してくれている。読み始めたら一気呵成の1冊。青柳は逃げ切れたのか? そしてあなたならどう逃げる? これが神楽綜合警備なら栄ちゃんの回し蹴りと梅崎のモーゼル夕のドライビングテクニック、そしてまやの電子操作によって圧倒的な火力で軽く逃げ切ってみせたかな。田波はやっぱり役立たず、か。


【1月1日】 蝸牛が枝を這う季節じゃないけど神はそこかしこにおわしめすってことで、日本中の神様が詣でられ祭られる季節にピッタリな古戸マチコさんって人の「やおろず」(イースト・プレス、1000円)を読み始めたらこれが面白い面白い。ネットで評判、なんていった今時珍しくもない惹句にちょっぴり引き気味だったけれども、語り口は巧いし展開も愉快でファンタジックでセンチメンタルでコミカルに、少女と神様たちとの出会いと関わりから生まれるドタバタとした日々を描いてくれている。

 例えるならアニメーションになった「かみちゅ」だけれども、あっちは神様になってしまった女の子が取り巻く環境の一変する中で、神様たちの動きなんかを横目で見つつも自身が新米の神様として頑張る話だったけれども「やおろず」は八百万、って言葉が子供だったから言えずそれとおばあちゃんの口癖もそうだったってことで“やおろず”だと思い込んでいた、今は大学生になった少女が亡くなってしまったおばあちゃんの家へと行ったらそこで出会ったのが家神様。なぜか連れて行ってくれと頼まれ自分の暮らすアパートに連れてかえったら、竈の神様も着いて来てしまった上にあらゆる場所におわしめす八百万の神様が見えるようになってしまった、って所から物語りの幕が開く。

 年期の入った家で竈を守ってきただけあって、竈の神様は大工の棟梁のように重々しげだし新しいからなのかトイレにいる神様は幼い男の子で何かにつけて遊んでと少女に迫る。そうこうしているうちに外から道祖神が飛び込んで来るといった具合に大にぎわい。でもみんな気の好い人、じゃなかった神様たちでそんな賑やかな中で暮らし始めた少女は、神様が見える力を使ってまずは子供たちから忘れられゲームのモンスターよりも弱っちいと思われている鬼を、節分に合わせて子供達にとって怖い存在であって豆によって清められる存在として復活させ、復権させようとする。

 続いて実家から贈られてきた雛人形のお内裏様とお雛様が夫婦げんかをしているのを止めようとして、その時にはケンカの遠因に自分が子供の頃にもらした他愛もないけどそれだけに残酷な言葉があったことを思い出してちょっぴり悩んだりもする。ほかにもアルバイト先のコンビニにいるちょっぴり暗い同僚の少年がわら人形を持ち歩いているのを見て社会復帰させようと頑張ったり、止まって境界線上を守るはずな上に夫婦一対が基本な道祖神が黄色いフードをかぶったまんまで街を出歩く姿から察して道祖神に可愛らしい奥さんを送ったりと大活躍を繰り広げる。

 そんな中から人が神仏を信じるという心理が持つ意味合いなり、それがもたらしてくれる心の豊穣といったものを感じさせ、この国が八百万の神様でいっぱいなことの素晴らしさを改めて教えてくれる。あと愛ってものの尊さも。どんな事態にもへこたれず前向きで明るく元気な主人公の女の子のキャラクターが心地良くって、彼女にひっぱられる形で彼女が出会い関わる神様や人間たちの課題を知って、一緒になって考え出た答えを自分たちのものとして吸収できるのがこの物語の大きな美点。これがどこの応募作品でもなくネット上に転がっていたりするんだから、日本って国のネット文化って奴はやっぱりとてつもなく凄いなあ。道祖神の新しい奥さんは可愛いなあ。

 んでそんな神様たちに合いに起き出していつもの下総中山にある「中山法華経寺」へと初詣。参道に猫がいて触りたかったけれども子年の神社仏閣にお参りする前に触るのも何だとひとまず我慢して、本殿というか祖師堂に参りそして奥にあって去年一昨年一昨々年と前厄本厄後厄のお祓いをしてもらった鬼子母神に出向いてお礼かたがた参拝、おそらくはきっと会社が潰れて路頭に迷っていたところを、じり貧であっても存命させ親会社への実質救済合併は起こっても廃刊放逐へとは至らせなかったのは有り難い鬼子母神様のご加護があったものだと強く感謝の意を捧げる。厄も明けて道行きにも支障がなくなっただろうからここは頑張って年齢分くらい手取りがもらえるような環境なりへの跳躍を目指したいところ、あるいは金はなくとも名誉くらいは頂ける場への進出を。

 お祓いは受けずお札を買ってそして戻って猫祭り。階段にいた猫は撫でると膝の上にのっかってきて可愛らしいやら温かいやら。途中の生け垣にいた猫は2匹ともおとなしくしゃがんで撫でられるままに身をまかせてくれて、実家を出て以来の夢だった「猫を撫でる」「猫に乗られる」が一気に達成されたのはやっぱり厄年が明けたからか。あとは「猫に顔に乗られる」の達成を目指さねば。それには猫が飼える家に住んで猫を飼える収入を得て猫を飼うまでにならなくちゃ。尾羽打ち枯らして実家に帰る? それも手ではあるがしかし最後の手段だ。去年食べてなかなかだったイイダコがまるまる1匹入っているたこ焼きをむさぼり京成で船橋大神宮へと向かい裏口から入っておみくじだけ引いたら旅はオッケー、仕事も引きがあれば乗りなさいとあったんで良い口があったら是非によろしく。恒例のおまけは蛙でも達磨でもなく恵比寿だった。これ初めてだ。

 開いてたときわ書房本店で来るべき時に備えて本を買い込むタカアキラを見つつ買い逃していた「ヤングキングアワーズ」を買って家へと向かう途中で立ち読み、ねこ炬燵が欲しくなる。さぞや賑やかだろうなあ、んでもって暖かいだろうなあ。「ヘルシング」はシュレーディンガーが発動してアーカードが不在に。でも「シュレーディンガーの猫」ってパラドックスはそーゆー理解で良かったんだっけ、自分が自分を観察できるかどうかってのはそもそもの発端として成立し得るんだっけ、分からないけれどもまあとりあえずのピンチから復活を遂げるのが漫画の醍醐味って奴できっとセラスあたりが発憤して罵倒してそしてビクついて蘇ったアーカードがバカ婦警と笑いつつウォルターをぶち倒すんだ。

 んで「ジオブリーダーズ」はいつかの再現で追い込まれた神楽綜合警備がパニックからの立ち直りを画策中。あれだけ気丈だった蘭堂栄子が使えなくなってしまっているのは「コードギアス 反逆のルルーシュ」でユフィの死にしばらくコーネリアが呆然となっていた様にも通じるけれども自前で立ち直ったコーネリアほどには栄子ちゃんは強くなかった模様でそこにヘタレな田波くんが演説をかまして復活への道を開く。あの金亡者な栄子ちゃん、圧巻の格闘センスの栄子ちゃんの復活はあるか。梅崎は冷静で夕はのんびり。高見ちゃんがいないのが残念だけれどいても暗くドヨンとしてそうだからここは部外者として外からの華麗なる助力をお願い。いよいよ佳境でクライマックスな感じからさてどうつなげるか作者の人。暗転、そして10年後の「KAGSOK(Kagura−Seculity−OK)」で新米社員が社長キックを浴びつつこんな会社辞めてやると叫びつつ手にスマートフォンとか持って走り回っている絵が出て終わり、なんてことにはしないでね。


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